< 海底トンネル内高速化にObjection(異論)! >
 11月23日の北海道新聞1面に「東京-新函館北斗 3時間台へ青函高速化」「JR検討着手」「トンネル限定」という見出しが載っている。
 北海道新聞から拾うと、「青函トンネル53km内の走行速度について、現状の約時速140kmから同160km程度に高速化する方向で検討に着手することを明らかにした」となっている。
 「北海道新幹線の最高速度は同260kmだが、青函トンネル内を含む貨物列車との共用区間(約82km)では風圧による荷崩れや、地震時の脱線・転覆を防ぐため、同140kmで走っている。」
 強い要望を出しているのは地元経済界、「青函共用走行区間高速走行早期実現協議会」だそうだ。

 時間短縮の利便と貨物輸送のタイミング調整の不便さ、そして海底トンネル内走行高速化によるリスク増大、これらの要素を秤にかけて判断すべきだろう。こういうときに、地元経済界の代表や特定の団体だけで決めていいものだろうか?一般市民が検討の場にいないことに意見が偏ってしまう危惧を抱かざるを得ない。

 データを分析することも議論には大事な要素である。いったいどれほどの時間短縮になるのか、新聞には出ていないので、計算してみよう。
 距離と時間と速度の文章題は6年生で出てくるが、その程度の算数・数学知識で確認ができる。要点は記事を鵜呑みにせずに自分で計算することである。数学は、新幹線海底トンネル内高速化の是非を一般市民が判断するために役に立つのである。

 時速140kmで52kmのトンネル内を走行する時間を計算してみる。
    52(km)/140(km/h)=0.371(h)
    52(km)/160(km/h)=0.325(h)
      a-b=0.046(h)=0.046(h)*60(h/m)=2.786(m)=2min47second

  時速140kmを160kmにアップしてもわずか2分47秒の時間短縮にしかならない。具体的なデータを挙げない議論にはどこか胡散臭さが付きまとう。3分に満たぬ時間短縮のために、函館まで4時間を切るために、貨物輸送に制限を加え、乗客にはトンネル内事故のリスクを増大させることになる。
 新幹線利用者のだれがそんなことを望んでいるだろう。女房殿は東京へ行った帰りに実家のある青森へ立ち寄り、函館のお寺で墓参りしてから戻ってくるが、トンネル内のスピードアップはごめんだと即答、怖いというのだ。

 わずか2分47秒短縮して4時間を切っても、実質的な意味はない。誰かの見栄を満たし、観光産業のコマーシャルに役に立つだけ。 
 わたしは、トンネル内走行を120kmに落としていいと思っている。海底を走っているのだから、JR北海道はなによりも安全走行を第一に乗客と貨物の輸送を心がけていますと、大見得を切ったらよい。

 北海道の食料自給率は200%である、物流に新幹線の線路が共用線として貨物輸送にも使われている、貨物輸送の安全も道内の経済にとっては大事な要素なのである。
 食の安心安全だけでなく、旅客輸送と貨物輸送の安心安全も大きな声で発信したらよい。

<基礎データ>
 九州の面積   36782km^2  人口 1302万人(H27年調査)
 北海道の面積 83434km^2  人口 538万人(々)
 人口密度の比は、354人/km^2:65人/km^2 ⇒ 11:2 
 
 *http://www.google.co.jp/url?url=http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/tuk/001ppc/10pwsokuhou.htm&rct=j&frm=1&q=&esrc=s&sa=U&ved=0ahUKEwitl8uJi8DQAhWLfrwKHUYdDWUQFggaMAE&usg=AFQjCNEtYudEPnDxXDRU50jB3ulVMMnxTA
 

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