中学校のフリー参観授業を6回見させていただいた。いろいろ感じたことがあるので、新たなカテゴリーを設けて、書き綴りたい。
 書いているうちに、方向が定まってくるのではないかと期待している。コメント欄へ皆さんの意見をお寄せいただいたら、本欄へアップして紹介するつもりである。漢字変換ミスなどケアレスミスは私自身が頻繁にやるので、自分のコメントを直すのと一緒に、修正させてもらうので、気にしないで投稿してくれていい。

 なぜ、あらたなカテゴリー区分を設定したのかについて書いておきたい。わたしは教育関係のシンクタンクでボランティア活動をしている。そのシンクタンクで英語教育について実際に教えている先生たちの研修、そして生徒たちの学力改善に資する生産的な議論をするために、広くいろいろな人の意見を訊いておきたいと思ったからである。
 ただお聞きするのでは申し訳ないから、いくつか論点を提供したい。

■ 学習指導要領の扱い
■ 高校の英語授業との兼ね合いでどこまで教えるか
■ 高校はオール・イングリッシュの英語授業をやっている
■ 習熟度別クラス編成は必要か?
■ 授業参観で感じた現状の授業の問題点
■ クリアすべき諸課題

 わたしが提示した論点だけに絞ったのではより重要な、そして角度の違った視点を見逃す可能性が大きい、そうした欠点をできるだけカバーしたい。

*シンクタンクとは北海道教育文化研究所である。





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<コメント欄への投稿紹介>

投稿者ハンドルネーム略号
 G ⇒合格先生
 E ⇒ebisu
 H ⇒Hirosukeさん
 S ⇒後志のおじさん
(投稿順)

G:(1)幼児英語教育法のチャンツ(chant)方式を小5でやるのは問題あり
 児童の発達段階に応じた教授法をすべきではないか
 小学5年6年でチャンツ方式でやっているような児童は英会話の学校に行っても英語力がついていないのではないか?
 小学校高学年でチャンツ方式を続けることへの警鐘

E:(2)「読み・書き」の前に「発音」あり
 小学生の耳は大人よりも高周波の子音を聞き分けているから、間違った音をインプットして真似を繰り返したらあとから直すのがたいへん。教える先生たちに一定の「発音トレーニング研修」を課すべきではないか。
*[発音指導における教師の役割怪しい発音指導の正体]
http://www.eigokyoikunews.com/columns/taishukan/2005/11/post_28.html

E:(3)チャンツ方式は小5でも、中学生でも、高校生でも単語を暗記する方法としては有効
 だが、発達段階に応じた工夫を否定するものではない。しかし、一歩進んだchunk(意味の塊)ごとにチャンツして、頭の中の引き出しへ放り込むことは中学生でなければ無理だろう。中学生になれば、文章丸ごとチャンツして、それを書いてみるという、「読み・書き」併用トレーニングが有効。語学は案外単純なことを繰り返すのが効果的だ。
 問題点を挙げると、男の脳はそういう単純・繰り返し作業を嫌う傾向があるから、対照的な理詰め方式のトレーニング法も用意すべきではないか?

E:(4)「読み・書き」トレーニングにはフォニックスを併用すべきと思う
 [k] : shock book 
 [チ]: change teacher Tibet
 ローマ字を習うので、その綴り方と混乱を起こす生徒がすくなくない。中学校でも教える先生は少ないのではないか。

E:(5)本を読んでいない生徒は高校生になってから英語の学力が伸びなくなる傾向アリ
 日本語語彙の貧困化が小学生や中学生の間で急速に進んでいる。少年団や部活、そしてラインやチャット、ネットゲーム、パソコン利用などが生活時間の大半を占めており、小学生の読書時間が消滅しつつある。小学校では英語よりも日本語の良質のテクスト音読授業をやるべきではないのか?
 日本語語彙力が小4以下の中学生が2~4割いる現実を直視すべき。数学の文章題は言うに及ばず、国語、社会、理科の授業が理解できない生徒が増えている。先生の説明を頭の中で漢字に置き換えられないのである。小学校に英語授業を導入した人たちは、小中学生の日本語語彙力の実態を知っているのだろうか?このまま放置すれば、「国際人」どころか、日本語が理解できない「怪しい日本人」が量産されることになりそうだ。
 
E:(6)小学校の教員免許は教育大が交付しているが、英語の発音トレーニング授業がないのでは?
 小学生は学校で初めて英語を習うが、インプットされる英語の発音がいい加減だと、耳がそれに慣れてしまい、あとで直すのがたいへん。できないことはやらないほうがいい。中学生よりも小学生相手の英語のほうが高いスキルが必要ではないか?。

H:(8)これを一息に発音できて、生徒にマスターさせられたら教壇にたつもよし
sit shit
hit fit
sing thing
sink think
play pray
please freeze

warm worm
want won’t
walk work

cut cat
uncle ankle
wonder wander

まだまだ一杯ありますが・・・。

S:(9)どういう英語の使い手を、どのくらいの人数(レベルごとに)、どのように養成するのか?
 「英語力+何かの職業上の能力が必要」、一部上場企業のサラリーマンだったことのある後志のおじさんとわたしは、現場を見ていますから、英語力だけでは便利屋としていいように使われるだけということをよく見聞きしています。「専門分野の知識+英語力」、この二つが揃わないと仕事にならないことは当たり前です。 
 通じる英語には子音の発音が重要な役割を果たしている。
 「かなり前、中学校の英語の授業で、音読させているのを聞いた時には、母音しか聞こえず、まったく理解不能でした」

