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#4462 大学入学共通テスト Jan. 20, 2021 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 理系大学進学の生徒が二人、共通テストを受けた。根室高校では月曜日に共通テスト受験した生徒たちが集められて、自己採点作業。ベネッセや河合塾へデータを送って、判定待ち。
 一人は英語がとても苦手、アレルギーのある生徒だった。アレルギーを取り除くのに一昨年9月から、3年生の教科書を使ってスラッシュ・リーディングの特訓を2か月半、昨年も2か月ほど同じことをやった。共通テスト程度のやさしい英文を制限時間内で読めるようになるのが目標だった。だいぶ長文になれたようでリーディングが75-80の間、リスニングが50-55の間だった。もちろん、模試でこんなに高得点取ったことはない。数学ⅡBが85点だと喜んでいた。
 もう一人は医学部受験だ、道東推薦枠を利用してのチャレンジだから、75%ラインがハードルだった、そのラインはクリアしている。釧路湖陵高校から、旭川医大道東推薦枠利用で受験している生徒が数人いるらしい。この数年は釧路湖陵から医学部合格者がコンスタントにでるようになった。湖陵高校は釧路根室管内で唯一の進学校である。釧路湖陵と根室高校の両方でいい結果がだせたらうれしい。
 国語は153点、英語はリスニングが85点、リーディングは81点、長文対策は十分にやっていたが、「(試験問題を)やっている途中で心が折れそうになったが、踏ん張った」とのこと。高校入試のときに比べたら、格段に精神的な強さが身についた数1A84点、数ⅡBが98点だったと喜んでいた。現役生は最後のところでさらに学力が大きく伸びる。
 化学と物理は根室高校の教科担当の先生が2名の生徒の放課後補習の要請に応じてくれて週に1-2回、2か月間ほど補習授業をしてくれた。これがなければ全科目平均75%超の得点は危うかった。補習授業はペースが速く、取り扱った問題の難易度が高かったので、2名以外の生徒は怖気づいて参加できずという状況だったようだ。それでも課題は残った。根室高校と私塾の連携がもっと進むと面白いことになるのだろう。
 2次試験対策に、1週間で青チャート数Ⅲの復習をやり、弱点と思われる分野は「やさしい理系数学」と「1対1対応シリーズ」で補強すると報告アリ。昨日は例題62でいい質問が出ており、視野の広がりを感じた。安易に答えを見ずにシリウス数ⅠA とⅡB、そして青チャート数Ⅲは全問クリアしておいてよかった。復習の際にはざっと眺めて解き方を確認していくだけですむ。答えを見て解法を覚えるような勉強の仕方だと数Ⅲで高得点はおぼつかない。内容をどこまで深く掘り込んでいるかが問題の難易度が上がるにつれて得点の差になって出る。
 二人とも月曜日から2次試験対策で、数Ⅲの復習をやっている。

 英語は教科書程度の難易度の英文だから、大学入学共通テストではあまり差がつかない。昨年1月14日からLINEで英作文問題を1000題配信したが、その程度の難易度の問題だったから、やりやすかっただろう。しかし、2次試験に出題される問題は語彙数のレベルも文章の難易度も格段に高くなる。こちらは対策が別だ。
 医学部受験の生徒はハラリのSAPIENSを精読したし、『長文700』で700ワードレベルの長文問題に慣れているので、もう一度ざっと目を通して、ブラッシュアップしておくようだ。
 受験勉強はあともう少しだ。二人とも第一志望の大学へ合格してもらいたい。

 昨日、臨床検査の専門学校に合格した生徒から連絡をもらった。途中まで看護専門学校を受験するつもりで塾へ来ていた生徒です。志望先を変更して臨床検査技師になる、がんばってください。SRLが臨床検査業界では一番給料が高いし、ルーチン検査をしていてもやりたいテーマがあれば5時以降はやれます。(笑)
 臨床検査最大手のSRLで16年間仕事したことがあるので、うれしかった。ニムオロ塾から臨床検査の学校への進学は初めてのケースです。


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#4430 校則の厳格化が進行している:従順になった高校生 Dec. 14, 2020 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 NHKラジオ朝7時半ころからの番組で、名古屋大学の准教授内田良さんだったかな、校則をテーマにデータを挙げて論じていた。
 校則を守るべきものだという生徒の割合が2001年の68%から2020年に88%にアップしているという。高校生は規則の当否を問わなくなっているようだ。ただ唯々諾々としたがう奴隷のような存在に意識の内ではなっている。こんな人材は企業にもたくさんいて、ただの数合わせの存在だ。必要なのはすべてを疑い、そして今までなかったものを創り出す力である。

 丸刈りの校則を導入する学校が増えているのだそうだ。これにもびっくりした。
 団塊世代のわたしは、極東の町根室で生まれ育った。根室商業が根室高校となっても丸刈りの校則がそのまま維持された。根室商業の伝統を受け継いだということだろう。中3の冬休みに生まれて初めて丸刈りにした。根室高校商業科へ進学するためである。生まれてこの方、坊主頭にしたことはなかったので、根室高校へ入学したら校則改正をするつもりだった。どういう手段があるかは、そのときは考えもしなかったが、問題意識だけは強烈にあった。
 なぜか?北海道新聞のコラム「卓上四季」と「社説」を小4のときから読み始めた。ビリヤードの店番をしながら、わからない語彙が出てきたら国語辞書を引いて新聞を読んでいる小学生を見て大人たちは面白がって遊んでくれた。ビリヤードは抜群に強かった。釧路に親せきが多いのでオヤジが釧路へ行くときは必ずわたしを連れて行ってくれた。用事を済ませる間、駅近くのビリヤード店へわたしを数時間置いて遊ばせてくれた。小6のときに釧路の平和ビリヤードだったかな、そこで大人を相手にゲームした。四つ玉で持ち点は60点だったが、連勝するだけでなく、調子がよくて撞き切ってしまったので持ち点をアップして70点でゲームした。何人か大人が変わって相手してくれた。それでも全勝した。昔は7キュウ・ドローンといって、7回交替して自分の持ち点を撞けなければ引き分けである。ゲームは10回やったのかな、それから釧路では評判のビリヤード少年となった。

 北海道新聞は左がかっているとよく言われるがその通りである。沖縄返還で反対声明を出したのは琉球新報と中部日報と北海道新聞の3紙だけだった。沖縄返還には密約があったことが後でわかる。1942年に新聞統制で道内の11紙が統合されて北海道新聞社が誕生した。紙の配給が関係があったのだろう。さんざん戦争を煽った朝日新聞と同様に戦後の民主主義の洗礼を受けて左傾化していった、時代の流れだったのだろう。
 社説は社会党というスタンスのものが多かったと記憶している。社会党党首浅沼稲次郎の刺殺1960年10月12日の記事は翌日の北海道新聞に載ったが、一面トップの写真を記憶している。メガネが外れかかって、腰を後ろに少し引いてよけたようだが、よけきれなかった。右翼の17歳の少年山口二矢(ヤマグチオトヤ)が刺す直前の瞬間をシャッターが捉えていた。数日後に犯人は独房内で自殺して果てる。
 自衛隊が極秘に机上作戦としてやっていた三矢研究が道新の記事になったのは1963年、中3のときだった。ビリヤード店の店番をしながら、時間があると政治経済欄を片っ端から読んだ。そしてその政治思想に染まっていった。だからわたしは北海道新聞の申し子のようなもの。
 小学校の担任は教育大釧路分校の新卒鶴木俊介先生だった。戦後の民主化教育に理想を見ていたから、とても熱心で、算数の授業がわからない生徒は放課後残れと言い、しょっちゅう補習をしてくれた。冬には一緒にスケートしたりソリやスキーを花咲小学校の裏山で滑って遊んでくれた。正月には生徒を自宅に呼んで百人一首をみんなでやって遊んだ。いい先生だった。北教組に加盟していたと思う。当時の先生たちのほとんどがそうだった。だから人権意識が高かった。わたしは、小学生の時に北海道新聞を読み、教育の民主化の理想を実現しようと突っ走る若い教師に育てられた。鶴木先生、とってもいい先生だった。
(西浜町会長の柏原栄先生もそういう時代のお一人である。わたしたちが花咲小学校を卒業と同時に根室中学が光洋と柏陵に分かれたときに一緒に光洋中学校へ、そこで歴史を習った。そして光洋中学校へ卒業と同時に、また一緒に根室高校へ、今度は高校の教員となられた。中学校の担任は山本幸子先生、家と学校にお袋が二人いるようなものだった。山森パンの長女だった。数年前に心臓にペースメーカーを入れる手術をされた数か月後に亡くなった。副担任は半田(旧姓大岩)先生、新卒で赴任されたので、女生徒と見分けのつかないことがあった。数年前に癌で亡くなられた。「ebisu君、癌友だね、がんばろうね」って、何度も笑顔で話しかけてくれた。)
 価値観の転換、そして激動の時代だった。

 思わぬ方向から校則改正のチャンスが訪れた。1年生の時にN先輩(大学も同じ)が生徒会会計に指名してくれた。それまで話をしたことはなかったが、気が合った。同じ商業科の副会長のFさん(後に室蘭税務署長)と一緒に「おんちゃ」と呼んで面倒見てくれた。普通科の副会長のHさんも好意的だった。生徒会会計は生徒会の帳簿を記帳して、決算までやっていたから、簿記や珠算に堪能な生徒が指名されていたのである。財務大臣のようなもので、生徒会会計は仕事の責任と権限が大きかった。各クラブの予算折衝も生徒会会計がやっており、2年生の時に部長と副部長を生徒会室に呼び、予算折衝を受けていた。決定権限は生徒会会計にあった。生徒会長も生徒会顧問の3人の先生たちもクラブ活動の予算配分には一切口出しできない。先生たちはまったくノータッチ、絶大な権限だった。(笑)
 2年生になってすぐに、東京・京都・大阪・奈良、11泊12日の修学旅行に長髪で行きたくて先輩に相談したら、言い出しっぺの「おんちゃ、おまえがやれ」と言われた。3年生の会長の関さんも了解してのことだった。そこで四月にどういう手順でやるかを決めた。先生たちが弱いのは保護者、保護者にアンケートをとって突きつけたら生徒集会へ持ち込み、校則改正の手続きに従ってやれると考えた。2年生の数人の生徒会役員と協力してすぐにアンケート原案を作り、謄写印刷して配った。アンケートの論調は頭髪は体の一部だからそれを規制するのは憲法の定める基本的人権に抵触する、よって校則を改正すべきだというもの。もちろん大多数の保護者は賛成してくれた。そのまま生徒総会へ持ち込み、予定通りのスケジュールで校則改正を果たし、四か月髪を伸ばして11月の修学旅行は長髪で行った。根室商業の伝統をひとつ壊したのである。応援団は面白くなかっただろう。
 総番のヒロシが応援団に入っていれば団長だっただろうが、総番は応援団長をやらないルールになっていただろう。やれば格が下がる。副番が3人いて応援団のメンバーは総番グループで固められていた。総番グループは2年のときに3年生ともめごとがあった。「13:7の決闘」と北海道新聞に載った。3年生の動員がうまくいかず、2年生にぼこぼこにされた。3年生がケガをして病院へ行ったので、警察の察知するところとなり、道新根室支局が派手に報道した。全員1週間の停学処分。9月ころだったか中間テスト直前だったのを覚えている。羅臼のヤスベ―が外出禁止で退屈していたので、毎日2-3時間ほど花札の相手をして遊んだ。店番の手伝いの終わるのが9時ころだから、それからあいつの下宿へ歩いて出かけて、帰ってくるのは真夜中すぎだった。もちろん試験勉強している暇はない、しかしテストの結果に影響はなかった。授業時間中に集中すれば、黒板に書かれた文字をほとんど記憶できた。授業が終わると5分くらい目をつぶりページをめくるように書かれたことを脳裏に再現して遊んだ。家に帰ってから店番しているときも数分間目をつぶって脳裏に黒板の字を再現すれば復習は終わり。「本当に勉強しないでいままでトップだったんだ」とヤスベ―びっくりしてた。店番してたから、そんな暇はない。春休みや夏休み冬休みにはまとめて時間をとって毎日8時間以上集中的に勉強して「貯金」しておいた。そのヤスベ―も数年前に癌でなくなった。
 生徒会活動はやっていたし、半年ほど高橋珠算塾の高橋塾長に頼まれて汐見町の塾で珠算を教えていた。澤山先輩が高校を卒業して、中央大学文学部へ進学したので、汐見町の塾を教える人が見つからなかったからだ。郡部にも分塾があったように思う。塾生が200人くらいはいたのではないか。そういうわけで時間はなかったが、公認会計士二次試験講座のテキストを読んで暗記する時間は採ったし、経済学や哲学の本は読み漁った。レベルを上げたくて上げたくて、脳がレベルの高い本を読むことを要求していた。腹をすかせた餓鬼を脳内に飼っているようなもの。高校時代は知的好奇心に突き動かされていたと言える。

