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#4028 「3DK+書斎」を教員住宅の標準タイプとしよう July 7, 2019 [64. 教育問題]

 中学校や高校では、教えている教科の専門知識が最新のものではなかったり、浅い知識でうっかり間違ったことを教えると、学力の高い生徒は見逃しません。そういうところから学級崩壊が始まる場合もあります。
 集団授業で高学力の生徒に知的満足を与えることのできる先生は10%くらいなものです。扱いを間違えると収拾つかない事態が起きます。学力の高い生徒にリーダーシップがあれば、教師への不信感がクラス全体へひろがります。
 ふだんから自分の専門に関する本を読んで勉強するとか、教養を深めるとかしていなければ、知識と思考の浅さを学力の高い生徒は見抜きます。

 先生たちが毎日コツコツ勉強するには書斎があれば便利です。教員住宅を建て替えるときは「3DK+書斎」を標準にすればいい。作り付けの本棚を壁一面に備えます。
 根室管内は土地が安いので、予算が少しあれば建て替えの際に書斎付きの教員住宅を提供するのは簡単なことです。応募も増えますから、質の高い教員を確保できます。
 長期的に地域の子どもたちの学力を上げたかったら、教員の質のアップに寄与するような具体的な政策を練り、実施すべきです。応募が少ないので教員の質が維持できないなんて情けないこと言わないようにしましょう。知恵を絞ればいくらでも質の高い教員は確保できます。そして子どもたちの学力レベルもアップできます。

  学級崩壊のもう一つの大きな原因は一つのクラスに3人、授業中に騒ぐ生徒がいる場合です。普通の声で私語すると先生の説明が時々聞こえなくなります。上位10%の生徒はフレーズの一部が消失しても頭の中で復元できます。前後関係から話をつないで理解することができます。ところが大半の生徒は話の前後関係から、聞こえなかった部分を復元できませんから、次第に授業内容が理解できなくなります。その結果、クラス全体の平均点が下がります。どれくらい下がるかというと、一教科60点満点の学力テストで五教科合計点が20-50点もダウンしてしまいます。
 実際の事例を挙げておきます。2009年の柏陵中学校の2年生でそういうことが起きました。1年生ときに、あるクラスで授業中に騒ぐ生徒が3人いました。2年生でクラスメンバーの入れ替えが行われます。その三人が3クラスにばらけ、それぞれのクラスで増殖しました。学年平均点が下がりましたよ、はっきり。
 柏陵中学校は根室市内では一番学力の高い学校でした。140-165点が平均点でした。昨年はなんどか100点を切っていました。2010年の学力テスト総合A/B/Cはそれでも120点前後だったはず。
 学力の低い生徒を放っておくと、授業を聴いたってわからないので、退屈で私語をします、授業中に立って歩きます。昔ならゴツンと頭を叩くくらいなことをしましたが、体罰ということで禁止されていますから、先生は誰もやりません。生徒はそれを見越して騒ぎます。しまいには「殴ってみろ、できないだろう?」と、先生の胸ぐらをつかむ中学生すらたまに出てきます。家庭の躾も重要なのです。いくら学校で補修しても家庭でまったく復習しなければ覚えられません。家庭学習習慣は小学生低学年で躾けるのがベストです。そこで失敗しています。
 何より重要なのは、学校の先生たちが学力の低い生徒を放っておくことです。これは一種のネグレクトですよ、日本語でいうと「虐待」です。部活指導よりも学習指導の方が大事に決まっていますが、実際には逆転しています。
 先生たちは部活指導に忙しくて手が回りません。授業は暇です。平均して一人週に10-12時間くらいしか授業はありません。何をしているかというと、空き教室やトイレで遊んでいる生徒がいないか見回りもしているのです。それでも本を読む時間を捻出しようと思えばできるはずです。
 学習の方が大事なら、部活は週に3日間にすべきです。2日は学力の低い生徒を強制的に放課後補習に参加させるべきでしょう。60点満点で数学の平均点が20点を切っているのですから、6割の生徒は基礎学力に問題ありです。基礎学力とは「読み・書き・計算」能力のことで、それができないということ。教科書を読んで予習できないのです。スマホやゲームで一日何時間も潰していたら、いつ本を読み語彙を増やすのでしょう。語彙力もなければ読解力も育っていないので、独力で教科書が理解できません。スマホは一日2時間以上やらせたらいけません。3時間以上する生徒は偏差値が10下がるとは脳科学者の最近の研究の結論です。根室の中学3年生で五科目300点満点の学力テストで200点くらいが、高校生になって受ける全国模試で偏差値50(つまり全国レベルで平均点)です。本来それくらいとれる生徒が偏差値40になるということ。偏差値40は100人の生徒がいたら下から16人目です。

 部活を制限し、学力の低い生徒を強制的に放課後補習に参加させることは、校長がPTAに説明して協力を仰げば解決できる問題なのです。学校運営のマネジメントとはそういうことなのですが、そういう役割を果たす校長先生は滅多にいません。そういう発想がないのか、教科担当の先生たちへ放課後補習の協力を取り付けると同時にPTAや保護者との交渉を伴うので面倒なのか、ふるさと根室に戻って13年間塾を通じて小中高生をみていますが、どなたもおやりにならない。
 もちろんわたしが挙げた方法以外にもやりかたははあります。荒れた啓雲中学校を正常化し、学力を向上させたS校長、別海中央中学校のA校長、授業の進捗管理を5教科全部徹底して、成果を上げてくれた光洋中学校の教頭I先生、わたしの知る限りですがそれぞれ自分の信ずるところに従って学校改革をやり、生徒たちの学力向上をやり遂げています。


 学級崩壊の原因に言及している教育学者がいるようです。FB友のアップした引用文を転載します。
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実は学級崩壊は「速やか」に立て直すことができます。なぜなら、学級崩壊の原因は成績下位層の子供ではなく、上位層の子供だからです。その子供はいまの状態が自分にとって得ではないことを知っています。だから、「この教師の言うことを聞けば得だ」と思えば状況は速やかに変わります。by西川純
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*西川純:ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/西川純_(教育学者)



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