定例市議会がはじまっている。北海道新聞根室地域版の3月2日の記事を紹介する。よくまとまっていて、増え続ける病院赤字と予算案のデタラメさが俯瞰できる。


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病院の赤字脱却焦点
  今日から定例市議会
   医師確保策も議論

【根室】新年度予算案などを審議する第1回定例市議会が2日開会する。一般会計予算案(歳入歳出164億7500万円)では、病院会計への繰入金は当初予算として過去最高の13億5846万円を計上しており、市立根室病院の赤字体質の脱却が論議の焦点の一つになる。常勤医師は4月から本年度当初に比べ2人減り、12人体制になる見通しで医師確保対策も議論されそうだ。(栗田直樹)

 市立病院は経営難が続いており、市は赤字状態の病院会計へ一般会計から毎年繰入し収支を均衡させている。
 新年度も繰入金は本年度当初比2億3516万円(21%増)。繰入金には新病院建設のため市民寄付(1億1977万円)が含まれ、これを除いた実質増は1億1539万円になる。
 繰入金の増加は、医業収支の悪化が予想されるため。昨年4月に常勤2人だった整形外科医が今年4月から常勤1人になることから、入院・手術件数の減少を見込む。
 さらに、麻酔科医1人が一身上の都合を理由に3月いっぱいで退職。4月からは必要に応じて以下系大学の支援を受ける方針。新年度当初の常勤医師は本年度の14人から、08年の年度途中以来となる12人に縮小する想定だ。
 懸念されるのは、当初予算に計上した繰入金の額が決算段階で最終的に膨らむ点だ。08年度以降では、繰入金の決算額は当初予算を2億~5億円以上オーバーしており、本年度は最多の13億8010万円になる見込み。
 来年1月には新病院オープンを控えており、病院事務局は「常勤医師15人体制の目標に向け、引き続き医師確保に全力を挙げたい」と話す。

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【ebisuのコメント】
 新聞には「根室市の一般会計から病院会計への繰入金」の棒グラフが載っている。「当初予算額」と「決算額」が反対になっている色の濃いほうが当初予算額で、薄いほうが決算額である。うっかりしたのだろう、新聞は一発勝負だから、チェックがたいへんだ、たまには間違えても仕方がない。記事の内容はしっかりしている。

 記事をみると、病院建設のための市民寄付が繰入金に使われるようだが、これについては説明が必要だろう。病院の赤字穴埋めに使われるようにも誤解されかねない。寄付する人たちは建設のためにお金を拠出したのであるから、常識的に考えて病院経営の赤字穴埋めに使うわけはないだろう。常識のある市議がいれば説明を求めるだろうが、病院のホームページ上で丁寧な説明をして感謝の言葉を載せたらいいのでは?

 外科医が一人体制になり、麻酔科医がいなくなるのに、来年度のほうが今年度決算額よりも赤字が少なくなるというのはおかしな話である。例年のごとく2億円以上の追加予算を組むことになるのではないだろうか。記者と同じ懸念をebisuも抱く。
 たかだか20~25億円の範囲の売上なのに当初予算赤字と決算赤字に2~5億円も差異が出るということ自体がおかしい。売上が1割以上もショートしたら上場企業なら担当役員は責任を問われる。おかしいものはおかしいと言わなければだめだ。毎年、市側の予算に市議全員が賛成するから、市側はツケ上がり好い加減な予算組みをする。
 常識のある市議が一人でもいるなら、市側提案の予算修正を求め、市側が修正に応じなければ予算案に反対を表明すればいい。はて、そういう市議はいるだろうか?市政チェック機能を果たせないなら市議会も市議もいらぬというのが道理。
 ふるさとの町のためにデタラメな予算案に市議会で反対を表明できるかどうか、市議全員の勇気が試されている。市議としての(市政チェック機能を果たす)職務をまっとうすることはじつはたいへんに勇気の要ることで、だれもやらなかったことだ。

 医師確保が困難になっているのは、バランス感覚を欠いて安易な医師確保策に走った結果ではないのか。札医大へ過剰に期待をよせたツケが回ったのだろう。旭川医大が撤退したたいへんな時期に陣頭指揮をしてがんばってくれた前院長に対しても失礼なことがあった。根室は何度か重要な局面でキーマンである医師に心ない対応をしている。ブログのコメント欄にもあったが、出入り禁止となった医局もあったようだ。他にも新聞種になった具体的な問題があった。道内の医師の間で根室の評判は芳しくないのは、いままでの乱暴な運営のツケが回っているのだろう。もう秘密主義はやめにして、正々堂々とビジョンを語り、地域医療の未来を市民とともに切り拓くべきだ。
 赤字の部分を見てもらいたい。「医師確保に全力を挙げたい」、市長も似たようなことを常々市議会で言っている。全力を挙げて医師確保に札幌出張を繰り返し、新聞ダネになった前々事務長がいた。仕事のできないものはよくこういう愚にもつかぬ抽象的な台詞を吐くが、係長ではないのだからもっと仕事に責任をもった発言をしたらいかが?いつまでに何をどのようにやるのかの説明はひとつもない。歴代事務長の仕事のレベルはお粗末、仕事を担いうる人材が市役所にいないのか、それとも単に市長の人事が悪いだけなのか。類が友を呼んでいるような事務長人事と評する人もいた。
 自分の職務に忠実に、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」、仕事は正直に誠実に楽しくやろう。市民に説明できないような仕事のやり方はするな。

*#1881 常勤医12名で赤字は15億円超に拡大か? Mar. 15, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-03-15-1

 #1867 「根室に市議会はあるか?:市立根室病院の赤字脱却焦点」 Mar. 4, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-03-04-2

 #1856 「活性化「なりふり構わず」:北海道新聞根室地域版より」 Feb. 25, 2015 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-25

 #1855 「一般会計2.4%増164億円(根室市予算案) :北海道道新聞根室地域版より」 Feb. 23, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-23

 #1812 「インチキ公営企業会計基準廃止:民間基準の適用」 Jan. 23, 2012」
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-23-1#comments

 #1799 「市立根室病院事業会計11.7億円の赤字:"広報ねむろ1月号"より」 Jan. 8, 2011 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-01-09

 #1773 「膨らみ続ける市立根室病院赤字(北海道新聞より)」 Dec. 15, 2011 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-15

 #859 「杞憂(5) 市立根室病院赤字2368万円の嘘」 Jan.10, 2010 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-01-10





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