 丸刈りの校則とともに総番制度も時代に合わぬものになっていた。ヤクザともめごとがあれば総番が学校を代表してもめごとを収めるようになっていたので、総番の地位と背負う責任は重かったが、そんなことは一切なくなっていた。5つ先輩の総番は野球部のキャプテンのSさんだった。わたしは親戚なので、「まこちゃん」と読んでいた。高校1年生の時にマコちゃんがヤクザとのもめごとがあったときには、ヤクザの型通りの挨拶をしなけらばならないと、目の前で実演して見せたくれた。「お控えなすって、さっそくお控えなすって下さって、ありがとうござんす、手前生国発します処...」、まあ見事なものだった。途中で言いよどんだら殺されたって文句は言えない、そう云った。台詞を手書きした小さく折りたたんだ紙をもらったが、机の中に放り込んでそれっきり。野球部員でもあった総番のヒロシに伝えるべきだったのかもしれないが、そういう時代ではなかった。まこちゃんは次に総番になった後輩にあの仁義の切り方を伝えてなかった。もう無理だと考えていたのだろうと思う。だから、何かの縁、自分が関与して終わらせてやろうと思った。
 2年生になってF組から放り出されてGクラスへ、規格外の生徒をG組に集めるのが慣例になっていたから、このクラスには面白い人材が何人もいた。ヒロシと共産党のAと3人で総番制度の廃止を議論した。それぞれ異なる人脈とこの件に関わる理由をもっていた。土曜日にヒロシと二人だけで学校帰りの道、明治牧場の草原を突き抜けて家の前まで話しながら歩いた。同じクラスで気が合ったのだ。後輩の2年生に仕切れるような人材がいないので総番制度は廃止することにしたが、それを実行したのはヒロシ一人だ。Aもわたしも総番グループではないから部外者。同じクラスの副番のMがバックアップしただろうが、E組の総番グループに反対意見が集まった。結局、総番のヒロシが押し切って解散した、偉い奴だよあいつは。
 学校側から見たら、危ない二人、「鬼と金棒」の物騒なコンビだった。息が合いすぎて、表と裏から学校を支配していたのかもしれない。ヒロシのやることにわたしに否やはないし、わたしのやることにヒロシは否やを言わず協力してくれる。阿吽の呼吸だった。(笑)
 英語の先生があんまり舐めたレベルの授業をするので、カチンときた。あるとき、授業中に「体育館みてきまーす!」といって教室を出た、そしてバスケットボールをもって戻って来て、「空いてました!」と叫んで、男子を連れ出す。ヒロシが阿吽の呼吸ですぐついてくると、みんなぞろぞろ。そりゃあ、ついてこざるを得ないさ。3回授業を潰したら、校長から「授業中に体育館で生徒を遊ばせている先生がいる」と叱られたらしい。「まともな授業しろ!」というのが犯行の動機。
 1年生の時に数学の教師とトラブルを起こした。テストの回答が間違っていたので、教壇を挟んでここが違うだろうと話していたら、みったくない言い訳をだらだらするので、カチンときた、その瞬間「なに!」と声が出たら、数学の先生は慌ててメガネを外した。殴られると思ったのだ。その刹那、すーっと冷静になれた。こんなクズ教師と刺し違えで退学になるのでは死んでも死にきれない。踵を返して席へ戻った。あとでヤスベ―が「殴ると思った」、あのときはホントに危なかった。
 小学生のころから石炭ストーブに使う焚き付けを手刀や拳で叩き折って鍛えていた。大きな鉞を振りかぶって一気に落とし、四寸角や五寸角の角材を叩き折っていたから、腕力とモノを叩き折る技術は見かけとはまるで別。身体のひねりを加えるだけで打突の衝撃アップする。身体が柔軟だったから身体のひねりを加えて一歩踏み込んだら、拳は凶器となる。高校卒業した年に、新宿でヒロシとムサシと3人でパンチングボールを叩いた。身体のひねりだけで180㎏を超えた。拳が重くてかたいので、顔を殴れば顔面陥没、額にヒットすれば頭蓋骨陥没は必至、側頭部にヒットすれば頭蓋骨粉砕骨折だろう。カッとなって人を殴ったら、刑務所行だ。見かけと違って案外短気なところがあった。何度か危ういことはあったが、その都度抑えきれた。
 ビリヤードの常連だったヤクザの親分は一度もゲームしようとは言わなかったが、わたしの本性を見抜いていた。「トシボーに何かあったら、言ってくれ」とお袋に告げていた。何かやりかねない人間に見えていたのだ。さすがに親分だけあって人を見る目が確かだなと感心した。

 柏原先生が6年前の同期会で挨拶をされた。その折に、「君たちの学年は七大改革をした」とおっしゃった。その内の最大のものは今あげた二つである。あとは何があったのか、記憶にない。市内の私立高校生徒会と会合をもったことはあった。女子バレーで練習試合を組んだが、これは初めての事例だった。明照高校という名前だったと思うが、大徳寺の境内の一角にあり、体育館は教室を3個ほどぶち抜いて作ったもので、天井が低かった。根室高校体育館で練習試合して、トスが上がると、目がくらくらしたとは部員だった妹の話だ。そのときに3年生の部長が、いまは親友の奥さんだ。生徒会長の北川さんは一度市議になったが、一度っきりで2回目は立候補しなかった。同期では五十嵐が根室市議をやっている。

 いま根室高校生徒会会計は、帳簿はつけないから、生徒会会計をやった生徒に訊いても、会計の仕事がなんなのかさっぱり要領を得ない。部活の予算も生徒会会計ではなく先生たちが決めている。
 そして昔はなかった宿題が毎日のように出されている。小学生じゃあるまいし、高校生になったら勉強くらい自分で目標を決めてやれないのか?大半の生徒がやれないのだろう。生徒たちが幼児化しているから、宿題を出さざるを得ない。だが悪循環だ、手をかければかけるほど生徒たちはダメになる。
 これでは高校3年間で自主性・自律性をはぐくむのは不可能だ、逆に、自主性や自律性を根こそぎ奪ってしまっているような気がしてならない。ただ、先生の指示に従って動くだけの指示待ち人間を増産している。そしてルールを疑うことすらない。この点がわたしたち団塊世代と決定的に違う。理不尽なルールがあれば変えてやるという意気込みがあった。
 一度だけ校長が生徒会に介入したことがあった。副会長二人から、次の会長はお前がやれ、俺たち二人が応援演説するからと指示された。先輩の指示は絶対である。立候補の意志を生徒会顧問へ告げたらダメ出しがあった。会計をやっているからダメだという。理由にならぬ。次の会計は後輩のHを考えていたから、同じ生徒会にいるから、何か問題があっても教えることができるので差し支えない。どうやら校長の指示のようで、顧問が困った顔をした。間に挟まって気の毒なので下りた。同期のHを副会長にした。先輩の二人の副会長に、校長が反対している旨を告げ、Hの応援演説を頼んだら、快く引き受けてくれた。わたしが会長になったら何をやるかわからないので警戒された。民青の矢臼別のキャンプに参加した前後には公安がついていた。
 やりたいことがあれば生徒会会計は権限が大きい、会長のオサムや副会長のカナメや中央執行委員のヒロコやカズコたちを巻き込んでなんでもやれた。
 会社勤めでも同じだった。産業用エレクトロニクスの輸入商社ではオーナー社長を説得出来たら、やりたいことはたいがいのことはやれた。臨床検査センター最大手のSRLでも、提案書を書いて創業社長の藤田さんの決裁をもらえば200億円でも使える。経営統合システムのコア部分(財務経理システム・固定資産投資管理システム・各サブシステムとのインターフェイス)を8か月で本稼働させた。そして中途入社3年間で30億円以上の利益を増やした実績があるから、OKがでる。提案の内容次第で何でもやれるしお金も自由に使えた。

 同じものを同じ規格で大量生産して経済が回る時代はとっくに終わったのに、教育はむしろ後退して、自主性や自律性を子どもたちから奪う方向へ歩みを進めている。
 面白いことに、開成高校や灘高校は校則がとっても緩いらしい。校則で締め付けなくても自分で目標を設定して勉学に励む生徒が多いからだろう。

 20年とたたないうちに、一人当たり国民所得は韓国の後塵を拝しているだろう。北方領土をソ連に、竹島を韓国に取られただけでなく、尖閣列島が中国に奪われる。尖閣の次は琉球が中国に朝貢していたから元々中国のものだと言い出すだろう。太平洋の公海上の水産資源は中国の大型漁船がとりつくしてしまう。
 教育を軽視してはいけない。



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#4107 教育講演会10/22・4時から市総合文化会館:鶴羽佳子 Oct. 19, 2019 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 標記講演会が根室西ロータリークラブ(平賀禎彦会長)主催で開催されます。講演タイトルと日時と場所は次の通りです。
●「子どもの自立と地域課題を解決できる対話力とは
●日時:10月22日火曜日 午後4時から
●場所:市総合文化会館


 鶴羽佳子さんは、北海道教育委員会・委員、フリーアナウンサー、札幌国際大学講師です。講師は美人ですから教育問題に関心のない人も出かけて、現役のフリーアナウンサーの話術に酔いしれてください。(笑)
 教育は子どもたちと根室の未来に大きな影響があります。この講演会で鶴羽さんは「地域課題を解決できる対話力」をテーマに挙げています。

