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#5094 全米自動車労組初任時給68%増の28ドルへ Oct. 28, 2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>10/28午後11:50 ビジネス倫理の追記

 標記のニュースが昨日(10/27)配信されている。
 28ドル*8時間*22日*12か月=59136$
 年間6万ドル弱が、米国の自動車産業労働組合員の初任給である。一昨日の為替レートは150.36円/ドルだから、円換算すると908万円の年収になる。
 2020年12月の資料によれば、トヨタの初任給は大卒で20.8万円、年収では300万円弱だろう。米国の自動車産業に比べると、1/3の初任給である。

 米国な物価も高いから、給与が高くても当然だが、それにしても3倍はないだろう。どうしてそういうことになるのだろう?
 為替レートが円安過ぎるからだ。75円/ドルなら、443万円である。感覚的な話だが、この為替相場なら、日米の物価の差も給与差もリーズナブルに思える。

 ではどうしてこんなに異常な円安になっているのだろう?
 
 国際金融筋が、GDPの2.3倍もの国債残高を抱えている日本はすでに財政破綻状態だとみなしていることによるのではないか?ヘッジファンドや国際金融機関の円への信認が崩れてしまったのではないか。安倍政権スタート時は80円/ドルだったのが、11年をかけて150円/ドルまでじわじわ下がり続けているが、今頃になってどうやら円への国際的信認が根底から崩れていることに気がつかざるを得ない。為替レートがそうした背景を反映している。
 これはわたしの単なる仮説にすぎないが、そうでも考えないと、同じ業種のこの大きな賃金格差の説明がつかない。

 海外から日本へ来る観光客は、日本の食べ物がおいしくて安価なことに喜んでいる。本国で食べる半分以下で食べられるからだ。オーバーツーリズムも円安が産み出したあだ花かもしれぬ。

 英語が達者な職人は海外で働けば、年収が3倍になるような世の中に様変わりしてしまった。技術職の一部は3倍以上の年収を求めて海外へ出ていくだろうが、それでも全体の1割には届かないだろう。
 英会話をマスターして海外移住することが年収アップにつながる時代になった。その原因の一つは、無責任な赤字国債増発と日銀の国債買い入れにある。日銀の国債保有残高は540兆円を超え、すでに国債残高の半分を超えた。
 日銀が買い入れを停止したら、政府は国債の新規発行ができなくなり、金利を3%程度まで上げざるを得なくなる。日銀は国債の実質評価損を抱えることになるが、純資産額をはるかに上回り、債務超過に陥る。もちろん政府財政は破綻する。預金封鎖が起きて、赤字国債残高の処理のために課税され、預金残高は半分程度になるのだろうか。

 減税なんてする余裕なんてとっくにない。そんな資金があるなら、平時の赤字国債発行を辞めるべきだ。首都圏大震災、千島海溝沿いの巨大地震と津波、東南海連動巨大地震、富士山噴火など、地震や津波だけでも発生すれば、数百兆円もの復興資金が必要になる。温暖化で生態系が変わりつつあり、農作物や水産資源に激変が起きつつある。高齢化社会へ対応するためのインフラ整備すらできていない。お金をバラまいて借金を増やす余裕なんてとっくにないのだ。

 実質評価損の計算は何度か提示したので過去ログを見てください。カテゴリ―「95 増え続ける国債残高」に設例があります。

(注:仮説が正しいかどうかはわかりません。ほかにこれが理由ではないかというようなものがあれば、コメント欄へ書き込んでください。)

 さて、ここからが本論です。視点が少し変わることになります。トヨタには北米に6か所生産拠点があります。同じトヨタで、北米工場で働く新入社員と豊田市の工場で働く新入社員では、給与格差が1:3ということになります
 労働価値説の立場に立てば、同じ会社の同じ生産システムでの労働ですから労働価値は一緒ですし、生産性も違いはありません。しかし国が違えば、円とドルの貨幣の交換比率(対ドル為替相場)によって、格差が生まれるというのは事実です。つまり、労働価値学説は国が異なれば破綻しているということです。労働価値説が破綻すれば、剰余価値学説もドミノ倒しに倒れます。そして不払労働を搾取しているという理論も成り立ちません。これら三つのドミノは連続して倒れてしまいます。
 それにしても、この給与格差は理不尽です。「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」というビジネス倫理からも許容できません。売り手と買い手の外に、「企業で働く従業員もよし」でなければいけません。
 この理不尽な給与格差に直面して日本のトヨタ労組とトヨタの経営者はどうするのでしょう?注目してよいと思います。


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#5086 国会議員70歳定年制導入を!:あきれた細田衆議院議長会見 Oct. 14, 2023 [8. 時事評論]

 昨日(10/13)、細田衆議院議長(1944年4月5日生まれ、79歳)が記者会見を行った。統一教会行事への出席挨拶に関しては「誘われたから行っただけ」とにべもない返事。事の重大性すら理解できない様子に呆れてしまった。統一協会が反社会勢力であることは世間の常識ですが、その行事に参加して「安倍総理に伝えておきます」などと公言して置いて、「あれはリプサービスでした」と言い訳している。1回だけではなくて、8回も出席して挨拶しています。安倍総理がビデオメッセージを送ることもありましたから、政府がお墨付きを与えているようなものでした。女性記者へのセクハラ問題もあった。岸田首相が弁明を聞いて「被害者がセクハラだと公に言わないからと言って、セクハラがなかったとは言えない」と苦言を呈していました。一覧托生に思われかねませんから。

 記者の質問の意味が理解できない漢字が数回ありました。あれは「まだらボケ」というものです。最初はときどきボケて、その内にボケている時間が長くなります。ろれつが回らずもう認知症の老人を彷彿をさせるような会見の様子を見て、まだ次の選挙には立候補する、衆議院議員としてやれる仕事があると宣(のたま)うのにはあきれましたね。地元記者すら、発言が矛盾していると憤る。この記者会見は岸田内閣の支持率を下げただけ。総理大臣は苦い顔をしているに違いない。

 日本維新の会の鈴木宗男参議院議員(比例区、1948年1月31日、75歳)が数日前に、除名処分を言い渡される場で、離党届を出しています。党の方針に反してロシアへ渡航し、国営放送でプーチン支持の声明を出したことが問われたからです。彼は74歳。

 70歳までに自分の政治目標を達成できないなら、それは時代とご本人のやり方に問題があるからで、この先国会議員を続けても有害無益だということ。さっさと若い人に議席をお譲りになった方がいい。
 要するに、お二人とも老害です。引け際が理解できないようですから、法律を作って国会議員は70歳定年制を敷いたらいい。麻生太郎副総裁(1940年9月2日、83歳)や、二階俊博氏(1939年2月17日、83歳)も同様です。
 政治活動がしたいなら、若い人の後ろに回って応援したらいい。

 もう一度書きます。国会議員70歳定年制の法律を制定してもらいたい

 『徒然草』第151段を繰り返し読んで、老後の身の処し方を誤らぬようにしたいものだ。



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#5054 ロシア軍と旧日本軍の類似点:トカマクへ第76空挺師団の配置 Sep. 9、2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>9/9日朝8:30 プーチン暗殺作戦の可能性を追記

 サポリージャ州トカマク周辺へロシア軍は第76空挺師団を展開している。

 第76空挺師団というのは自衛隊なら習志野にある第一空挺団にあたる精鋭部隊である。
 ウクライナへロシアが進行したときに、この部隊がキーウの空港を急襲してゼレンスキーを捕縛しようとして大失敗した。多数の死傷者を出して撤退している。だから、現在の第76空挺師団は他の空挺師団からか4割くらいは補充された部隊構成だろう。

 帝国陸軍の空挺団は「高千穂降下部隊」と言われた秘密部隊だった。九州宮崎県で訓練に明け暮れることが多かった。昼は片目を眼帯で覆って、真っ暗闇の夜に眼帯を外して忍者まがいの訓練までした。「空の神兵さん」と言われて、正規兵3人を同時に相手にできるほどの、精鋭・最強部隊だった。降下データがないのに、体重80㎏で30㎏の装備をつけて無事に降りられるかと、人体実験のような訓練までしていた。度胸の据わった精鋭でなければとても訓練についていけない。

 日本軍の形成が悪くなり、制空権を奪われ、輸送機が足りなくなると、高千穂降下部隊は本来の機能が果たせなくなった。パレンバンだったか、どこか南の島の空港を急襲して三日間戦うも、支援がなくて全滅。落下傘で降りてしまえば、歩兵である。いくら強くても後続支援がなければ数日しか持ちこたえられない。次第に囲まれて、全滅したというのが実情である。
 終戦間近になると、運ぶ飛行機がないので、南方の前線に兵士の士気の鼓舞のために輸送船で運ばれていった。残る者は宮崎の港から船を見送ることになる。一緒に命懸けの訓練に明け暮れた戦友が言う。
 「靖国で会おう!」
 行先は秘密だからどこへ行くかはわからないが、南方のどこかである。複雑骨折した右手は上がらないので、左手で敬礼して見送った。そういう経緯(いきさつ)で高千穂降下部隊はほとんど生き残りがいなかった。降下訓練時の事故で負傷した者が生き残った。
 「あいつたちは、結婚もせず、子供も残さず征った。俺は幸せだ、結婚もしたし子どももいる。」
 生き残りの空の神兵さんから直接聞いた。
 癌が再発して全身転移で亡くなる前年の3月に靖国神社を初めて訪れている。それまで何度も東京へ来ても、靖国神社へ行きたいと言ったことはなかった。平成4年のことだったので癌の告知はしていなかったが、死期が近いことを感じていたのだと思う。

 ロシア軍の第76空挺師団はキーウの空港急襲作戦に失敗した後、ウクライナ各地を転戦している。そして師団丸ごと展開しているわけではないことがその威力を削いでいる。空挺部隊は攻撃部隊である、その中でも急襲戦に絶大な威力を発揮する部隊だ。消耗戦である防衛線では士気の高さと訓練の練度は違っても歩兵とかわらない。
 訓練も降下訓練が主体で、そのあとの急襲作戦遂行がほとんど。急襲作戦専用の専門職部隊だから、防衛戦の訓練なんてしない。
 今トカマク周辺に分断配置されている第76空挺師団は、防衛戦を担う部隊である。空挺団の本来の機能とはまったく異なる。戦車の操縦訓練なんてこともしていないから機動部隊にもなりえない、ただの歩兵だ。
 虎の子の精鋭部隊の第76空挺師団を、サポリージャ州トカマクの防衛に投入しているという状況は、なにやら敗戦が近づいていた日本軍が精鋭部隊の高千穂降下部隊員を船で南方の前線に送り込んだ状況に酷似している。
 ロシア軍はまるっきり余裕がないということ。

