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#2898 Let it go :たった3語の文でもりあがる Dec. 8, 2014 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 例によって、ハンドルネーム「後志のおじさん」の問題提起をきっかけに議論が始まった。たった3語でできた文だが、こんなにさまざまな解釈ができる。Hirosukeさんと合格先生と数学に強いペトロナスさんが議論を盛り上げてくれた。もちろん投稿したご本人たちが議論を楽しんでいることは読んでいただければよくわかるだろう。人の意見に謙虚に耳を傾け、さらに自分の意見を付け加えたり、具体的な事例を挙げてテーマをクルクル転がしていくのは遊びでもある。

 中学校や高校で英語が苦手でも大丈夫だ。必要と思ったときからはじめたらいい、はじめたらトコトンやってみることだ。やればやっただけスキルは上がるもの。
 Hirosukeさんとebisuの二人に関しては中高の時代に英語が得意だったわけではない、好奇心や仕事の必要に応じてたくさんの英文を読むことでスキルが上がっていっただけ。
  心の中に強いニーズが生まれたら、力は後からついていくもの。そのときの勉強はじつに楽しい。


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どこかでebisu さんが、「アナと雪の女王」のありのままは、Let it go. だ。と書いていましたが、ん?、と思っていろいろ調べてみました。

形式的等価でも、意味的等価でもなく、画像同調を目的とした訳のようです。(翻訳の世界は奥が深い。)

Let it go. って、本当は何だろう?
久しぶりに、Hirosuke さんや合格先生の見解も聞いてみたいです。


by 後志のおじさん (2014-12-05 13:11)
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"レリゴー"ですね、たしかに書きました。
どこに書いたかキーを換えて検索してみたのですがヒットしません。
コメント欄かなと、4ヶ月遡ってみましたが、みあたりません。

#2461「itって何?」でitはとりあげていますが、アナと雪の女王はでてきません。

>Let it go. って、本当は何だろう?

???

あとで検索してみます。
by ebisu (2014-12-05 14:57
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ありました、#2852です。

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 an impoverished island that remains largely cut off from the world

 remainは「~ままに」である。(アナと雪の女王の「ありのままに」は'Let it go')
 「世界からほとんど切り離されたままの貧乏国」
 ⇒「世界からほとんど孤立している貧乏な島国」
------------------------------------

解説が載っていました。
http://bylines.news.yahoo.co.jp/onomasahiro/20140527-00035720/

ここからスタートかな?
by ebisu (2014-12-05 22:34) 
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画像同調の話ですが、Let it go. のLet のエの音は、日本語のあより大きく口を縦に開けます。

従って、Let it go と口を動かすと、日本語のあ、い、おに相当する。

ありの、ままの、

ストーリーに合わせつつ、言葉を探すのには苦労したでしょうね。


Let it go. を「ほっといて!」と訳した方も検索したらいらっしゃいました。

なるほどね、と思いましたが、me ではなく「モノノケ」の難物it ですから、真意としては少し足りないのでは、と感じました。

私としては、「自分ではコントロールできない自分の行動とその結果を、自己から切り離して(対象化して)、it として、その動くがままにしておいて欲しい!」

と聞いたのですが、コンパクトな日本語にはならないのです。

by 後志のおじさん (2014-12-05 22:38) 
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"レリゴレリゴ♪"
"ありのままに♪"

なるほど"レリゴ"と"ありの"は口の動きが同じですね。
ミュージカルの翻訳は口の動きを意識して訳をつけないといけないので何倍も難しい作業ですね。
訳者は呻吟しつつ、音の合う日本を語彙を探す、楽しい作業なのでしょうね。

意味をとるか音をとるか、ギリギリの所で語彙を選択する、どうしてもどちらかが落ちてしまうことがある、それが歌の翻訳ということ。

itについては議論の余地がありそうです。
「「モノノケ」の難物it 」
「”it” が指すもはエルサがしてきた今までの必死の努力」
http://girlsvip-matome.com/acv/1007011739.html

「嫌なことを自分の力でどこかにやってしまう」
「“Let it go”とは、怒りや不安でさいなまれている人に、そんなことは忘れてしまいなさいよ(“forget about it”)、と呼びかける言葉だ」

画像同調の問題は棚にあげて、意味理解の方に焦点を絞ると、この文のitはHirosukeさんや合格先生にも意見がありそうですね。ぜひ伺いたいものです。
by ebisu (2014-12-05 23:39) 
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呼ばれましてジャジャジャジャーン!

まずは男性バージョンで歌ってみましょうか。
カタカナ発音も付けてあります。
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これで貴方もLet It Go♪
http://hironaga-yuusuke.blog.so-net.ne.jp/2014-11-23
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by Hirosuke (2014-12-06 00:15)
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Let it go.の詳細解釈は明朝に。
少なくとも「ほっといて!」は絶対に違います。

ヒントになるのは聖書の言葉。
「古い衣を脱ぎ捨て・・・」

おやすみなさい。
by Hirosuke (2014-12-06 00:34)
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http://www.youtube.com/watch?v=kohD5z5mE0E

超たのしい、Hirosukeさんがカタカナを振ってくれた歌詞を見ながら歌ってみました。
みなさんもぜひどうぞ。
by ebisu (2014-12-06 00:47) 
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まずはココから。
     ↓
>形式的等価でも、意味的等価でもなく、
>画像同調を目的とした訳のようです。
>(翻訳の世界は奥が深い。)
     ↓
正確無比な訳を目指すのではなく、
その国・地域に受け入れられやすい訳にする。

これを翻訳業界では【ローカライズ】と言います。

そしてディズニーは公式に、
【ローカライズ】を非常に重視し注力している事を認め、
「出来る限り口の動き・形が同じになるようにした。」
といったコメントを製作秘話として明かし、
宣伝材料にしている程です。

この<25か国語 Ver.>を見ると、
その徹底ぶりが見て取れます。
-------------------------------------------
『アナと雪の女王 MovieNEX』
Let It Go<25か国語 Ver.>
http://gyao.yahoo.co.jp/player/00898/v00971/v0000000000000001968/
-------------------------------------------
by Hirosuke (2014-12-06 10:18)
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へえー!ローカライズというのですか。

アニメの口パクと歌詞が合わないと強い違和感があるので、その国の文化を考慮して受け入れやすい訳語をあてることをディズニーが認めているのですか。
巧い販売(配給)戦略です。
by ebisu (2014-12-06 11:32)
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【対談】タモリvs松たか子
http://trendnews.yahoo.co.jp/archives/373302/

タモリ
「ありのままって意味がわからない。ありのままの自分ってわかる? 自分って常に変化しているわけでしょ? その変化は自分でもわからないわけでしょ? ありのままの自分なんて1秒もないわけよ」
  ↓
松たか子
「一秒、一瞬頭によぎったことを何分間で歌っているんだと思う」

タモリは仏教的な無常観で歌詞を捉えていますね。

松たか子は、それを否定しません。
日本語バージョンを担当した本人なりの解釈を示します。
日本人として日本語の歌詞を解釈しています。
原曲の英語歌詞ではありません。
だって、「ありのまま」なら正しくはLet it be.ですから。

最終的にタモリは納得しちゃうんですね。
「歌った主役の本人が言うなら。」って。

by Hirosuke (2014-12-06 12:26) 
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ますます奥が深くなってきました。
無常観で歌詞の意味をとらえるタモリ、そしてそれを否定しない松たか子。

>「一秒、一瞬頭によぎったことを何分間で歌っているんだと思>う」

いいやりとりですね。
アドリブでここまでやれると会話は楽しい。
日本語にならない発話の多い中学生が増えています。タモリと松たか子のように知的なやり取りができるように、基礎学力を高め、いいと思う本を選んで読んでください。
知的な会話を楽しめる大人になりましょう。

読者の便宜を考え、あとでまとめてアップします。
by ebisu (2014-12-06 13:07) 
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【聖書:エペソ人への手紙】より
「古い自分を脱ぎ捨てて、新しい人を着なさい。」

この言葉を強烈に想起させるシーン。
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Let It Go(イディナ・メンゼル)
https://www.youtube.com/watch?v=bvvxdie1F5k
<英語歌詞付 Ver.>

古い自分を脱ぎ捨てて
⇒1:05前後、1:30前後、3:00前後

新しい人を着なさい
⇒3:10~3:24
--------------------------------------

英語歌詞にも注目しながら見ると、
【it】の正体がクッキリ見えると思います。

そして日本語歌詞の全体が【ローカライズ】の産物であり、原作の暗喩を伝え切れていない事も。
--------------------------------------
レット・イット・ゴー
~ありのままで~/エルサ(松たか子)
https://www.youtube.com/watch?v=cvj3-MZO9Tw
<日本語歌詞付 Ver.>
--------------------------------------
by Hirosuke (2014-12-06 13:34) 
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Hirosuke さをの、聖書に基づいた説明からすると、私の理解もそれほど外れてはいなさそうですね。

イギリス在住の、日本人ドクターのコラムでは、Take it easy.と同じであるように書かれていました(ネイティブにも複数確認済、とのことでしたけど。)

そういう意味もあるのでしょうけど、ストーリーとの兼ね合いからすると、?でしたね。

Hirosuke さんの説明で、すっきりです。

ちなみに、私は、岩手弁バージョンが好きです。

by 後志のおじさん (2014-12-06 14:16) 

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聖書を英語版で読まないとわからない部分がたくさんあるようです。視野が広がるのはいいことです。
機会があったら'The book'(聖書)を読んでみよう。

聖書の前に
『ほつまつたゑ』
『古事記』
『日本書紀』
が必読だとはebisuの意見です。

ところで、「岩手弁バージョン」ってどこにあるのでしょう?
探したらありました、ここです。
http://feely.jp/4395/
by ebisu (2014-12-06 15:03) 
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映画のストーリーから考えると「何らかの不条理な出来事からの解放」の描写を原曲の歌詞に入れたと解釈してました

by ペトロナス (2014-12-06 16:25) 
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I am hungry.

I go hungry.
の違い程度で、自分は
Let it be

Let it go
の差は、ちょっとしたニュアンスの差、程度に考えていました。
 小川に浮かべた草の小舟が、何も邪魔されずに、流れのままに流されていくようなイメージで捉えていたんですが。
by 合格先生 (2014-12-06 21:02) 
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そもそも、「ありのまま」がLet it go. なの?
と思ったのがきっかけなのですが、

Let go! は、何を?、どんな状況で?で訳がガラッと変わってしまいます。思いつくだけでも、離せ。首にしろ。ほっとけ。好きにさせとけ。放してやれ。いろいろあります。

テレビも、インターネットもない暮らしなので、アナと雪の女王も知らなかったのですが、
it をLet go するのに、「ありのまま」ってちょっとずれてない?(それもありの場面はあるかもしれないけど。)が発端なのです。

3語とも中学一年「単語」ですが、真意を掴むのは難しいit とgo です。

by 後志のおじさん (2014-12-06 22:19)
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ペトロナスさん、こんばんわ。
自分の自我に縛られて生きるなんて実に不条理です。自我からの解放(=解脱)は仏教の究極のテーマでもあります。
Let it go.
という台詞は、どこかで日本人のこころの奥底に響くものがあるのでしょう。

わたしも合格先生と似たような感覚でとらえていました。

> 小川に浮かべた草の小舟が、何も邪魔されずに、流れのままに流されていくようなイメージで捉えていたんですが。

itが人間ではない何か得体の知れないもの、自分のコントロールの外側のなにかと思っていました。
Hirosukeさんの理解だとitは古い自我のようですね。
煎じ詰めると自我なんて確固なものはどこにもないというのがお釈迦様の言説。常なる物はないと無常という言葉で自我の存在を否定します。
昨日の自分は今日はもうその一部が違っているから、同じではない、明日はさらに変っていくものがある。無常を認めると確固たる自我なんてどこにもないことになります。だから、自我にとらわれる必要はない。
Let it go.
叫びたくなりました。(笑)

結局、タモリと松たか子の談話が的を射ていたようですね。

by ebisu (2014-12-06 22:34) 
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>Hirosukeさんの理解だとitは古い自我のようですね。
  ↓
そうです。
だから、こんな記事を【夏】に書いたんです。
---------------------------------------
Let it go! - 【自己分析】という本 [わが里程標]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12
---------------------------------------
♪これでーいいのー 自分を好きになって~♪

by Hirosuke (2014-12-06 23:34) 
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おや、私は何度(二度)も間違えて書いていますね。

(正)Let it go.
(誤)Let's it go.

