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#5204 心房細動とは?カテーテルアブレーションとは? Mar. 31, 2024 [36. 健康]

 29日に定期検診の結果を聞きにクリニックを訪れました。検査データはいつものようにヘモグロビンが基準値を少しだけ下回っていました。赤血球数は今回は基準値よりも少し上で改善してました。スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で胃と胆嚢の全摘、癌が浸潤していた横行結腸の一部切除手術後の貯蔵鉄枯渇による悪性貧血ですから、こんなもので良しです。
 胃の全摘手術をすれば、数年後には貯蔵鉄が徐々に失われていくので、みなさん同じ症状が出ます。鉄の補充を定期的にする必要があります。
 中性脂肪が前回86から204に跳ね上がっていました。基準値が30-140ですから高い。体重が2か月間で1.5㎏増えています。食べる量を増やしたのではなく、下痢の回数が少なくなっているので腸の消化吸収能がすこしだけ上がったのだと思います。

 心臓の違和感があるのと、不整脈がでている、」そして最近バスに乗って座った途端に、気持ちが悪くなって脈拍が180/分に上がった(30秒ほどでおさまりました)ので、診察のついでに(消化器内科専門医の)院長に相談したら、「心電図をとってみましょう」ということになり、すぐに心電図検査をしてもらい、不整脈と心房細動のあることがわかりました。
 心拍数が190前後にアップしたことはスキルス胃癌の手術を2006年にしてから4度目です。朝食後1時間ほど後にトイレに座った途端に動悸が激しくなり、1~3分間おさまりませんでした。救急車を呼んでも間に合いそうもないので、おさまるのを待つだけでした。2度、もう心臓が持たない、死亡診断書の死因は「心不全」かなとあきらめましたね。でも、もちました、ぎりぎりセーフでした。ひさしぶりに四度目が起きてしまいました。18年間で四度ですから、頻度はとっても少ないですが、心臓の具合がこの2週間ほど何かおかしい、そこが以前とは違っていました。ヨガや座禅で身体が発する声に耳を傾けていますので、違和感が続けばわかります。

 金曜日は循環器の専門医が来ている日なので、「ちょうどいいから、診察してもらいましょう」と院長は気楽に言いながら、隣の診察室のドクターに「悪性貧血の患者さんなのですが心房細動が出てまして、診てあげてください」と紹介してくれて、すぐに診察していただきました。スムーズな流れ、なんだかついてました。(笑)
 30代後半の若いドクターでした。心房細動の説明を受け、75歳だからそれだけで「ステージ1」で線溶系の薬と、心房細動を抑える薬の服用を薦めてくれました。このまま細動が続くと心房内で血栓ができて脳へ飛び脳血栓の可能性や心房が肥大化して心不全の可能性がありますとのこと。2週間薬を飲むことに同意して、2週間後に心臓の超音波検査の予約を入れてもらいました。線溶系の薬剤は「イグザレルト錠15mg」、脈の乱れを整える薬剤は「フレカイニド酢酸塩錠50mg」。そういうわけで2週間様子見です。

 心房細動が薬で収まればOK、おさまらない場合はカテーテル・アブレーションという心房を焼灼(しょうしゃく)する手術が標準治療ですという説明がありました。インターネットで解説動画を見ておいてくださいと言われて、見ました。大腿部の血管からカテーテルを入れて、高周波電流で心房内部を焼灼する術技です。焼灼とはいっても50~60度の温度です。術例が多いことがわかりましたが、歓迎したくないですね。でもこれでほとんどの人が心房細動がおさまるようです。細動に関係する電気信号が伝わる回路を遮断することになります。合併症のリスクはあります。その中のひとつである「心タンポナーデ」という事故例は心臓カテーテル手術で以前耳にしたことがありました。市立根室病院の事故例で裁判になって、9000万円の損害賠償判決が出た記憶があります。
 合併症は滅多に起きないのでしょう、カテーテル・アブレーションの術例は年間10万件を超えています。
 先々週、歩いているときに脚がかくんと折れて、意識が半ば飛びました。違う景色が見えて、時々現実の景色がフラッシュしてました。空中を泳いでいるような感覚がありましたので、そのときの状況を説明しましたが、心房細動と関係があるかどうかはわからないということでした。誰もいないところであれが起きて意識が完全に飛んでしまったら、危うい。多少気持ち悪くはなったような気がしますが、苦しくはありませんから、死に方としては楽ですね。歩いている途中で心不全で急死ということもありえそうです。命は天任せでいい、わたしが考えることではありません。

