病院事業14億円の赤字(根室):本田俊治議員の病院事業に関する質問 #778 Oct.30, 2009

《病院事業の改善は毎年十数億円の赤字という事実認識からはじまる》

 29日に行われた市議会決算本会議で本田議員から病院事業に関する質問があった。病院事業の採算に関するものである。

 「病院事務局は運営の収支を均衡させるためには、14.6億円の増収が必要との試算を明らかにした。
 本田俊治氏の質問に応えた。試算によると収支均衡に必要な収益は40.1億円。このうち2.3億円は地方公営企業法で一般会計からの繰り入れが定められているため、同病院は残る37.8億円の収入を得る必要がある。
 これに対し、08年度決算の総収益は34.5億円だった。このうち訳11億円が一般会計からの繰り入れで、同病院の収入は23億円余り。37億円との差額が収支均衡のために必要になる。」
                北海道新聞10月30日朝刊22面根室地域版

 病院事業売上は23億円、収支を均衡させるためには差し引き14.6億円余が不足である。国基準による一般会計からの繰入金が2.3億円だから、さらに11.7億円の繰り入れが必要になる。
 民間基準に引き直せば、病院事業は14億円の赤字ということだ。
 これらの数字は病院事務局の答弁である。今まで市側は病院事業は黒字だと市の広報で言い続けてきた。予算の6億円の一般会計からの繰入金では足らずに、決算で予算外の繰り入れを5億円前後追加することで赤字を補填し、「黒字」と称してきた。
 一昨年度はそれすらできなかった。病院事業が黒字であるという嘘が決算本会議の病院事務局の答弁で明らかになった。実質赤字の規模は14億円である。

 そもそも地方公営企業法という悪法が癌である。赤字を黒字に粉飾できるこのインチキ会計基準を廃棄しないと、公営企業の赤字拡大と破綻は永遠になくならない。
 この基準がある限り、公営企業は「粉飾黒字決算」を続けながら、赤字を拡大し続け、突然資金繰りに行き詰まり破綻する。民間会計基準での予算と決算を義務付ければ、はるかに傷の浅い段階で、適確な対策が打てる。

 はじめて14億円の赤字だという病院事業の実態が明らかになったのはなぜか本田議員の質問が具体的で適確だったからである。根室市にはじめて市政チェックのできる市議会議員が誕生した。根室市史上、画期的な出来事で、慶賀すべきことだ。
 市議はたくさんいればいいというものではない。いままで5年間、市政チェックのできない議員が20人いたが、ようやく19人に減ったようだ。本田氏の他に能力のある市議はいないのか?仕事の出来る市議がもっと増えて欲しい。会社と同じだ、3人いれば根室市は変わる

 さて、来年度の病院事業予算はどうなるのだろう。2008年度のように6億円の一般会計からの繰り入れ予算は予算の粉飾であることが明らかになったのだから、14億円の繰り入れ予算を組まなければならない

 2008年度の平均稼動ベッドが80に満たないのだから、150ベッドの新病院の規模も現実的な売上20~25億を前提に100ベッドに縮小すべきである。50ベッドは市民要望の強い療養型病棟にすべきだろう
 病院事業は5年続けて10億円を超える赤字を毎年出し続けてきたのであり、市が広報で黒字と言い続けてきたのはいうのはまやかしだった。「病院事業改革基本構想」はゼロベースで見直すべきだ
 つい先日追加補正予算で可決した2900万円の2度目の基本設計料が無駄になろうとしている。即刻中止すべきだ。この予算に反対した市議が一人もいなかったのは残念だ。無駄遣いが過ぎる。

 本田俊治議員はブログを書いているので、そのURLをここに記す。
 http://nimuoro.typepad.jp/honda/