昨日は陽が落ちてから雪が降り、一面の銀世界となった。断続的に夜中も降ったようで15㌢くらいの積雪で今年初めて除雪作業をした。このままクリスマスまでもつだろうか?クリスマスの雪は例年根雪である。

 さて、「教育再考 根室の未来」シリーズ「第2部低学力②」が15日の北海道新聞に載っているので引き続き転載したい。いろいろな角度から取材しているので、根室の教育問題を考える上で貴重な取材と褒めちぎっておこう。取材力もだが、分析力と構想力に秀でている、若いがなかなかの奴だ。

 教育再考 根室の未来
    第2部 低学力 ②
      気質  
  「学ぶ意味」尊重されず 

 「勉強しなくても、高校に行けるからいいじゃん」。根室市の中学2年生男子(14)は真面目に勉強するよう周囲に促されても、まったく意に介さない。定期テストでは点数が一桁の教科もあり、授業にも身が入らない。

  高校は定員割れ
 根室管内の高校は少子化で定員割れが続く。本年度入試の倍率は、管内全体で0.8倍。別海町の中学教諭は「落ちないことを子供はよく知っている。なぜ勉強するかという本質的な課題が突きつけれれている」と話す。
 基幹産業の漁業の気質が影響したとみる向きもある。200カイリ漁業専管水域が導入される前は、漁船に乗ればすぐに年収500万円以上稼げた。勉強して進学し「普通の会社に入るより、はるかに収入がよかった」(漁業関係者)。漁業経営がだんだん厳しくなっているとはいえ、こうした感覚が根室の気質を作ってきたというのだ。

  家庭環境も影響
 「勉強する人を評価しない雰囲気がある」。根室市の学習塾「育英塾」の岸辺雄一塾長(61)はため息をつく。
 文部科学省の全国学力・学習状況調査は、管内の子供は家庭での学習時間が短い傾向も明らかにした。根室市内の本年度調査結果によると、家で日に1時間以上勉強する子供は小学校で4割強、中学校では約3割しかおらず、どちらも全道平均より低い。逆に、テレビを3時間以上見る割合は、小中学校共に5割を超えた。
 また、朝食を食べない子供の割合が全道平均より高く、いずれも1割程度いた。同市の小学校教諭は、早寝早起きなどの生活習慣も学力に影響すると指摘し、「親の目が行き届いている子供は伸びる」と話す。

  進学後戻らない
 管内でも、一生懸命勉強し、大学などへ進学する子供はいる。
 標津町の菊池勝祀さん(65)は「地元の子どもを育てたい」と、1990年に小中学生対象の学習塾を開設。毎年数人を札幌や函館などの進学校へ送り出し、生徒の学力向上を実感している。ただ、大人になって地元に戻ってくる生徒は小数だ。
 教育問題などを考える「根室まちとくらしネットワークフォーラム」の鈴木新一座長(47)も、「勉強し、進学した人ほどいなくなってしまう」と危機感を持つ。
 進学や就職で経験を積んだ上で地元へ戻りたいと思っても、「地域経済が衰退する中で、人材を活用できる職場が少ない」(経済関係者)という事情がある。
 学んで知識を身に付けた人材が地域経済に貢献し、さらに次の人材を生み出していくのが理想だが、管内ではそれがうまく循環していない。

< コメント >
 根室管内は公立高校の定員割れが常態だからまったく勉強する気がなくても高校へ進学する。おしなべて小規模校化しているから、高校生一人を卒業させるのにおおよそ200~250万円かかっていると思う。「勉強しなくても、高校に行けるからいいじゃん」と、こういう生徒にそんなに公費をかけて教育する必要があるのだろうか?夕張市を基準に考えれば、国の財政はとっくに破綻しているのだ。

 「朝食を食べない子供の割合が全道平均より高く、いずれも1割程度いた」ことは、家庭の生活習慣が崩れていることを物語る。生徒だけではない、親たちの生活習慣の崩れを反映しているに過ぎない。子供をシツケできない家庭が増えている。食事も家庭学習習慣も子供にとっては生活習慣の基本をなすものだ。その基本中の基本が崩れている

 「勉強し、進学した人ほどいなくなってしまう」、四十数年間そういう状況が続き、人材が枯渇して地域経済と市政に深いダメージを与えている。
 しっかりした親に育てられ、一生懸命勉強した者たちのほとんどが都会に住み着き、そこで自分の子供を育てている。札幌や東京の繁栄はそういう田舎からの人材供給に支えられているのだが、田舎から眺めてみると高学歴の人材が都会へ出て戻らないことが市政を劣化させると同時に地域経済の活力をうばうことになった。
 高学歴人材の流出・枯渇による影響はもっともっと深いところでさらに予測のつかない変化を生み出していく気がする。
 この3年間著しく中学生の学力が下がりつつあり、何かが閾値を超えてしまったのではないかというような不安を感じる
。ふるさとで8年間、生徒と向き合い学力テストのデータを見続けてきたからこそ、この数年間の変わりようが怖い
 何かが閾値を超え、とめようのない不可逆反応が始まってしまったような気がしてならない

 記者は最後のところでこう警鐘を鳴らしている、「学んで知識を身に付けた人材が地域経済に貢献し、さらに次の人材を生み出していくのが理想だが、管内ではそれがうまく循環していない」。
 人生を三期に分けて35年間暮らした東京に別れを告げ、18歳の春まで育ててもらったふるさとにそうした循環を産み出したくてニムオロ塾を開いた。マチに残り将来を担うに足る人材が数人育てられれば十分だ。なすべきことをなせと遠くで囁く声が聞こえる。 


*#1303 教育再考 根室の未来 第2部 低学力①:人財育成への不安深刻
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-16

 

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