>Let go! は、何を?、どんな状況で?で訳がガラッと変わってしまいます。思いつくだけでも、離せ。首にしろ。ほっとけ。好きにさせとけ。放してやれ。いろいろあります。

こういう視点で誰もが知っている単語が組み合わされた英文の意味そしてその英文が発話されるシーンを考えてみるのは高校生や大学生にはよいトレーニングになりますね。

"Let it go"と"ありのままに"という日本語を比べて違和感を生じるか否かが一番肝心なところかもしれません。
by ebisu (2014-12-07 00:41) 
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 自分は映画を見ていないので、映画の内容は分からないのですが、言っても歌の歌詞ですから、あまり宗教的なものとか、そのような込み入った意味はないのかな、と思っています。
 たぶん、ここで言うitは、周囲全体の流れとか、心の中にある何か漠然としたものを差していて、その動きを邪魔するな、というような意味だと思っています。ですから
「自分の心がどこかに流れていくのなら、その流れを(過去のしがらみなどで)妨げてはいけません」
という解釈です。これを今風に言うと
「心のままに、感じるままに」
とか
「自分の気持ちに素直になって」
とか、
そんなフレーズになるのではないか、と思っています。
 さらに、これを歌詞として字数制限ありの、hirosukeさんの言うローカライズありの、となった場合、「ありのままの」となってもしょうがないのかな、くらいに思っているんですが。
by 合格先生 (2014-12-07 03:52) 
=============================
まぁ、あくまでもアニメですから。
英語版でも宗教を前面には押し出してはいません。
ただ、モチーフとなっているのは確かです。

でも、ここは日本。
西洋ほどには聖書の知識が浸透していない。
ならば、日本人の心に馴染み響く言葉で。
それが【ローカライズ】だと思います。

なんたってエンターテインメント・ビジネスですから。
ディズニーなんて楽しめれば良いのです。
大多数の人々にとっては。

by Hirosuke (2014-12-07 08:32)
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歌詞としてではなく、ストーリーの中の一文として訳を考えると、

いい子を演じるのを止めて、ひきこもるよ、
の歌ですから、Hirosuke さんの解説にある「古い自我it をgo させよう!」と、自分に言い聞かせていると理解するのが忠実なようですね。

「昨日までの私よ、行ってしまえ!」


It が、自分の行為や周囲の状況をさす、ととらえると、「流れのままに」→「ありのまま」

それが、嫌なことならば「忘れてしまえ」
(Take it easy. のit と同じ。)

こんなに訳はばらけそうですね。

おかげで、頭の中が整理できました。
ありがとうございます。

ところで、悪役は何人っぽいですか?
ディズニーは、エンターテイメントビジネスですが、米国政府のプロパガンダも担っていて、悪役を見ると仮想敵がわかります。
冷戦期間中の悪役は、みんなロシア名。
90年代以降は、イラクやリビアだったようですけど。

by 後志のおじさん (2014-12-07 09:03) 
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登場キャラクター
   ↓
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8A%E3%81%A8%E9%9B%AA%E3%81%AE%E5%A5%B3%E7%8E%8B

テーマは【『恐れ』対『愛』】だそうです。
キリスト教界からの反応も様々なようです。

by Hirosuke (2014-12-08 00:09)
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 なるほど、いろいろな解釈ができるんですね~。
 新しい発見です。
 自分は、ビートルズ好きなので、こういうフレーズは、つい、ビートルズの歌詞とダブらせて考えてしまいます。

 後志のおじさん、ありがとうございました。
by 合格先生 (2014-12-08 05:38) 
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以前にも宣言していますが、再度ここで宣言します。

僕は【無神論者】です。
キリスト教を信奉している訳ではありません。
【聖書】も【研究対象】に過ぎません。
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世界史と言語史のリンクを探って行く中で、
宗教史とEnglish成立過程の濃厚なリンクに気づき、
その多くが聖書(notキリスト教)に拠る事に辿り着いた。
------------------------------------
それだけです。

by Hirosuke (2014-12-08 13:25) 
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では、Hirosuke さんのコメントにのる形で、私の実体験を一つ。

アメリカ合衆国の、いなか勤務の日本人には、日曜日をどう過ごすかは深刻な問題でした。映画館をはじめおおかたの店は休業。(モールは開いてたけど。)

テレビは、どのチャンネルも、讃美歌か、sermon しかやっていなくて、

明るい内はあてどもなく車を走らせ、夕方、中国系か朝鮮系の個人経営のレストランで晩飯が多かったですね。


クリスチャンであるなしに関わらず、聖書に言葉の素養は、多くの米国人にはあるのでしょう。

by 後志のおじさん (2014-12-08 13:42)
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Lt it go.
たった3語の文でも実にさまざまな解釈そして意見が寄せられました、楽しいですね、

他人の論に乗って自説を展開するとか、さらに視点を広げて見せるのは一つの技です。

ビートルズが大好きな合格先生がビートルズの歌詞とダブらせていろいろ考えて書いているのに対して、Hirosukeさんは別に聖書が好きだからというわけではないし、キリスト教信者だから聖書の表現とと対比しているわけではないと、好き嫌いとは別の視点から、「聖書もたんなる研究対象」と立場を明らかにしました。
そこにさらに後志のおじさんが、キリスト教原理主義の国、米国の日曜日の様子を経験を思い出しながら語っています。
これもHirosukeさんの論を頭に置きながら、さらに視点を広げて見せてくれたのだろうと思います。

人とコミュニケーションする際に、こういう技が自在に使えると議論がさらに楽しいものになりますね。
いい見本が出たので蛇足と知りつつ付け加えます。

あとでまとめて本欄にアップさせていただきますが、わたくしの文には誤字があるので訂正しておきます。
by ebisu (2014-12-08 15:16)
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根室の学力状況と、それを改善すべくいかなる決意をしているか!

所信表明の記事に、無関係なコメントを入れてすみませんでした。


元記事を探すのも面倒だったし、他の方にも気づいてもらえないだろうと思ったもので。

「ありのまま」は、ebisu さんをはじめ壮々たる方々が、Let it be. とイメージを重ね、かつ心情的にすんなり受け入れてしまう絶妙の訳だったわけですね。

大学受験生には、let go! は「ありのまま」じゃないぞ!と釘をさしておかないと、入試で引っ掛け出題の種にされそうな気がします。(真面目な話です。)

この点では、ebisu さんがピックアップした「オノマサヒロさん」の見解は、一つにピント外れであり(日本人受けすることを狙った訳なのだから。)、またネイティブに聞いたというのも「映画の歌の中での」と条件付をせずに、ただLet it go. ってどういう意味?と尋ねたのだろうと。

岩手弁バージョンでは、let it go! を「いいでしょ!」と訳した日本語に「い(え)がすぺ」と岩手弁訳をつけていますが、Hirosuke さんはお分かりでしょうね。
岩手県南方言だそうです。岩手なまりの美しさを大切にした宮沢賢治の世界が、彷彿とされます。(この、鼻母音や中間母音、独特の言葉。わがね=だめだ、等)

Gone With the Wind の黒人なまりなんぞ、日本語の多様性に比べたらまだまだだと思います。


by 後志のおじさん (2014-12-10 20:37)

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後志のおじさん

どこに書いていただいても結構ですよ。
もちろん本欄へそのまま追記しておきます。

岩手訛の「わがね」は「わかんない」⇒「わかんねえ」⇒「わがんね」⇒「わがね」となまったものではないかと思います。根室でも年寄りは使います。
根室は東北や北陸のさまざまな方言が入り混じっています。日本海側と海上交通網で結ばれていたので、江戸時代は富山県とのつながりが強い。富山(とみやま)さんという姓が多いのはそのせいでしょう。
by ebisu (2014-12-10 22:37)
=============================
"Let it go."はどんな文脈におかれるか、どのようなシーンで使われるかで意味が違ってきますね。

後志のおじさんの投稿で12月6日22時19分のものに次の解説が載っています。

>Let go! は、何を?、どんな状況で?で訳がガラッと変わってしまいます。
>思いつくだけでも、離せ。首にしろ。ほっとけ。好きにさせとけ。放してやれ。いろいろあります。

受験生の皆さんは「ありのままに」よりも「」こちらのほうを覚えておいた方が好いでしょうね。

気になる人は英辞郎に用例が載っていますのでご覧ください。
http://eow.alc.co.jp/search?q=let+it+go.&ref=sa

by ebisu (2014-12-10 23:23) 
=============================
>岩手弁バージョンでは、
>let it go! を「いいでしょ!」
>と訳した日本語に「い(え)がすぺ」
>と岩手弁訳をつけていますが、
>Hirosuke さんはお分かりでしょうね。
   ↓
えっと、僕が栃木県在住30年だからですか?
(元・神奈川県民ですけど。)
息子が盛岡の大学だった事もあり、分かりますよ。

栃木の古い人の話し方は、
母音・子音に関係なく濁点が付きます。

誰でも理解しやすい例がアニメ『となりのトトロ』。

この舞台は監督・宮崎駿が幼少から高校まで住んでいた栃木県・宇都宮市をイメージしているのですが、そこに登場するバアチャンの台詞を思い出してください。
-------------------------
「メ゙イ゙ぢゃ゙ーーん゙!」
-------------------------

それと、「い・え」の区別が曖昧です。
まるで英語の曖昧音(発音記号だと【e】の引っくり返ったアレ)のようです。

まとめると、
let it go! ⇒いいでしょ!⇒いかすでしょ!⇒えがすぺ!・・・ってな具合ですね。

by Hirosuke (2014-12-11 00:21) 
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Hirosuke さんが、一年前に「栃木の、年配の人は、いいですを いぇがすのように言う。」と書いていたので。

いがすぺ=いぇがす(いいです)+ぺ(だよね:北関東のべ)と理解できたのでは?と思ったものですから。

私の英語力ですが、正直なところ、小学校5、6年生の日本語の力程度かなぁ?と思っています。新聞や本は、知らない言葉がところどころにあるけれど、背景知識があるものなら辞書なしで読める。知識のないものは、かなり苦労する。

文を書くと、意味を理解させることは可能な文は書けるけれど最善の文ではないと思う。

発信型の英語学習に切り替えていかないとまずい、と思っているこの頃。

まだまだ勉強中の身です。

by 後志のおじさん (2014-12-11 10:28)
=============================

  いま、後志のおじさんのコメント(12/10 20時37分)に、
 「ebisu さんをはじめ壮々たる方々」
とありますが、Hirosukeさんはともかく、ebisuは軽くTOEIC900点越えの後志のおじさんほどの英語力はありません。いくつかの分野の専門書が読みたくて読んでいるうちに読み慣れただけ。
 みなさんそれぞれが動機を異にしてはいますが、別の入り口から英語という同じ森に分け入ったのでしょう、楽しいですね。


<余談>
 20歳代や30歳代は、土日になるたびにどちらか一日は十数時間勉強に没頭していた。そんなとき時間は矢のように流れてしまう。ほんの30分くらいが実際には6時間も過ぎているというようなことが頻繁に起きる。集中力が高まると周りの雑音が意識の中から消えてしまう。ウィークディでもプログラムをいじっていた頃は夢中になって、空が明るくなってきたのに気がついて慌てて2時間ほど寝てから仕事に行くというようなことがしばしばあった。そういうときは身体は疲れを感じていない、こころが疲れないと身体も疲れないのだと思う
 生徒を観察していると面白いことがわかる。苦手な科目をイヤイヤやっていると、こころが疲れ始める、そして難しい問題にぶつかると心が折れて意識が朦朧となり、頭がぐらつき、はなはだしい場合にはことんと眠ってしまう。こころが疲れると、身体にそれが伝わり、身体は実際の体の疲れとして感じて強制的に脳の活動を低下させ睡眠状態へ誘ってしまう。自分のこころが折れそうになったら、「いま自分の心が折れそうになっている」と意識することだ。





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#2496 ①英文の基本構造論-1 :Adv+名詞+動詞(+名詞)+Adv  Oct. 31, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 今回は英語の基本構造の話しですが、文型論ではありません。ハンドルネーム「後志のおじさん」から、冒頭で文の基本構造に関する問題提起がなされます。

 「英語の文の基本構造の話です。Adv+名詞+動詞(+名詞)+Advが基本

 わたしが文型論ではなぜいけないのか、例を挙げて問いかけます。Hirosukeさんが「カタチとキモチ」から切り込み、視界が開けていきます。
 文頭にキモチをあらわす語が来る、それに続いて主語である名詞句が来て動詞句が来る、最後に副詞句(あるいは副詞相当語句)が来る。基本構造とはなにかについて、ピント合わせの議論が繰り返されます。
 第一回目はそこまで。第二回目は話しは混線しながら広がりをみせます。合格先生が文末焦点の問題をもちだし、話しはますます広がっていきます。議論を楽しんでください。


*#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11
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#137


  英語の文の基本構造の話です。Adv+名詞+動詞(+名詞)+Advが基本で、2語以上のユニットで名詞を修飾するAdjは名詞の後ろに置く。名詞の後ろにカンマが入ったら、言い換えの可能性が高い。――――余り一般論過ぎてわかりにくいと思いますが、収穫作業の追い込みで腰が痛くなり始めています。農作業が落ち着いたら、じっくり文例を挙げてご説明します。――――――高校生のみなさん、単語集で単語を覚えるのは、本来は邪道なのです。見たことのなかった文を噛み締めるように覚えながら、単語を覚えるのが本来の覚え方です。が、センター試験や国立大2次試験、難関私大(全国レベルで、です。北海道の私大はせいぜい第4グループです。)受験生には、それでは間に合わない、そもそも文の作りを学んでいる段階なのだから文を読みながらなんてできない。―――――単語集は、従。文を「読む」のが、主です。「読む」とは訳すことではありません。イメージが正しく取れればいいのです。訳とはそのイメージを日本語で表現することです。単語の訳語を並べ替えて、「漢文」のように読むことではありません。(でも未だに学校では横行しているみたいですけどね。)―――――
「構文」なんて、漢文の再読文字みたいな感覚にしか思えないです。英語を読んでいるとは思えない!
by 後志のおじさん (2013-10-21 23:01)

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#138

>余り一般論過ぎてわかりにくいと思いますが、
-----------------------------------------    

【いえ】、僕は解りました。
  ↑
ここは英語じゃ【Yes】なの。
知らなかったら、知っといて。

♪なんでだろ-ぉ なんでだろ なんでだなんでだろ♪

by Hirosuke (2013-10-21 23:57) 
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#139

話題が基本に戻りましたね。
ここからほんとうに受験生に役に立話しになるのでしょう。(笑)

>英語の文の基本構造の話です。Adv+名詞+動詞(+名詞)+Advが基本で、2語以上のユニットで名詞を修飾するAdjは名詞の後ろに置く。名詞の後ろにカンマが入ったら、言い換えの可能性が高い

S+V+(Φ, C, O, O+O, O+C )+place+time
これじゃあいけませんか?
もしくは、
名詞句+動詞(+名詞)句+adv

>名詞の後ろにカンマが入ったら、言い換えの可能性が高い

これ、知らない高校生が多い。新聞英語では頻出するので、わたしは必要上、説明しています。


>―――――単語集は、従。文を「読む」のが、主です。「読む」とは訳すことではありません。イメージが正しく取れればいいのです。訳とはそのイメージを日本語で表現することです。単語の訳語を並べ替えて、「漢文」のように読むことではありません。(でも未だに学校では横行しているみたいですけどね。)―――――

