市民一人当たり歳出額が藤原前市長時代に比べて1.6倍を超えている、そして人口減少は2年続けて年間600人を超えた。
平成28年の一般会計当初予算は168億円だったが、「広報根室2018年1月号」記載の決算データでによれば205億円である。そのデータで計算すると、平成28年度の市民一人当たり歳出額は76万円となる。道庁から転出して市長となった藤原前市長は一貫して財政規模の縮小に努め、最後の年は市民一人当たり歳出額を46.5万円まで縮小した。人口減を見越して財政規模を縮小するのはたいへんな仕事だっただろう。
平成28年度の歳出は藤原前市長の最後の年と比べると、市民一人当たり歳出額が1.6倍にも膨らんでいる。なぜこんなに財政規模が膨らむのか、市民一人一人が考えるべきだ。
増減 | 人口 | 一般会計予算 (億円) | 万円/人 | |||||||||||
36,041 | 1994年 | H6年 | 177.8 | 49.3 | ||||||||||
-481 | 35,560 | 1995年 | H7年 | 184.7 | 51.9 | |||||||||
-343 | 35,217 | 1996年 | H8年 | 186.4 | 52.9 | |||||||||
-382 | 34,835 | 1997年 | H9年 | 190.4 | 54.7 | |||||||||
-301 | 34,534 | 1998年 | H10年 | 178.9 | 51.8 | |||||||||
-351 | 34,183 | 1999年 | H11年 | 178.1 | 52.1 | 藤原市長 | ||||||||
-324 | 33,859 | 2000年 | H12年 | 181.4 | 53.6 | |||||||||
-371 | 33,488 | 2001年 | H13年 | 178.6 | 53.3 | |||||||||
-460 | 33,028 | 2002年 | H14年 | 173.1 | 52.4 | |||||||||
-360 | 32,668 | 2003年 | H15年 | 166.3 | 50.9 | |||||||||
-402 | 32,266 | 2004年 | H16年 | 166.3 | 51.5 | |||||||||
-495 | 31,771 | 2005年 | H17年 | 159.2 | 50.1 | |||||||||
-390 | 31,381 | 2006年 | H18年 | 146.0 | 46.5 | |||||||||
-500 | 30,881 | 2007年 | H19年 | 141.5 | 45.8 | 長谷川市長 | ||||||||
-412 | 30,469 | 2008年 | H20年 | 147.3 | 48.3 | |||||||||
-388 | 30,081 | 2009年 | H21年 | 145.7 | 48.4 | |||||||||
-485 | 29,596 | 2010年 | H22年 | 155.0 | 52.4 | |||||||||
-457 | 29,139 | 2011年 | H23年 | 160.9 | 55.2 | |||||||||
-389 | 28,750 | 2012年 | H24年 | 164.8 | 57.3 | |||||||||
-201 | 28,549 | 2013年 | H25年 | 166.4 | 58.3 | |||||||||
-499 | 28,050 | 2014年 | H26年 | 166.2 | 59.3 | |||||||||
-421 | 27,629 | 2015年 | H27年 | 170.8 | 61.8 | |||||||||
-611 | 27,018 | 2016年 | H28年 | 168.1 | 62.2 | 205.1 | ||||||||
-619 | 26,399 | 2017年 | H29年 | 169.9 | 64.4 | 178.9 | ||||||||
平成28年の一般会計当初予算は168億円だったが、「広報根室2018年1月号」記載の決算データでによれば205億円である。そのデータで計算すると、平成28年度の市民一人当たり歳出額は76万円となる。道庁から転出して市長となった藤原前市長は一貫して財政規模の縮小に努め、最後の年は市民一人当たり歳出額を46.5万円まで縮小した。人口減を見越して財政規模を縮小するのはたいへんな仕事だっただろう。
平成28年度の歳出は藤原前市長の最後の年と比べると、市民一人当たり歳出額が1.6倍にも膨らんでいる。なぜこんなに財政規模が膨らむのか、市民一人一人が考えるべきだ。
年間人口減少幅は藤原前市長時代は年平均395人の人口減少、8年間で3162人減。長谷川市長に代わってから、年平均453人、11年間で4982人の減少、そして最近2年間は600人を超えているから、人口減少が加速したように見える。こんなに減少したのは平成3年の606人以来である。
根室市が旗を振っている移住促進が破綻していることはデータから明らかだ。根室市の政策で移住したのは10人足らず。
人口減少幅を小さくしたければ、地元企業の経営改革をするのが本筋である。首都圏の標準的な企業がどういう経営をしているのかに学ぶべきだ。魅力のない企業に人は集まらない、魅力のない町からは人が出ていく。
