市立根室病院の経営改革について、シリーズで意見を述べてみたい。初回は医療事故と業務監査である。わたしは以前市立根室病院の医療事故について市役所に資料請求をしたことがあるが、内容は一切明らかにならなかった。明らかになったのは件数だけ。これでは情報公開の意味がない。

 少し大きな会社になると、その会社が製造部門をもっているとかならず品質管理部門が存在する。それは工場部門とは独立の組織となっている。工場長の下に品質管理部門を置くと、仕事の権限上品管部門の独立性が損なわれ、機能が弱体化するからである。

 事故は如何なる組織でもある。福島第一原発事故を振り返るまでもなく、どこでも起きる問題だ。市立根室病院でも心臓カテーテルで事故があったが、今年の3月に病院側が全面敗訴し根室市は9000万円の賠償金を支払った。
 新聞の取材報道によれば組織上の問題つまりマネジメント上の問題があったというが、そのごマネジメント上の問題が解決されているのか明らかでない。

 では医療事故については実際にどのようなチェックがなされているのだろう?病院に医療事故に関する規程があって、それの基づいて処理がなされている。
 なにかが起きたとして、それが医療事故かどうかは誰がどのようにして判断するのだろう?グレーゾーンはどう処理されているのだろう。私たちが安心して市立根室病院で診療を受けるためにはそうした手続き的な事柄はオープンになっていなければならない。

 独立した品質管理部門をもたない病院内部の判断だけで、医療事故かどうかを判断するのは危うい。意図的に「医療事故ではない」という判断を組織上の権限をもつ者が下した場合には実際には医療事故に該当していても医療事故として扱われないケースが出てくる。グレーケースを病院長とは独立の組織あるいは専門知識のある第三者がチェックする体制がのぞましい。こういう機能を内部牽制という。

 内部規程どおりに実務が行われているかをチェックするためには業務監査が必要である。根室市と取引関係がなく、業務監査知識のある人がその任に当たるのが理想だろう。
 一握りの者の恣意的な判断や恣意的な病院運営を避けるために、市立根室病院に業務監査を導入すべきだ。そして業務監査報告書は根室市民にオープンにされなければならない。

 業務監査に関する専門知識をもつ市民はほとんどいないだろうから、市長が市立根室病院の経営を改革しようという意欲が少しでもあるなら、ボランティアでわたしが2年間だけやってあげてもいい。しかしその気はないだろうから、市議会で市議たちが決議してくれたら、市長がいやと言ってもやれる。

 昨年度の赤字は約17億円、今年度の赤字の額が20億円を超えようとしているから市立根室病院の経営改革を急がなければならぬ。このままだと市財政が破綻しかねない。
 市長は自ら設定した8億円の限度枠を超えて、今年度24億円もの市債を新規発行して赤字のツケを先延ばししている。昨年度も限度枠を超えて借金が増えている。
 次の世代へのツケ回し、こういうおろかなことはやめるべきだ。ツケ回しを避けるためには職員人件費をカットしてやらなければならない。おおよそ80%カットになるだろう、それほど市財政は悪化している。現実から目をつぶってはならない。

 内部の自浄作用は期待できないことがこのシリーズで明らかになる。外部の者が市立根室病院の運営をチェックする体制を整備して、病院経営を健全なものにする「外圧」をかける必要がある。内部に改革の芽がないわけではないが、繰り返し押しつぶされている。そういう状況をみて、赴任した医師があきれて病院を離れるケースも起きているようだ。業務監査はそうした恣意的な病院経営に対する有効な牽制となるだろう。腕のよい医師に長くいてもらうためには健全な病院経営がなければならない。
 市議選が近いが、市議たちはこの問題に対する意見を表明してもらいたい。「業務監査の実施」は根室の地域医療改革の突破口となるだろう。

 住みよい町にしたいな、そのためにはそれぞれができることをやればいい。住んでる人のたった10%がそうしたら現実は大きく変えられる。案外簡単なんだ、それが何十年たってもできなかったのが根室、そろそろ変えよう。
 

*#2327 わけのわからぬ「根室市の家計簿」(2) :いい町はこうやってつくる  June 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-09-1

 #2296 地域医療対話(4): 経営の問題点がよくわかる一覧表  May. 13, 2013  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-12-3

 #2318 わけのわからぬ「根室市の家計簿」(1):広報ねむろより Jun. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-02






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