生徒が成績表をもってきたので見たら、塾で教えていない主要5教科のある科目の期末テストがたった10点だったのに"3"の評価。なぜ?と聞くと、「みんなできなかったので、提出物で50点加算してくれた」と生徒。なるほど、10+50=60点なら、評価は3でいい。形式論理には妙な説得力がある。
 内申点は上がるから生徒からも保護者からも文句は出ないだろう、しかし実力は"1"である。別の科目は40点台だが成績は2である。10点で"3"、やっぱりおかしくないか?

 何の科目であるかは言わぬ、どの学校であるかも言わぬ。同じ科目で他の学校の先生は小テストを繰り返し、授業内容の理解をチェックし、記憶の定着を図り、学力テストの平均点を他の学校よりも20点(百点満点で)も上げている。
 中学校の先生たちの中には授業が上手な人も下手な人もいる、当たり前の話だ。「優秀な先生たち」は都会へ集まりたがり根室のような僻地への赴任を嫌がる、これも事実だろう。だから、全国レベルで見れば根室管内は教員の質も相応に低いのかも知れぬ。
 しかし、倫理観まで下げてはいけない。やっていいことと悪いことがある。先生たちが本来の仕事でそういうケジメもつけられないでどうする。教育者としての資質が疑われることになる。

 自分の授業を生徒が理解しているかどうかは、補習や小テストをやればわかる。そういうことをしないで、安易に提出物で50点の加算をして小手先のごまかしをしてはいけない。
 自分の授業への反省がないから、こういう先生は3年たとうが10年たとうが、授業がさっぱり上手にならぬ。教えられる生徒がかわいそうだ。
 自分の教え方の欠点をチェックするためには放課後補習は当たり前だ。PDCAのCをやらずして、仕事とは言えぬ、基本どおりに当たり前のことを当たり前にやろう。そうすれば授業のスキルは上がる。

 実力は1のまま「看板」を3に書き換え内申点をかさ上げされて生徒は高校へ進学するが、力はない。高校のみならず、その先の専門学校や大学、そして社会人になったときに生徒たちは本当に困るだろう。8割の生徒が高校を卒業したら根室を出て行き、札幌や東京で暮らす。そのときに頼りになるのは実力だ。かさ上げされた看板3の塗装がはがれて1という地金が出てしまう。根室を出てから他の地域の人たちに学力で負けることになる。1は1でしかないから、"あなたの実力は1だ"と言おう、そして2や3や4に上げる渾身の努力をしようではないか。

 生徒が社会人になったときのことまで考えて5段階評価はどうあるべきかを考えよう。トコロテン式に内申点をかさ上げして卒業させりゃそれでお役ごめんというような無責任な仕事はやめよう。そういう仕事はズルくて卑怯で恥ずかしい。

 点数のかさ上げはいろんな方法でやられているので、この先生だけが異例なのではなく、むしろかさ上げは日常茶飯事なのかも知れぬ。11月の学力テストで400点以上が4人だった学校で、その直後の期末テストでは5教科400点以上が23人も出ているから、定期テストの出題をやさしくしていることは想像に難くない。ちょっとやりすぎの感じがする、これも"かさ上げ"の一例に数えておく。
 高校もそうした傾向が否めなくなっている。全国模試では平均点が20点台なのに、学校の定期テストで科目によっては70点台の平均点が出てしまったりすることがある。放課後補習をたくさんやっても教え切れぬところをしかたなしに出題レベルを下げることは普通に行われているのかもしれない。何が原因かというと、生徒の学力低下だろう。いくら補習をやっても標準的な高校の授業内容に根室高校普通科の生徒ですら半数がついていけなくなっているようにみえる。
 
 それでも放課後補習を繰り返している高校と放課後補習をしない中学校を同列には扱えぬ。
 中学校の先生、百点満点で10点は"1"だ。クラスの3割が1ならそれはあなたの教え方の問題だ。まずは謙虚に反省して放課後補習で小テストをやらせよう。
 校長先生、そういう時はその先生の担当する生徒たちのブカツは強制的に休みだ、職員会議でそう宣言してほしい。学校だからブカツよりも学習のほうが優先するのは当然だ。誰かに言われるのでなく、自らの意思で勇気をもって生徒たちの学力向上に取り組もう。

 もう嘘はやめよう。"1"は"1"だ。10点(百点満点)で"3"はインチキだ。根室市政じゃあるまいし、学校の先生はインチキをやめよう。
 根室の中学生の学力はわずかこの数年間で急速に低下しているから、これをとめるために正直に誠実に仕事をしよう。
 
 「売り手よし、買い手よし、世間よし」
 「先生よし、生徒よし、世間よし」
 生徒が卒業してから、そして社会人になってから戦えるような基礎学力をしっかり身につけさせる努力をしようではないか。

*#1775 根室の町はどっちへ行く?:市議会での学力問題質疑応答 Dec. 18, 2011
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-12-18



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