もう三十数年前になるのだが、用事があって帰郷した。向かいの床屋のお爺さんと居間で話しをしていたら、「体が硬くて・・・なんとかならないか」というので、中学生のころから自己流で続けている方法を"伝授"した。なんてことはない、実演して見せたのである。2年ほどしてまた用事ができて根室へ戻ったら、そのお爺さんニコニコ笑って、胸がつくようになったよと喜んでいた。
 その頃で80歳に近かったから、効果は確信していたが、期待以上で驚いた。その方法がTさんの提唱するストレッチとほとんど一緒、類は友を呼ぶの類だろうか?Tさんとは縁がありそうだ。

 私は今でも開脚して胸がぴたりと床につく。5年半前に胃癌で全摘手術を受けるまではブリッジして立つことができた。逆立ちして向こう側に倒れて足がつくとそのまま立つこともできた。手術をしてから傷跡がつるような気がしてやらなくなった。ヨーガの逆立ちも30分くらいは気持ちがいいのでよくやっていた。
 ストレッチの極意は「息を吐きながら、ゆっくり、反動をつけずに、気持ちがいいと感じながら」身体を伸ばしていくことである。開脚して胸を床につけながら音楽を聞いてもよし、本を読んでもよし。身体はのびのびし、呼吸は静かになり、息は身体の隅々までいきわたる。朝起きて窓を少し開けて空気をいれ、ベッドの上でストレッチしてから起きることにしている。気持ちがいいのである。

 Tさんの指導理論の4回目は準備運動とストレッチである。私も偶然類似の方法を40年間やっているから、Tさんの方法が間違いないものであることに太鼓判を押せる。身体は硬いが柔軟な頭脳をお持ちのブカツ指導の先生たちどうぞお試しあれ。

 可動域が大きくなるからメリットは大きい。空手でも柔道でも相撲でも野球でもボクシングでもおおよそ武道やスポーツと名のつくものには効果がある。とくに武道は腰の柔軟性が技の威力に直結しているからね。

(私の手刀や素手のパンチは術後に筋力が著しく衰えたのでほとんど威力がないのだろう。10回前後できた懸垂すら1回もできぬ。しかし、高校卒業の頃はプロのボクサー並のスピードがあった、そしてパンチは重かった。一度測定してみたが、踏み込まずに身体の回転を加えて打つだけで200kg近い威力があった。一歩踏込み、身体のひねりを加えて長いリーチで素手で人を殴ると頭蓋骨を破壊しかねなかった。胸を叩けば胸骨や肋骨を折ることになる。小学生時代に4寸あるいは5寸角の廃材を鉞(まさかり)で叩き折ったり、弾力のある生木の焚き付けを手刀や拳骨で叩き折ってトレーニングしていたから、危なくて人を叩くことができなかった。スピードと力を入れるタイミングの両方が揃わなければナマ乾きの木を叩き折ることはできない。一種の"気合"のようなもので叩き折るのであり、自分の命に危険が及ばない限り使ってはいけない"技"である。よいこは危ないからこういうバカなトレーニングはやらないように。)