 昨日、柏陵中学校の学力テストBの結果票を見ました。この学校はかつては根室の市街化地域の3校では一番生徒の学力の高かった学校でした。柏陵中学校の生徒たちの学力テストの結果データをみると、根室の教育の荒廃ぶりがわかります。五科目合計点の平均値が(300点満点)が108.8点、国語31.1点(各科目60点満点)、社会24.9点、数学13.3点、理科18.9点、英語20.8点でした。
 五科目合計点が80点以下は65人中27人、41.5%を占めています。
 数学がこんなに低いのは、わたしが根室へ戻って2002年11月に小さな塾を開いてから、初めてです。受験した65人の生徒の中で25人が5点以下です。38.5%を占めています。生徒3人に一人が5点以下です。成績上位層は根室から出ていき、ほとんど戻りません。根室を支える主力は成績中位そして下位層の生徒たちです。その平均値が著しく下がってしまっています。
 五科目合計点が80点以下の生徒は、就職できても上司の話が理解できないでしょう。学校の授業はもちろん理解できません。できないから80点以下なのです。高校生になっても予習ができません。教科書を読んで理解できないからです。国語の点数が20点以下の層が18人います、27.6%です。四人に一人が高校生になって教科書を読んでも理解できない、もちろん中学3年生のいまもできません。このような学力では、将来「地域課題を解決できる対話力」なんてもてるはずがありません。
 根室高校では来年から普通科2年生が数Ⅱ科目が選択制になります。このことは根室高校普通科の1/3がかつてあった根室西高校以下の学力レベルになることを意味しています
 子どもたちの学力は低下し続けて、深刻な状況です。大人たちは大丈夫かでしょうか?市立病院建て替え問題、毎年17億円の市立病院経営赤字問題、明治公園開発問題、市庁舎建て替え問題、そして教育問題、弊ブログで13年間4100本の記事をアップしてきましたが、じつに閉鎖的、根室の大人たちから対話力消滅がしてしまったかのような寂しい感じがしています。つねに閉鎖的な「市長の諮問委員会方式」での重大事の決定、ほとんどの市民が参加できません。公募するのは十数人の委員のうち2人のみ。結論ありきの誘導委員会、こんなことを続けているから、優秀な若者が根室の町に希望を失い、あきれてしまって根室に戻ってきません
 根室高校を卒業したら、首都圏の大学へ進学して、十年以上仕事をしてから視野を広げてもどってくる根室っ子がいて、地元でずっと生活している根室っ子たちと協力しないと、視野が狭すぎて地域課題の発見も課題解決もできません。対話力を失っているのは子どもたちだけではありませんよ、根室で実権を握っている50代60代の大人たちがまさしくそういう状態です
 ぜひ鶴羽佳子さんの講演を聴いて、教育問題に関心を高めてください。自分たちの町は自分たちでなんとかするしかないのです
 柏陵中学校の学力テスト総合Bの結果は、別途項を改めて取り上げます。



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#4064 来年は高校生が8割になる:師事した三人の一流の学者 Aug. 16, 2019 [55. さまざまな視点から教育を考える]

<最終更新情報>
8/17 朝9:50

<少子化と学力低下という時代の流れ>

 根室西高校が今年3月で閉校になった。入試は3年前から根室高校のみ。統合したのはいいが、大幅な定員割れで、全員が根室高校に入学できるので、中学生で塾通いをする生徒が激減した。時代の流れだろう。
 根室高校から、道外私立大学進学者が激減している。平成28年度はたった12名だったが、平成30年度は5名になった。5名の中に岐阜協立大学が一人あるので首都圏の大学進学者は4名、早稲田と法政は推薦枠があるので、一般入試は最大3名ということ。
 10年前、首都圏の大学へ進学する生徒は30人はいた。
*根室高校進路決定状況
http://www.nemuro.hokkaido-c.ed.jp/index.php?page_id=31

<東京の大学へ進学のススメ>
 何か特別の事情がない限り、進学するなら東京の学校を勧めている。理由ははっきりしている、それぞれの学問分野でトップクラスの先生がいるからだ。
 わたしは専修大学商学部会計学科で勉強した。高校時代から公認会計士二次試験の勉強をしていたので、ゼミは小沢先生の原価計算を選ぶつもりだったが、たまたま突発イベントで帰省し、申込期間が過ぎていた。そこへサルトルやヘーゲル研究で当時日本でナンバーワン市倉宏祐教授(哲学)の学部を超えた「一般教養ゼミ」のゼミ生募集要項が掲示板にあった。すぐに小論文を書き応募、拾っていただき、3年間学んだ。哲学科の教授がマルクス『資本論』全巻と『経済学批判要綱』全冊を通読するというのだ、経済学部の本ゼミでもなかなかやれないビックな企画だった。先生は、ほんらい東大に残る予定の人だった。たまたまポストが空いていないので、すぐに戻すことを条件に専修大学へ数年行ってほしいと言われたそうだ。言ったのは、倫理学の泰斗、和辻哲郎先生だったのではないだろうか。何の手違いか、東大へは戻られなかった。それはわたしたちには僥倖だった。本来は東大へ入学しなければ師事できないレベルの先生である、その先生に専修大学で師事できる。同期の哲学科の方の本ゼミ員の一人であった伊吹克己は母校の哲学科の教授である。当時長髪だった彼の顔をいまもはっきり覚えている。
 専修大学には経済学史の内田義彦先生もおられ、1年間講義を聴いた。経済学史では日本で3指に入る学者である。わたしは内田先生がNo.1だと思っている。著書を読めば、どれほど研究を積み重ねたかよくわかる。品のよい先生だった。大学院の学内試験と口頭試問のあとでお世話になった内田先生は大学院経済学研究科の院長だった。商学部会計学科から大学院経済学研究科、それも理論経済学というのは異例、そして大学院学内入試ではトップだった。口頭試問のとき、指導教授になる予定の人の第一声「君は経済学を知らんね」で、カチンときて、議論を挑んだ。「答案を見て仰っているのでしょう、どうぞ該当箇所を挙げてください」、ゆっくり長い呼吸に切り換えて、H教授の言葉をじっと待つ。「貨幣としての貨幣の規定とはなんだね?」、薄笑いしながら言った。言葉を選びながら、原典の当該箇所を明らかにして反論した、「グルントリッセでの貨幣論に貨幣の第三規定として、「貨幣としての貨幣」とマルクスが書いています」手加減できなかった。富の蓄積手段として貨幣をマルクスはグルントリッセで「貨幣の第三規定、貨幣としての貨幣」と書いている。経済学を知らなかったのはNo.2のH教授。商学部会計学科の学生に30人の先生が居並ぶ中で、完敗したのである、周りの教授からは失笑が漏れた。H教授の顔が見る見るうちに真っ赤になった、口頭試問はそれで終了。『資本論』や『経済学批判』は読んでいても、『経済学批判要綱』全冊を読み通している教授はあまりいない、マルクスの思考過程と研究の試行錯誤がそのまま出ていて、難解なのである。まさか、商学部会計学科の学生がそんなものを典拠にあげて反論するとは夢にも思っていなかったのだろう。『経済学批判要綱』を読んでいるということは『資本論』全巻4000頁を通読していることが前提になる。資本論よりもかなり難解なのである。東大経済学部でも、そんな学生はいなかっただろう。(笑)高校時代に公認会計士二次試験受験参考書で勉強していた。当時は経済学も受験科目になっていたから、近代経済学だけでなく、マルクス『資本論』にまで手を伸ばした。100頁ほど読んでちんぷんかんぷんだったので、その構造を理解しようとずっと勉強していた。方法論が問題だったから、哲学にまで手を伸ばさざるを得なかった。市倉先生に師事できたのは、天の配慮としか思えない。
 あいにくとH教授は経済学部では序列No.2、合否判定の権限はあるから、学内入試は合格者無し。「君の後輩は苦手だよ」とH教授がぼやいていたと戸塚先輩。Hさん、気の毒に、No.1のわたしを落とすからには、自分のゼミ員も落とさざるを得なかった。

 前年に同じゼミから戸塚先輩が商学部⇒大学院経済学研究科へ合格していたので、余計に注目を引いたのだろう、口頭試問の夜、市倉先生へ内田先生から電話があり、いくつかサジェッションをいただいた。哲学のゼミ員で、所属は商学部、そして進学先は大学院経済学研究科というコースは、通常あり得ない。市倉ゼミは何をやっているのかと、驚いたようだ。内田先生は好意的だったが、その年の3月の入試も合格者無し、よほど嫌われたらしい。(笑)
 そういうわけで、母校の大学院には縁がなかった。4月に慌てて日経新聞を見て就職、3年間働いてから、やり残しているテーマを片付けたくて、1月末で職を辞して、大学院受験。2校合格して東京経済大学大学院経済学研究科へ。院生わずか6名、開設以来10年間合格者無しで、前年初めて4名の合格者をだした。文部省からクレームが入っていたためだ。開設認可したのに10年間合格者無しとはどういうことだ、合格者無しなら認可取り消しとでも言われたのだろうか。当時の試験問題の難易度は慶応大学大学院経済学研究科と同レベルであり、早稲田よりも難易度は高かった。だから10年間も合格者がいない。50人ほど受験して2人合格、地方の国立大出身者が多かった。倍率が高くてもようするに成績が一番なら合格できるのである、専修大学とは違って一人は必ず採るからね。一番で合格できる勉強はしていたから、この中から何人合格できるのかなとぐるりと周囲を見渡した、平常心だった。予定通りの結果だった

 運のよいことに一橋大学長だった増田四郎先生がちょうど来られたところで、院生3人で特別講義をお願いした。増田先生は快く引き受けてくれた。このとき講義に参加した3人のうちの一人は首都圏の大学で教授をしている。一橋大大学院ではこんなに小人数で増田先生の特別講義を聴くことはできなかっただろう。増田四郎先生が当時、西洋経済史の分野では日本でNo.1の学者であることに異論のある人はいないだろう。
 一橋大が国立市にあり東京経済大学は国分寺市、隣同士である。中央線の駅では西国分寺駅を挟んでいる。井汲学長が直接招聘したのだが、一ツ橋大の隣という立地条件が決め手ではなかったか。大学院の入り口に腰を下ろして、4歳くらいの男のお孫さんを遊ばせていることがあった。好々爺を絵に描いたような姿でした。リスト『経済学の国民的体系』を読んだのだが、緊張感のある授業だった。大学院に入学するとすぐに渋谷駅前の進学教室で専任講師をしていたので、周辺の本を10冊ほども読んで中身の濃い議論がしたかったが、できなかった。院生はバイトをしてはいけない、研究に専念すべきである、これはわたしの反省。
 大学院の授業のレベルは院生が決める。どれほど勉強してきて、教授と議論するのかで、授業の質が決まる。渾身の力を出し切るべきだったのに、巨匠の増田先生には申し訳ないことをした。
 日本でトップレベルの3人の先生の謦咳に接することができたのは、東京の大学だからこそのこといま振り返ると、奇跡のようなめぐりあわせである。わたしは「先生運」が特別に良いのだろう。結果から見ると、東大と一橋大学で勉強したようなもの。
 残念だが、北海道には文科系でこういうレベルの先生がおられない、北大ですら例外ではない。
 だから、根室高校の生徒たち、そして道産子に言いたい。進学するなら、道内ではなく、東京の大学を目指せと。
 それぞれの分野で一流の先生に師事するというのは大事なことだ、「触発される」ということもあるし、学風に触れて感化を受けるということもある。人柄が一番だろうな。
 市倉先生は学徒出陣のゼロ戦乗り、そして特攻兵の生き残り、ずっとそれを引きずっておられた。晩年に『特攻の記録 縁路面に座って』を書かれ、ebisuと同期の、伊吹克己教授(専修大学哲学)へ遺稿の出版を託した。弊ブログのカテゴリーを検索してもらえば、同名のものがあるので、クリックしたら、全文を読むことができる。非売品だが、貴重な記録である、哲学者が書いた特攻の記録はこれしかない、是非お読みいただきたい。
 内田義彦先生は学究肌、密度の濃い文章を書くとっても品のよい方だった。増田四郎先生は親分肌の人、だまっていても周りに増田先生を慕う子分が増えていく。予断をもたずに丹念に実証研究を積み重ねて結論を出す、あの学風にはすっかりまいってしまった。わたしのブログにはそういう匂いがあればうれしい。

