(1)生活保護世帯のパーセントが大きければ学力は低いか?
 道内で生活保護世帯の一番多いのは釧路、では一番少ないのはどこ?そう根室です。生活保護世帯が多いほど学力が低いと言われてきましたが、学力テストの平均値でみると生活保護世帯比率の小さい根室市の子供たちは道内で一番生活保護世帯の比率の多い釧路市の子供たちより学力が低いのです。不思議ですね。
 根室市教委さん、こんなデータ知っていましたか?

(2)定期テスト問題の使いまわしの功罪
 定期テストの使いまわしは仕事の手抜き。
 塾の「定期テスト過去問対策」はズルの奨励。
 まだそういう先生や塾があるんですね、釧路の実態を知ってびっくりです。
 こういうことを通じて、学校の先生や塾の先生たちは生徒に「仕事は手抜きして当たり前」「目先の得点アップのためなら、学力向上無視のズルをせよ」と教えているんです。こういうのを教育界では「隠れたカリキュラム」というのだそうです。「隠れたカリキュラム」とは「意図しない教育」のことを指しています。文科省の資料から定義を引用しておきます。URLは脚注にあります。

「隠れたカリキュラム」とは、「教育する側が意図する、しないに関わらず、学校生活を営むなかで、児童生徒自らが学びとっていく全ての事柄」を指す。

 ブログ「情熱空間」が興味の尽きない話題をアップしています。2本続けてよいしょ!

http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8657835.html
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2016年11月21日

要保護及び準要保護児童生徒割合と学力の関係(相関なし!)

要保護及び準要保護児童生徒。

経済的理由により、小中学校への就学が困難な児童生徒をもつ保護者に対して、学用品費、学校給食費など就学に必要な経費の一部を助成する制度、「要保護及び準要保護児童生徒就学援助費」というものが設けられています。

さて、実に興味深いデータを見つけました。北海道の管内別のその児童生徒数の割合(教育便覧2016 北海道教育庁総務政策局教育政策課編から)です。

北海道…23.1%
釧路管内…31.7%(MAX)
根室管内…13.7%(MIN)


他管内の数字は割愛しますが、釧路管内が最も高く、根室管内が最も低い。実に意外でありました。生活保護率から釧路管内が一番高いのは予想通りでしたが、まさかまさか(釧路管内よりも一段と学力が低い)根室管内が最も低いとは…。ちなみに釧路に次いで高いのは、渡島管内の26.9%、上川管内の26.5%、後志管内の25.2%とのこと。

ここから導き出される結論です。地域の子ども達の学力とそれ(要保護及び準要保護児童生徒割合)には相関が認められないということ。ええ、実に大胆なものです(笑)。

親の経済状況はけっして悪いものではない。
それなのに子ども達の学力は、どん底レベル。

ごめんなさいね、根室管内はまさにそういうことになりそうです。(その意味、釧路管内は善戦しているとも言えそうではあります)ということはつまり、こうしたこともまた言えるわけですね。

地域の経済状態が、その地域の子ども達の学力を左右するものではない。
親の経済状態が、その親の子の学力を左右するものではない。


個々に見たならば、後者は当てはまる場合が多いのでしょうけれど、地域全体で見たならば当てはまるとは言えないものになっています。おもしろいですね。「親の経済状態」が問題なのではなく、「親の意識」が問題だと私は思う次第です。

ならばどうすべきか。啓蒙でしょうね、啓蒙。子育てを通して、どんどんどんどん親を啓蒙する、ってなことでしょうかね。地域が、子どもの学力問題に関して意識が薄い。親が、子どもの学力に関して意識が薄い。結局はそこに帰着するのかも知れませんね。

でもしかし、おかげさまで問題意識がこれだけ高まっているのに、未だにまともな結果を出せないってのは、それってどうなんでしょうね、釧路市教委さん(苦笑)。

《追記》
三世代同居率。
よく、秋田はそれが高いので学力が高いなどと言われますが、それもまた根拠に欠けますね。1位は山形県の21.5%、2位は福井県の17.5%、3位は秋田県と新潟県の16.4%とのこと。(全国平均7.1%)

北海道は下から5番目の3.9%ですが、管内別に見ると一番高いのはこれまた根室管内(8.5%)なんですね。つまり、根室管内は要保護及び準要保護児童生徒割合が低く、かつ三世代同居率が高いものの学力はしっちゃかめっちゃか…。ちなみに三世代同居率が最も低いのは東京。そりゃそうでしょう(笑)。

おもしろいですね、数字の分析って。

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http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/8658265.html
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2016年11月22日

試験問題の使い回しが発覚!

こんな情報が飛び込んできました。

先日行われた、某中学校の定期試験。
そのうちの国語の定期試験問題。
なんとなんと、過年度の試験問題の使い回しが発覚!

