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GM破産法適用か [91.経済]

GM債務圧縮失敗
  破産法申請強まる

 債務の株式化による債務圧縮計画への債権者の同意が目標よりも「かなり下回った」と発表した。債務圧縮の失敗を受け、GMは取締役会を開いて今後の対応を協議するとしている。しかし、「破綻回避は困難」(米アナリスト)な情勢で、連邦破産法11条(日本の民事再生法)の適用申請に向け最終調整を進めるとの見方が強まっている。
 11条を申請すると、米製造業史上、最大規模の破綻となる。クライスラーも4月末に一部の債権者が債務圧縮に強く反対したため11条申請に追い込まれており、ビッグスリーのうち2社が短期間に相次ぎ破綻することになる。
 約270億ドルの債務を約9割圧縮する計画に対し、当初から「条件が厳しすぎる」(主要債権者のグループ)との反発が出ていた。GMは金額ベースで9割に相当する債権者の同意を目標としたが、達成できなかった。
 倍政府は6月1日をGMの再建計画見直し機関としており、GMが債務圧縮の条件を緩和するなどし、債権者との交渉を続ける可能性もある。しかし、その場合も多くの賛成を集めるのは難しい状況。
 米政府が破綻後にGMに新たに融資し、労働組合などとの調整をあらかじめ終えた上で、法的管理下で再建を図る「事前調整型の破綻処理」を進めるとの見方が強まっている。

 5月28日付北海道新聞1面記事より転載。
 ついにGMが破綻する。クライスラーについで2社目だ。ブログで何度か採り上げたが、予測どおりの最悪の展開である。GMと取引のある日本企業は部品メーカーを中心に102社あるという。今後GMへの債権が不良債権化するので影響が懸念される。

 記事中では連邦破産法第11条となっているが、"chapter 11"は「11章」である。一般に法律は章分けされている。ちなみに同法「第7章」は「会社の清算」処理手続きを定めている。

 サブプライムローン問題に端を発する米国経済の「崩壊現象」はとまらない。弱肉強食、弱いものは強い者の餌であるというジャングルのごとき経済活動の結果である。
 自動車労組は特権労組である。賃金は時給5000円、医療はほとんどただ同然、年金は高い。その一方で医療保険に加入していないために病院へいけない貧困層がある。401k年金で投資先が破綻したために無年金となった人々が多数いる。
 GMの主要債権者もクライスラーの債権者も、この期に及んでも債務圧縮に応じない。自分さえよければいいという価値観で経済社会が動いている。

 日本の伝統的価値観は職人仕事や商人道にある。
 「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よし、自分だけがよければいいという価値観は卑しいものとされる。売り手さえよければ買い手も世間もどうなっても構わないというのがサブプライムローンであり、「浮利」追求の最たるものである。
 他人が見ていなくても仕事の手を抜かない、日々自分の技術を磨きその都度最善の仕事をするのが「職人道」である。
 時に損なことも厭わない。そうした人々が1割いれば経済社会は安定する。

 200年を超える歴史をもつ企業が日本には3000社あるという。全世界でも4000社未満なのになぜ日本に3000社もあるのか。「売り手よし、買い手よし、世間よし」の精神で信用第一の商売を続けてきたことが3000社もの企業を200年以上生きながらえさせてきたのである。
 対照的なのは米国ばかりではない、3000年の歴史を誇る中国も同列である。人口13億人の国に200年を超える歴史をもつ企業はわずか10指に満たない。人間相互の不信の上にビジネスが築かれているからだろう。

 「騙されるほうが悪い」というのが欧米のそして中国の論理である。
 信用第一に、自分の損得はさておいても、日々技術を磨き、真面目に最良の仕事をして報われる経済社会が理想であるとすれば、最近数百年を観察すると、世界中で日本が一番理想に近かったのかもしれない。
 昨日の麻生・鳩山両党首討論をみても、どんどん理想から遠ざかりつつあるのが気になるところである。

 2009年5月28日 ebisu-blog#593
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