 さて、ここからが本論である。
 第76空挺師団はゼレンスキー大統領の捕獲作戦に失敗し大きな損害を被っている。師団長は自分の虎の子の精鋭部隊員を多数死なせた。そのあと、プーチンとショイグの指示で北部から南部、東部へと次々に転戦して消耗戦を続けている。相当な辛抱だろう、歯ぎしりしていると思う。これは空挺師団の本来の作戦、用兵の在り方ではないからだ。空挺団員たちは不満を口にしなくても、このところの無意味な用兵にうんざりしている。
 師団長がプーチン殺害を命じたら、空挺団員は迷わず命令を実行するだろう。ふだんから空挺団は死ぬ覚悟をもって作戦任務を遂行している。急襲作戦こそが空挺部隊本来の戦い方だ。徐々に消耗していく防衛戦なんていうのは性に合わぬし、用兵の理屈にも違(たが)う。
 空挺師団長は42歳である。プーチンの居所が判明し、それが影武者ではなく本物だと確信できる瞬間が訪れたら、チャンスである。自分から居所を探るようなことをしたら察知されるから、じっとそういうときが訪れるのを待っている。自らの身は滅びようともプーチンを暗殺してウクライナ戦争をやめさせるるだけでいい。それくらいの覚悟と短時間での作戦立案と実行力は第76空挺師団長とその部下たちにはあるだろう。
 姑息なことばかりやってきたFSB出身のプーチンにはまっとうな軍人の心の揺らぎは読めない。

①落下傘部隊降下訓練写真
 落下傘部隊の写真は相当枚数があったそうだ。戦後GHQが落下戦部隊員を戦犯にするといううわさが飛んで、数枚を残して焼却したと聞いている。燃やせなかった数枚である。
 朝鮮か中国へ移動していた時に「命の要らないもの集まれ!」という募集広告があったのだそうだ。通信兵だったが「どうせ散るならパッと散りましょ」と応募、それが落下傘部隊だった。落下傘部隊にいることは親兄弟にも秘密。家を継がなきゃならない長男は一人もいなかった、それほど訓練も危険だったということ。釧路の丸三鶴屋デパートに戦時宣伝映画「加藤隼戦闘隊」が上映されたときに、オヤジの写真が大きく貼りだされたので、家族の知るところとなった。その折の、降下訓練事故で右手複雑骨折、療養している間に終戦となり、生き残った。
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②重機関銃
 黒光りしている。武器の手入れはうるさかった。
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②「八紘一宇の塔」の写真
 この前で何度か野営訓練をしたと聞いている。
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④降下訓練機だろうか?
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⑤フロートがついているから水上機のように見える
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⑥オヤジの十代の時の写真(昭和10年頃?)
 足の筋肉がしっかりついている。60歳を過ぎてから、釧路・根室間の自転車レースで30代のトップと団子になってゴールしていた。還暦過ぎてから一輪車の教本を取り寄せて、一輪車乗りになった。バランス感覚が降下訓練で空中に飛び出した時になんとなく似たものがあると言っていた。
 子供のころ旭川で育ったから、スタルヒンと雪合戦したことがあると言っていた。雪を手でつかみ両手で一回で押しつぶして投げてくるのだが、結構痛かったと笑っていた。愉しかったのだろう。突然いなくなったとも言っていた。甲子園出場間近に旧制中学をやめて巨人軍への入団したのだが、さまざまなうわさが流れた。北海道に優勝旗をもって帰ってきたかもしれぬ。

 オヤジは体協の資格を取って根室の小学生に一輪車を教えていた。あれは、昭和55年ころのこと。教える一輪車がないので、花咲小学校と北斗小学校に一輪車を数十台寄贈して教えていた。親父に一輪車を習った子供が数百人いるだろう。NHKテレビが3度取材してくれた。
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 戦後間もなくのことだが、富良野の映画館でヤクザ5人に絡まれ、便所へ連れ込まれた。一緒に映画に行っていた甥っ子が5分経ってからいくと、全員床に伸びていた。オヤジは加藤隼戦闘隊の映画撮影の降下訓練で右腕複雑骨折で、まだ後遺症があり腕が上がらなかった。左腕一本で5人を倒した。落下傘部隊員恐るべし。そのあとで、富良野のヤクザを道ですれ違うと、オヤジに道を開けたそうだ。根室で昔元気のよい地元のヤクザ若頭に「松の湯」で視線がぶつかって「表に出ろ」と因縁つけられたことがあると話してくれたことがあったが、そのあとのことはオヤジは笑って答えなかった。旭川の畳屋をやっていた6歳違いの甥っ子がオヤジの葬式の席で、笑って富良野の一件を教えてくれた。それで、ご同業ではないのにTさんがオヤジを兄貴分扱いしていた理由がわかった。ビリヤード店には幹部3~4人しかTさんは出入りを許さなかった。お袋のことを「ねえさん」と呼んでいた。みんな故人だからもう書いていいだろう。
 「お前が高校時代だったかね、Tがね、息子に何かあったら言ってくれ」そう言っていたとお袋は、亡くなる2年前くらいに昔話のついでに教えてくれた。Tさんはわたしに一度もビリヤードゲームをしようと言ったことがなかった。高校生の時にスナックへ飲みに行っていてチンピラに絡まれたことがあったが、どういうわけか若頭のKさんが偶然店に現れて、助けてくれた。カウンターにいたわたしのところへまっすぐにやってきて、「どうした?」と言って、事情を話すと「わかった!」、そう言って絡んでいたチンピラのところへ行って、小声で話してすぐにその場を収めてくれた。それ以来、高校生の間はスナックへ行くのはよした。もめごとを起こしたら、メンツがあるから大事(おおごと)になる。
 小学生低学年の頃から、素手で焚き付け割りと、5寸角の廃材を大きな鉞で何度もたたいて叩き折っていたから背筋力もパンチ力と同じくらいのパワーが自然についていた。おとなしそうだが、本性はキレかねない危うさを、Tさんちゃんと見抜いていたのかもしれない。高校を卒業するころには腰を回してパンチボールをたたくだけで180kgのパンチ力があった。一歩踏み込んだら250㎏を超ただろう。素手で焚き付けを数千本も叩き折っていたから、拳は空手をしている人よりも固く、素手で人様の顔を叩けば粉砕骨折となる。半渇きの木でも叩き折る感触を拳が知っていたから、手加減できない。
 小学生のとき素手で焚き付けを叩起きっているのを、オヤジは通りかかってみていたが、なんにも言わなかった。しかし、ボクシングは教えてくれなかった。でも、石油ストーブの時代で、焚き付け割りをしたことのない孫には教えていた。(笑)
 わたしにボクシングを教えたら、人を殺しかねないと思ったのではないか。オヤジは十代の頃に、頭に血が上って丁稚奉公していた店の主人に思わず手が出てそのままやめたことがあった。それから数年して見かけたら、歯がぞっくり金歯になっていたと、後味悪いものだと話してくれたことがある。お前のその拳で人を殴るときには刑務所行きを覚悟してやれと忠告されたようなものだった。素手で焚き付けを折るようなタイミングで叩いたら、殺すことになるかもしれない。
 優男(やさおとこ)に見えるから、勘違いされて、いままでに3度ほど絡まれたことがあったが、一度も手を出したことはない。お陰様で警察の厄介には一度もなっていない。スキルス胃癌の手術後は体重が12㎏落ちた、その大半が筋肉だから、いまはへなちょこパンチしか打てない。手術前は8回出来た懸垂は一回もあがらない。フレイルの心配をしなくっちゃいけない年齢だ。
 軍隊では古参兵の上等兵が二等兵を並べて殴ることが頻繁にある。殴られ慣れていないお坊ちゃんは可愛そうだったと言っていた。殴られ方があるそうで、身体を引いてはいけない、引くとますます殴られる。引かなきゃ、普通は2発目は殴れないものだそうだ。
 生意気盛りだったので、バンカラな根室高校へ入学して3か月後くらいに役に立った。総番グループの先輩2人から呼び出しを食らった。オヤジの話を思い出しそのとおりにやったら、2発目はなかった。それ以降先輩たちの呼び出しはなかった。(笑)



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#5050ドイツはトリチウム水の海洋放出に反対:まるで戦時体下の報道規制 Sep. 4, 2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>9/4午後7時、トリチウム水のカナダ政府の排出安全基準を追記 
 9/5朝9時<余談-2:トリチウムの生体濃縮を根拠にALPS処理水を批判する人の科学的思考>追記
 9/6朝8:40 冒頭の2段落に加筆しました。
 9/6朝10時:環境中に放射性物質を増やせば、遺伝子が変異を起こす確率が上がります。先天異常やさまざまな癌に罹患する確率が確実に上がるということです。どれくらい上がるのかはデータがありませんから、大量の放射性物質の恒常的な海洋投棄は慎んだ方が人類の安全のためによいということです。環境中に放射性物質がたくさんあるので、さらに増やしても何でもないという主張を見かけるので追記しました。


  先進国ではドイツがトリチウム水の海洋放出に反対しています。数日前までにはネットで検索できたのですが、いまやってみましたが、ヒットしません。政府は海洋放出への反対論を陰謀論とレッテルを張ることに熱心ですが、これでは政府見解に批判を許さぬ戦時中の大本営発表そのもの、そしてマスコミがそれに追随していますから、大政翼賛体制下にあるかのようで、めまいを起こしそうです。健全な保守主義を標榜する私にはこのような状況が看過できません。

  ドイツは2011年3月の福島第一原発事故で3基の原発がメルトダウンしたことを知ると、すぐに自国のすべての原発の廃炉を決めました。当時の首相はアンゲラ・メルケルです。彼女は物理学で博士号を持っています。今年(2023年)4月15日にドイツは最後の原発3基を停止しました。日本の大臣の中に、物理学の学位を持っている人が一人でもいますか?岸田首相を始め、西村経済産業大臣や河野外務大臣はどこまで現状を理解できているのかわたしには疑問があります。デジタル大臣は、その分野で学位を持っている人を充てなくてはいけませんね。河野氏の主張はまるで駄々っ子です。ちょっとは勉強したらいいのに、周りも扱いかねているでしょう。
 大臣の半数くらいは、学卒ではなくて、しっかり専門性をもった院卒(修士や博士の学位保持者)を充てる時代が来ているのでしょう

