A中学校の数学のある先生は早々とギブアップ宣言をした。第7章「円(p.168~190)」と第8章「標本調査(P.191~201)」をやれないというのである。いったいどういう授業スケジュール管理をしているのだろう?
 やり残しは34ページで巻末のページを除くと第1章~第8章まで全部で201ページだから、16.4%もやり残してしまう。いま三平方の定理に入ったばかりだとすると、75%の消化率だ。

 「巻末のページ」のp.218には和算の歴史が載っている。これはぜひやってもらいたいテーマだ。行列式はライプニッツよりも10年前に関孝和がやっている。和算の歴史は知っておいたほうがいい。数学の分野では日本は世界最先端をずっと走っている。

 中学校が採用している「学力テスト」のスケジュールに準拠して授業をしていたら、こんなに遅れてしまう。好い加減にしたらいい。こんな遅い速度で授業をやらせるようなおかしな学力テストなんぞやめたほうがいい。業者はいくらでもあるから、業者を替えるべきだ。

 三十数年前のことだが、東京都の公立中学校は、学力テスト受験者個人の偏差値はもとより、学校の偏差値も出ている結果通知表を生徒に渡していた。進路指導に絶大な威力とデータに対する信頼があった。北海道の学力テストはそういうデータが出ていないので、データの信頼性にかける。いつまでこんな杜撰な業者を使うのだろう?全国にはまともなテスト業者がいくらでもある。

 今日は1月29日、わたしの母校のA中学校では三平方の定理の入り口のところだ。担当の数学の先生はブカツの指導もしている。ブカツの指導は土日もやっているのに、なぜ本業の数学の授業は土日やれないのだろう、不思議だ。
 そのそも自分の授業スケジュール管理が悪いのだから、民間会社なら土日返上、毎日残業して期日まで間に合わせるのが職務上の最低限の義務である。

 生徒に残り2章がやれないからやっておけというのは、職務放棄に等しいから、業務規程上、解雇事由に該当する。

 2月は土曜日も日曜日も返上して教科書全範囲の授業を終わらせて職務をまっとうすべきだ。今週中に生徒へ土日授業スケジュール通知したほうがいい。

 もう一度言う、授業のやり残しは、民間会社では職務放棄で業務規程違反に該当する。解雇事由になりうる重大な業務規定違反であることを理解すべきだ。一般社会で許されないことはもちろん学校でも許されない。

 仕事は正直に・誠実にやるべし、渾身の力でやり抜け


【2014年5月追記】
 母校A中学校では三年生の授業は2014年1月末に主要五科目全部教科書を消化しました。教頭先生と科目担当の先生たちの努力に敬意を表したいと思います。そして市街化地域の他の2校も見習ってもらいたい。どれほどの努力が必要だったか理解しているつもりです。
A中学校第一期卒業生の一人としてもお礼を申し上げたい。ありがとうございます。

 「雨降って、地固まる」、こうしてみると必要なトラブルでした。後に続く先生たちのために記録はありのままに残しておきます。


にほんブログ村



【2013年2月17日追記】
 どうも行間が読めてもらえていないようなので、記事を追加しました。

*#2199 中3の授業進捗管理について Feb. 3, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-03-1


 関係者が反省すべき点を箇条書きにします。
①生徒へのアンケートで引用した文章は#2189の意図を捻じ曲げるものであったが、作成した当のご本人は「文章をまとめる」という教育技術上の基本に立ち返ってその技術を磨きなおすことを希望します。教育者として素直に努力する姿を生徒に見せてやればいい。

②この「アンケート」は上司である校長や市教委の了解の元になされたはずだから、それらの人たちは同罪であると心得ること。オリジナルと比べてみたら、中3の国語の問題で文章を要約しろとの問題だったとしたら、零点の答案だった。教育者(校長)や教育に関わる行政機関としてはまことにみっともない。

③学校が実施した「アンケート」に煽られて愚かな書き込みをした生徒諸君への忠告。
 かならずオリジナルを読み、自分の目で事実を確認してから書き込むこと。そして個人が特定されるようなハンドルネームの使用は避けること。

④アンケート作成者へ
 文章をまとめるという基本的な技倆を磨くこと。そして教育者に大事なことはまっすぐな心根をもつことです。母校の第一期の卒業生が7月13日のフリー参観ではじめてお会いして、ブログに授業参観の感想を書きますとはっきりご挨拶しておいたのに、そこで指摘した数学の授業進度への懸念に何も対策をとらなかったことが今回の「騒動」で明らかになりました。これは管理職として職務怠慢ですから、反省してください。ebisuは怒ってはいません。あなたが今回の「騒動」を通して優秀な管理者へと成長されることを心の底から祈っています。だから、たいへんなチョンボのあった市教委にもオフィシャルなクレームは一言も申し上げていません。

⑤私がブログで個々の教育問題をとりあげるのは、ふるさとの子供たちの学力が全国最低レベルのままであることにガマンがならぬからです。そのためにはきついこともブログで書きます。意図をとりちがえないように。
  
