国家戦略室の役割 #746 Oct. 1, 2009

 国家戦略局は文字通りに受け取ると、国家戦略の策定をする組織だろう。しかし、民主党は予算の大枠のガイドラインをまとめるところとその機能を説明している。
 単年度予算の策定は戦略とは言わない。戦略とは少なくとも5年の長期計画がベースにあって当然だ。10年50年のスパンで国がどうあるべきかを考え、その具体的達成手段を策定するのが国家戦略室の役割だろう。
 このように理解すると、国家戦略室は羊頭狗肉の類だったことになる。財務大臣の権限に抵触するような、屋上屋を重ねるような単年度予算のガイドライン作りならそれにふさわしい別の名称を考えるべきだろう。閣議で来年度予算の概算要求見直しを決定したのに、菅氏の国家戦略室が何をしているのかまだ見えてこない。

 国民が期待しているのは文字通りの国家戦略だ。国民年金も10年50年スパンで考えてこなかったつけがまわったと考えられる。現在の、10年後の、30年後の年金をどうするのか、今年度末940兆円にも達する累積国債残高をどのような手段とスケジュールで崩していくのか、税負担と老後の暮らしはどうなるのか、CO2やエネルギー問題、産業構造の転換にどのように国家が関与していくのかなど、長期あるいは超長期のスパンで具体的なビジョンを示すこと=国家戦略が求められている。
 官僚任せにしない政治主導とは、国家戦略を具体的なビジョンおよびスケジュールで官僚に示すことだろう。これを実行計画にブレイクダウンするために、若手の官僚の中から志のある確かな者たちを集めて担当させてみたい。

 与党に求められているのは批判ではなく、スケジュールを含めた具体的なビジョンの提示とその具体的な達成手段だ。民主党にそういう大きな絵を描ける人材が早く育って欲しい。
 「蟹は己の甲羅に似せて穴を掘る」、ちまちました限定機能の国家戦略室は担当する菅氏の甲羅のサイズにあっているのだろうか?そんなことはないだろう。
 団塊世代の菅さん、でばんでっせ、しっかりせんとあかん。