 「トリチウム水の海洋放出に反対している国」という検索キーで調べてもドイツが出てこなくなりました。それどころか、「福島第一原発の排水には62種類以外の...」という風なバナーが出てきて、それをクリックすると、「トロイの木馬で乗っ取った」というメッセイージが出て、フリーズすることがあります。
 トリチウム水の海洋放出に反対する根拠の一つが、ALPS処理水には62種類の核種以外も含まれているということですから、このウィルスの意図がどういうところにあるかは推測できるでしょう。
 こういうバナーが画面に出てきたらクリックしないでください。ノート型パソコンでは、電源ボタンの長押しで解除できます。小さな緑色のランプがついている間は解除できませんのでご注意ください。

 話のついでですから、ALPS(多核種放射性物質除去装置)は62種類の放射性核種をトラップするフィルターをもった装置ですが、汚染水にはもちろんそれ以外の放射性核種が含まれています。たとえば、C-14があります、半減期間は5700年です。C-14(Cは炭素、14は質量です)はβ崩壊すると0.156Mevのエネルギーを放出し、N-14(質量14の窒素)になります。MevのMはメガですから、ev(エレクトロンボルト)の10^6倍つまり百万倍の単位です。トリチウム1個が崩壊するときには15evが放出されますから、それの10万倍のエネルギーが放出されます。ベータ崩壊することでだされる放射線の人体への影響はトリチウムよりもずっと大きいようです。半減期間が5700年と長いことから、確率的に問題なしという意見もありますが、たまたま当たってしまったらたいへんです。だから、c-14も除去してから放出したほうがいいのです。トリチウムのβ崩壊時のエネルギー放出の計算値とをご自分で比べて考えてください。ALPS処理水が何であるのか、ほんとうにトリチウムだけなのか、そして62核種は東京電力が主張しているように基準値以下に取り除けているのか、そういうことを真摯に理解する努力が必要です。こんなに重大なことで嘘やごまかしはいけません。

 伊方原子力発電所の建設に携わった技術者が、トリチウムがベータ崩壊するときに、それが遺伝子の材料としてOBTとなって組み込まれてしまっていたら、1個のトリチウムの崩壊で最大1200箇所の切断が生じると計算例を示しています。実際にDNAに組み込まれる確率が1/1000だとしてもリスクが大きいと述べています。前回ブログ#5049の投稿欄へ計算例の部分だけ転載してあります。この方は政府や原子力規制庁は実際の原発を知らずに何を言っているのかと具体的なデータと数値を挙げて、トリチウム水の海洋放出に反対しています。原子力発電の実際の機構を経験智で知っている人の意見です。原子力規制のように、頭でっかちで原発にはほとんど行ったことがない人たちの意見とは違います。原子炉の設計段階そして建設段階、現場での運用もよく知っている人の意見です

 分子生物学者の一人、河田昌東氏は、トリチウム水の化学的な性質に注目して、警告を発しています彼はトリチウム水を使って、酵母菌や大腸菌の遺伝子の変異を研究してきた方です。HTO(トリチウム水)が細胞核に入り込み、DNAが複製されるときに、その材料としてHTOのTが使われます。TはH-3ですから、水素ですので、区別がつかないのです。遺伝子の材料として使われ、組み込まれてOBT(有機結合型トリチウム)になります。これがベータ崩壊してヘリウムHeになると、水素が失われ、水素結合が切れます。そこでDNAが切れてしまいます。Heは安定な元素なので、ほかの元素と結合しないのです。トリチウムの半減期は12.3年ですから、かならずベータ線を放出して崩壊します。放射線の影響のように確率論ではないのです。ベータ崩壊は100%起きる物理現象です。だから、この分子生物学者は、海洋へのトリチウム水の放出の危険性を警告しています。放出されたHTOはすぐに世界中の海に平均的に拡散するわけではありません。これから30年以上も、このままでは永遠に垂れ流されることになりますから、海流の関係から福島県沖、東北や北海道の太平洋岸に滞留してしだいに濃度が大きくなります。染色体異常が少しずつ増えていきます。さまざまな癌や先天異常が増えるということです。とくに細部分裂の激しい胎児や成長期で細胞分裂の活発な成長期の子供たちが大人よりもはるかに大きな影響を受けます。骨髄性白血病の罹患率はは10万人に3~4人と言われていますが、これが倍にも3倍にもなるかもしれないのです。参考になるデータはないのです。とくに小児に骨髄性白血病やさまざまな癌が増えるなんて、想像したくありません。
 原子力規制庁のメンバーにはトリチウム水を使って酵母菌や大腸菌の染色体異常を研究した人など一人もいないでしょう。経験智がとっても大事なのです

 今のやり方では、30年かけて現在1200のタンクにたまっている125万トンのトリチウム水が放出されたころには、新たなトリチウム水が同じ量溜まっているでしょうから、海洋放出が事実上永遠に繰り返されると河田氏は強く反対しています。こんな理屈は小学生にでもわかります。
 カナダ政府は重水炉8基が引き起こしたオンタリオ湖の深刻なトリチウム汚染を調査し、25㎞圏内の出生児に先天性異常の多いことを調査で突き止め、トリチウムの排出安全基準値を百万人に一人の先天異常が発生する確率を許容する安全基準を定め、実施しています。それは7~109Bq/Lで、東京電力がトリチウムの排出基準の60,000Bq/Lと比べると、1/600という非常に厳格なものとなっています。詳しくは、前回ブログ#5049をご覧ください
 トリチウムの海洋放出は「直ちに健康に影響がある」わけではありませんが、長期にわたって遺伝子を傷害しますから、子供や孫たち、そのまた子供たちが染色体異常に起因するさまざまな癌や出生児の先天異常を確実に増やすことになるでしょう。 

 ドイツは福島第一原発事故を知って、すぐに自国の原発すべての廃炉を決定しました。今年の4月15日に最後の原発3基の稼働を実際にとめています。実際に3基の原発のメルトダウンを起こした日本は、次々と原発を再稼働させています。それだけではなくて、耐用年数を伸ばすことまでして、古い原発の稼働まで推進しています。設備が古いので、事故の確率が増すことになります。一般のビルだって、法定耐用年数を伸ばすなんてことはしません。何でもありになっています。
 ドイツと日本はどうしてこんなに考え方が違うのだろうと、被災地の子供が大人になって、その理由が知りたくて、まもなく1年間のドイツ留学を果たします。井上さくらさんといいます、関西へ避難したこの若い女性の母親は自問しています。
あることを見て見ぬふりをしてきたからだ。聞いて聞かぬふり、知って知らぬふり、誰誰さんの紹介だから黙っとけ、誰誰さんがやっていることだから黙っとけって、わたしたちはそうやってやってきたそれで子供はもちろん、先祖から預かってきた墓ですら汚染させちゃったよ
 東京電力や政府の言うことを鵜呑みして「原発は安全だ」と思っていたと。そうではないことが2011年の福島第一原発事故でわかりました。そして12年後、日本は耐用年数を延長してまでまたぞろ原発を再稼働しています。あれだけ手痛い教訓を得たのに、日本人は喉元過ぎればなぜ考えが元に戻ってしまうのか、その理由を探す旅が井上さくらさんのドイツ留学の目的の一つです。「人の噂も75日」なんて便利な言葉がある国ですから、どうしようもありません。それがいいこともありますが、原発安全神話の在ったことと原発事故に遭ったことは忘れちゃいけないのでしょう、同じことを再び起こさぬために。

 グリンピースの鈴木かずえさんは、2018年夏にALPS処理水の検査が行われてストロンチウム90他4つの核種が適切に処理されずに基準値を大幅に上回っていたことを取り上げています。東京電力はストロンチウム除去フィルターが高額なので、交換をケチったのです。薄めて海へ流すのだから、ALPSの方はいい加減でも構わないと考えていたのでしょうね。東京電力の経営体質に関わっている問題です。
 そういう背景をもった「ALPS処理汚染水」を基準値以下に薄めて東電は海洋放出するので、排水は純然たるトリチウム水ではない(62核種ですら基準値を超えるものがある)と鈴木さんは主張しています「福島①」とヘッダーをつけて、投稿欄へ該当部分を転載しておきます。

 政府と原子力規制庁と東京電力は、ALPS処理水はトリチウム水で、トリチウムはすぐに体外へ排出されるので問題がないと言っています。それが科学的に正しいのであって、トリチウム水海洋放出に反対する意見は非科学的だとレッテルを貼り、陰謀論と決めつけています

 戦時中のマスコミは、大本営の発表を垂れ流すだけで、それが嘘であることを報道できませんでした。そんなことを新聞に載せたらすぐに発刊停止処分です。国民の中にも大本営発表が嘘であることは薄々知っていましたが言えませんでした。言えば非国民として断罪されるだけでなく、特別高等警察(現在の公安警察)に逮捕されて拷問・牢獄送りでしたから。
 福島第一原発事故で生じているALPS汚染水の問題に、戦時中の大本営発表や大政翼賛会組織と似たようなものを感じませんか?

 新型コロナワクチンの副作用では2000人以上が亡くなっていますが、被害者救済措置が認定されたのはわずか100余名です。スパイク蛋白に対する抗体で染色すれば、2000人を超える死亡者がワクチンの副作用によるものかどうかは司法解剖で白黒がつきますが、政府はやりませんね。
 感染症学者だけを集めて専門家会議を開催して、生物学者も臨床医もメンバーには入っていません。ワクチンの製造技術すら知らぬ感染症専門家にワクチン副作用の何がわかるというのでしょう。ワクチンの深刻な副作用を取り上げたサイトに、政府は陰謀論のレッテルを貼っています。トリチウム水と同じ構造があります。政府見解と異なるものは「陰謀論」というのが政府の見解です。
 一つ具体例を挙げます。厚生労働省のホームページに感染症研究者の忽那医師の解説が載っています。「mRNAは数日で消える、スパイク蛋白も数週間で消えると言われている」、だから副作用はないのだと書いていますが、これはワクチンの製造技術にもワクチンの人間の体内での働きにも無知なことを表明しています
 国立長寿研究所の職員に対する定期検診とワクチン接種で、抗体価が10%に低下するのは6~7か月後だということがわかっています。『保健医療科学』という学会誌に掲載されています。弊ブログ#4971に詳しく書いてあるのでそちらをご覧ください。つまり、半年間はmRNAワクチンは細胞内にとどまって、スパイク蛋白を出し続けサイトカインストームを引き起こし、脳梗塞や脳出血、多臓器出血のような凝固系障害を引き起こします。炎症性サイトカインが数か月で続けると、抗炎症性サイトカインが分泌され、免疫応答が低下します。それでブレークスルー感染が起きています。これらがワクチンの副作用と実際にメカニズムで、政府見解とは真っ向から対立しますが、陰謀論ではないのです。

 さて、最後に中国のニュースを投稿欄へ「福島②中国編」として掲載します。日本のトリチウム汚染を批判する中国人Bへの「7つの質問」という中国人Aの反論が載せられています。
 トリチウムの海洋放出で一番被害を受けるのは日本人だから、日本人が自らそんなことをするわけがない、だから安全だという主張です。わかりやすいシンプルな三段論法です。
 この論のまずいところは、データに基づいた科学的な根拠が一つもないことです。わたしには判断を他人に預けた完全な思考停止にみえますが、あなたはどのように判断しますか?
 福島第一原発事故で、古里を失った井上さくらさんの母親は、思考停止が一番よくなかったと言っています。あなたはいま思考停止していませんか?

