市長とその応援部隊であるオール根室の水産会社社長がベトナムへ行って根室のサンマの売込みをしていることが何度も新聞紙上で採り上げられているが、自分のところだけ免税の特例扱いをしろと、自分勝手な要求をしているように私には見える。常識的に考えて国内の他地域のサンマ加工業者から顰蹙を買うと見なければならぬ。
 自分さえよければいいという商売は長続きするはずがない。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方善し」にはならぬ。2月7日は北方領土の日だったが、根室人は得手勝手過ぎると北方領土問題へも影響しかねない下策であると私は考える
 釧路漁協と全さんまの動きと比較*してみるがいい、地域エゴの塊だ。市長と「オール根室」を自称する一部の地元経済人の視野狭窄、なんと嘆かわしいことよ。
 広大な根釧原野の大地に住まう人々よ、地域エゴを棄ておおらかさと誇りを取り戻そうではないか。

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*釧路と厚岸のサンマ業者はアジア系移民の多いオーストラリアへ販路拡大へ努力し始めた。全国さんま棒受網漁業協同組合と釧路漁協、水産加工業の磯田水産がそういう動きを推進している。もちろん、自分のところだけ関税を免除しろなどという話はないし、民間のことだから釧路市長は関係ナシだ。
 全さんまは3年前から輸出先調査をしていた。「冷凍サンマをオーストラリアが輸入する際、関税はかかっていないという」から、関税を下げてくれという交渉など必要ない。
       (2月8日北海道新聞朝刊1面「道東サンマ豪州開拓へ)
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 なぜわざわざトラブルのあるところへ進出したがるのか理由が分からない。北方領土問題対策協会専務理事の前職での任地がベトナムだったから市長は飛びついたのだろうか。なぜベトナム?
 いつのまにか「市アジア圏輸出促進協議会(会長:根室市長)」などという組織まで立ち上げられている。
 こうして比較し、経緯を眺めると、仕事が拙劣のように私は感じるのだが、関係者は誰も気がつかないらしい。仕事を始めるのにフィジビリティ・スタディすらやられなかったのではないか?
 全さんまと釧路漁協と関与している民間業者はきちんと手順を踏んでいることが新聞の記事からも分かる。バカバカしいから2011年のベトナムと根室の話はこれくらいにしておこう。


 さて、本題である。用事があって地元のある会社に行った折に、K会長から昔話を拝聴することがある。私にとってはお仲人さんであるその人は93になるはずだが、60歳を過ぎてから博士論文を書いて考古学で文学博士になったから、中小企業のオーナー経営者であるがK先生と表記する。その先生の親友の歯科医T先生を含めて何人かわたしは子供のころからよく知っている。「友人はみんな死んでしまった、(当時を知る)話し相手がいない、ときどき話においで」と言われても、死んだオヤジよりも4歳年上だから、そう気軽に行ってお話を伺うというわけにはいかない。でも、話しを聞くのは楽しい。40代のあるときに根室市長選挙に立候補したこともある先生は根室の政治も経済も教育も縦横無尽に切って捨てる。それに比べれば私のブログなどまるで小僧っ子、おとなしいもの。まあ、「小僧」だから、分をわきまえてこれぐらいでよい。

 話は戦時中のことである。國學院大學の大学院を出た後、文部省の委嘱でベトナムの王族の一人にしばらくの間日本語を教えたことがあるという。当時のベトナムはフランスの植民地だったから、そのベトナムの人はフランス語で話す。先生は水道橋のアテネフランセへ通ったことがあり、フランス語が話せたので、文部省から大学を通じて委嘱があったのだろう。
 日本は亡命王族を支援してフランスの植民地であったベトナムを独立させようとしていたらしい。アジアの諸民族を白人支配から解放しようと目論んだ大東亜共栄圏構想の一環である。日本語を教えつつフランス語の勉強になったという。あるとき、「殿下がお会いしたいと言っている」というので、その「殿下」にお会いしたそうだ。亡命ベトナム皇太子殿下だったのだろうか。
 その後のベトナムの独立までの経緯をおさらいしておこう。フランスは1954年デンエンビェンフーの戦いで破れ、仏領インドシナ(=ベトナム)から撤退し、その後、米国が傀儡政権を立て、1975年米国も戦いに敗れ撤退。ベトナムはようやく白人国家からの独立と南北統一を果たす。

 大東亜戦争は白人国家の植民地になっていたアジアの独立を勝ち取るという側面のあったことを日本人は知っておくべきだ。アジア各国は自力で白人国家と戦い得なかった。白人の人種差別に抗して大東亜共栄圏を掲げてはじめた戦いを挑んだのが日本人である。先生がベトナム人の王族の一人に文部省(外務省?)からの委嘱で日本語を教えたのは、そうした政策の一環だったのだろう。

 中学校の社会科の先生や高校生に読んで欲しい本、『わが愛する孫たちへ伝えたい 戦後歴史の真実』前野徹著(扶桑社文庫)から抜粋。
「1977年、マニラにおける国際会議で、韓国代表が日本を強く非難したときのことです。インドネシア人の大統領内外政治担当特別補佐官兼副長官のアリ・ムルトポ准将が発言を求めて、韓国代表をたしなめました。
「日本はアジアの光である。太平洋戦争はアジアの独立のための戦争であったゆえ、本来ならアジア人が戦うべきであったのに、日本人が敢然と立ち上がって犠牲になった」」 102ページ

 こういう見方をする隣人が少なからずいる。私たちの父の世代の功罪は両方きちんと見ておかなければ申し訳がない。罪ばかり見ていては歴史の真実には迫れぬ。著者はインパール作戦と英国からのインド独立についても、日本人の果たした役割に触れている。

戦後 歴史の真実 (扶桑社文庫)

  • 作者: 前野 徹
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 文庫

 中高生諸君、学校で教える日本史はいくつかの重要な事実を無視しているから要注意だ。違う歴史観もあることを学ぶために面白い本を2冊紹介したい。歴史という学問は身近な問題につながっている。面白いぞ。
 この本はタイトルどおりの本である。白人国家は自分たちに都合の悪い史実にはほうっかむりを決め込んでいる。


驕れる白人と闘うための日本近代史 (文春文庫)

  • 作者: 松原 久子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/09/03
  • メディア: 文庫

 朝鮮半島と日本の関係を半島の正史からひもとく。わたしたち日本人がまったく知らされていない半島と日本の関係が見えてくる。

日韓がタブーにする半島の歴史 (新潮新書)

  • 作者: 室谷 克実
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/04
  • メディア: 新書




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