7月半ばを過ぎたのに、根室高校の方から公表がない。根室高校進路指導室が太志(タイシ)君へ合格体験記を書くように依頼したのに、その公表がありません。
 これから難関大学を目指す後輩たちへ残しておくべき貴重な意見が述べられているので、わたしの独断で彼の書いた合格体験記をアップします。こういうことで大人が、とくに教育関係者が約束を破ってはいかんのです。
(道北道東推薦での合格者10人中、総合得点2番で合格しています)

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 皆さんこんにちは、岡田太志です。この度はコラムを書くという貴重なお話をいただけて、大変光栄に思っております。本来なら講話という形で学校に伺いたかったのですが、昨今の新型コロナウィルスの流行のため、このような形となりました。私の伝えたいことが文章で全て伝えきれるか不安ですが、頑張って書いたので最後まで読んでくれたらうれしいです。


 さて、私からお話ししたいことは大きく分けて4つあります。
    常に自分の進路に関する情報に、アンテナを張ること
    努力の方向を見誤らないこと
    勉強は計画的にすること
    進路に関することは絶対に自分で決めること 
 まずは一つ目からいきましょう。私は今回、道北・道東特別選抜という制度で旭医大に入りました。一般入試ではないんです。もちろん一般入試でも出願していましたが、推薦入試を使うことで、単純に考えても、合格のチャンスが一回増えるわけです。でもこういう耳寄りな情報は、先生が提案してくれるとは限りません。実際私も自分から先生に提案しました。
 常にアンテナを張ることで、進路実現が一歩近づくかもしれませんよ。


 次に二つ目ですが、田舎の学生にとって最も難しいのがこれです。自分と同じ進路を希望している都会の学生がどんな参考書を使っているのか、どんな授業を受けているのかなど、合格するためのいわばセオリーのようなものを掴む必要があります。そのために、積極的に大手予備校の授業(オンラインもあるよ)を受けたり、インターネットを使って情報収集したり、塾の先生や、進学校出身の先生にアドバイスを貰ったりと、自分がどこを向いて勉強していけばいいかを明確にしてください。厳しいことを言えば、どれだけ努力してもその方向が違えば、意味がないんです。そうならないためにも、日本中の目に見えないライバルを常に意識して勉強してください。


 三つ目にいきましょう。皆さんも中にもテストの三日前になって、「やべー、なんもやってねー」ってなったことのある人もいるはず。それは受験でも同じことですよ。何月までに何を終わらせていなきゃいけないのか。それは人それぞれ違いますから、「学校でまだやってないから、やらなくてもいい」は言い訳になりません。学校の授業進度にかかわらず受験はやってきます。自分の進路に応じて、予習復習のリズムをつかんでください。



 最後に四つ目ですが、これが、私が皆さんに一番伝えたいことです。「先生がこうしなさいって言ったから、親がああしなさいって言ったから」という進路の決め方では、100%後悔します。それで失敗したときに誰のせいにしていいか分からなくなりますよね。なので、自分の希望と先生もしくは親の希望とが違う場合は、双方が納得するまで話し合ってください。「模試の成績が悪いからこの大学はあきらめろ」と言われても本番はどうなるかわかりません。(まぁ無謀なこともあるよ)私も11月の河合の共テプレよりも本番は70点上がりました。最後の一年、半年、二か月、一か月、一週間、一日まであきらめずに勉強すれば、点数はどこまでも伸びます。むしろ田舎の現役生のほうがこの伸びはすさまじいものです。先生をびっくりさせてあげてください()



まだまだコロナ禍が続きそうですが、皆さんの成功を祈っております。 
 最後に私の進路実現に向けて力を貸していただいた全ての方々に感謝を申し上げます。

 追記;ここまでたいそう偉そうなことを書いてきたけど途中で「俺医者になれんのかな、しんどくない?」って何回も思いました() 


最後まで読んでくれてありがと 



岡田太志


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 この「合格体験記」は3月1日にメールで学校に提出したワードファイルの写しを私宛に送ってくれたものです。

