維新八策とかいうものが公表されているが、公約ではないという。
 民主党がダメだったのは、肝心の30代の頃に責任ある立場でまとまった仕事をした経験がほとんどない者たちが政権幹部に集まってしまったこと。親掛かりで生活の面倒を見てもらい大学の先生だったり、市民運動をやっていたり、街頭演説に明け暮れていたり、松下政経塾に居たりと、責任ある立場で30代のころに大きな組織で仕事をしていないことが彼らに共通している。みなさん弁舌もなかなか巧みである。
 ところが、「優秀な」かれらがつくったマニフェストは、どれも実現できずひどいありさまで、なぜこんなことになったかといえば、政権幹部が仕事をしたことのない者たちだらけだったからだ。40代50代になれば、ほとんどの人はやったことのないことはできないもの。だからそれを補ってくれる協力者が必要になるのだが、そういう方面へ人脈がない。

 何かを変えるというのは大きな仕事である。仕事の経験のないものが大きな仕事をやれる場合もあるが、それは千人に一人の稀に見る才能の持主だけだ。

 橋下氏は維新八策は公約ではないと言い出しているが、それは正しい発言だ。実現の段取りが明確でないことを公約にしてしまったら、民主党と同じ、結果はできないということになる。維新八策はまだ絵に描いた空々しい餅。これを食べられる餅に変えるためには並外れた仕事の力量を有する者の協力が必要だ。

 秘書官一人有能な者が支えても、大将がしっかりしていれば組織は何とか動かせる。さらに三人有能な幹部がいればどんな大きな組織でも適切に動かせる。果たして有能な秘書官が一人いるのか、あるいは有能な幹部やブレーンが三人いるかどうかだが、挙がっている名前をみたらかなり怪しい。胡散臭い者がちよっと多すぎやしないか?

【怪しいブレーンの実態】
 公開審査会の審査委員として堺屋太一と竹中平蔵の名前が挙がっているが、堺屋氏は老齢の小説書きであり、経済評論はできても実務面で政権を支えることはムリ、はっきり言うと、そちらの方面には疎いということ。
 竹中平蔵氏は小泉政権でグローバリズムを推進した張本人だが、ご本人は何も仕事ができないので実務面を木村剛氏が取り仕切った。竹中氏がまるで人を見る目がなかったことは証明済みだろう。木村氏は日本振興銀行刑事事件で懲役一年執行猶予三年の有罪判決が3月に確定している。どうしてこういう人間を連れてくるのか、センスを疑う。

【仕事のできるブレーンを探せ:口先だけのものはこれ以上いらぬ】
 橋下氏を支えるしっかりしたブレーンが見当たらない、いまのままでは民主党と同じ道を歩むことになる。選挙で日本維新の会からたくさん当選者を出しても、橋下構想は絵に描い餅で終わる。
 テレビで知り合った人物しか人脈がないのではこれからは坂を転がる落ちるだけとなるから、そうならないように自分の構想を実務に移せるしっかりしたブレーンを探すべきだ。残念ながら橋下氏自身にはそうした才能がないようだ。

【大仕事アリ、それを担いうる人材ナシ】
 物事や仕組みを変えるというのは、仕事をするということ。しっかりした実務設計と仕事の段取りの出来る者でないと無理だ。大きな組織で仕事をした経験のない人たちばかり集めてどうするのだろう?
 民主党は頭のよいお子ちゃまが集まり政党ごっこをいまだにやっているが、日本維新の会がそうならない保証はいまのところなさそうである。
 橋下氏は問題を鋭く提起するだけの人手、解決できる能力はもちあわせていない。だから、そういう能力をもった人材が必要なのである。
 バブルがまた一つ生まれて消えていくのでは困る。チルドレンが大量に生まれ、次の選挙で大量死する、そしてそれが三度繰り返されるのではたまったものではない。投票するのがむなしくなる。

 お釈迦様は、三度自分の部族を救ったが、幼い頃に母のことで辱めを受けたビドォーダバ王の恨みの因縁は消えぬ。三度カピラ城の前に端座してコーサラ国王ビドォーダバ王の軍をとめたが、四度目の出兵にはお城の前にお釈迦様の姿はなかった。お釈迦様は因縁の消えぬことを悟り、自分の部族がほろびるに任せた。文字通りの絶望、お釈迦様の心には深い深い悲しみがあっただろう。日本人はこういうお釈迦様の心に共感できる、共振できる周波数をもっている人たちがすくなくない。
 「仏の顔も三度まで」

【原色のないパレットからは力強い絵は生まれぬ】
 日本というパレットには、赤・緑・青の原色がみあたらなず無難な色ばかり、これで絵が描けぬ。政治も企業経営も教育も、やったふりばかりする口舌の徒が多すぎる。正直で誠実に仕事のできる人材層が日本から急速に消えつつあるのではないか?
 どうしてこのようなことになってしまった?
 ほとんど無芸のお笑い芸人たち、下積み時代のない(2世)俳優たち、世襲の2世議員、つくり上げられた人気者AKB48、コストカッターにすぎなかったカルロス・ゴーン・・・よく考えてみれば、ライブドア事件や村上ファンド事件辺りから濡れ手で粟とインチキをしてまで個人的利益追求に奔走する者たちがマスコミでもてはやされていた。日本経済社会を支える人材は大きく変化しつつある。
 正直に誠実に額に汗して働き、社会を支えている者たちにスポットライトを充てる必要があるのではないだろうか?あなたもなにかがおかしい気がしないか?

【自然に入り込むものほど危険:気がつかない】
 私たちの脳には画像情報で受け取るものを自然に受け入れてしまう回路があるようだ。テレビを見ることで番組制作者の価値観が知らず知らずに私たちの脳に入り込み、それがいつのまにか「自分」の一部となって肥大化してしまう。
 そういうことにもっと注意を払うべきなのだろう。テレビを見る時間を減らし、新聞を読む時間を減らし、じっくり考えてみる。瞑想して何も考えない時間をもつ、そうしたことを意識的にやらなければならない時代に私たちは生きているようだ。テレビ・携帯電話・インタネット・ゲーム、画像情報主体のツールは60年前にはなかったものだ。わたしたちは一日のうちこれらのツールを何時間使用しているのだろう。
 便利で楽しいツールを過剰に利用することで、私たちの脳の回路が直接強い影響を受けてしまっている。覚醒剤と類似の影響を脳に与えているのではないか?
 インターネット依存症もパチンコ依存症もゲーム依存症もセックス依存症も、根っこは人間の本性=脳の仕組みに係わる共通のモノにあるからやっかいだ。


*#2081 団塊世代からみた松下幸之助と松下政経塾 Sep. 11, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-09-11


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