 これまで述べたことは、高校物理・化学・生物の知識があれば理解できます。高校の教科書レベルの知識は世の中の出来事を理解するために最低限必要な知識です。情報を広く収集して、自分の頭でいったん消化し、そして考え、判断しましょう。
 中高生のみなさん、しっかり勉強してください

 ほんとうは、中学校や高校の理科の先生たちから生徒に専門的な説明があると好いのですが、授業中に政府見解と真っ向から対立することを言いにくいのは戦時中も戦後も同じですから、学校教育の場に期待できることはないのでしょう、とても残念です

<余談-1:タンクの中は基準値以上の汚染水>
 134万トンのALPS処理水の7割は、含まれている放射性物質(ストロンチウム90とヨウ素129がとくに大きく基準値オーバー)が基準値を超えており、二次処理しないといけないものです。薄めて海洋放出しなければならないものはトリチウムだけではないのです。
  東京電力の内部資料では、ALPSではいくつかの核種が基準値まで下げられないとされています。9/4付の東京新聞の記事をご覧ください。
 タイトルは「7割は再び処理が必要 福島第一原発の『処理途上水』の実情とは」となっております。

<余談-2:よく取り上げられる研究事例>9/5朝9時追記
 『保健医療科学2021年Vol.70』に「トリチウムの生体への影響と低線量放射線影響研究の課題」という論文が載っています。
 放射線線量を問題にしたもので、トリチウム水の化学的性質、HTOがベータ崩壊するとHeに変わり、遺伝子に切断が起きるということは論じられておりません。つまり、カナダ政府のような観点がないということです。

 放射線線量の閾値だけを問題にして、ALPS処理水の海洋放出は安全だという主張が載っていますが、谷龍哉氏という人の論拠に上記の論文の結論が使われているようです。「生体濃縮」批判に論点をすり替えた議論です、それはそれで論旨が一貫していますが、都合の良い情報だけを集めた議論です。興味があればこちらもお読みください。
*「トリチウムの生体濃縮を根拠にALPS処理水を批判する人に足りない科学的思考

 お話にならないほどバカバカしい議論ですが、少しだけ解説しておきましょう。
 わたしが本稿で挙げたALPS処理汚染水の海洋放出への批判は、原発建設に携わった原子力工学者、トリチウム水を酵母菌や大腸菌の染色体変異研究に利用したことのある分子生物学者であり、どちらも生物濃縮問題を論じていません。だから、谷龍哉氏の主張は不都合な事実を隠蔽する問題のすり替えにしか見えません。
 HTO(トリチウム水)が人間に取り込まれて、DNA材料としてHTOがBTOとなってから、時間が経過するとベータ崩壊が起きたときにHeとなって水素結合が切れて遺伝子を傷害するという話をしました。谷龍哉氏の主張は生体濃縮を前提に、たとえば魚の体内のBTOを人間が食べた話にすり替えがなされています。これは保健医療科学の論文の主張そのままです。つまり、なんにも考えておらず、自分の主張に都合の良い部分を羅列しただけ。
 谷氏はBTOのトリチウムがβ崩壊するとき、そのエネルギーが遺伝子を傷害する可能性があることには触れていません。それは保健医療科学の論文も同じです。そしてTがβ崩壊してHeに変わったときにDNAの水素結合が切れることにも言及していません。これが果たして「科学的思考」と言えるでしょうか?
 視野が狭いのです。本気でALPS処理水が安全だと思っているようです。希釈すれば閾値を越えないので安全だと。環境中に放射性物質が増えれば増えるほど、遺伝子異常が増えるのはモノの道理です。大腸菌の培養の際に培地のHTOの濃度をあげていけばDNA異常は増えます。希釈せずに30年間放出し続けたら結果が十年たたぬうちに出てきます。福島県下で福島第一原発事故以後、小児甲状腺癌が劇的に増えたことを記憶されている人がいるでしょう。放射性物質を希釈すれば、影響がなくなるわけではありません、長期にわたって染色体異常という影響が出るということなのですが、理解できない様子です。薄めたら閾値以下になるので、放射線の影響はないと。しかし、事実は、環境中に放射性物質が増えれば増えるほど、遺伝子の変異確率が上がっていきます。つまり、先天異常やさまざまな癌の罹患率がアップするということです。だから、環境中や人間の体内に放射性物質があるからと言って、環境へ放射性物質を増やしていいということにはならないのです。できるだけ、人為的な放射能は減らした方がいいし、医療用レントゲンの被ばく量も減らした方がいいに決まっています。CTなどによる被曝は、それによって病巣を発見し治療に役立てるというメリットがあるから許容できるのです。原発事故から出た放射性物質を海洋放出して、人間の生命と健康にメリットなんて一つもありませんよ

 骨髄性白血病患者の罹患率は10万人に3~4人ですが、それが10人になっても、被害を受けているはずの国民はまったくわからないでしょう。東北や北海道の太平洋沿岸で魚を比較的たくさん食べる地域の出生児の先天異常や、骨髄性白血病やその他もろもろの癌の罹患率を長期に調査することでしか、その影響が測れません。甲状腺癌を発症した子どもたちをいくら調べても、福島第一原発事故で放出された放射能が原因で発症したとは、その因果関係を証明できないのです。同様に骨髄性白血病に罹患した子供をいくら調べても、福島第一原発汚染水のトリチウムのせいだなんて科学的には証明できません。
 カナダ政府がやったように、政府が大規模な調査をするしかないのです。カナダ政府がオンタリオ湖のトリチウム汚染問題でやったことは、トリチウムの線量ではなくて、化学的性質に注目して、百万人に一人、染色体異常がでることを許容する安全基準を採用するというものでした。それが、7~109Bq/Lという安全基準の意味です。東京電力の60,000Bq/Lでも安全というのが東京電力や原子力規制庁そして政府の主張です。谷龍哉氏の「科学的な思考」と重なっていますね。
 政府見解が正しいという暗黙の前提はやめたほうがよろしい。原発は安全だと言い続けたのは、東京電力と原子炉の設計も建設も運営にも携わって事のない原子力規制委員会メンバーと政府でした。安全神話が虚構であることが2011年3月に3基のメルトダウン事故で明白になりました。だからこそ、政府や東京電力の言うことを鵜呑みしてはいけないのです。政府や東電の言うことは、いつでも批判的に吟味する必要があるということです


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#5049 トリチウム水は体の中でどうなるのか?①:異分野コミュニケーションの必要性 Sep.2, 2023 [8. 時事評論]

<最終更新情報>9/2朝8:40<余談:見事な大政翼賛会体制の完成>を追記 
 9/2朝10時半<余談-2:先天異常>追記
 
 言葉の定義が大切ですから、これから使う専門用語をいくつかピックアップしてから、分子生物学者の河田昌東氏の動画「トリチウムの人体への影響を軽く見てはいけない」の内容をかいつまんで紹介します。
 河田氏は、大腸菌や酵母菌をトリチウム水の中で培養して、遺伝子の異常や染色体異常を調べた経験のある分子生物学者です。原子力規制庁のメンバーで、このような経験のある人は一人もいないでしょう。だから、重要な政策決定には異分野コミュニケーションが必要なのです。

 わたしも専門外なので、議論がわかりやすくなるようにまず言葉の定義をいくつかと知られている事実説明します。
 水素原子三つでできているのが、H-3のトリチウム。Tとも書きます。
 トリチウム水になると化学式はHTOです。水素とトリチウムと酸素の化合物です。分子量は「1+3+16=20」です。
 HTO(トリチウム水)とH2Oは化学的には区別がつきません。質量や密度や沸点や融点や大きさが異なるので、物理的には分離が可能ですが、化学的に分離精製する場合に比べて、コストが高いのです。

 2020年3月時点で、福島第一原発に保管してあるALPS処理水は1200のタンクに125万トン、トリチウムの量は860兆Bqですから、2023年8月24日の海洋放出直前は、1200ベクレル程度でしょう。トリチウムを分離精製したら、たった16~20gだそうです。これなら放射能は大きくても量が小さいので保管が簡単ですね。
 とここら辺までがウィキペデア「トリチウム水」からの受け売りです。

 ALPS処理後のトリチウム水の安全基準は60,000Bq/L以下となっています。
 ICRPの安全基準値は70,000Bq/Lです。

 これから述べることはwikiの解説と河田氏の解説の重複している部分です。OBTがとっても重要なキーワードです。
 HTOの中のトリチウムは有機物と結合するとOBT(Organically Bound Tritum:有機結合型トリチウム)になります。体内で有機物の合成に水素が使われますが、それは水から取り込まれます。そのときにHTOだと、トリチウムが取り込まれて組織の一部になってしまいます。体内でトリチウムがベータ線を放出して崩壊すると、もっとも安定した元素であるヘリウムHeに変わります。結合した部位が遺伝子だとすると、TがHeになることで、遺伝子の切断が起きます。こうして遺伝子が障害され染色体異常が起きます。どれくらいの頻度で起きるかはトリチウム水の濃度や量に依存します。結合した組織によっても影響の度合いが異なります。骨髄組織に取り込まれたらどういうことになるのでしょう?

