地域医療を守るための活動としてつとに有名なのは丹波柏原病院小児科を守る会の活動である。小児科を守るためにお母さん達が、夜間救急診療を減らす活動をはじめた。もちろん医療のことはわからないことだらけだから、小児科医との対話も活動の中で育まれていった。
 根室にも「医信伝心ネットワーク」という組織が数年前に立ち上がったが、こちらは丹波柏原病院の小児科を守る会とは趣旨が違って、医師と市民有志によるイベントや飲み会などが主体、根室市から飲み会にも使える補助金も出ているが毎年毎年市議会が承認しているのだから、何をかいわんや。
 コミュニケーションにはいろんなチャンネルがあっていい、そういうわけでこのブログもそうしたユニークなチャンネルのひとつである。

 医師の仕事の実際が私たちにはよくわからない。相互理解が必要だとすると、私たち患者側も医師の仕事がどうであるのかを知る努力をすべきで、そういう努力をちょっとだけしてみようと思う根室市民に読んでもらいたい。

 夜間救急診療の実態や問題点を「愚痴話」として投稿いただいたので、まとめて本欄で紹介したい。釧路医師会病院のわたくしの主治医(消化器外科医)も言っていたが、自分の専門外の重篤な救急患者が運ばれて小ないことを祈りつつ宿直勤務をしている。それでも専門外の患者は運ばれてくるから、状態によっては専門医に連絡がつくまでなんらかの応急措置は必要になる。専門外で何もできない場合もあり、時間が経過し状態が悪化するのを見ているしかないケースも・・・。
 あなたが医者になったつもりで、救急当番勤務の夜の仕事を想像してみよう。けっして他人事と考えてはいけない。
 大きな問題は救急医療そのものにある。分野の異なる専門医が数人そろった救急指定病院はほとんどないというのが現状であり、そうした中で医師が救急車で運ばれてくる患者を処置している。
 その一方で医療訴訟は増えている。規制緩和で司法試験の難易度を下げ、以前の3倍の合格者を出すから、資格を取得しても仕事のない弁護士が増えている。弁護士の数に見合った仕事量を確保しようとすれば訴訟が増えるのはあたりまえだ。日本は米国並みの訴訟社会へ移行する過渡期にあるのだろう。私たちはそういう社会をほんとうに望んでいるのだろうか?
 日本の救急医療が揺れている。

「#2241 新出生前診断(北海道新聞):できない言い訳はしない」への投稿から
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-10
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愚痴話 その1。先ずはネタの提供

どこに書くべきなのか迷いましたが、取り敢えず医療関連のスレッドですのでここにしました。

医師法に依れば、医師には「応召義務」が有ります。以下はウイキペディアに書かれているその内容です。

応招義務とは、医師法第19条で「診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」と規定する、医師や医療機関に課せられた患者の診療義務のこと。罰則規定はない。

ただし、厚生労働省(当時の厚生省)は以下のように述べている。
1. 医師法第十九条にいう「正当な事由」のある場合とは、医師の不在又は病気等により事実上診療が不可能な場合に限られるのであって、患者の再三の求めにもかかわらず、単に軽度の疲労の程度をもってこれを拒絶することは、第十九条の義務違反を構成する。
2. 医師が第十九条の義務違反を行った場合には罰則の適用はないが、医師法第七条にいう「医師としての品位を損するような行為のあったとき」にあたるから、義務違反を反覆するが如き場合において同条の規定により医師免許の取消又は停止を命ずる場合もありうる[1]。

また、休診日であっても、急患に対する応招義務を解除されるものではない[2]。

休日夜間診療所、休日夜間当番医制などの方法により地域における急患診療が確保され、かつ、地域住民に十分周知徹底されているような休日夜間診療体制が敷かれている場合において、医師が来院した患者に対し休日夜間診療所、休日夜間当番院などで診療を受けるよう指示することは、医師法第十九条第一項の規定に反しないものと解される。ただし、症状が重篤である等直ちに必要な応急の措置を施さねば患者の生命、身体に重大な影響が及ぶおそれがある場合においては、医師は診療に応ずる義務がある[3]。

この「応召義務」と言う問題、実は医師にとっては非常に頭の痛い、言わば孫悟空の頭のタガみたいなものです。翌日に大事な手術や外来業務が控えているのに、「当直」と称して夜通し夜間診療。昨今マスコミを賑わしている「救急搬送での受け入れ不能」問題。「診療費不払い常習者」の問題。「病院内で暴力に及ぶ」クレーマー。病院外(実際には飛行機内や列車内)でのドクターコールetc.これらの多くの問題の根には「応召義務」の考えが横たわっています。

最初にお断りしておきますが、「応召義務」は医師法に書かれてはいますが、現在では罰則が科せられたものではありません。「まあ出来れば従って欲しい」と言う医師としての倫理規定とされています。つまり、「you must」ではなく、「you’d better」と言ったところ。

続きは次回に。

by 月光仮面 (2013-03-12 17:06) 

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愚痴話 その2 ”医師”とは?

