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#1112 日本振興銀事件(1):元会長木村剛(48)逮捕 July 14, 2010 [91.経済]

 中小企業向け無担保融資を看板に2004年4月21日に立ち上げられた日本振興銀行元会長の木村剛が逮捕された。容疑は金融庁の検査妨害である。大手商工ローンSFCGとの出資法違反取引や会員企業との不透明な融資に関わる社内メール280通を削除させたというものだ。
 西野社長へ木村容疑者が電話で指示した記録が警視庁に押収されていると報道にある。西野社長が何らかの意図をもってしていた記録かもしれない。そうではないとすれば、数ヶ月間NTTが電話盗聴に協力したことが考えられる。犯罪捜査を名目にこうした依頼が常態化すればそれはそれで大きな問題へ発展しかねない。

 彼は元々日銀マンだ。竹中が金融担当大臣に就任し金融実務がわからないので木村を重用した。木村自身は日銀マンだったから金融行政実務については詳しいが、融資についてはまったく経験がなかった。

 中小企業への無担保融資が銀行と商工ローンのニッチ分野になっているので、その分野を対象とする銀行=日本振興銀行を立ち上げ、経験のない分野へ事前準備なしに踏み出した。
 無担保融資については銀行にすらノウハウがない。見極めがつけられないのである。人を見て貸すことになるのだが、人を見るのは実に難しいものだ。だから、貸付をやればその多くが焦げ付く。銀行では貸さないような借り手が殺到することになった。融資すべきか否か、判断がつけられないまま、融資が強行されて焦げ付きが増えたのだろう。2005年4月1日開業の石原慎太郎東京都知事の「新銀行東京」と一緒で、無能な者がええ格好をして仕事をすれば結果はどこでも同じである。
 貸付が増えるにつれて焦げ付きも増えて、赤字が膨らんでしまい、それを補填するために大手商工ローンと出資法違反の取引をしたり、会員企業に不明朗な貸付を行い利益を膨らまさざるを得なかった。

 仕事のできない者が理想に燃えて仕事をすれば、大火事を起こす好例である。

 政治の世界も様変わりで、仕事のできる人材でなければさまざまな問題が解決できない。たとえば、国家財政の問題である。900兆円の国債及び政府保証債務残高を減らすためには、具体的な戦略が必要だが、自公政権の誰も戦略を作りえなかったし、鳩山元首相も菅首相も具体的な戦略を持ち得ない。スタッフにもそうした仕事を担いうる者がいない。財政規律を取り戻すとマニフェストでいいながら、実際にはマニフェストで約束したことがほとんどできずに史上最大の赤字国債発行記録を更新し続けることになる。
 かくして、国家財政も、理想に燃えてできた日本振興銀行も大火事を起こしてしまっている。茫然自失の体のまま時間だけがすぎ、問題が先送りされればどうなるのだろう。そう遠くない将来、国民全部が自分の目で確認することになるだろう。

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*古本市があったときに、市立図書館1階フロアの書架を探索していたら、木村剛の本を見つけた。中身にざっと目を通した。その時々の金融実務についての政治家の発言にコメントをつけていた、そういう本だった。『粉飾答弁』という書名の本である。皮肉なことに彼のやってきた銀行経営は粉飾決算そのものであり、いまマスコミ向けにしている言い訳は「粉飾答弁」そのものだ。

**「振興銀の木村剛前会長逮捕」TBSニュース
 他の4人が容疑を認めているのに、中心にいた木村のみが容疑を否定し言い訳に終始している。なんと往生際の悪いことよ。負けたことのない者は負け方がわからない。醜い姿をさらさずにあっさり認めればいい。そういう過程を経れば、本物に生まれ変わるかもしれないのに、惜しいな。才子才におぼれるの典型例だ。
 
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4476987.html

***日本振興銀行(ウィキペディアへ)
 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E6%8C%AF%E8%88%88%E9%8A%80%E8%A1%8C

****竹中平蔵元金融相 盟友木村剛逮捕に知らぬふり
 
http://gendai.net/articles/view/syakai/125216
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