 トリチウムの性質がわからなくて、FB友で信頼できる原子力工学の専門家にわたしは教えを請いました。トリチウムはベータ線を放出するが、内部被爆してもミクロン単位しか飛ばないので細胞核内にある遺伝子を傷害することはない、エネルギーも弱いと説明がありました。その一方で、植物の種子やヒト・リンパ球を使った実験ではHTOは染色体異常を起こすという論文が国内のもので2つ見つかりました。一見して矛盾した結論に見えますが、これら両方を矛盾なく説明できるメカニズムがなにかあるのではないかと考えました
 翌日に別のFB友が河田昌東氏の動画を紹介してくれたので、メモを取りながら見たのです。そして、両方を矛盾なく合理的に説明できるメカニズムが見つかりました

 細胞内でDNAを複製するときに、二本鎖がほどけて、それぞれが複製されます。この時に水素が材料として取り込まれます。HTOがあれば、水素ではなくてトリチウムTが遺伝子に入り込んでしまうのです。H2OもHTOも水ですから、化学的には区別がつきません。取り込まれたトリチウムがβ崩壊するときに、ベータ線を出すと同時にHeに変わり、遺伝子を切断してしまいます。その結果、染色体異常が起きます。
 細胞分裂が激しい胎児がリスクが一番高いということになるのは当然です。遺伝子が複製されるときにHTOのトリチウムが遺伝子の有機物材料として取り込まれてしまうのですから。成長期の子供たちも細胞分裂が激しいので、HTOからトリチウムを遺伝子に取り込んでしまうリスクが高いのです。脳細胞や神経細胞がトリチウムをとり込んだら何が起きるのでしょうね。信号の伝達がうまくいかなくなりそうです。思考や情緒に影響しそうです。低レベルトリチウム水が人間の精神や感情のコントロールにどのように影響するのかという研究はまだありません。現実の方が先行しています。実際には影響が出ているが、人間の方がそれのメカニズムを解明できていないと考える方が妥当な気がします。

 胎児の染色体異常で有名なのは21番トリソミーによって起きるダウン症です。脊椎二分裂症や無脳症も染色体異常によって引き起こされます。小児の骨髄性白血病は癌ですが、トリチウムが骨髄組織に取り込まれたら、やはり異常が起きることは想像に難くありません。

 カナダの原子力発電は重水炉でなされていますが、重水に中性子が当たるとトリチウムが発生します。だから、重水炉は莫大なトリチウムを排出しています。河田氏は動画(25分07秒)の中でカナダ政府がつくった論文が手元にあると言っています。オンタリオ湖にHTOを排水していました。オンタリオ湖はひどくトリチウム汚染が進み、周辺の飲み水が汚染されました。大気中にも放出されましたから、空気も汚染しているということで、原発周辺25㎞県内の出生児の調査をしたことがあります。1991年に報告書が公表されました。大量に放出した翌年ぐらいから、いろいろな先天障害が起こっているということが示されています。21番染色体トリソミーのダウン症は1.8倍、先天的な心臓障害などが記載されていますと河田氏が動画で述べています。
 原因についてカナダの分子生物学者のバーティルさんが研究して、OBTが問題だと言っているわけです。トリチウムの化学的性質が他の核種とはまったく異なるんです。だから他の核種よりもリスクが大きい。河田氏が大学院生の頃にバーティルさんの本で勉強した記憶があるのでよくわかっているそうです(27:05)。
(河田氏は1940年生まれで、名古屋大学理学部分子生物学研究施設大学院へ入学したのは1968年、69年に修了していますから、バーティルさんの本で勉強したというのは、年代が合わない気がします。ピカリング原子力発電所の8基の重水炉CANDUは1966~86年にかけて建設されています。)
 1991年の報告書はネットに落ちていませんでしたが、カナダ・オンタリオ州飲料水質基準移管する諮問委員会作成の報告書を紹介したサイト(2009年)を見つけたので、ご覧ください。
 「放射線核種のリスク評価をするICRPの基準」ではなくて、「化学的汚染のアプローチ」をとったとあります。これは百万人に一人しか染色体異常を起こさない厳しい基準で、年間7~109Bqの範囲となると結論されましたカナダでは現在この基準が守られています。ちなみに、ICRPの安全基準は70,000Bq/Lです。染色体異常がどれほど起きるのか、後の祭りになりますが、やってみたらわかります。
 国民の生命と健康と安全を守るカナダ政府の姿勢と一番コストの安い海洋放出しか念頭にない日本政府、どうしてこんな差が生まれるのでしょう?

 河田氏は薄めて海洋放出するのに40年もかかるのでは、全部放出したときにはまた新たな125万t×4=500万tのトリチウム水が溜まっているから、永遠に海洋放出をすることになると危惧しています。
 それから、福島県沿岸からHTOを薄めて流し続けても総量は変わらないのだから、潮流に乗って沿岸付近を漂うことになり、濃度が濃くなることを危惧しています。海洋放出したら、全世界中の海へ平均的に広がるわけではありません。排出元の福島県沿岸、東北と北海道沿岸の海へ40年間排出されトリチウム汚染が徐々に進んで行くことになります

 他の核種ではなくて、トリチウムだからこそ、危ないのです。有機物となって組織に取り込まれてOBTに変わって、ベータ崩壊してHeとなり、水素結合が切れて遺伝子を切断するのですH2OもHTOも化学的な性質は同じですから、細胞膜を通過して細胞核に自由に出入りし、遺伝子が分裂複製されるときにトリチウムが水素と一緒に有機物の材料になって取り込まれます
 政府の説明は廃炉のためにスペースを空けないといけないということですが、40年もかけて薄めて放出したのでは、その間に現在の4倍も溜まることは小学生でも理解できます。海洋放出は永遠に続くということです。

 地下水が流れ込んで核燃料デブリと接触して、膨大な汚染水が生じているのですから、凍土壁ではなくて別の方式で地下水の流入を遮断すべきと河田氏が言っています。いまも汚染地下水は海へと流れ出ています。
 沸騰水型原子炉も重水炉もトリチウムを常時排出しています。トリチウムはゼロが一番安全ですから、原則論からは原発を廃炉にするのがいいのでしょう。いまあるトリチウム汚染水は120年保管して、1/1000にトリチウムが減ってから海洋放出すべきだと仰っていました。

 福島第一原発よりも、六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場が稼働したときの方が21倍、1京8000兆Bqものトリチウム水を毎年海洋放出することになります。3km沖合までトリチウム放出用の海底トンネルがとっくに完成しています。もし稼働させるなら、大規模な出生時の先天異常調査をすべきです。
 核燃料サイクルは排出されるトリチウム量だけでもアウトです。こんなことを認めたら、妊婦や子どもたちに安心して太平洋沿岸で獲れる水産物を食べさせられなくなります。

 原子力工学の専門家と分子生物学の専門家と、トリチウム水に関してこんなにも意見が違います。政府と東京電力は、公開の場を設けて両方の分野の専門家を集めて何度も話し合って国民の理解と納得を進めてもらいたい

<余談-1:見事な大政翼賛会体制の完成>
 政府に都合の良い意見しか言わぬ原子力工学専門家を原子力規制庁に集め、必要不可欠な生物学者をボードメンバーに入れない閉鎖的な集団で議論して、事を決めています。まるで、戦時中の軍部の独裁体制とそれに批判的な報道ができなくなった新聞各社のような様相を呈しているようにわたしには見えます。
 原子力工学の専門家たちは、知らないのか意図的に無視しているのか、HTOが体内に入るとOBT(有機結合型トリチウム)となり、ベータ崩壊をした後は、ヘリウムHeとなって、遺伝子を切断してしまうという、トリチウムの化学的な性質を議論せず、放射線量だけを基準にして、似非「安全基準」60000Bq/Lを決めました。重水炉8基によるオンタリオ湖の深刻なトリチウム汚染を調査したカナダ政府はトリチウムに特異的な化学的性質に注目して、百万人に一人の染色体異常を許容する安全基準を設け、実施しています。それは年間7~109Bqです。国民の健康と生命の安全を守るための厳格な基準です。原子力工学の専門家だけではこうした議論が出てきていません。こういう狭い専門分野の人たちだけで議論して事を決めては、戦時中と同じように大きな過ちを犯します。マスメディアも同罪です。

 mRNAワクチンでも同じ構造があります。専門家会議には感染症研究者ばかりで臨床医すら入っていません。ワクチン製造技術に詳しい分子生物学者もメンバーに選ばれていません。政府に都合の良い意見を言う感染症研究者たちだけが集められ、ワクチン製造技術に無知なまま、ワクチン製造技術に由来する深刻な副作用が無視されて2000人を超える副作用死を招きました。それでも、政府のワクチン接種推奨はとまりません。
 特定の閉鎖的なグループでの議論は利権集団化し、重要な論点を見落とします。関連する分野の研究者を集めて、学際的な議論をすべきだとわたしは考えます

 新型コロナワクチンもトリチウム汚染水もそれが人間の体内でどのように作用するかを知らない特定の専門分野の人間だけを集めて議論すべきではありません。いくつかの周辺分野の専門家も集めて議論すべきです。政府の政策決定によって、健康を損ない、病気器に罹り生命を失うのは政策決定にあずからない普通の国民です

 わたしたちの子孫が数十年にわたるトリチウムの海洋汚染で、深刻な未来を抱え込むのを阻止するタイミングはいまでしょ。まだ被害を小さくできます。腹を決めて120年間陸上保管して、トリチウムが1/1000になってから海洋放出したらいいだけです。そして、壊れた原子炉地下への地下水の流れを止める手立てを考え、実際に止めるべきです。そうすれば汚染水の発生を数分の一にできます。それらのことにお金を投じるべきです。
 唯一の被爆国として日本人がなすべきことがあるなら、坦々と成し遂げましょう。