 診察後、血液検査のために採血してもらいました。検査項目はPT-INRとBNPでしょう。2本採血してました。検査の外注先はLSIメディエンス、元の三菱メディカルサイエンスです。1990年頃三菱メディカルの学術担当取締役からラボの見学要望があり、当時SRL学術開発本部スタッフだったわたしがご案内したことがありました、3時間ほどかけてご案内してさまざまな検査分野の自動化の説明してます。SRLはオープンでした。特注品やメーカーとの共同開発品がが多いので、オープンにしても支障がありません。真似できませんから。検査部門で仕事している人は検査技師や薬剤師などの有資格者が9割を占めています。日本の大手臨床検査センターでこんなに有資格者の多いラボは他にはないでしょう。だから、新規開発項目の半数以上がルーチン検査部門で働いている人たちから提案されます。何か研究したければ協議書を書けば、その研究に必要な必要な機器と検査試薬を揃えます。研究部や開発部に所属していなくても、研究できる体制が整っていました。
 採血しているときに診療が終わった院長が通りかかり、ちょっと話しかけてくれて通り過ぎました。不安げにみえたのか笑顔でしたね、ありがたかった。

 朝、食後に英語のシャドーイングをやるのをやめました。午前中は体調が悪いのです。胃がないので、食事をすると食べたものが小腸へ直行して消化が始まります。血流が腸へ集中しています。そこへ高速シャドーイングをやると、意識を集中するので、脳の血流が上がり、腸の方と綱引きになり、心臓への負荷が大きくなっているのではないかと考え、食後のシャドーイングをやめました。薬が効いたのか食後のシャドーイング中止が効いたのか、心房細動の自覚症状が消えています。
 こうしてブログ書いていたら、また脈が妖しいですね。出てます。いま11時12分です。ちゃんと記録して置きます。(笑)40分で違和感が消えました。3時から1.3倍速(156語/分)でNHKラジオ英会話の今週分のテクスト6つ、シャドーイングを合計百回しました。心房細動は感じません。

 シャドーイングは1.3倍速の156語/分を標準に切り換えました。そして1.5倍速(180語/分)~1.8倍速(216語/分)は食後1.5時間後、体調のよいときだけにします。急がない!(笑)
 まだ楽しみたいことがあります。先週と今週、小学生の孫と夏目漱石『坊ちゃん』の音読を一緒にしてます。リズムが好いのと、面白い場面や面白い表現が次々にでてくるので、そのたびに目を見合わせてげらげら笑っています。こんなに楽しい時間があるとは思いませんでした。