皆さんは医師と言う職業についてどんな理解をなさっているでしょうか。よくドラマなんかで”凄腕”の外科医なんかが出先で緊急を要する患者に遭遇。とっさにカバンから手術器具を取り出してメス捌きも鮮やかに・・・まさにblack jackですが、まあ現実にはそんな事は無いと思います。日常手術道具を持ち運ぶ外科医など聞いたことが有りません。また職場から離れている医師は医師ではありません。
これ、何やら禅問答のようですね(笑)。つまり、確かに”医師”と言う生涯身分ではありますが、実際に医師として機能する(働く)には必ずどこかの医療関係施設(或いは役所、保険会社など)に属していなければなりません。名刺に「医師 Ebisu」では意味が無い。「〇〇病院 医師 Ebisu]でなければ成りません。これは分かり易く言うなら、Ebisu医師が旅先で高熱に見舞われ抗生物質が必要だと判断。最寄りの薬局を探し「俺は医師だ。××を出してくれ」と言っても薬局は相手にしません。何故なら認められた医療機関から発行された処方箋が無いからです。ただ”医師”と言うだけでは糸の切れた凧のようなもので、凧は糸で繋がっていなければなりません。確かに”医師”には他者には無い注射や投薬(麻薬も含む)、直接患者に触れる(手術も含む)、X線などの検査を指示する(直接シャッターを切ることも有る)、死亡診断するなどの特権が認められています。しかしそれはあくまでもその医師が認められた組織の一員としての話であって、風来坊の医師はに何も出来ません。(blackjackなどのように闇の世界で生きるなら話は別ですが)。つまり”医師”と言う身分はそれなりの環境を与えられて初めて”お医者さん(このニュアンス、妥当かな)”に成れるわけです。

何故ここまでしつこく”医師”と言う言葉に拘ったのか。勘の鋭い方はもうお気付きかも知れませんね。そうです。医師法の「応召義務」の所には「どんな環境ならば医師は・・・」と言う具体的な記載が無いのです。
「その医師が属する正規の医療機関などで、その医師が勤務する正規の時間に訪れる患者が医師と認識して診療を希望するなら」と言う一番重要な前提がわざと書かれていません。書かない理由はもう皆さんお分かりだと思います。「医師なんだから当たり前だ」? いや、小生はそうは思いません。”医師”が医師として機能する環境を明記することは、基本的に医師不足の我が国が労働基準法すら考慮して貰えない医師たちの”犠牲”の上に辛うじて成り立って事実に根底から問題提起をすることになり、責任官庁である厚労省の無能振りを曝け出すことに成るからです。

続く


by NO NAME (2013-03-13 09:47) 
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愚痴話 その3 ”医師”には自由が無い?

先ずはお詫びです。「愚痴話 その2」のハンドルを書き忘れておりました(汗)。それと付け足し。

通常持ち歩くような医師の公的な身分証明書は有りません。強いて言えば医籍登録の際の「医師免許証」が唯一の証明書でしょう。しかしそこには写真などは載っていません。また最近ではそれぞれの科に専門医制度が普及し「〇〇専門医」「××認定医」などの肩書が急増していますが、これはあくまでその科の学会が独自に決めた制度ですので当然それを明記した国の証明書も有りません。日本では名刺が或る程度信用されている様ですが、あんな物は誰でも作れるので証明書では有りません。勿論所属組織が「〇〇病院の職員である」と言う身分証明書を発行する事は有り得ますが。実際には小生も職場の身分証明書を持ったことは有りません。ここの所を押さえておけば、いわゆるニセ医者に騙されなくて済みます。

さて、医師法の「応召義務」が生じる環境が曖昧であることがお上にとっては全く好都合だと書きました。国の制度の不備を現場の医師個人の責任にすり替える目論みが見え見えです。この曖昧さが漠然とした医師像(有るべきと言う期待)を民衆に植え付け、それを更にマスゴミが一定の方向へと世論操作でバックアップ。そして極めつけは、最近急増中の医療訴訟。アメリカ並みのロースクールで粗製乱造された弁護士どもが食い扶持を漁って病院に刺さり患者を扇動。それを裁判所の判事が判決でお墨付きを与える始末。この日本はつくづく嫌な国に成り果てました。

ではいよいよ「応召義務」への切り込みです。もし「応召義務」が医師の金科玉条ならば、「医師は自分を殺しに来る人間をも助けなければならない」と言う馬鹿げたシチュエーションも有り得ます。実際過去に根室の病院で起きた話だそうですが、病院の医師を自動車事故で殺した人間が自分も怪我を負い根室病院の整形外科に「治してくれ」と転がり込んだそうです。多分その時の整形外科の医師たちは断腸の思いだったでしょう。

これは一見蛇足に見えますが、日本の法制度や医療を理解する一助になると思います。小生は以前札幌の精神科の大病院でアルバイトをしたことが有ります。御存知のように精神科には以前から多くの男性看護師が居ますが、彼らが暴れる患者を制止する際には柔道や空手、或いは剣道などの武道や格闘技の技を使うことは許されていない。例え患者が刃物などを持って向かって来ても、だそうです。理由は至って簡単。法律上過剰防衛に当たるのだとか。蹴りを入れても投げ飛ばしても駄目。箒(ほうき)などで刃物を持っている手を叩いても駄目。ではどうするの? ひたすら患者の体にしがみ付き動きを止める・・・だけなんだそうです。では不幸にも患者の刃物で刺されて命を落としたら・・・「もって瞑すべし」ですね。

「応召義務」は、かって少ない医師が患者を選り好む傾向が有ったのでそれを防ぐために考えられた指針とも聞いています。昔は今ほど問題のある患者は多くは無かったでしょう。ですから善良な患者(弱者)を見捨てる医師(強者)にはお灸を据えますよ・・・と言うお上からの指導だったわけですね。ですから現在のように「弱者でお客様である患者様は偉いんだ」とばかりに病院の業務を停滞させるようなクレーマー患者が居ない”良き時代”の遺物とも言えるのですが・・・とにかく今も厳然としてお上に取って都合の良いには違いありません。

