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新型インフル:学校閉鎖措置は効果があるのか? #747 Oct. 2, 2009 [35. 感染症および自己免疫疾患]

新型インフル:学校閉鎖措置は効果があるのか? 
                        #747 Oct. 2, 2009
 市街化地域の中学校が1校、「1週間の学校閉鎖」になっている。生徒4人と先生1人が新型インフルエンザに感染したためだ。
 しかし、学校を閉鎖してもほとんど意味がない。小学生の弟妹がいれば弟妹たちが学校へ行くので感染包囲網はそこでほころびてしまう。両親が仕事で外部にでれば、これも同じ理由で感染拡大が防げない。
 つまり、学校だけの閉鎖では感染拡大を防げないことがわかる。それに、元気な中学生が1週間も家に閉じこもってじっとしているわけがない、半数を超える生徒が友達の家に遊びに行く。感染拡大防止網はここでも破けてしまう。
 個人を重視し、好き勝手をやらせた戦後教育の影響で躾けのタガがゆるんでしまっているから、親や先生の言うことを聞かない子供たちが増えた。ダメなものはダメ、理屈抜きでダメといえる親が少なくなった。
 社会全体の高学歴化で先生の権威も小さくなった。

 感染拡大を防げない理由を別の角度からもう一つ挙げよう。6月にメキシコ(ブタ・インフルエンザの発生源)からの直行便が成田に着いたときに、防護服を着た完全防備の検疫官が赤外線センサーで発熱している人をピックアップし隔離したが、その後関西各地に新型インフルエンザが蔓延した。患者を隔離しても感染拡大が防げなかったのである。
 なぜか?発熱していないキャリアーがチェックをすり抜けたからである。鼻腔拭い液による簡易検査も偽陰性が多くてあてにならないことが判明した。「簡易検査陰性=未感染」ではない。

 中高生のなかには37度台の発熱で「軽い風邪かな」と思っているうちに治っている者が少なからずいる。9月の段階では季節性インフルエンザはほとんど考えられないから、軽い発熱を伴うカゼは新型に感染したものと判断していいだろう。そうだとすると、すでに蔓延しており、大半が37度台の発熱のみで自然に回復していると考えられる。38度以上の発熱は少ないのではないだろうか。
 単純に塾へ来ている生徒数で37度台の軽い発熱で治った者の数を割り、根室の中高生の総生徒数をかけると100人を超えている。その症状から判断して、通常の季節性インフルエンザよりもいまのところ症状が軽い。肺炎症状を起こさずに治ってしまう人がほとんどのようだ。

 こういうわけで、学校閉鎖は意味がない。人類に免疫のない新型インフルエンザに関しては感染拡大を防ぐ手立てはないということだ
 ほとんどの者が軽い症状で回復するのならば、弱毒性のうちに早く感染しておくほうがよいという判断もありうる。臨床治験をしていない輸入ワクチンは副作用のリスクが高いので、できれば接種したくない。仕事で一時期臨床治験に関係していたことがあるが、ワクチンのリスクと新型インフルエンザに罹患するリスクを評価した上で、わたしは輸入ワクチンの接種を受けないつもりだ。いままで何度か季節性インフルエンザワクチンを接種したことがあるが、すべて国産のワクチンで、臨床治験を実施した承認済みのものだった。

 発熱してもすぐにタミフルを投与すれば治る。一部でタミフル耐性ウィルス(リレンザを使えばよい、塩野義製薬が新薬を開発中だ。まもなく発売されるだろう)が出現しているらしいが、どういうわけか最近そういう情報がマスコミで報道されなくなった。タミフルの予防投与はタミフル耐性ウィルスを増やすことになりかねない。
 タミフルは子供には副作用があるから、そちらの方も心配である。タミフルを服用した児童がマンションから飛び降りたり、道路に飛び出したりする例が続出した。タミフルは精神錯乱を引き起こす場合があるので、子供たちにとってそれほど安全な薬ではない。軽い発熱程度ならあまり飲ませたくない薬だから、医者や薬剤師の指示をきちんと守って服用させるべきだ

 季節性インフルエンザと大差がない弱毒性のインフルエンザなのに「学校閉鎖」は大げさな措置だと私は考える。新型で人類に免疫がないから急速に感染拡大する点が季節性インフルエンザとの違いだ。しかし、感染力が強いわけではない、まったくの新型で人類に免疫がないから急速な感染拡大現象が起きる。逆に言うと感染を防ぎようがない。感染症の専門家たちは60億の人類のうち20億人が感染すると推計している

 そもそもこのようにインフルエンザに過敏になってしまったのは、2003年の鳥インフルエンザ騒ぎが発端だ。SARS(急性呼吸不全症状と下痢)により罹患した人の11%が死亡した。致死率が高かったためにパニックを引き起こし、発生源の中国で大騒ぎになった。しかし、感染地域は極めて限定的で鳥・人感染はあったが、人・人感染は少なかった

 新型インフルエンザの致死率はいまのところ低い。インフルエンザ対策として急ぐべきことは、妊婦や基礎疾患をもっている人や老人などへワクチン接種を急ぐこと、そして重篤な呼吸不全を起こした患者を治療するための人工呼吸器の配備である
 この新型ウィルスは肺で増殖し、呼吸機能を奪う点が季節性インフルエンザとは著しく異なるので、治療に人工呼吸器は不可欠である

 1月に書いたブログを含めて3度言い続けているが、全国的にも、わが市立病院でも人工呼吸器の配備は遅れている。わが町では議論さえされていないようだ。
 今度の市議会の一般質問で新型インフルエンザ対策を質問する市議が数名いるようだが、どこまで具体的な質問ができるのか注目したい。


*8/23blog#718『新型インフルエンザ 冬に備えて人工呼吸器の配備を急げ』
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-08-23-2
*5/2blog#567『"Flu fears spread as cases stack up" (ブタ・インフルエンザ関連)』
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-05-02

*「外務省海外安全ホームページ」
 鳥インフルエンザによるSARSの致死率などの情報が載っている。
 
http://www.anzen.mofa.go.jp/sars/basick.html

*タミフル耐性ウィルスに関する情報 9/26  http://www.asahi.com/national/update/0926/TKY200909260039.html

世界保健機関(WHO)は25日、抗ウイルス薬タミフルが効きにくい耐性の新型インフルエンザウイルスが、世界で28株報告されたと発表した耐性ウイルスが生まれる原因に予防投与を挙げ、原則として控えるよう勧告した
 世界で1万株以上の新型インフルウイルスが分析され、28株がタミフル耐性だった。そのうち予防投与された人からが12株と多かった。
 予防投与は、感染者と濃厚に接触した人の発症を防ぐため、症状がなくてもタミフルをのむ方法。耐性が生じやすくなる可能性があるが、理由ははっきりしていない。WHOは「予防投与に代わり、注意深く観察し、症状が出たらただちに抗ウイルス薬を投与するように」としている。
 WHOは、耐性ウイルスの発生が疑われたら、タミフルの使用をすぐにやめ、別の抗ウイルス薬リレンザに切り替えることも勧告した
 厚生労働省は、秋の大流行に備えて作成している運用指針の改正案で、特に理由がない限り予防投与は推奨しないとしている。ただし、基礎疾患を持つ人には医師の判断で実施できるとしている。


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