#2930 高3受験ですごいパワー :2週間で数ⅠAの問題集を2冊 やりきる Jan. 10, 2015 [62. 授業風景]
根高で進学講習のあった3日間だけは4時間、あとは毎日5時間、塾で問題集をやっていた。個別授業だから、他のレギュラーの生徒の質問に答えている合間に、生徒が学校で使っているセンターレベルの問題集から投げてくる質問を捌く。ときに基本に戻ったり、確率や場合の数は計算式の意味がわからないところは具体例を例示したりと、忙しかったが、教えるほうも充実感があって楽しかった。生徒の気迫にシンクロしたのだろう。
3回に2回はセンター形式の問題文の終わりのほうにある問題だから、順を追って行かないと手がかりが見えない。式や条件を黒板に書き写しながら図を描き、その間に解き方の方向を探っておく。書き終わると同時に解説スタートだ。正解が出ても生徒が納得できなければ、説明の方向を変えることになる。具体例で納得がいくまで手を変え品を変えて解説する。
問題文から変数の範囲に関する条件析出にてこずった問題もいくつかあった。解答は簡素に書かれているので、書かれている条件がどういういきさつで出てくるのかを説明する必要がある。昨日やった問題には、数Ⅲの関数の極限の知識があったほうが条件の一つを適切に析出できるようなものがあったから、普段から範囲を限定しないで勉強しておいたほうがいい。数Ⅰでも難問になると数Ⅲの知識があったほうがずっと有利になってしまう問題がある。
半年間でいいからこれくらいのペースで勉強したら、ランクが二つくらい上の学校だっただろうから、本来の馬力を引き出せなかったのが残念だ。たったの2週間ではあるが、それでもその間にセンター試験レベルの問題集を2冊やりきった。将来何か困難に遭遇したときに、この2週間のがんばりを思い出してもらいたい、たいていの困難は乗り切れる。
17日がセンター試験だから、このまま突っ走って見事合格してほしい。
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#2889 遊びながら書くトレーニング:小説仕立て Nov. 29,2014 [62. 授業風景]
根室の子どもたちの基礎学力がこの8年間ほど低下し続けていることを実際の学力テストデータの平均点と得点分布を例に挙げながら何度も何度も弊ブログでとりあげた。学力上位層が1/3以下になり低学力層が膨張している。
機会をとらえて「読み書きそろばん(計算)」の読みと書きのスキルを上げるいろいろな試みをすべきだろう。
根室市内の中学生は昨日2学期の期末テストが終わった。休み時間になって生徒がホワイトボードに絵を描いてもいいかと聞くので許可したら、真っ赤な林檎をかじる直前の若い女性の姿を描きあげた。柔らかい線のなかなかいい表情の絵である。
消すのがもったいないくらいの絵のできばえに見とれているうちに中3の生徒が来たので、200字詰め原稿用紙を渡して、次のように伝えた。
「この絵を見て浮かんだイメージでストーリを200字にまとめよ」
漫画の本をよく読む生徒が喜んで書き始めた。『テラフォーマーズ』や『東京グール』が好きな生徒で、小説はほとんど読まない。奇想天外なストーリを書き始めてとまらない。4枚書いた。漫画の本も奇想天外なドラマを書くのに肥やしになっていたらしい。
もう一人はミステリー仕立てだった。恋人を自殺に追い込んだ男に復讐するストーリだった。復讐を果たした後でどんでん返しが書かれる。そんなことを恋人が望んだはずはないと気がつき、無益なことをしたと後悔しながら大好きな林檎を食べ終わって自殺してしまう。
絵を描いた本人は、時空が変異して異世界へ若い女性が運ばれる、天地創造の話しをそれが始まる前から400字で描いた発想がいい。ストーリの最後のところでイブがいま真っ赤な林檎を食べようとしているシーンだと気づかされる・・・、なかなかやるなと感じた。この生徒がもの書きになったらどのような小説を書くのだろう。
それぞれがなかなか秀逸なストーリを書いた。この粗筋を肉付けをするために細かい部分を書き足せば400字詰め原稿用紙50枚くらいは書けそうだ。ミステリ仕立ての生徒は恋人を自殺に追い込んだ男の勤務する会社へ入社して意地悪をするのだが、そのシーンをいくつか書き込むだけですぐに50枚くらいになりそうだ。
読み書きの書くスキルを上げるにはとにかくたくさん書くことだ。400字詰め原稿用紙で50枚くらいを何度か書けば、誰がやっても文章はしっかりしたストーリをもった説得力のあるものになる。それには何かきっかけをみつけたらいい。
塾ができるのはきっかけをつくってやることだろう。なにか書いてきたら読んであげようと思っている。
