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#3464 意外な事実にびっくり:釧路と根室  Nov. 23, 2016 [64. 教育問題]

(1)生活保護世帯のパーセントが大きければ学力は低いか?
 道内で生活保護世帯の一番多いのは釧路、では一番少ないのはどこ?そう根室です。生活保護世帯が多いほど学力が低いと言われてきましたが、学力テストの平均値でみると生活保護世帯比率の小さい根室市の子供たちは道内で一番生活保護世帯の比率の多い釧路市の子供たちより学力が低いのです。不思議ですね。
 根室市教委さん、こんなデータ知っていましたか?

(2)定期テスト問題の使いまわしの功罪
 定期テストの使いまわしは仕事の手抜き。
 塾の「定期テスト過去問対策」はズルの奨励。
 まだそういう先生や塾があるんですね、釧路の実態を知ってびっくりです。
 こういうことを通じて、学校の先生や塾の先生たちは生徒に「仕事は手抜きして当たり前」「目先の得点アップのためなら、学力向上無視のズルをせよ」と教えているんです。こういうのを教育界では「隠れたカリキュラム」というのだそうです。「隠れたカリキュラム」とは「意図しない教育」のことを指しています。文科省の資料から定義を引用しておきます。URLは脚注にあります。

「隠れたカリキュラム」とは、「教育する側が意図する、しないに関わらず、学校生活を営むなかで、児童生徒自らが学びとっていく全ての事柄」を指す。

 ブログ「情熱空間」が興味の尽きない話題をアップしています。2本続けてよいしょ!

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8657835.html
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2016年11月21日

要保護及び準要保護児童生徒割合と学力の関係(相関なし!)

要保護及び準要保護児童生徒。

経済的理由により、小中学校への就学が困難な児童生徒をもつ保護者に対して、学用品費、学校給食費など就学に必要な経費の一部を助成する制度、「要保護及び準要保護児童生徒就学援助費」というものが設けられています。

さて、実に興味深いデータを見つけました。北海道の管内別のその児童生徒数の割合(教育便覧2016 北海道教育庁総務政策局教育政策課編から)です。

北海道…23.1%
釧路管内…31.7%(MAX)
根室管内…13.7%(MIN)


他管内の数字は割愛しますが、釧路管内が最も高く、根室管内が最も低い。実に意外でありました。生活保護率から釧路管内が一番高いのは予想通りでしたが、まさかまさか(釧路管内よりも一段と学力が低い)根室管内が最も低いとは…。ちなみに釧路に次いで高いのは、渡島管内の26.9%、上川管内の26.5%、後志管内の25.2%とのこと。

ここから導き出される結論です。地域の子ども達の学力とそれ(要保護及び準要保護児童生徒割合)には相関が認められないということ。ええ、実に大胆なものです(笑)。

親の経済状況はけっして悪いものではない。
それなのに子ども達の学力は、どん底レベル。

ごめんなさいね、根室管内はまさにそういうことになりそうです。(その意味、釧路管内は善戦しているとも言えそうではあります)ということはつまり、こうしたこともまた言えるわけですね。

地域の経済状態が、その地域の子ども達の学力を左右するものではない。
親の経済状態が、その親の子の学力を左右するものではない。


個々に見たならば、後者は当てはまる場合が多いのでしょうけれど、地域全体で見たならば当てはまるとは言えないものになっています。おもしろいですね。「親の経済状態」が問題なのではなく、「親の意識」が問題だと私は思う次第です。

ならばどうすべきか。啓蒙でしょうね、啓蒙。子育てを通して、どんどんどんどん親を啓蒙する、ってなことでしょうかね。地域が、子どもの学力問題に関して意識が薄い。親が、子どもの学力に関して意識が薄い。結局はそこに帰着するのかも知れませんね。

でもしかし、おかげさまで問題意識がこれだけ高まっているのに、未だにまともな結果を出せないってのは、それってどうなんでしょうね、釧路市教委さん(苦笑)。

《追記》
三世代同居率。
よく、秋田はそれが高いので学力が高いなどと言われますが、それもまた根拠に欠けますね。1位は山形県の21.5%、2位は福井県の17.5%、3位は秋田県と新潟県の16.4%とのこと。(全国平均7.1%)

北海道は下から5番目の3.9%ですが、管内別に見ると一番高いのはこれまた根室管内(8.5%)なんですね。つまり、根室管内は要保護及び準要保護児童生徒割合が低く、かつ三世代同居率が高いものの学力はしっちゃかめっちゃか…。ちなみに三世代同居率が最も低いのは東京。そりゃそうでしょう(笑)。

おもしろいですね、数字の分析って。

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http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8658265.html
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2016年11月22日

試験問題の使い回しが発覚!

こんな情報が飛び込んできました。

先日行われた、某中学校の定期試験。
そのうちの国語の定期試験問題。
なんとなんと、過年度の試験問題の使い回しが発覚!

某塾が対策で配った定期試験の過去問。
それがまるまんま出題され、満点得点が続出!

