2017年度から、根室の二つの高校が統合されます。高校問題検討委員会は統廃合後の高校に普通科単位制と商業科単位制、そして特進コースの設置を希望しています。

*平成26年2月7日「高校問題検討委員会だより」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/129f43a6348d73f449257a4e0004afea/$FILE/%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%96%E5%B9%B4%EF%BC%92%E6%9C%88%E7%AC%AC%EF%BC%98%E5%8F%B7.pdf

こちらをクリック⇒高校問題検討委員会たより 8号 - 根室


 道立高校に設置されている学科に「特進コース」は聞いたことがありません、「特進コース」があるのは私学だけですよ。
 学科の設置は「高等学校設置基準」に定められています。この学科の下に、「コース」を設置できるという記述はありませんから、おそらく無理なお願いなのでしょう。「高校問題検討委員会」のメンバーは高校設置基準をお読みになったのでしょうか?

*高等学校設置基準
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16F20001000020.html


 たとえば、釧路湖陵高校は、進学強化のために理数科を設置しています。もし特進コースのようなものを設置したければ、釧路湖陵高校のように理数科(2016年度偏差値67)のような学科の設置を要望するのが妥当なことのようです。
 仮に中位(=偏差値50)以上の大学へ進学する生徒が対象なら、1学年に何人いますか?それも確認しなければなりません。平成26年度の進学実績では偏差値50以上の大学への進学者は10人前後ではないでしょうか。下記資料をご覧ください。

*根室高校 進路資料
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/?page_id=31


 「高校問題検討委員会」は規定も前例もないことを道教委へ要望したようですが、それが可能かどうかの確認もせずに委員会は解散というのは拙速すぎませんか?
 規定も前例も、一つの学科を満足する人数もありませんから、文科省省令に新しい規定を加えても、希望がかなう確率は限りなくゼロです、どうするおつもりでしょう?

 根室の最高学府は道立高校1校ですから、そこがどういう形になるかは、地元経済に大きな影響があります。長期的に見れば、教育こそが町づくりの礎(いしずえ)ではありませんか?
 
 わたしが知らないだけかもしれませんので、道内の公立高校で「特進コース」設置の例があるところがあれば、コメント欄に書いてお知らせください。


*平成26年2月7日「高校問題検討委員会だより」
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/129f43a6348d73f449257a4e0004afea/$FILE/%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%96%E5%B9%B4%EF%BC%92%E6%9C%88%E7%AC%AC%EF%BC%98%E5%8F%B7.pdf

**#2310 高校統廃合はオープンな場で議論しよう May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26

 #2698 根室高校と根室西高校の統合問題 June 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-03-2

 #3189 根室管内の中学生の学力は全道14支庁ワースト2 Nov. 27, 2015 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2015-11-27


 
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《追記》29日朝
コメント欄へ重要な投稿がありましたので紹介します。ebisuの知らない情報やご意見、大歓迎です。
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オホーツク館内の美幌高校が、コースではないですが、進学クラスを編成していました、今もあるかわかりませんが・・・
ちなみに、同一校の普通科内で教科書を2種類使うことは出来ないです。普通科と商業科など異なる科ならオッケーです。
by 通りすがりですが (2015-11-29 07:17)

美幌高校のホームページを見てみたら、
今は、2年から特別進学コースがあるようです。
美幌も出来る生徒さんは、北見市の高校に抜けるので
その食い止めでしょうね!

根室には、昔住んでいた思い出の場所なので良くなってほしいです。
by 通りすがりですが (2015-11-29 07:26)

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通りすがりさんへ

なるほど、美幌高校は普通科の学校ですが、2年次から「商業・一般コース」と「特別進学コース」に分かれるようになっているのですね。
これは面白いシステムです。1年次は5教科に重点を置いて、基礎・基本を充実し、2年目から進路別に別れる。

「進路」データを見ました。根室高校の半分以下ですね。人数が少ないからではないかと定員を調べました。
普通科80名
生産環境学科40名
地域資源応用科40名
合計160名の学校です。
根室高校よりも1学級少ないですね。

この「特進コース」なら、すでに根室高校でもやっています。
2年次から「就職」「文系進学」「理数系進学」に分けています。
通りすがりさんが指摘しているように、普通科では同じ教科書を使いますから、五科目合計点で20-260点の学力差を考慮するとどのようなレベルのものを採用しても、学級崩壊が起きます。大体こういうときは学力の低いほうに合わせるので、全体的な学力低下は避けられません。