そこで最近の救急患者搬送の各病院の受け入れ困難(小生も一応は医師ですので、”たらい回し”とか”受け入れ拒否”とかの言葉は使いません)の問題です。先日も20以上の施設で30回以上の救急隊の要請を断ったようです。その原因として、「満床だから」「他の患者の手術中で医師の手が足りないから」「専門医が居ないから」etcと報道されています。では受け入れを断った病院は「応召義務」に違反していないのか。
そこで医師側は”正当な理由”と言う水戸黄門の印籠を翳します。上に揚げた三つ程の理由を押し通せば一応は受け入れを何とか躱せます。先ず、実際にはその病院のベッド数を越えて患者を収容するのは無理でしょう。その患者の管理をどこのセクションが担当するのか。病棟が満員なので外来患者として受け入れるのか。満床を承知で無理に入院させるのだから廊下にベッドでも設置するのか。それとも救急患者なのだから優先して入院させるためベッドの確保で状態の良い誰かを無理やり退院させるのか・・・。
二つ目は、これも他の患者の手術を中断して救急患者を優先するわけには行きません。
第三の理由は一見逃げ口上のようにも見えるでしょう。何故ならば「専門分野が違っても医師は皆全科目を学んでいるのだから何でも診れる筈だ!」? しかし現実を見ましょう。貴方が急性腹症で救急搬送された病院で内科医や外科医が出払っていて眼科医だけが手が空いているからと言って、「眼科医も医者だから仕方ない。見て貰う」と成りますか。やはり「それなりの医者を出せ!」と言う事に成るでしょう。実際ににはあまりにも特殊分野である眼科医が救急当番医として駆り出される病院はあまり有りません。あまり救急当番医として役に立たないからです。しかし全く無いわけではありません。実際市立根室病院でも過去に夜間救急で眼科医を当番に出していたと聞いています。それも旭川医大の撤退の煽りで医師数が激減し残留している医師数で救急当番回数を割り出しので、その眼科医も月に3回ほど当たり、ノイローゼ気味(無理も有りません!)で大学の教授(旭川医大の吉田学長)に泣き付いたそうです。その結果本来最低1年は居る筈の眼科医は半年で勤務先が変わったとか。これは実例ですが、内地の病院で喧嘩で頭を殴られた患者が夜間に来院。当番医はたまたま眼科医でしたが大した症状も無いのでそのまま帰宅させたところ、その患者が後で脳出血で倒れ大騒ぎに。その件は当然裁判沙汰に成り、「頭を殴られたのに夜間と言えどもCTも取らなかったのは医師の過失である」との判決。その患者を殴った相手こそ責められるべきなのに、まるで当直の眼科医がその患者を殺したような成り行き。裁判所は「凡そ救急病院の看板を掲げている以上、それなりの環境(設備、専門の医師など)を整えている筈である」と敢えて現実を無視して建前論で判決を出します。そして更に悪い事に、「自動車事故は貴方にも車に乗っている以上多少の責任は有る」と同様、「死亡した患者に関わったのだから、お前にも何らかの責任が有る」と言う態度を採ります。つまり・・・”関わらないのが吉”(木枯らし紋次郎風)な訳ですね。
以上の事柄を考えた時に、救急車で運ばれて受け入れを打診される病院が敢えて断る気持ちが医師としては理解出来ます。勿論患者さん側は釈然としない、納得出来ないでしょうが・・・。
本来救急指定は、それなりの医師を充足させた(日中勤務の医師を使わずに夜間専用に各科の医師を揃えた)病院のみに限るべきですが、残念ながら日本にはそんな病院は有りません。日勤の医師ですら不足しています。しかしどこでも国や地方自治体からの救急医療肩代わり費と「救急病院」の看板だけは欲しがります。(うちは立派な病院なのだ!)。実際根室市の医師会にも自治体からそれなりの援助金が出ています。救急の肩代わりを打診された段階で引き受けてしまう病院側にも問題が有ります。もとも全ての病院が「出来ないものは出来ない」「無い袖は振れぬ」と正直にやった日には日本の医療は土台から崩れます。しかしその不十分な状態を何とかしようとする努力(敢えて救急医療を引き受けるような)や善意の行為が、結果が裏目に出た時にはお上からバケツの水を浴びせられる・・・正に”触らぬ神に祟りなし””出る杭は打たれる”です。

続く

by 月光仮面 (2013-03-13 13:24) 
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愚痴話 その4 ドクターコール

 前回(その3)で医師の自由について言及するつもりが、ついつい脱線してしまいました。今日も先程自分の現場でスタッフと交わした雑談の中で、「〇〇病院の××室は毎日仕事をやっていない。月・水・金だけですね」と言う話が出ました。「火・木・土まで手を広げると、一人しかいないスタッフが週休2日でなくなり病院として問題と成るから」との事でした。斯様に医療現場でも労働基準法には注意を払っています。しかし何故か医師の話と成ると、誰もがその話を持ち出しません。まるで「言っても仕方がない。これが現実なんだから」と避けているようにすら見えます。或いは、「あんなに高い給料を貰っているんだから、毎日9時まで程度の残業や休日出勤は当たり前」だと敵意を持っているのか・・・。考えてみると、40年近くの医師としての生活の中で、小生は病院の外の喫茶店などでコーヒー片手にランチを食べるような当たり前の昼休みを過ごしたことが殆どありません。「入院患者が居るんだから病院内で待機しているのが当たり前だろう」? 「えっ、なら昼休みも拘束されるの?」「そうだ、当たり前だ。だって医者なんだから何時でも患者に対応できる体勢を整えておくのが当然だろうが」「じゃあ酒なんか飲めないな」「ま、そういう事だな」「大好きなニラ餃子も食べられない」「当たり前だ。医療はサービス業だからな」「じゃあ医師には人並みの自由も生活も許されないんだ。労働基準法を無視して働いている上に、憲法で保障されている最低現の生活さえも駄目なんだ」「仕方がないだろう、医師と言う職業を選んだんだから」