最近、推薦入試を受けた生徒が、小論で過去問とは傾向の違う題が出されたので慌てたと言っていたが、こういう遊びを何度か経験し、400字詰め原稿用紙で50枚くらいのものを数点書いていたら予想が外れても慌てることなく、しっかりした小論が書けるだろう。
遊びは遊び心でやるから「動力」が大きい。その大きな動力を利用して、作文能力を高めたらいいのである。
売れる売れないは別にして、誰でも小説を数本は書けるものだ、そして創作は楽しいのである。原稿用紙に字を埋めてそれぞれの文を読みあっているときのどの顔もふだん見せないようないい顔していた。書くことは楽しい、だれでも小説は書ける、そういうことに気がついてもらいたかった。
夏に小樽商科大へ在学している生徒からメールをもらって驚いた。メールの文章が立派なビジネス文書の趣を備えていたからである。メール本文は大企業の標準的な管理職並みのスキルの書き手という印象があった。この生徒は4年生になったばかりの4月に就職が決まった、精神的にもずいぶん大人になった。幼馴染の評によると、小さいときから「本の虫」で、とにかく暇があれば本を読んでいたそうだ。幼馴染の方は就職が決まったのかな。
(幼馴染だった彼女の希望する業種の道内企業はリサーチの結果、給料が13万程度でとても生活ができない、道外も含めて百社以上応募してみると8月に言っていたが、まだ就活戦線で戦っているのだろう。
偏差値55以上(上位1/3)の大学の学生は別にして、それ以下の大学の学生は正規雇用で独立で生活できる職に就くのはなかなかたいへんだ。
アベノミクスで失業率が下がったと当のご本人(安倍総理)は解散総選挙公表後にテレビ出演して自画自賛していたが、実態は建設業や介護業界で人手不足で、ミスマッチ。正規雇用の職は20万人分減り、非正規雇用の不安定な職が百万人分増えただけのこと。
大学生でも条件のよい安定した企業に正規雇用で就職できるのは上位1/3の大学生で、それ以下の大部分は正規雇用の職に就きたくて百社以上も繰り返し応募して戦い続けている。少なくとも1/3は非正規雇用が現実である。彼ら彼女達は一時的に非正規雇用の職に就くことを余儀なくされており、正規雇用の職を求めているが、失業者数には含まれない。就職をあきらめてバイトで食いつないでいる者たちも、引きこもりでゲーム中毒になっている者たちも失業者には含まれていない。いまや失業率は実態を表していないのである。40%にも達する非正規雇用の増大こそが問題で、日本は鎖国(強い管理貿易)に舵を切り、国内に生産拠点を再構築して、若者の正規雇用を増やすべきだ。)
根室高校普通科では教育大札幌校へ進学したN君と、模試の国語の一番を何度か争っていたが、彼女の方が歩がよかった。やはり、本を濫読してたくさん入力している生徒は大人になればしっかりしたビジネス文書が書ける。あまり読まない生徒でも書くトレーニングをすればそれなりの文書を書くことができるようになる。
企業で働くときに文書能力は案外大きな武器になる。大きな会社ほど文書での仕事が増える。業務報告書はもちろんのこと企画書、各種協議書、稟議書など重要なことは文書に残して行われるからだ。意味不明な業務報告書や企画書を提出していたら、無能力を証明するようなものだ。
読み書きの能力が高い生徒は学力全般が高くなる傾向があることはこの二人の例から明らかだ。
本はたくさん読め、そして書け、書き続けろ、そうすればスキルは格段に上がっていく。
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*#2606 根室の中学校の過去6年間の学力低下を検証する Feb. 28, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-02-27-1
#2672 急激な学力低下はなぜ起きているのか?:假説 May 10, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-09ある
#2806 高校数学面白い問題 :小中学校の先生たちへ Sep. 14, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-09-13-2
#2869 根室の中学生の学力の現況(1):B中学校の例 Nov. 16. 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16
#2870 根室の中学生の学力の現状(2):C中学校 Nov. 16, 2014
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#2871 根室の中学生の学力の現状(3):学級崩壊 Nov. 16, 2014
