梅毒(指定感染症5類)の罹患者数が増えているようだ。東京都のデータがあるので、ご覧いただきたい。


*東京都感染症情報センター「年別報告数推移」

 小さくて見づらいので、青字をクリックして元データをご覧ください。
 2013年から2022年までのデータが並んでいます。2022年は7/10までの集計値です。年次データで見ると2013年は400人ですが、2021年は2400人を超えていますから、6倍です
 これは医療機関から保健所へ届け出のあった患者数を集計したもので、実際には10-20倍の感染者が出ていると思われます。
 2021年は全国で6940人(1/4~11/28までの集計値)の梅毒新規患者が報告されています。2000年から2012年までは全国の梅毒新規罹患者数は毎年1000人を切っていました。2013年に1000人を超えて、あれよあれよという間に、最近数年間は7000人を超え年があるようになりました。

 1980年代終わりごろに、厚生省エイズサーベイランス委員会のHIV感染者数は50例ほどでしたが、最大手の臨床検査センターであるSRLだけで年間500件ほどの陽性検体がありました。スクリーニング検査で陽性になったものは全数、確認検査であるウェスタンブロット法でチェックしていました。チェック後の数字です。HIV検査はSRLが一番多く検査していましたが、他の臨床検査センターでも受注していましたので、少なく見積もってもSRLの2倍くらいは検査で陽性になっていたでしょう。検査しない人もいますから、更に2倍とすると、年間2000人ぐらいは新規患者が出ていたと思われます。厚生省発表データは50人ほどでした。それで、エイズ対策が先進国で一番遅れ、その後の患者の激増が起きました。医療機関から保健所への報告がなされるのは一部だけのように見えます。

 梅毒患者は全国では2017年に年間5000人を超えてますから、実数は20~40倍の10~20万人ほどいそうです。

 男女で最頻値の年齢に差があります。男は30歳代にピークがあり、女性は20歳代前半にピークがあります。性体験をすると女性の方がのめり込むので、若い20歳代前半にピークが来ているのだと考えます。SNSで知り合ってすぐにセックスる人が増えていますから、相手がどのような性遍歴を重ねてきて、どれくらいのリスクがあるのか知らないままセックスすることになります。SNS時代は梅毒トレポネーマ(梅毒の病原菌)にとっては感染拡大のチャンスが以前よりも大きくなったと言えるでしょう。スマホの普及とともに梅毒患者数が激増しているように見えます。
 データを見ていくと、女性の罹患者の内、性風俗産業に従事している人が1/3を占めています。20歳代が多いでしょうね。大学を卒業しても、正規雇用の職にありつけなくて、奨学金が返せなくなって性風俗産業で稼いで返済する人が増えているとも言われています。20歳前半の女性が患者の最頻値になっているのはこういうことも影響しているのでしょう。
 COVID-19パンディミックで、外出の機会が減っているので、男女の出遭いもSNS経由という人たちが増えているのかもしれませんね。2021年と今年は梅毒罹患者数の伸びが大きい。東京都は今年は3000人を越えそうです。もちろん、2020年比で2倍、過去10年間で断トツの感染者数を記録することになりそうです。

 高校生のほとんどがスマホをもっています。中学生も大半がもっています。
 学校ではこの10年間で梅毒が6倍に増加していることが生徒にちゃんと伝えられているのでしょうか。スマホは便利な道具です。高校を卒業すると都会へ進学し、ほとんどが数か月で性体験をします。コンドームを付けて予防をしてください。
 治療薬があるので早期なら4週間ほどの投薬で治ります。でも、治りきっていないのに薬をやめると重症化して、治療期間が長くなります。治っても脳や神経に障害が残ることがあります。関連サイトの症状の解説をよく読んでください。
 治療期間中はセックスできませんよ、移してしまいますから。パートナーには移さないように注意しましょう。梅毒の症状について解説しているサイトを紹介しますから、説明してあるような異常が出たらすぐに検査を受けてください。検査や治療にかかる費用も載っています。

*梅毒症状について
**梅毒の検査と治療について

<余談:根室市ではどれくらい?>
 大雑把な推計をしてみましょう。仮に分子の患者数を10万人、分母を6000万人とすると、10/6000ですから、1/600となり、毎年600人に一人くらいの割合で梅毒に罹患することになります。根室市なら、人口2.4万人、その半数の1.2万人の1/600ですから、毎年20人ほど梅毒感染者が出る計算になります。20歳代前半の若い女子や30歳代の男が根室には少ないですから半分として毎年10人です。10~20人の間ということ。こういう風にしないと生活実感がわきません。
 保健所はデータをもっています。公表データがあるでしょうね。
 北海道のデータを見つけました。2021年の罹患者数は167人です。これの20倍の実患者がいるとすると、根室には何人になるのか?
 167人×20倍×(2.4万人/550万人)=14.5人
 医療機関からの報告の20倍の実感染者がいるという前提での計算では、根室市では年間10~20人の感染者がありそうです(実際の梅毒罹患報告数は1~2人)。北海道全体では年間3340人。

 そんなに恐れる必要はありません。ちゃんと予防しましょう。高校3年生はSTD(Sexually Transmitted Disease 性感染症)のうち、梅毒がこれほど急激に増えている事実を知っておきましょう。来年4月になれば地元を離れて自分の問題になります。

<安全なセックスのために...>
 よく知り合ってからにしましょう。梅毒予防にはコンドームが有効です。そして安全で不安のないセックスパートナーとの関係を大切にしてください。
 それでも梅毒に罹ることはありえますので、梅毒の症状の解説サイトを紹介したので、そこを見て、該当する症状があったら病院で検査を受けてください。不運にして罹患していたら、パートナーにも告げて一緒に、完全に治るまで治療を継続してください。治療中は他の人に感染させてはなりません。

<オキシトシンとDHEAなどのホルモンの分泌が多くなる>
 セックスするとオキシトシンやDHEA、ドーパミンなどのホルモンが分泌され、若返りと、病気予防になる。たとえば、男の場合は前立腺癌が減るというデータがあるようだ。

*性感染症解説動画
 FB友の水野さんがやっている動画です。STD(性感染症:HPV(ヒトパピローマウィルス:子宮頸癌、陰茎癌などの原因ウィルスです)、クラミジア、B型・C型肝炎、ヘルペス、淋病、HIV、梅毒)を詳しく解説しています。どうぞご覧ください。STD感染を広げないために、しっかりした知識が必要です。HPVは症状がないために男が感染拡大しています。

梅毒新規陽性者数10,000人を超え!>2022年10月27日追記
 現行の調査方法に切り換えた1991年以降で、初めて新規梅毒患者数が10,000人を超えました。SNSでどこの誰ともわからない人とするのはリスクが大きい。周りの知っている人なら、梅毒かどうかは噂が立つから耳にすることがあり、リスクを回避できます。相手は選んでしましょう。


にほんブログ村