〈更新情報〉
7/30 朝6時45分追記: 「11時から6時半まで」「余談-1」「余談-2」
根室の夏は日本一涼しい。今日の最低気温は高めで15.5度、最高気温は13時の24.6度である。
中1の生徒の一人からこんな要求があった。
「夏休みになったら、毎日11時にいっていい?」
「いいよ」
この生徒は土日に事情があって家庭学習時間がとれない。首都圏の中学生に比べたら、家庭学習時間は半分である。これは大きなハンディとなっているから、そろそろそうした障害を取り除いておかなければならない。どんなに許容しても後1年間だ。根室で学年一番をとればいいだけなら、それでもいいが、目標としているところが違う。
私は胃袋と体力がないので、昼寝はしないといけないし、2時間半おきくらいに食事も必要だから、べったりついては教えられない。幸いなことによくできる生徒だから難しい問題にぶつかったときに質問に答えるだけでいい。実績だと7時間半の授業で5回くらいだ。必要と判断したら高校の範囲まで教える。
(学校の夏休み期間中は生徒はだれでも3時から7時までは来ていいことにしている。7時20分からレギュラーの授業が入っているので、7時までは見てあげられる。レギュラーの授業のある日に来ると3時から9時まで6時間勉強していい。)
その中1の生徒が、今日「中1数学シリウス」の問題を全問やり終わった。時間の1/4くらいをやさしすぎる学校の宿題処理に充てて、数学の問題集を毎日10~12ページやり抜いた。終わったところで、ガッツポーズ。
「先生、おわったよ!」
「なかなかいい追い込みだった、よくやった」
区切りのよいところで、この生徒は明日から4日間お休み。シリウスシリーズはそれほど難しい問題が載っていない、北海道の塾用教材である。自分の実力が有名私立高校受験でどれくらいのものか、受験用の「難問題集」を一冊やらせて認識させておく。1学年たったの60人では全国レベルを考えると競争はないも同然。
根室市内に限定しても、10年前なら(学年生徒数90人で)5番以内に入るのも危ぶまれるのが現在の学年トップの生徒たちの実力だ。各中学校は学力テストと定期テストの学年トップ5の五科目合計点数を過去10年分、廊下に張って知らしめたらいい。
(ついでにデータを書きとめておくと、私の母校の花咲小学校は当時1学年6クラス360人(全校生と1700人)だったが、昨年の新入生は39人、今年は32人、どちらも2クラス編成になっているから、クラスのサイズは1/3以下、学年生徒数は1割に激減、競争もへったくれもあったものではない。市内の小学校と中学校はさっさと2校に統廃合すべきだ。通学は無料のマイクロバスで送迎してやればいい。費用は道に負担させよう。統廃合は教員削減による人件費負担軽減で、道庁にメリットが大きいから、送迎バスを運行させることぐらい呑むだろう。)
ニムオロ塾は個別指導だから、生徒の学習速度と進学先に合わせたスケジュールをひいて指導している。
この生徒の数学の学習スケジュールは、来年3月までに中2の問題集をやり終え、中学を卒業するまでに、数Ⅱをやり終えることにしている。今のペースだと数Bを中3で終えるのは無理があるが、土日に勉強できる体制になれば手が届く。高校1年のときに数Bと数Ⅲをやり終え、あとの2年間は難問集にチャレンジ。2年前になるが、もっと速度の大きい生徒がいた。1年生の3学期には3年生の数学をやっていた。二年になる直前に、転校して行った。こういう生徒たちを同じ学年で競わせてみたい。1学年最低100人の規模を確保しなければ、なかなか成績上位層を競わせることがむずかしい。
英語は高校1年からジャパンタイムズ記事を教材に使う。科学・医学・経済・健康などの分野の記事をピックアップして精読トレーニングをさせる。大学レベルの授業を予定している。
問題は国語で、読書があまり好きではない。私の分類法*によれば、nonA∩B∩nonCタイプの生徒である。日本語の文章を読んでもイメージがわかないが、論理的な文章は読める、しかし複雑な概念相互の関係に関するイメージ化能力はまだない。
英文の読解力の基礎は母国語であり、日本語のかなり難易度の高い本が読めない者に、同様なレベルの英文も読めるわけがない。
岩波新書や中公新書が専門書の入門書として最適だから、哲学・言語学・医学・健康・経済学・政治学・思想・歴史学などの分野から、10冊程度ピックアップして音読トレーニングに付き合ってあげようかと考えている。いまやっている音読テクストは斉藤隆著『読書力』である。書きなぐったと思われる文章で勢いはあるが、かなり校正が甘い、しかし内容はしっかりしている。それが終われば藤原雅彦『国家の品格』、そして林望『すらすら読める風姿花伝』を予定している。ここまでは他の塾生も一緒だ、速度が違うだけ。そこから先は30冊くらいのリストと本棚にあるものは現物を手にとって生徒自身に選ばせたい。
嫌々やっても効果はないから、本人にその気がなければやるつもりはない。中学生になっても自覚が生まれず、やらなければならないことに好き嫌いを言い出すようでは見込みはない、我慢する力を鍛えよう。
この生徒は他の数人の塾卒業生たちとともに、自分の仕事を通じてふるさと根室をある分野でしっかり支えてくれる。団塊世代のebisuは、ふるさとに希望の芽をいくつか残しておきたい。そのために2002年の12月にふるさとに戻って塾を開いた。世のため人のためという希望は意外とかなうもの。将来どこに住んでもいいのだよ、高校を卒業すると同時に根室から出て行った人も、住みついたところで一人ひとりが仕事を通じてその地域と日本を支えたらいい。