斯様に医師には本当の自由が有りません。もっともこれは一般の世間の現場の臨床医に関してですが。同じ医師でも大学の教室の研究者や保険会社の嘱託医にはそのような人権を無視した生活への強要は有りません。勿論臨床医より多少は収入が落ちるかも知れませんが、逆に金銭には代えられない人間らしい生活が得られます。結局この世の中はどちらを選ぶのか・・・「高収入だが非人間的な生活」を選ぶのか。或いは「収入は食って行けるだけでも自由な暮らし」を優先させるか。まあ、どだい経済性と自由度の両者を上手く融合させるのは凡人には難しい技には違いありません。

さてここで例題です。皆さんで答えを考えてください。

そんなヤクザな稼業の医師である貴方が、やっとの思いで貯めた年休を使って旅行に出掛けます。国際線ならば直ぐにビールやシャンパンなどのアルコールサービスが有るでしょう。「うほーっ、シャンパンだ!」。しかしシャンパンですっかり寛いだ貴方の耳に死んでも聞きたくないCAのアナウンスが飛び込んで来ました。
「御搭乗のお客様にお願い致します。ただ今機内で体調の優れぬお客様がいらっしゃいます。何方かお医者様はいらっしゃいませんでしょうか」
おお,何と悪魔の囁き!すっかり旅行モードだった貴方の脳に現実と言う稲妻が煌めきます。
「あれっ、スチュワーデスが医者を探しているぞ。一体どうしたんだ。誰が具合悪いんだ。考えてみれば俺も医者だ。やっぱりここで手を挙げるべきだな。いや、待て。その乗客がどんな具合か分からないぞ。俺も救急のABC(救急蘇生)くらいは出来るが、AED位しか積んでない機内では何も出来ないぞ。ましてここは太平洋の真ん中だ。もしER(緊急治療室)やICU(集中治療室)に収容が必要で最寄りの飛行場に進路を変更するようにでも成れば俺の今回の旅行のスケデュールは滅茶苦茶だ。第一その空港まで俺にずっと心マ(心臓マッサージ)してろってか。冗談じゃない。もし老人が誤嚥して窒息気味ならお前はどうするんだ。気管挿管の道具なんて積んでないぞ。じゃあ気管切開か。あれはさすがにやった事無い。でも注射針でも有れば輪状軟骨部位に刺せば取り敢えず軌道は確保出来るか・・・そう言えばさっき出たランチに小さいフォークが付いてたな。あれで刺してみるのも手か・・・。
でも何だな。迂闊に手を出して悪い結果に終わったら訴えられるかもな。外国ではこんな時の医療行為は{善きサマリア人法}と言って緊急避難的に認められているから良いが、日本の法律では医師の免責は認められていないからな。やはり手は出さない方が良いな。第一医師と患者の間の契約もこの場合には成り立たない。こちらが医師だとは誰も分かっていないし、第一ここは病院では無い。応召義務に言うそれなりの場所(病院など)とそれなりの服装(白衣など)じゃあないし、CAのアナウンスも俺を指名している訳じゃなく乗客全員に言っているんだから、俺が患者の診療を求められているわけでは無いよな。なら俺には申し出には応じない権利が有る」

機内などでのドクターコールに対して法律的な義務(意味)を貴方の心理状態と言う舞台上で展開してみました。大体この中に尽くされていると思います。

因みに医師だけが参加出来る(建前上)専用の掲示板のM3がソネットに有りますが、そこのアンケートにもこの問題が問題提起されています。
「もしあなたがドクターコールに出会ったら、あなたならどうする? 応える(yes)? シカトする(no)?」
医師の回答の多くはやはりnoです。Noと答えた多くの医師の言い分は、「そもそもその他大勢で個人が特定されていない機内のドクターコールには応召義務はない」「もし関わって拙い結果に終わった(死んだ)なら、後日家族から訴えられる可能性が有る。そんな事で一生抱える傷を負いたくない」
「医師に結果で訴追されない免責があるなら考えないでもないが、現状では手を出さない方が賢明だ」etc。傑作なのは家族と一緒の時の医師の反応です。「自分は嫌だったのだが、息子が得意げに”うちのお父さん、お医者さんです!”と手を挙げてしまった」「自分一人ならシカトしたものを、隣の女房の手前格好を付けて渋々手を挙げた」「自分は捲き込まれるのが嫌なので、搭乗したら直ぐにアルコールを注文して酔っぱらってしまう。或いは酔っぱらった振りをする」「手を挙げようとしない自分に不思議がっている息子に、全て本当の事を教える。”こんな時に後先の事を考えずに自慢げに手を挙げて恥をかくよりは、さっさと酔っぱらって嵐が過ぎるのを待つ事が利口だ。だからお父さんは酔っぱらっているんだよ”と社会勉強させる」(笑)
by 月光仮面 (2013-03-13 17:26)

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「#2242 市議会の質疑:市立根室病院経営赤字問題」投稿欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-13
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愚痴話 その5 当直

”応召義務”にも関連する問題に”当直”が有ります。これが何故問題なのか、一般の方には分かりにくいかも知れませんので、ウイキベディアに載っている「当直医」を参考にしてください。言いたい事は大体この中に集約されていると思います。