根室高校は『ゆめたん』の単語と一緒に例文の暗記を2年間させています。でも英文を読む量は貧弱です。
中学校では「漢文式」に読んでいるので、生徒は癖がついています。だから、量がこなせない。イメージを作る前に沈没してしまいます、つまり、日本語にならない珍訳のオンパレードに最初の内はなりがちです。
スラッシュリーディングをしても、こまぎれの句の集まりから、文全体の意味を総合する技は、日本語の文を読むときと同じですから、国語の成績が抜群によくない限り、スラッシュリーディングをしても、文単位の意味や段落ごとの文意をつかむのはなかなかむずかしい。

ネイティブの中学生程度の簡単な文章の集まりなら、スラッシュリーディングでなんとか文意をつかめますが、少しレベルの上がった論説文になると途端に読めなくなります。

シンプルセンテンスに還元できたら、すなおに意味がつかめるはずですが、これもトレーニングが必要です。

あるレベルの生徒達には「漢文読み下し式」も有効な方法だと思います。成績下位の生徒達は日本語の文章を読んでも即座にイメージがつくれませんから。
しかし、センター試験ですら、「漢文読み下し式」のような悠長なことをやっていたら、スピードがついていかない、80%以上の得点は無理ですね。

読みながら、頭の中に読み込んだ文章の意味をおいて、他の分と比較しながら、論理を追い、段落ごとの意味を整理しながら並べていくというようなことは、よほど能力の高い高校生でないと不可能でしょう。
学年にゼロあるいは1~2人(120人中)のレベルだと思います。根室高校普通科では学年10番以下の生徒には関係のない話しかもしれません。

なにかうまい方法があるなら、成績上位層の生徒にとっては福音でしょう。全国模試で偏差値65(全国模試で上位6.7%)レベルの話しになるのでしょうね。

とっても面白そうです、農作業を終わってからの解説を期待しています。

収穫作業が忙しくて腰の痛みのことなど構っていられないのでしょうが、腰痛がひどくならないことを祈ります。
by ebisu (2013-10-22 00:45)
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#140

>S+V+(Φ, C, O, O+O, O+C )+place+time
>これじゃあいけませんか?
もしくは、・・・
  ↓
いけません。

これだと、常に最初が【~は】だと思い込みます。

--------------------------------
最初に【その他】のカタチ
⇒そこが強いキモチをイミしてる!
--------------------------------
ここが英文読解のキモなんです。

by Hirosuke (2013-10-22 08:13) 
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#141

さて、すこし具体的に質問してみないといけないようです。

>--------------------------------
最初に【その他】のカタチ
⇒そこが強いキモチをイミしてる!
--------------------------------
>ここが英文読解のキモなんです。

【その他】の具体例を挙げていただけると理解しやすい。
後志のおじさんは次のように書いています。


>英語の文の基本構造の話です。Adv+名詞+動詞(+名詞)+Advが基本で...

Advとはadverbials(副詞相当語句)のことだと思いますが、これが文頭に来るときは強調です。基本の位置から移動させることで「強調しているぞ」という気持ちを表しています。
広くとれば、分詞構文も入れることができそうです。

--------------------------------
最初に【その他】のカタチ
⇒そこが強いキモチをイミしてる!
--------------------------------

謎めいているので、これを読んでいる高校生とわたしのために具体例で説明していただけるとありがたい。

お二人が指摘するということは、この「Adv」と「【その他】」がどうやら文章理解の基本に関わる事がらのようですから。
by ebisu (2013-10-22 09:12) 
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#142

はい。Hirosuke先生。Yesは後に肯定文、Noは否定文が来るよ、というマーカーだからです。―――――休憩時間に少しずつ綴ってみます。中学生にもわかるようにテキストは開隆堂Sunshine中3P.106。飛び入りコメント、物言い方よろしくお願いいたします。―――
On a ←文頭のOnでこのフレーズのリンク先は動詞と確定。―――
On a cold night in←動詞の前の前置詞は直前の名詞にかかる。―――
On a cold night in New York City,a←名詞のマーカーが出てきたので、主語。主語にaがついているときは、具体物の共通理解がないことを意識して「ある」をくっつけて読むといい。―――――
On a cold night in New York City, a policeman was walking←動詞です。動作実行中で、過去ですから気持ちはその場面に跳ばすように。ここで、「何がどうする。」が完結したので、以下Advの場所となります。――――
along←この前置詞は、長いものに寄り添って、一定の方向に進むことを表します。わかっているなら、無理に訳さないほうがいい。―――
along a dark street.このaも、特定できないことを意識して読みます。参考までに、突然the streetときたら、streetの賑やかさを言っていると思ってください。――――――
to be continued.

by 後志のおじさん (2013-10-22 10:25)

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#143

Hirosukeさんの「キモチ」を私なりに理解しているのは、英語では、言いたいことが先にくる。だから、Advが先にくる時はSVよりも、条件としてのAdvにキモチの重点があるということ。―――――先の文でも文頭にあるから、「寒い晩なんだな。ニューヨークか。」とうったえるのです。
by 後志のおじさん (2013-10-22 12:37) 
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#144

なるほど、おっしゃることの意味がわかりました。

こういう視点からの説明は初見です。
読解上は「言いたいことが先に来る」というほうが説得力がありそうです。それが「英語のキモチ」。

そうならAdverbialsであればなんでもいい。yesもnoも、分詞構文だって理由だったり・付帯状況だったり・時だったりと副詞相当語句に含めていい。

あらゆるタイプの文を眺めた上での抽象化であって、基本タイプの文(通常の肯定文)に絞り込んだ上での抽象化とは立ち位置が異なっています。

立ち位置が「読解高地」というすこし高いところにあるようで、「平地のワード・オーダ」とは視点が違います、面白い
しばらく聴き手に回って解説を楽しみたいと思います。
by ebisu (2013-10-22 13:13) 
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#145

>広くとれば、分詞構文も入れることができそうです。

その通りです。

いわゆる【疑問文】とか、
いわゆる【命令文】とか、
いわゆる【Wh疑問文】とか、
いわゆる【倒置】とか諸々・・・。

だから僕は【その他】なんです。

----------------------
【その他】=【~は】以外
----------------------
と大きくタガを緩めて捉えてください。


なぜならば 文法用語が 憎いから (怒)


この一週間、
少し脳を酷使したようです。

しばらくコメントを控えます。

by Hirosuke (2013-10-22 13:20)
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#146

#2458に新しい投稿場所を設置しましたので、そちらへご投稿ください。

こちらのコメント欄はすでに102件に達しています。読者の便を考えた措置ですので、よろしくお願いします。

Hirosukeさんへ、
主旨はよくわかりましたので、少し休んでからまた投稿をお願いします。


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#2465 冠詞論 :目からうろこが落ちる解説  Oct. 25, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 冠詞は3パターン。
(1) a(an)
(2) the
(3) 無冠詞

 1冊丸ごと冠詞を解説した本がありませんでしたから、その正体をつかむのにずいぶん苦労しました。1991年に'Three Little Words: A, An, and the'が出版されて、だいぶ正体がわかった気になれました。その後、2008年にaとtheの底力 -- 冠詞で見えるネイティブスピーカーの世界という本が出たので、勉強しやすくなったのではないでしょうか。

 後志のおじさんが、その難物の冠詞を#101で冠詞でまな板にあげてくれました。
 「a,the,冠詞なしで語の意味が変わる。(これを教えられる先生、北海道に何人いるでしょう?)」

 これだけみても大胆な人ですね、普通はとりあげません、たいへんですから。四人の議論という坩堝の中に適当な材料を投げ込めば、まざりあい溶け合ってそれなりのものができ上がることは、假定法で実験済みです。
 もうひとつ材料を投げ入れてます。単語の意味をイメージでとらえないと英文の意味がつかめないという問題提起です。訳語を覚えるだけではダメ、だから電子辞書はアウトだということですよ。いろんな意味が一度に視界に入ってこないと一つの単語のもつ共通イメージを連想できませんから。この点からは一覧性のある紙の辞書が最高だということです。電子辞書のあなた、それだけに頼っていたらいつまでたっても単語のもつイメージがとらえられません。
 言い換えてみます。単語の訳語がわからないと文章の意味がとれないと思っている高校生や大学生が多いのではないでしょうか。憶えなければならないのは、単語の訳語ではなくイメージです
 「単語はイメージを作るように覚える。訳語は手掛かりです読み(理解)と訳は関係ないと思った方がいいです
 「語がわからなくても、ポジションからリンク先がとれるものなのです」 

 和訳するのに「ユメ単」の訳語を一生懸命に当てはめて、とんでもない日本語訳を「創作」している人は、ちょっと立ち止まって考えてみましょう。
 青太字にしたのが後志のおじさん宣言、どうですなかなか含蓄があるでしょう、読んでじっくり考えてみてください。
 「ポジションからリンク先がとれるものなのです」ということについて具体的な解説がないとわからないのではないでしょうか、そのうちに解説してくれると思います。収穫の秋で忙しい最中ですから、作業が全部終わるまであれこれ具体例を考えながら待ちましょう。
 ebisuの解釈はキーワードは言い換えられるので、位置からだいたい見当がつくということと、文脈を手繰って読み進むとその語の位置から意味の見当がつくようになるということ。意味の見当をつけてから、辞書を引いて(意味の)確認するようになります。そういう段階になると英英辞書のほうが使いやすくなってきます。

  #113にHirosukeさん創作の冠詞問題が6題あります、トライしてみて下さい。即興でこれだけの問題を創れるセンスは驚きです。
 #124で接辞と語根の問題に触れています。英単語の成立ちは漢字熟語によく似ています。それがラテン語やギリシア語の接辞や語根から成立ってるのですが、全部をこれで割り切ることは出来ません、ある程度は推察がつくので、興味のある人はHirosukeさんがブログのURLをぶら下げてくれていますので、クリックして飛んでください。
(ある程度の範囲はとっても役に立ちますが、全部をこれでやるのは無理で、やりすぎるとこじつけ、屁理屈っぽくなるのでほどほどにしましょう。ebisuの意見ですが、Hirosukeさんも同じ意見です。)

 #115で後志のおじさんが、disabled peopleという名詞句について触れています。disabledという単語は中学の教科書にも載っていたようなきがします。the disabledと書くべきだと後で解説していますが、これだけで問題の所在がわかりますか?わからなければ#116、#117を読んでください。

 #125の'I like dog.'にはぎょっとしました。なぜでしょう?無冠詞の意味するところは?

 #129でHirosukeさんが挙げた英語小話がすっとわかったあなたは、もう冠詞についてはたしかな運用能力をもっているようです。試してください。

 #136はなんどか話題になった「へ」と「に」、そして「さ」について、岩波古語辞典から拾った解説です、なんと都言葉と方言に行き着きました。
 ebisuの用例を紹介します。表情のある言葉でしょう?

 「おら、東京いくど」
 「わたし東京いきます」
 「あんたどこ行く」

 冠詞に関する議論を振り返ってみると、これだけのまとまった議論はどこにもないと思います。冠詞に関する本ですら、この23年間でたったの2冊というのが現状ですから。英語大好きなあなただけ特別に許可します、ワードに貼り付けて保存していいですよ。4人のハンドルネームを忘れないでね、「後志のおじさん」「Hirosuke」「合格先生」「ebisu」でした。(笑)

「#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 」コメント欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11



【#101~136】

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#101

聞いている感覚で読めばいいのです。日本語は、助詞で語のリンクが決まりますが、英語では文頭の、名詞では無いものは全て動詞にリンク(だから、It'sMonday today.が正しいとされる。)分詞構文だの不定詞の副詞用法だのはいりません。――――a,the,冠詞なしで語の意味が変わる。(これを教えられる先生、北海道に何人いるでしょう?)そして、単語はイメージを作るように覚える。訳語は手掛かりです。読み(理解)と訳は関係ないと思った方がいいです。――――北海道では、高校でも、先に単語。単語の意味から形だけのスラッシュリーディングを教えている。(わかっている方が教えなら有効な手法です。)そんな先生が多いようですね。―――単語がわからなくても、ポジションからリンク先がとれるものなのです。札幌にでた冬の生徒が高校の授業を評して言っていましたが、「訳だけ言われたって、数学で答えだけ言われるのとおんなじで読み方わかんないじゃない!」英語嫌いを作るコツの一つです。

―――コメント欄読者の方向けに
by 後志のおじさん (2013-10-18 07:59)
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#102

ここのところもうすこし敷衍していただけたらありがたい。

>英語では文頭の、名詞では無いものは全て動詞にリンク(だから、It'sMonday today.が正しいとされる。)

「名詞ではないもの」とはこの場合はIt(代名詞)を指しているのですか?
ワード・オーダがかならず「S+V」となるので、「文頭に来るものはすべて動詞にリンク」という意味ですか?