<余談-2:出生前診断検査と先天異常>
 1989年だったかな、購買課から学術開発本部へ異動して、2か月ぐらいのときに米軍から依頼のあった出生前診断検査トリプルマーカ―を導入するため、小さなシステムを設計しました。米軍の女性兵士が妊娠すると、出生前診断検査を受けることが法律で決められていましたから、沖縄米軍司令官は違法状態を解除したくて、SRLへトリプルマーカ―検査導入の協力要請が来ていたのです。ニュヨーク州から文献を取り寄せて、1か月でシステム設計と実務設計イ及びプログラミングを済ませ、関係部署への根回しも終わって、検査導入の準備ができたので沖縄米軍へ説明に出向きました。とっても喜んでいました。
 同じ時に慶応大学産婦人科医からも出生前診断検査の資料取り寄せ依頼が来ていました。慶応大学病院なら、妊婦の検体を集められるので、トリプルマーカ―MoM値の日本人基準値制定の産学共同プロジェクトをもちかけました。検査試薬は製薬メーカー持ち、検査とデータの多変量解析はSRL側で負担、担当ドクターの義務は検体を送ってくれることと、学術論文を公表することでした。もちろん否やはありませんでした。わたしがタッチしたのは、2社の製薬メーカーとの検査試薬無償提供調整と社内の応用生物統計専門家であるF川君との調整だけ。検体のハンドリングをしたことがなかったので、3か月間だけ、SRLの検体集荷ルートに乗せて私宛に送ってもらいました。実際にやってみて、納得がいったので、担当検査部門宛に送るように変更しています。あとは、ルートに乗っているのでわたしの役割はナシです。問題が発生すれば調整することになりますが、ノートラブルでした。もっとも、学術開発本部を1年半ほどで卒業して、新しくできた関係会社管理部へ異動することになりました。会社の業績を25ゲージのレーダーチャートと総合偏差値で評価するシステムを開発してもっていましたので、新部署立ち上げに必要なスキルの持ち主だったからです。

 大事なことを忘れそうになりました(笑)
 35歳を過ぎると、胎児が染色体異常を起こす確率が上がります。だから、35歳以上は胎児の先天異常を検査するために羊水染色体検査の実施が望ましいのですが、羊水穿刺は米国の資料では200例に1例の失敗確率がありました。だから、妊婦の血液でスクリーニング検査できれば、事故の確率を2ケタ以上下げられます。そこに現れたのが、hCG、AFP、uE3を組み合わせたトリプルカー検査でした。3項目のっ検査結果データと妊娠週令・体重などを変数にして計算した検査値をMoM値と言います。4年かけて妊娠週令15週から18週の妊婦の検体6000例を集めて、データを多変量解析した結果、日本人の基準値は白人を100とすると130でした。黒人が120であることが米国の文献であらかじめわかっていたので、日本人基準値は110くらいのところを予想していましたので、予想外の結果でした。
 この母体血によるスクリーニング検査が陽性になると、羊水穿刺を行い、染色体検査をして確定診断となります。スクリーニング検査が陰性なら、胎児に染色体異常はないと判断します。スクリーニング検査でMoM値が要請になると、羊水穿刺による検査で胎児の染色体を調べます。21番トリソミーによるダウン症や脊椎2分裂症、無脳症などが判明します。死産になるケースは母体の安全を考えて、掻破するケースもあります。
 卵子や精子が古いほど、遺伝子はさまざまな要因で障害されて先天異常が増えます。たいていは、受精しても育たずに死産流産して流れてしまっています。遺伝子が傷つく原因はさまざまな物質による大気汚染、飲料水の汚染、食べ物の汚染、皮膚を通じて侵入するさまざまな化学物質(例えばシャンプーに含まれる化学物質)、海洋のマイクロプラスチック汚染、水産物の重金属汚染、放射能汚染など、さまざまなものがイニシエータとなって遺伝子を傷害します。だから、卵子が若いうちに妊娠するのが生物学的には先天異常を小さくする最善策なのです。
 夫婦共稼ぎで、出産年齢が30代や40代になると先天異常のリスクが大きくなります。
 当時、学術営業のS藤君が、米国の出生前検査の妊婦向け絵本をもってきてくれました。アクリルの透明な箱に500個のピンポン玉が入っています。最初は1個だけですから、天板にあけられた穴から手を入れて玉を取り出しても赤玉をつかむ不安はありません。これが、10個になると不安が萌します。妊婦の年齢が35歳になると確率的にはそういうことだという風な説明になっていました。だから、母体血でのスクリーニング検査が必要だと。
 現在は精度の良い新しい検査方法ができたようです。クアトロマーカーという検査に置き換わったようですね。トリプルマーカ―は役目を終えました。

 福島県沖へとトリチウム汚染水を数十年にわたって垂れ流すと、500個のピンポン玉の中に赤玉を30個入れるようなことになるかもしれません。やめた方がいいとは思いませんか?120年陸上で保管してから海洋放出すれば、トリチウムの量は1/1000になりますから、そうしたらいいだけです


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#5047 そごう・西武の売却 Aug. 31, 2023 [8. 時事評論]

 池袋西武百貨店本店がストライキで閉店しています。正午に親会社のセブン&アイ・ホールディングスは臨時株主総会を開いて、ヨドバシカメラと米国投資ファンドであるフォートレス・インベストメントに売却の決議をしました。1000名ほどの社員がスト決行中です。労働組合もわかってストライキしているのでしょう、これは単なる示威行動にすぎません。問題解決にはならなくてもやらずにはいられない、労働組合運動は無力ですね。
 斜陽産業化した業界の企業経営に平凡な経営力の経営者では、ジリ貧になるだけでしょう。

 通学している子供のいる人はこれからたいへんです。社員も非正規雇用の人もたいへんです。
 1~6階までがヨドバシカメラになるそうです。
 株主が変わり、経営陣が変わり、業態が変わると、従業員は整理解雇になります。整理解雇には2つの要件があります。
①業績悪化による人件費削減のための解雇
②部署・店舗・支店の閉鎖を理由とする解雇

 法律的には正当な解雇だから実行されます。
 量販店への採用を望む者は再雇用されるでしょうが、ほとんどの人がスキルがないでしょうから給与は下がります。いやなら、整理解雇の対象です。退職金いままでの退職金規程で支払われます。非正規雇用の人は30日分の日当が解雇手当として支給されるだけです。
 ほとんどの人が、非正規雇用での転職を余儀なくされそうです。自分で正規社員の職を探すしかありません。

 わたしは、1967年に極東の町から高校卒業と同時に東京へ出てきました。池袋と新宿の盛り場が大好きで、通学定期で池袋と新宿でよく遊びました。西武百貨店と東武百貨店のオーディオコーナーには海外製品がずらりと並んでおり、さまざまなスピーカーを選んで、レコードの視聴ができました。スピーカーの番号は30番くらいまでついていたので、さまざまな会社の高額な在庫を並べていました。
 地下1階にお酒のコーナーがあって、冷蔵ケースに埼玉県の来陽というメーカーの「野武士」という原酒が置いてありました。アルコール度21度、うっすら白濁したおいしいお酒でした。西部の地下では珈琲豆をよく買いました。自分で挽いてサイフォンで淹れるのですが、納得いくのは4回に一度くらいなものでしたね。ブルーマウンテンが200gで500円くらいなものでしたね。
 讃岐うどんの立ち食いコーナーがあって安いのでよく食べてました。池袋東武百貨店は少したってから建物が建替えられました。映画館がありました。ここも随分利用させてもらった。百貨店は都会の文化の香りがして退屈しない場所でした。新宿伊勢丹本店は昔から、池袋のデパートに比べて高級感がありました。
 西武百貨店は軽れるにスーパーマーケット「西友」を展開して、勢いがあった時代があります。バブル崩壊後の1990年代に1.2超円に有利子負債が膨らみ、事業を縮小整理したことがありました。
 他のデパートはスーパーマーケットの展開はしていません。西武流通グループはユニークな経営だった。高転びに転げた感があります。

 西武デパートが1~6階までまもなく家電量販店になるのですか。
 なんだか昔が夢の中のようです。
 西口の東武百貨店はそうならぬように頑張ってもらいたい。何より、従業員のみなさんの雇用を守るためにも、いい経営をしてください。斜陽の百貨店経営はたいへんだろうと思います。
 ニュースを聞いて、時の移ろいを感じています。


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#5046 中国の日本水産物輸入禁止措置解消策:簡単です Aug. 30, 2023 [8. 時事評論]

 林外務大臣が、WTOの委員会へ持ち込むなんてことを公表しましたが、火事が起きているのに、薪を放り込むようなことになりませんかね。
 他に妥当な策はないのでしょうか?

 トリチウムは半減期間が12年ですから、40年保管しただけで1/10に減少します。同じ理屈で80年で1/100に、120年で1/1000に減少できます。1/10に減少しただけで、中国の原子力発電所が年間に排出するトリチウム量を下回ります。
 外務大臣の林さんは、経済産業大臣の西村さんと協議して、40年保管後の放出を政府方針として打ち出せばいいだけに見えますが、違いますか?

 自然界にトリチウムの存在量は100~130京Bqです。宇宙線から年間7京Bqのトリチウムが生成されますが、12年で半減するので、存在量が安定しています。ところが1950年代の度重なる原水爆実験や原子力発電所の稼働、そして使用済み核燃料再処理工場の稼働(フランス)で、inputの量が増えました。トリチウムの存在量が徐々に増大しています。
 六ヶ所村の再処理工場がアクティブ試験をした2006年と2007年に排出されたトリチウムは1京8000兆Bqです。福島第一原発に保管されている「ALPS処理水」125万トンに含まれているトリチウムは860兆ベクレルですから、その21倍です。国会議員の川田龍平氏の国会での質問書に対する政府答弁書によれば、六ヶ所村の再処理工場が稼働すると年間1京8000兆ベクレルのトリチウムが排出されます。
 再処理工場が稼働しているのはフランスだけですが、ロシアや米国もプルトニウム生産のために同じことをしています。いま再処理工場を建設する計画が持ち上がっています。中国だってそのうちやるに違いありません。
 4つの再処理工場が現実のものになったときに、排出されるトリチウムを六ヶ所村の再処理工場を基準に計算すると7.2京Bqですから、宇宙線が生成するトリチウム量に匹敵します。生成量が2倍になれば、トリチウムの自然界での存在量も2倍になります。

 低レベルトリチウム水が染色体異常を起こすことが実験で知られています。もちろん、人道上人間を使って実験はできませんから、植物やヒト・リンパ球を使った実験です。
 原爆の放射能が染色体異常を起こしたというデータはあります。広島と長崎のデータです。米軍が長期間にわたって調査し、奇形を起こした胎児のサンプルもホルマリン漬けして収集・保管しています。
 胎児や成長期の子供のように細胞増殖が盛んな時は、放射能感受性が大人に比べて格段に高くなります。受精卵が奇形を起こすことで自然流産が増えますし、小児骨髄性白血病のように遺伝子や染色体が放射線で障害されることに起因するさまざまな疾患が増えます。確率論的な問題ですから、確率が2倍になれば、患者は2倍になります。さまざまな小児癌が多発することになりかねません。

 80年保管して、1/100になってから海洋放出をすると発表したら、中国との今回の原発汚染水処理にかかわる問題がなくなると思いますが、いかが?

