本田市議が4月25日のブログで建て替えにかかわる療養病床の問題点を整理してくれている。まとめると、

①現計画は一般病床150床のみ、療養型はゼロ
②将来療養型が必要になったら、150ベッドの中から振り替えるしかないが、それではぜんぜん足りない。
③現在市内の総病床数は特別養護老人ホームを含めて500、その内一般病床は市立病院の146ベッドのみ。医療保険型療養病床はゼロ。
④市立病院は経営改善がなされず、「改善基本計画」と実績が乖離しているので、病床数を120に減らされる可能性あり⇒その場合には120ベッドの中から療養型ベッドを捻出しなけらばならない。これでは根室の老人医療のニーズをまかなえず、このまま現計画を進めると将来重大な禍根を残すことになる。


 閉院した隣保院は75ベッドだった。共立病院と江村病院の精神科216ベッドの大半は老人である。
 根室は昨年老人人口が7700人を超えた。これから10年後には1万人前後になるだろう。総人口が2万5千人とすれば5人に2人が老人となる。10年は意外と早い。
 精神科216ベッドが老人医療に転用されている。本来大半が医療型療養病床の対象患者である。常識的に考えても、人口3万人の根室に入院が必要な精神病患者が200人もいるわけがない。40年前には全国のいたるところでそういう情景がみられた。根室は40年遅れているのかもしれない。行政の意識が遅れているのだろう。市長の発言にはそのことが如実に読み取れる。

 他方で人口2万4千人の中標津の医師会病院が120ベッドの療養型入院施設を運営している。に120ベッドの療養型病院(石田病院)がある。根室は3年前に介護保険型療養病床の隣保院が閉院してから市内に療養病床ゼロが続いている。

  根室市の行政には地域医療のビジョンがない。だから、市立根室病院建て替え問題もニホロ移転だ、駒場町だ、いや医師数が足りなくなったから現地建て替えだ、予算は90億円だ、60億円だ、62億円だ、提案を委嘱された病院コンサルタントは30億円で建て替えすべきだ・・・とこの6年間いたずらに迷走するばかりである。
 市側にきちんとしたビジョンや見識をもった者が市長や病院事務長など関係者にいないからだ。
 そして20人いる市議は具体的な提案も市政チェックもできずに、ただいたずらに市側の出す案を次々に了承してきただけである。
 具体的な収支計画が示されないことに異議を唱え、会派に頼らず、たった一人でも新年度の予算に市議会で反対した市議がでたことはふるさとにとっていい兆しである

 市長や市議は医療が必要となった老人をどのように扱うのか、具体的なビジョンを示すべきだ。老人人口の推計は簡単にできるだろう。そしてそのデータを元に医療型療養病床の対象となる老人の割合を乗ずれば、対象患者数の推計も簡単にできるはずだ。根室に医療型療養病床をもたないなら、推計した患者をどこでケアするのか具体的案プランを示すべきだ
 近隣の市町村の施設では、連絡を取りにくいので根室の老人の受け入れに難色を示している施設もあるという。
 医療の必要なお年よりは地元でケアするのが一番いいに決まっている。臨終の間際には親子・兄弟・姉妹、親戚がすぐに駆けつけられる。みんなに見守られながら逝きたい、ふるさとで死にたいというお年寄りの希望をかなえるやさしさがあるべきではないのか?

 このまま現計画を進めると将来必要な療養病床をもてなくなり、この地域の老人医療が崩壊する。本田市議も言っているように、根室の老人医療はいま重大な岐路に立っている

 病院建て替え特別委は昨年7月に現計画を認めてしまっているので、療養病床に関する議論さえできない状態だという。本田市議にも打つ手がなくなって、困り果てている。問題を議論しようという市議すらいない(そういう役に立たない市議ばかりなら市議定数は半分でも多すぎる)。

 あきらめてはいけない、根室の、ふるさとの老人医療が根底から崩壊しようとしているのだから。

 丁寧に問題点を整理しているので、あとは本田市議のブログを読んでほしい。こういう市議が一人いることを誇りに思う。そして、たった一人しかいないことを残念に思う。
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