とか。

あらららら、今もまだそんなことをやっているんだ。
昔はけっこうありましたけどねぇ…。
釧路だとなぜか問題になりませんでしたが、たしか帯広だったと思います。
同様のこと、北海道新聞と記憶していますが、不正行為として大きな記事になったものでした。
20年以上前のことですが。

ちなみウチは、定期試験過去問を配ったりはしません。
そこはやはり仁義ですからね。
インスタント・付け焼き刃な指導はよろしくありませんし。

市教委や教育局へ保護者からのクレームが行っていると思いますが、しかしまぁ…。
いつになったら、こうしたことが改められるのでしょうか。

あまりにも簡単な試験問題。
そして使い回し。
やはり監視体制が必要なのでしょうね。


さて、今回は新聞記事になるのでしょうか?
例によって、「けしからん!」と塾のせいにして「再試験」をおこなって幕引きにするのかな?
生徒間の「LINE」で、随分と拡散しているようですけれど。

●いつからこんなにひどくなったのか?(12年前のNLから)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7557543.html
●プチ暴露(試験の使い回し他)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6927477.html
●試験問題を使い回す中学校
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/5314876.html

《追記》
塾の側も、定期試験過去問を配布しない。
その代わり、学校もまた使い回しはしない。
紳士協定が必要だな、うん。

こんなことで、子ども達がしめしめと、「損得の味」をしめたら大変ですからね。
自分がなにを「しでかした」のかを、じっくり考えていただきたいものです。
悪しき慣習、いや蛮行ですね、これは。
もうそろそろピリオドを打ってほしいものです。

《追記2》
ebisuさんのコメントです。

定期試験問題の「使いまわし」はいけませんね、仕事の手抜きです。

それにしても、定期試験の過去問をテスト対策と称してやっている塾が釧路にもあるんですか、ゲスの極みですね。

根室にもそういう塾があるらしくて、現中2の生徒ですが、1年生のときの最初のテストと2回目の期末テストでは、「塾のテスト対策」で過去問で一生懸命に勉強している2位の生徒と合計点数の差が小さく、最初の2回だけデッドヒート状態でした。勉強の仕方が学力にどのような影響を与えるか観察していたら、毎回2位との差が広がっていき、11月の学力テストでは470点超、2位との差は110点に拡大しています。

数学も英語も1年先をやっているので、この生徒は定期テスト対策はゼロです。
まともな勉強法で学力をアップさせたら、点数はあがります。点数上げるための勉強したら長期的には学力の伸びが止まってしまう典型的な例でしょう。(後略)

そうなんです。
目先の得点、定期試験の得点「ばかり」を上げにかかったならば、それは長い目で見たなら学力の伸びを抑止してしまうんです。
だから、塾での過去問配布はよろしくない。
ウチは、下線部の意味が分かる保護者の子どものみ通っていただきたい。
肝心なのは、勉強の仕方と習慣づけなのですから。

そのように考えております。^^

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< 余談 >
 本音を言うと、難易度の低い学力テストでの高得点はほとんど意味がありません。出題の難易度をBレベルが半分、Cレベルが半分だとしたら、学力テストで数学満点の生徒でも、70点は取れませんから。60点がいいところでしょう。高校に入学してから、全国模試(進研模試)を受験して、全国レベルの高さを知ることになります。難易度の高い問題を中学生のうちからやらせ、高校数学を予習しておかないととても80点は取れません。1・2年生で学校の授業や定期テストに出題される難易度Aの基本問題の出題は全国模試ではゼロです。センター試験に難易度をあわせているのでB問題以上のレベルでの出題です。
 北海道の中学校でやっている学力テストの出題レベルはAが8割、Bレベルが2割です。そういうレベルの問題ばかりやっていてもそれほど頭は働いていません。難易度の高い問題でないと頭は働かないようにできています。難易度の高い問題集をひとつ挙げておきます。根室市内の市街化地域の中学校のトップ(学力テストで数学百点)でも、半分正解できる生徒はいないでしょう。

 『国立・難関私立高校制覇ハイクラス徹底問題集 高校入試 数学』 文理


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(注)
*隠れたカリキュラム ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%A0

 文科省資料 「隠れたカリキュラム」の定義
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/jinken/06082102/004.htm

*#2138 データと分析(2)語彙力がないままの学力向上はない Nov. 25, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-25


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ハイクラス徹底問題集:高校入試編 数学 (国立・難関私立高校制覇)

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相川始

ebisuさん、おはようございます。

根室が学力が他地域より低いのは、「一般的な収入が少ないことで、質の良い学習を受けることができないため」という理由以前の問題かと考える。

根室の場合、閉鎖的な地域環境が大きく影響しているのではないでしょうか?

市内の中で村意識が高いのか、「競争」ではなく「共存」が多く見える。それが悪いわけではないが、「競争」ができないところはいずれ衰退するしか道がなくなる。
それを避けるために他より良いものを追求し続けるところが生き残る確率を上げています。
市政は「オール根室」という御旗をよしとして、継続してるけど、数十年以内に瓦解することになるのでは?