<高校生が増えた>
 ところで、ニムオロ塾はいま高校生が6割である、そして来年は8割、いつのまにか高校生対象の塾に変わりつつあるが、それでいい。高校生を受け入れている塾は根室に三つあったが、そのうちの一つが2年前にやめて、現在二つしかないから、そうなってしまった。高校生の大学進学者が激減しているが、それでも高校生対象の塾のキャパが足りない。
 「先生、3年前に塾を自宅へ移したときに、縮小していくって言ってたけど、生徒増えてない?」
 たしかに、週4日に減らしたが、高校生が増えているから、中学生が減っても全体の数はさっぱり減らない、なかなか予定通りには行かぬものだと大笑い。夏休み明けに2人増えるので、そろそろ満杯。空いている水曜日と土曜日をどうするか、四月までに結論を出さねばならぬ。今年の中3はだれも地方へ進学しないから、卒塾するのは高3の一人だけ。月火木金の週4日間ではまもなく新規の生徒受け入れができなくなる。


 70歳になって、高校卒業まで根室で18年、故郷に戻ってきてから17年だから、根室生活通算35年、18歳で東京の学校へ進学してから東京生活が35年、ちょうど真ん中の分岐点に立っている。オヤジが大腸癌の転移で平成5年に亡くなって、お袋も平成23年に逝った。息子としては一人になったおふくろの介護義務は果たしたから、もう根室にいなくていいし、そろそろ東京へ戻らなくっちゃと思ってはいた。ところが、「早く戻ってきてほしい、一体いつになったら戻ってきてくれるの」とお冠だった娘が、「お父さん、根室が愉しそうだね、いいよ根室に居ても」、この頃そう言うようになった。スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で胃の全摘をしているわたしは、東京の暑さでは、水分補給が追い付かず、衰弱死する可能性が大である。水分を補うために余分に水を飲むと、下痢をして、脱水症状が起きる。娘はわたしが東京へ戻るのは無理だとわかっているのだ。年に1・2度娘と孫の顔を見に行くだけで十分、根室でこうしているほうが愉しい。

 いま、週4日授業をしている。体力が落ちたから、月火木金の四日間だけ。問題は来年だ。なるようになるさ。

<英語特別講義10回>
 7月から休日である水曜日を10回だけ、英語高3教科書を使った特訓に充てている。対象は2年生が5人、1年生が2人である。
 対象の2年生は数学の進研模試の成績が全員学年10番以内、ところが中学英語で落ちこぼれてしまって、すっかり英語学習アレルギーになっている。埒が明かないので、「2時間×10回の特訓」で、なんとかしようと思う
 英語ができる生徒は学年トップの一人だけ。この生徒にはハラリの”Sapiens”を原書で読む授業をしているから、特別講義の対象外。
 せっかくやるのだから目標設定をしよう。3人の生徒が進研模試の英語偏差値が60を超えてくれたらやったかいがあろうというもの。特別講義の授業料はタダ。(笑)
 2年生の1月の進研模試英語の2年生の平均点は19点だったかな、全国平均は33点前後だったと思う。標準偏差を18点とすると、全国偏差値60(上位16%)は得点51点以上である。根室高校2年生で英語の偏差値が60を超えているのは5人くらいなもの。
 ずいぶんと中身が濃くて楽しい授業になっている、わたしが高校生になって受講したいくらいだ。授業を作っているのは7人の塾生、高校の授業とはまるで違ったテイスト(味)。どんな授業か知っている塾生がいたら訊いてみたらいい。やってるわたしが一番楽しいのかも。(笑)
 英語の勉強の仕方がわからないという生徒たちばかりだが、10回の授業が終わったら、それぞれが独力で英語の勉強できるようになっているはず。授業の目的はそこにある。
 大人は結果でものをいう、さてどうなるか、お楽しみ
 授業内容は最初の2回分のみアップ済み。英語の勉強の仕方を教えているのだろうな。

*#4036 英語短期特訓開始:2時間×10回 July 17, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-07-17


 #4044 英語短期特訓授業(2nd) July 25, 2019
https://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2019-07-25




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#3936 様変わりしつつある根室の塾事情 Feb. 23, 2019  [55. さまざまな視点から教育を考える]

<最終更新情報>
2月25日朝8時半

 今年になってから、ニムオロ塾への問い合わせが増えています。折り込み広告をいれなくなってから4年目だと思いますが、2月に何件も問い合わせがあったことはありませんでした。今年は様子が違います。
 そして4月には高校生の比率が6割を超えそうです。なぜこんなことになっているのか分析してみます。

 いくつかの事情が関わっているように思うので、思いつくところを箇条書したら全体の構図が見えてきそうです。
1. 根室西高校が3月で閉校になるので、2年前から入試が根室高校1校体制になったこと。
2.学力データを無視して統廃合をしたために不具合が生じていること。
3.高校1校体制は入試競争を消滅させ、学力下位25%の低学力層のなかにまるっきり勉強しなくなった生徒が増えていること。
 ⇒学力上位層が危機感を感じている
4.スマホによる学習習慣の破壊
 ⇒最近10年間でスマホの普及が進み、生徒たちの生活習慣に大きな影響を与えていること。学習時間と読書時間が減少している。
5.学力基礎技能「読み・書き・計算」の格差拡大
 ⇒低学力層の学習量が激減。
6.塾ビジネス市場の縮小 
 ⇒根室で中高生の数がこの15年間で半分に減少して、市場が縮小した。
7.収容能力の減少 
 ⇒私塾市場が半分になったことで高校生対象の塾が3つから2つになった。

 これら7つの要因がからまって、中学生の通塾率が減少し、高校生の受け入れ許容量が減ったのではないだろうか。各論を展開してみたい。

 根室では高校入試が1校体制になって3年目であり、実質的なことを言えば高校入試がなくなったようなもの。出願状況をみると普通科は5人定員オーバーしていますが、私立高校受験で滑り止めに根室高校普通科を併願している生徒がいるので、落ちる生徒はいないでしょう。
 2月1日付の道教委のデータでは、根室高校の出願状況は次のようになっています。

 根室高校普通科 128(120)
     商業科  24(40)
     事務情報科 9(40)
                *(カッコ内は定員..)
 http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/kki/H31henkogonemuro.pdf


  事務情報科はわずか9人の応募、すでに存在価値がありません。花咲線と同じで利用客がいなくなれば廃線の憂き目。
 こういう状況だから、中学生の通塾率が減少するのは当たり前、勉強しなくても根室高校へ入学できます。だから、成績下位25%層にまるっきり勉強しない生徒が増えてしまいました。そういう負のスパイラルが進行中なので中学校の学力テストの平均点が下がり続けています。3年生で五科目300点満点で平均点が100点を切ることがめずらしくなくなりました。
 根室高校普通科の生徒の半数の入学時の学力は間もなく閉校になる根室西高校レベルの学力ですが、根室高校普通科の教科書を使うので、落ちこぼれます。卒業するときには30人くらいは根室西高校生以下の学力となるでしょう。西高校は生徒の学力レベルに見合った教科書を採択していましたから、大半の生徒たちが高校3年間で学力を上げられました、いまそれができなくなっています。
 根室高校の先生たちたいへんですね、数学だけは学力別に5クラスに分けて授業をして、定期テストの問題も3種類用意しているようです。各クラス40%は共通問題、残りは学力別の問題にようやく落ち着きました。学力別編成にしている数学ですら落ち着くまで2年かかりました。他の科目は手の打ちようがないのではと危惧しています。
 1月の進研模試の数学平均点は20点ジャスト、百点満点ですよ、おそらく史上最低点を記録。他の科目は学力別編成にはなっていませんから、授業のピントをどの学力の生徒にあわせるのか、先生たちも悩んでいるでしょう。学力格差が大きすぎて教える方は当惑しているでしょうね。今年の7月の新入生の進研模試は平均点20点割れが危惧されます。進研模試は各科目百点満点のテストです。

 一方で、高校生対象の塾は根室市内に2つのみですから、中学生が減少して高校生が増えるということになっているのでしょう。中学生の通塾が減って高校生が増えるというのは自然な流れなんですね。
 ところが普通科の各学年に60名ほどいる低学力の高校生を受け入れられる塾がありません。ひとつは入塾試験を課していますから、希望しても無理でしょう。ニムオロ塾では下位25%層は1学年2名くらいしか受け入れられません。収容能力がないというのはそういうことです。根室高校普通科の低学力層は行き場がなくなっています。放置して困るのは地元企業と根室市です。多くは親に寄生し、地元企業で非正規雇用で働き、生活保護予備軍とならざるを得ません。こういう状態が10年、20年と続いたら重大な問題が起きます。


 個別指導をしているのと、週4日間だけの授業だから、ニムオロ塾で受け入れのできる生徒数は総数でおおよそ20人が限度です。
 スキルス胃癌と巨大胃癌の併発で、2006年に大きな手術をしているので体力に余裕がないのです。無理のない範囲でやってます。

 入塾後3か月は「仮登録」にしています。それまで部活三昧で本は読まぬ、スマホし放題、家庭学習習慣もない生徒の中には、塾へ通いだしても、まったく家で勉強して来ない生徒がいます。習慣の力というのはそれほど強いものなのです。部活が終わって家に帰りご飯を食べた後はスマホし放題。生活習慣が改まらなければ授業料をドブに捨てるようなもの。翌週教えるときには前の週にやったことが頭から消えています。3か月間様子を見て改まらないようなら、時間とお金の無駄だから、本気で勉強する気になったときにまた来てもらいます。

 ここからは根室の子どもたちの学力の現状について「読み・書き・計算」の3基本技能に絞って参考程度のことを書いておきます。
 「読み・書き・計算」の基本技能に関する速度格差はあんがい知られていません。読みの速度は1:5、書く速度は1:3、計算速度は1:30、一つのクラス内でビリとトップはこれくらい読み・書き・計算速度に差があります。もう少し具体的にいうと、30人のクラスで上位3人と下位8人の平均値を比べるとこれくらいの差があります。
 そこに目を向けた指導があると低学力の下位25%層の底上げができますが、とっても手間がかかります。
 この層の生徒は塾にはあまり来ません、数人だからなんとかやれてます。魔法はありませんからたくさんきたらアウトです。入塾制限せざるを得なくなります。

 ニムオロ塾は個別指導ですから、中学校の百点満点の学力テストで数学が20点前後の生徒も入塾してきます。正月に入塾した生徒がそうでしたが、2月の学力テストで68点をとってます。そのうちに8割を超えるでしょう。数学が好きになったと言ってますので、そろそろ嫌いな英語の指導に重点を移します。家で勉強して来ない生徒は点数が上がりません、この生徒は勉強するのが楽しくなり、家でもやっているのです。努力する者は偉い、そして勉強を楽しめるように変われる生徒はもっとえらい。
子曰く、これを知る者はこれを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず(論語)

 高校生で進研模試で英数の偏差値が80を超える生徒もいます。全国偏差値で80は全国レベルで1000人中トップということです。
 ニムオロ塾で勉強している生徒の学力差は大きいですが、個別指導ですからそれぞれの学力に合わせて適切な指導をしています。同じ学年でも学力差が大きければ使う問題集が違います。簡単にいうと、道内No.1の進学校である札幌南高校の成績上位層の生徒たちと比べても遜色のない偏差値の生徒がいます。大学受験のために親元を離れて札幌の中学校や高校へ進学するのはリスクもあります
 札幌南高や札幌北高は札幌以外の地域に居住している生徒には5%の15人にしか門戸を開いていません。受験では圧倒的に強いし、システムが出来上がっているので受験に有利です。学生寮がないので爺・婆が札幌に住んでいて、そこから通えるならリスクは小さい。そんな人はあまりいません。