>a,the,冠詞なしで語の意味が変わる

適切な解説本が出版されてなくて、苦労しましたね。1970年代に薄い本を一冊読んだ気がします。
少しわかったつもりになれたのは1991年にAlan S. Brender"Three little words a, an, the"を読んでからです。でもこれも、これこれの場合にはa、そういう場合はthe、ああいう場合は無冠詞と並べているだけです。「なぜ」がありません、そこは読んで考えるしかない。しかし、使われる状況が具体的に解説してあるので、ずいぶん助かりました。
2008年末にようやく冠詞に関する解説本がでました。
津守光太『aとtheの底力』
この本には「なぜ」が書かれています。でも、あまりやりすぎるとこじつけっぽくなります。

aが細胞膜、あるいは皮膚のようなもので、それがあると自己と非自己を区別する機能があると気がついたのは最初に紹介した本の練習問題をやってみてようやく気がつきました。それいらい具体的なイメージがわくようになりました。
waterとa water(水と水域)

コンテクストとの関係でも冠詞のもつ意味は大きい。

>単語がわからなくても、ポジションからリンク先がとれるものなのです。

大事な単語はほとんど文の中の位置やコンテクストからも見当がつきます。が訳語にとらわれてしまうので、コンテクストまで頭の回らない生徒が多い。イメージで単語をとらえることはたいへん重要ですが、「ユメタン」の暗記を毎日2年間繰り返すと、単語と訳語に強固な対応関係が育ってしまいます。訳すときにはコンテクストは考慮の外、ただ「ユメタン」の訳語を当てはめて意味のわからない日本語を並べただけ、「これ自分で読んでどういう意味かわかる?」「・・・わかりません」てなことになります。しばらくたいへんです。
辞書を引かずに「ユメタン」を暗記する弊害が、でていますね。

ところで、この文の中の「ポジションからリンク先がとれる」とはどういうことでしょう。もうすこし解説していただけるとありがたい。

『福翁自伝』のなかに、適塾でのオランダ語の勉強の仕方がでています。辞書と首っ引きで無理やり訳させる、それを先輩が直す。最初の内は謎解きのようなものですが、1年たつともうほとんど理解できるようになっている。一度とりあげようと思っていましたが、のびのびになっています。そのうちに紹介してみたい。オランダ語漬けの生活。


by ebisu (2013-10-18 10:21)
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#103

『aとtheの底力』に次のような例文が載っています。

①I bought a flute.

②play the piano
③play the guiter

④Kiichi Suzuki played piano at the concert.
(鈴木慶一はそのコンサートでピアノを弾いた)

なぜ②と③には定冠詞がつき、なぜ④は無冠詞なのか?
こんなことまで高校生が知っている必要はありません。
後者についてはこういう説明があります。

「楽器は「演奏する」ものです。楽器の「する」側面に焦点を当てるとき(すなわち動詞的な意味を作り出すとき)、go to school や by car と同じように無冠詞になります」187頁
by ebisu (2013-10-18 13:19) 
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#104

ぴんとこないのです。
④は他に説明のしかたはありますか?
by ebisu (2013-10-18 23:58)
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#105

すみません。話題を拡げすぎたようです。It's Monday today.ですが、―――文頭にToday、そこで音が切れた時、動詞にリンクするだろう、という残像を残します。(副詞として働く。)会話なら、5音節のワンブレスですからToday is Monday.もありですが、やはり副詞の響きがでて、「今日は月曜日………。」と、何かの思いが込められている感じになります。よく耳にした表現では、Today is my last day.やToday is my birthday.など、特別な日の時はTodayを主語で可。淡々と、事実を伝える時は、It's…today.です。もちろんこのItは、漠然と辺りに漂う「もののけ」のItです。――――日本語で、「ニチヨービー」で音をきられたら、「何かするの?」と思うのと同じ感覚で私はとらえています。―――――冠詞の話、語順イコール助詞(活用語尾)、単語の覚え方など、追って投稿させていただきます。
by 後志のおじさん (2013-10-19 00:05)
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#106

ご質問から先に。He played piano.はpianoという楽器をいっているのではなく、ピアノのパートを受け持った、ことをいうのです。無冠詞名詞は形をとらないものを表す、と私は理解しています。つまり、この文では、形のあるピアノという楽器に意識があるのではなく、「あんたはサックスだったね。ぼくはベースやった。あいつはピアノだったよ。」って感じです。
by 後志のおじさん (2013-10-19 00:17) 
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#107

あ、なるほど。
aは自己の内外を区別するものですから、自己が形としてイメージできる。無冠詞はその逆で形のないものとイメージしたらいいのですか。

本には、プロの演奏家が演奏する場合は無冠詞なんて説明もありましたが、そうではないのですね。
高校のブラスバンドでサックスのパートを受け持ってもやはり無冠詞ということ。

驚きです、後志のおじさん、『なぜかがわかるaとtheと無冠詞』というタイトルの本を書けそうですね。前2著よりずっとすぐれものになりそうです。
教育改革などやらずに、本を出版してください。そのほうが世の中の役に立てます。改革のほうはわたしたちががんばります。(笑)

本音は両方やってください。

It's Moday today.
のほうの解説ありがとうございます。
ブレスとイメージ(残像)がだいじなんですね。
本を読むことで英語を手段として使ってきたわたしは、そういう観点から考えたことがありませんでした。
英語の音読は奥が深そうですね。

「副詞の響き」、的確でいい言葉です。

by ebisu (2013-10-19 00:37)
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#108

はじめに、カオスがあります。棒で混ぜている神様には、なんだかわかっているから呼び名がある。これが剥き身の名詞。――――引き上げた棒の先からポタリポタリと滴が垂れて、島ができた。島ができたことは神様しか知らない。これが、a。―――島ができたことを他の神様も知った。ここから、THE。――――他の神様も、島を持っているから区別しなきゃ。ここからmyとかher。―――――こんな感じではいかがでしょうか?
by 後志のおじさん (2013-10-19 00:41)
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#109

古事記にからめてきましたね、とっても面白い比喩です、高校生が喜びそう。
ありがとうございます。
by ebisu (2013-10-19 01:16) 
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#110

>④は他に説明のしかたはありますか?
>④Kiichi Suzuki played piano at the concert.
   ↓
すごく簡単です。

----------------------------
夕食を食べる⇒have dinner
ワインを飲む⇒have wine
----------------------------
aもtheも付いていませんが、
特に不思議に思いませんよね?

これと同じなんです。

日本語でも「お茶する」の様な口語表現がありますが、
まさしく「夕食する」「ワインする」と言っているんですね。

同様にして、
------------------------
ピアノする⇒play piano
------------------------
なんですよ。

「じゃぁ、play 【the】 piano は?」

これを中学校の教科書で、
あたかも絶対的な定番表現かの如くに、
「必ず【the】を入れなきゃ×!」
だなんて教えてるから混乱しちゃうんですよ。

【the】 のキモチはですね、
------------------------------------
【お互いにビシッと指させる特別なモノ】
------------------------------------
なんです。

ずいぶん前に、
中学生向けですが、
こんな記事を書きました。

◆「ガッチャマンの歌」でわかる the の正体◆
 [英語講師として]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-12-03

これを play 【the】 piano に応用すると、
この場合の piano は、
【お互いにビシッと指させる特別なモノ】ですから、
「学校の音楽室の【あの例の】ピアノ」
というイミなんですね。

要するに、
play 【the】 pianoってのは、
【話し相手も自分と全く同じイメージを持っている】
と期待するキモチの時に使う【特別】表現なんです。

小・中学校の教科書だと、
学校内や友達同士というシチュエーションですから、
相手に同じイメージを期待するキモチは至極当然。

だから、
play 【the】 piano。 

それに対してplay pianoの場合は、
【the】の特別感がありませんから、
「ピアノなら別に何でも構わない」
というキモチで言っているわけで、
友達じゃなくても使える一般表現なんです。

「じゃぁ、play 【a】 piano は?」

・・・もう、わかりますよね?

by Hirosuke (2013-10-19 01:31)
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#111

 冠詞の有無について、自分の見解も付け足しておきますね。

 まずはaについて。
 通常、抽象名詞や物質名詞にはaが付きません。そして、元々、英語の単語は、元々持っている意味が抽象的なものですから、冠詞なしで普通名詞を使う場合、これは「その名詞が持っている抽象的なイメージで考えてくれ」という意味です。
 例えば、冠詞のないschoolであれば「勉強するところ」、bedであれば「寝るところ」という意味で見てくれ、ということになります。要するに、ベッドなら、その形をイメージするのではなく、その機能をイメージしてくれ、ということです。
 ですから、go to bedは「ベッドに行く」ではなく「寝に行く」という意味になります。
 ちなみに、
 I go to school.
については、一般動詞の現在形で行為を表すものは、「日頃行っている」という意味を差すので、「私は学校に行きます」ではなく、「私は学校に通っている」と訳すのが本来のニュアンスを掴んだ訳し方、ということになります。

 その他、例えば、paperだと具体的な形のないイメージ~無限に広がるでっかい紙を想像するといいでしょう。それに対しa paperとaがつけば、これは具体的な形のある「新聞紙」ということになります。
 要するにaがつけば、具体的な形を想像してくれ、という意味になるということです。

 theの説明についてはほとんどhirosukeさんと一緒ですが、楽器のtheだけは別物です。
 これにはいろいろな説がありますが、例えば「元々楽器を持っている人が少ない時代に、楽器を弾くと言った場合、特定の楽器を差すことになった」「演奏する道具を差す」とか、「pianoを弾いているいるイメージを特定できるから」といった説がありますが、結局、ネイティブでもなんでこれにtheをつけるのか、意味が分からなくなり、現在ではtheをつけない用法の方が多くなっているそうです。次の教科書改訂のあたりから、おそらく楽器のtheはつけなくても良い、という事になりそうですね。
 ですから、piano本来の「音を出す」という意味で使う場合は無冠詞。pianoを「買う」とか「運ぶ」と言ったような、具体的な形をイメージするものについてはaがつく、という事になります。
by 合格先生 (2013-10-19 05:40)
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#112

theは、(1)具体的なものをさす働きと(2)共通して持っているイメージを喚起させる働き、「一般に」などと訳せる場合、がありますが、play the pianoは(2)だと思っていました。つまり、モノとしてのピアノではなく、ピアノから出てくる音をとらえる感覚かな?音をとらえる感覚だというネイティブもいましたけど、ちょっと自信なさげでした。まあ、職場での雑談でしたから専門的なものではありません。theがとれていくのも、簡略化の流れや言葉の変化ですから変化にあわせて覚えていけばいい。――――――北海道の全道統一のSSのでない学力テスト中三10月で、disabled peopleなんて言葉を使っていましたが、そんなみっともない文は、書けませんから。用例を意識して集めてみます。
by 後志のおじさん (2013-10-19 08:42) 
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#113

◆プロのピアノ演奏家達の会話◆
-----------------------------------------
A:私ね、XXホールでコンサートしたの。⇒(1)
B:え、あのホールで弾いたんですか?⇒(2)
A:あら、ご存知なの?
B:知ってるも何も、
  みんな「あそこのピアノは・・・」⇒(3)
  って噂してますよ。
A:あら、知らなかったわ。
  確かにピアノと言えないくらい酷かったわ。⇒(4)
  二度と弾きたくないわね。⇒(5)
  知ってたら、コンサートしなかったのに。⇒(6)
--------------------------------------------


(1)~(6)に対して、
*(play) piano
*(play) 【the】 piano
*(play) 【a】 piano
のドレが適切か考えてみてください。


YAMATO高校♪合唱部 『わが◆マイルストーン』2
by Hirosuke (2013-10-19 09:41) 
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#114

Hirosukeさんは、同じ用例を集めて共通項を想起する形で無冠詞のもつ意味を浮かび上がらせて見せてくれました。「カタチ・イミ・キモチ」という3次元座標に無冠詞を措定して眺めてみるとなるほどど、他の用例と見比べながら納得できます。

合格先生は説明を名詞からはじめています。アプローチが異なります。"将を射んとすればまず馬を射よ"の見本のようなスマートさ。かっこいいね。

> 通常、抽象名詞や物質名詞にはaが付きません。そして、元々、英語の単語は、元々持っている意味が抽象的なものですから、冠詞なしで普通名詞を使う場合、これは「その名詞が持っている抽象的なイメージで考えてくれ」という意味です。

慧眼ですね。後志のおじさんの「剥き身の名詞」と表現は違いますが、ナカミは同じです。後志のおじさんはこう書いています。
>はじめに、カオスがあります。棒で混ぜている神様には、なんだかわかっているから呼び名がある。これが剥き身の名詞。

その抽象的な性質から、無冠詞で使われている名詞の意味を穏やかに導き出しているように見えます。

後志のおじさんが付け加えてくれていますが、これは一歩踏み出した理解でしょうね。

>theは、(1)具体的なものをさす働きと(2)共通して持っているイメージを喚起させる働き、「一般に」などと訳せる場合、がありますが、play the pianoは(2)だと思っていました。つまり、モノとしてのピアノではなく、ピアノから出てくる音をとらえる感覚かな?