 では、Tさんの体験的ストレッチ論をお読みいただきたい。

ブログ"大学受験と高校受験と教育ブログ"より
「ブカツは高校メイン:まずは準備運動(補足)ストレッチのこつ」全文掲載


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 ストレッチ方法の基本を説明しておかないと、前稿http://maruta.be/gakusyu/127だけでは少々不親切だと思いましたので、下記に説明します。
 およそ、ひとりで行う「素人」のストレッチの訓練方法として、現時点で最高峰クラスだと、自負しています。
 なぜか。
 ストレッチは実は、できる人には簡単にできるので訓練方法があまり研究されてこなかった。
 たいていのスポーツはストレッチがいい加減なので、訓練方法は考えられなかった。
 そしてストレッチが不可欠なスポーツは、たいてい、補助者が負荷をかけて半ば強引に柔軟性を高めるので(大相撲や器械体操)、ひとりでできない。
 ジャズダンスなどは元々柔軟性に自信のあるひとがやることが多いので、適当にやっていても柔軟性が高くなるので、訓練方法が発達しない。
 などの環境のため、体の硬い素人がひとりで柔軟性を無理なく高めていくストレッチの訓練方法は、ほとんど研究されてきませんでした
 器械体操、バレエ、ジャズダンス、エアロビクス、空手、合気道などのストレッチ方法を組み合わせる中で、私がまとめた、股関節部分のストレッチの一部だけですが(全部は説明が面倒で)、なるべくわかりやすく(文章では限界がありますが)説明します。うぬぼれているわけではありませんが、この方法を指導したら、体が硬くて45度くらいしか脚が開かなかった子が130度くらいまで10分で開くようになりました。
①マットの上に尻をつき、右脚を右方向に伸ばす。左脚は膝を折って、足の裏を股間につけるようにする。そして右脚のほうへ、体を横にしながら倒す。このとき左手は大きく伸ばし、頭の上の方へ、指を伸ばして指し示すようにすると効果がより高まる。「痛い」と感じるところのちょっと手前で、10秒止める。呼吸はゆっくりと吐く。できたら逆をやる。
(股関節のストレッチというと、たいてい、両脚をいきなり大きく開いて前屈したりしますが、これは体の硬い方には痛いだけ。痛くて嫌だからストレッチも身が入らず、効果が薄い。ところが片脚だけにすると、わりとたやすく体を倒せます。これはジャズダンスのストレッチ方法です)
②両脚を片方ずつ何回かやったら、股関節は少し伸ばしても良い状態になっています。そこで、ここで始めて開脚。ただし、角度はそれほど大きくとらない。前屈しても痛くない程度。くれぐれもいきなり180度開脚しようと思わない。その上で、両手をマットにつける。背筋は伸ばす。丸めない。ちょっと痛いと感じるところまで、両手の位置を前にずらす。ちょっと痛いところで10秒程度止める。呼吸はゆっくりと吐く。
(開脚前屈のストレッチですが、反動をつけたら効果が半減。背中を丸めると効果がなくなります。脚は膝を曲げるとNG。膝を曲げなくてもいいくらい股関節の角度を狭くしてください。この方法は、開脚角度を狭くして良いというのが私オリジナルの部分で、他は、一般的なストレッチ方法です)

 上記の②がクリアできたら、(ここから私オリジナルの手法ですが)右脚のすぐ内側に右手を伸ばす。つまり上体をやや横に倒すような姿勢になる。右脚の付け根だけが痛くなるので、少し痛いくらいのところで10秒止める。呼吸はゆっくり吐く。できたら逆もやる。これを交互に何回か行う。
(上記いずれも、止める時間を10秒としていますが、家庭で行う場合、止める時間を5分程度にすると、さらに効果は劇的に上がります。これは打撃格闘技のストレッチ方法です)

④上記の③ができたら、正面に両手を戻す。さっきの②よりも手が届く位置が伸びているはずです。つまり、稼働域が広がったわけです。そしてここで、(これはクラシックバレエで習った方法ですが)両足を足首から回転させ、後ろに倒して横に伸ばす運動をし、同時に脚の裏の筋を伸ばす。反動をつけずに徐々に筋を伸ばす効果があります。

⑤上記の④ができたら、股関節を無理ない範囲で広げる。たぶん「嘘!」と思うくらい広がるはずです。そうしてら、②~④までを繰り返す。

 一応ここまでにしておきます。

 これで160度くらいまで股関節が広がるようになったら、別な手法で今度は180度開脚を達成していく方法がありますが……たいていのスポーツではそこまで必要ではないので省略。
 上記のポイントは、「反動をつかわない」「ひとりで無理のない範囲でやる」「時間と回数をかける」「姿勢をまっすぐに保ち、背中を丸めない」などです。そしてこれらはストレッチ全部に共通するこつです。

参照

部活は高校メイン

部活は高校メイン_本質は何か

部活は高校メイン_厳しい練習とは

部活は高校メイン_小中学校はスキルを

部活は高校メイン_まず準備運動

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)ストレッチのこつ(オリジナル技術有り)

部活は高校メイン_まず準備運動(補足)の補足_クールダウン

部活は高校メイン_勝利のためには

部活は高校メイン_理想の運動部


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