*「SRLあきる野ラボ:HUグループ世界最大の自動化ラボ稼働」2022年5月30日日経ビジネス
 あきる野の新ラボ見学したくなりました。

**心房細動に関する血液検査項目
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心房細動の人に対して行われる血液検査で特に知っておきたいのが「PT-INR」「BNP」です。
「PT-INR」はProthrombin Time-International Normalized Ratioの頭文字をとったもので、日本語では「プロトロンビン時間国際標準比」といいます。人体の中で血液は固まりやすくなりすぎないようにちょうどいい塩梅で調節されていますが、PT-INRを見ると血の固まりやすさのバランスがわかります。具体的には、数字が1より大きくなると血がサラサラの状態であり、1よりも小さくなると血が固まりやすい状態になります。
心房細動のある人は血栓ができやすくなることが分かっているので、通常よりも血が固まりにくいようにする必要があります。そのため、心房細動がある人は抗凝固薬(ワーファリン、ダビガトランなど)を飲むことが推奨されます。特にワーファリンを使用している人は、どの程度血がサラサラになっているのかをPT-INRを用いてチェックする必要があります。この数値を見ながらワーファリンの内服量を増減します。
「BNP」はBrain Natriuretic Peptideの頭文字をとったもので、日本語では「脳性ナトリウム利尿ペプチド」といいます。BNPは心臓に負担がかかった状態になったときに、心臓を保護するように作用します。具体的には、血管を広げたり、尿を作りやすくしたりして、心臓の負担を軽減します。したがって、BNPが高い状態は、心臓に負担がかかっている状態を指します。
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#5203 成績上位10%の生徒たちの理解力と指導の仕方  Mar.28, 2024 [65.a 成績上位層にかかわる問題]

 小学校高学年での算数の教え方が、高校生になったときに数学や化学や物理の理解力に大きな差を生じることを、具体例でお話ししようと思います。

問1 サトル君は時速5㎞で3時間歩きました、歩いた距離は何キロメートルでしょう?
問2 札幌まで380㎞あります。平均時速60㎞で走ったら何時間何分で着くでしょう?
問3 底面が正方形で辺の長さが15㎝、高さが8mmの直方体の体積を求めよ。

 小学6年生の問題としては基本問題ですが、これ3問全部正解できる生徒は1/3いますでしょうか?
 極東の町の小学校の先生たちは「ハジキ」というやり方で教えていました。便利な方法ですが、数学的思考を育めまないので、お勧めできません。

 問2と問3は単位の換算が関わる問題です。
 「ハジキ」の計算式に当てはめると、
問1 5x3=6km 答え6km
問2 380÷60=6と20/60、  20/60=/1/3、 60x(1/3)=20分
 答え6時間20分
問3 15x15x0.8=180 答え180㎝^3

 ところで、速さは内包量、比の値でもあります。同じ仲間には食塩水問題での食塩の濃度、合計・個数・平均値の問題での平均、人口密度、縮尺などがあります。人口密度と縮尺は中学社会科の問題でも出題されることがあります。  
 並べてみます。
① 距離 食塩  合計 人口  …
② 時間 食塩水 個数 面積  ...
③ 速さ 濃度  平均 人口密度 ...

 言葉はそれぞれ違っていますが、計算操作はどれも同じで区別がありません。
 ①=②x③
 ②=①÷③
 ③=①÷②

 表にして、並べて並べて見せたら、計算操作が同じであることに成績上位10%の生徒たちはすぐに気がつきます。
 だから、これらの計算を別々に覚える必要がないことも理解します。
 これって、とても重要なことなのです。高校数学の教科書及び問題集に『佐藤のシリーズ』というのが十数冊出版されています。分野別に解法を細分して解説しています。とても便利なものです。細分された解法がいくつあるのかカウントしたことがあります。500を超えていました。これだけの数の解法を習得するにに3年間で足りますか?足りないと思います。これが100種類にまとめ上げられたら、ほとんどの人が高校数学全分野を自在に歩くことができます。だから、同じ計算操作のものは一つにまとめたほうが好いのです。500以上も解法を覚えたらそれだけでパンクします。他の教科をそれほど大きくない記憶エリアに保管することができませんよ。同型性のあるものをまとめる、あるいは「一般化」という操作の重要性がわかると思います。

 問3の問題は実に重要です。初見だと次のようなミスをほとんどの生徒がします。
 15x15x8=1800㎝^3
 単位を揃えないといけませんが、なぜ揃えないといけないかを理解している生徒は滅多にいません。
 学校の授業では単位を揃えなければならないと説明はしているはずです。
 簡単なのです。
 単位だけを取り出して計算すると、
問1 ㎞/時x時=km
問2 ㎞÷時=㎞/時
問3 ㎝x㎝xmm=? ㎝x㎝x㎝=cm^3