もともとのイメージは話者と聞き手の間での共通の了解事項ですから、そこから(2)の働きが現れる。
『一億人の英文法』ではtheの根元イメージを「ひとつに決まる」としています。そこから6つの機能を派生的に解説しています。
①文脈から1つに決まる
②その場の状況から1つに決まる
③常識から一つに決まる
④「1つ」を意味に含む語句
⑤「the+複数」=1つに決まるグループ
⑥theのネイティブレベル

分類は①~③ですね、後は具体的な用例解説です。

the pianoについては、次のようの説明しています。167頁

「カン違いしてもらいたくないのは、楽器だからといっていつでもtheがつくわけではないということ。pianoを物体としてみているときには、pen、deskなどとおなじように、a piano でも this piano でも many pianos でもいいのです。」

もう一つ論点がありました。
>theがとれていくのも、簡略化の流れや言葉の変化ですから変化にあわせて覚えていけばいい

言葉は生き物ですね。この視点があんがい高校参考書には欠けているようです。「国文法のちかみち」は万葉の頃、11世紀までの言葉使い、それ以降とさまざまな単語の使われ方の変遷を随所で解説してくれています。だから、言葉は変化するものという考えが自然にインプットされます。高校英文法教科書とは視点が違う、だからこそsubjunctiveの解説も読むべき価値があったのでしょう。

ところで、また疑問が出ました。

>北海道の全道統一のSSのでない学力テスト中三10月で、disabled peopleなんて言葉を使っていましたが、そんなみっともない文は、書けませんから。用例を意識して集めてみます。

disabled peppleでは具体的な人間がイメージできないということでしょうか?だから、the disabled peopleが正しい?
peppleは単数ではなく複数ですから、無冠詞でも具体的な「人々」がイメージできるので必ずしも間違いとはいえないように思いますが、いかがでしょう。

しかし、ジーニアス4版でpeopleを引くと次の説明があります。
「④[theまたは修飾語を伴って;複数扱い](ある集団・階級に属する)人々」
定冠詞をつけるのが正しい。

犬の場合は、dogsとすると、犬がイメージできます、さまざまな犬が集まっています。そしてたとえば猫に対して、犬という類を具体的なイメージで伝える。では、the dogsは?話者と聞き手の間で、その場で共通了解事項としてある特定の犬種を指すのかもしれませんね。

繰り返しますが、disabled peppleについてもう少し補足説明をお願いできませんでしょうか?
by ebisu (2013-10-19 10:05) 
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#115

>disabled peopleなんて言葉
    ↓
これはpeople付けずにtheを付けて、
the disabled と表記するのが通常ですよね。

【美女】を the beautiful woman なんてせずに、
【the beauty】 と表記するのと同じです。

「美女と野獣」="The Beauty and The Beast"

by Hirosuke (2013-10-19 10:43) 
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#116

the poor
the rich
the disabled

用例を並べてみたら気がつくんですね。
なるほど、同じ「カタチ」です。
後志のおじさんはそういう意味での指摘だったのですか。
新聞では 'the disabled' となっていますね。'disabled people' という表記は見た記憶がありません。アハハ。

ところで、面白い問題をつくってくれましたね、ありがとうございます、やってみました。
中高生の皆さんも一緒にどうぞ。
あとでHirosukeさんが正解と理由の解説をしてくれるでしょう。


(1) piano
(2) the piano
(3) the piano
(4) a piano
(5) the piano
(6) piano


by ebisu (2013-10-19 11:02)
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#117

the disabledとすべきところですし、そもそも50年ほど前の言葉です。身体障害のある人をさすつもりで使っているのですが、その後、handicapperの時期があって今はthe challengedに名称が「変化」しています。おおかた和英辞典でみて、用例の確認もせずに使ったのでしょう。総合Bですからebisuさんも現物を確認してみてください。他にも、時制など5箇所ほど英語としておかしいところがあります。答えが正解の他にも成立するものがあったり、ひどいものです。―――――SSがでないだけでも意味がない上、おかしな英語まがいのものを読まされる北海道の中学生がかわいそうです。北海道の権威のある学力テストの英文には、毎回必ず誤りがあるのです。珍しくまともだったのが、栃木県入試の盗作でしたけど。

by 後志のおじさん (2013-10-19 13:55) 
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#118

>珍しくまともだったのが、
>栃木県入試の盗作でしたけど。

だからと言って
【栃木県=優秀】という証には、
なりませんけどね。

(栃木県民です。)

by Hirosuke (2013-10-19 22:40) 
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#119

◆ピアノ・クイズの正解◆
---------------------
(1) piano
(2) the piano
(3) the piano
(4) a piano
(5) the piano
(6) piano
-----------------------

はい、
というわけで、
ebisuさん全問正解です!

問題を確認してみましょう。

◆プロのピアノ演奏家達の会話◆(再掲)
-----------------------------------------
A:私ね、XXホールでコンサートしたの。⇒(1)
B:え、あのホールで弾いたんですか?⇒(2)
A:あら、ご存知なの?
B:知ってるも何も、
  みんな「あそこのピアノは・・・」⇒(3)
  って噂してますよ。
A:あら、知らなかったわ。
  確かにピアノと言えないくらい酷かったわ。⇒(4)
  二度と弾きたくないわね。⇒(5)
  知ってたら、コンサートしなかったのに。⇒(6)
--------------------------------------------

◆手抜き解説◆

She played piano at the concert.
         ↓
----------------------------
夕食を食べる⇒have dinner
ワインを飲む⇒have wine
----------------------------
aもtheも付いていませんが、
特に不思議に思いませんよね?

これと同じなんです。

日本語でも「お茶する」の様な口語表現がありますが、
まさしく「夕食する」「ワインする」と言っているんですね。

同様にして、
---------------------------------
play piano⇒ピアノする⇒演奏する
---------------------------------
なんですよ。

「じゃぁ、play 【the】 piano は?」

これを中学校の教科書で、
あたかも絶対的な定番表現かの如くに、
「必ず【the】を入れなきゃ×!」
だなんて教えてるから混乱しちゃうんですよ。

【the】 のキモチはですね、
------------------------------------
【お互いにビシッと指させる特別なモノ】
------------------------------------
なんです。

ずいぶん前に、
中学生向けですが、
こんな記事を書きました。

◆「ガッチャマンの歌」でわかる the の正体◆
 [英語講師として]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2006-12-03

これを play 【the】 piano に応用すると、
この場合の piano は、
【お互いにビシッと指させる特別なモノ】ですから、
「学校の音楽室の【あの例の】ピアノ」
というイミなんですね。

要するに、
play 【the】 pianoってのは、
【話し相手も自分と全く同じイメージを持っている】
と期待するキモチの時に使う【特別】表現なんです。

小・中学校の教科書だと、
学校内や友達同士というシチュエーションですから、
相手に同じイメージを期待するキモチは至極当然。

だから、
play 【the】 piano。 

それに対してplay pianoの場合は、
【the】の特別感や期待感がありませんから、
「ピアノなら別に何でも構わない」
というキモチで言っているわけで、
誰にでも使える一般表現なんです。

「じゃぁ、play 【a】 piano は?」

え、
まだ解説、
必要ですか?

それでは明朝に。

             ・・・つづく・・・

by Hirosuke (2013-10-19 23:41)

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#120

 play the pianoのtheの意味を知る前は、勝手に「ピアノの正規の演奏方法」という意味で特定していたのかな、と思っていました。
 これ、スポーツとの比較なんですけれども、スポーツで、例えば野球の場合、ボールを打ったり投げたり取ったり、また、ベースを走ったり、といろいろな行為が行われるので、そういった行為全体を包括したイメージでとらえなさい、ということでスポーツには冠詞がつかないのかな。それに対して、楽器は特定の演奏方法、例えば、ピアノは鍵盤を押して音を出す、フルートは吹いて音を出す、という特定の演奏方法で演奏するためにtheがついたのだと。
 だから、ジミヘンのように、歯でギターを弾いたり、ジョン・ケイジのようにハンマーでピアノ線を直接たたいて音を出したり、という本来の演奏法と違う弾き方をすると、theがつかないのかな、と思っていました。
 ちなみに、ebisuさんの出してくれた用例
>Keiichi Suzuki played piano at the concert.
>(鈴木慶一はそのコンサートでピアノを弾いた)
 実は、この例文、自分がかなり以前に見たことがあって、なんでここで「はちみつぱい」(後「ムーンライダーズ」というグループを結成する)の鈴木慶一さんが出てくるのかな? もっと一般的に知られている人を出せばいいのに、と思ったことがありました。
 そして、たぶん、彼なら、ビートルズの真似をして、肘でピアノを弾くということもやるだろうな、とも思っていました。だから、ここでtheを抜いたんだろう、と勝手に解釈していたのを覚えています。

 全然、違っていましたね。
by 合格先生 (2013-10-20 03:58)
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#121

◆【a】のカタチ・イミ・キモチ◆

これを真にイメージするためには、
謎と混沌に満ち満ちた、
なんともボンヤリと曖昧で把握し難い、
複雑怪奇かつ諸説紛々(ふんぷん)たる、
【a】の生い立ち・成り立ちから、
まずは話さねばならないでしょう。

代表的な3説を列挙します。
------------------------------
①【a】⇒【an】⇒【one】説

②【one】⇒【an】⇒【a】説

③接頭辞【a-】説
-------------------------------

長くなるので、
一旦ここまで。

by Hirosuke (2013-10-20 08:01) 
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#122

ひゃ!やった。
>はい、
>というわけで、
>ebisuさん全問正解です!

まぐれ当たりのような気もしますが...うれしいですね。達成感あります。
この問題、即興ですか?それとも準備があった?

こんな問題作れる先生に高校生のときにお目にかかっていたら、わたしの人生変わっていたでしょうね。宣しえの影響で英語にのめりこんだのだろうと思います。
お会いしなくてよかった(笑)

おそらくaの説明が一番難しいでしょう。aのイメージがしっかりしていないと迷ってしまいます。案外この用法は見落とし勝ち。中高生と大学生と中高の英語の先生たちのためにさらなる解説をお願いします。

たいへんありがたい問題でした。 m(_ _)m
by ebisu (2013-10-20 08:42)
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#123

合格先生は不思議な人ですね。

>なんでここで「はちみつぱい」(後「ムーンライダーズ」というグループを結成する)の鈴木慶一さんが出てくるのかな? もっと一般的に知られている人を出せばいいのに、と思ったことがありました。

よくこのピアニストを知っていましたね。わたしはまったく知りませんでした。

無冠詞のケースをどのようにイメージするか、思考過程を開示してくれてありがとうございます。結局、合格先生の推論はplay pianoではうまく行かなかったようですが、統一イメージを「考える」ということが大事なこと。

中高生も大学生もこいうところを学んでほしいと思います。

>全然、違っていましたね。

ほんと、世の中知らないことだらけ、だからいろいろ考え推論できます。たまにあたるから楽しい。百発百中だとつまらない。うんと格下の人と将棋さすようなもですから、3割くらいの勝率のゾーンが一番楽しい。(笑)
叩けよさらば開かれん
何が出てくるかは保証できませんが...
by ebisu (2013-10-20 08:51) 
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#124-1

◆【接頭辞】って??な中高生の為に◆
-----------------------------------------
英単語のアタマとシッポ① [英語講師として]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2008-12-07
------------------------------------------
英単語のアタマとシッポ② [英語講師として]
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2008-12-07-1
------------------------------------------
by Hirosuke (2013-10-20 15:21)

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#124-2

>こんな問題作れる先生に
>高校生のときにお目にかかっていたら、
>わたしの人生変わっていたでしょうね。

えぇ、僕自身そう思ってます。(号泣)

だから僕は、
【文法用語】が【憎】い!(怒)

by Hirosuke (2013-10-20 15:31)

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#125

合格先生へ――――
a baseballと言わないわけ。ご自分のコメントで、おっしってますよ。決まったカタチにならないからです。――――
aがつくと、誰でも共通して思い浮かべられる一つのものとして「カタチ」ができる。(だから、aは単数なのです。)カタチがとれないものにはaはつきません。でもtheとは違って思い浮かべる具合物のイメージが異なるのがaです。――――
I like dog.文法的に間違いではないし、ネイティブに言っても通じます。あまり英語わかってないんだね、という前提で聞けば、「私、犬好きなの。」ですが、きちんとした発音の人が真顔でいうとかなりグロテスクな言葉になります。中高生の皆さん、わかりますか?
by 後志のおじさん (2013-10-20 21:01)
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#126

ははは、後志のおじさん、そんなことを言うのは中国人ですね。日本人にそんな○習慣はありません。
○習慣としてはないのでしょうね、ところがわたしは小学生のときに根室港の岸壁につながれた船の上で釣りをさせてもらったことがあります。

「おじさんたち、船の上から釣りしていい?」
「いいよ、つんな」
「ありがとう」

「おーい、坊主、○○○○食べないか」
犬の毛皮?のようなものが船の上の別の場所にありました。
「もしかして...」
「そうだよ、...」
「...、ゲッ」

by ebisu (2013-10-20 22:30) 
================================
#127

後志のおじさんへ

 解説ありがとうございます。スポーツの場合は、これでいいんですよね。それなのに、楽器になると、違うんです。自分は、play the pianoでピアノを演奏する、となった場合、やはり「音」が共通認識できるのか、もしくは、弾いている姿が共通認識できるのか、のどちらか、で、もしも「音を出すもの」として捉えた場合、無冠詞扱いなるはず、という見解から演奏するスタイルが共通認識である、という方を選択したのです。
 ちなみに、
I can play the piano.
と、学校で友達に言った場合、これは「自分の家にあるピアノなら弾ける」というような、楽器を特定して言っている訳ではないので、もしも、どのpianoでも弾けるという意味で言う場合、
I can play a piano.
と言わなければならないわけですから、そうなると「わざわざここでtheと言っていることが問題になる」ということだったんです。
 結局、無冠詞の方が一般的になってきているということなので、今後、問題が解消されることになりそうですけれども。

 上の
I like dog.
は、ちょっと面白いですね。
 自分からもヒントを。
「動物名が無冠詞だと、基本は物質名詞扱いです」。
by 合格先生 (2013-10-20 22:46) 
================================
#128

◆シンプル解説 for 中高生◆
---------------------------------
【a】 dog⇒【カタチある一匹の】犬

【x】 dog⇒【カタチなき(一匹の)】犬
⇒肉片とかパーツとか味とか(オェッ)

【a】 piano⇒【カタチある一台の】ピアノ

【x】 piano⇒【カタチなき(一台の)】ピアノ
⇒部品とかパートとか音色とか(ポロロン)
--------------------------------------
by Hirosuke (2013-10-21 00:37)
================================
#129


◆ネイティブ同士のイキチガイ会話◆
---------------------------------
A: Well, I can play a piano.
B: Oh, which one?
A: What do you mean?
B: You say, "play 【a】 piano."
A: Oh, I've made a mistake.
  I should have said "play piano"
   or "play pianos."
B: Oh, great! I can't play any.
---------------------------------

さてさて、
この二人の会話に、
どんなイキチガイがあったんでしょうか?

by Hirosuke (2013-10-21 00:58) 
================================
#130

 新説
 「以前はthe pianoでpiano musicを差した」
 自分の知恵では、これが限界。
by 合格先生 (2013-10-21 05:16)

