C中学校で数学の習熟度別クラスの入れ替えがあった。3年生は先週振り分けテストをやったら、ひとり60点弱の点数になり、発展クラスへアップした女生徒がいた。
 数学は大の苦手で、5科目の中で一番点数が低かったから、本人は発展クラスへ「昇進」したことを素直に喜んでいた。こういうときの生徒の表情は素直で実によい。先生達が驚いているという。もう一回驚かしてやればいい。卒業までに
 学力テスト総合C⇒2学期期末テスト⇒模試⇒学年末テスト
とあと3回ある。

 このごろやる気が出て2週間毎日来て「放課後個別補習」をしていた。二次関数のところだから数学の苦手な生徒にとっては確率とともに嫌な分野のひとつだろう。ボーダラインの生徒には、もうブカツが終わっているので、放課後まっすぐにくれば個別補習をしてあげるよと伝えているのだが、来る生徒は二人に一人ぐらい。

 教えていると手応えがあるもので、理解がだいぶ進み、自力で解ける問題がぐんぐん増えていくのが目に見えるようにわかる。中学生の成長力は学力でも旺盛だ。伸びだしたらどこまで伸びるか予測がつかないから面白い。80点を越えてしまうとそれまで30点前後でも60点以下はとらなくなってしまうのは、本物の力がついてしまうからだろう。

 今回の二次関数の問題は、B4裏表にびっしり出題されていた。最後の問題は二次関数と一次関数の複合問題で、その問題の③は二次関数と一次関数で囲まれた三角形を回転させたときの体積の問題だったが、一日考えてきたがこの問題だけはさっぱり分からないと質問があった。

 問題が複雑なら、二つに分割することを考えればいい。三角形を二つに分割して、回転体(円錐)を上下ふたつにしてそれぞれ計算して足し合わせるといいと、図を書いて方針を示して計算して見せた。
 反応は「んー、むずかしい」だったが、このレベルの問題は入試では最後のほうで出題されているが、60点満点の数学の学力テストが10~20点の生徒にはとてもムリ。数学が苦手の生徒は問題を読むことすらしないだろう。
 「いまわからなくても、うちに帰ってから答えを見ずにやったことを思い出しながら3回やってごらん、きっとわかるようになるから」そう指示しておいた。
 分からない問題は嫌がらずに、繰り返し解いてみることだ。かならず理解が深くなり、「なーんだ、先生そんなにむずかしくないよ」というようになる。

 最後は自分のマックスの力の確認である。テストの復習をやった段階で、現在の力で最大何点とれるか自分で点数確認をさせた。
 「点数を取り落としたところをカウントしてご覧、このレベルの問題なら調子がよければたぶん80点ラインを越えられるから」
・・・
 「ほんとう、先生、いけそうだわ」
とうれしそうな顔をした。

 「先生、確率もぜんぜんわからないの」
 「じゃあ、明日からやってみよう」
 「はい!」

 こうやって数学大きらいな生徒が、好きになっていく。分かるようになれば楽しくなり、実際に点数が取れれば自信がつく。そして自信がつくと点数がさらにアップするものだ。

 3年の10月下旬になって数学がこんなに上がった女生徒は初めてかもしれない。昨年は学力テスト総合ABCの3回とも20点台、そして1月の模試で52点をたたき出した生徒がいた。2月に道立高校よりも難易度が高い都立入試の問題(百点満点)でニムオロ塾で初めて90点台をたたき出した。結局、入試本番ではそれまでの最高240点台(300点満点)をたたき出して入学した。学テABCは最高で180点台だったから、3ヶ月で五科目合計点を60点伸ばした。生徒の可能性を信じよう。

 2年生がこの時期飛躍的に上がる生徒が多い。一桁の生徒が80点を越えるケースを何度も見た。2ヶ月前に入塾したB中学校の生徒が一人、やはり上のクラスへ上がった。C中学校の1年生もひとり標準から発展クラスへアップした。小さな塾でもやれることはいくらでもある、いや、小さな塾だからこそやれることがある。
 クラスによっては8名で入塾をお断りする例がでてきている。個別指導の限界は15名くらいだが、学習習慣のない生徒が3人も混じっていると、8名に制限せざるを得ない。それでいいと思っている。けっして成績で生徒を選んでお断りしたわけではないから、お気を悪くなさらないでいたできたい。

  学校の授業と似たような集団授業は、授業を二度繰り返すことになるので学校の授業が合わない成績優秀な生徒にも、小学校の分数や小数位取りがわからなくて困っている生徒にも意味がない、とebisuは考える。塾にはそれぞれ経営理念があり、ニムオロ塾はそういう塾だということ。  
 学校がやらないことを積極的にやる、だからニムオロ塾は個別指導をやっている。理由は単純、成績のよい生徒には学年を無視した高速指導で臨みたいし、成績不振の生徒には必要なところまでさかのぼってゆっくりていねいに対応したいからだ。学校が放課後補習をルーチンワークとしてしっかりやってくれたら、ニムオロ塾のレゾンデートル(存在意義)は半減するだろう、そういう日がはやくきてほしい。

 学校はブカツのためにあるのではない、勉学のためにある。そんな当たり前のことすら、学校の先生も父兄も教育行政もすっかりお忘れのようだ原理原則にもどって考える習慣を育てないとこのように異常なことを異常と感じないようになってしまう。これでは飼いならされた豚だ。
 基本的な学習習慣を好い加減に扱うとこういうことに必ずなってしまう。怖いことだ。30年前のおろかな教育の結果がいまの根室ということ
 心静かに考えよう、あなたは自分の子供にどういうタイプの基本的学習習慣をつけたいのだろう?
  よく考えてから塾選びをすれば、好い加減な学習習慣を推奨する私塾は自然消滅するか、きちんとした基本的学習習慣を育むように変わらざるを得なくなる。
 長い目で見てご覧、根室はゆっくり変わり始めている


 ebisuが中高生のときに、こんな塾があったらうれしいな、それも開塾の目標のひとつであった。それはすでにある。
 大学のない根室で、高校生対象のジャパンタイムズを使った時事英語、大学レベル・大学院受験レベルの授業、これは高校時代にあってほしかった。勉強がしたくてしたくてたまらない、そういう生徒はぜひオイデ。高校生の可能性は実に大きいから、育て方次第でオオバケに化ける。ジャパンタイムズを精読できたら、大学院受験レベルの実力がある。その近くへ届いただけでもたいしたものだ。半年間は苦しいが、その先には大きな歓びがまっている。いつまでも同級生とドングリの背比べをしていることはない。

 
*#2109 学力テスト総合B  結果と分析: 全国最低レベルの学力実態を憂慮する
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-10-29



にほんブログ村