中学校の方はきれいに分かれたのだが、小学校の方はそうはいかなかった。
(人口と地域産業に占める漁業割合の二次元座標では無理のあることにハンドルネーム「後志のおじさん」の投稿で気がついた。北教組の組織率という座標軸をもう一本付け足し、三次元座標上に位置づけるときれいに分類できそうなのである。―15日追記)
人口 | 2014 小学校 | 小学生 | 中学生 | |||||
y3 | 石狩43.7 | 18,833 | 17,843 | 990 | ||||
上川45.1 | 3,987 | 4,010 | -23 | |||||
大 | 胆振37.5 | 3,338 | 3,204 | 134 | ||||
渡島42.5 | 3,081 | 3,097 | -16 | |||||
十勝36.8 | 2,981 | 3,043 | -62 | |||||
y2 | オホーツク26.5 | 2,381 | 2,359 | 22 | ||||
空知41.8 | 2,268 | 2,412 | -144 | |||||
中 | 釧路41.5 | 1,897 | 1,738 | 159 | ||||
後志28.9 | 1,641 | 1,592 | 49 | |||||
y1 | 根室32.4 | 717 | 661 | 56 | ||||
宗谷30.0 | 596 | 509 | 87 | |||||
小 | 日高11.6 | 589 | 559 | 30 | ||||
留萌49.9 | 334 | 345 | -11 | |||||
檜山42.4 | 295 | 285 | 10 | |||||
x1 漁業 | x2 中間 | x3 農業 | ||||||
42,938 | 41,657 | 3.08% | ||||||
40以上 | ||||||||
36.5-40未満 | ||||||||
30-36.5未満 | ||||||||
30未満 | ||||||||
AV=36.5 |
<後志管内はどうして学力が低いのか>
農業経済圏であるにもかかわらず、後志管内だけが偏差値が30以下である。なぜだろう?
小樽・余市・喜茂別・泊などがこの地域に含まれる。泊は原発のある村だ。この地域は小樽(14.2万人、56.85%)だけが大きくて、あとは人口の小さな町や村が集まっている。2番目の人口を擁するのは余市町(2.3万人、9.09%)、あとはニセコ町や留寿都などリゾートで有名なところも含まれている。リゾート地は定住人口が少ない。札幌近郊圏でも交通が便利な通勤圏に位置している小樽以外は学力が低いのだろうか?ここには道立の進学校小樽潮陵高校(偏差値59)がある。ついで小樽桜陽(偏差値48)、私学で双葉高校があるが、っこの特進科が桜陽よりも上かもしれない、後はそれ以下。人口2万人程度の町の高校の偏差値は概して低い。
これだけでは後志管内の偏差値が低い理由がさっぱりわからない。
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⇒(15日追記)ハンドルネーム「後志のおじさん」が明解な分析を書き込んでくれた。脚注に転載したので、ぜひお読みいただきたい。三次元座標で表すとすっきり色分けできそうだ。人口、地域産業に占める漁業の濃度、そして北教組の組織率という三本の座標軸があれば北海道の地域別学力格差がどういう状況で生まれているのか鮮明になりそうである。
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<漁業経済圏は小学校も中学校も学力が低い>
漁業経済圏である日高・宗谷・根室の3管内は小学校も学力が低い。それでもめげることはないのだ。一番低い日高管内だって人口が少ないだけに、学校マネジメントのやり方次第で全国平均正答率を達成できる、その差は小さい。#2907から該当部分を引用する。
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管内別・科目別偏差値の算出には、47都道府県別データから計算した標準偏差が使われています。元データが都道府県別の平均正答率ですから、そのばらつきは小さくなっています。データをどう見たらいいかは次の弊ブログ記事にまとめてあります。
例を一つだけ挙げておきます。全国平均の科目別正答率の単純平均値は66.175%、14支庁管内で最低の日高管内は57.4%。正答率でその差は8.775%、問題数が国語A15問、国語B10問、算数A17問、算数B13問の合計55問しかありませんから、正答数を4.8題増やすことができれば、日高管内は全国平均正答率達成となります。差はわずかなのですが、平均値でのわずかの差をつめることはなかなかたいへんなことなのです。数人の成績をあげることは簡単でも、平均値を上げるのはなかなかむずかしい。システマティックにアプローチするのが有効で、学校マネジメントの巧拙が生徒の学力向上に深く関わってきます。
<問題数が少なすぎる!>
ここで気がついた人がいるのではないでしょうか、中学校は92問ありましたが、小学校はわずか55問、これでは都道府県別平均正答率データは狭い範囲に集中してしまいます。つまり標準偏差が小さくなる。標準偏差が小さくなると、わずかの正答率の差で偏差値には大きな差になるということ。
(読み・書き・計算スピード)×時間=学習量
こういう等式を前提とすると、児童・生徒の学習時間を一定とすると、学習量は「読み・書き・計算速度」に依存しています。学習量が多いものの方が学力が高くなるのは当たり前ですから、基礎学力である「読み・書き・そろばん(計算)」速度の大きいものほど学力が高くなる傾向があることはたしかなことです。
したがって、全国学力テストは問題数を120問くらいに増やして、「読み・書き・計算」の処理速度も計測できるように改善してもらいたい。小学校は問題数が2倍以上に拡大されるから「読み・書き・計算」能力の差も得点差になって現れる。
*#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
<脚注>
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お忘れですか?
後志は、特殊な思想の教員集団の牙城ですよ。
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後志のおじさん
ははは、忘れていました。
日高と後志はそういう共通点があったのですね。
①人口の大小の座標軸、②漁業経済圏と農業経済圏という座標軸に③「特殊な思想集団の濃度」という第三の座標軸を導入するともっとわかりやすい図になるということですか。
根室も少し以前までは北教組がたいへん強かったと聞いています。数年前まで学校への取材が難しいという話がありましたが、北海道新聞根室支局の記者が数年前にそう行く壁を突き崩してくれました。
いまでは、放課後補習を学校ぐるみでしても、そちらの筋からのクレームはなさそうです。十数年前には郡部の小学校での放課後補習にそちらの筋からのクレームがあって、中止したことがあったそうです。
地域住民が基礎学力向上の声を上げていれば、そういう介入をし辛くなります。
何も言わないのが一番よろしくないようです。
インターネットで意見発信ができる、いい時代になりました、
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テスト分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2
#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12
#2905 小学校 47都道府県別・科目別偏差値-2 :H26全国学テ・データ分析(8) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13
#2907 小学校 14支庁管内別・科目別偏差値 :H26全国学テ・データ分析(9) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-13-2
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