================================
#131

【a】 Picaso⇒【とある1つの】ピカソの作品

Picaso【s】⇒ピカソの作品群

【the】 Picaso
⇒【ほら、あの例の】ピカソ作品
とか
⇒【これぞ誰もが知ってる】ピカソ作品
⇒ピカソの【代表作】
とか

  ↓
よって、
>the pianoでpiano music
というワケなんですね♪

だから実は、
各種のスポーツに【the】を付けちゃう事も、
こんなシチュエーションの時になら成立します。
-------------------------------------------
サッカーの試合で、
超ビューティフル・ゴールが決まった瞬間、
見ず知らずの観客と思わず抱き合っての会話

「うぉおおおおー、これぞサッカーの醍醐味だぜ!」
「いぇええええぃ、まさしく!」

Wow, this is 【the】 soccer!
Yeah, this is it!
----------------------------------------------
つまり、もはや【芸術作品】と化したのですね。

by Hirosuke (2013-10-21 11:20) 
================================
#132

面白い会話ですね。

◆ネイティブ同士のイキチガイ会話◆

Hirosukeさんの創作会話は楽しい。
お陰様で目に見えるようによくわかります。
aについても複数の意味があるので、文脈によってはネイティブ同士でも「どっちやねん?」ということになるのでしょう。
by ebisu (2013-10-21 11:59) 
================================
#133

合格先生へ

『aとtheの底力』に次のような説明があります。

-------------------------------------
「楽器を演奏する」とは、「楽器を使って音楽を作り出す」ことであり、このときには、「楽器=音楽」です。play the piano, play the guitar といった表現は、play music (音楽を演奏する)のmusicの代わりに楽器をおいた表現です。
楽器に込められた「音楽」というエッセンスを、theを付けることによって、話している相手にわかるように抽出する、と考えることができるのではないでしょうか。(楽器につけるtheについては、「いつも同じ自分の楽器を演奏する」のtheをつける、という説明をすることもあります)   186頁
-------------------------------------

> 「以前はthe pianoでpiano musicを差した」

「以前は」という前置きを外すと、合格先生の解説は『aとtheの底力』の津守光太氏と同じ。

中高生や大学生にも関心の高い分野で、すっきり説明して本がないので、冠詞だけでまとめて本欄へアップしたほうがよさそうですね。

それにしても、こんなことは知らなくても、センター試験の英語は80点以上とれます。
大学院入試だって、こんなところまで問うような問題を出すところは、目的を考えてもありませんね。

中高生の皆さん、安心してください。

ものごとをどうやって分析し、考え、イメージしていくのかについて、手順や手がかりを得られるだけで十分です。そういう「力」が将来、仕事で生きてきます。
by ebisu (2013-10-21 12:16)
================================
#134

ebisuさんへ

 ありがとうございます。結局、新説でも何でもありませんでしたね。おまけに「以前は」とつける必要もありませんね。
 the piano=piano music
は、幼児がピアノで遊んでいる状況との比較で考えてみました。幼児がただ鍵盤をたたいて遊んでいるのは、音を出しているだけ。それを「ピアノを弾ける」とは言わないので、ピアノを弾く、と言った場合、きちんと「音楽として弾ける」と言った状況を差すのであろう、という事から考えてみました。
 もし、このthe pianoを道具として差す、ということになった場合、withを使うはずですから、それだと、この場合、不適切~当てはまらないわけで、結局、上記の結論になりました。

 hirosukeさんの芸術方面からの解説が一番納得性が高いと思います。また、ピアノの場合、どんな基本的なものでも「練習曲」という「曲」の扱いになりますから、piano musicという表現がしっくりくると思います。
 したがって「以前は、音楽を演奏するという意味でplay the pianoと言っていたが、最近では、ピアノの音そのものを差す表現に移行し、play pianoと言うようになってきた」というのが、解説として正しいのかも知れませんね。
by 合格先生 (2013-10-21 15:40)
================================
#135

>hirosukeさんの芸術方面からの解説が
>一番納得性が高いと思います。
    ↓
いやぁ、お褒めに預かり光栄です。

それにしても、
思えば遠く【へ】来たもんだ。
        ↑
        に?

     
by Hirosuke (2013-10-21 22:22) 
================================
#136

助詞「に」と「へ」について、面白い解説をみつけました。室町時代は「へ」が都言葉で「に」は九州方言だったという説です。

----------------------------------------
室町時代には、方向を示す助詞に、方言による違いがあった。これについて、ロドリゲスの大文典に次の記述がある。
「京へ、筑紫に、関東(又は坂東)さ。諺。その意味は、都では助辞『へ』を、下(九州)では『に』を、関東では『さ』を使ふといふのである。直ぐ次に示すやうに、諸地方にいろいろな助辞があるけれども、常に都におけると同じく『へ』を用ゐるのがよい。それが正しくかつ上品だからである。」
(1) 「わが背子を大和へやるとさ夜更けて暁露に我が立ちぬれし」(万105)
(2)省略
(3)省略
(4)省略
----------------------------------------
 『岩波古語辞典』1490頁より 

 「わたし東京いきます」
 「あんたどこ行く」
  「おら、東京イクだ」 、
  坂東方言はさらに北へ移動し東北方言になっていますね。
 いまではこうした訛はどんどん薄れていってます、テレビの影響でしょうね。方言をしっかり話せる世代もあと30年、なんだか日本語の豊かさや温かみが消えていくようでさみしい思いがします。

by ebisu (2013-10-21 22:44) 
================================

 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09-1

 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-1

 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-2

 #2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 #2447 仮定法とは何か(2): 概念規定と基本型 Oct.13, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12

 #2449 假定法とは何か(3): Swanの説明 Oct. 14, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-13-1

 #2452 仮定法とは何か(4):国文法学者の見解 Oct. 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16

 #2453 仮定法とは何か(5) : 国文学者の見解ー2  Oct. 17, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-16-1

 #2457 仮定法ってなんだろう(4):"Boy's, be ambitious."をめぐって Oct.22, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-21-1

 #2461 'it' ってなに?& shall とwil の根っこの話し Oct. 22, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-24

 #2463 shall(神) と will(人間) をめぐる議論 Oct 24. 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-23-1



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#2463 shall(神) と will(人間) をめぐる議論 Oct 24. 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 授業で、shallや命令文から大胆に世界史へと話しを飛ばす技をおもちのHirosukeさん(#84)。
 晴耕雨読を絵に描いたような生活スタイルを築き上げた後志のおじさん(#80&#85)、誰もが思っても手にすることができないのは、たいへんな困難があるから。強力な意志を感じます。
 合格先生のshallとwillの解釈(#86)はebisuはいままで目にしたことがありませんから、目を啓かれる思いです。
 人はそれぞれ異なる運命を背負って人生を歩んでいますが、その一端を開示(#88)したHirosukeさんは、ブログ上で自伝的小説YAMATO高校♪合唱部 『わが◆マイルストーン』2*を連載しています。
*http://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/

 後志のおじさんが、北海道の教育改革、道産子の学力向上に手を貸してくれる(#91)かもしれません、大いに期待しています。

 前置詞とそのイメージ解説が中学生のころにあったら、英文を読み浮かんだイメージを意訳してもいいよと先生が言ってくれたら、救われたのにとZAPPERさん(#93)。大西泰斗先生(1961年生まれ)はそのころまだ二十歳くらいではないでしょうか。(笑)
 いい時代ですね、勉強したい生徒達には素晴らしい教材がそろっています。

 英文法が英語嫌いをつくりだしている具体例を合格先生が自分の高校時代の経験を開示して示してくれています⇒#97。

 高校時代に英語が苦手でも大丈夫ってことですよ、大学でしっかり勉強すればいい。それもパスしたら社会人になってから一念発起してチャレンジしたらいいのです。 高校時代は古文・数学・英語が苦手だったと、Hirosukeさん⇒#98 ほらね、やっぱり中高でつまづいたって、いいのです、ようはあきらめないこと、興味がでたときに努力を続けることです。
 そういう点で合格先生とHirosukeさんとebisuは共通しているようです⇒#100
 いまも修行(勉強)中の身を強く自覚し、そのように行動している点では、四人共通ですね。人に物を教える立場にある間は当たり前のことです。そういう気力がなくなったら、ニムオロ塾は廃業と思っています。それがプロってものです。


「#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 」コメント欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 【#83~#100】
================================
#83

>少し前のHirosukeさんのコメントに
>「God bless you」を「Bless you」と言う事もある、
>と書いてありますが、これは、・・・
   ↓
合格先生、解説ありがとうございます!

by Hirosuke
================================
#84

いわゆる【命令形】に話を戻します。

一般的にはYouの省略と解説されています。

だから中学生には、
-------------------------------------
「~は」なしで いきなり動詞 「しろ」「しなさい」
-------------------------------------
とか、
---------------------------------------
「誰が?」「オマエに決まっとるやろ!←(ビシッ)」
---------------------------------------
とか教えてますが、
このカタチの本当のキモチは、
-----------------------------------
◆God bless you!◆⇒◆Bless you!◆
-----------------------------------
とも言われたり書かれたりするのと同じらしいと、
世界史を勉強している高校生とかには、
キリスト教の教義を含めて話したりしてます。

学術的に正しいかは脇に置くとして、
生徒は先のshallと同じようにして、
世界史と英語を一石二鳥で学び取れるので、
「ほほぉー。」と納得してくれます。

by Hirosuke (2013-10-16 09:15) 
================================
#85

後志のおじさんは時間をたくさんもってらっしゃる。
頭に描いては見ても、そこまで徹底している人は世の中にほとんどいない。晴耕雨読を絵に描いたような暮らし。

自活しているところが仏道修行者である良寛とは違いますが、その点を除けば近い。
頭をぶん殴られたこころもちがします。
なんて余分なことばかりしているのだろう。

でも、現実の生活を変えられません。
せめて心境だけでもお近づきになりたいもの。
ええ、無理なことはわかっています。

ネットを通じてこうしてお話しできるというのはなんと幸せなことなのでしょう。
あなたが後志の地で暮らしているだけで、あなたの周囲に集まる子ども達の中からいつか世の中を照らす者が出てくるのかもしれません。

by ebisu (2013-10-16 09:18) 
================================
#86

世の中には知らないことが広がっている。まるで原野に立って風景を眺めているときのような気がする。

-------------------------------------
I will marry him.

I shall marry him.
の違いもよく判らなかった。せいぜい、shallの方がちょっと強い意味で「絶対結婚するの」と思っていました。
 でもshallの方は、運命ですから、「私、彼と結婚する運命なの」~言い換えると「私、運命の人と結婚するのよ」といったニュアンスなんですね。
-------------------------------------

合格先生、素晴らしい解説ありがとう。
この例でshallの意味がよくわかりますね、中高学生が飛び上がって喜びそうです。

コメント欄での議論を通じて、自分が知りえていることなんて実に小さく、学ぶべき領域は実に広大であることを思い知らされました。

こうした議論を開示することで、何人かの中高生そして大学生や社会人の学習意欲を掻き立てることができるのでしょう。

掛け値なし、本欄よりコメント欄が百倍面白い、仮定法の最終回が終わったら、皆さんの議論は(4)として本欄へアップ。

by ebisu (2013-10-16 09:31)
================================
#87

命令文の主語の省略は、「命令するのだから主語はつねにyouに決まっている、日本語でもそうだろ」なんて説明よりも、「godの省略という解釈も成立つよ」と言いながらキリスト教と世界史へと誘う授業のほうが、わたしが生徒なら百倍楽しい。

Hirosukeさん、あなたがいままでいくつかの苦難に遭ったのは、八百万の神々の何人かがあなたを塾稼業に専念させるために与えた試練のような気がしてきました。天職という言葉はこういうときに使うのがふさわしい。

ときどきクロスオーバすべきなんですね。生徒の知的興味をかきたてるにはそれが一番いい。
それぞれ自分の得意分野を持ち出せば授業がユニークになりたのしい。
教えている分野の他に二つ三つ、得意の専門分野があるかないかは授業内容にたいへんな差をつけることになる。

コメント欄は本欄より百倍楽しい⇒百倍楽しいコメント欄は本欄へアップ
by ebisu (2013-10-16 09:48) 
================================
#88

【運命】だと思ってたんだけどな・・・。

---------------------------------
第2章 初恋(8) 結婚 http://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/2011-10-09
[中2時代 1979]
----------------------------------
第4章 母方の(2) お嫁さん http://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/2011-10-12-2
[少年時代]
----------------------------------
「言いわけ弱虫」と呼ばれようとも。
with 『魔法のコトバ by スピッツ』 http://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30
[・・・Season 2 ・・・]
----------------------------------
【神】って残酷・・・。


by Hirosuke (2013-10-16 12:04) 
================================
#89

人生はときに残酷。人によって程度の差は多いにあります、でもその中から学べること、そういう苦難に出遭った周りに人々が自らの苦難を通してあなたに教えてくれていることがあるはず。
ああ、すべてがありがたいと思える日がいつか来るといいですね。

いつのころからか、人生にあったいくつかのことがそのときは辛かったはずなのに、ありがたいと、それがなければいまの自分はないと、感謝の念がわくようになりました。
あなたのこころにも平穏が訪れますように。
by ebisu (2013-10-16 12:18)

