#2907 小学校 14支庁管内別・科目別偏差値 :H26全国学テ・データ分析(9) Dec. 13, 2014 [68.H26全国学力テスト・データ分析]
管内別・科目別偏差値の算出には、47都道府県別データから計算した標準偏差が使われています。元データが都道府県別の平均正答率ですから、そのばらつきは小さくなっています。データをどう見たらいいかは弊ブログ記事#2894にまとめてあります。
例を一つだけ挙げておきます。全国平均の科目別正答率の単純平均値は66.175%、14支庁管内で最低の日高管内は57.4%。正答率でその差は8.775%、問題数が国語A15問、国語B10問、算数A17問、算数B13問の合計55問しかありませんから、正答数を4.8題増やすことができれば、日高管内は全国平均正答率達成となります。差はわずかなのですが、平均値でのわずかの差をつめることはなかなかたいへんなことなのです。数人の成績をあげることは簡単でも、平均値を上げるのはなかなかむずかしい。システマティックにアプローチするのが有効で、学校マネジメントの巧拙が生徒の学力向上に深く関わってきます。学校マネジメントの変化の実例を挙げておきます。
#2896 学校通信が学力向上の旗を振るC中学校 Dec. 5, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-04
#2900 学テ総合ABCで全国平均レベルはどれくらいの得点か Dec. 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-10
ここで気がついた人がいるのではないでしょうか、中学校は92問ありましたが、小学校はわずか55問、これでは都道府県別平均正答率データは狭い範囲に集中してしまいます。つまり標準偏差が小さくなる。標準偏差が小さくなると、わずかの正答率の差で偏差値には大きな差になるということ。
(読み・書き・計算スピード)×時間=学習量
こういう等式を前提とすると、児童・生徒の学習時間を一定とすると、学習量は測度に依存しています。学習量が多いものの方が学力が高くなるのは当たり前ですから、基礎学力である「読み・書き・そろばん(計算)」速度の大きいものほど学力が高くなる傾向があることはたしかなことです。
したがって、全国学力テストは問題数を120問くらいに増やして、「読み・書き・計算」の処理速度も計測できるようにすべきではないでしょうか。
*#2894 個人別偏差値と地域別偏差値論考(4):14支庁管内別偏差値の妥当性 Dec. 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-02
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ようやく管内別データまで来た。石狩管内のデータに驚き、正答率データを再度チェックした、偏差値データが予想外だったのである。札幌市が全数調査で前回は1/3の参加だったが、今回は札幌市内全校が参加しているから、石狩管内の平均正答率が上昇し、偏差値も14支庁管内トップと予想していた。ところが予想は外れた。
2014年度全国学力テスト・小学校 | |||||||
<道内14支庁管内別/科目別偏差値> | |||||||
支庁名 | 国語A | 国語B | 算数A | 算数B | 合計 | 平均 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 50.0 | 200.0 | 50.0 | |
全道 | 44.5 | 41.2 | 38.4 | 36.7 | 160.8 | 40.2 | |
1 | 留萌 | 60.5 | 46.0 | 47.5 | 45.6 | 199.5 | 49.9 |
2 | 上川 | 49.0 | 45.3 | 46.5 | 39.8 | 180.5 | 45.1 |
3 | 石狩 | 44.0 | 45.3 | 40.9 | 44.7 | 174.9 | 43.7 |
4 | 渡島 | 52.0 | 42.9 | 39.9 | 35.3 | 170.2 | 42.5 |
5 | 檜山 | 53.0 | 37.2 | 48.5 | 30.9 | 169.6 | 42.4 |
6 | 空知 | 51.5 | 39.9 | 42.4 | 33.6 | 167.4 | 41.8 |
7 | 釧路 | 55.5 | 38.2 | 46.5 | 26.0 | 166.2 | 41.5 |
8 | 胆振 | 40.5 | 41.2 | 35.9 | 32.2 | 149.8 | 37.5 |
9 | 十勝 | 47.0 | 37.2 | 31.3 | 31.8 | 147.3 | 36.8 |
10 | 根室 | 44.0 | 38.2 | 26.8 | 20.7 | 129.7 | 32.4 |
11 | 宗谷 | 49.0 | 30.1 | 30.8 | 10.0 | 119.9 | 30.0 |
12 | 後志 | 23.5 | 33.8 | 30.8 | 27.3 | 115.5 | 28.9 |
13 | オホーツク | 37.5 | 25.4 | 26.3 | 16.7 | 105.9 | 26.5 |
14 | 日高 | 17.0 | 16.3 | 10.6 | 2.4 | 46.4 | 11.6 |
根室市内 | 42.5 | 36.2 | 30.8 | 16.7 | 126.2 | 31.5 |
<学力の地域間格差と学校間格差を縮小するために・・・>
なんと、小学校のトップは留萌管内、2位が上川管内、3位が石狩管内だ。
石狩管内の昨年度の偏差値は14支庁管内中2位で43.9だから今年の43.7と一緒だ。札幌市は市内の学校間の学力格差が大きいのか?事実を明らかにするために学校別の平均正答率表を公表すべきだ。どのくらいの学校間格差があるかで学校ごと・教科ごとの取組の仕方が違ってくる。学校間格差を縮小するためにも、学力向上の目標管理に学校別・科目別の平均正答率データを積極的に利用すべきだ。
