北海道新聞7月15日根室地域版より
 
 統廃合慎重に検討を
 根室高と西高 保護者ら要望
【根室、別海】道教委の高校配置計画についての説明会が、13日に根室市内、14日に別海町内で開かれた。道教委が2014年度にも根室高と根室西高を統廃合して新しいタイプの高校を設置する可能性を示していることに対し、参加者は慎重に検討するよう求めた。(上ヶ島精一、幸坂浩)

「子どもに影響ない手順踏んで」
 根室市総合文化会館で開かれた説明会には市民約50人が参加。道教委の担当者が、新しいタイプの高校には「中高一貫教育」普通科だけでなく商業などの専門科目も開設する「総合学科」、普通教科の選択を充実させる「普通科単位制」と「普通科フィールド制」の4種類があることを説明した。
 ある保護者は、少子化が進む中で「ずっと2校維持できるとは思っていない」としつつ、道内には、学力差のある高校の統廃合で生まれた新しい高校が混乱し「教育困難校」になった例があると指摘。高校を統廃合する前に、小中学校に指導経験豊かな教諭を配置して学力を底上げするなど「子供に被害の出ない手順を踏んでほしい」と強く指摘した。
 別の出席者は、文部科学省が小中学校の学級定員を現在の40人から35人に引き下げる方向で検討していることに触れ、高校も35人学級を前提に配置計画を見直すべきではないかと質問。道教委側は高校で35人学級が実現するにはまだ何年もかかるとの認識を示し「道の財政状況が厳しいこともあり、それまで(配置計画を凍結して)待てない」と理解を求めた。
 一方、別海町中央公民館で開かれた説明会には、根室管内の教育関係者30人が出席した。道教委は11年度に根室西高の募集を1学級減の2学級とする方針のため、根室市の出席者から「1学級減を再検討願いたい」との意見が出ていた。

< コメント >
 根室市内の全所帯の70%は北海道新聞を定期購読している。そういう期待にこたえて道新根室支局の記者はいい取材をして市民に必要な情報を提供してくれる。ここに引用した記事もほとんどの市民が承知していることだ。

 予定通り道教委による説明会が終わった。選択肢は4つ、そしてスケジュールは動かせない。
 「統廃合慎重に検討を」というのが保護者の要望であるが、道教委が明らかにした2014年度統廃合まで時間がないから、急いで条件整備をすべきだ。
 「小中学校に指導経験豊かな教諭を配置して学力を底上げ」などという非現実なことをまだ云ってはいるが「~保護者の会」は前回新聞報道よりもだいぶ現実的になってきた。学校の先生は公務員である、問題教師は優良教師と同じ数だけいるが、首にはできない。だから、優良な先生もダメ先生も混在するなかで、どうやって生徒の学力を底上げするかということになる。
 小中学校の問題は保護者の指摘のとおりだが、これは道教委ではなく市教委管轄で、説明会で採り上げるのはお門違いである。説明会の写真に根室教育長が参加者として写っていたから、彼と市教委に要求すべきことだろう。
 ところが学力向上に一番有効な中学校の放課後補習は一向に始まらないし、あいかわらず部活は6時半までやられている。これでは半分以上の生徒が健全な家庭学習習慣を育めないし、学力の底上げなど夢のまた夢である。

 このまま統廃合まで時間が経ってしまえば、統廃合後の高校は教育崩壊を起こすだろう。根室の地域経済は甚大な影響を数十年にわたって受け続けることになる
 市内の中学校の学力の惨状を見れば統廃合後の高校がどのようになるか明らかだろう。中学校で起きている教育崩壊が一校体制になれば高校に及ぶということだ。

 食い止める方法はいくつかある小中学校での5時以降の部活自粛指示を市教委が出すことだ。そして、学校を挙げて週2日の補習体制を組むべきだ
  地元経済の活性化のためには地元に残る平均的なレベルの生徒や学力最底辺レベルの生徒たちの学力を上げなければならぬ。労働力の質や事業を継承する者の質がよくなければ地域経済の活性化などあり得ない

 地域の教育問題は結局は地域住民がどのように教育問題に関わるかにかかっている。道庁や道教育局が何とかしてくれるわけはなく、根室の住むわたしたちがどのように教育問題にかかわり、発言し、参加していくかにかかっているのだ

 帯広のように学校での補習授業に地域住民ボランティアの協力を仰げ。学校は地域住民と協力体制を創りあげるべきだ。学校や教育行政だけでは道内最低レベルの学力の現状を変えられないことはこの5年間を見てもわかる
 中学生の学力は著しく低下しており、下げ止まっていない、それどころかこの3年間で一段と下がり、さらに3年後にはもう一段下がりかねないほど悪化している。

 市教委や根室教育長は中学校で年に何度も行われている学力テストデータを見られるから、そうした事実を誰よりも承知しているはずだ。なのに、いっこうに有効な手を打たない、誰のための教育行政だろう?教員や教育行政に関わる者たち自身のための教育行政であってはならぬ。根室の子供たちに必要な基礎学力を身につけさせるための教育行政であれ。

-------------------------------------------------------
*#1111 根室の高校統廃合問題について「異見」あり(1) July 14, 2010 
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-07-14

 #1080 教育問題に関する質問(佐藤敏三議員):市議会第二回定例会 Jun. 21, 2010
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2010-06-21