 日本は唯一の被爆国ですから、福島第一原発事故の汚染水処理に当たっては、世界一厳しい基準を自ら作って、実行すべきです。そして、使用済み核燃料の再処理工場閉鎖を呼びかけたらいいし、米国の使用済み核燃料再処理工場計画を阻止したらいい。
 日本政府は凛として誇り高くあってもらいたい。
 それが健全な保守主義を標榜するわたしの願いです。

*それぞれのデータの根拠はいままでのブログに記してあります。

<余談-1:札幌市の空間放射線量が高いのはなぜ>
 フランスの再処理工場と米国の原発材料製造工場は同じくらいの緯度帯にあり、そこ方待機に排出された放射性物質が、ジェット気流に乗って、ちょうど札幌市付近に落ちると、聞いたのは1990年頃の放射線の専門家の合宿研修での発表の場でした。札幌市の空間放射線量が高いのはなぜだろうと長年不思議に思ってきたが、原因がわかったという話でした。
 わたしはこの分野の専門家ではありませんが、SRL学術開発本部長宛に招待状が来ていたので、前日に本部長から「(俺)行けなくなったから、ebisuが代わりに行ってくれ」と迷惑な業務命令でした。異動して数か月、直属上司である本部長の仕事の依頼を断ったことがありませんでしたので、気安かったのでしょう。暗礁に乗り上げて困っていた案件を5個ほど解決してました。(笑)
 開発部のメンバーにも放射線の専門家はいませんでしたから、仕方なかったのでしょう。合宿研修でじっくり専門外の話を聞いてました。自己紹介の時に困りましたね、場違いでしたから。でも収穫はありました。異分野の専門家数人と人脈ができたのは大きな収穫だったかも。こういうことは損得抜き、無駄でいいのです。
 専門外のことなら、普通は1週間あれば複数の専門書に目を通してから参加します。そうでなければ失礼ですからね。

<余談-2:汚染水保管タンクの耐用年数とコスト>
 石油タンクの法定耐用年数が15年ですから、同じでしょうね。いま1000個あるとして、40年保管だと4000個のタンクが必要です。敷地は福島第2原発にすればいいので大丈夫そうです。1個に1億円かかると擦れは、3回建て替えで、今後1兆2千億円かかります。建て替え費用が2億円なら、2兆4千億円です。
 40年間で2.4兆円なら、年間600億円の負担です。東京電力の売上は5兆円ほどあるので、どうってことのないお金です。それでもやらないのは、コストをケチっているから。安全を犠牲にしても安くあげたいようです。この会社の経営方針なのでしょう。
 廃炉のコストも原発事故賠償コストも最終処分場での保管コストも原発の採算を計算するときのコストには組み込まれていません。これらを入れたら、原子力発電はとてつもない高コスト事業になります。原子力発電が一番安いと嘘をついてきたので、ほんとうのことが言えない。経営は正直にやってもらいたい。
「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」

<余談-3:海洋放出に反対している国々
 中国やロシアや北朝鮮だけではありません。先進国ではドイツ、アジアではタイやマレーシア、オセアニアではバツアヌやソロモン諸島がトリチウム水の海洋放出に反対しています。世界でただ一つの被爆国の日本がすべきことではありません。トリチウムの半減期が12年ですから80年間保管してから放出すれば、トリチウムの放出量が1/100にできるのに、なぜそうしないのか?原発の発電コストが再エネに比べて法外に高いことがはっきりするからです。


「生態環境を破壊しないで!」


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#5044 トリチウムは除去できる Aug. 28, 2023 [8. 時事評論]

<最終データ更新情報>8/29午前9時<#3587胎内被曝と小頭症>追記

 トリチウムは取り除けないなんてことをマスメディアが報じていますが、真っ赤な嘘です。コストがかかるから東京電力はやらないだけで、原子力規制庁も異を唱えません。もちろんIAEAもです。

 米国とフランスの使用済み核燃料再処理工場が最大のトリチウム放出源ですから、これを規制するとこれら2か国は多額の処理費用を負担せねばならず、原子力発電も使用済み核燃料再処理工場も採算上不可能になります
 参考までに書くと、六ケ所村の再処理工場が2006年と2007年にアクティブ試験を実施していますが、そのときの排出量は1京8000兆ベクレルです。六ヶ所村の再処理工場が稼働すると毎年同じ量のトリチウムが排出されます。福島第一原発で保管している125万トンのALPS処理水に含まれるトリチウムは860兆ベクレルですから、再処理工場が排出する放射能汚染水の量は21倍です。

 トリチウムの除去技術について、7/10のヤフーニュースが「処理水からトリチウムを除去する技術は完成している」と題して報じています。
 昨年11月にネイチャーに掲載された新技術があります。京都大の北川進特別教授のチームが開発した方法で、従来法の100倍の効率が期待できるそうです。プロトタイプを作り、うまくいけば、この分野で日本は最先端のトリチウム除去装置を開発して世界中に販売できます。

 トリチウム水で忘れてならないのは、半減期間が12年ということです。40年保管すれば1/10となり、80年保管すれば1/100、120年保管すれば1/1000になります
 計算式は指数・対数計算ができればいいだけですから、高校2年生数Ⅱの知識だけで計算できます。
 ①y=0.5^x
 ②Z=12x

 1/10にするにはY=1/10として、対数をとります。「底変換公式」使って常用対数に変換して計算します。Y=3.321となり、Z=39.9年です。数学はとっても役に立つので、数Ⅱまではしっかり勉強してください。少し得意なら、数Ⅲも履修しておきましょう。文科系大卒でも社会人になったら数Ⅲが必要な仕事がたくさんあります。
 高校生は関数電卓を使えるようにした方がいいですね。わたしのおススメはHP-35sです。このシリーズを1978年から使い続けています、5台目。十数年前に10,500円で買いましたが、75,000円もするのですね、凄い値上がりです。アップルのスマホをもっている人は、ハイエンド機種だと関数電卓機能がついているので、それを利用できます。

 40年保管するには現在の福島第一原発の約4倍の敷地面積が必要になります。それと、タンクの耐用年数がそんなに長くはないでしょうから、40年に一度解体・建設作業が必要でしょう。その間には震度6強の地震があり得ますから、それに耐えうるタンクの開発も必要になります。要するに、現在よりもコストは10倍はかかるでしょう。原発は採算が合わない事業なのです。政府補助金や再処理コストや廃棄コストが入っていません。東京電力も政府も、嘘と偽りの採算データを公表しています。こんなことを続けているから、政治不信が大きくなるのでしょう。

 トリチウムを分離回収しても、今度はその保管が問題になります。放射のは煮ても焼いても減らないのです。

 問題なのは内部被爆です。2021年4月17日に公表された分子生物学者河田昌東氏へのインタビュー記事「トリチウムの人体への影響を軽く見てはいけない」をご覧ください。

 内部被爆問題を歴史的に眺めると、米軍は被爆の人体実験データが欲しくて、広島と長崎の住民を戦後も調査し続けました。実際に調査した医師は日本人の医師です。調査結果の口外は禁止されました。福島第一原発事故での内部被爆を言いつのれば、戦後の内部被爆人体実験データの存在が公にならざるを得ないし、協力した日本の医学者の良心の問題が取り上げられることになります。東大医学部を中心に各大学の医師たちが集められたのです。医学界の重鎮であった人も少なくないでしょう。彼らにとっては、被爆の治療もせずに、ただただ人体実験の観察記録のような仕事をしたわけですから、やった人たちにとってはとても不都合な事実です。
 内部被爆のむごたらしさが公になれば原爆開発が不可能になるという判断で、マンハッタン計画を指揮したレズリー・グローヴス准将が被爆データを隠蔽しました。彼は繰り返し内部被爆による影響はないと言い続けました。
 福島第一原発事故でも、内部被爆の問題は過小評価されています。小児甲状腺癌が多発していますが、調査の陣頭指揮を執った福島医大は内部被爆を軽視し、福島第一原発事故との関連性を否定しています。成長期の子どもが大人よりも放射能への感受性がずっと高いことを無視しています。論理的にいうと細胞分裂が激しい胎児へ一番大きな影響が出るということ。

 低レベルトリチウム水が染色体異常を引き起こすという論文がいくつかあります。太平洋で獲れた水産物を一番多く食べているのは日本人です。トリチウムの内部被爆によって、遺伝子が障害され、さまざまな染色体異常が発生することは想像に難くありません。ダウン症は21番染色体トリソミーによって起きます。たとえば、骨髄性白血病の罹患率は10万人当たり3~4人ですが、これが10人になったら、骨髄性白血病患者が2.5倍以上になります。さまざまな癌は遺伝子障害によって起きます。癌抑制遺伝子はいくつもありますが、それが障害されたら、多発性の癌に見舞われます。
 もう一度書きますが、放射能は若い人ほど感度が高いことに注意しましょう。一番影響を受けるのは胎児です。一つの卵子と精子が結合すると、爆発的な細胞増殖が始まります。成人よりも2ケタ感受性が高ければ、遺伝子が障害され胎児に何が起こるかわかりません。次に影響の大きいのは成長期の子どもたちです。小児癌の発生確率が2倍あるいは3倍になったらかわいそうです。骨髄性白血病が子どもたちに現れてからでは遅いのです。思春期の子どもたちの精神への影響もあるかもしれません。内部被爆で脳や人間の精神がどのような影響を受けるのかそんな研究はありませんから、何が起きるのか不安です。本人ですら理由のわからない犯罪が起きるのかもしれません。
 広島と長崎への原爆投下は胎児の染色体異常を引き起こしました。小頭症の子どもが45例生まれています。生きて生まれなかった子どももいます。駐留米軍はサンプルを全例収集して、秘匿しました。そのいきさつは弊ブログ「#3587胎児被爆と小頭症」に書いてあります。

 日本に新しい成長産業、トリチウム水処理装置事業を育てるために、そして唯一の被爆国である日本がトリチウム処理で世界に範を示すという意味でも、日本政府は福島第一原発事故で生まれた放射能汚染水問題から逃げてはならないのです。80年保管することで、1/100にできるなら、そうすべきでしょう。福島第2原発が廃炉になるので、そこへ運んで保管することだってできます。つまり、日本政府も東京電力もやれることをやりつくしていないのです。
 福島第一原発事故が起きたことは仕方がない、しかし、その汚染水の処理については世界最高の厳しい基準を作って、やりうることはやりつくしてもらいたい。決然とした誇り高い日本であってもらいたい。


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 こちらは、59,204円です。同じ品物で、ケース付き。標準でケースついてます。

