根室高校商業科の生徒が遊びに来た。中学生のときは部活をやっていなかったが、高校へ入学したら何かやりたそうだったので、いい機会だから剣道を薦めた。181cmの身長を生かせば、トレーニングしだいで相当強くなる。ちょっと気の弱いところがあるので、心配だったから、精神の鍛錬のために1対1で挑む武道を薦めた。剣道部を見学してすぐに入部を決めた。

 18年ほど前に東京日本橋の剣道具店で買った八角形の木刀がある、長いし重い、真剣と同じ重さで長さが1.2倍あるから振るのがゆるくない(きつい)。
(25年ほど前のことだが、会社に4段のK田さんという人がいたが、10kgを超える鉄の棒を素振り用に使っているといっていた。そんなに重い鉄棒を振れるのかと聞き返した、バーベルの心棒が10kgある、あんなものをいくらなんでも振れるという膂力は信じがたかった。からかわれたのかもしれない。同じ太さで長さが1mでも、おおよそ6kgほどあるだろう。振るところを自分の目で見ないと信じがたい。)
 5ヶ月素振りをやっているから、形になっていた、剣先がちゃんと止まる。剣先を止められる程度にスピードをコントロールして30回ほど振っていた。剣道のことはわからないが、速度が倍になって剣先が止まるようなら、初段はクリアできるだろう。1000日(3年)の素振りで何かが見えてくる、早い者なら一通りの技倆がようやく身についてくるころだ。そして万日(30年)の稽古でそこそこ(あるいはかなり)の腕前になると釧路の誰かが言っていた。自分がどれほどのものか一生続けてみたらいい。

 2年上の根高のY先輩は根室体育協会副会長だが、剣道歴は50年を越す。道端で遭って話すときでも、間合いを詰めるとすっと身を引いて間合いを開ける、自然にそうなる。面白いので話をしながら半歩間合いを詰めると、すっと円周上に避ける。間合いを詰めることができたら、あるいはこちらに勝機があるかもしれない。間合いを一定に保たれたら付け入る隙が無いから柔道も空手も剣道にはかなわない。
 光洋中学校時代に彼の学年は500人、わたしの学年は550人いた、学力テストの結果上位100番まで職員室前の廊下に張り出していた。Y先輩は文武両道の人である。

 書棚を見たいから自宅へ遊びに来ると高校入試が終わったころに言っていた。今日から前期期末テストが始まっている。
 来たついでに、「為替手形」の仕訳がわからないので教えてほしいという。振出人と引受人と受取人に分けて、それぞれの債権債務の発生のい順序と関係を図に描いて説明しながら仕訳を例示した。仮想ラーメンチェーン店「銀狼ラーメン」を例にとって為替取引を解説、具体的なほうがわかりやすい。
 手形取引は30年前に比べると激減した。貼付する収入印紙が高いからだ。1984年のことだが5億円の手形で40万円(現在は5億円超は15万円)の印紙が必要だった。これなら期間を縮めて振込みにしたほうがコストが安い、だからほとんどの大企業は手形支払いをやめた。学校の簿記ではいまだに為替手形が重要項目のままである。江戸時代初期に日本で発明されたものだから、それなりの学ぶ理由はあるが、学校の授業で先生が為替手形の歴史について言及することは無い。お伊勢参りに現金を持ち歩くのは山賊などに遭い危険だから、手形取引が庶民の間にも普及した。

 他に、前払金がわからないと質問があった。過去・現在・未来の数直線を黒板に書いて、未払金はものは買ったがまだ支払いしていないから「未払い」、モノの受け渡しは3ヵ月後になるが前もって支払いを済ませておくから「前払い」と説明したら納得がいったようだ。英語の過去・現在・未来の説明と同じことをやっただけ。完了相や進行相の説明のときに使う手だ。

 昨日は高校生が3人4時から9時までしっかり勉強していた。高校生は水曜日と土曜日がレギュラーの授業。今日はお昼から来るらしい。

      文武両道


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