当直医(とうちょくい)とは、病院や診療所において、通常の診療時間外(主として夜間や休祝日等)に勤務する医師のことである。業務内容としては、入院患者と外来患者のいずれか、もしくは両方の診療に責任を負う。

当直医のうち、夜間勤務する者を「宿直医」、休祝日等の日中に勤務する者を「日直医」と呼び分けたり、またこれらのひと括りから「宿日直医」「日当直医」などという呼称が使われることもある。日本の労働基準法では当直医の業務を「宿日直業務」としているが、多くの実態はその定義に合致せず、事実上の同法違反状態が放置されることとなっている。

背景

日本の医療法制では、入院設備を持つ病院では医師が必ず宿直しなければならないという規定がある(医療法第16条)。各病院においては、この法律の規定などに基づき、医師が交代で宿直医・日直医として勤務し、入院患者の急変への対応や外来・救急患者の診察などの業務を行っている。

勤務の実態

夜間・休日の医師の勤務形態としては、交代制勤務や、昼間に勤務した医師が夜まで残って当直業務を行う勤務形態が考えられる。医療関係者によると、入院施設を持つ病院の中で医師の交代制を敷く病院の数は少なく、多くの病院では日勤勤務医師が当直を行い、次の日勤勤務までを継続して行うという勤務形態が常態化している。 日勤で勤務し、そのまま夜間の当直勤務(ほぼ不眠)を行い、その翌日も普段どおりの勤務を行い(昼で終了できる場合もあるが多くはそのまま夕方以降まで)、さらにその日の夜に患者の容態が悪化すればまた病院へ出向く必要がある日もある。病院を利用する一般の人間がこの事情をどこまで理解しているのかは定かではない。

厚生労働省の通達

厚生労働省労働基準局は2002年3月、「医療機関における休日及び夜間勤務の適正化について」[1]という通達を出した。これによると、
労働基準法における宿日直勤務は、夜間休日において、電話対応、火災予防などのための巡視、非常事態が発生した時の連絡などにあたることをさす。
医療機関において、労働基準法における宿日直勤務として許可される業務は、常態としてほとんど労働する必要がない業務のみであり、病室の定時巡回や少数の要注意患者の検脈、検温等の軽度または短時間の業務に限る。
夜間に十分な睡眠時間が確保されなければならない。
宿直勤務は、週1回、日直勤務は月1回を限度とすること。
宿日直勤務中に通常の労働が頻繁に行われる場合は、宿日直勤務で対応することはできず、交代制を導入するなど体制を見直す必要がある。

と通知されている。

当直医業務に関する問題点

前述のように、日本の病院での勤務実態は、多くが日勤勤務医師が夜間にも続けて勤務する形態である。これは救急指定病院においても例外でなく、地域によっても異なるが、夜間に来院する患者の多い病院では夜中に医師が一睡もできずに次の日勤帯の勤務に入るという事例もよくみられる(これは前項の、労働基準法に定められた宿日直業務の範囲を超えたものである)。これが医師の過重労働、また過労死、医療事故の一因ともなっている。

救急指定を受けていない病院でも、入院患者の急変の可能性はあり、また、たとえ診察時間外であっても来院した救急患者を拒むことは応召義務によりできないと解釈されている。

長時間連続勤務を防ぐため、交代制勤務の導入が望まれているが、病院開設者の立場からは、医療費抑制政策の影響や医師不足の顕在化もあり、交代制勤務が可能となるほどの医師の確保は難しい。そのため、夜間・休日の医師業務は医師の献身的努力に依存しているのが現状である。

これをご覧になられて「ええーっ?」「あれっ?」と思われる方は案外多いのでは。多分「病院はコンビニと同じサービス業だから夜中も開いて当たり前だ」と思っている方に、「いかにあなた方の考えが全く間違っていたか反省しなさい」と言わんばかりの内容です。この内容、当事者の医師には極当たり前ですが、では何故一般の方には新鮮に映るのでしょう。

それは建前をそのまま実行すると医師不足の日本ではどこの病院でも夜間救急診療が成りたたくなるので厚労省が知っていながら放置して来たこと。病院や医師に敵意を持つマスコミ(医療側を叩くと読者である大衆が喜んで販売部数が増える)などが意図的にこの問題を隠そうとして来たからです。また当事者(或る意味被害者)である医師たちも外に向かっては「お前ら、それでも医者かよ」と言われるのが嫌で(言い訳が面倒臭くて?)実態の説明もしない傾向が有ります。しかし彼らの専用掲示板(?)であるソネットのM3を見るといつでもこの問題に対して意見が喧々諤々状態。

この”当直医”の問題が根深いのは、上の厚労省の”当直医”の定義と実際に現場で動いている当直医の実態があまりに掛け離れていて、しかも一方の患者さん側(世間側)がその事を全く認識していない事です。その結果現場ではしばしばボタンの掛け違いが生じ、それが時に患者死亡と言うような不幸な事態まで発展します。

色々な角度からこの”当直医”を考えてみます。先ず試しに”当直医”から医を取って”当直”にしてみます。これは大きな現場なら何処にでもあるシステムですね。「日勤帯の従業員が帰宅して空っぽの職場で仕事上で何か起きた時のための待機当番」と言う所でしょうか。これとは別にセキュリティーが主な守衛室も有ります。ではこのシステムをそのまま病院にオーバーラップさせてみましょう。
”当直者”=”当直医”ですね。「仕事上で何か起きた時」は病院では「入院患者に何か起きた時」に相当します。会社などの当直者は先ず自分で処理を試み難しいと判断した時にはその部署の担当者に連絡するでしょう。それで場合によっては(仕事上穴を開けておけない場合)待機の担当者が出て来る事に成ります。病院の場合はその患者さんの受け持ち医に連絡して対処の方針を確認します。その場合も必要が有れば受け持ち医はやはり病院に顔を出す筈です。