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#2872 根室の中学生の学力の現状(4):B中学校2年生も問題あり Nov. 18, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-11-18
#2873 根室の中学生の学力の現状(5):C中学校1年 Nov. 19, 2014
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#2875 根室の中学生の学力の現状(6):B中対C中学校1年 Nov. 20, 2014
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*#2865 マルクスの労働観と日本人の仕事観:学校の先生必読 Nov. 13, 2014
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#2883 今週期末テスト、中3数学質問あり:先生13題解説お願いします! Nov. 26, 2014 [62. 授業風景]
「先生質問ある・・・全部で13題ある、ちょっと後5分待っていまやっているの片付けるから、そのあとで全部解説してほしい」
生徒は学校の教科書準拠の問題集をやっている。この生徒はいつも学年十番以内である。やっていたのは2次関数と相似な図形のところだ、授業は9時までだが、今週金曜日が期末テストだから付き合うことに覚悟を決める、9時半ぐらいを目安に解説してみよう。
全部が文章題だ、準拠問題集を読みながら黒板に図を書かないといけないので、前の席に移動してもらって、解説していく。30秒くらいで文章を読みきってすぐに黒板に図を書き解説を始める。30秒で最後まで見通せる問題もあるが、そうでない問題は条件を入れた図を書きながら解法の糸口を見つけ戦略を組み立てる。これが結構楽しい。いくつか片付けたところで、他の2人からやはり文章題5題ほど矢継ぎ早に質問が飛んできた。それも生徒Aにヒントを与えている間や解法を書き写している間に一緒に居残り勉強を希望した生徒Bや生徒Cの質問も順次処理していく。
9時25分までかかって2題位残した。ここまで解説したら残りの問題は自力で解けるはず。解説を聞いているうちに力が上がっていくから、全部の問題を解説する必要がなくなる。安心は必要なので、「親が迎えに来てまっている、家でやってわからなければ明日来い」と伝えて終わりにした。
教科書準拠の問題集は市販の問題集に比べると難易度が低い。基本問題のA問題はもちろんのこと、発展問題であるはずのB問題も難易度が低い。このような問題集しかやらなかったら、道立高校はともかく、標準レベルであるはずの東京都立高入試問題ですら難問題になってしまう。さらに上の、本物の難問題が並ぶ有名私立高校レベルの難問なら、学年5番程度の生徒に理解できるような解説は40分の時間では1/4もできない、ものによっては1題か2題だ。
根室の中学校で教えている先生たちは、東京の有名私立高校の入試問題をネットで注文して自分で解いて見たらいい。生徒に教えているのだから、全国レベルを知っておくことはもちろんのこと、本物の難問題のレベルも身をもって知っておくべきだ、そうしたら教科書準拠問題集が成績上位層の生徒の学力に見合っていないことがよくわかる。標準レベルや難易度の高いレベルをしっかり把握してふだんの授業や定期テスト問題作りを考える、それがプロというもの。
久しぶりにフル回転で気持ちがいい、意欲的な生徒たちに感謝。
学校ごとの入試問題集が発売されているので、知っている有名大学附属高校の名前で検索すればamazonnで見つかるだろう。有名大学附属ではないが桐朋高校の入試問題が素晴らしかった。
頭のよい生徒を選抜したいという先生たちの願いと熱意がこもった問題が毎年並んでいた。しかしもう38年ほども前の話なので、そうした伝統が今でも受け継がれているかどうかは知らない。
ハイクラス徹底問題集:高校入試編 数学 (国立・難関私立高校制覇)
- 作者:
- 出版社/メーカー: 文 理
- 発売日: 2013/03/18
- メディア: 単行本
#2797 高校前期期末試験&道教委が高校統廃合発表 数B Sep. 2, 2014 [62. 授業風景]
今日から根室高校は前期期末試験だ。
高校2年生が4時から7時までベクトルのプリントをやっていた。明日試験というのににわかに復習だ。けっこう忘れていた。もう一人が5時過ぎに来た。明日試験だというのになかなか集中できない。スマホが気になる様子。LINEは中毒性がある。しかし、さすがに明日試験だから途中から教科書を出して例題と練習問題を次々に片付け始めた。9時少し前にテスト範囲を終了した。後半はいい集中力だった。
これが1週間前なら、90点獲れるのに・・・あ~・・・。根室の高校生はじつにのんびりしているのである。欠点でもありいいところでもあるが、進学という一点からは肯けない。(笑)
