東北地方太平洋沖地震から1日たち、その被害の大きさに驚く。まだその全貌が明らかではない。太平洋海底の断層が400㌔から500㌔も崩れたようで、震源地と言うよりも「震源域」と解説していた。復旧に数兆円単位のお金を投じなければならないだろう。普段から無駄遣いをつつしみ、貯蓄を積み上げておけばこういうときに惜しみなく使えるのだが、国の借金だけでも900兆円、ただ呆然。
 広範囲に地盤沈下を起こし、津波の水が退かない地域が多いので、復旧用の工事車両が入れない。「家は流された」と避難場所でお年寄りの被災者が語る。建て替える資力がない人が多いのではないだろうか、被災者の今後の生活が心配である。
 株価や円相場にはどの程度の影響が出るのだろう。

  今回は具体例を挙げての医療裁判に係わる報道批判。「呼吸器」という用語にまつわる新聞記者らしからぬ初歩的ミスを指摘している。
 こうした健全な批判があり、それに耳を傾ける姿勢があれば、新聞記事もずいぶんとよくなるような気がする。医学辞典をちょっと引くだけでミスは防げただろう。上司がチェッカーだが、そこもすり抜けた。
 私も気をつけなければいけない。


「救われないM新聞」(m3.comより)

昨日、帯広の厚生病院でトラブル?が起きました。それに関する新聞記事を複数の報道機関の記事で比較してみましょう。

呼吸器のバルブ閉まり患者死亡 北海道・帯広の病院
2011年3月8日 提供:毎日新聞社
患者死亡:呼吸器のバルブ閉まり--北海道・帯広の病院

7日午後2時10分ごろ、北海道帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟7階の病室で、入院していた女性患者(59)=音更町=の呼吸器のバルブが閉じているのを看護師が見つけ た。女性は心肺停止状態で集中治療室に運ばれたが、翌8日午前6時50分ごろ、死亡が確認された。低酸素脳症とみられる。道警帯広署は何者かが故意にバルブを閉めた可能性 もあるとみて、事件・事故の両面で捜査している。【金子淳】

次いで共同通信社

酸素吸入器閉まり患者死亡 北海道の帯広厚生病院
2011年3月8日 提供:共同通信社

北海道警は8日、帯広市の帯広厚生病院の精神科病棟で、女性入院患者(59)の酸素吸入器のバルブが閉まり、低酸素脳症で死亡したと発表した。帯広署が事件と事故の両面で 調べている。
 道警や病院関係者によると、女性は肺炎のため、酸素吸入マスクを装着。看護師が7日午後2時すぎ、バルブが閉まっているのを発見したが、心肺停止状態で、病院が110番し た。女性は8日朝、死亡した。
 女性の病室は相部屋。発見時、部屋には別の患者と面会者ら計3人がいた。女性に目立った外傷はなかった。道警は、関係者から事情を聴き、バルブが閉まった原因を調べている 。

皆さんお気付きでしょうか。問題のバルブが閉まっていたのは、毎日では”呼吸器”、共同通信では”酸素吸入器”です。

先ず”呼吸器”の意味ですが、これは肺や気管、気管支などの生体のシステムを言います。ここに閉めるバルブなど有りません(笑)。そのシステムを外部からコントロールするのが御馴染みの人工呼吸器で、これは通常は気管挿管した患者の気管チューブに繋いで使います。
いずれにしても”呼吸器”と言う単語の意味すら知らない(調べない)小学生以下?の新聞記者ですね。

では共同通信の”酸素吸入器”ですが、これは皆さんもよく目にしている筈です。患者さんのベッドの頭部分に設置された昔の牛乳瓶のような物です。あれは部屋に引き込まれた酸素の出口で、真ん中のネジを回す事で吹き出る空気の酸素濃度を調節できます。瓶の上に細いチューブが立っていて、その中に丸い玉が浮いています。玉が上に上るほど酸素濃度が高いことに成ります。
そうです。今回問題に成っているのは、この”酸素吸入器”なんです。バルブを一杯に閉めると酸素が出てきません。しかし酸素マスクは或る意味適当な代物で(口にフィットしない)結構脇から空気が漏れます。ですからマスク内に酸素が来ていなくても或る程度は自然な呼吸は可能です。しかし肺炎状態で肺の酸素交換能が低下している場合は部屋の空気を吸っているだけでは当然酸素飽和度が低く、補助的な酸素の補充が
必要です。その補充の酸素が来ないわけですから低酸素状態と成ったのでしょう。

”酸素吸入器”の事すら間違えて、せっせと医療機関を攻撃し続ける毎日新聞・・・皆さんはどう思われますか。
by 医療四方山裏話 (2011-03-09 17:06)



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