 問題の本質は授業の進捗でした。もう隠しておく必要がなくなったので事の発端を書いておきます。
 このままではとても終わりそうにないと不安に思った生徒が学校の先生に尋ねたら、「やれない」と返事があった、それから塾先生に相談した。実際のシーンがどうだったかはどうでもいいことです。
 受験を控えた生徒が1月に残された部分を塾でやってもらいたいと思うのはあたりまえの要望です。常々根室市内の3中学校の授業の進み方が遅いことに疑問をもっていた塾先生がこのような状況を改善したくてブログで採りあげただけのこと。
 道内14支庁管内で根室の子ども達の学力が低いことの原因の一つに学校の授業速度の問題がかかわっています。それは#2199で詳論してあります。

 他の学校も問題のある科目があるが、数学は母校が一番遅い。あの時点でどのクラスもP.161~P.164をやっていたことがわかっています。約40ページ残していました。
 学校は生徒にアンケートを実施しました。これは必要ないものでした。学校管理職が担当の先生に尋ねるだけでよかったのです。
 アンケートへ載せた#2189からの引用は、意図的に主旨を捻じ曲げたものでした。要約を中3年生の国語の問題として出題したら、点数は零点です。学校が生徒へ実施した「アンケート」が引用した部分を載せて#2202で論評しました。ぜひ読んでください。これが騒ぎの元でした。
*#2202 中3の授業進捗管理(2):騒ぎはなぜ起きたか? Feb. 7, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

 なぜ自分の母校を取り上げたか、それは自分の母校がよくなってほしいからです。そう心の底から願うからこそ、ブログで取り上げました。他所の学校よりも自分の母校を取り上げるのだ筋ってものでしょう。それで市内のほかの中学校の授業進捗管理もしっかりするなら望外の喜びです。

 たぶん、わたしの真意を読み誤り、あわてたのでしょう。素直に受け止めて、数学の先生に確認して土曜授業体制を生徒に公表すればいいだけのことでした。

 学校は閉鎖社会です。フリー授業参観に見られるように、地域社会に門戸を開き、意見に耳を傾けるといいながらも、慣れていないのです。最初のうちはあたりまえ、だんだんよくなります。
 学校は授業進捗度を点検し、2月中に教科書全ページを終わるように努力するはずです。そして来年度はこういう問題が起きないようになおいっそう努力してくれるでしょう。地域社会はこうした学校の努力を見守り、そして自分たちにできることがあったら積極的にかかわり、応援すればいい。

 なお、数学の授業進度の問題は7月13日のフリー授業参観後に弊ブログ#2021で採りあげて懸念を表明してあります。残念ながら、懸念どおりの結果になってしまいました。母校を心配する卒業生の意見に耳を傾けなかったことは残念です。今後は誠実に仕事をおやりください。

 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-20
=============================
#2021 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(3):授業速度と学力  July 20, 20

  曇り空、朝9時は11度、正午になっても12度、寒い日だ。仮装盆踊りは夜だから浴衣姿にはカイロでも入れておいたほうがいいかもしれぬ。

 7月13日に一番古い中学校である母校のフリー授業参観に行った。目的のひとつは数学の授業速度の確認だった。中3年生の授業でやっていたのは52・53ページの平方根の計算の箇所、分母の有理化のところだった。教科書は259ページあるから、20%しか消化していない。3年生は教科書消化に使える期間が9ヶ月しかないからいま85ページの辺りをやっていなければ1月末に教科書を終われない。理想を言えば3年生は12月末には教科書を終えたい
 #1997でC中学校のフリー授業参観をとり上げているが、同じところをやっていた。A校もC校も授業速度は同じだから、同じ問題を抱えていることになる。(ZAPPERさんが以前取り上げていたように、学力テストのテスト範囲も問題ありだ。12月末で教科書を終了するスケジュールでテスト範囲を再編成すべきだ。)
*#1997 体育祭準備の授業つぶし:杜撰な仕事管理の実態&"すっ飛ばし"の原因 July 4, 2012 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-04

 再説することになるが、もう一度教科書の単元ごとのページ数を列挙する。
---------------------------------------------------------------
fact 2: 章ごとのページ
1. 多項式  p.6
2. 平方根  p.34
3. 2次方程式  p.62
4. 2次関数  p.86
5. 相似な図形  p.112
6. 三平方の定理  p.148
7. 円  p.168
8. 標本調査  p.191
9. 巻末のページ 総合問題と復習 p.203~259
-------------------------------------------------------------

 細かい計算は#1997を読んでいただくとして、簡単に結論を書いておく
①いまの速度では単元の難易度を無視して単純計算で157ページまでしかやれない(単純計算値)
②2次関数、図形、統計とこれからやる単元のほうが難度が大きいからいまの授業速度では実際には100ページぐらいまでしかできない(ebisuの評価) 

