前回は部門別損益計算制度が経営管理の基礎的な制度であることを解説した。市立根室病院は部門損益計算がなされていない。これでは経営管理や予算管理ができるはずがない。入院病棟別・外来診療科別の部門損益計算システムについてはさらに具体的にとりあげるが、今日は別の問題をとりあげるので、市民のみなさん、市議会議員のみなさんはよく考えてもらいたい。

 病院の赤字額が毎年増え続けて久しい、前市長時代は概ね8億円前後だったが、それが11億円台になり、昨年度は17億円弱、今年は20億円を軽く超えることになりそうである。これらの影響で、計画上は減るはずの市債残高が24億円も増えている。これもツケを後の市長や市職員や市民へ回す行為だ。にっちもさっちも行かなくなって、自らが決めた市債発行枠8億円の縛りすら外してしまった。

 どうしてこういうことになるのか、主な原因の一つに札幌医大への過度な依存政策があるように思える。「適度な依存政策」だって選択肢にはあるだろう。経営がこれだけ急激に悪化するのは通常は放漫経営が疑われる。いくら赤字を出しても市の一般会計から全額が補填されるなら経営改善が進むはずがない。
 数年前に旭川医大が撤退し、北大にはいろいろと不義理や失礼なことがあったために、市長も事務長も出入り禁止状態があったときく。前院長退職の経緯に関わる問題、小児科でも産科がらみで問題が起きた。だから、札医大しかないというのは根室市の行政側の不手際の集積のためであり、自ら打てる手を狭くしてしまったという、まことに愚かな話しだ。

 いま病院内部では常勤医の数名が自分のコネクションを通じて医者を何名か紹介しているようだが、札幌医大へ傾斜したい院長と参事が拒否しているという。こういうことは市長の了解ナシにはできないことだ。
 常勤医の皆さんの協力があり、採用条件を明示すれば、医者は集められる。

 なぜこういうことになるのか?イージーな道を歩きたいからである。医者集めはたいへんだから、特定の医大に依存したがるのはわからぬでもない。しかし、根室の地域医療の歴史を振り返っていただきたい。東京医大の撤退、旭川医大の撤退、その都度たいへんな痛手を受け、危機に見舞われてきた。そろそろこういう地域医療のあり方は改めるべきではないのか。イージーな道を選択すれば当然ツケ(事業赤字の拡大)も回ってくる。
 道内の各大学と礼を尽くしてきちんとしたお付き合いをお願いするしかない。北大、旭川医大、札幌医科大はみな北海道の地域医療に責任をもっているから、可能な範囲で協力をお願いすればいい。そのうえで、市独自の医師募集をやればいい。担当診療科、夜勤日数、諸手当、帰省費用の病院負担、学会へ出席時の扱いと手当てなど、細かく条件を提示すれば、僻地根室であっても集められるとは専門斡旋業者の弁である。

 常勤医を雇わずに札医大からの1日交替応援を頼むと、常勤医一人分の仕事に人件費はおおよそ年間換算で7000~8000万円かかるような仕組みになっている。つまり、常勤医を派遣するよりも、こちらの仕組みに乗るほうがずっと収入を増やせるのである。この金額には往復の交通費(飛行機代とタクシー代)も含まれている。市議の皆さんはご存知か?
 常勤医を増やせれば事業採算は改善できるが、札医大に嫌われたくない気持ちは理解できないわけではないが、こういうことはほどほどにやるべきだろう。内部の不和を招くような強引さは慎むべきだ。

 病院内部の医者が常勤医で市立根室病院へ赴任希望の医者を紹介しても、替えてしまったら、札医大の収入が減る。札医大からの支援がほしい院長と参事は紹介された非札医大系の常勤医をいれたくない、だから拒否していると見られている。

 こんなことをやっているから、病院内部は医師間の冷戦状態が続いている。診療にも影響しかねない。
  医療事故の扱いについては大丈夫か。事故扱いしなければ事故調査委員会にすらかからない仕組みにはなっていないか?ebisuが何を言っているのか当事者にはわかるだろう。噂の範囲といっておく。

 わたしは一大学に市立根室病院の運営を任せるようなことはすべきではないと考える。過去の事例を見てもその弊害は明らかだ。大学側の都合で突然の撤退がいつでもありうる。
 選択肢は二つある、根室の地域医療の未来がかかっているから、どちらをとるのかきちんと議論すべきだ。

 根室市はどういう地域医療政策をとるのかまず市議会で議論してもらいたい。できたら日曜日に市民討論会を総合文化会館で開いてもらいたい。
 根室の地域医療に関心のある市民は自分が投票した市議へ働きかけよう。
 「ebisuの提案のように、地域医療に関する市民討論会を開いてほしい」と。

 だまっていたら、根室市の財政破綻や夕張のように市立病院の診療所化を引き起こしかねない。
 地域医療の未来はわたしたち住民が決めようじゃないか。
 常勤医の皆さんと市民が地域医療政策について率直に話し合えば、病院経営は改善できるし、赤字も大幅に減らせるだろう。いい地域医療がほしければ、住民が積極的に参加するしかない。傍観していたら根室の地域医療は早晩つぶれる。

 さあ、根室に住んでいるあなたはどちらを選ぶのですか?自分やじっちゃんばっちゃん、年々年老いる親、そして子どもや孫のために、いまやるべきこと、できることがある。


*#2442 市立根室病院の経営改革をどうやるか(1) Oct. 9, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09

*#2473 市立根室病院を外部の医師はどうみているか? Nov. 1, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-01-1

  #2513 市立根室病院の経営状況について:財政再建特別委は機能しているか?  Nov. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-28



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