市立根室病院建築仕様の前提条件

 7年前に80~90億円(坪単価135万円、システム投資5億円)の建替え案がつくられた市立根室病院について、新たな建築仕様検討の前提条件を7項目並べてみる。

 ①建築坪単価:75万円
 ②建築面積:2600坪
 ③断熱仕様:外断熱
 ④院内情報システム:ソフト1億円以下、パソコンサーバーによるネットワークでハードは5000万円以下
 ⑤療養型病棟:当初50床(順次100床まで増床できるように配慮)
 ⑥病室は4人部屋を基本とし、病室ごとにトイレをつける。
 ⑦入院病棟規模:一般病棟100床、療養病棟50床

 低価格で維持費が安く居住性のよい病棟、外来診療機能を実現する。
 そのために予算内に収まるように、仕様を整理する。
 積み上げ方式だと際限なくコストは膨らむので、逆に予算を決めてしまう。
 引越しも含めて総予算25億円以内でどの程度の病院ができるのか具体案を検討する。何ができて何ができないのかを明らかにして、市民へ理解と納得ずくで建築仕様固めをしていくことが望ましい。

 市立根室病院は建物も古いが、実務や仕事の仕組みも古い。そこでもうひとつ言いたいことがある。3月以前の釧路医師会病院と比較して、市立根室病院がなすべきことを書いておきたい。なすべきこと、それは業務改善である。事務部門や外来診療は機能を強化しつつ、業務デザインを変えることで人数を3割程度減らすことが可能だろう。「顧客満足度」のアップと人員削減が同時にできるはずだ。ポイントは二つ。

 (1)カルテ管理も含めて事務管理デザインを見直すべき。人数が多く感じる。
 (2)外来診療部分の医療スタッフは合理的範囲で削減可能だ。いくつかの診療科はまとめて受付を設けてもいいのではないだろうか。これも元の釧路医師会病院が参考になる。救急外来以外は夜勤がないからパート勤務も半数程度までは入れたらいい。こどもが学校に入学すると常勤がきつくて辞める看護師さんも少なからずいると聞く。

 これらを成し遂げるためには、事務管理責任者が病院業務に精通しているか、業務改革の経験者あるいは業務改革のプロジェクトリーダだった者が望ましい。病院の事務管理責任者は病院経営改善のキーマンの一人である。病院業務の経験のない者が数年事務管理責任者をやっても病院業務はほとんど改善できないだろう。今後は経営改善のために、いくつかの院内実務を3年程度経験させて次の病院事務管理責任者を育てるべきだ

 釧路医師会病院は消化器と循環器の専門病院から整形外科へと4月から方向転換した。事務責任者あるいはそれに相当する人に有償で1年間協力願えば、大幅な業務改善ができるだろう。元の釧路医師会病院はCSひとつをとっても、じつに配慮の行き届いた病院であった。看護師さんたちの患者への応接の仕方、ことばの使い方、院内清掃の徹底など、院長の経営姿勢の表れだったのだろうか病院経営上、学ぶべきことが多い

*パートタイマーを増やすことで、地元の雇用機会を増やし赤字縮小を同時に実現できる。正規雇用の職員は自分の業務をこなすだけでなく、担当業務を自ら見直し改善する主役、つまりプロに徹することが要求される。そのほうが仕事が楽しいだろう。今までどおり、前例踏襲でやるよりは、自分で自分の業務を見直し改善していくほうが仕事は格段に楽しくなる。
 業務を見直し、新たな業務デザインをすれば、仕事の精度を上げつつ、仕事量を30%はカットできる。

 2009年5月27日 ebisu-blog#592
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