================================
#90

>元々の黒人の宗教観というのは、
   ↓
あぁ、そうだったんですね。


>死を迎えた日=魂が自由を手に入れた日、
>という発想で、だから、おめでたい日なのだ、
   ↓
なんとなく最近、
そう思い始めていたのです。


>ジャズも、
>そういった宗教観の元に生まれたわけです
    ↓
これは物語の推進力になりそうです。


>黒人霊歌=ゴスペルの
     ↓
だって僕の物語は、
YAMATO高校♪合唱部 『わが◆マイルストーン』2
なんですから。

by Hirosuke (2013-10-16 12:38) 
================================
#91

私の今の暮らしって、自分でも勤め人時代に実現したかった形だから(永遠のキャンプ生活?)不満はありませんけど、やはり、生半可な苦労ではなかったことは確かです。綱渡りみたいなものでしたよ。――――――
逆に、ebisuさんを始め、合格先生、Hirosukeさん(本当は真っ先に揚げたいZAPPERさんも)とのやりとりを通じて、北海道の知のレベルを上げるために自分にも少しできることがあるのではないか?畑はしばらく、他の方に預けて少しそういったことをやるべきではないか?と最近思い始めています。―――――
鷹揚羆さんのブログにありましたが、「初心者ほど、力のある者が教えなければならない。」至言だと思います。しかるに、後志の英語の授業は、教科書巻末の単語の訳語を読み上げるだけ。子供たちは、パズルみたいに訳語を組み合わせて訳文を作っています。あとは正解の「教師用教科書」のコピーを配っておしまい。
―――――――
私自身永遠に終わることのない勉強中の身ですが、後志の英語の「センセー」を1とするなら100位はあるだろう。それなら、北海道内で、英語の本質に迫れる人物を作る大切な初めの一歩を(中学・高校英語のことです。)サポートするのもいいかと。
―――――
営農資金返済完了まで後2年半。ゆっくり、爪をとぎながら考えてみます。

by 後志のおじさん (2013-10-16 23:38) 
================================
#92

うれしいね、教育改革の火の手が広大な北海道に広がっていく。
腰をすえて無理のないようにゆっくりおやりください。
by ebisu (2013-10-17 09:47)
================================
#93

中学時代は英語が得意でした。
でも、でも(涙)…。
前置詞とイメージ。
どなたかがそうしたことを教えてくれたなら、「意訳はダメ」なんて言われなかったら…。
涙がチョチョぎれます!^^
by ZAPPER (2013-10-17 11:28)
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#94

僕は【文法用語】が【憎】い!(怒)

by Hirosuke (2013-10-17 13:46) 
================================
#95

「仮定法」については、日本語にセンスのない英米文学者達が勝手な命名をしてきたということが明らかです。名が体をあらわさぬ命名は百害があります
漢字が特定のイミを表している表意文字だけに始末が悪い。漢字のセンスのいい生徒達がつまづいてしまいます。

数学では「無理数」です。irrational number 本当は「比で表せない数」という意味で、簡単に「非分数」と翻訳すればよかったのです。

>僕は【文法用語】が【憎】い!(怒)

同感。
外国語を漢字に翻訳するセンスがダメになっていますね。漢文素読能力も国語能力も明治期の人々に比べて、戦後のわたし達の能力は著しく低下してしまったのでしょう。

そうすると、小学校から英語を必修化し、テレビや携帯、ネットゲームなどにさらされているいまの子どもたちは、本を読む時間を奪われていますから、著しく幼児化し、伝統文化のすぐれた部分を急速に失っていくのでしょう。
学徒出陣をした者たちが残した「手紙=遺書」は年齢からは考えられないほど大人びた文章をたくさん書き残しています。ああいう文章の書ける二十歳はもうほとんどいないでしょう。哲学書など読みませんから。

国語は文化の根底にあるもののひとつですから、教育をおろそかにしたら、文化や日本的価値観の伝承が困難になる。
by ebisu (2013-10-17 14:09)
================================
#96

>前置詞とイメージ。
>どなたかがそうしたことを教えてくれたなら、「意訳はダメ」なんて言われなかったら…。

わたしもそう思います。

前置詞とイメージ、大西泰斗先生の本が高校生のときに出ていたらと思います。いまの中高生は幸せです、求めれば質のよいものがいくらでも手に入る。その代わり、別の誘惑もある。ネットゲーム、スマホ、ライン、過度な部活・・・本読む暇なんてないという中学生がたくさんいますね。
こんなんで世の中大丈夫かいな?
大丈夫なわけありませんね。

やれる範囲でやれと、直球勝負でいいと天がわたし達にサインを送ってくれています。(笑)

by ebisu (2013-10-17 14:17
================================
#97

 英文法については、半分賛成、半分反対です。
 例えば、主語・述語などの語順に関する者や文型の「英語に直接かかるもの」は、最低限必要でしょう。それに対し「未来形」や「不定詞」などの「日本語の訳から見たもの」は、あまり必要ないかと。willとbe goiug toを同じと教えたり、本来のtoの意味を置き去りにして、toの後に動詞の原型が来たら用法別で訳せ、というのは、あまりにも乱暴だと思います。仮定法についても、「助動詞の過去形+have+過去分詞」が来たら、「~だったら良かったのに」で訳せ、だとニュアンスがつかめないでしょう。
 自分の高校時代の英語の教師は、とにかく文法で「分詞構文」だの「関係詞」だの、やたらうるさかったですね。終いには訳をやってから、そこで文法に当てはめるという、本来、英文の意味をとらえるための文法であるはずのものが、本末転倒状況だろ、と思えるような授業~英語の原義からかけ離れているんじゃないか、と思えるような授業でした。少なくても自分はそう思っていました。

 ですから、たぶん、自分と同年代の人たちは、ここにコメントしていらっしゃる後志のおじさん、hirosukeさん、そして、ebisuさんのように、言語学者レベルの能力をお持ちでないと英語を使えない、とギブアップしているのではないかと思います。当然、高校時代、偏差値40台の英語レベルの自分から見ると、皆さんがすごくうらやましく感じます。

 例えば、前述のmarryという単語一つとってもそうです。
 marryは「結婚する・させる」と言う意味で、受動態になっても同じ意味。他動詞だから能動態で使うときは「~と結婚する」という日本語の訳になってもwithは使わない。受動態やgetを使うときは前置詞はtoにしなさい、なんです。そして、最後に、これは特別な単語なので例外として覚えておきましょう。たいていの人はこれでお終いだったと思います。なぜ、こういう使い方になるのか、という事は全く教えてくれませんでした。聞きに行っても「辞書に書いてあるでしょ」でお終いでした。そういう積み重ねが英語を嫌いにしていった要因かな、と思っています。
by 合格先生 (2013-10-17 16:21) 
================================
#98

>言語学者レベルの能力を
>お持ちでないと英語を使えない、
>とギブアップしているのではないか

そんな皆様、ご安心ください。

僕は高校時代に、
まず古文、次に数学、そして英語と、
次々に挫折した身でございます。

だから僕は、
国語も古文も含めて、
【文法用語】が【憎】いんです!(怒)

by Hirosuke (2013-10-17 23:26)
================================
#99

何故そんなに憎むのか。

こんな人生になったからです。
     ↓
「僕の病気は【四重奏】」
http://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/

YAMATO高校♪合唱部 『わが◆マイルストーン』2

by Hirosuke (2013-10-17 23:50)
================================
#100

ふふふ、わたしは高校時代に受験英語の洗礼は受けていません。
皆さんとは逆のコースをたどりました。

大学へ行くつもりはまったくありませんでした。中学2年生のころに大学へ行かずに独学で公認会計士になる目標を立てました。高校は当然商業科を選択、入試では8割程度の得点はとりましたよ。当時は9教科でした。
高校時代に公認会計士の受験参考書を揃えて勉強を開始。当時は7科目ありました。簿記論、会計学、原価計算、経済学、経営学、商法、監査論です。
近代経済学が面白くて、マルクス経済学にまで手を出しました。のめりこんでしまったのです。近代経済学と対比しながら独力で『資本論』を読み始めました。次第にマルクス経済学へシフトしていきました。時代の影響も大きかった。そこからヘーゲル哲学へ芋づる式に手が出ました。数行の文章がわからなければビリヤードをしながら手がすくと頭の中で文章を思い出し何度も反芻しながら考えました。
毎日家業のビリヤードを数時間手伝っていましたから、普段は土日以外はまとまった勉強時間が取れません。だから、夏休み、冬休み、春休みに家業を手伝うかたわら、10時間ほど勉強時間を作りました。あの当時は脳の容量が小さかったのか集中力が強すぎたのか、2週間を越し始めたあたりから危なくなります。脳が勝手に暴走し始めてとまらなくなるのです。いくらでもインプットできる状態になってしまいます。眠れなくなります、意志通りにはならない、勝手に脳が暴走しはじめますが、要求にこたえ続けると危ない、止まらなくなる恐怖をなんどか感じました。そこまでいったら、3日間はクールダウン。

学校の勉強は、ほとんど授業時間のみ、授業が終わった後で目をつぶり、黒板に書かれた文字を頭の中で再現してイメージとして記憶していました。案外簡単で数分で済みます。ビリヤードやるのと同じ要領なんです。小学生のときから頭の中で無限にビリヤードをやることができました。鮮明なイメージがカラーで浮かびます。だから夢も色つきのものが普通でした。時間がなかったので数分でイメージを固定するしかやりようがありませんでした。そういう能力に気がついたのが中学2年生のときでした。それを勉強に応用しだしてからはじつに点数を取るのが簡単になってしまいました。

高校時代は公認会計士7科目の勉強三昧、だから、英語と数学は不足を感じて大学へ入学してから勉強しました。英語は専門書やジャパンタイムズが読みたくて。大学院へ進学するときに先輩が週に一度半年ぐらい本を読むのに付き合ってくれました。青森大学のT教授です、いま経営学部長だったかな。あの当時は英語の読解力にずいぶん差がありました。いい先輩に恵まれた。

分詞構文なんて実際の英文ではほとんど出てきません。英字新聞で出てきたら90%以上の確率で日本人のスタッフライターが書いたものです。逆に、重文で後のほうの文が主語が同じときに分詞化するのは修辞上のお約束のようですから頻繁に出てきます。しかし、これを説明している高校英文法の参考書はまだ見たことがありません。ワードオーダすら受験英語ではあまり説明されていません。実務的な知識がずいぶんと欠落しているように感じます。
英語の専門知識は8割がた、英語の本で構築しました。日本語の専門書を読むよりも一石二鳥だったからです。問題集もOxford出版から出されているものなど、海外で出版されたものを10冊くらいはやったでしょう。好奇心が強いのでしょうね。
経営管理をやっていたときには米国で出版された管理会計の本や経営戦略や実行予算などを解説した経営学の本を洋書で読み漁りました。仕事で統合システム開発をしていたときにはやはり、日本語の専門書と、時代に先端を行くシステムなので、日本語の本がなくて、何冊も英書を読み、すぐにそれを実務で使っていました。一時期は人口知能と自動翻訳に興味が出て、チョムスキーの言語学に関する著作を3冊ほど読みました。翻訳が出ていないんです。
検査試薬の開発を製薬メーカと共同でやった前後は、海外の医学雑誌20誌くらいに眼を通していました。
だから、英会話は苦手です。やっていないことはできないものです。音読トレーニングは多少やりました、あれは気持ちがいい。

仕事で必要だったのは本を読み、それをただちに実務で使うことでした。システム開発に関するさまざまな技術は実務で使ってみないと身につきません。仕事があってのことです。
仕事に恵まれていました。ずいぶんと贅沢に仕事をさせてもらいました。4回転職しましたが、その都度大きな仕事を任せてくれた上司と社長にを感謝です。
大きな会社は便利なもので「社内転職」ということができます。まったく異なる部門に異動します。もちろん、その部署に必要なスキルのあることが前提です。
基礎学力の高さがあれば、たいがいの部門で、その部門プロバーの人たちと同じか、異質の技術をもっている分だけ有利に競えます。仕事でこそ、クロスオーバした能力が求められます。

残念ながら、英語に関しては言語学者ほどの知識はもちあわせておりません。わたしのは好奇心の赴くままに本を読んで得た知識の寄せ集めにすぎません。
早い話しが、仕事に関連する分野で興味が湧いたり必要に迫られて本を読み漁ってきただけですから、好い加減なものです。
だから、受験英語で合格先生のような苦労をしておりません。(笑)

好奇心の赴くままに勉強したらいい、好きこそ物の上手なれとはよくいったものです。
結果はご覧のとおりです、ebisuの元々の専門は管理会計学と理論経済学ですが、他にもシステム開発技術、経営学、医学関係など、必要に応じて海外で出版された専門書が読めるようになりました。
 忘れていました、言語学の本も、チョムスキーだけですが、構造言語学に関する著作を原書で何冊か読んでいます。自動翻訳や人工知能に興味のあったことが2年間ぐらいありましたから。ときどき、具体的な表層構造(Surface Structure)の分析に深層構造(Deep Structure)が使われていますがこれは生成変形文法です。英文の精読には欠かせない技術です。

 ebisuにはわからないことだらけですが、世の中のことをいくらかわかった気にさせてくれる基礎学力のパワーはまことにありがたいものです。
 ですが正直なところを申し上げれば、やはりなんにも分かっていないような気がします。とくに『ソクラテスの弁明』(岩波文庫)や友人・遠藤利國の書いた『百%の真善美 ソクラテス裁判をめぐって』(2013年刊 未知谷)を読んだ後は、木っ端微塵に粉砕され、己の小ささに恥ずかしくなります。ソクラテスはまぎれもなく智の巨人であり、弁明術の恐るべき達人であります。
 
by ebisu (2013-10-18 01:56) 

================================

(注) 漢字変換ミスと思われる箇所や、改行を入れたほうが読みやすいと判断した箇所など、自分の分も含めて修正してあります。オリジナルは元のコメント欄にあるので、そちらと対照していただければ、すぐにわかるようになっています。投稿時刻の順に並んでいるので、すぐにみつかるでしょう。
 わたしのコメントは随時修正・加筆していますが、校正作業ぐらいのつもりでやっているのでよろしくご了解願います。もちろん、論旨を変える様なことはございません、あった場合にはその旨理由とともに書き込みます。


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#2461 'it' ってなに?& shall とwil の根っこの話し Oct. 22, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 「'it' ってなに?」
 「知ってるよ、「それ」、代名詞でしょ!」
 「「それ」ってなによ、説明してみて」
 「..........」

 ようするになんだかわからないのです、どこから生まれたのか、なんなのかよくわからないというのがebisuの感想。話しはますます飛んで、別な領域へと広がっていきます。ドイツ語の単語を媒介にして精神分析学とはたして接点がでてくるのか、夢か幻か現(うつつ)か、なにやら境界がぼやけて根室の深い霧に包まれていくような心地がします。このテーマはまだ充分に発酵していません、しばらく時間が必要に見えます。とりあえず問題提起ということで受け止めたいと思います。

 メインテーマはsubjunctive(假定法あるいは亜型接続法)に関連して、shallとwill、shouldとwouldです。これら二つの対立概念を比べながら相互の関係とそれぞれの姿がくっきり浮かび上がってきます。

■  命令法(命令文)は名前が悪いので次のように変えたらどうだろう(#67)

  強迫形 第一式 押し付け形
        第二式 そそのかし形
今の緩みっぱなしの教育現場には案外ふさわしいかもしれません。

■ willとshallの違いほんとうにわかっていますか?
I will marry him.