 単位の計算を別に解説してやれば、理屈は呑み込めます。
 加速度はΔv/Δtで表されますが、Δv=Δl/Δtですから、
 Δv/Δt=Δl/Δt^2
 長さの単位をmに、時間の単位を秒(second)にとって、具体的に書くと、
 m/s^2
 これには、無限小という微分概念が入ってきますが、単位の意味は図示してやれば、概念の呑み込みのよい小学生なら理解できます。もちろん、単位の意味と計算操作を理解してもらうのが狙いです。小学高学年の成績上位10%の受容力は、こんな説明がすんなり脳に収まるほどやわらかく大きいのです。小学校で算数を教えている先生たちのほとんどが気がついていないでしょう。そんな生徒に標準的な難易度の授業をしても、生徒が文句を言わないのは、退屈さを我慢をしているからです。大人に文句を言うとしっぺ返しがあると知っているからです。お利巧な対応です。優秀な子どもたちがじっと我慢して堪えていることにすら気がつけないのでは、教師としての資質が問われます。いつまで、こういう子たちを我慢させたまま放置しているのでしょう?制度設計にも関係がありますから、文科省もかかわる問題です。

 さて、同じ計算操作で異なる種類の文章題が解けるということ。このような観方や思考の仕方を「一般化」と言います。個別の問題から、それぞれに特殊な解法を学び、そこからさらに抽象度を上げて、一般的な計算操作を導き出します。記憶しなければならない事項が数分の一に減らせます。同じ記憶容量だったら、一般化して記憶する生徒の方が断然学力が高くなってしまうというのはモノの道理です。
 ところで微分の計算操作は簡単です。小学生でも、三角関数や対数関数の微分の出てこない数Ⅱ分野までなら理解し実際に計算できます。

(無限小に分割するという概念を捕まえるのがむずかしいのです。『資本論』でつとに有名なマルクス(の数学の学習ノート)『数学手稿』をみると微分概念を理解できなかったことがわかります。19世紀ですから、仕方ありませんね。でも数学分野では劣等生だったことは否めませんね。苦手意識はあったでしょうね、だから、ユークリッド『原論』を読んだ形跡がありません。皮肉なことに彼の学位論文はユークリッドのお隣さんともいうべき領域のギリシア自然哲学に関するものでした。科学の体系構成(演繹的体系構成)として最初のものであったユークリッド『原論』を知らなかったので、流行りのヘーゲル弁証法でやってしまい、途中で頓挫、資本論の続巻が書けませんでした。マルクスが書いたのは第一巻のみ、第二巻と第三巻はマルクスの死後エンゲルスが膨大な遺稿を整理・編集したものです。存命だったら、出版を許さなかったでしょう。マルクスはその方法的な破綻に気がついていたのだろうと思います。資本論第一巻を出版してから、死ぬまでの16年間、資本論第二巻を出版しようとはしなかったことに、それ以外の説明はないでしょう。第2巻で予定していた市場論を書き進めるうちに方法的破綻に気がついてしまったのです。当前の帰結でした。生産性という概念を導入すると労働価値説が破綻することは、弊ブログですでに解説しています。)

 こういう単位の計算操作に慣れておけば、高校生になって物理で加速度が、化学でモル計算が出てきても、たじろぎません。単位の計算操作の仕組みはすでに理解していますから、あとは微分やアボガドロ数などの新しい概念に慣れるだけでいいのです。ハードルがグンと下がります。