 2月を総合問題に費やすとすると、1月中に教科書を終了していなければならない。3月初旬が入試だから3月は除外、そして夏休みと冬休みと修学旅行や体育祭などの行事で2ヶ月強、そうすると教科書をやる期間は次のようになる。
 12ヵ月-1ヵ月(3月)-2ヵ月(夏・冬・行事)=9ヵ月

 このままでは約100ページやり残すことになる。実際には、難しい単元をろくに計算練習もせずに「飛ばし」て授業をやり、終わったことにしてしまうから、成績上位10%の生徒以外は消化不良を起こしてしまう。あたりまえだろう。
 半数以上の生徒が中学校できちんと内容を理解していないから、高校に進学してから、2次関数の理解が浅い、数Aの「場合の数と確率」や「図形」「論理と命題」のところでつまずく、「三角比」や「三角関数」でつまづく、というようなことが起きる。

 根室高校普通科ですら数学授業に支障が出ている。1年生のガンマクラス(最上位クラス)の授業は5年前には1月半ばから数Ⅱをやっていたが1ヶ月以上遅れている。今年から宿題の出し方に変化が出ている。プリントに問題番号を印刷してそこに書かせるというやりかたをとっている。小学生でもデキの悪い生徒への対処法だろう。そこまでやらないと勉強しないから、授業に差支えが出る、そういう事実を中学校の先生たちは知らないだろう。根室高校普通科ですらこの5年ほどで"幼児化"がずいぶん進んだ。
 社会人となったときに、仕事で必要な学習を自発的にできるのだろうか?やっていないことは案外できないものだし、宿題を出されて勉強することが習慣になっているから、自発的な勉強は大半の者たちができない、将来かならず問題が出るよ。それほど高校卒業までの勉強の仕方は大事なんだ。

 現在の授業速度をベースにして計算してわかるとおり、授業時間数が足りないが、それを補うには週に2時間増やし、その時間を習熟度別にクラス編成して、問題演習に当てればなんとかなる。

 この学校では数学の先生は2人、補助教員が2人である。3年と2年が3クラス、1年が2クラスの合計8クラスだから、週当たりの数学の授業時間数は
 8クラス×4時間=32時間

 先生一人当たりたった8時間で、一日当たり2時間弱に過ぎぬ。
 週に2時間増やすとどうなるか?
 8クラス×6時間=48時間
 先生一人当たり12時間だから、1日当たり3時間弱である。
 先生たちがシフト勤務で土曜日に2時間数学を教えればいい

 選択肢はいくつか考えられる。聞いている限りでは、
 ⅹ:習熟度別のクラス編成をして補助教員と教師2人体制の授業
 y:1クラスを習熟度別に2クラスに分割して教師1人体制の授業

 そして、
 z:従来どおりの授業にシフト勤務体制で土曜日2時間を追加(ebisu提案)

 いろいろな選択肢が考えられるが、現状を見る限り授業速度が遅く、授業時間数が不足しているのだから素直な対処は選択肢zだろう。もちろん、xやyにzを組み合わせてもいい。
 まずは、教科書をまともに教えきることに全力を注ごう

 もちろんこれだけでは成績下層の半数の生徒を救うことができない小数や分数の基礎計算能力に問題ある30%の生徒は放課後補習に強制参加させてリターン学習授業を実施しなければ学力の向上が見込めぬから、そのための放課後補習は数学の先生全員でやる自分の生徒は他人任せにせず、自分が放課後補習する、あたりまえの話だ。これもあたりまえだが、小学校の先生たちとも話し合おう。そうしないといつまでたってもよくならぬ。

 症状を見れば診断は簡単に尽くし、だれもが納得のいく適切な治療法もある。あとは学校で議論してどうするか決めればいい。

 学校のホームページを立ち上げて、何をどうするのか、そしてどうなったのか、次はどうするのか、PDCAを科目ごと・学年ごとに明らかにすればいい。個人情報ではないのだから学力テストの結果も学年別・科目ごとの平均点や点数の分布を明らかにするのは何の問題もあるまい
 PDCAには数値情報公表が不可欠である。当たり前のことを当たり前にやる、学力向上のために一切のゴマカシをせずに、正直に誠実に仕事をすればいいだけ。余計なことは考えない、雑念なし、根室の子供たちの学力を上げるために正しいと思ったことを素直にやればいい



=============================

(コメント欄はブログへの投稿マナーの反面教師となっているので、しばらく放置します。しっかりしたコメントもいくつかあります。個人が特定できそうなものがあるので「化粧」を施します。)

-------------------------------------------------

*#2021 母校(中学校)の校長・教頭先生との対話(3):授業速度と学力  July 20, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-07-20

  #2199 中3の授業進捗管理について Feb. 3, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-03-1

 #2200 ある中学生の意見 授業の進捗度について(釧路・転載記事) : Feb. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-06-1

 #2201 ハネムーン期間(ブログ「情熱空間より転載」) Feb. 6, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-06-2

 #2202 中3の授業進捗管理(2):騒ぎはなぜ起きたか? Feb. 7, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-07

  #2216 所得税申告と期限遵守の重要性:学校の授業進捗管理を考える Feb. 18, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-02-18