高校三年間だけでもきちんとやれば偏差値50前後の志望大学へ進学できる生徒が希望とは異なる42くらいの学校へ進学することになるので、根室の高校生の通例。こういう現状を変えたいとはどこの塾の先生も思っているはず。
二人ともあと1年半で高校生活が終わり、それぞれの道を歩むことになる、なんと速く時が過ぎ去るのだろう。
悔いのないようにふだんの勉強にもっと熱を入れよう。
<余談>
北海道新聞夕刊に根室高校と根室西高校の統廃合記事が載っていた。道内で統廃合は根室のみ。予定は2017年度となっているから、2018年3月の入試から根室西高校の入試はなくなる。現在小学校6年生からだ。
成績下位層だが根室高校に入学したくて勉強していた生徒が毎年数十人単位でいたようだが、全入になれば勉強しなくなる。競争がなくなるのは考えものだ。
1校体制にするなら、合格最低点を明示することぐらいしか入学者の学力を保障する手段はない。普通科150点、商業科120点で足切りをするくらいの強引な手段を講じないと、とめどなく根室の高校生のレベルが下がるだろう。根室高校普通科は全道偏差値で42~44(百校中72~78位)の間を行ったり来たりしているが、統合後は38~40(百校中84~88位)くらいに低下するのだろう。
7年前にB中学校でたった三人の生徒が騒ぎ始めて授業がときどき聞こえなくなっただけで、学力テストの平均点がガクンと下がった。翌年クラス替えをしたら今度は他のクラスもそうなった。学力はがた落ち、昨年までそういう状態が続いていた。
そういうことが今度は統合後の高校で起きる。義務教育ではないのだから、やる気のない者、高校の標準的な授業についてこれる学力のない生徒は入学させる必要はないという意見もありうる。
入りたかったら、普通科なら五科目150点、商業科なら120点をクリアできる学力をつけてから、入学試験を受けなおせばいい。学力の高いフィンランドはそういう厳しい制度で動いている。成績不良の生徒たちは自宅で1年間勉強してから再び入学試験を受ける。
それくらいの厳しさをもたないと、ひどいことになることはB中学校の先例が示している。
数学も英語も国語も同じ教科書が使えないほど学力差がある。どのようなレベルの教科書を使い、どういう編成で授業をやるのか、そういう具体的なことがまったく決まっていないようにみえる。
統合後の学校の授業レベルに危惧を抱かざるを得ない。
町に未来にとっても、地元経済にとっても甚大な影響があるのだが、どこからも具体的な意見が出てこない。のんびりしているというか、反応がないというか、これも根室だ。市長選挙でも両候補共に(低学力問題や地域医療、地元企業活性化への)具体的な政策がないので政策論争すらない。これら二つの別々に見えるものは同じコインの裏表だろう。
「そのこころ」は、「先のことは考えていない」、行き当たりばったり。
ケセラセラ、なるようになる。夕張市が先例、かの市の住民もわかっちゃいるけどとめられなかったので、いま塗炭の苦しみをなめている。歴史は時と場所と少しばかり装いを変えて繰り返されるもののようだから、このごろ夕張市民に親近感がもてるようになって来た、わがふるさとも似たようなことになりつつありもう他人事ではない。
#2623 春が来た 自覚の差が人生を変える しっかり歩め Mar. 21, 2014 [62. 授業風景]
転勤の季節、今日が最後の授業となった塾生がいる。2年10ヶ月よく勉強した。お迎えテストだけ学年一位を取れなかったが、そのあとは全部の定期テストと学力テストで学年一位をとり続けた。
一番にこだわったわけではない。本人の希望に沿うように、学習戦略を策定して1.5倍の速度で勉強していたら、結果が出ただけの話だ。希望の大学へ進学するために、大学入試の時点で確実に偏差値75をクリアしていることが目標であった。
中1だが中3の数学を40%ほどやり終えたところで時間切れとなった。高校からは札幌の公立高校へ進学すると決めて、中3終了までに数ⅠAと数ⅡBをやりきる予定で教えていた。英語は小学生の内は教えなかったので、堰を切ったかのように1年間勉強していた。中3になったら語学研修所用の中級レベルの問題集をやりさらにジャパンタイムズの記事を読むつもりとスケジュールを話してその通りに進めていた。
転校は仕方がない、運命のようなもので人生には仕方のないことがある、めげずにしっかり歩んでほしい。
もうじき高校新入生となる生徒たちのことも書いておきたい。
根室高校の合格発表のあった17日に、宿題として渡された25ページほどの数学の問題集を今日やり終えた者がいる一方で、今日始めた者もいる。
根室高校に合格したら、一生懸命に勉強すると言ってその通りにやっている者がいれば、口先だけの者もいるということ。変われる者がいるとなりに変われない者がいる。