ここまでは世間の会社の当直と病院の当直医は全く同じですね。その限りにおいては当直医は法律的にも妥当な正真正銘の当直医です。ところがです。問題は通常の病院の当直医には更に厄介な仕事が科せられている点です。
大抵の大手の病院は救急指定を受けているため、日勤帯はそれなりの担当医が対処しますが夜間帯には院内にただ一人残っている医師、すなわち当直医が担当するが殆どです。
この時点で既に深刻な問題が生じています。
もし会社の当直のように何か起きた時のためだけの当直ならば気楽です。何故なら深刻な事はそう滅多に起きないものだからです。つまり当直室で寝ていれば良い事に成ります。たまには家から離れて自分一人で過ごすのも悪くはないでしょう。勿論当直室にはTVや冷蔵庫も有るでしょうから、ホテルの気分です。
もし病院の当直も本来の”当直医”であるならば、のんびり風呂にでも入って日頃の疲れを取るのに絶好の時間でしょう。また在ってもその程度の仕事ならば殆どの科の医師が使えますので、病院の当直割り当て係りも苦労しないで済みます。正に平穏無事な天国です。
しかし救急もやるとなると、途端に天国が地獄に様変わりします。と言いますか、救急(本物ならば)は時に病院を修羅場に化します。そひて結局は多くの科の医師や検査科、レントゲン科を巻き込みます。そうなるともはや夜間とて日勤帯と何ら変わりません。そして当直医も各科の医師が現れるまでは頑張らなければ成りません。勿論様々な疾患での急患がやって来ますので、その受け皿(窓口)たる当直医は取り敢えず浅くても広い知識と経験が要求されます。しかしどこの病院にもその様に使える都合の良い医師が沢山居る訳では有りません。更に産婦人科などの科は分娩待機の関係で独自に当直制を敷いているところが多く、その場合は病院としての当直は免除されることが多いようです。また眼科医もそのような当直医には不向きです。
上に救急と言う地獄と書きましたが未だ1丁目です。更にその先に2丁目が待っています。「2丁目?何だそれ」
それは救急に名を借りた夜間診療です。結局救急に対応して夜間病院を開けている訳ですから、それを知った”普通”の患者が診察を受けにやって来ます。「3日前から38度だったのが、夕方から39度に成り心配だから来た」「日中は仕事が有るから夜来て何故悪い」「何時もは向かいのクリニックに掛かっているんだが、丁度薬が切れてしまって電話しても起きてくれない」etc.
医師が考える救急とは放置すると命にも関わる様な病態に限ります。ですからその名前を冠した”救急車”も同じ病態でのみ使われるべきです。しかし実際には・・・救急車の使用も出鱈目、救急患者も??ばかり。

何故かちょっとしたサービス精神の発揮である筈の”当直”と言う羊が、現実の世の中ではとんでもない恐ろしい狼に豹変してしまっている訳です。この事は勿論どこの病院でも分かっていながら中々改善しようとはしません。建前論では適正な認識を取りながら実際には現場を放置し続けている厚労省の責任も問題ですが、各現場の病院の事務サイドも元凶の一人です。何処の病院の事務方に取っても、自分の病院が救急指定であれば自治体からの救急肩代わりの謝礼として結構な額の援助金が手に入ります。また”救急指定”と言う看板は世間体も良く病院としての格も上がります。事務サイドは救急に際しても一人窓口に張り付けておけば良い訳ですから、収入が増える(場合によっては急患が入院するのでベッドが埋まる=そこしか空いてないので患者には選択肢が無い)ので万々歳!嘘と思われる方は「北海道地域医療振興委員会*のHPをご覧ください。そこに全道の医師を探している病院のリストが有ります。それを覗いてみれば分かります。病院の条件提示の欄に必ず「日当直」と言う項目が有り、大抵「月に1~2度の当直」などとシレっと記載されています。その上にもし救急指定と書いて有れば、それは地獄の2丁目を意味しています。中には「救急指定」と書いてない場合も有りますが、その地域の中央(中心)病院なら先ず間違いなく救急指定病院でしょう。=地獄へまっしぐらです。では何故各病院のHPなどには「夜間救急あり」とか「夜間診療あり」とか書いてないのでしょうか。仮に募集時に隠しても就職の面談時にばれる話ですから敢えて隠すメリットは何も有りません。勿論「こっちの水は甘いぞ!」と誘って置いて高額な収入を提示。相手が涎を垂らし始めたところで「実は月に何度か救急の当直が・・・」とやれば、中にはリスクに目を瞑り札束をひったくる医師も居ないとは限りませんが・・・もしかすると事務サイドは本当に当直=夜間救急・夜間診療だと信じて疑わないのかも知れません。もしそうならば、現状で行われている”当直”は労働同基準法にも違反したシステムである事を喧伝しないマスコミ、そして知らん顔(向こうを向いて、シメシメ)の厚労省、そして一番の原因は、仲間内では不平たらたらなのに外に向かっては発信しない医師当人かも知れません。
もし本当に夜間救急をやろうとするなら、先ず日本の現状では無理でしょう。何故なら昨今の医療情勢では、「夜間だからこの程度の検査で明日まで様子を見る」「大した症状でないから明日の朝出直して来なさい」などとやってもし状態が急変してその患者が死にでもすれば、もう大変な騒ぎに成ってしまいます。家族からは「あの時〇〇の検査をしていたら病気が分って死なずに住んだ筈だ」と訴えられ、裁判でも「夜間と言えども、当直医がその疾患に専門外でも直ぐに関係の科の医師を呼べば助かる可能性が在った」との判決を食らいます。
それでは地獄の元凶である「救急指定」と言う道標を引っこ抜いて放り投げたらどうでしょう。それは現実的には不可能です。皆さんのお住まいのそれぞれの地域をお考えください。大抵は地元医師会に自治体から「救急医療に対する協力金」が下りている筈です。そして地域にも依りますが一応輪番制で開業医が休日当番とか場所によっては夜間診療をしているでしょう。しかし多くの地域では開業医は夜はビールでも飲んでぐっすり。中には一々断るのが面倒だとばかりに受話器を外している所さえ有ります。また留守電に「何かあれば〇〇病院にご相談ください」と自分の患者でもセンター病院に丸投げする開業医も。つまり机の上で考えた理屈は現場では通らないと言う事です。
*北海道地域医療振興財団
http://www.iryozaidan.or.jp/