 国語の学力を伸ばしたい生徒や高速音読ができない生徒にトレーニングの機会を用意しています。月に2回「日本語音読トレーニング」授業(90分×2回)をやっています。これは希望者だけ、ボランティアですから授業料はいただきません。この音読授業に参加している二人の男子生徒が国語の学力テストで60点満点で57点と58点とってます。読むスキルを身につけた生徒は国語の学力テストの点数があがります。音読をスムースにやるには先読みしないといけないので、慣れてくると文意の理解が格段に深くなります。これも家で繰り返し読んでこないと効果はありません。塾に来ていれば成績が上がるというものではありません。成績は一定量のトレーニングを積んだ後で上がってきます。塾でやるだけでは足りませんから、家でも音読トレーニングをやるつもりがない人は参加を認めていません。

*https://www.msn.com/ja-jp/news/national/言ってはいけない%ef%bc%81「日本人の3分の1は日本語が読めない」/ar-BBTESsV?fbclid=IwAR1UhocKE-ZakgkjkL8j-IVZUwdcgDJdQJLB770v0x4cdgh0mQiI2dtqtC0#page=2


 残念ながら根室の中学生の成績下位25-30%は「教科書を独力で読んで理解すること=予習」ができません。国立情報学研究所の新井紀子教授(同社会共有知センター長)によればこれは根室の子どもたちだけの現象ではなく、全国的な傾向のようです。部活三昧、本も読まない、スマホし放題、家庭学習の習慣がなければどこに住んでいようがそうなりますよね。
 「治療」するのはたいへんです。生活習慣病ですから大人にタバコをやめさせるのと同じくらいたいへんです。勉強しないこと、本を読まないことが毎日繰り返されて
、習慣となっています。それが3年間も続くと性格にまでなってしまいます。性格や生活習慣を直すのは容易なことではありません。
 だから、そういう生徒が来たときには週に1回補習することがあります。生活習慣を変えるためです。そのために部活を週1日休まなければなりませんが、本人が部活担当の先生に自分から申し出るというルールを課しています。こういう生徒は生活習慣が変えられなければ学力は上がりません。補習はボランティアでやっているのですが、部活が大事で来ない生徒もいます。

 部活をやっていても、文武両道でしっかり勉強している生徒もいます。そういう生徒は部活を言い訳にして勉強の手を抜くようなことはしません。子育てをしっかりやればそういう子どもに育ちます。「子育て名人」と言ってよいくらいの人も根室には1割くらいいます。子育てはむずかしいので失敗する人もすくなくありません。根室は教育に関心のない親が多いので、家庭学習習慣のない生徒や本を読まない生徒の割合が、都会に比べてとても多いのです。健全な家庭学習習慣や読書習慣の躾は中学生になるとなかなか成功しません。自我が育ってしまっているので、親の言うことも先生の言うことも素直に聞けなくなっているからです。
 小学校に入学するときにすでに大きな学力格差があります。ひらがな、カタカナの読み書き、足し算くらいは都会の親たちは小学校入学前に自分で教えています。子育てに時間と手間をかけているんです。就学前の家庭教育に手間と時間をかけましょう。

 ニムオロ塾にはルールがあります。決められた曜日に来られなかった生徒、あるいは部活や病気で休んだときには他の曜日に振り替えます。振り替えても来ないことが度重なると休塾勧告します。
 来たり来なかったりでは成績が上がりませんので、塾へ通う意味がないからです。お互いに時間の無駄。
 44年前のことですが、大学院生の時に3年間東京渋谷駅前の進学教室で教えたことがありますが、無断欠席とか来たり来なかったりというような生徒は一人もいませんでした、根室ではときどきそういう生徒がいて対応に苦慮してます。(笑)
 親も子どもも甘いんです。


<余談:学力格差の拡大>
 学習量=「読み・書き・計算」速度×思考速度×時間

 この等式の意味するところは、3基本技能の速度が標準の2倍あれば、3時間の勉強時間で標準的な生徒の6時間分の勉強量を確保できるということです。これら3基本技能速度が標準よりも大きければ、思考速度も大きくなる傾向があるので、3時間で他の人の9時間分の勉強量を確保できます。「読み・書き・計算」3基本技能と思考速度の大きい生徒は勉強量が大きくなるので、ますます学力格差が開いていくことになります


<雑談:都会の事情>
 44年前に教えていた東京渋谷駅前の進学教室の授業料は3万円、個別指導の草分けの塾でした。先生は学卒は東大、東京教育大、慶応大、早大率の4校のみ、それ以外は院生でした。1975年の大学の初任給は89300円ですから、いま20万円とすると現在価値に直すと授業料は6.7万円です。都会の塾の授業料ってとっても高いですね。渋谷駅前は場所代も高いですから。それでも生徒はいくらでも集まるんです。いい大学へ入れたい親、いい大学へ進学したい生徒が多い。学歴で就職先がまるでちがいます、キャリア官僚、一部上場企業の本社エリート社員、さまざまな研究所の職員…そういう現実を親も子どもも日々見ています。

 極端な例をひとつ例を挙げます。東京都八王子市には30を超える大学キャンパスがあり、街の中には学生がうようよしています。どこを歩いても若い人たちが多いことに驚きます。町の活性化とは若い人の人口割合と強い相関関係がありそうです。
 安い居酒屋は大学生で混雑していてうるさいので、おじさんたちはすこし値段の高いお店を利用します。八王子市民は毎日たくさんの大学生を目にしています。八王子東高校がこの地域のNo.1の都立進学校です。毎年東大に10名前後合格していましたが、2018年は東大合格ゼロ、様変わりしましたね。学区の縛りがなくなり都立日比谷が復活したので、東京で東大進学予定の生徒たちはそちらに流れているのかもしれません。
 中学生は高校入試でそれぞれの学校の学力レベルを知るわけです。自分の同級生がそれぞれの偏差値の都立高校や私立の有名大学附属高校へばらけますから、大学を卒業してどういうところへ就職しているかも主だったところは承知しています。教育熱が高くなるわけです。
 根室の町には大学がありません、一部上場企業の本社もありません、キャリア官僚もいません、だから高学歴のエリートがどういう生活をしているのか自分の眼で見る機会さえありません。教育や学歴に対するニーズが小さいのはそういう現実の影響も大きい。
*八王子にキャンパスのある大学一覧 
https://www.navitime.co.jp/category/0504004/13201/
**都立八王子東高校進路実績
http://www.hachiojihigashi-h.metro.tokyo.jp/hachihigaHP/pdf/shinro/18-shinrojisseki.pdf


 年々体力の衰えを感じています。2月はとくに体力の落ちる月でして風邪をひくとこじらせせます。20代のころの東京の大気汚染の影響で肺の機能が弱っていて、空気の温度が変化しただけで咳が出ることがあります。あと何年やれるかわかりませんが、ここはわたしのふるさとですから、まだしばらくがんばります。高校生対象の塾は二つは欲しいですね。個性的な塾がふたつあれば選べます。

 高校卒業の18歳まで根室で育ち、そのご東京暮らしが35年間、そして戻ってきて17年目、根室と取京暮らしがそれぞれ35年間という節目の年になりました。

 生きて仕事して、人様のお役にすこしでもたてるっちゅうのはこのうえない幸せよのう。天と地と来てくれる生徒と通わせてくれている保護者のみなさんに日々感謝せんといかんのう。
 ありがとう。
 

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#3852 中学生の職場体験 Nov. 11, 2018 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 生徒が職場体験して、受け入れてくれた企業にお礼状を書いていた。ずいぶん古臭い紋切り型のビジネス文書になっていたので、すこし朱を入れてあげた。80歳の老人が書いたような昔風のお礼状もそれはそれで、一生懸命に書いた結果だからほほえましい。そのままでもいいのだよと伝えた。

 啓雲中学校の学校通信10月31日号に、「学ぶこと・働くこと・生きること」と題して職場体験のことが書かれていた。11月6日の行事予定に2年生の職場体験が入っている。啓雲の生徒もお礼状を書いているのだろう、それ自体がいい体験になる。
 スマホでラインやツイッターでやり取りしているから、ほとんどの生徒が手紙なんて書いたことがない。それなりの規模の企業に勤めることになれば、文書作成能力が問われる。営業報告書、業務報告書、出張報告書、協議書、稟議書、客先への提案書、お礼状、年賀状など文書作成の機会はすくなくない。さらさら書けるようなら将来部長職になれるかもしれない。

 学校通信には西ロータリークラブの全面的な協力があり、58か所の事業所紹介があったと、謝意が記されていた。いいことだ。生徒たちは、それぞれ工夫したお礼状を書き上げるのだろう。届いたお礼状を読む企業側の人のほほ笑む顔が見えるようだ。


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#3840 スマホを捨てれば子どもの偏差値は10上がる Oct, 19, 2018 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 東北大加齢医学研究所所長の川島隆太教授が標記の調査・分析結果を公表(東洋経済オンライン2018年3月18日)している。
*https://toyokeizai.net/articles/-/212824
 宮城県内の公立中学生22,390人を対象に、

①数学の点数
②平日の家庭学習時間
③平日の景帝電話やスマホの使用時間
 これら三つの関係について、調査・分析した結果、スマホを捨てたら偏差値が10上がるという結論が導き出されたと川島先生が主張している。

 一番最初に描かれているグラフを読み解くと、「平日2時間以上家庭学習している生徒∩スマホ使用ゼロ」のAグループの平均点は75点、「平日2時間以上家庭学習している∩スマホ使用時間3~4時間」のEグループの平均点は62点である。これら2つのグループの違いはスマホを使用しないか、3~4時間使用しているということだけである
 平均点を65点、標準偏差を13点と仮定するとAグループは偏差値58、Eグループは偏差値48である
 成績が悪い生徒は、月曜日から金曜日までスマホ使用時間を測ってみたらいい。毎日3時間を超えていたら、学力低下に協力に作用していると考え、スマホの使用を一時停止することを勧める。

 毎日2時間以上勉強してもスマホを3時間以上やっていると効果がないのは、「ながら勉強」になるからだ。スマホで音楽を聴きながら勉強する、あるいは横に置いておいて勉強している。ラインやツイッターを受信したらそちらに注意を向けることになる。すると、学習していたことが記憶に残らない。
 図は5つある、それぞれに解説がついているから、川島隆太先生の解説をよく読んでみたらいい。

 川島先生の結論は次のようになっている。
 ①スマホ等を使用しないと良い成績が向上していく
 ②スマホ等を使用し続けると悪い成績がさらに悪くなる
 ③スマホ等の使用を開始すると良かった成績が低下する
 ④逆に使用を止めると成績が向上する

 中高生の皆さん、スマホ使用にご用心。
 大人の皆さんも同じです。この便利で携帯できる高性能の機器は、人間の心のなかの何かを破壊するような気がします。そのメカニズムが明らかになったときにはスマホ中毒が抜けられない、あるいは人間が数十万年もっていた心の何かが壊れてしまって修復できぬことにならなければいいのですが…
 1日、1時間ていどにしませんか?




