部活に熱心な生徒が他の都市の商業高校へ進学し、先ほど(11日夜)メールが来た。6教科の中間テストで学年トップ(学年生徒数200人)だったとうれしい報告である。中学時代も文武両道を貫き、学年5番以内をキープし続けた生徒である。
 この高校は偏差値50で根室高校普通科(偏差値45)よりもレベルが高い。商業高校ありながら数学の教科書は根室高校普通科と同じものを使用している。商業高校は商業科目が多い分、国語・英語・数学の時間数が普通科に比べて半分程度になるから、これら3教科の教科書は難易度を下げたものになる。たとえば、根室高校商業科と事務情報科では数Aはやらない。数1の教科書も普通科のそれに比べて、難易度が著しく低い。数学や英語が得意な生徒には実に退屈な授業となる。簿記は特殊数学だから、簿記のできる生徒は数学もできる。50年間根室高校商業科は低レベルな数学の教科書を使い続けているが、そろそろ改めたらよい。普通科の数学教科書と同じものを使い、時間数も増やすべきだ。希望する生徒には7時間授業でもいい。統廃合後に総合学科を考えているようだが、商業科で使う教科書のレベルもみなおすべきだ。

 同じ部活で根室高校普通科へ進学した生徒たちがいる。中学時代に文武両道を貫いた生徒は、高校になっても大丈夫だ。4段階(低いほうから、α、β2、β1、γ)に分けられた数学のクラスでトップランクの「γ(ガンマー)」にいる。この生徒は教科書準拠問題集『3トライアル』収載の問題レベルなら、95%は解説を読んで理解できる。
 中学時代に文武両道のバランスを崩した生徒は高校になっても今回の結果を見る限り変われなかったというほかない。勉強よりも部活重視の「癖」が治らない。肝心なところで手抜きが出る。テスト前の2週間塾に来なかった。わたしには現実逃避したように見えた。因数分解と無理数の計算、2重根号の問題、絶対値の方程式や不等式が範囲だったのだが、中学時代に中間程度の成績の生徒が独力でやるのは無理。学校で先生に質問するか、塾で丁寧な解説をしてもらうかしないと消化できない。塾に来れない理由がいろいろ重なったのだろう、結果は厳しいことになった、痛い目を見たのである。なにがなんでも、「悪癖」を克服し、予習中心の健全な学習週間を急いで育んでもらいたい、そのために必要な支援は惜しまないつもりだ。
 過去の事例では、しっかりしている生徒は、部活を7時20分に終了してから、車の中でパンを食べてまっすぐに塾へ来て9時までしっかり勉強している。授業中に一度も居眠りをしたことがなかった。自分の厳しいのである、そういう生徒は希望したとおりの進路を歩む
 同じ部活の極端な三人の生徒をとりあげたが、そこそこ奮闘している生徒もいることを付け加えておく。半年前から学力がかなり伸長した生徒だ。
 他の部活だが3週間ほどしっかり努力した生徒が一人いる。それでも部活(こちらは文系)が忙しくて、問題の消化量が足りなかったから、ケアレスミスが多かった。分かっていたのに符号間違いなど、数箇所で点をとりこぼしてしまった。「わかっている」ことと「できる」ことは違う。計算問題を考えてやるようでは、文章題でケアレスミスが頻発するのを防げない。普段の学習をきっちりやり、問題消化量を増やすという課題が見えた。この生徒は次回の前期期末テストで結果を出すだろう。 

 小学校高学年の3年間と中学3年間でついた悪い癖は高校生になっても簡単に治るものではない。それはいわば「生活習慣病」に似て、容易には治らないのである。よほど本人が自覚をもって治すつもりにならないと、いままでどおりに流されてしまう。怠けたくなる自分と雄雄しく戦って欲しい。
 一般的な話をすると、根室高校普通科の場合、授業についていけるのは中学生3人に1人の割合ぐらいだろう。今年3月に根室市内の中学校を卒業した生徒総数を170人とすると56人ほどだ。普通科92人のうち36人は中学時代のやり方を踏襲したら授業についていけない。

 高校普通科の標準的な数学教科書は、7割の生徒は予習をしていかないと授業が理解できない。ところが、約40人の生徒が独力で予習ができない。学力が低くて問題集の解説をみても理解できないのである。

 きつい言い方をすると、高校3年間の努力でほぼ人生の進路が決まってしまう。たった、3年間努力するだけで、多くの人がその後の50年の人生を実り多いものに変えることができる。チャンスは平等に訪れるが、それをつかめるものは少ない。

 ともかく最初の定期テストが終わった。高校1年生はもうすぐ全国模試を始めて受験することになる。根室市内の中学校で学年3番くらいの生徒が、進研模試で偏差値50(平均値)に届かないことに驚くことになる。全国標準レベルの問題を解くことがいかにたいへんかを思い知ることになる。

 高校の勉強をなめてはいけない。よほど特殊なものでない限り、たいていの分野の専門書は高校教科書レベルの知識があれば読める。逆に言えば、高校教科書レベルのことが理解できなければ、将来仕事で必要になる専門書を読めないということ。

 根室高校普通科で学年92人中50番よりも後ろだった生徒は、謙虚に自分の生活習慣から見直したほうがいい。復習中心だった学習は、いまから予習中心に切り替えよう。都会の子どもたちは中学受験をする者が多いから、小学4年生から予習中心の学習に切り替えてしまっている。予習中心で学習した生徒の学習効果は大きい。すでに半分以上分かっていること、そしてどこがわかっていないかを知っている状態で授業に臨むから、授業内容の理解度合いが予習しない生徒に比べて何倍にもなるのである。

 全国模試(進研模試)で根室高校普通科の生徒の数学と英語の平均点は20点台であるが、釧路湖陵の生徒は60点台だという。
 1年生のときから全力で走らないと、差はさらに大きくなる。

 根室高校の生徒たちは試験が終わって、学校祭の準備に1ヶ月間大騒ぎで勉強どころでなくなる。しかし、模試が近づいている。大学へ進学しないなら、勉強なんてほうりだして学校祭準備に浮かれていたらいい。しかし、大学進学を考えているならここでも「文武両道」だ。学校祭の準備に時間をとられることを、不勉強の言い訳にはしないこと。どんなときでも言い訳はしないと覚悟を決めることだ。
 就職も学業優秀な者が条件のよい就職ができるから、高卒で就職する者も学年トップクラスをキープすべきだ

 しっかり勉強して、高校卒業後の50年間を幸せに過ごしてもらいたい


      
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