2002年11月に古里根室へ戻ってきて、明治町のSSにはずっとお世話になってきた。当時は中学時代の同級生がそのGSを運営している会社の根室支店の課長だった。そのご、めでたく根室支店長となり、しばらく仕事してから退職、やや間があってから、燃料関係の組合の仕事をしている。あいつは人柄がいい。このごろちょっと体調が悪いのは、地域医療と関係があるが、今回は触れない。
 2日前に閉店の通知が来て、昨日明治町のSSへ給油に行った。給油してくれた人に、「残念だな、ここがなくなるのは寂しい、異動先は決まった?」と訊いたら、ほとんどがイーストハーバーホテル向かい側のスタンドへ配置換えになるそうだ。遠くなるがそちらを利用することになる。光洋町から行くと道路の反対側だからどこかでUターンすればいい。西浜町のショッピングセンターにあるホクレンショップへの買い物帰りならよりやすい。

 根室のSSは船舶用のA重油の売上が圧倒的多かったのだろう。水産資源量の減少で、減船減船がこの50年続いているので、売上の減少は止めようがない。そして、この十年間ぐらいで自動車の燃費が大幅に改善され、車種によっては2倍以上に燃費が伸びているので、ガソリン消費量も半減だろう。人口が減少すれば冬の燃料用灯油の売上も減る。人口は最盛期の半分、加えて、若い人たちの生活スタイルが車離れを起こしている。都会で非正規雇用だと車を買えるはずもないが、根室はバスが頻繁に走っているわけではないので、車がないと仕事へ行くのに不便、都会ほど車離れは起きていないようだ。その分、家計を圧迫している。スーパーへ買い物に行くと駐車場にある車のおよそ半分は軽自動車である。

 社会保障・人口問題研究所の地域別人口推計によれば、いま2.5万人の人口が2040年には1.5万人となる。毎年500人ずつ減少したら、1.5万人だが、この数年間は600人を超えている。新しい推計値が出るたびに、2040年度の根室市の人口はしぼんでいく。

 いずれガソリンスタンドはセルフだけになるのかもしれない。人を雇っているGSがある間はそこを利用したい。スーパーも4つのうち一つは確実に撤退するだろう。採算割れすれば、本部の判断で簡単に閉店が決まり、人口の多いところへ新規出店となる。しかし、日本全体が人口減少するようになれば、新規出店が不可能になるから、閉店になっても新規出店なしというときが、間近に迫っている。
 水産加工会社も水産資源量の減少が続いているから、智慧を絞って高付加価値の加工へ転換できない企業や若い人に見向き去れない企業を中心に3割は消えるのだろう。地元企業が経営破綻すれば、そこで働いていた人たちは職を求めて、外へ出る人が増える。
 地元企業の経営者も後継者がいないところが増えている。息子を東京の大学へ進学させて、「じり貧だから、戻ってこなくていい」と伝えた経営者もいる。できの好い息子が後を継ぐなら、何とか生き延びられるかもしれないが、できの悪い息子が後を継いだら、従業員が気の毒だ、会社は消滅する。

 そういうわけで、10年先、20年先までどうやって生きていくのか、人口減少下でどういう長期的な経営戦略で生き残るのかを決めなければならない。回転寿司店ハナマルのように根室から出ていくという選択もある。


  地元企業の経営改革をリードする役割が、経済諸団体に求められているが、商工会議所、青年会議所、中小企業家同友会、ロータリークラブ、ライオンズクラブ、水産業界諸団体のいずれがそういう役割を自覚し、担うのだろう?

 資源だけで食ってきた時代はとっくに終わりを告げている、根室の地元企業経営者たちはどういう長期経営戦略をもって人口減少に臨むのか
(地元の金融機関である大地みらい信金、根室漁業組合、歯舞漁業組合、落石漁業組合、湾中漁業組合、ピンからキリまで数多(あまた)ある水産加工会社、蟹の卸売り企業、建設会社、輸送会社、どの企業も例外なく経営戦略の転換と従業員への説明を迫られる。信金はお金を貸し付けるだけではじり貧となる。地元企業の上場を支援して、上場前に未公開株を取得して利益を稼ぐぐらいのことはやらなければならないだろう。地元企業と大地みらい信金の共存共栄の道である。)

 結局、従業員を大事にし、お客様が何を要望しているかに敏感に反応し、仕入先やそのほかの取引先を大切に思い、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」を貫く優良な企業が生き残る。

 人口減に対応した、縮小戦略を上手にやれる企業は多くはない。理由は簡単、有能な経営者は稀だからである。変化が小さい時は無能な社長でもやれるが、変化の大きな時代はそうはいかぬ。舵取り如何(いかん)で浮いたり沈んだりする。

 エネオス明治町曙町SSは上手に閉鎖、イーストハーバーホテル前店への統合を実行する。
 そこで働いている人たちがいる、こういう穏やかなやりかたがいい。閉店通知の手紙が来た時に、働いている人たちが、遠くの他の町へ異動しなければならないのではないかと心配だった。


*#4014 教育と地元企業の経営改善こそが町の未来の決め手 Jun. 9, 2019
https://nimuorojyuku.blog.ss-blog.jp/2019-06-09



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 エネオスからの通知書を確認できたので、「根室明治町SS」と訂正しました。ガソリンスタンド店名のミスを投稿してくれた石動さん、ありがとう。(2/22午後7時追記)