 単位の計算操作は小4の普通の成績の生徒でも理解し運用できます。要は教え方次第です。想像で述べているのではありません、実証データに基づいて書いています。
 学力上位10%層は、それ以下の生徒達とは指導の仕方・授業内容が違って当たり前です。計算速度においてすら速い生徒と遅い生徒では30:1の差があります。これは中1の生徒たった5人で実測したデータです。標準的な難易度の授業では、上位10%の生徒は退屈しきっていますが、先生たちはそういうことをご存じでしょうか?おりこうさんが多いから、我慢して沈黙しているのです。たまに反抗的な生徒が現れます。そういう生徒は成績が良いからクラスメンバーに大きな影響力を持っています。高圧的な態度で臨むと反抗心が強くなります。理不尽なことさえしなければ、いたって温和で、授業に協力的なのです。先生よりも説明の巧い生徒もいますから、上手に使ってやればいいのですが、人の使い方の上手な人は民間企業でもとても少ないのです。だからたいがいの先生は、扱いを間違えて火傷します。学芸大や教育大で、そうした生徒の扱いについて実践的な授業があればいいのでしょう。大学の先生たちにはハードルが高い。

 なぜ「ハジキ」なんていう、イージーな方法が小学校の先生たちの間で広く普及して、批判が生まれないのかについては、小学校の教員たちが集まって教育研修を繰り返すからでしょうね。
 視野が高校数学や物理や化学のほうまで届かないからでしょう。小学校・中学校・高校で先生たちは孤立したグループをつくっている研修しているように見えます。
 そして、教員養成大学には、数学があまり得意ではない学生たちが多いということも遠因になっているかもしれませんね。それぞれのテリトリーの中で、「教育村」という狭い閉鎖集団の中だけにとどまっていてはいけないのではないでしょうか?
 授業のやり方、指導の仕方は無限大です。完成した形はない、そう考えたら、現在の指導法を批判する視点が必ず出てくるはずです。

<「読み書きそろばん(計算)」スキルの重要性>
 「読み・書き・そろばん(計算)」スキルは学力の基本をなしていますが、日本語読解力は小中高大と一気通貫で、どのようなレベルのスキルを身につけるのかという視点がないことが、大きな問題に感じられます。
 基礎的なスキルとして「先読みスキル」がありますが、音読している箇所よりも先を同時に黙読して意味のカタマリを判断したり、段落ごとの論理整合性をチェックしながら、脳はマルチタスク処理をしています。だから、先読みができるようになると、地頭がよくなります。そして、物事を考える時には日本語で考えますから、語彙が多いほど考えるのも考えた結果を相手に伝えるにも便利です。他分野の専門家と話すときには、相手の分野の基礎的な専門知識がなければ意思の疎通がうまくいかないので、異分野の専門書を読む読解力が必要です。
 社会人になってからは、語彙が豊富でないと、状況を的確に上司に説明できませんし、説得力のある提案書や報告書も書けませんから、仕事上で支障が出ます。日常的に意思疎通に齟齬が生じます。専門分野の異なる人にも理解してもらうために、平易な言葉で話したり、文書を書く機会も増えます。仕事の半分くらいはなんらかのコミュニケーションで成り立っています。上司や同僚、社外の取引先の営業マンやさまざまな分野の技術者と接点が生じるので、否応なしにコミュニケーションすることになります。そこに問題があれば、仕事はうまく進まないのです。職位が上がって部下を持てば部下とのコミュニケーションが仕事に占める比率が上がります。課長よりは部長、部長よりは数部門を束ねなければならない取締役と、階段を上るたびにコミュニケーションの比率は上がってきます。社外の人たちとのネットワークも広がります。
 コミュニケーションスキルは豊かな語彙に支えられている部分がありますが、若いうちはそういうことがなかなか理解しにくいかもしれません。だからこそ、小学校の先生たちや中学校や高校の先生たちが、このような小学生から社会人までの「一気通貫の視点」を持って、子どもたちの読書力を育んでもらいたいと願っています。
 中高生で本をたくさん読んでいる生徒たちのには、読めない漢字をスルーして読み飛ばしている者が多いのです。これでは何冊読んでも語彙力は大きくならないでしょう。
 音読させてみたら、読み飛ばしも、どの程度読めているかもすぐにわかります。日本語音読指導は、適切な語彙レベルのテクストを選び、小中高と一貫してやる必要がありそうです。
 