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#3671 忘年会:釧路の教育を考える会 Dec. 31、2017 [55. さまざまな視点から教育を考える]

 28日に釧路まで行ってきた。釧路の教育を考える会は昨年は某国立大学教授をお招きして特別講演もしていただいた。バイオと製薬分野のお話だった。SRL学術開発本部で試薬開発や帝人との合弁会社で臨床治験の会社の経営を担当したことがあるので、じつに興味深い話だった。弊ブログで取り上げた。

 今年の特別ゲストは釧路市教育長の岡部さんである。まだ就任して2か月の岡部教育長は釧路の教育を考える会の角田会長の部下だったことがある。角田会長が40代で経済部長だったころのことらしい。角田さんが釧路市の教育長になったのは52歳の時だ。酒を飲んでお互いの人柄を知ることは大切なことだ。

 釧路は歴代の教育長が市役所から出ている。道庁の出向者を教育長に迎えている根室とは大きく異なる。教育長の職に就いて仕事をして、任期が終わってももちろん地元に住み続けている。角田会長は81歳になられたが、歴代教育長がその任期を終わっても根室に住んでいるような町にしたいものだ。
 気さくに酒を飲み、話ができる器の大きい教育長が根室にもほしい。

 2年前に造られた「根室市人口ビジョン」によれば、根室は地元企業が人材不足で困っているようだ。この資料の31頁には1996年と2012年のデータが載っているが、事業所数は16年間で2014から1544に23.3%減少し、従業者数は16,183人から11,031人へ32.8%減少した。これに地元に残る人材の質が劣化したらどうなるかは明らかだろう。この5年くらいで中学生の学力が著しく低下していることは、弊ブログで学力テストの点数の分布を示してなんども説明している。学力上位層が10年前の1/10になり、学力下位層が肥大化している。高校一校体制になり、それがますますひどくなっている。
 地元企業の経営者も、教育行政も学校の先生たちも、市議会文教厚生常任委員会のメンバーたちも、同じテーブルについてオープンに議論しないと、学力低下はとめられない。何もしなければ、2040年には人材難から事業所数は半減しているかもしれない。

 3名の釧路市議が釧路の教育を考える会のメンバーである。釧路は子供たちの学力問題へ関心が強い。教育は30年後の町づくりの人材を育てるものだから、人材を育ててることが未来の町づくりの礎となる。
 根室もそろそろ教育問題に関する議論を職種を超えて同じテーブルについて始めるべきだ。

 会の副会長である月田さんがブログで忘年会のことを書いている。
*第4075回 今年最後の忘年会(元釧路市議会議長・月田さんのブログ)
http://blog.livedoor.jp/gekko946/archives/51852256.html

昨年の忘年会の記事
*#3490 勉強と研究はどうのように違うか:生物物理化学の先端 Jan. 6, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-01-05

根室市人口ビジョン
http://www.city.nemuro.hokkaido.jp/dcitynd.nsf/image/75ea4dccff8db9f849257dd30027c337/$FILE/根室市人口ビジョン(7.31確定).pdf

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#3638 学力テスト総合C:顔で笑って心で泣いて Nov. 11,2017 [55. さまざまな視点から教育を考える]

<最終更新>
11/17 朝8時 「日本語読解力=読みの正確度×読みの深さ×読む速度」を追記

  木曜日(11/9)に学力テスト総合Cがあった。数学の問題にむずかしくて手が付けられなかったと生徒がいうので、問題を見た。「どの問題ができなかった?」と問うと、大問が6題あり、「大問3」の2次関数の(2)は放物線上の四点を結んでできる正方形1辺ABの長さを出す問題と「大問5」の正三角形とその内部にできた三角形の面積比問題を指さし、「この二つです」と自信喪失の体(てい)
  なぜ「大問5」の図形問題が解けなかったのだろう、どうやったのか聞き、原因を探っておく必要がある、どちらも標準レベルの問題にすぎない、こんなレベルの問題をミスる生徒ではない。五科目合計点で1年生の時からずっと学年トップ、数学でトップをとれなかったことは初めてかもしれぬ。五科目合計点の目標値は270点超だった。3回とも260点台で270点には届いていない、手を伸ばせば届く位置にいたのだが、自分で立てた目標に届かなかった。学年一番だけでは気が済まない、彼にとっては自分が立てた目標値との勝負なのである、それに負けた。精神面の弱さが出たことが原因であることは自分自身が一番よく分かっている。だから顔で笑って心で泣いている、なにより眼がモノを言っていた。悔しくないはずがないし、不甲斐ない自分に腹を立てている。
  悔しくて悔しくて、大泣きするぐらいだと、それはそれで将来がとっても楽しみなのだが…

<できなかった問題は平凡なものだった: なぜ?>
  2次関数は類似問題がシリウスにも載っているし、いま数1問題集の2次関数の最後のほうの問題をやっているから、簡単なはず。問題集はシリウスの標準を使っているから難易度はセンター試験レベルである。中3の問題集も『シリウス』だった。難易度は首都圏で標準レベルだろう。『シリウス発展編』の難易度を知りたくて調べるために取り寄せてみたが、難易度の高い問題のオンパレード。発展編の問題集は無理と判断し、標準問題集を採用した。『シリウス発展編』は数1を始めて勉強するのに難関国公立・私大受験用の『赤チャート問題集』を使うようなもの。出版元の営業マンに電話で聞いてみたら、道内の塾でこの問題集を使っているところはないそうだ。
  ようするに、いままでやってきた問題集のレベルは北海道の学力テストよりもレベルが上のものということ。

  具体的に見ていきたい。「大問3」の2次関数は次のような問題だった。これは標準レベルで、ありきたりのもの。

  大問3: y=1/4 x^2 と y=-1/2 x^2 がある。それぞれの放物線上に左上から反時計回りにABCDと点をとるときに、四角形ABCDが正方形になるとき、線分ABの長さを求めよ。

  B(t、1/4t^2)として縦横の長さを t を用いて表し、等号でつなぐと t に関する2次方程式になるから、お定まりの基本問題である。何の変哲もありゃしない。この生徒は t は解いたのだが、答えが分数になったので間違っているかもしれないと思い、どうしようかと逡巡している間にベルが鳴り、時間切れ。線分ABの長さは放物線が y軸に対して線対称だから、t の値を2倍すればいいだけ、そこに気がつかなかった。
  こういうときは「とりあえず答えを書いてから考える」と指導している。座標平面上に2つの2次関数が描かれているから、そこに正方形になるように3回書きこんでみたらいい。3回目にはだれでも十分な精度で程よい位置に正方形を描くことができるだろう。バイナリーサーチの応用である。システム技術の一つだが、黒板を使えば簡単に説明できる。描けたら点Bのx座標がどれくらいになるか読み取り、答えの分数がそれに近ければ正解と考えてよい。あるいは出た答えに近い点を記入してみる、そこを起点に正方形になればOKだ、こういうやり方は適用範囲が案外広い。計算のし直しではチェックのできないことがある。チェックは違う方法でやるのがいい。ある情報の信頼度を判断するには、まったく異なるソースあるいは経路からの情報とぶつけてみる。一致していたら信頼性が高い。重要な仕事はこういうふうにして確度を上げる。勉強の仕方は社会人になった時に仕事に通じるものだ。

  あまり簡単なので、解説を聞いてショックだっただろう。むずかしい問題ならともかく、典型的な標準問題だし、最近やっていた過去問でも放物線の外側に正方形のできる問題があった。それは一次関数との複合問題だったから、そちらのほうがすこし難易度が高い。

  二つ目の「大問5」は次のような問題である。テスト問題用紙がないので記憶で書いているから、そのままではないが、必要な条件は漏れていない。問題には図がついているが、このエディターでは描けないので読者は自分で作図してほしい。

  大問5: 正三角形ABCがある。辺ACを2対1に分割する点をPとせよ。辺ABに平行に点Pから線を引き、辺BCとの交点をRとせよ。辺AB上にQをとる。Rを通り辺ACと平行な線と辺ABとの交点をQとせよ。∠BPR=∠BPQであるとき、次の問いに答えよ。

 (1) ∠PBR=m度とするとき、∠AQPをmを使った式で表せ。
 (2) Rを通り辺ACと平行な線と辺ABとの交点をQとするとき、△PQRは△ABCの何倍か。

  (1)は∠Aが60度だから、△AQPの注目すれば、∠APQが出れば残りの∠AQPが出せる。∠BPR=∠BPQという条件がついているから、こちらから攻めろというのが、出題者の意図。もちろん、∠RPQのほうから攻める手もあるが、出題者の意図にそって∠QPAのほうから攻めるのが本筋。
  この問題はできたと思ってた、泥臭いやり方でやれる、単に文字式の計算力を問う問題である。特別なひらめきは必要ない。金曜日に別の生徒がやはり大問5が解けなかったというので、黒板でやってみた。もっとスマートな方法があるかもしれないので、思いついたら報告してと伝えた。全部を提示する必要はない、指導の要点は生徒が自らやる余地を残しておくこと。
(11/15 午後七時追記: ハンドルネーム @tさんが投稿欄へ二種類の解法を書きこんでくれましたので、答と解説はそちらを参照してください。)

 さて、(2)だが、この問題は簡単である。AC//QRだから、P点を点Cに移しても面積は変わらないから、等積変形の応用問題とみることができる。辺QRを底辺と考えれば高さは△ABCの1/3であることは見ただけでわかる。底辺は2/3で高さが1/3だから、面積は掛け算で2/9と暗算できる。これが一番スマートな解き方だろう。
  わたしは問題文を読み終わって10秒たらずで解けたので、問題文を読み直して、提示された条件をもう一度じっくり吟味してみるように勧めた。制限時間は10分間。相似な三角形が三つあることに気が付いていないので、ヒントをあげたらできた。平行四辺形に目が行ったようだ。それと∠BPR=∠BPQにも目がいってしまった。この条件は(1)の問題に必要なだけで、(2)には関係がない。一か所に目の焦点があってしまうとそれをリセットするのはなかなかむずかしい、そこにとらわれていたら解けないから、そういうときに先入見をリセットする能力を培うにはふだんの問題演習で試して慣れたらいい。十分に留意して指導していたつもりだが、足りなかった。集中するのは簡単だが、それを解除するのはとっても難しい。意識的にトレーニングするしかない。わたしがそういうことをコントロールできるようになったのは20代になってからだった。でも、適切な指導があれば中学生でもある程度マスターできる。

  等積変形の応用問題と捉えたこの解き方のポイント(わたしは「問題のヘソ」と名付けている)は、斜めの辺QR底辺とし、その底辺に対する高さに注目することにある。底辺PRと辺ABは平行だから、頂点PをCに移動しても面積は変わらない。高さは△BCAの1/3だ。
 底辺QRに対してそれに対応する△ABCの底辺はACだから頂点の位置関係がさかさまになってしまう。頭の中で図形を反転させる操作ができないとむずかしい。女生徒はこういうイメージ操作がなかなかできない。この生徒は図形イメージを脳内で動かすトレーニングはしてきたし、できるようにはなっていたが、パニックに陥ったことで培った技能が使えなかったようだ。不安の心がわくと脳が突然に「金縛り」状態へ移行する。「この問題はむずかしい問題だ、とてもできない」という心の状態が生じたら、もう解けない。
  しかし、等積変形の応用問題だと気が付かなくても別の方法がある。△ABCから△RPCと△BQRの面積を引き算する方法だ。残りは平行四辺形になるが△APQはその半分。△PRCは辺の比が1/3だから面積比は1/9、△BQRは辺の比が2/3だから面積比は4/9、この輪を1から引くと4/9、それが平行四辺形の面積、求める三角形はその半分だから2/9ということ。こちらも単純だから暗算で30秒あれば十分だ。デカルトの『方法序説』には科学の方法の四つの規則が挙げられている。その中に、「必要なだけの小部分に分割する」という項が出てくる。この場合は元の正三角形ABCをその中にある正三角形二つと、平行四辺形の三つに分割すればいい。複雑な問題は必要なだけの小部分に分割することで、単純な問題に還元できる。これも繰り返しトレーニングを積んできた。それが発揮できなかったのはあることがプレッシャーとなったからだろう。半年後にはそういうプレッシャーが常時かかるので、今回試す必要があった。その結果、学力テスト総合Cでメンタル面に課題のあることがはっきりした300点満点で学年2位との差がいつも50点開いているし、五科目全部が学年トップのことも何度もあったが、メンタル面に懸念があったので確認したかった。そういうときに機会が向こうのほうから訪れた。