(HNふくろうさんが、似た生徒がいるとコメント欄に書き込んでくれている、励みになるでしょう、生徒に伝えます。感謝)
*〈余談-1〉
私の分類法を説明しておく。該当箇所を抜粋しておくので、4つの「イメージの力」の記事を参照してもらいたい。
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言葉からイメージを創れるタイプをA型、創れないタイプをnon-A型、数直線や図形を頭の中に想い浮かべて処理することができるタイプをB型、それができないタイプをnon-B型と分類したい。
もう一つ特別なタイプがある。文章を読みながら諸概念を構造物のようにイメージできる能力がそれである。言葉と言葉、異なる専門用語同士の関係を立体構造物を眺めるようにイメージできる能力をもつ者は稀だ。この能力をもつ者は、もたない者としばしば会話が成立たない。なぜか?同じイメージを共有できないからである。
A型 ⇔ non-A型
B型 ⇔ non-B型
C型 ⇔ non-C型
3組で各組2つだから、全部の組み合わせは2^3=8である。学力の点から言うと、
non-A & non-B & nonC ⇒ 最弱
A & B & C ⇒ 最強
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*#2593 イメージの力(1):ピアニスト&作曲家加古隆の原風景 Feb.14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-14
#2595 イメージの力(2): 6タイプに分類 Feb.16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-16
#2597 イメージの力(3):Aとnon-A型について Feb. 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-16-2
#2734 イメージの力(4):言葉のイメージ化トレーニング July 16, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-16
*#3041 コミュニケーション能力とは何か?(1) May 10, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-05-10
#3042 コミュニケーション能力とは何か(2) :<事例-2> May 12, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-05-11
<7/26 ポイント配分割合変更>
70% 20% 10%
<余談-2>
ポイントの配分割合を変えたので、日本ブログ村の「根室情報」セグメントの順位が3位に下がっています。その代わりに、「日本経済」で6位をキープしています。
1月に経済学の論文を書いてアップしていますが、この数日、追加記入やらカットやら校正やらと手を入れてます。
マルクス『資本論』の公理公準を書き換え、日本の伝統的な仕事観に基づいた21世紀の経済学の全容を明らかにしています、興味のある方はご覧ください。カテゴリー「資本論と21世紀の経済学」をクリックすれば出てきます。これからも折に触れて関連記事を付け足していきます。
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*#2935 『資本論』と経済学(1):「目次」 Jan. 25, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-25
#2947 『資本論』と経済学(11) : 「労働観と仕事観:過去⇒現在⇒未来」 Jan. 29, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-29-4
#2948 『資本論』と経済学(12) : 「公理書き換えによる21世紀の経済学の創造」 Jan. 29, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-30
#2950 『資本論』と経済学(13) : 「経済学体系構成原理は四つ」 Jan. 31, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31-1
#2951 『資本論』と経済学(14) : 「第1の公理を巡って:マルクスの労働観と日本人の仕事観」 Jan. 31, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31-2
#2952 『資本論』と経済学(15) : 「対極にあるもの:ヨーロッパ労働観⇔と日本の仕事観」 Feb.1, 2015
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-01-31-3
#2953 『資本論』と経済学(16):「日本人の仕事観:仕事は楽しい!」 Feb.1, 2015 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-02-01
- 62. 授業風景