学力も同じです。
根室だけのレベルで満足する環境を提供し続けてしまうと、学力の向上など望めません。また指導する側もそれで満足するため、さらに上を教えるという指導をしなくなってしまいます。
指導者は、勉強を教えるだけではありません。
・勉強の大切さ
・向上心の大切さ
・知識の重要さ
などを教えることも重要と考えます。

しかし勉強ばかりの環境も弊害をきたします。

医者などはその典型的なケースではないでしょうか?
医者は、おおよそ医大などで勉強し、特定の環境下でのみ過ごし続け、その環境下のルールが、世の中のルールと思う人もいます。

特定の環境下だけで過ごすと、一方方向しか見え亡くなる恐れもあります。
それでは未来への可能性を潰しかねないのではないでしょうか?
by 相川始 (2016-11-23 10:14) 

ebisu

相川さん、おはようございます

いい問題を二つ提起してくれました。
オール根室だけが瓦解するのは自滅ですから、そういうのを自業自得といいますが、根室の町を道連れにすることになります。自分たちのしていることが見えないのですから、悔い改めることはなさそうです。
オール根室のメンバーの中から、しっかりした倫理観をもった若い人たちが現れることを期待します。

相川さんは指導者が教えるべきことを三項目挙げていらっしゃいます。
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・勉強の大切さ
・向上心の大切さ
・知識の重要さ
などを教えることも重要と考えます。

しかし勉強ばかりの環境も弊害をきたします。
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「指導者」ではありませんが、私塾の先生としてわたしも「生徒指導者」の端くれではあります。

二つ目の問題は、偏差値の高い大学を出ても倫理観がダメな者はダメということ。
さらに進んで、高い学力とともに自分の利害は後回しにしてみんなのために考えるという倫理観も併せ持っているのが理想であるということ。

もっと卑近な例を出します。
たとえば、「定期テストの過去問対策」は点数を即効的に上げる手段として即効薬でますが、学力向上には何の関係もありません。
それでも、誘惑に負けて、定期テストで「過去問対策」をする塾もあるし、それで喜ぶ生徒もいます、もちろんそうしたやり方を歓迎する親たちもいます。
どうみても、道を踏み外しているようにしか見えません。
定期試験の過去問対策が有効であるのは、学校の先生たちの一定の割合が、毎年同じ問題を使いまわすとか、半分くらい同じ問題を出題することを前提にしています。学校の先生たちが仕事の手を抜くことを前提の話です。塾も真っ当な学力向上から手を抜き、「即効薬」で効果をあげようとします。なんだか、覚せい剤やモルヒネの話をしているようで気分がよくありません。要するに、過去問対策が有効であるのは、学校の先生と塾の先生の両方が仕事の手抜きをしている場合に限定されます。そういうことを長い間続けたら、そういう「近道反応」すなわちズルをする人間が根室の町に増殖することになります。そうなっていませんか?「オール根室」の面々にそういう一面が見え隠れしています。
目先の点数をアップするために、ズルはしないというのは、長期的に学力を向上させる点でも、生徒たちの倫理観を育み精神を鍛える上でもとても大切なことです。根室の町の未来にとっても重要なんです。
学力向上とともにそういう倫理面での教育を一緒に考慮した指導を行っているかどうかが学校の先生たちや塾経営をしているわたしたちに問われています。

目先の点数にとらわれず、長期的な視点で学力を上げ、倫理観を育てていれば、「オール根室」のようにふるさとのことよりも自分の利害損得を優先して考えてしまう情けない大人はずっと少なかったでしょう。市政と癒着する地元企業はもっとすくなかったに違いありません。

高校を卒業してから東京の学校へ進学して、東京で働き、35年ぶりにふるさとに帰還して小さな私塾を開いたわたしに目には、過去40年間の根室の教育の膿が現在の根室の町の衰退となって流れ出ているように映ります。
オール根室の面々は自然とおがった(生えた)のではないのです、それなりの教育環境、それなりの隠れたカリキュラムでそのように育ったのではないでしょうか。

教育に携わる者は、知識を教えると同時に倫理的な判断基準も、学習指導を通じてしっかり伝えるべきです。
教育にたずさわって飯を食べている者は、ふだんの自分の判断や指導の仕方が、隠れたカリキュラムとなって生徒たちに意図せざる教育をしていることに注意深くあるべきで、常々用心すべきです。

ニムオロ塾は勉強を教えているだけではありません、ズルをしないこと、卑怯な振る舞いをしないことを、学習指導を通じてしっかり生徒たちに伝えています。
来年4月から、水曜と土曜の授業を停止します。体力を考え、できるだけ長くやりたいからです。
しっかりした人材を数十人根室に残すことができれば、わたしの役目は果たしたと言ってよいでしょう。30年後の根室を支えるにはそれだけで十分です。

by ebisu (2016-11-23 11:31) 

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