B中の三年生が小さなプリントを2枚もってきた。難易度の高そうな数学の問題が載っていた。分野は「円と円周角/中心角」なのだが、8題中6問がわからなかったというので、質問を受けた。授業の終わりのほうで先生がざっと解説したようだが、呑み込めなかったという。
  弧の長さと円周角は比例関係がある、そこは教科書にあるから、慣れればいいだけ。円に内接する四角形の性質を利用すれば、問題を解く手がかりが見つかるが、高校の範囲である。勘のよい生徒は、教えなくても内接四角形の対角の輪が180度であることにすぐ気がつく。発展的内容として教えていいはずで、生徒が聞き漏らしたのだろうか。
  難易度から判断して、おそらく、どこかの私立高校入試問題からの採録だろう。道立高校入試には出題されない種類の問題だった。

  この生徒は2週間前に平成22年度(?)の入試問題の「大問6」が解答を見てもわからないので解説してほしいともってきた。平面座標と三平方の定理と確率の複合問題である。3分野の複合問題はわたしの分類ではCクラスの難易度。三平方の定理は学校ではまだやっていないから、そこをやってから説明するから、そのときにもう一度もってきて質問するようにと伝えた。三平方の定理の基本問題を一通りやってからでないと、解説しても理解できないだろう。
  根室高校入試には裁量問題が使われているから、そろそろこうした複合問題にトライしないと間に合わない。定期テストで、3分野の複合問題は見たことがないから、生徒は独力でやらざるを得ない。教科書全分野を終わるのは、早くても1月末だから、生徒たちは1か月しか複合問題にトライする期間がない。これでは3分野複合問題はアウトだ。
  1月末までに教科書を終わればいいというのは、最低限のことで、できれば12月中に教科書を終えて、複合問題の演習を授業でやってもらいたい。根室高校普通科は裁量問題なのだから。

  ところで、学力テスト総合C(11/9実施)のB中3年生の数学平均点は14.5点(60点満点)、20点以下が56人中40人だから、71.4%を占めている。この生徒たちは3分野の複合問題は学力的に無理だろう。2分野の複合問題を2か月くらいみっちりやってあげたら平均点が伸びる。
  根室高校普通科ひどくレベルが低下してしまったが、なぜか裁量問題を採用している。10年前は150点でも不合格だったが、根室西高校の廃校が決まってからは合格最低点の底が抜けてしまった。五科目合計点が50点でも合格できるだろう。
  五科目合計点で100点以下は不合格とすべきではないのか、まったくやる気のない生徒を公立高校で受け入れる必要はないとわたしは思う。甘やかしてはいけない、高校が荒れることになる。

  B中学校の三年生担当の数学の先生が、上位1割の成績の生徒に難易度の高い問題プリントを配布するようになったのは大きな改善である、拍手喝采したい。ちょっと難しすぎたかもしれない。8題中6問質問した生徒は、2年生の時は4回の定期テストで3回が90点越え、11月下旬の定期テストでも80点台だったから、上位10-20%の得点層である。B中の学年トップでも1時間で4問正解するのは無理そうだ。いい刺激になっただろう。

<定期テスト数学問題の難易度チェック>
 学力テスト総合Cの平均点(百点満点換算)と定期テストの平均点を比べる。
         C      定期テ    差
 B中: 24.2   60.7   +36.5
 C中: 18.2   40.2   +22.0

  数学に関しては、どちらの学校も定期テストの難易度が学力テスト総合Cに比べて著しく低い。とくにB中は定期テストの難易度がゆるすぎる。
  C中は難易度をだいぶあげたように見える。両校に共通する問題は低学力層へのテコ入れである。

<高校1校体制の弊害>
  今年度の入試から、根室西高校が募集を停止したので、根室高校1校体制になっている。だれでも入れるから、成績下位層に勉強をしない生徒が増えた。それは学力テストの平均点の低下にはっきり表れている。学力テスト総合Cの五科目平均点はB中学校が102.9、C中学校が100.8点である。いままで、100点を切った学校は見たことがないから、過去15年間で最低水準にある。
 気になって、B中学校2年生の11/9実施の学力テスト平均点を見たら、500点満点で184.5点、200点を大きく割ってしまった。この学年も勉強にやる気を失った生徒が増えた。

  学力上位層の枯渇化現象がどんどん進んでおり、それに加えて、高校1校体制でだれでも根室高校に入学できるから学力下位層のなかでまったく勉強をしない生徒が増殖している、その結果学年平均点がガンガン落ちていく。
  この子たちが、20年後30年後に根室の町を支える主力である。教育を軽視すれば町の未来がどうなるかは火を見るよりも明らかだろう。
 一番困るのはますます人材難にあえぐことになる地元企業経営者ではないか?地元企業が人材難で倒れていけば、根室の人口減少が加速する。10年後、20年後、30年後の根室の町は、いまわたしたちがなにをするかで決まってしまう。10年たってからあわてても手遅れ。自分たちの町の未来はそこに住む者が決めている。


<B中学校2年11/9の学力テストデータ>
 ハンドルネーム麒麟さんから投稿欄を通じて要請があったので、B中学校2年生の11/9学力テストデータを貼り付けます。
 EXCELへ入力して分かったのですが、五科目合計平均点人数合計と科目別の人数が一致していません。五科目合計点の分布表のほうは受験者数ではなくて、在籍人数かもしれません。

 



国語
56.2


社会
26.9


数学
31.6


理科
36.6


英語
33.2


合計
184.5




 「得点分布図」に記入してある人数を合計すると55人ですが、科目別分布表の人数を加算すると次のように一致していません。






<科目別得点分布>
 
 
 


 
国語
社会
数学
理科
英語


91-100
1
0
0
0
0


81-90
6
0
0
1
2


71-80
8
0
1
3
2


61-70
9
0
0
7
5


51-60
15
5
7
3
2


41-50
6
6
8
4
3


31-40
3
12
12
16
13


21-30
2
11
15
9
10


11-20
1
11
5
5
11


0-10
2
5
5
3
4


合計人数
53
50
53
51
52




 人数が科目ごとに異なっていますが、仮にこちらが実際の人数だとすると、科目別合計点は次のようになります。





 
  合計点
真の平均


国語
3091
58.3


社会
1479.5
29.6


数学
1738
32.8


理科
2013
39.5


英語
1826
35.1


合計
10147.5
195.3





 最初の表の平均点に55人をかけた数値が「合計点」です。それを科目別得点分布表の科目別合計人数で割ってだした平均値が「真の平均」です。五科目合計の平均値は、「真の平均値」を合計しています。

 在籍人数が55人だとすると、当日試験を受けなかった生徒が、科目ごとにバラバラなのもちょっと気になります。あとで受けさせたのも加算して科目別平均点を算出したと仮定すると、最初の表の数値は正しい。どういうデータ処理をしたのか、担当している方に確認しないことには、たしかなところはわかりません、悪しからず。


 3年前がどうだったのか、ご覧ください。C中は130点台だったのに、どうしてこんなに下がったんでしょう。市街化地域で断トツに学力が高かったB中学校は3年前もいまと変わらないほど学力が低下してしまっています。(12/10追記)
*#2900 学テ総合ABCで全国平均レベルはどれくらいの得点か  Dec. 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-10

*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-13


            70%       20%