<小学校と中学校で偏差値が大きく変動する地域にはなにがある?>
なにがあるといっても、何かお宝が眠っていると楽しいがどうだろう。小学校よりも中学校の方が偏差値が高い地域は青で、小学校よりも中学校の偏差値がh杭地域は赤でマーキングした。
データを眺めていろいろ考えをめぐらせてもらいたい。なにか見えてきたらコメント欄へ書き込んでくれたらいい。みんなでワイワイガヤガヤやるのも楽しい。⇒コメント欄にブログ「情熱空間」のZAPPERさんが意見を書き込んでくれた。脚注に転載するのでぜひお読みいただきたい。
2014年度全国学力テスト | ||||
<小中偏差値対比表> | ||||
小学校 | 中学校 | 差 | ||
全道 | 40.2 | 46.8 | 6.6 | |
全国 | 50.0 | 50.0 | 0.0 | |
1 | 留萌 | 49.9 | 44.5 | -5.4 |
2 | 上川 | 45.1 | 51.5 | 6.4 |
3 | 石狩 | 43.7 | 54.0 | 10.3 |
4 | 渡島 | 42.5 | 39.0 | -3.5 |
5 | 檜山 | 42.4 | 37.7 | -4.7 |
6 | 空知 | 41.8 | 38.8 | -3.1 |
7 | 釧路 | 41.5 | 41.7 | 0.2 |
8 | 胆振 | 37.5 | 41.9 | 4.5 |
9 | 十勝 | 36.8 | 45.7 | 8.8 |
10 | 根室 | 32.4 | 29.0 | -3.4 |
11 | 宗谷 | 30.0 | 27.1 | -2.9 |
12 | 後志 | 28.9 | 32.6 | 3.8 |
13 | オホーツク | 26.5 | 38.2 | 11.7 |
14 | 日高 | 11.6 | 26.5 | 14.9 |
<14支庁管内別偏差値の単純平均値は36.5>
十勝管内までが平均超えである。10位の根室から下が道内14支庁管内単純平均値以下。平均以下のところに重点を置いて改善すれば学力があがるが、それだけでは全道平均が全国平均を超えられない。一番よい留萌管内ですら全国平均である偏差値50を0.1未達になっている。
小学校に全道の低学力の秘密が隠されているようだ。北海道の小学校の先生の8割が北海道教育大出身者と言われているが、道教育大になにか問題があるのではないか。授業のやり方の指導とか、左翼思想をもった教育学者の存在が学力改善の妨げになっているのではないか。最近北大の教育学担当M教授の意見を北海道新聞で見てあまりひどいので弊ブログでとりあげた。道教育大釧路分校の教育学担当T教授もZAPPERさんが度々槍玉にあげている。
***問題のすり替え:数学問題文の漢字が読めないのは誰のせい?
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-09
<各市町村教委は学力改善のために正答率データ公表に踏み切ろう>
根室市教委が根室市の科目別平均正答率データを公開した、根室市教委の英断を称えたい。さらに踏み込んで学校別・科目別正答率公表をしてもらいたい。全国でまだ1.8%しかないそうだ。
*「千葉市、全国・千葉県・大都市の平均正答率を上回る」11月25日
http://resemom.jp/article/2014/11/26/21610.html
**「学校別正答率の公表(読売新聞記事)」 ブログ「情熱空間」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/7678876.html
(北海道新聞は北教組に遠慮してか、こういう記事を報じない)
<管内別データと市データの比較でみえてくるものがある>
根室市の小学校の偏差値を管内と比較するとある問題がみえてくる。国語Aと国語Bそして算数Bが根室管内平均よりも根室市の方が低いのである。とくに算数Bがひどい。これは日本語の能力に問題があるからではないのか?たとえば、中1の生徒でこういうことがある。
「直線ℓとmで・・・」
これは比例のグラフの文章題の日本語文章なのだが、生徒の手が10分ほど手が止まっているので訊いてみたら「全然わからない」という返事。そこで問題文を音読させてみると、「直線エルとメートル」と読んだ。これでは文意がわからないはずで、文の右側にはy=xのグラフℓとy=1/2xのグラフmが描かれている。文章のどこかに引っ掛かるとそこでとまってしまって、図を見ることも、その後の文章も読まない、ただじっと固まったまま。
問題文があり、そのあとに設問(1)と設問(2)があるとすると、(2)の問題をやるときには(1)と(2)の前に書かれている問題文をすっかり忘れていて、再度読もうとしない。問題の条件がいくつも最初の文に書かれているから、(2)の設問だけいくら読んでも解けるわけがない。文章がいくつかのかたまりに分かれて書かれていたら、それらを統合して意味を理解することができない、こういう生徒が多いのではないか。根室では最近3年ほどで急激にこういう生徒が増えたというのが塾側の感想である。学校で生徒に渡している学力テストの科目別・階層別得点棒グラフもそういう傾向をはっきり表している。点数下位層ごとの棒グラフをみると、数学や国語の得点から考えて学年50人の生徒数の規模の学校で3~4割ほどそういうレベルの生徒がいる。
<教育行政と民間の研究所とのコミュニケーション>
こういう問題の析出と具体的な対策は学校や教育行政だけでできるのだろうか?できないからこうした日本語に問題を抱えた低学力層が毎年じわじわ増大しているのだろう。現象の特性を明確に把握していないから、対策も抽象的なものになる。
学校や教育行政は民間の専門家をいれて問題の分析と適切な対策を講じてもいいのではないか。
昨年「北海道教育文化研究所」ができた。たとえばこういう民間の研究所と連携して教育改革をテーマに話し合ってみてはどうだろう?