<余談-1:速度と食塩水の問題>
 極東の町の中学生で速度や食塩水の濃度の問題が正解できる生徒は10%以下でした。「速さ」や「濃度」という内包量の概念が把握できていないことと、計算操作に共通性があることを知らないからです。まったく別の種類の文章題だと思い込んでいますから、解ける生徒が滅多にいないのも合点がいきます。
 2005年頃は、中1の定期テストに食塩水の出題がなされていました。ある時期からどの学校も出題しなくなりました。正解者がほとんどいないから、出題しても無理だと数学担当の先生たちが判断したからでしょう。内包量や比の値の概念をちゃんと教えてあげたらよかっただけです。速度の問題も食塩水の濃度の問題も平均値の問題も人口密度の問題も縮尺の問題も、解き方は同じだとわかっていれば、速度の問題ができるけど、食塩水の問題や他の問題が苦手で解けないなんてことが起きません。

<余談-2:次元の立体格子点>
 夏目翔平著『やさしく物理』(朝倉書店)p.2に「次元の立体格子点」が図示されています。力学の物理量を「x軸が長さ(m)、y軸が時間(s)、z軸が質量(kg)で、3次元空間に格子点として表示して立体図」にしたものです。

 x軸は長さ(+1)、面積(+2)、体積(+3)と表示されています。ここで長さの単位はmですから、m、m^2、m^3ということになります。速度は(+1、-1、0)、加速度は(+1,-2、0)の格子点となっています。わかりやすい図です。こうした図が頭の中にあると、道先案内人のいる船のようなもので、さまざまな物理量の単位に整理がつきます。
 エネルギーの単位のジュールは「 kgm2s−2」ですから、格子点では(+2, -2, +1)にあります。高校生の時に物理を履修できなかったわたしにもじつにわかりやすい図です。


 ところで、「問3」で体積計算の際の、長さの単位を揃える必要性は「体積(+3)」で一目瞭然ですね。単位を揃えないと「+3」にならないのです。「cmxcmxmm≠cm^3」であることは自明です。

<余談-3:上位10%の子どもたち向きの教育システム>
 こういう上位10%の子どもたちが小学四年生から、適切な指導を受けたら、小6までに中学数学2年生までは終了できます。中学校卒業までに数ⅠAと数ⅡBをやり終えられます。数Ⅲも半分くらいは消化できそうです。
 そうすれば、高校物理は微分積分を前提にした、シンプルな授業の方が効率を考えても、内容の深さを考えてもいいということになるでしょう。
 高校2年生から大学レベルの数学、物理、化学、生物を学べます。情報処理関係の人材が圧倒的に不足しており、セキュリティが相当遅れているように見えますが、解消できますよ。
 学力の高い子供たちが、レベルが低くて退屈な授業を我慢して聞かなくて済む、能力に応じたレベルの授業が受けられる、そんなことがあたりまえの世の中になってもらいたい。
 文系と理系の両方の専門知識を備えた人材をたくさん産み出せます。
 
 今日のテレビ報道を見ていたら、日本証券取引所が海外向けのIRを強化するように上場企業へ要請していますが、TOEIC980点でも無理です。決算資料を並べてみても理解できないでしょう。
 会計学、管理会計学、経営分析、そうしたデータを処理しているコンピュータシステム、その企業が扱っている製品の専門知識、製造技術、新製品開発状況などを理解していないと、十分な説明が英語でできません。わたしが16年間仕事していた臨床検査会社を例に出すと、開発部がやっている製薬メーカーとの検査試薬の共同開発情報はIRには不可欠です。それらが現在の業界の検査試薬開発競争の中で、どのような位置にあるのかも必要な情報でしょう。3000項目を超える受託している臨床検査に関する専門的な知識も必要になります。それらをどうやって実施しているのか、機械化やシステム化についての社内情報も知って、理解しておく必要があります。10個ほどもある検査部、そして課まで含めると30ほどの部門の業務の実態を知っておいた方が好いでしょう。こうした仕事に文系・理系の区別はないのです。どちらもこなせなければなりません。各部門にはそれぞれ特定の仕事の専門家であり、職人です。分野の異なる職人たちとのコミュニケーションがなければ、IR上重要な社内の情報すら入ってきません。
 英語は専門分野ごとに専門用語があり、その点が基本漢字であらゆる分野の専門用語が作られている日本語と決定的に違います。ラテン語やギリシア語の接頭辞・語幹・接尾辞を組み合わせて専門用語ができているので、専門分野ごとに専門用語を覚えなければならないのです。