中学生の三年間は叱咤激励した、あと2週間で高校生だからこれからは本人の自覚に俟(ま)つしかないが、先生は俟つことができても天はもう俟ってはくれない、そろそろ時間切れだ。
打順が回ってきてバッターボックスに立っているのだからバットを振らないとダメ、見送り三振となるのか? バットを振れなければそれ相応の苦労がこれから先の人生にまちうけている。
小学生のときから過度なブカツで家庭学習をちっともしてこなければ、それは習慣となり、中学生になるころには性格の一部にまでなってしまう。怠惰な性格を直すことは長い時間と強い意志がなければなしえないことだ。3年と数ヶ月教えて、残念ながら変われない塾生も一人か二人でてしまったようだ。人を変えようと思うこと事態が不遜な(おごり高ぶる)ことなのかもしれない、非力を痛感する。
自分を変えよう、変わろうと強く思えばそこからが君たちのスタートだ。強い意志をもつことができたら、人は(若いうちは)いつでも変われるものだ。
いまはまだ変われない人に短い文を送ろう。日本語で20回、そして意味を思い浮かべながら英文のほうも20回腹から声を出し朗誦してほしい。やる気がおきるその日までこの文をそれぞれ毎日20回読み続けてほしい。君たちは若い、若い者は変われる、「今日こそ変わろう」という意志をもち続けてほしい。
Heaven helps those who help themselves.
(天は自ら助くる者を助く)
問題を先送りする根室の大人たちの真似をするかのように、あいかわらず学業に打ち込めない若者たちがいる。希望は、目覚め、内面の成長を果たす者たちの中にある。30年後にどこかの企業で、あるいは生まれ育ったふるさとの町を担うにたる人材に自分を鍛え上げられるかどうかは、高校三年間の過ごし方にかかっている。
あっという間に過ぎ去る短い季節を無駄にすごしてはならぬ。
まず3ヶ月間、仕事(学業)に渾身の力で打ち込むこと、それができる者は次の3ヶ月も努力を継続しているだろう。そして高校三年間がじつに実りの多い季節となり、卒業後の飛躍的な成長を保障してくれるだろう。
高校の三年間は天が用意した成長と選別の季節である、内面の成長に期待したい。
そしていまの根室の大人たちとはまったく違うタイプの大人へと成長してもらいたい。ニムオロ塾がそういう若者の役に立つことができたら、根室高校卒業後35年目にふるさとに戻って塾を開いた甲斐があろうというものだ。
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#2599 吹雪の日の授業はご利益あり Feb.18, 2014 [62. 授業風景]
17日(月曜日)は小学校も中学校も高校も臨時休校だ。明日も吹雪が続くとの天気予報、臨時休校は明日も続く。
高校は明日から学年末試験の予定だったが、2日先延ばしして20日(木曜日)からとなった。高校2年生が数列がわからないので質問にいっていいかというので、いいよと答えた。吹雪で半分以上休んだから、中1の数学を見ながらじっくり教科書準拠問題集の数列の終わりのほうの問題を5題ほど解説した。こういう吹雪の日にくるとじっくり解説ができるから、お互いにいい。
試験範囲を確認したら、高校2年の数Bは階差数列までが試験範囲で群数列と数学的帰納法は範囲外だ。こんなことは初めてではないだろうか。いつもは群数列と漸化式のはじめのほうまで試験範囲だった。根高普通科の学力レベルが落ちているので、やってもほとんどの生徒が理解できないという判断なのか、授業の進捗管理がまずいのか、とにかく「積み残し」が生じている。数学的帰納法の証明は是非やってもらいたい。2500年前の背理法だけでは心もとない。現代数学の有力な証明法であるドミノ倒しを経験しておくべきだ。教養の一つとして知っておいてもらいたい。
(中3の60点満点の学力テストで数学が70%未満つまり、42点以下の生徒に群数列はおろか階差数列も漸化式も無理というもの。そういう線を引いてみたら、いまでは普通科の生徒の20%くらいしかそういう学力レベルの生徒がいないのが現実。「標準的」な高校数学をマスターできる能力のある生徒は中3年生全体のたった10~15%。全員が道立高校へ入学できれば、その授業のレベルは落とさざるをえないし、学力レベルも下がらざるをえない。
理想的なことをいえば、普通科で標準的なレベルの授業を保障するためには、定員は中3の生徒総数の四分の一で充分だということ。それ以上定員を増やしたら、授業のレベルを「標準」以下へ下げざるをえなくなる。五教科合計で180点(300点満点)あたりで足切りが妥当な線だ。普通科へ入学する生徒は、その程度の学力はつけていなければ標準的なレベルの授業についていけない、甘やかしたらダメ。甘やかしたら甘やかしたように育つもの。)