学校や教育行政にはない発想で一度教育政策を点検をしてみたらいい。
*北海道教育文化研究所 - 946JP.com
北海道教育文化研究所(道教文研) | Facebook
<脚注>
コメント欄より ZAPPERさんのご意見とebisuのやりとり
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〉小学校と中学校で偏差値が大きく変動する地域にはなにがある?
上がっている地域に関して。
上川・石狩・十勝に関しては、明らかに高校入試の倍率の影響ですね。北見も、学力総合C試験で150点越えの学校が市内に5校あるとのことですから、高校入試の倍率は下がったとはいえ、やはり意識の差でしょう。
日高は、小学校時点の学力があまりに低くて、もはや下りようがないから。
高校入試の倍率が低いところは、やはり意識が高まらずに学力が伸びない。
また、中学校もそれに甘んじて危機意識が薄い。
そのように解しています。
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ハンドルがありませんが、運転は確かな腕前ですね(笑)
上がっている地域に関して、実に明解なご意見で、説得力があります。
では下がっている地域は高校入試が定員割れして競争意識が働かず、高校入試に向けて勉強に力が入らない地域であるという仮説が成り立ちますね。
この仮説が真であれば、根室は高校が統合されて1校になるので、中学校のさらなる学力低下が予測されることになりそうです。
(ご意見は後でまとめて本欄へアップします、ご了解ください)
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すみません、出先なものですからハンドルネームを入れるのを忘れちゃいましたです。(^^;;
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ZAPPERさん
やっぱりそうでしたか、内容から他には思いつきませんでしたから。
(ZAPPERさんと)同じ見方をしている人が他にもいるのかと内心ワクワクしていました。
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#2859 全国学力テスト:根室市教委の「結果報告書」-1 Nov. 7, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-07
#2886 H26全国学力テスト分析 (2) :中学校・都道府県別・科目別偏差値表 Nov. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-1
#2887 H26全国学力テスト分析(3):中学校・14支庁管内別偏差値 N0v. 27, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-27-2
#2888 H26全国学力テスト分析(4):中学校・前年対比14支庁管内別偏差値 Nov. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-28
#2895 H26全国学力テスト分析(5):中学校・「3×3マトリックス」分析 Dec 3, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-03
#2904 小学校 47都道府県別・科目別偏差値:H26全国学テ・データ分析(7) Dec. 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-12
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〉小学校と中学校で偏差値が大きく変動する地域にはなにがある?
上がっている地域に関して。
上川・石狩・十勝に関しては、明らかに高校入試の倍率の影響ですね。北見も、学力総合C試験で150点越えの学校が市内に5校あるとのことですから、高校入試の倍率は下がったとはいえ、やはり意識の差でしょう。
日高は、小学校時点の学力があまりに低くて、もはや下りようがないから。
高校入試の倍率が低いところは、やはり意識が高まらずに学力が伸びない。
また、中学校もそれに甘んじて危機意識が薄い。
そのように解しています。
by NO NAME (2014-12-14 01:05)
ハンドルがありませんが、運転は確かな腕前ですね(笑)
上がっている地域に関して、実に明解なご意見で、説得力があります。
では下がっている地域は高校入試が定員割れして競争意識が働かず、高校入試に向けて勉強に力が入らない地域であるという仮説が成り立ちますね。
この仮説が真であれば、根室は高校が統合されて1校になるので、中学校のさらなる学力低下が予測されることになりそうです。
(ご意見は後でまとめて本欄へアップします、ご了解ください)
by ebisu (2014-12-14 01:31)
すみません、出先なものですからハンドルネームを入れるのを忘れちゃいましたです。(^^;;
by ZAPPER (2014-12-14 01:40)
ZAPPERさん
やっぱりそうでしたか、内容から他には思いつきませんでしたから。
同じ見方をしている人が他にもいるのかと内心ワクワクしていました。
by ebisu (2014-12-14 09:08)