根室市長選挙には副市長の石垣雅敏氏(67)がすでに立候補を表明しているが、今日の北海道新聞(5面総合版)によれば市議で弁護士の保坂いづみ(49)さんが立候補の意向を固めたという。

「市役所のためでなく、市民のための市政を実現したい」…北海道新聞より

 もちろん、石垣さんも副市長ではあっても、思いは同じだろう。市役所のための市政なんてナンセンスなことは、長谷川市政の副市長として身に染みて思っているはず。
 たとえば、市立根室病院事業会計は公的会計基準で公表されているが、あれは行政にしかわからない代物で、市民のためには民間の会計基準で市のホームページ上で決算公表すべきだ。そうすれば根室の中小企業主にも、根室高校商業科や事務情報科の生徒にも病院経営にかかわる年間17億円赤字の実態がわかる。「市民のための市政」とは正直にということだ。公的会計基準では赤字経営がしばしば黒字ということになる。民間企業がそんなことをしたら粉飾決算で取締役は責任を問われ刑事事件となる。代表取締役や経理担当取締役だけでなく、他の取締役も善管注意義務違反となるだろう。夕張市は箱もの行政を次々とやり、赤字を補助金で補填して経営実態が隠蔽されて公的会計上では黒字だったのだろう。公的会計基準はダブルスタンダードそのもの、英語では「インチキ」という意味がある。話の要点は誰のための事業報告・決算報告かということ。市民に分かりやすく正直で公正であれ。

 保坂さんは性同一性障害で戸籍上は男性だが、女性市議として活躍している。四年前の市長選挙では元目黒区議の鴨志田リエさんが立候補して善戦した。根室に住民票すら置いていない人があんなに票を獲得するなんて思わなかった。一部のものたちの利害を重視した恣意的な市政が長く続くことに嫌気がさしている市民が増えているということだろう。
 同調圧力は日本の宿痾(しゅくあ)だと鴻上氏が語っているが、その硬い基盤に前回根室市長選挙で罅(ヒビ)が入った。初めて氷が割れるような音がピシッとしたのである。

 保坂さんは最近市議2人と市議会でなにか共同提案をしたが、受け入れられなかった。ならば市長になってナタを振るおうということだろう。エールを送りたい。根室市議には同調圧力*が強い。それは市議に限らぬ、オール根室もその代表例の一つだろう。
 四百年に一度の根室沖巨大地震と20mの津波が明日起きても不思議ではないから、今回の選挙は災害対策も争点に一つに挙げてもらいたい。

#3792 四百年に一度の巨大地震が千島海溝付近で起きたら:仕事は段取り8分 July 26, 2018

 選挙期間中の日曜日(9/2)は根室市総合文化会館でお互いに具体的な政策論を戦わせてほしい。
 根室の未来を決める大事な選挙であるから、候補者お二人の具体的な政策論に耳を傾けたい。9月2日告示、9日投票日、選挙期間が短すぎる。2回は政策論議を聴いてみたい。両氏で調整願えないか、たとえば土日連続の討論会。
 討論を避けるようなら石垣氏は今まで通りの市政継続ということだろう、何も説明は要らぬ。
 その場合には前回市長選挙の結果から推して互角の戦いになる。前回選挙の投票率は57.02%、投票率が低ければ石垣氏、高くなれば保坂さんに有利となるだろう。



*宿痾(しゅくあ):前々から罹っていて、治らない病気 『大辞林』よし

*鴻上尚史「同調圧力と戦う」
https://dot.asahi.com/dot/2018081000019.html?page=7

*「性同一性障害の市議、市長選へ 出馬表明、北海道根室市 」共同通信
https://www.msn.com/ja-jp/news/national/性同一性障害の市議、市長選へ-出馬表明、北海道根室市/ar-BBMuL8H?li=BBfTvMA&ocid=spartanntp

*#2809 市長選挙が終わり弔鐘が鳴る Sep. 15, 2014
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-15