最近入塾した中1の生徒が問題集で飛ばしてやっていなかった計算問題をやり始めたので、学校のワークへの計算書き込みをチェックした。案の定、分数の累乗計算や小数同士の掛け算を間違えていた。計算規則がごちゃごちゃになっているようなので、黒板に書きながら解説した。
こんな問題である。(式をそのまま書けないので、表記を改める。分数は'/'で、3乗は'^3'に変更した)
① (-1/2)^3
② 4×1.3×4
①は3/6、②は130になっていた。わたしは成績下位層の生徒には符号の計算と数字の計算を分割してやるように指導している。符号の計算を先にする。①はマイナスを3回乗ずるからマイナス、それから、(1/2)×(1/2)×(1/2)をやれば間違えない。
②の問題は小数位取りが理解できていないのである。中1の30~40%くらいは小数位取りと分数の四則演算があやしい。反復計算トレーニングの絶対量が少なすぎて、三人に一人は小学校卒業時点で小数や分数の四則計算をマスターできていない。
(こういうケースの場合は、週1くらいでの補習を3ヶ月ぐらいやっている。その際に問題となるのはブカツである。週に一度だけブカツを休むだけでレギュラーを外されるとか、他のメンバーに迷惑がかかるとか、調整がむずかしい。だから、生徒自身がブカツの先生に申しダルように言い渡す。それができない生徒は塾での「放課後個別補習」はやれない。)
小学校の先生はこのあたり(小数位取りや分数計算)を教えるときはもっと気配りしてもらいたい。理解していない生徒は放課後残して充分な量の計算問題をやらせてほしい。少年団の活動を休ませても基礎計算は強制的に習得させてほしい。こんな計算もできないまま中学生になれば、中学校でも教えないから、そのまま数学嫌いになる。自力での修復はほとんどできないだろう。
基礎学力である「計算能力」に大きな穴が開いたままだと、その生徒の人生にたいへんな悪影響があることを忘れないでほしい。
例えば住宅ローンを組むときに、営業マンの言うことを真に受けて、無理なローンを組んでも、自分で計算して検証ができないから、ローン破産しかねない。
小学校の先生は基礎計算は全員習得に責任をもつべきだ。本業を渾身の力だやり遂げよう。
小学校で大事なのは、
「読み書きそろばん(計算)」
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#2578 英語嫌いな高校1年生: 'Gone with the Wind'読んでみる? Jan. 31, 2014 [62. 授業風景]
4時頃に学校帰りに塾へまっすぐ来た生徒が二人いた。ひとりが文具を買いに行ってくると出て行った。もどってきたら文具の他に文庫版の小説を3冊買ってきた。著者は三つとも山田悠介だから、小説と漫画の両方のジャンルで若い人たちに読者が多い作家だ。この生徒はジャンルについては許容範囲が広い。たしか中学生のときに哲学入門書である『ソフィーの世界』を読んでいたことがある。本が好きな、そして高速で読書できるユニークな生徒である。
じつはこの生徒は英語がきらいで、さっぱり勉強しない。どういうわけかきらいな科目の勉強を我慢してやれない生徒がこの数年間増えているようだ。学力テストの平均点を見ても学力上位層が激減しているから、辛抱力のない生徒層の増加と学力低下は関連があるに違いない。
我慢は一種のトレーニングでできるようになるものだ。ほしがるものを三つに二つしか買ってやらなければいい。三つとも買ってやったら辛抱できない子供が育つ。
中高生になると、それはもう性格にまでなっている、どんな性格かというと「ワガママな」性格である。これはなかなか治らない。十数年かけて育ててしまったことはただの習慣にとどまらなくなり、嫌いなことを我慢してやれないという性格にまでなり固まってしまう。
それでも何とかなるはずで、いろいろ手を考えてみる。今日は小説を3冊も買ってきたので、『風とともに去りぬ』を英語版で読んでみないかと水を向けた。ジョージアの風景描写が美しいし、スカーレットの性格描写や心理描写、恋愛模様、南北戦争などナカミはとっても楽しく面白いと説明した。
(翻訳書のほうは日本語訳が簡潔すぎて、ここまで切り詰めなくてもと思う箇所が少なくない。訳者は出版社のほうから字数制限されていたのかもしれない。)
「先生、あたし読めるわけないよ」
「そうだよな、だけどいっしょに読んで解説してあげるよ、100ページも辞書を引きながら精読したら自力で読めるようになる」
「ほんとう?だったら、やってみたい」
「ここにシドニーシェルダンの'If tomorrow comes'があるから、1ページノートに写して、段落ごとに和訳してご覧、手伝ってあげるから」
