インフレは預貯金を実質的に目減りさせる。預金金利はゼロ金利状態。都会の一等地が上がり始めているようだが、地方では不動産も値下がり気味、ではどうしたらよいのか?
 森永卓郎が今朝の9分程度のNHKラジオ番組ビジネス展望で三つの選択肢を挙げていた。

①投資信託あるいは株式投資
②不動産投資
③金利の高い外貨預金

 株式は昨年8・9月頃は9000円弱だった、現在16000円台に載っているからほぼ1.8倍である。株価についてはエコノミストの間でも意見は分かれている。だいたい株価や為替相場に関して著名なエコノミストの意見のあたることはほとんどない。いまごろ株式を買い始めたら、暴落のリスクがあるから危うい。
 では不動産投資はどうか、値上がりしているのは都心の一等地では一般庶民に手が出るはずがない。
 外貨預金は金利の高いものがあるが、為替変動リスクが高いことと、元本の保証がない。外国の金融機関はよく破綻するのである。
 かくして庶民が手を出せるような資産価値保全策はない。森永卓郎氏は自己責任だから少額で練習したらと勧める。上がるだけあがって、昨年度の2倍近くになっている状況下で株式投資をやれというのだろうか?

 団塊世代はせっせと働いてそれなりの蓄えを残している者が多いが、預金が目減りするのはこまる。しかしリスクのない選択肢もなさそうで、そのまま預金しているとインフレかでゼロ金利状態だと、どんどん目減りする。

 昨日の日経オンラインニュースを紹介しよう。
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2502N_V21C13A2EE8000/
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日銀の黒田東彦総裁は25日、経団連が都内で開いた会合で講演し・・・総裁はデフレ均衡の下では「物価が上がらないことを前提に行動することが企業や家計にとって合理的になっている」と指摘。「1社だけが価格や賃金の引き上げをすれば不利益になる」との発想から「多くの企業が同時に引き上げれば経済全体にプラスに働く」という発想へ転換させるのが大規模な金融緩和の狙いだと説明した。
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  金融マンは企業経営にはど素人のようだ。金融緩和の狙いが多くの企業が一斉に賃上げすることだというのだからあきれる。日本の産業構造も非正規雇用が40%にもなっている現状をご存じないらしい。どこの国の中央銀行総裁か?

 物価は現下どなっているのか?
消費者物価1.2%上昇 11月、6カ月連続プラス
http://www.nikkei.com/article/DGXNNSE2ICP01_V21C13A2000000/
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総務省が27日朝発表した11月の全国の消費者物価指数(CPI、2010年=100)は、生鮮食品を除く総合が100.7と、前年同月比1.2%上昇した。上昇は6カ月連続。11月のCPI上昇率が1%台に乗せるのは08年11月(1.0%上昇)以来5年ぶり。上昇率の水準は08年10月(1.9%上昇)以来だった
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  物価は総務省の予測システムQICKを超えて上昇し始めているようだ。昨年4月には80円/$、12月15日には85.11円/$だったが、昨日のレートは104.95円/$で、1年8ヶ月で31%の円安である。食料品や燃料費などが円安の影響を受けて値上がりしている。
 来年4月に消費税が現行5%から8%へと増税されるが、非課税部分の影響を差し引いても2~2.5%%くらいは物価が上がると推計されているから、円安分とあわせて3.5%程度の物価上昇はすでに確定しているといってよいだろう。

 かてて加えて、政府の借金額は1000兆円を超えた。物価上昇は金利の上昇を伴わずにはいないから、遅かれ早かれ金利は上がり始める。財政状態の悪い国の国債金利は3~7%である、そうなったら国債は暴落する。
 市中銀行は期間の長い国債を売り払って短期のものに買い換えてリスクを減らしている。どこが買ったのかというと日銀である。国債価格が暴落すると日銀は膨大な損失を抱えることになる。日銀の国際的な信用がなくなると円安に歯止めがなくなる。同時に金利上昇によって国債にかかる金利負担が上昇し始めるから、政府財政も破綻する。税収を全部国債の金利に当てても追いつかない時代が迫りつつある。国全体が夕張市以下になる。

 そうなったらインフレどころではない、公務員の大量失業と給与切り下げ、そして途方もないインフレが日本経済を見舞う。そういう瀬戸際に追い込まれつつあるというのが日本経済の実態だ。
 庶民にリスクをヘッジする手段はない。穏やかなデフレが数十年間働いてためた預貯金の最良のリスクヘッジだったことに、あとで気がつくのである。
 政権政党の座につくと、選挙公約とは真逆の政策を次々とやり始める。これでは議会制民主主義はないに等しい。
 そしてマスコミは原発事故問題と一緒で、大きなリスクを解説しない。いつのまにか政府にとって不都合な真実は語らなくなっている。80代90代の戦争を経験しているお年寄り達が心配している。特定秘密保護法案(治安維持法)が国会を通り、なんだか先の戦争前の状況に似てきた。



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