私のところでは成績の悪い生徒は時間をとって個別補習をしている。通常の授業だけでは成績を上げるのは無理がある生徒がいる。たとえば、中1の生徒だと小数や分数計算、逆九九から教えないといけない。70名の学年で成績が下位20番以内なら、そういうレベルということだ。実際には学年の40%を越える生徒が数学の得点が30点以下だから、この層は小数や分数の乗除算があやしい。この成績下位層を放置しておいて数学の平均点を上げられるはずがない。
 にもかかわらず中学校の数学の授業ではこれらの項目を教えることはまずない。中学校の学習指導要領に忠実に授業をして、目の前の生徒がどこでつまづいているかを考えない先生がほとんど。
 できない生徒を指導するのは根気がいるし、たいへんな労力がかかる。だから、逃げているのが根室の先生たちだった。放課後はブカツの指導で忙しいという言い訳がある。でも根室高校では頻繁に「進学講習」という補習を繰り返している。
 かてて加えて親の躾けの問題も劣化が激しいから、「正しい生活習慣」をもてない生徒が増えている。
 「正しい生活習慣」とは朝ごはんを食べる、正しい箸のもち方をする、正しい鉛筆のもち方をする、勉強するときの姿勢をよくする、家で勉強する、きちんと挨拶をさせる、年長の人と話すときに正しい言葉づかいをさせる、卑怯は恥だと教える、テレビやゲームやパソコンなどの時間を制限する、11時には就寝させるといったようなことである。

 今日から市街化地域のB中学校で放課後補習が始まる。生徒の弁によれば校長先生が号令をかけたようだ。三者面談で放課後補習を要望する保護者も出始めている。保護者が学校に補習を要望することが大事だ。自分の子供ばかりではない、家庭の事情で塾に通えない生徒がたくさんいるから、その生徒たちを助けることにもなる。低学力の生徒が授業をきちんと聴くようになれば、授業は落ち着き、生徒の平均点は必ず上がる。
 往々にして成績不振の生徒の保護者は学力に関心がないケースが多いから、そうした保護者から放課後補習の要求が出されることはまれだろう。だから、小数でも声を上げる保護者が増えてほしい。世のため他人のためになることをしよう。正しい要望をしている、自分の子供のためだけではないと自信をもって要望を伝えよう。A中学校とC中学校のお父さんとお母さん、面談の機会があったら放課後補習を要望してみよう。自分の子供の成績が良くても要望しよう。成績不振の生徒が授業を聴くようになれば、授業中の先生の声が聞こえなくなることがなくなる。あなたのお子さんの成績はさらに上がり、クラスの平均点も上がる。いままで授業興味をなくしていた数人が真剣に授業を聴くように変わる。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」の精神(正心)で、保護者としての希望を先生たちにしっかり伝えよう。先生たちは初心に帰って保護者の要望に耳を傾け、自分のできる範囲のことをまずしてみよう。

 私はB中学校の校長先生の英断にエールを送りたい。そして気持ちよくその要請に応えてくれたであろう教科担当の先生たちにもエールを送る。普段の放課後補習を継続することは成績不振の生徒が授業への興味を取り戻すきっかけになる。授業内容がわかれば聞く姿勢ができる。しっかり聞けば内容がわかるようになる。先生たち、しばらくたいへんだろうががんばってほしい。期待に応えて勉強に興味を取り戻す生徒が必ず現れる。
 根室は学校現場から変わり始めるのかも知れぬ。

--------------------------------------------------------
*釧路の教育を考える会の同志(合格先生)がいい記事を書いているので紹介したい。
「生活習慣と学習習慣」
http://blog.livedoor.jp/jounetsu_kuukan/archives/4885800.html

**11月2日に行われた中学1・2年生の学力テスト結果は衝撃的なものだった。市街化地域の3校222人中5科目400点を越えた生徒がたった4人しかいなかった。B校の4人のみで、あとの2中学校はゼロだった。7年前には3校あわせて50名を超えていた。生徒総数は300人くらいだっただろう。生徒の数の減少の大きさにも驚かされる。根室市の人口減少のほぼ2倍のペースで中学生数が減少している。3校は必要なしだ。とっくに2校に統合すべき時を過ぎている。

「#1732 11月2日実施の中2の学力テスト結果:危機的状況 Nov. 15, 2011 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-11-16


にほんブログ村


【11月26日追記】
 生徒たちに確認した。放課後補習は11月29日から始まる期末テストの前までだそうだ。がっかりである。そういうことなら他の学校でもしばしば耳にするし、そういうことが低学力層の子どもたちの救済に何の効果もないことは近年さらなる学力低下が生じていることを見てもわかるだろう。
 先生たちよ、仕事は正直に誠実にやれ、手間をかけるしかないのだ。根室高校の先生たちは進学講習という名で放課後補習を頻繁に繰り返しているぞ、それも国・英・数の3教科、基礎と応用の6コースで。高校の先生たちにやれることがなぜ中学校でできない。できない言い訳ではなく、できる算段をつけろ、それが君たちの仕事だ。仕事は正直に誠実に全力でやれ。やる気がなくなったら、そのときは教師を辞めるべきときだ。
 わたしも低学力層の生徒たちには時間をとって毎週・毎日個別補習授業をしている。先生たち、教育のよき職人であれ。