なんとすぐに写して電子辞書を引き始めた。夢中でやっている。辞書を引き終わったところで、一文ずつ和訳の仕方を手ほどきしてやる。
「あ、これわかる、weather manって気象予報士のことだ」
「そうだよ、辞書引かなくてもわかる単語があるだろう、慣れてきたら前後関係からも単語の意味が推測できるようになるよ。気に入った表現があったらマーカーで色をつけておきな、そして何度も口ずさんでみたらいい。本を読むと知っている単語が増えるし、用例とともに覚えてしまうと使い方もわかる、つまり作文にも役に立つ」
「ちょうーたのしい、やってみる」
・・・
「え、先生もう9時なの?はやい!この本もって帰っていい?」
「いいよ、だけどあと3週間で学年末テストだからほどほどにしとけよ、テストが終わったらシドニーシェルダンの本とマーガレット・ミッチェルの本を読もう。amazonで取り寄せておきな。シドニーシェルダンのほうは大衆小説だから文体が読みやすいと思うよ。
だけど仮定法とかwillとかbe going toの使い分けとか、学ぶべき文法事項がたくさん出てくるから、学校で使っている文法参考書の『アトラス』ももっておいで。余白に小さい字で小説からピックアップした用例をそのページ数とともに片っ端から書き込んでいけばいい。
どうやらスイッチを入れることができたようだ。個別指導塾だからこんな贅沢な授業ができる。高校1年生、英語ぎらいだが小説大好きな生徒に大学3年次レベルの授業をして上げられる。ebisuが高校生なら是非受けたい授業だ。
1年後に英語の成績がどういうことになるかみものだな。全国模試で英語の偏差値が70を軽く超えるかもしれない、ドキドキワクワク、本人の努力次第としておこう。
いっしょに読んでみたい高校生がいたらいまがチャンスだ。英語が苦手な生徒でも丁寧に解説してあげるから大丈夫。英語の本を一冊読んでみたいというチャレンジ精神のある人と本が好きな人だけのために開く特別講座である。
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*#2580 英字新聞記事QRコードとスマホを利用する音読&リスニング・トレーニング
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-31-1
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*#2471 Gone With the Wind (風とともに去りぬ)をテクストに知的遊びのはじまり Oct. 31, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-31
#2487 一服の清涼剤 Nov. 10, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-10
#2495 (1) 'Gone with the Wind' : アマゾンから取り寄せ Nov. 15, 2013
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#2517 月間アクセス数が初めて10万を超えました Dec. 2, 2013
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#2548 『風とともに去りぬ ニ』 Dec. 30, 2013
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#2550 文脈把握問題(1):『風とともに去りぬ 三』から Jan. 1, 2014
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『原書で愉しむ』ソフィーの世界―エデンの園からソクラテスまで
- 作者: ヨースタイン ゴルデル
- 出版社/メーカー: 研究社出版
- 発売日: 1996/11
- メディア: 単行本
#2577 中3 居残りトレーニング : 不規則動詞68題 Jan.30. 2014 [62. 授業風景]
昨夜は11時半まで生徒を居残りさせた。不規則動詞68個の練習をしてこない中3の生徒3人に業を煮やして居残りトレーニングを命じた。読み方と覚え方を解説しながら、書けなかった動詞の「現在、過去、過去分詞、(いくつかは現在分詞も)」を10回ずつ書かせてから、再テスト。一人が10時半頃に合格基準の50題正解を達成して迎えに来たお母さんの車で帰った。残り二人は11時半までトレーニングをしたが不合格。
50題正解するまで帰さないぞと脅してやらせたのだが、真剣に10回書いていた。
「ああ、手が痛い、先生指が・・・」
「他の生徒達は64~66題正解だ、男なんだからそれくらいで弱音吐くな、いままで勉強したことないからですぐになれる、休みなしだできるまでやるぞ」
