市街化地域3校全部のフリー授業参観をして、昨日、B中ガッコのフリー授業参観について感想を二つ書いた。

 学校の授業は9月末でちょうど1年間の半分、折り返し地点である。中3にとっては1月中に授業が終わっていないと受験に差し障るから、6ヵ月/10ヵ月だから6割の期間が過ぎた計算になる。
 数学は85ページまでが2学期中間テスト範囲だったから、40%ほどの消化率だ。お話にならぬほど遅い。消化済みのところを青字で、これからやる後半部の図形の章を黒字で現したリストをご覧いただきたい。

教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
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章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
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 後半部のほうが、ずっと難易度が高いし、複合問題も多くなるから、教えるのは骨が折れる。授業速度をいままでの70%ぐらいに落とさないと消化不良を起こす章が並んでいる。つまり、いままでの1.5倍の授業時間数を確保しないと教えきれないということだ。ところが時間数は9月末までの70%ほどしかない。おおよそ半分しか消化できない計算になるから、「すっ飛ばし」をやることになる。難しいところを「すっ飛ばす」ということは生徒の80%が理解できないということ。3年生は高校へ行ってしまうから関係なしか?中2と中1が4月の学力テストで後半部の図形に関する問題のできが著しく悪くなる。あたりまえだろう、生徒の80%が理解できないような速度で「すっ飛ばし授業」をしているのだから。

【1月中に教科書全範囲を教えきるのがプロ】
 先生たちはプロだ、プロなら1月末までに教科書全部を教えきるのがあたりまえ。それが出来ない人はプロではない。教員として不適格と言わざるをえない。市街化地域3校のフリー授業参観を見た結果を言うと、ほとんどの数学担当教員がプロとしては失格である。根室の子どもたちの数学の学力が低い原因の一つは授業速度にある先生たちのスキルの問題もあるが、それを管理できない管理体制=教育行政のの問題でもある。誰かがルーズでも大きな障害が起きないように、牽制や管理が利いているのだが、全部ダメ。授業速度の管理に関しては校長先生や教頭先生、市教委もまるで無関心で、管理機能を果たしていない。プロが集まっていて、どうしてこんなことが起きるのか、教えてもらいたい。民間会社なら、こんな会社はすぐにつぶれるだろう。みんな給料がもらえなくなる。

【中3社会スケジュール遅れの具体例】
 中3社会が今年から変更になり、近現代史を40時間やることになっているという。わたしはそのことを知らずに、授業速度が遅すぎると書いて、その後、学習指導要領と年間授業時間配当を知って訂正した。
 私の母校のA中学校ではどうなっているか調べたら、まだ「公民」の授業が始まってないという。近現代史をまだやっているのである。これから半年で公民をやるつもりらしいが、実質4ヶ月しかない。10月+11月+12月+1月=4ヶ月、この中には冬休みがある。たったの4ヶ月で「公民」全範囲がやれるわけがない。昨年まで一年間かけてやっていたのだから。これから「すっ飛ばし」が行われて帳尻あわせが行われる。すでに今回の中間テストでも範囲の消化が間に合わなくてすっ飛ばしは行われた。間に合わないから前日に出題するところに線を引かせるような授業をしている。こんなことをしてやさしい問題を出せば、平均点は70点を超えることになりかねない。生徒が勘違いを起こす。これでは定期テストで点数を取れても、学力テストの点数は取れない。プロとしてあるまじき行為、デタラメもほどがある。今回はたまたま出来心、できないわけはないだろう、きちんと教えよう。プロの仕事のできる先生になってほしい。一緒にがんばろうや。

【プロとして自覚をもった誠実な仕事をしよう】
 仕事の管理がルーズなのは数学だけではなさそうである。プロならきちんと仕事をしよう。仕事は税実に、正直に、そして渾身の力でやってもらいたい。

【改善案:学校別・科目別・クラス別シラバス情報公開】
 市教委は市内のすべての学校の主要5科目について、学年およびクラスごとの年間授業スケジュールを公表してもらいたい。そして、実績を並べて市教委のホームページ上で情報公開してもらいたい。
 たったそれだけのことで、状況は格段に改善されるだろう。

【消化不良対策】
 PTAは問題があるとわかっていても、子どもを「人質」にとられているから、学力を改善できると分かっていても、授業速度の遅いことにクレームをつけることができない。校長先生も教頭先生も管理職としてやるべき仕事ではあっても、波風は立てたくない、どうせ2~3年で他の学校へ転任するのだから。それでも改善に取り組む校長先生や教頭先生がいるが、残念だけど、そうした熱心な先生たちが異動してしまえば、学校は元の木阿弥に戻る。だから、教科担当の先生たちの自覚が大切なのである。
 先生たちの仕事に対するプロとしての自覚と責任感に訴えたい。全部教えきれないなら、ブカツ指導を辞退して、放課後補習を週2回ほどやればいい。プロなら担当教科を1月中に教えきり、2月は総復習に充てるべきだ
 実質全道一斉にやっている学力テストの範囲表も、1月中に全範囲が終わっているスケジュールで書き直すべきだ。

 学力向上は絵空事ではできぬ、こうした具体的なことを一つ一つやることでしか根室の子どもたちの学力を上げることはできない。根室の地域経済にとってそれがどれほど重要なことか理解できない大人が多い。

【中小企業の独自技術は知識への好奇心から:学力が大事】
 釧路で窒素氷を製造している会社がある、22日のBSフジで特集していた。氷から酸素を除去することでサンマの鮮度を保つことができる。ポテトチップスをみて、窒素が封入してあるから酸化しない、酸素を除去し窒素を封入して氷を作れば魚の鮮度が長持ちすることに気がついたという。ところが、氷に窒素を封入する方法が見つからぬ。ところがひょんなことからその方法を見つけた。
 なんとNHK教育放送で高校科学講座をみたのだそうだ。「ヘンリーの法則」の解説をしているのをみて、社長さんこれだと気がついた次第。
 中小企業が生き延びていくには独自技術が大切。そのためにはいろんな勉強をすべきだということ。幸い、BS放送で放送大学講座がタダで受講できる。地元の経営者たち、どんどんこういう放送を見て勉強したらいい。事業化のヒントが見つかるかも知れぬ。


*#2093 教員の質向上はどうやる?⇒ "Educating educators" Sep. 25, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25-1

 #2092 根室の子どもたちの大学進学率と地元企業の自己改革について Sep.25, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-25

 #2090 プロの仕事をしよう:授業速度管理の提案 Sep. 23, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-23

 #2089 B中学校フリー授業参観(2) Sep. 21, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-21

 #2088 B中学校フリー授業参観 Sep. 21, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-20-1

 #2080 根高普通科「一橋大学入試問題」を数学定期テストに出題 Sep. 11, 2012 
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-10

 #2076 フリー授業参観(C中学校):教科書は期限内に終わらせてもらいたい Sep. 5, 2012 
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-05-1

  #2021 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(3):授業速度と学力  July 20, 2012  
  http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-20

  #2014 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(2):イジメ&非行 July 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-15

 #2013 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(1):小中高のコミュニケーション July 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-14

  #1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 #1988 学校の責任 June 28, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-27

 #1987 フリー授業参観感想記(2)  June 26, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26

*#1940 職人技という視点から授業力を考える:C中学校フリー授業参観感想記  May 19, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-19

 #1935 フリー授業参観に行こう:C中学校  May 14, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-05-14 






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