ならば「救急指定」の看板に誇りを感じて頑張る!?
理論的には、もし夜間も日勤帯と同様のレベルの診療を要求されるなら病院内の全ての人的資材を24時間÷8時間=3で3倍に増やさなくては成りません。しかし日勤帯の医師ですら不足している日本では所詮夢物語でしょう。
従って次善の策かも知れませんが、取り敢えずはせめて毎日の当直医は大学などの外部から総合内科や救急部などの急患を扱い慣れた医師を呼ぶ事位しか思い当りません。勿論その場合でも、救急現場で懸命に働く医師の援護射撃に是非とも”善きサマリア人法”を適応して貰いたいものです。

by NO NAME (2013-03-14 18:20)
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おばんです。

長い愚痴でしたね。

医師の宿日直勤務と労働基準法
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/04/s0425-6a.html

奈良県産科医時間外労働訴訟

をみれば医師の労働についてわかると思います。

業務の時間外手当で解決する問題です。



善きサマリア人法
医療器具のない閉鎖空間で病人が出た場合
医師であろうと一般人であろうとできることは同じです。
一次救命処置を行うことしかできません。

この一次救命処置と搬送時間が左右すると思います。
乗車していて搬送時間が長くなれば生存する可能性は低くなります。ただそれだけです。

搬送することが最善の策だと考えます。

しかしここで医師を要求した人物がおかしい対応をしていると感じませんか?医師を要求して何をさせるつもりだったのかわかりません。医療器具がある状態でないのに医療行為をさせようとしたのでしょうか?

ただしここで医師が医療行為をしたらそれは行った医師の責任が問われると思います。代替品で医療行為をした場合、その行為に対して説明責任が生じます。

医療器具が無い状況で医療行為はできません。医療行為と一次救命処置は違います。
by Premium malts (2013-03-14 21:27) 
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結論です

医療器具のないところでは一次救命処置をして医療行為ができる場所に搬送すること
この状態では医師であろうと医師でなかろうと一次救命処置をするだけです。医師であることを名乗ることもないと思います。医師を要求した人物が本来なら一次救命処置をすることが義務ですから。

医療器具のあるところ、これは病院ですが、ここでは一次救命処置ではなく二次救命処置をして、診断をして、治療することです。治療が出来ない病院であれば出来る病院に搬送する。



救急医療と夜間診療
この言葉の意味は違います。
救急医療は24時間体制ですが、夜間診療は夜間行う診療です。夜間診療はほとんどの病院で行っていません。

by NO NAME (2013-03-14 18:20)
by プレモルが好きな月光仮面 (2013-03-14 10:02)
の回答になれば幸いです。
by Premium malts (2013-03-14 22:08)
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>業務の時間外手当で解決する問題です。

業務の時間外手当の相場は? 多分2~5万の範囲でしょう。勤務時間は5時~翌日7時頃までだとすると14時間ですか。
少なくとも北海道の田舎では医師の報酬は日勤帯の通常勤務で1時間につき1万程度でしょう。ならば一晩中眠れない可能性が有る夜間救急に従事して納得出来る時間外は幾らでしょうね。更に金なんか要らないから休みたいと言う医師ばかりだったら当直医の割り振り係は困りますね。それでも「時間外手当で解決」ですか。
ちょっと気に成ることが有ります。かって根室に関わった或る方(Ebisuさんが時折話題に出される)が、「僻地の医師不足問題は自分が提唱する”医師通勤ヘリ”で解決する」と簡単に仰っていますが、その経費たるや半端な額ではありません。軍用は別として一般の民間ヘリは夜間は飛べません。また風速が5m程度でもう使用は?です。勿論ガスって視界不良ならばNG!それを考えると荒唐無稽な話にも思えてしまいます。
現場を知っている医師ならば「5万程度の時間外手当で救急当直問題が解決するなんて思っても居ません。幸か不幸か医師は収入だけには割と恵まれていますので、多少の金なら自分の方が払っても休みが欲しい・・・と言うのが本音でしょう。

プレモルさんの語り口が「医師通勤ヘリ」の方に似ていましたので、ちょっと脱線しました。

>医療器具のない閉鎖空間で病人が出た場合
>医師であろうと一般人であろうとできることは同じです。
>一次救命処置を行うことしかできません。

どうでしょうかね。乗客の虚血性心疾患などの内科的なものならAEDしか道具のない機内や車内で出来ることは限られているでしょう。それでも(まともな)医師と一般の方ではAEDの使用にしても心マッサージにしても要領は違うでしょう。
更に言えば、食事中に誤嚥して呼吸困難が生じたりした場合、確かにちゃんとした医療器具(気管挿管セットや気管切開セット)は無くても取り敢えず代用出来る物(ナイフやフォーク類、ボールペンなど)は探せばあるかも知れません。勿論きちんとした医療器具が有っても苦しがって暴れる人間に挿管したり気管切開したりは困難なのは当たり前です。取り敢えずハイムリッヒ(後ろから組んだ拳で心下部を内上方に突き上げて遺物の排出を促す)を何回か試みて無効なら後は搬送先にいち早く辿り着く事を祈る?

