今日も小刻みな切り下げをやるのではないかと思っていたら、お昼のNHKニュースが人民元が1.1%切り下げられて、三日連続4.6%の切り下げとなったと告げていた。

 国内の景気が低迷して、輸出を増やしたい事情があるならこんな程度の切り下げではすまない。たとえば、日本は安倍政権誕生前に比べて80円⇒120円台/$への5割の円安である。30%は元安を演出しないと輸出ドライブがかからないだろうから、様子を見ながら小刻みな元安がしばらく続くと読むべきなのだろう。その一方で輸入物価を押し上げることになり、「不景気+物価高」に陥りかねないので、おっかなびっくり小刻みの切り下げとなったのだろう。中国政府は通貨政策に不慣れなのである。

 上海株が暴落してあわてて取引をストップしたり、株の売却を制限したりと、なりふり構わない露骨な介入が続いていた。言論の自由や人権を求める動きに対しても強権発動という対応をしているが、どちらをみても中国政府の対応は幼い。

 世界の工場は割高になった中国を逃げ出し、インドやミャンマーやベトナや、タイへ移りつつあるから、小刻みな元安では輸出は増えない。元安はこれらの国々に影響があるだろうから、対抗して自国通貨の切り下げ競争が起きかねない。
 中国はサイズが大きいのだから、大人の振る舞いを身につけなければならないのだが、無理な注文である。わが国の政府はこの数年間アベノミクスという「異次元ゼロ金利」で臨み5割もの円安誘導を実現し子どもじみた振る舞いをしている。じっと見ていた中国が真似しはじめたのかもしれない。
 自分たちのグループさえよければいいというのがTPPだ、自分さえよければいいという国が増えていき、弱肉強食が当たり前になればどういう経済社会が現出するのか考えなくてもわかるだろう。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」に基づいた経済運営のお手本を日本が示さなければならないのだが、安倍政権はそれとは真逆の経済政策を狂ったように推し進めている。美しい日本を目指していたはずだったが、まっとうな道を歩くのはむずかしいのだろう、「近道反応」的な経済政策選択が多い。わたしにはかれの経済政策も国会での野党議員との議論も幼児性の表れにみえる。

 国内の景気対策に他に打つ手がないために、中国はこのまま小刻みな元安を続ける可能性が強く、周辺諸国への影響があるから、かの国の通貨政策をしばらく見守ったほうがよさそうだ。もちろんわが国の経済政策も同列である。

(GPIF(年金機構)の株保有はすでに限度いっぱいに近づいており、あと1.5兆円ほどしか買い入れ余力がなく、株高の演出が限界にきている。公共投資も前年比で大きなマイナスである、財政出動という第一の矢も、失速しつつある。財政出動と異次元のゼロ利政策で自動的に成長できると考えていた節がある、トリクルダウンでの内需拡大を信じていたのだろう。成長戦略はいまだに姿が見えない。)


<8/11 ポイント配分割合変更>
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