 なぜこちらの方法が見えなかったのか?それは△ABCと△BQRと△RPCが相似であることに気が付かなかったからだ。一つの問題に3通りくらいは解法があることはふだんの勉強で何度も解説しているからわかっていたはず。だから糸口が見つからない問題なんてめったにないのだ。社会人になったら仕事では糸口の見つからないものがいくらでもある。それを見つけるのはある種のセンスだ。"the 6th sense"
  これからも良問に出喰わしたら、問題集にある解法とそこに載っている別解のほかにスマートな解法を時間をかけて何度も研究してみることだ。
 そういう作業を繰り返すことで十分勉強したから必ず解けるはず、というところへ気持ちの切り替えができたらすばらしい。お化けは出てこなくなる。

<不安がお化けを生む>
  なぜこういう見落としミスが続けて起きたのか?心に不安があったからだと思う。「シリウスと学力テストは問題傾向が違う」と言った。ふだんからそう感じていたようで言い出しにくかったのだろう。遠慮は無用なのだよ。学力テストで問題傾向が違っているからできない問題があり、そのせいで数学満点が取れないと思い込んでいたようだ。(それでも学力テストでは一度だけ数学満点を取ったかな、もちろん難易度の低い定期テストでは何度も100点をとっている。)
  こうした勘違いの思い込みは怖い。心の不安は、その不安が種となり、芽を出し、現実となる、それが心の作用の怖いところ。

  使っているシリウスの標準問題集は都立高校(進学校=毎年10人前後の東大合格のレベル)受験でも十分対応できる難易度だから、これを消化して北海道の学力テスト問題でできない問題はない。それでも同じ問題集を3ラウンドやらなければ「わかる」から「できる」状態にならない。標準問題は考えなくてもできるところまで練習しておけば、新傾向の問題に遭遇した時に考える時間的余裕がもてる。そういう「糊代(のりしろ)」を確保しておくことが受験には重要なのだ。2ラウンド目はマークを付けた1/10から1/20くらいの問題をやればいだけ、3ランド目は1/30くらいの問題にしかマークがついていないから、初回の1/30の時間で消化できる。初回に1年かかった問題集なら、2ランド目は1か月でやれる、3ラウンド目は2週間だが、それをやっていなかったということ。なぜやれなかったかは理由がある。この生徒固有の問題が潜んでいるので、あとでちょっとだけ触れるつもりだ。
 不安があるから「お化け」を見てしまい、パニックになる。じつは簡単な問題がトレーニング不足から解けないだけ。出題傾向が違うせいではない。今回の2次関数の問題も図形の問題もありきたりで、標準的な難易度の問題に過ぎないことはいままでの解説で明らか。納得いくように繰り返しテスト問題の具体例で説明してやればいい。

 ところで、この生徒の場合、不安が起きるとすぐに体が反応し体調に現れる。昨日来たときは、寒気がして抜けない様子、免疫が下がって風邪をひいたのだろうか、ストレスに敏感な質(たち)だ、神経が繊細なのは長所と考えよう。長所を維持しながら、ストレスに強くなれたらいい。

<心のコントロールはどうやればいい?>
  心を心でコントロールはできない。体と呼吸を整えたら、心は自然に平常心へ回帰するもの。もっているスキルがそのまま自由自在に使える。呼吸を数えながら歩くもよし、短い木刀を毎日100回振るもよし。歩きながらやるなら、吸気しながら3歩あるき、息を吐きながら5歩あゆむ。それに慣れたら、歩数を増やしていく。5歩あるきながら吸い、10歩あるきながら吐く、息は流れるようよどみなくする。とくに吐く息に注意し、全部吐き切る、そうすれば吸気は自然に起きるから、新鮮な外気が肺を満たす感覚を味わう。呼吸に意識を置くことで雑念が消え、平常心になる。慣れると、教室で数回ゆっくり深呼吸するだけで平常心を取り戻せるようになる。心は呼吸でコントロールする
  「家にある短い木刀を毎日100回無心に振れば精神が強くなる」と伝えたが、笑って相手にしない。「そんなことありえないよ、先生」と生徒。言ってもわからない時があるから時期が訪れるまで待つだけ。受け入れる準備ができたらもう一度話してみたい。
 頑固なところがあるのはいいことだ、あはは。

<不安の種を探る>
 不安が兆す原因はわたしの診るところではもう一つある。この生徒は1年先行学習をしている、つまり、中3で高校1年の数1・Aや高校英語教科書を使って勉強している。数学はセンター試験レベルだし、英語は高校教科書は使っているが、単なる材料で大学受験を超えた精読をしている最中だ。
(中3のシリウス英語問題集をやり終わって、9月から始めたが、予定通り3か月で1年生の教科書を終わりそうだ。2年と3年の教科書はそれぞれ4か月かける。11か月で高校教科書を終わった後は、ジャパンタイムズ記事を教材に取り上げる。ついでといってはなんだが、大学院入試レベルが到達目標である。あ~あ、わたしが中学生になってニムオロ塾に通いたい。)
  そういうわけで、学力テスト範囲は1年前に終了しているから、テスト2週間前から問題集に印をつけてある問題だけをもう一度やっている。3回やれといっているが時間が不足してやれていない。テストの前だけテスト範囲のみをやる。どうしてこういうことになるのか理由がある。土日は基本的に勉強時間が取れないからだ。平日の毎日3時間勉強するとして、土日を8時間ずつやれば、週に31時間である。土日ができなければ半分の15時間しかできない。これでは先行学習して印をつけた分の復習が十分にやれない。印がついているのは1/10から1/20程度だ。学年トップをとりたければ他の科目もやらなければならないから、平日の勉強はそちらに割かれる。時間に無理があるのだが、土日に勉強時間が取れないのは家庭の方針だから、それはそれでいい、失うものがあるが得るものもある。しかし、そうした生活習慣を変えない限りこの生徒の不安の種は尽きない。変わるときが来れば、自然に変わるものだから、無理はしない。そこいらあたりはebisuはとってもルース(緩い)なのだ。型にはめられるのが嫌いだから、生徒を型にはめるのもいや。

<心の不安を消すには?>
  中学生になってから最初のテスト2回は500点満点の五科目合計点で2位との差が1点、2点だった。あのころに比べたらこの生徒はずいぶんと学力を伸ばした。弱点だった国語や社会も学年一位のことが多くなっている。3年生になってからは300点満点で学年2位との差が50点に拡大している。これらは100%本人の努力のたまもの、立派な実績である。
  そういう過程を経ていまがあるのだが、ステージが上がって次の問題が見えてきたことも事実である。テスト範囲の相似の章は自力で予習しながらやったが、何とか理解できただけ。複合問題になると相似は難問がつくりやすいから、センスが働かなければ糸口が見つけられずまったくお手上げになることがあることがわかった。理解した後、標準問題を軽々と解けるようになるには、トレーニングが必要だが、その時間が十分にはとれない。だから、心の奥底に不安が芽生えてしまう。時間が足りないことは本人が一番よく分かっているから、お化けはそこから出てくる。
  心の弱さは誰にでもあるから、大学受験に合わせてその欠点をカバーするつもりで教えている。高校2年中ころまでに、センターレベルの数1Aと数ⅡB、そして数Ⅲを終わっておき、2年生の秋ころから印をつけた問題を3ラウンドやると同時に、難関大学向けの問題集を3ラウンドやり切ったら盤石の自信が生まれる。そこに焦点を合わせて指導をしていた。だから、「中学時代は学年1位にこだわるな」と言いつづけてきたが、よい意味で頑固者だから先生の言うことは聞かぬ。自分の我を押し通すが、思春期をまっとうに通過しているだけだからそれでいい。心の成長にはこういう過程が必要だ。この時期に親の言うことも先生の言うことにも素直に従って育ったのでは、弱い心のまま大人になる。真っ当に育っている。
 よく東大理Ⅲに子どもを3人とも入れましたという母親がテレビに出ているが、分刻みでのスケジュール作成・管理でがんじがらめにする育て方はわたしには阿呆にしか見えない。社会に出てから大丈夫か?長年やっていたことは習慣となり性格の一部になってしまっている。社会人になってから仕事のスケジューリングや管理をできるのか、やったことがないことはなかなかできないもの。そして習慣化したものや性格の一部になってしまったものを取り除くのは容易なことではない。

  昨日は中3シリウス問題集をもってきた。2週間後に定期テストがあるから万全の準備をしておきたいと主張するから、納得がいくまで徹底的にやったらいい、それまで高校数学は中止でいいと伝えた。大学受験に焦点を合わせて欠点を克服する戦略が崩れるリスクはあるがここは辛抱だ、臨機応変に手を考えたらいいだけ。ふんわり受け止めてやるのみ。さて、いままでの勉強のスタイルでは限界がはっきりした。生活習慣も含めてどうやって乗り越えるか、ここから先は本人の問題、成長が楽しみだ。

<それぞれの悩み:学年トップでも学力に関する悩みはある>
  学年トップが勉強に悩みなんかあるはずがないと思っている人が多いだろう、そうではないのだ、悩みのない人間はいない。学力に優れていてもそれはそれで悩みがあり、ときに深い。他の学校の学年トップもそれぞれの悩みを抱え、自分と闘いながら日々勉強しているのだろう。
  学校の授業は低学力層に焦点が当たっているから、学力上位層はスポイルされている。したがって、独力で勉強するしかないから、他の学校のトップレベルがどの程度の点数を取り、どういうことで悩み、どのような学習の仕方をしているのかを知ることでさらなる学力アップへの道を切り拓くことができれば幸いである。
  ブログを書きながら、そういう人たちが大学を卒業して十数年都会で能力を磨き根室に戻って来れるようになったらいいなと、夢見ている。


<2年生の数学の問題がむずかしかった>
  中2の生徒が数学の問題がむずかしかったと言っていた。テストはまだ返却されていないので見ていないが、学年トップが60点(百点満点)だという。この生徒はB中学校。 英語が苦手で点数がとれなくなって1年生の12月に入塾した生徒M君だが、すっかり弱点を克服した、いやそれどころか得意科目に変えた。英語は学年トップのことがある。部活が忙しいので勉強時間が確保できないのが悩み。
  本を読む時間的余裕もない。本は時間の余裕のある時に読むべきものなのか、本を読む時間を様々なことよりも優先させて時間を作るべきものなのかは、個々人の生活スタイルや価値観に依存している。
 ニムオロ塾では月に2回(90分×2)日本語音読トレーニングしているが、最近ずいぶん上手になった手ごたえがあったM君は結果を出した。そして課題も具体的な形をとって現れた。他の人たちへの参考になるだろうから、その課題については稿を改めて書くつもりだ。M君は学力テストの国語の点数が60点台から初めて80点台へアップしている。日本語読解力が強化されたことによるので、他の科目へもきっとよい影響が出る。国語も数学も社会も理科も英語も教科書を予習するときに必要な力は日本語読解力である。
   日本語読解力=読みの正確度×読みの深さ×読む速度
  日本語音読トレーニングは、読みの正確さをチェックしながら読む速度をアップするトレーニングである。ときどき解説を入れて、読みに深さの違いを体感させている。