>この一次救命処置と搬送時間が左右すると思います。
>乗車していて搬送時間が長くなれば生存する可能性は低くなります。ただそれだけです。
>搬送することが最善の策だと考えます。

それはそうでしょう。しかしこの手の話は「搬送が出来ない状態」だからドクターコールが成され、「医師である貴方ならどうする?」なんですがね。
飛行機ならば緊急着陸出来る最寄りの飛行場を探している間に、列車ならば救急車に連絡して待たせた最寄りの駅のホームに滑り込んだ時には、全てが終わっているいるでしょうね・・・。
それでもちゃんとした医療器具が無ければ一時救命しか行わない!? 「ちゃんとした器具が無いのに余計な手だしたら責任を問われる」から? それならちゃんとした器具が有ってそれを使っても結果が悪ければ同じでしょう。ん、「きちんとした医療器具が有れば確実に成功する自信が有る。しかし無ければ上手く行かない」から?
どうもプレモルさんのお話は、例えが心筋梗塞などの内科的疾患が中心で気道閉塞などの外科的なトラブルでは無いようですね。

>しかしここで医師を要求した人物がおかしい対応をしていると感じませんか?
>医師を要求して何をさせるつもりだったのかわかりません。
>医療器具がある状態でないのに医療行為をさせようとしたのでしょうか?

機内のCAやJRの車掌も最近では一通りのABCの訓練は受けているでしょう。それでも彼らは医療の素人です。もし医療のプロの医師が居たなら任せたいと思うでしょう。患者が出たらその交通手段の中では彼らは乗客の管理責任が有ります。「もし死ぬようなことに成ったら・・・」と心細いのは当たり前です。勿論医師とてその技量や知識は千差万別ですから、彼らの期待を裏切るレベルの医師は確かに居ます。しかしそれはここでは別次元の話だと思いますが。

>ただしここで医師が医療行為をしたらそれは行った医師の責>任が問われると思います。代替品で医療行為をした場合、そ>の行為に対して説明責任が生じます。

だから少しでも医師として手助けが出来るように、せめて「善きサマリア人法」のように免責を認めるべきだと言っているのですが。

>救急医療と夜間診療
>この言葉の意味は違います。
>救急医療は24時間体制ですが、夜間診療は夜間行う診療です。
>夜間診療はほとんどの病院で行っていません。

これも空しい机上の総論です。夜間の救急で開けている病院の玄関に夜間診療と勘違いした急患でもない人々が押し掛けてくるから問題なんでしょう。医師であればリースナブルな急患(変てこな表現ですが)を診ることに吝かではありません。「応召義務」云々ではなく、それも大事な仕事の柱の1本なんですから。しかし現実には”招かれざる客”も多い。そのために時には仮眠すら出来ない。そして翌日にはまた忙しい日常が待っている。医医師である以上出来れば診てあげたい。しかし何事にも限度がある。それでも緊急事態ならば眠い目をさすっても患者に向かう。しかしそうでもない人間に振り回された挙句に翌日の自分の仕事のリズムは壊され、何か手術でロらブルでも起きようものなら訴えられかねない。こんな状況を誰も外には言わない。だから厚労省も知らん振りで一方足元の病院はにやっと笑って両腕を組んで「お手並み拝見」。
こんな事情を少しでも知ったら、”夜間診療”で当然だと思っている人や「サービス業なんだから客に合わせろ」なんて輩が少しは減るかもとの期待を込めて愚痴を書いていたわけです。Ebisuさんもそのための掲示板だと仰っています。

今回のプレモルさんの書き込みは医師である小生に向けたものと思います。ですから小生にはあまり肉の付いてない骨ばった文章(解説が無い)で理解できますが、多分一般の方にも理解させたければ、多少はまわりくどくても一つ一つ説明を加えられては如何でしょう。

結論です。

うーん、さすがPremium malts !
現場で全く悩んだことが無いような見事にクールに割り切ったご説明ですね。建前が強くまるで厚労省の役人を思わせます。(笑)


by 月光仮面 (2013-03-15 01:48) 
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序ですので、お時間の有る時にでもウイキペディアの「一次救命」を是非ご覧ください。

身の回りの誰かが具合が悪くなった時の対処法、CPA(心肺停止)時のAEDの使用法や今回の話題の「ドクターコール」に纏わる話、「善きサマリア人法」の実際などについて分かり易く表現されています。

今回の書き込みが、皆様の少しでも救急時対処法に目を向ける一助と成れば、長々と駄文をしたためた甲斐も有ろうと言うものです。
by 月光仮面 (2013-03-15 13:13) 
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*一時救命措置(ウィキペディアへ)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%80%E6%AC%A1%E6%95%91%E5%91%BD%E5%87%A6%E7%BD%AE



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