足りない労働力を中国人やベトナム人で代替すること自体が大きな経営判断ミスだ。いま働いている人たちを大事にしないでさらに低賃金の外国人を雇用すれば、水産業で働く人たちの給与は上がらないどころか下がる。こんな状態を目の当りにしたら、自分の子供を水産業界で働かせたいと思う親が増えるだろうか?水産業界で働く人たちの給与はいずれ中国人やベトナム人並みになり、根室っ子はそういう会社をますます敬遠するようになる。水産業界は人が集まらなくなり、経営がたちいかなくなる。どうしてこんなことがわからないのだろう。水産業界は人材の集まらない業界となりつつある。
具体例がある。根室最大の企業であった日本合同罐詰株式会社には1000人の女工さんたちが働いていた。当時のカニ罐詰の技術水準は非常に高かった。働いている人たちを粗末にすれば、人が集まらなくなり、品質が落ちる、そして経営が破綻する。昭和30年代に半ばころから、女工さんが集まらなくなり、日本合同罐詰は昭和52年に経営破綻した、何が起きていたのか何度も書いているので再説しないが、同じ轍を踏んではいけない。
人口減少を緩和するには、地元企業の経営改革を進めることと、そして市役所や市議会がちゃんと機能しなければならない。
「オール根室」が問題なのは、相互批判を失い、市政と癒着し、内部改革の妨げとなり、根室衰退の構造的要因となっているからである。そこに集っている人の人格を云々しているのではない、市政翼賛と癒着というその構造的役割が問題だと言っている。
魅力のある街づくりをするために、経済諸団体は経営改革の旗を振れ、メンバー企業の経営改革をやらずに、町の復興も人口減の緩和もありえない。
ふるさと納税制度は地元企業の経営を腐らせる。利用する側にとっては脱税まがい、こんな制度は日本を地方から腐らせるから早くやめるべきだ。ふるさと納税返戻品でイージーな商売を続けると、それが癖になり、経営体質が変質していく。制度がなくなったときに、生き残れるのか?他地域が根室産の蟹を返戻品にするのも合法だから、各自治体間でそんな競争をはじめたら、続くわけがない。
浮利を追えば自分の首が締まる。住友家の家訓も「浮利」を負うことを戒めている。「浮利を追わず」というのは住友家に限らず、200年以上の歴史をもつ日本企業に普遍的な価値観だ。
ふるさと納税制度は「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というわけにはいかない、自分のところだけよければいいというスタンスだ。日本の伝統的な商道徳はそうしたことを戒めている。長続きしないのだよ。
市立病院の赤字は現在年間16-17億円の間だが、人口減少が加速すれば採算はさらに悪化し、一般会計繰入金を増額せざるをえなくなる。いつまでこのような巨額の赤字補填ができるのか?
今年は市長選挙の年だが、地元企業の改革や市政を改革する能力を持った若い候補が現れなければ、根室の人口減少は加速することになる。
600人の人口減少が22年間続いたら、2040年に根室市の人口は現在の半分、1.3万人に減ってしまう。地元企業の7割以上が消滅しているだろう。すでにスーパマーケットは地元資本がない。
いま中・高生の諸君が40歳になる前に、地元企業の半数が消滅している可能性がある。就職できても、40歳前に失業ということになりかねない。したがって、若い人たちにとっても、地元企業の経営改革は死活問題である。
なぜ、人口減少幅が600人の大台に乗ってしまったのか、市議会と市役所の政策担当部署は分析すべきだろう。「広報根室」や「ねむろ市議会だより」にはそういう分析を載せてもらいたい。
人口減少対策は根室に住む自分たちでやろう、内部改革をせずして町の繁栄はない。
<余談:三友冷蔵民事再生法適用を申請>
2月2日の北海道新聞にカネ共三友冷蔵(根室市、渡辺幸二社長)が東京地裁に民事再生法適用申請をしたという記事が載っていた。「売上高が市内トップの水産加工会社で、サケ・マス・サンマなどを扱い、市内の水産加工会社から「根室きってのベニ屋(サケ・マス加工業者)との評価もあった。民間調査機関による負債総額は約35億円にのぼり、市内の漁業・水産加工会社ではサケ・マス流し網漁禁止以降最大。既存事業を継続して再建を目指す方針だが、老舗のつまずきに、市内経済・産業界に動揺が広がっている」。
大手飲食業の「トラオム」とスポンサー契約をしたようだ。従業員60人は継続雇用の予定。
地元資本が次々に消滅しても、首都圏の大手資本が吸収し雇用保障をしてくれたら、働いている人たちはそのほうが幸せかもしれない。債務超過になってからでは、二束三文で買いたたかれるから地元企業オーナーの手にお金は残らない。経営改革できないのなら、企業価値のあるうちに、つまり黒字のうちに売却するのが賢明だ。従業員のためにもそのほうがよい。売却交渉は債務超過になってからでは遅すぎる。赤字企業の買収交渉や資本提携交渉などもしてきた経験からのアドバイスである。
*地方は若者の「起業家」を使い捨てにしている
http://toyokeizai.net/articles/-/206712
*「ブラック農家」や古い経営者が地方を滅ぼす
地方の働き手不足の原因は人口減少ではない
http://toyokeizai.net/articles/-/151881
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