某塾が対策で配った定期試験の過去問。
それがまるまんま出題され、満点得点が続出!

とか。

あらららら、今もまだそんなことをやっているんだ。
昔はけっこうありましたけどねぇ…。
釧路だとなぜか問題になりませんでしたが、たしか帯広だったと思います。
同様のこと、北海道新聞と記憶していますが、不正行為として大きな記事になったものでした。
20年以上前のことですが。

ちなみウチは、定期試験過去問を配ったりはしません。
そこはやはり仁義ですからね。
インスタント・付け焼き刃な指導はよろしくありませんし。

市教委や教育局へ保護者からのクレームが行っていると思いますが、しかしまぁ…。
いつになったら、こうしたことが改められるのでしょうか。

あまりにも簡単な試験問題。
そして使い回し。
やはり監視体制が必要なのでしょうね。


さて、今回は新聞記事になるのでしょうか?
例によって、「けしからん!」と塾のせいにして「再試験」をおこなって幕引きにするのかな?
生徒間の「LINE」で、随分と拡散しているようですけれど。

●いつからこんなにひどくなったのか?(12年前のNLから)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7557543.html
●プチ暴露(試験の使い回し他)
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/6927477.html
●試験問題を使い回す中学校
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/5314876.html

《追記》
塾の側も、定期試験過去問を配布しない。
その代わり、学校もまた使い回しはしない。
紳士協定が必要だな、うん。

こんなことで、子ども達がしめしめと、「損得の味」をしめたら大変ですからね。
自分がなにを「しでかした」のかを、じっくり考えていただきたいものです。
悪しき慣習、いや蛮行ですね、これは。
もうそろそろピリオドを打ってほしいものです。

《追記2》
ebisuさんのコメントです。

定期試験問題の「使いまわし」はいけませんね、仕事の手抜きです。

それにしても、定期試験の過去問をテスト対策と称してやっている塾が釧路にもあるんですか、ゲスの極みですね。

根室にもそういう塾があるらしくて、現中2の生徒ですが、1年生のときの最初のテストと2回目の期末テストでは、「塾のテスト対策」で過去問で一生懸命に勉強している2位の生徒と合計点数の差が小さく、最初の2回だけデッドヒート状態でした。勉強の仕方が学力にどのような影響を与えるか観察していたら、毎回2位との差が広がっていき、11月の学力テストでは470点超、2位との差は110点に拡大しています。

数学も英語も1年先をやっているので、この生徒は定期テスト対策はゼロです。
まともな勉強法で学力をアップさせたら、点数はあがります。点数上げるための勉強したら長期的には学力の伸びが止まってしまう典型的な例でしょう。(後略)

そうなんです。
目先の得点、定期試験の得点「ばかり」を上げにかかったならば、それは長い目で見たなら学力の伸びを抑止してしまうんです。
だから、塾での過去問配布はよろしくない。
ウチは、下線部の意味が分かる保護者の子どものみ通っていただきたい。
肝心なのは、勉強の仕方と習慣づけなのですから。

そのように考えております。^^

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< 余談 >
 本音を言うと、難易度の低い学力テストでの高得点はほとんど意味がありません。出題の難易度をBレベルが半分、Cレベルが半分だとしたら、学力テストで数学満点の生徒でも、70点は取れませんから。60点がいいところでしょう。高校に入学してから、全国模試(進研模試)を受験して、全国レベルの高さを知ることになります。難易度の高い問題を中学生のうちからやらせ、高校数学を予習しておかないととても80点は取れません。1・2年生で学校の授業や定期テストに出題される難易度Aの基本問題の出題は全国模試ではゼロです。センター試験に難易度をあわせているのでB問題以上のレベルでの出題です。
 北海道の中学校でやっている学力テストの出題レベルはAが8割、Bレベルが2割です。そういうレベルの問題ばかりやっていてもそれほど頭は働いていません。難易度の高い問題でないと頭は働かないようにできています。難易度の高い問題集をひとつ挙げておきます。根室市内の市街化地域の中学校のトップ(学力テストで数学百点)でも、半分正解できる生徒はいないでしょう。

 『国立・難関私立高校制覇ハイクラス徹底問題集 高校入試 数学』 文理


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(注)
*隠れたカリキュラム ウィキペディア
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9A%A0%E3%82%8C%E3%81%9F%E3%82%AB%E3%83%AA%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%A9%E3%83%A0

 文科省資料 「隠れたカリキュラム」の定義
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/jinken/06082102/004.htm

*#2138 データと分析(2)語彙力がないままの学力向上はない Nov. 25, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-25


      70%       20%      
 

ハイクラス徹底問題集:高校入試編 数学 (国立・難関私立高校制覇)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 文 理
  • 発売日: 2013/03/18
  • メディア: 単行本