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#5043 福島第一原発事故トリチウム排出で日本人が持つべき倫理基準 Aug. 27, 2023  [8. 時事評論]

 8月だから、原爆の特集番組をいくつかみました。その中の一つに長崎のものがありました、爆心地から山一つ越えた向こう側の西山地区の話です。
*「原爆初動調査 隠された真実(前編)」NHK

 爆風は山が防いでくれましたが、すぐに真っ黒い雨が降り注ぎます。その雨で住民のほとんどが被爆します。そのあと飲み水は黒い雨に汚染されていますが、それを飲むしかありません。ほどなくいろんな病気で人が死んでいきます。
 小さな村ですから、自給自足。放射能の汚染された畑でとれた野菜を食べるしかありません。うすうす危険だと知っていたようです。それでも、作った作物を売らなければ生活が成り立ちません。身体に悪いとわかっていても現金収入を得るためには、放射能で汚染された畑からとれた作物を売るしかありませんでした。住民たちは水や野菜を食べることで内部被爆しました。
 米軍は東大医学部をはじめとして、全国から医師を動員して内部被爆の実態調査をしています。その結果の報告書は全部米国に渡されました。調査内容について口外は許されませんでした。治療をしないで調査記録だけしていたのです。米軍は原爆の効果がどの程度なものなのか、人体実験データを集めたかった。
 内部被爆によって遺伝子が壊れ、骨髄性白血病を始めさまざまな癌を発症し、住民は亡くなりました。

 低レベルトリチウム水が染色体異常を起こすという研究があります。植物の種子を用いたものとヒト・リンパ球を用いた実験に関する論文です。

 トリチウムの排出で一番大きいのは使用済み核燃料の再処理工場から排出されるものです。2006年と2007年に六ケ所村の再処理工場がアクティブ試験をしました。そのときに排出されたトリチウムは1京8000兆ベクレルです。この施設は稼働していませんが、稼働すれば、毎年1京8000兆ベクレルのトリチウムを排出します。福島第一原発が今後30年間で排出するトリチウムの数十倍にもなります。

 1988年だったかな、SRLで染色体画像解析装置を3台導入したときに、製造会社のIRSの副社長へ八王子ラボで講演をお願いしました。わたしが調整した講演会だったので、講演が終わってから話す機会がありました。
「染色体の研究を30年間してきたが、最近染色体異常が急激に増えている。」
「原因はどのようなことが考えられますか?」
「シャンプーを疑っています」
そうおっしゃっていました。このドクターは染色体に関して分厚い著作のある方でした。シャンプーにはさまざまな化学物質が使われており、それらが頭皮細胞に入り込んで遺伝子を傷害しているのではないかというのです。

 それから1年後、わたしは学術開発本部へ異動し、放射線に関する専門家たちの合宿研修に参加しました。学術開発本部長あての招待状でしたが、前日に「俺は都合が悪いので、ebisu明日行ってくれ、合宿研修だ」、職務命令でした。(笑)
 専門家でもないので、仕方なくいきましたが、そこで面白い情報を耳にしたのです。札幌市の空間放射線量が高いので理由がいままでわからなかったが、どうやら、フランスと米国の使用済み核燃料再処理工場がこの緯度帯にあり、空中に排出された放射性物質がジェット気流に乗って流れてきて、ちょうど落ちるところが札幌市付近だと説明がありました。再処理工場は莫大な量のトリチウムを排出しています。
 染色体の専門家はシャンプーを疑っていましたが、再処理工場がばら撒く放射性物質もさまざまな癌や染色体異常にかかわる疾患を増やしている可能性が高い。
 低レベルでも内部被爆したらアウトです。身体の中を放射性物質の微粒子が駆け巡り細胞内に入り込めば、そこで放射能をだします。数年から十数年体内で放射線を出し続けます。だから内部被爆は怖いのです。

 米軍の原爆開発チームの責任者であったレズリー・リチャード・グローヴス准将は、戦後原爆被害実態の医学的調査資料を集めておきながら、あまりのそのむごたらしさに隠蔽の必要を感じ、内部被爆はないと言い続けました。内部被爆の実態を公にすると、原爆開発がストップしてしまうからです。
 いまだに日本では内部被爆に関しては口が重い。言えば、1945年8月6日と9日の原爆投下の被害実態が明らかになるからでしょう。東大医学部を頂点とする日本の医学会が米軍の被害調査に全面的に協力して、治療を一切しなかった、そして結果について公にもしなかったことがバレるからでしょう。福島第一原発でも内部被爆が大きな問題になることはありませんでした。しかし内部被爆は事実としてあり、深刻な問題です。

 日本は唯一の被爆国背あるからこそ、使用済み核燃料工場から大量に放射性物質を垂れ流してほうっかむりしている米国やフランスとは違って、汚染水の取り扱いに関しては厳格な基準で望むべきではないでしょうか?
 海にばらまいたトリチウム水は、いずれ魚の筋肉や脂肪にくっついて人間の体内へ入り込み、内部被爆を起こします。骨髄性白血病は10万人当たり3~4人の罹患率ですが、これが10人(1/10000)へと確率が上がれば、骨髄性白血病患者は3倍になります。
 海へトリチウム水をバラまいたら、もう取り返しがつかないのです。太平洋沿岸でとれた魚を一番食べるのは日本人です。わたしたちの子どもや孫に影響が出ます。
 だからこそ、他の国とは違って、日本は原発の処理水に関しては世界一厳しい基準で臨むべきなのでしょう。トリチウム水は排出しない。排出技術はあります。100倍も効果的な方法が提案されています。お金がかかるからハナからやるつもりがないのです。そんなイージーなことでいいのでしょうか。
 いい機会っですから、日本は世界に向かって範を示すべきです
 排出をやめて、トリチウムも炭素14も取り除きましょう。ごまかしは一切なしです。


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#5042 中国禁輸措置の影響:日本産水産物 Aug. 26, 2023 [8. 時事評論]

  福島第一原発ALPS処理水の放出が一昨日(8/24)から始まった。中国が日本産の水産物の全面輸入禁止を発表して、日本政府はあたふたしている。西村経済産業大臣は「受け入れられない、抗議する」とテレビで述べていたが、他国が買うのが嫌だというのに買えとは言えないのはあたりまえのことだ。いやなことに科学的論拠もへったくれもない。放っておけばいい。これをきっかけに、過度に中国に依存するのはやめるべきだ。

 中国の主張はさておいても、太平洋は日本の海ではない、国際的な共有財産だろうそこへトリチウム水を今後30年間も垂れ流し続けるというのは日本人が古来から持っている倫理感覚に反するような気がしてならない。太平洋は日本のゴミ捨て場ではない。トリチウム水による海洋汚染は米国西海岸のみならず、南米の西海岸へも及ぶことになる。

 低レベルトリチウム水が染色体異常を起こすという論文がいくつか存在する。植物の種を使ったものとヒト・リンパ球を使った論文である。トリチウムが出すβ線は体内では数ミクロンしか届かないし、エネルギーも低いので遺伝子を傷害することはないという専門家もいる。しかし、実験で得られた事実は事実である。糖や蛋白質や脂質と結びついてOBTとなって細胞内に取り込まれたら、距離ゼロだから内部被爆で遺伝子に重大な損傷が生じるだろう。実験で低レベルトリチウム水が染色体異常を引き起こすことはわかっていても、そのメカニズムはまだ確認されていない。確認されるまでどれほどの期間が必要かわからない。
 30年間福島第一原発から、薄められた低レベルトリチウム(半減期間12年)水が太平洋へ垂れ流し続けたら、だんだんたまってくる。

 福島第一原発事故による汚染水が問題になっているが、もっと深刻なのは2006と2007年に六ケ所村の使用済み核燃料再処理工場でアクティブ試験をしたときに、1京8000兆ベクレルものトリチウムが放出されていることだ。国会で川田龍平氏が質問して出てきた情報である。質問がなければ都合の悪い情報が出されることはない。六ヶ所村を中心に北海道沿岸部も含めて住民の染色体検査を実施したら、すでに異常な状態になっているかもしれない。調べていないからわかっていないだけ。

 SRLにある、35年間約百万人の染色体画像解析データベースを使って調べたら、染色体異常の地域的・時期的な偏りがはっきりする可能性がある、調べる術はあるということ。染色体研究者にとっては百万人の染色体画像解析データベースは論文を書くための「宝の山」です。

 あの使用済み核燃料再処理工場が稼働すれば年間同量の低レベルトリチウム水が六ヶ所村の沖合3㎞の海底トンネル出口から放出される計画になっている。福島第一原発が30年間で予定している放出量の23倍である。日本人の国際的な信用を著しく傷つけ、国際的な信用を失わせる行為である。
 自民党保守派の中に反対を唱える国会議員がいないというのは実に嘆かわしい。日本人の遺伝子が壊され続け、さまざまな癌が増えることになるだろう。統一教会に毒された国会議員がいまだに跋扈しているような体たらくではお話にならない。

 さて、中国の需要増大とふるさと納税で、日本の水産物は値上がりし続けていた。どれくらいかというと、ホタテを例に挙げると、十数年前は2㎏2000円弱だった。いま、24000円もしている。2000円弱だった不揃いの冷凍ホタテを十数年前は古里の鮮魚店でよく買って食材として使っていた。地元で獲れる水産物は新鮮で安くておいしい、古里へUターンした大きな利点だった。昨年11月に首都圏へ戻ってきたが、5年以上冷凍ホタテを自宅で調理して食べていない。
 中国の需要がなくなったから、半値に戻ったとしても、十数年前の5倍の価格である。

 さて、東京電力は「風評被害」の保障額をどうするのだろう?統計データで証明すれば支払うというが、どこをベースにするかで補償額がまるで違ってくる。そして、補償に使われる資金を東京電力は電力量に上乗せして消費者へ転化するだけ、痛くもかゆくもない。東京電力の経営者たちのビジネス感覚は地に落ちている。何をしても恥とは思えぬように見える。

 中国需要増大とふるさと納税で高級水産物の価格は十数年でバカ上がりしてきた。それを当て込んで、売るものだから、国内の一般消費者は「高級水産物」は買えない状態が普通になってしまった。これが正常な状態なのだろうか?

 こういうビジネスの在り方を「浮利を追う」と称して、してはならぬことと戒めているのが日本の商道徳だったが、国内の一般消費者を無視して浮利を追い続けているのが日本のビジネスの普通の姿になってしまっている

 何かが狂ってしまっていると感じるのはわたしだけではないだろう。


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