ドクターヘリの問題は経済性と医療ニーズのバランスをどこにおくかという問題でもある。つまりどこまで費用負担を覚悟するのかという問題である。
 ドクターヘリと新病院へのヘリポート用地確保の件に関して、専門家とおぼしき方から具体的なご意見がコメント欄に寄せられたので、紹介したい。周辺の問題を含めて平易に解説してくれている。
以下、コメント欄からの引用する。
(読みやすいように適宜改行を入れた)


 ヘリポートの問題は駐車場使用では駄目ですね。
 釧路にドクヘリの搬送を依頼してから到着するまでの時間は40分前後ですが、その間に病院の駐車場の真ん中を開けなくてはなりません。
 勿論様々な事情の車が駐車している訳ですから、すべての車を持ち主が動かせません。
 それで病院側がその車のキーを預かり動かす方法も考えられますが、その場合他車との接触や荷物の噴出などの問題が避けられません。
 では車の移動をスムーズにするために真ん中付近は職員用の駐車スペースにすれば、来院者より職員を優遇するようですし、もっと問題なのは、どのように駐車スペースを区画しても無料駐車場である限り病院に無関係な近所の車が勝手に駐車場所を占有するのが常です。何故か公立病院は関係者以外の駐車や診療費不払いに対して毅然とできません。マスコミなどが「病人は弱者。病院は弱い者苛めばかりする」と言うスタンスで報道するせいかも知れません。

 やはり病院に直接ヘリを呼ぶのであれば屋上のヘリポートがベターでしょう。しかしその方法ですと病院の建設費が更に1~2億円は上乗せに成る可能性があります。その建設費を考えずに済まそうと苦肉の策で駐車場ヘリポートを考え出したのだと思いますが、どう考えても実際には障害が多いと思います。

 ではニホロのヘリポートの使用は? プランBとしては止むを得ませんが、欠点は病院からそこまで救急車で搬送しなければ成りません。その間に患者さんが急変した場合の対処に問題が出てきます。病院内のヘリポートであればヘリが到着するまで患者さんは院内に居るわけですから、何とか病院内の医師が力を合わせてカバーできるかも知れません。
 ヘリが到着すればヘリに搭乗してきた医師に管理が移ります。しかし病院から離れた場所では、ヘリの搭乗医師(多くは救急が専門)が管理するまで市立病院の医師(きちんと救急に対処できる医師が少ない)が何とかしなくては成りません。
 しかしご存知のように市立病院には現在常勤の麻酔科医は居らず救急に強い外科医も複数ではありません。その外科医にもし日中だけでも365日救急待機をさせれば、どうなるかはお判りでしょう。つまり医師の体制が脆弱であればある程ドクターヘリの活用範囲は広がりますが、その有用性を高めるにはせめて屋上のヘリポートが不可欠だと言う事になります。

 ここでお断りしておきますが、「高い屋上ヘリポートなど作っても年間に何回使うのだ?」と疑問を呈される方も多いと思います。確かに経済性は大事な要素です。しかし事が命に関わる緊急であれば、「命は金では測れない」と言う論理が優先します。ドクターヘリは金食い虫です。更に最近話題のドクタージェットならヘリの数倍の経費が掛かります。もし経済性云々と言う側面でこれらの救急搬送を論議するなら、何もできません。非常に難しい問題です。
by 通行人 (2010-12-26 01:34)


*#1310 新市立病院のヘリポート Dec.22, 2010 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-22


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