 英語が堪能なだけではIRの仕事はできないのです。せいぜい10~20%をカバーできるだけでしょうね。ここでも文系・理系を問わず複数の専門分野に精通した人材ニーズが産まれています。成績上位10%の子どもたちをどう育てるかということに、民間企業の未来、そしてこの国の未来が掛かっていると断言しても過言ではありません。



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#5202 弊ブログ記事一覧#5101~5200 Mar. 27, 2024 [0.1 ブログ記事履歴]

 2023年11月2日から2024年3月27日までの弊ブログ記事タイトルのリストをアップします。
 ご覧頂く場合には、右サイドバー下段の「検索ボックス」にターゲットの記事のタイトルを丸ごとコピーして貼り付けてください。

 記事全体のリストは、左サイドバーにあるカテゴリー欄のトップに「0. ブログ記事No.索引」をクリックすると、新しい順に100個ずつリストが表示されるので、青字の部分をクリックしてください。リンクが張ってあります。

#5101 弊ブログ記事一覧#5001~5100 Nov. 2, 2023
#5102 元塾生からのうれしい知らせ Nov. 3, 2023
#5103 冠詞の扱い:「車の直し方は何も知りません」Nov. 6, 2023
#5104 Ctrlキーが二つあった:コピー機能不具合解消 Nov. 6, 2023
#5105 弊ブログの記事検索システムについて Nov. 6, 2023
#5106 顧客満足度の高いケーキ Nov. 7, 2023
#5107 新型コロナワクチン接種と帯状疱疹患者の増加の関係:ある臨床医のご意見 Nov. 9, 2023
#5108 thatの読み方:/ðæt/ or /ðə/ Nov. 10, 2023 
#5109 四か月検診:インフルエンザワクチンでいっぱい! Nov. 11, 2023
#5110 PV数が20倍以上に!:カウンターの数字は本当か? Nov. 11, 2023
#5111 美しい37手詰め:竜王戦最終局 Nov. 12, 2023
#5112 同期の桜・ムサシの訃報 Nov. 12, 2023
#5113 公理を変えて『資本論』を演繹体系として書き直すことは可能か? Nov. 13,2023
#5114 メタルクラウンはプラークがつきやすい Nov.15, 2023
#5115 極東の町から秋刀魚がまた届いた Nov. 15, 2023  [86.1 食] [編集
#5116 四か月検診 Nov. 17、2023
#5117 公理を変えて資本論を演繹体系として書き直す① Nov. 18, 2023
#5118 『こころ』初版復刻本の楽しみ方 Nov. 22, 2023
#5119 昨年の今日引っ越しの荷物を解いてました Nov. 26, 2023
#5120 公理を変えて資本論を書き直す② Nov. 28, 2023
#5121 債務超過寸前の日本銀行B/S Nov. 30, 2023
#5122 先読みスキル:脳の並列処理トレーニング Dec. 3, 2023
#5123 高校同期会のお誘い Dec. 4, 2023
#5124 資本論の論理構造とヘーゲル弁証法 Dec. 5, 2023
#5125 公理を変えて資本論を書き直す③ Dec. 8, 2023
#5126 花咲ガニの鉄砲汁 Dec. 9, 2023
#5127 公理を変えて資本論を書き直す④:生産性とマネジメント視点の重要性 Dec. 10, 2023
#5128 公理を変えて資本論を書き直す⑤:生産性シミュレーション Dec. 11, 2023
#5129 高校同期会で有楽町へ Dec. 14, 2023
#5130 めずらしいwayの用法:it's way too small. Dec. 15, 2023
#5131 ”t”音の脱落例 Dec. 19, 2023
#5132 公理を変えて資本論を書き直す⑥:生産性アップと労働価値説 Dec. 20, 2023
#5133 根高同期忘年会 in 有楽町 Dec. 21, 2023
#5134 "t"音の脱落・変化例② Dec. 23, 2023
#5135 ブログ発信開始からこれまでの経緯:データ Dec. 28, 2023
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#5140 正月2日夕方の日本航空旅客機事故:「羽田の奇跡」 Jan. 4, 2024
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#5143 黒澤明監督「生きる」 Jan. 8, 2024
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#5158 英語音読速度アップ:173 words/min Feb. 9, 2024
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#5200 運転経歴証明書交付:東京都公安委員会 Mar. 27, 2024