「特進コース」がこういう趣旨のものなら、道教委へ要請する必要のないものです。高校の判断でやれます

高校問題検討委員会が期待しているのは、私立高校の「特進コース」でしょう

残念ながら、「高校問題検討委員会」のいう「特進コース」の事例にはならないと判断します

でも、とっても参考になりました、本文へ追記しておきます、ありがとうございます。


by ebisu (2015-11-29 08:31) 
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*美幌高校学校案内
http://www.bihoro-highschool.hokkaido.jp/hotnews/files/00000800/00000855/docs_1.pdf?783281959

 美幌高校定員枠
https://www.minkou.jp/hischool/school/exam/4426/

 平成26年度進路状況資料
http://www.bihoro-highschool.hokkaido.jp/hotnews/files/00000800/00000848/docs_1.pdf?1648002335

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 【ebisuの意見】
 根室高校では、2年次からの進路選択に応じて普通科のクラス編成替えが行われています。私立高校の特進コースあるいは特進科(特別進学科)は別学科という扱いで、1年次からです。「高校問題検討委員会」が道教委へ要望したのは1年次からの特進コース設定と理解すべきでしょう。そして、それは制度的に不可能という結論で間違いなさそうです。

【看護系専門学校は理系だという誤解】
 根室高校生の間に誤解が蔓延しているので、ついでに書いておくことがあります。看護系専門学校への進路選択をしている生徒を理系クラスへ入れていますが、看護専門学校のほとんどが、国語・数学(Ⅰ・Aのみ)・英語、まれに生物が試験科目ですから、理系クラス選択の必要はありません、科目の比重を考えたらむしろ文系です。
 4大理系選択の生徒が十数人しかいないので、看護系を理系に入れているのは苦肉の策のクラス編成です。理系クラスを選択しなくても看護専門学校への進学は大丈夫です。塾へ通って1年間勉強すれば、ほとんどの人が間に合います。
 中3のときの文協学力テスト総合ABCの平均点が180点超の人は、独力で道内ほとんどの看護専門学校に合格できます。中学生のときに、しっかり勉強した人は、看護の職を選択しても学力の点では困りません。部活だけで学業をおろそかにした人は、高校で3年間しっかり努力しないと、届きません。

【江差高校特進コース】29日お昼に追記
 平成25年3がう26日付の高校問題検討委員会作業部会検討報告書がある。
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/129f43a6348d73f449257a4e0004afea/$FILE/houkokusho.pdf

 この報告書によれば、江差高校の例を挙げている。
「特進コースについては、江差高校で普通科単位制を導入した際に特進学級を開設して
おり、新しい高校においても開設できれば難関大学進学の対応が可能となり、市外流出
が尐なくなるとともに保護者の経済的負担が軽減されると考える。」

 江差高校の平成26年度の進学実績では、大学進学者18名のうち偏差値50を超える大学への進学は、北海道教育大函館校(偏差値52)ただ一人である。
*http://www.esashi.hokkaido-c.ed.jp/esashi/sinro/h26_shinrojyokyo.pdf

 学校の規模は1学年3クラスである。学校側の資料によると、各学年ABCの3クラス構成、普通科単位制で、科目選択で「特進コース」を自称しているようだ。
*http://www.esashi.hokkaido-c.ed.jp/esashi/gaikyou/27gaikyou.html

 これではまったく意味がない。私立高校の「特別進学クラス」とはぜんぜん違う。単なる単位制の普通科というだけの話である。
 進学実績という点から見ると、江差高校での「特進学級」の設置は効果なしということになる。高校問題検討委員会作業部会はいったい何を調べたのだろう?
公に選ばれて根室で教育問題を議論する人たちのやった仕事がこの有様、杜撰としか言いようがない、涙が出てきそうだ。

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**パトリオットについて二つブログ記事を書いているので、興味のある方は読んで欲しい。遠藤利國氏は青春時代の友人の一人である。若者よ東京で学べ!
#1029 『現代語訳 帝国主義』幸徳秋水著・遠藤利國訳
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-16

#1030 nationalism とpatriotism :遠藤利國訳・幸徳秋水『帝国主義』
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-05-17

***基礎学力不足の生徒たちが社会人として放り出されることにZAPPERさんは危惧を抱いている。今朝(8月1日)、ブログに釧路の小学校の道新記事をアップしたついでに次のコメントをつけている。

市内企業の中には子供たちの低学力を目の当たりにして、高卒新卒者の採用を取りやめるところもあるほどで、道中小企業家同友会釧根事務所(釧路)は「仕事では課題解決やニーズの発掘が不可欠で、その基本となる学力は必要」と期待する。

「釧路の子供の学力底上げへ(道新記事)」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/4031462.