3年2ヶ月塾へ通ってきて、こんなに集中して勉強する姿は初めて見た。根室高校は全科定員割れだから、このまま高校進学すれば中途退学の恐れがあるから、これから高校入学までに最低限の学力は無理やりでもつけなければならない。
それにしてもいい顔して勉強している。半年前からこういう顔して勉強していたらどうってことなかったのに・・・、変り始めたようだから、よしとしよう。
小学校で家庭学習習慣をつけそこなったり、わがままで我慢をさせたことのない子どもたちを、正常な軌道に乗せるのはとってもたいへんだ。お母さんたち、小学校へ入学したら1・2年生の内に家庭学習習慣だけは育んでほしい。
この三人は土曜日にハードルを60題に上げて同じ問題にチャレンジさせることになっている。
三度目の正直、一発でパスしてほしい。
(定期テストの英語が20点以下の生徒が、開塾2年目に一人いたが、1週間で48個正解するほど勉強してきたことがあった。あれには驚いた。真剣にトレーニングすれば一週間でだれでも50個くらいは書けるようになる)
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#2547 中3冬季特訓終了(12/29):データ整理 Dec. 30 2013 [62. 授業風景]
買い物に出かけるのに家を出たとたんに、大鷲が低空でこちらへ向かってゆっくりと滑空してきた。大きい、肩のところが線を引いたように真っ白で羽の残り部分は黒かった。尾羽も真っ白だったから若鶏ではない。こういうところが根室はよい。
【数値管理はだいじだよ!】
数学と英語の過去問を5年分やり、解説を繰り返す中3対象の5日間の冬季特訓が終わった。平成25年度の入試問題は難易度が低すぎるので使う気が起きず、H20年~24年までの5年分を使った。
そして今朝、学力テスト総合ABCのデータと、冬季特訓の得点データを並べて分析してみた。
合計点数を算出して1回目から5回目まで並べたら毎回合計点がアップしていた。7割がたの生徒がニコニコして喜んでいた。やれば点数が上がると確信をもてたのだろう。
「ずいぶん点数が上がった、特訓やってよかった」
【目標管理】
できなかった問題の内、できそうな問題を毎回解説・チェックしたのだから、明日から正月三日まで家で繰り返しトレーニングするように言い渡した。
しっかり復習した者は1月模試の点数ががっちり上がることになる。目標は総合ABCの平均点に比べて数学と英語だけで模試で30点アップが目標だ。まだ2ヶ月あるから、半数の生徒が五科目合計点で50点以上あげるだろう。何点あげられるかは追い込まれて本気になったやる気次第。
5回目の過去問の得点と総合ABCの数・英の合計点数を比べると、一人平均17.5点アップしている。復習をしっかりやると1月半ばには25点くらいになる。
内訳は数学が15.4点アップ、英語が2.1点アップだ。英語は時間がかかる。正月開けにリスニング問題の個別トレーニングと不規則動詞小テスト、そして英作文トレーニング(自由英作文対策)を繰り返しやる。
数学は数量計算・方程式の文章題・2次関数・作図・円・三平方の定理と立体・場合の数と確率など分野を絞って順にやることになる。
その後で、道立高校よりも難易度の高い東京都立高校入試問題を4年分やらせて仕上げにかかることになる。
2年前に東京都立入試問題で数学94点とった生徒がいた。学年トップクラスでも都立高校入試問題は80点台がようやく。その生徒は、一月ほど前に「科学の甲子園」で釧路湖陵理数科に勝利したチームの一員だ。総合ABCの平均点に比べて70点ほどアップして合格した。いままでどうあろうと、追い詰められてむずかしい問題に取り組むことでこの時期には伸びる奴はグーンと伸びる。
【あまり上がっていない生徒もいる、どうしてくれよう!】(笑)
数学と英語のアップ平均が17.5点だということは、平均以下の生徒もいるということ。授業態度と点数アップの幅には相関関係がある。時間一杯一生懸命に解いて、解説を聞くときも全身を耳にして聴いている生徒は点数の上がり方が違う。苦手な科目こそ時間一杯しっかり問題文を見つめ、考え抜け。そのあとで解説を聞き、正解できなかった原因を突き止め、トレーニングを繰り返せば、正解できる範囲が広がっていく。
過去問をやらせっぱなしではいけない。個人別のデータをEXCELで整理して、それらを合計してみれば、自分の授業でどこが伸ばせなかったのか、どうやればさらにどの分野が伸ばせるのかが見えてくる。
次の有効なを手だてを考え、やるべき課題を具体的に指示するためには、データの分析は欠かせない。データ分析はたのしみでもある。
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