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#5201 四月から術場の看護師になる元塾生 Mar. 27, 2024 [60. 進路(進学・就職)]

 今日また一人連絡がありました。看護師国家試験に合格、おめでとう。
 4月から手術室担当看護師として仕事か、最初の1年間たいへんだろうと思います。
 術場の看護師は度胸があってタフでなくっちゃいけませんね。雇用するほうも性格を見抜いて、適所に配置するのですね、ピッタリです。

 30年ほど前、東北の臨床検査会社への資本提携の話をまとめて、経営企画室担当取締役で15か月間出向していたときのことですが、出向先の企業の社長とよくお酒を飲みました。そのときに居酒屋でたまたま隣り合わせて一緒に飲んだ30前後の女性二人が、術場の看護師さんでした。脳外だったかな。手術の成否は患者の命に直結することが多いので、ストレス貯めないようにほどほど飲んで発散してるって言ってました。愉しいお酒でしたね。
 マナハの10年後を見ていたのかもしれません、お酒強いらしいからね。(笑)
 3年の専門学校へ進学した生徒たちは、四月から社会人、いやもう仕事している人もいるでしょう。
 3年間みっちり修行してスキルを磨いてください。
 人生山あり谷あり、めげずに仕事を続けてください。
 四月から新社会人として仕事を始める人たちに幸いあれ!


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#5200 運転経歴証明書交付:東京都公安委員会 Mar. 27, 2024 [36. 健康]

 3/15に最寄りの警察署へ出向き、運転免許証を返戻してきましたが、昨日「運転経歴証明書」ができたという連絡が入り、今日、受け取りに行ってきました。
 これで身分証明書はOKです。写真は写真屋さんで撮ったものを使ってもらいました。

 車を処分して1年半、暮らしてみて、車なしでもやれることがわかったので、免許証返上を決意しました。いま住んでいるところはバスの便がとてもいいのです。3系統走っているので日中は1時間に5本くらいあります。
 70歳を過ぎたら、いずれは免許証返上と誰もが考えますが、交通の便がよくなければ、運転免許証はなかなか離せませんね。

 もう故人ですが、中学校の時の担任のサチコ先生は、お住まいの近くのスーパー駐車場で、止まっている車に3度接触事故を起こして、運転をやめました。十数年経ちます。髪を一部紫色に染めたりしてお洒落な先生でした。
 親戚のテッちゃんは病気をして体が弱り運転を続けていましたが、自宅車庫から車を出すときに、アクセルとブレーキを踏み間違えて、そのまま道路の反対側の電信柱に衝突、それをきっかけに運転をやめてます。奥さんが運転しているので、不自由はありません。12年くらい前、70歳前半だったでしょうか。わたしよりも13歳年上です。

 それぞれ、健康状態、脳の老化の状態、子供がそばにいるかいないか、公共交通機関の利便性の問題など、条件が異なります。皆さん悩みますね。わたしも悩みました。車って便利ですからね。


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