先週採血した検査結果を聞きに主治医のところへ診察を受けに午前中に行ってきた。
 一月ほど前から、身体が少しふわふわし、「息苦しい感じ=酸素不足の自覚症状」があった。ああ、ついにはじまったかなという感じがしていた。
 赤血球数が380万と基準値を割っていた。MCVが上がっている。
 スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で、胃の全摘、胆嚢切除、リンパ節と大腸への浸潤部の切除という、6時間の手術で命を救ってくれたのは若き消化器外科医のG先生。
 地元の消化器内科の専門医のO先生が術後のebisuをこの7年間診ていてくれているので心強い。体内に蓄積されていたビタミンB12が消費されて枯渇すると、悪性貧血になるのでビタミンB12を静脈注射で補給しなければならなくなるとずっと前から言われていたが、そのときが来た。
(ネットで見たら「胃の亜全摘で内因子が欠乏した場合」ビタミンB12と葉酸の吸収が悪くなると書いてあった。「亜全摘」は「全摘」とどう違うのだろう?一部切除ということのようだ。亜寒帯と寒帯の用例と同じと考えていいようだ。)

 「悪性貧血がはじまったようですからいよいよはじめます」
 「よろしくおねがいします」

 淡いピンク色の注射器一本分のビタミン剤を入れてもらった。これで息苦しい感じはなくなるのだろう、ありがたい。
 一月後にどれくらい赤血球級数が上がっているか血液検査で確認して、静注のタイミングを決めることになる。3~4ヶ月に1度になる見込み。

 自分の病気のことをブログで書いているのは、同じ病気の人の参考になればと思うからである。スキルス胃癌でも助かることはあるし、術後に生じるトラブルも、どういう種類のトラブルがどういうタイミングで来るのか参考になるものなら、参考にしてもらいたい。4人部屋の病室であるいは他の病室へお邪魔して、2週間前に手術した人、3週間前に手術した人など、何人かに経験を話してもらってずいぶん助けていただいた。術後の治療を安心して受けられたのである。だから、わたしも他の人へ分けてあげたい。

 大好きなさんまの旬の時期が始まった。海が時化て船が入らないときは別として、新鮮なさんまが小売店に並ぶとその都度買って食べている。さんまの回遊経路の海域全体がひどく放射能汚染されている。
  社団法人全国さんま漁業協会の調査では7~20Bq/kgもの高濃度の汚染が見つかっている。ヨードとセシウムの合計値で、内臓と筋肉に分けて計測した値を合計して「全体」としてデータを公表している。#2411に詳しいことを書いているのでお読みいただきたい。
 残念ながらどの海域で獲れても、どの港へ陸揚げされても、似たようなものである。
 7~20Bq/kgもの高濃度汚染魚が混ざっているから、妊婦や若い人たちは食べる量を減らしたほうがいい。さんまは昆布や干し椎茸を入れて醤油煮して骨まで柔らかくすると美味しいがこれから何年間もこの料理はやめたほうがいい。さんまの骨に沈着しているストロンチウムを体内に取り込むことになる。さんまに含まれる放射性物質の総量はヨードとセシウムの値を1.5倍しなければいけない。そうすると10~30Bq/kgにもなるから、これはもう食品とは呼べない。国の暫定基準の100Bq/kgは低レベル放射性廃棄物の管理基準値であって、本来は食品基準ではない。だから、その10分の1以上は食品として食べるに適さないと判断したい。子どもは放射能への感受性が大人よりもずっと高いから、大人よりも深刻な影響を受けると考えるべきだ。身体が成長すると細胞分裂が起きるが二重螺旋が解けるときに遺伝子が切断されて変異を受けやすいのだという。
 還暦を過ぎたし、癌にもかかったebisuはそれほど放射能汚染を気にしなくてもいいだろう。今年は大好きな福島の大きな桃もいくつか食べた。だが、ふるさとのさんまがこんなに放射能汚染されてしまっているのはじつに残念でならない、自分は食べても、若い人たちには勧められない。今年のさんまは噛み締めるとなんだかほの苦い複雑な味がする。

 人はいつかは死ぬ、できれば死ぬそのときまで元気でいたいし、死ぬときが来たら苦しまずに静かに逝きたい、それはみんなの願いだろう。ebisuは当分そういう心配がないと主治医が太鼓判を押してくれたから、ニムオロ塾でまだしばらくふるさとの子ども達を育てるつもりだ。人生を三つに区切り、50歳になったら社会貢献の時期と考えていた。ふるさとに戻ってきて11年目、手術をしてから7年が経った、まだもうすこしやれそうだ、30年後の根室を支える人材を何人か育てられたら本望である。「経済学ノート」というカテゴリーに書き溜めている、職人仕事を中心にすえた小欲知足の新しい経済学のデザインくらいはできそうだ。日本からはじまる経済学が西洋古典派経済学を土台からひっくり返す。スミスもマルクスもケインズも、そしてその後継者達もだ。生きていればこそだ、ありがたい。

 「7年前目の再発というケースがあるから、まだわからないよ」そういって主治医は油断を戒めてくれたが、天の恵みかその7年も先月クリア。

「このデータなら、当分大丈夫ですよ」

 O先生に診てもらって今夜は安心してぐっすり眠れそうだ。
 ほんとうにありがとうございます。

(若き消化器外科の名医G先生は首都圏で5年間内視鏡技術を磨いて、もうすぐ帯広で開業する。北海道にとっては朗報だ。)



にほんブログ村