 2/21に7年間を振り返った手紙をもらっています。そこから二つピックアップします。
僕が先生から学んだことは、学ぶ楽しさや何か大きな問題を解決するには、幅の広い分野に精通する必要があること、そして大人相手でも、正しいことを論理的に主張し交渉すれば、自分の意見は通るということです。(そのおかげで、学校の先生には嫌われましたが(笑)今後はちょっとおとなしくしています(笑)

最後に、僕に学ぶことの楽しさ、受験勉強ではない、本当の学び方を教えていただきありがとうございました。ここからが、先生に学んだことが真の意味で生きる時だと思っています。学校の先生はもちろん両親も僕が現役にこだわっていることに否定的な中、最後まで僕を信じて、応援してくれたこと、僕の荒々しい発言から、真意をくみ取ってくれたこと等々本当にありがとうございました。

 言葉の一つ一つにその時のシーンが思い起こされます。愉しい生徒でした。いつもの席に君が座っていない、一月ほどは喪失感がありました。そしてまた、新しい生徒たちと向き合っています。別な物語が始まっているのでしょう。

*#4587と併せて読むと事情がよくわかるようになっていますので、ご覧ください。

<国語のユニークな学力アップの仕方>Oct. 9, 2021追記
 国語の学力アップは音読トレーニングで7年かけて培いました。どういうものを読んでどのようなやり方をしたのか#3395「Z会Vテストで全国レベルを知る」に書いておきましたので、チャレンジしたい人は参考にしてください。この生徒は根室高校から旭川医大に現役合格、小論文試験で300点満点のテストで295点を獲っています。道北・道東推薦枠で2位で合格しています。この推薦枠は志願者の半数を共通テストで切り捨て、残った13名に面接試験と小論文試験をそれぞれ300点満点で採点し、共通テストと面接と小論文の総合点で合否判定をしています。面接の点数はよくありませんでした。共通テストの得点が高かったのと小論文でトップだったので2位でした。(笑)
 旭川医大は合格者へ獲得点数と順位を文書で通知しています。オープンで公平なやり方ですね。

<四項目箇条書法>
 この小論は小寺さんの四項目箇条書法で書かれています。司法試験や公認会計士二次試験などの記述式試験は、この四項目箇条書法が強力な武器になります。この方式で答案を書く練習をすればいいのです。覚えるのは問題ごとに箇条書きの四項目だけでいいのです。だから消費する記憶容量を数分の一に減らせます。小論文作成や記述式問題にはベストな方法の一つです。
 太志には概略説明をしただけで、小寺さんの書いた本を数日貸しました。それだけです。
 日本語音読トレーニングでさまざまな分野の語彙のインプットは6年間かけてやりましたので、これくらいの文は、焦点を四つに絞ってすらすら書けます。旭川医大の課題小論試験で300点満点で295点をとった生徒の作文技術の一端が現れています。わかりやすい文章で自分の考えていることを表現する、社会人になってからこそ大事な技術です。一部上場企業へ就職しても、これだけ文章力があれば取締役にはなれるでしょう。もちろん仕事で実績を上げることは言うまでもありません。

原作小寺次男、編集鈴木朗『高校生が絵を担当 総合力アップのためのガイドブック 夢こそ生きる力企業人の教えが生きカエル』出版「星奈のお店」
 残念ながら、絶版になっています。イラストがオシャレで注のつけ方もセンスがいい。読みやすい本ですし、役に立つので、再版されたらうれしい。

<余談:25年後の根室の地域医療>
 古里に戻って私塾をやっている間に、30年後の根室の地域医療を支えることのできる人材を育てようと思いました。市立根室病院の年間赤字額は17億円、常勤医は12名前後が続いています。「ふるさと納税制度」が無くなったら、根室の地域医療は崩壊します。
 私の専門分野のひとつはマネジメントです。常勤医を20名に増やして、年間赤字額を5-7億円減らす具体的な方法があります。市立病院の経営の仕方についても授業の合間に議論してました、着々とやってくれたらいい。
 何かをやろうと思ったら、世の中には30年かけなきゃいけないことがあります。
 今でもできるのですが…そういう仕事を担える人材が根室にはいないようです。


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