S:(10)中学校の英語は何を目標にしているのか
 文科省の定めた「外国語の教育の目標」を引き合いに出しながら、論点の明確な議論展開の予告あり。

E:(11)中学校英語は変わるべき
①高校英語授業は「オールイングリッシュ」に変わったが、中学校がそれに対応して変わっていない

②学習指導要領は教えるべき最低基準、中学校ではそれを越える授業をしていない
③この10年くらいで英語指導技術が変わったが、中学校の英語授業が対応できていない(具体例を二つ挙げた) 

S:(12)中学校で英語を担当している先生たちへの「英検3級レベル」のサジェッション
 「必須項目」二つ。
1. wordと文の覚え方をきっちり指導して、テストでモチベーションを維持すること。

2 英文の構造を、せめて5文型程度でもいいから日本語との対応を理解させること。

 「将来の英語力向上に望ましい項目」三つ
1. リスニング能力
2. 通じる発音
3. 語の、イメージ的、概念的理解
   特に、冠詞と前置詞(分速150語以上のスピードで読むor 聞く上で、決定的に重要です。)

 そして、日本人全員が英語がぺらぺらにならなければという、強迫観念は棄てるべきで、そういう必要はない。

E:(13)
「必須項目」の1番目をもうすこし噛み砕いて、具体的に説明いただけませんか?

>こんな風に私は考えています。(みんなが英語ペラペラ←このペラペラが日本人の正体不明の憧れみたいに思えてなりません。になる必要はありませんから。)

わたしもそう思います。
日本語がしっかり読み書きできて、英語がぺらぺらで読み書きできるなんて人は、人口の1%だって望むべくもありません。
このままでは、日本語の読み書きが満足にできず、英語も読み書きできない「日本人」が量産されるのでしょう。

S:(14)>「1. wordと文の覚え方をきっちり指導して、テストでモチベーションを維持すること」を具体的に説明。

第一ステップ
アルファベットをきちんと書けるようにさせること。(北海道では、こうしたことすら学校では行われていません!)
aとu、hとn とr 、vとrの区別がつかない子が多いですよね

第二ステップ
文として、語の区切りを正しく書けるようにさせること。中学生の半数以上は、語がどこで切れるのか不明な、ただアルファベットを並べただけのものしか書けません。

第三ステップ
語の覚え方。ebisu さんや合格先生が書いておられるやり方で、中2くらいまではよろしいかと思います。早ければ中1の半ばくらいから、ただ音読して書くだけでいい。一度に書く回数は、一回。多くとも3回。これを最低30回時間をずらして繰り返す10語なら1度に1分くらいしかかからないから30回やってもせいぜい30分です。

文の練習方法

初め、見ながら音読、見ないで言えるまで。言えるようになったら2回文を見ないで書く
上級者をめざすなら、一文をエンドレス再生をかけて、音にあわせてすらすら言えるまで練習する
たいして時間はかかりません。中学生なら一日1時間くらいでしょうか

H:(15) 異論アリ
 書かせる指導は必要なし。欧米は昔からタイプライターを使い、手書きの習慣ナシという文化。ビジネス文書も学校の定期考査もタイプライターで文書を作成するのが普通。いまでは授業にもノートPCやタブレットを授業中に持ち込むのが当たり前。
 書かない文化でも言語は育つ。書く練習は必要なのか?
 第三ステップ以降をパソコンソフト、タブレットPC、スマホなどで習得させる方法を提案したい。もちろんCDやDVDなどを使った音読練習は必須。

S:(16) 具体例での反論
>Hirosuke さんの論にのってみましょう。

>中1対象に
>He is up for English.
>English is up for him.
>一つ一つの文をそれぞれ一秒で、通じる発音で生徒に発音できるようにさせて、どんな内容をいっているのか理解させて、会話などの場面で言えるようにさせてください。「単語」は全て、中一レベルです。
>どうやりますか?

>因みに私は、何かを習得する上では、自分の体を動かしてやらねばならないと確信しています。体にしみこませて五感を駆使してしっかり自分のものにする。勉強でもスポーツでも楽器でも。

E:(17) 極論の効用 問題の本質があらわになること
Hirosukeさんのobjection、ありがたいですね。
中学英語の指導法をいろんな角度から検討して、漏れができるだけ少なくなるようにしたいのです。

マルクスは『資本論』で、なんども極論を例に挙げて説明しています。極論は問題の在り処を明確にするからです。そういう効果をHirosukeさんの論を読んで感じたしだいです。
・・・
日本では「読み書き算盤」トレーニング文化は四百年の伝統を持つ。世界中で基礎学力のトレーニングに庶民レベルで400年の歴史と伝統を持っている国は日本のほかにはない。伝統的な教育法、指導法である「読み・書き・そろばん」を見直すべきではないのか?江戸時代に私塾が3万あったといわれている。こんなにたくさんの私塾があった国は日本だけ。そういう教育システムで「読み・書き・そろばん」のトレーニングが行われてきた。

H:(18) 体を使って五感を駆使して技能を自分のものにするというメソッドには全面的に賛成
>これを実現するのが【イメージ音読】でしょう。【イメージ音読】なら幼児でも出来る。電子機器も必要ない。

 イメージ音読のみで十分だから、書くというトレーニングは不要。Hirosukeさんはそれで指導効果を上げている。ユニークな指導法である。詳細は投稿をごらんあれ。