<急成長中の3年生の生徒>
  C中学校の中3数学は、7月半ばから来ている生徒がどうやら数学だけ学年トップだったようだ。四月学力テストと比較すると数学と英語はそれぞれ10点以上アップしている。ここまではわたしの予想した通りの展開。ここから先のステージは自分で切り開かなければならないから本人次第、塾先生にやれるところはほとんどない(笑)。苦手科目の理社から逃げているが、そろそろ問題集1冊選んでやらなければ、五科目合計点の伸びが頭打ちになる。さて、苦手科目から逃げる怠惰な自分とどう向き合って成長するか楽しみだ。K君、期待に応えてもらいたい。

  ニムオロ塾では生徒それぞれの問題点や課題そしてチャレンジの具体的なやり方については、授業の合間に対話している。もちろん進捗状況もチェックする。


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#3517 授業進捗管理の陥穽 Mar. 4, 2017 [55. さまざまな視点から教育を考える]

<更新情報>
3/6 午前0時 投稿欄から転載
3/6 23時  < B中2年生の過去3回の学力テスト数学の平均点の推移 >


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陥穽:①おとしあな。わな。「人もわれも尤も忌み嫌へる死は、ついに忘する可からざる永劫の陥穽なることを知る/虞美人草 漱石」・・・大辞林より
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 特定の学校の特定の教科を採りあげ、担当教員と学校管理職の仕事のありようの問題を分析してみます。こういうことは根室市内の中学校ではごく普通にあると受け取ってくださって結構です。2校を採りあげていますが、1校はデータがないので書いていないだけで、状況が2校より良いかどうかはわかりません。
 特定の先生をつるし上げる意図はないので、その点は誤解のないようにお読みください。授業内容のチェックや授業の進捗管理にシステマティックな問題があることに注目していただきたい。同じ問題が来年再び起きないことを願いつつ書きます。

 C中学校は1・2年生の学年末テストを3/3に終了し、B中学校は3/7・8に実施される。
 C中は2年生数学のテスト範囲から、最後の章「第6章 確率」が除かれていた。156-174ページまで19ページ。B中もC中も2月末で教科書を終わっていない。
 4月から2月末まで11ヶ月だが、夏休みと冬休みを合計2ヶ月とすると賞味9ヶ月で、8-155ページの148ページをやったことになるから、月平均16.4ページである。確率の章は19ページだから、比例計算すると1.2ヶ月かかるのだが、そこをたったの「3時間」でやったことにしてしまうのがB中学校の先生。C中学校の先生は年度末テストが終わってからやるのだろう、2週間ほどだ。かくして、2年の総復習期間はゼロ。四月の学力テストで1次関数や確率の問題の正答率が低くなるのは当然である。そこだけで終わればいいが、根室高校普通科1年生の数Aで「順列・場合の数・確率」が再度でてくるが、中学校の授業の進捗管理がいい加減なので、ほとんど全員が苦手科目となっている。理由はもうおわかりだろう。中学校の授業の進捗管理の拙(つたな)さと手抜き授業が主要な原因である。

 B中では数学担当の先生が確率の章を3時間でやると生徒に伝え、月曜日に予定されている1時間で計3時間で19ページをやるようだ。すでに2時間やっているが、定期テストが90点を越えている生徒でも、学校の準拠問題集にある解説を読んでも理解できない問題がいくつも出てくる。最近行われた学力テストで80点に近い得点の生徒(80点以上は学年にたった5人)も同様である。わずか3時間で終了と聞き、理解できるわけがないので生徒を呼んで今日(3/4土曜日)補習した。確率は教えるのがむずかしい章です。成績上位生には数Aの内容まで踏み込んで教えます。その方が理解が慥かですから。
 
(3月6日13時45分追記:B中学校の数学担当の先生は確率の章の前半部分156-164ページを3時間でやり、残りは試験が終わってから消化するつもりのようです。)

 数学の授業がこんなことになっているなんて、教頭先生も校長先生もご存じないというのが学校というところ。民間会社なら上司へ報連相があり、適切に処理されるから、このような事態はあまり起きない。B中学校の管理職はテスト範囲表に「確率の章」が入っているから、まさか19ページを3時間でやったことにするなんてことは知りようがない。C中学校は範囲表をちゃんと見ていたら気がつくはずだが、気がついた気配がない。事前に気がついたら、教頭先生や校長先生から教科担当に叱責があるはずで、放課後補習を組んでもちゃんと年度末テスト範囲に確率の章を入れたはず。それが学校管理職としてかれらの重要な仕事、それが機能していない、わたしの言っていること間違っていますかね?言っている事はきついですが、言わないと来年も同じことになるので、あえて書いています。本音はこんなことは書きたくない。
 
 ついでだから、どこの学校とは言わぬが英語についても書いておきます。2年生の「プログラム8」が冬休みに宿題にされた。「新しい文法事項が出てこないので」という理由で宿題にしただけで、すっ飛ばした。2年の教科書には「Extensive Reading」が4ページ載っているが、やらないようだ。英語はたくさんの文を読むことで力がつくから、授業で端折ってはいけないところだとわたしは思う。
 3年生の教科書には同じものが3本、11ページ載っている。ページ数は1割だが、ボリウムは2割ほどある。どの学校もここをやらない。10年前はちゃんとやっていた。いつのまにかルーズになっている。どうして英語授業がこんなにルーズになったのだろう。道立高校入試英語問題がこの4年間ほど難易度が急低下したことと相関がありそうな気がしてならない。ルーズな授業でも入試問題が解けてしまう。水と同じでは困る、教育は高い方に向かって流れるべき。

 年間授業スケジュールを作成して管理職がチェックしているのではないかと思うが、現実はその後のチェックが有効になされず、教科担当に任されっぱなしになっているのではないか。民間企業では簡単にできることが学校ではひどくむずかしいようだ。どうすれば学校で内部牽制がシステマティックにできるのだろう。

 授業の進捗管理や授業内容が教科担当に全面的にまかされて、学校管理職が管理していないように見えること、あるいは管理のしようがないことの他に、勤労観が大きく影響しているように思えてならぬ。
 教師が「教育労働者」だと定義すると、自分を労働力商品として時間で売っていることになる。授業の手を抜けば抜くほど、時間当たりの賃金が相対的に高くなるのは、インテリの先生たちは先刻ご存知だろう。無意識にそうしている。このような不健全な勤労観をもっていたら、まじめに、精魂こめて授業をすればするほど、損をするような気がするのではないか?どれほど一生懸命にやっても給料やボーナスが同じだから、手を抜けば抜くほど得になるような気がするのは自然なことだ。
 日本人には本来、「労働」という概念はない、あるのは「仕事」である。労働はイコール苦役である。苦しいだけで楽しくないし、なるべくしたくないことというのが労働。江戸時代の文献に「労働」という用語は見つからないと思う。
 斉藤秀三郎著『熟語本位英和辞典』は84年前、1933年が初版である。そこにlabourの訳語が載っている。
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labour:<名詞>労働。労力。労役。(より)労力を要する事業。骨の折れる仕事 ②資本に対する労働 ③生みの苦しみ。分娩。陣痛。いきみ。
<動詞>労働する。②働く。尽力する。労力する。骨を折る。努める。勤労する。 ③苦しむ。悩む。憂うる。辛苦する。
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 何が言いたいかというと、「労働」なる語は、labourの訳語として生まれたということ。その原意は「苦役」である。「教育労働者」と自己限定すると、授業は苦役であり、楽しくないもの、忌むべきものになる。
 日教組や北教組のいう「教育労働者」という教員の定義はまことに罪が深い。
 仕事は「職人仕事」にみられるように、自己の持つ最高の技倆を発揮することで成し遂げられる。授業の職人であるという自覚と仕事観をもっていたら、こういうルーズな仕事ができるだろうか?

 根室の先生たちのおよそ半数は「教育労働者」として労働しているから授業内容や授業の進捗管理がルーズになるのではないかというのがわたしの假説だ。もちろんちゃんとした授業、進捗管理をしている先生はいる(たとえばC中学校、別海中央中学校長(学力テスト全国平均クリア)、もちろん他にも何人もいらっしゃるだろう)のだが、とても半数にはならない。市街化地域の3中学校で授業参観を8回したわたしの感想だ。
 B校とC校は学力テストの平均点が下がっている、その低さは「危機的」と言ってよい。具体的なデータは弊ブログをググれば出てきますので、関心のある方はご覧ください。

 反論があればどうぞ投稿欄へ書き込んでください。オープンな議論を歓迎します。

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仕事:①するべきこと。しなければならないこと。②生計を立てるために従事する勤め。
  ・・・大辞林より
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 学校の先生とは「教育の職人」である。
 日々自分が教える科目の専門知識の更新を怠らず、広い教養を身につけ、生徒の指導に当たる、なかなかたいへんな仕事です。初心はそうだった先生が少なくないのでは?

     「初心忘るべからず」

 いい言葉です。

*<この記事の閲覧期間は3月6日午後10時までと今のところ考えています。必要な方はコピーをとってください。再アップは一ヵ月後の4月4日を予定しています。>

 閲覧停止措置の必要がなくなりましたので、このままにしておきます:3月6日22時53分追記

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< 3/6 午前0時 投稿欄から転載 >
 もう14本も投稿がありました。気がついたことがあり、データも一緒に書き込んだので本欄へ転載します。(一部加筆)
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2年生だと多項式の加減乗除、連立方程式の計算問題のあたりに時間を掛けすぎるのは、生徒たちの基礎計算能力が低いからなのでしょう。時間をかけざるをえない。そのあとは連立方程式の応用問題、1次関数、三角形の合同、平行線と多角形、確率と内容がずっと難しくなります。生徒の学力が低くて教えきれなくなるのでしょう。学力テストの得点分布をみると、そうした傾向が読み取れます。

2月の学力テストの数学の平均点はB中が51.3点、C中が36.8点ですから、平均点で14.5点も差があります。五科目合計点ではB中250.3点、C中216.1点、差が34点も開いています。B中は数学と国語が顕著にあがりましたC中は30点以下が48人中17人で、3人に1人の割合でいます。B中は56人中9人のみ
B中がテスト範囲に確率の章が入っていて、C中はテスト範囲から除外となったのは、こういうことも影響しているようです。

学力テスト数学の平均点が40点以下だと生徒の学力が低すぎて、部活を停止して強制的に放課後補習でもしない限り、教科書の内容を2月末までにすべて消化するのは無理だということかもしれません。

それならそうと学力テスト結果をモニターして、それなりの対策を打てばよいだけです。

普段の学力テストデータすらモニターしていない根室市教委の仕事に対する甘さ、怠慢が対策を遅らせています。モニターすべきでしょう。
平均点が40点を下回ったら、学校と市教委が具体策を協議すべきかもしれませんよ。

根室の町の発展はの鍵は教育です。根室に残る子どもたちの学力が長期にわたって低迷していたら、地元企業は生き残りが困難になります。
by ebisu (2017-03-05 23:54)
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 < B中2年生の過去3回の学力テスト数学の平均点の推移 >

 4月  34.8
 11月 43.1
 2月  51.3

 初任2年目の先生だそうですが、根室に戻って開塾してから15年目、1年間でこれほど平均点を上昇させた先生は初めてです、ほめたいと思います。来年は年度末テストの前に教科書全部を終わらせてください。やれるでしょう。


< 必見! >
*#3519 数学の授業時間数を増やせ!:B中学校とC中学校2年生学力テストデータ比較 Mar.8, 2017 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2017-03-07


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