I shall marry him.

 この二つの文の意味の違い、たいへんな違いなんです ⇒ #82

■ 命令文はsubjunctiveでGodの省略がベースかもしれない。

こんな面白い議論は高校英語参考書にはないでしょうね。


「#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 」コメント欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 #63~#82


================================
#63

おはようございます。

まず最初に、
僕は【無神論者】であり、
全ての宗教に対して中立である事を宣言します。

もう一つ、
ドイツ語は挫折した身であるため、
推測に過ぎない点も強調しておきます。

-------------------------------
【それ】が僕に言わせているのです。

三単現
⇒he, she, it の(e)s
-------------------------------

ドイツ語には、
「釈迦に説法」かもしれませんが、
男・女・物の区別なく第三者(それ)を表す語がありますね。

わざわざ漢文で表現すれば、
------------------------
其れ即ち独国に【es】あり。
------------------------

【英語における「三単現の(e)s」】とは、
【ドイツ語のes】が転化適用された物ではないかと。

さらに妄想を暴走させると、
【其れ】とは【英語のIt】であり、
【ギリシャ語のId】と同値ではないかと。

ここで大文字の【It】と表記したのは、
【其れ】と同値になるのが、
文頭に使われる場合に限るからです。

【精神分析学のes】に関しては、
何らかの予感があるものの、
深い考察までには至っていません。

by Hirosuke (2013-10-13 08:09) 
================================
#64

Hirosukeさんへ

イドは精神分析学の用語のようですね。「イドー」という表記も見た気がしますが。
エーリッヒフロムについて何度も貴ブログで取り上げていましたね。
わたしはフロムの本を三十数年前に1冊だけ目を通した気がするのですが内容については記憶がありません。ライヒの本は数冊読みました。
わからないので、ウィキペディアでidを引いてみました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E6%88%91

--------------------------------------
自我(エゴ)はエス(イド)からの要求と超自我(スーパーエゴ)からの要求を受け取り、外界からの刺激を調整する機能を持つ。無意識的防衛を行い、エス(イド)からの欲動を防衛・昇華したり、超自我(スーパーエゴ)の禁止や理想と葛藤したり従ったりする、調整的な存在である。全般的に言えば、自我(ego)はエス(id)・超自我(super-ego)・外界に悩まされる存在として描かれる事も多い。

自我(エゴ)は意識とは異なるもので、飽くまでも心の機能や構造から定義された概念である。有名なフロイトの格言としては「自我はそれ自体、意識されない」という発言がある。自我の大部分は機能や構造によって把握されており、自我が最も頻繁に行う活動の一つとして防衛が挙げられるが、この防衛は人間にとってほとんどが無意識的である。よって「自我=意識」と考えるのには注意しなくてはならない。
--------------------------------------
エス (Es) は無意識に相当する。正確に言えば、無意識的防衛を除いた感情、欲求、衝動、過去における経験が詰まっている部分である。

エスはとにかく本能エネルギーが詰まっていて、人間の動因となる性欲動(リビドー)と攻撃性(死の欲動)が発生していると考えられている部分である。これをフロイトは精神分析の臨床と生物学から導いた。性欲動はヒステリーなどで見られる根本的なエネルギーとして、攻撃性は陰性治療反応という現象を通じて想定されたものである。またエスは幼少期における抑圧された欲動が詰まっている部分、と説明される事もある。このエスからは自我を通してあらゆる欲動が表現される。それを自我が防衛したり昇華したりして操るのである。

エスは視床下部のはたらきと関係があるとされた。なおこのEsという言葉はフリードリヒ・ニーチェが使用し、ゲオルグ・グロデック(ドイツ語版)の“Das Buch vom Es”(『エスの本』)などで使われた用語である。フロイトは1923年に発表した『自我とエス』という論文で、彼のこの用語を使用するようになった。
--------------------------------------

精神分析学の専門用語のエスと中性代名詞のesにはなにか関連があるのでしょう。

なにやらitという単語が深い霧に包まれ始めたような気がします。


by ebisu (2013-10-13 09:05) 
================================
#65

 ebisuさん、いろいろ調べてくださってありがとうございます。やはり、様々な解釈があって、これだけでも、かなり面白いですね。
 それで、実は、自分は今回の問題は、文法から攻めるより、クラーク博士の意図から攻める方がいいのではないか、と思った次第です。そこで、状況を確認して、意図を読み取ろうと思いました。自分の感覚で言うと、新渡戸稲造さんの解釈が、一番、しっくりくるような気がします。

 それから、itを「神」と解釈しているのでは? と言う点については、後半に「God bless you」があるので、こことひっかけているのかな? と深読みしてしまいました。あはは。

 ただ、shallは「神の意志」、willは「神以外の万物の意志」という意味なので、もしもこれが「神」を差すならば、shallが必要、と判断した次第です。
by 合格先生 (2013-10-14 03:54)
================================
#66

>itを「神」と解釈しているのでは? 
>と言う点については、
    ↓
半分Yes、半分Noです。

言い換えると、
僕自身はNoですが、
語のキモチはYesらしい。

カンマなしのBoys be ambitious. を見て、
「なるほど、◆God bless you!◆と同じだ。」
と感じたんです。

そして更には、
◆Bless you!◆
とも言われたり書かれたりする。

ここには、
キリスト教の教義が関係していると、
僕は深読みしているのです。

長くなるので、
ひとまずココまで。

by Hirosuke (2013-10-14 06:50)
================================
#67

おはようございます

ははは、朝一番でこれを読んで、こいつは朝から楽しいワイ、です。

>クラーク博士の意図から攻める方がいいのではないか、と思った次第です。そこで、状況を確認して、意図を読み取ろうと思いました。自分の感覚で言うと、新渡戸稲造さんの解釈が、一番、しっくりくるような気がします。

新渡戸の説が一番状況にあっていますね。クラークが住んでいたどこか田舎の挨拶句にこれがあるという説もあるようですから。
たいして深い意味はなくクラークが言ったとしたら、詮索好きの日本人に好餌を与えてしまったわけです。

まあ、それを承知でわたし達はこの句を材料に高校生諸君を鼓舞・幻惑すればいいのでしょう。それも塾講師の役目のひとつかな?

Eさんが命令法は次のように書き換えたらいいとメールで提案してきました。
------------------------------------
...したがいまして、命令形も強迫形となりますね。

  強迫形 第一式 押し付け形
        第二式 そそのかし形


今の緩みっぱなしの教育現場には案外ふさわしいかもしれません。


------------------------------------
by ebisu (2013-10-14 08:51) 
================================
#68

shallが神の意思でwillが人間の意思ですか、そういう使い分けだったのですか、初めて聞きました。知っている範囲というのは狭いものですね。(苦笑)

さて、itについてですが、「人の人生あるいは人をとりまく周辺の状況」という項目が、マクミラン・イングリッシュ・ディクショナリに載っています。

reffering to sb's life or situation

someone'sが人生だけにかかっているのか、後ろのsituationにもかかっているのかハッキリしませんが、わたしは後者をとりました。あ、後ろに具体的な説明がありました、OKですね。「人の人生・仕事乃至は人を取り巻く漠然とした状況」

used for reffering to someone's life , work, ,or general situation:

What's it like in the army these days?
He 's been having it pretty easy up to now.

文例1は仕事の話ですね。「このごろボスの態度はこわもてで俺達をこき使いやがってまるで軍隊のようじゃないか」と、ボヤキにも聞こえてきます。
文例2は人生かもしれない。「あいつはいままでのところかなり好い加減に暮らせてきた」、これから先はそうは問屋がおろさないだろうなという含みが感じられます。

わたしが天体(星)の運行を例の一つにあげたのは、運命性の動きがその人の運命や行動に干渉するという、広く人々が信じていた事実に基いた推論です。general situationはそこまで拡張していいのかなと...

itはなかなか含意が深い。
読んでる高校生や大学生は楽しいだろうな(笑)
by ebisu (2013-10-14 09:20) 

================================
#69

>willは「神以外の万物の意志」
   ↓
神の前においては、
万物は全て等しく平らかですからねぇ。


>shallは「神の意志」
   ↓
僕なりの見解を付け加えますと、
【神の意志・意思を代弁する】まで含みます。

元々の当初のshall は、
遥かなる高みに存在する神のみが、
下界の民に向けて発した語であって、
それゆえ【一人称】でのみ使用されていました。

しかし宗教の宿命と言うべきか、
これを人間は捻じ曲げて政治に悪用し始めます。

いわゆる【王権神授説】です。

これにより、
王・女王・皇帝・女帝・貴族・領主たちも、
shallの主なる使い手となりました。

「余は(神の意志により)~するぞよ。」

こんな風にshall には、
ふんぞり返って王座から物を言うような、
超【上から目線】な響きが生まれてしまいました。

ところがshall を使って疑問文を作ると、
このニュアンスは正反対に逆転して、
うやうやしく地に這いつくばるように膝を付き、
「神の意志」を問うものとなります。

中世の平民としては、
「~してもよろしゅう御座いましょうか?」
と神待遇でShall I ~? Shall we ~?と、
主に地元のタカビーな領主に向けて発したのでしょう。

絶対政治の崩壊した現代では、
人間を主語とするshall用法は廃れて、
主にshall は疑問文だけで使われていますが、
中世当時ほどの平身低頭な響きは薄れています。

以上、
shall に対する私見でした。

by Hirosuke (2013-10-14 14:08) 
================================
#70

そうか、聖書だ、聖書がshallを多用しているんだ。

聖書を読まないといけませんね。西洋文化理解の根っこの部分だ。

それにしても、Hirosuke さんのshallの説明は素晴らしい。
by ebisu (2013-10-14 14:10) 
================================
#71

 すぐに聖書が出てくるって、さすがebisuさん、すごい!
 自分は聖書を原文で読んだことがほとんどないので、全然違う方面からのアプローチだったんですけれども、このお話しをしている人は、聖書あたりからも読み取っているようです。
 そこで、自分の書き方が漠然としてしまっているので、誤解を与えたかも知れません。そこで、ちょっと長くなるかも知れませんが、説明しておこうと思います。

 まず、shallについてですが、これは、原義が「神の意志」で、実際に使っている意味合いとしては「そういう運命だ」とか「必ずそうなる」という意味で使われます。
 ですから、中学校でよく例文で出てくる
Shall I carry your bag?
は、「(偶然、あなたが重い荷物を持っているところに出会ったのは)あなたのバッグを持てという神の意志があったのですか(そういう運命なのですか)?」という解釈で、これが日本語に転じて「バッグをお持ちしましょうか?」という表現になっています。
 いわゆる「Shall I~」で「~しましょうか?」ですね。
 そして、この日本語の解釈を行ったうえで「相手の意向を訪ねる」という文法的な分類が行われるんです。

 黒人霊歌=ゴスペルの
We shall overcome.
についても、普通に訳すと「私たちは克服するでしょう」なんです。でも、これは神の意志ですから「必ず克服する日が来る(克服する運命である)」という意味なんです。
 で、これはキング牧師の公民権運動の際に歌われたときには、自由を獲得できる日が必ず来る、という意味だったと思いますが、もしも、黒人霊歌として葬式の際に歌われた場合、「奴隷の辛い生活を克服する日=死を迎えた日」という解釈で、必ず克服できるものなんだ、という解釈が成り立ちます。要するに「必ず訪れる」「運命である」ということですね。
 この解釈はネット上ではあまり見かけないと思いますが、元々の黒人の宗教観というのは、死を迎えた日=魂が自由を手に入れた日、という発想で、だから、おめでたい日なのだ、という感覚が根底にある、ということですね。ジャズも、そういった宗教観の元に生まれたわけです。

 ですから、マッカーサーの
I shall return.
も、「私は戻ってくる運命にある」という意味で、これを「日本の状況を情報とつかんでいて、必ず戻ってくる(確信)」として捉えていくか、「俺は勝って絶対戻ってくる(強意)」として捉えていくか、それとも「白人が黄色人種に負けるわけがない」という意味で言ったのかは、この段階ではよく判りません。
 ですから、元々の「神の意志」というところを踏まえて、その発言の意図を解釈しよう、という流れになる方が、「意志未来」や「単純未来」「確信」「強意」という辞書に書かれている意味合いから意図を読み取ろうとするより、より分かりやすいし、本意に即しているだろう、というのが、自分のアプローチ方法なんです。
by 合格先生 (2013-10-15 04:33)
================================
#72

 willについて、「万物の意志」と解釈しているのは、例えば人が主語で
I will go there.
のように、「私はそこに行くつもりだ」は、中学校文法通りですが、これが、人以外のもの、例えば
This flower will bloom beautiful.
となった場合、日本語の訳としては「この花は美しく咲くでしょう」ですが、本来「この花は美しく咲くつもりでいます」という花の意思を表しているという解釈なんです。
また、中学校で例文として出てくる
It will be rainy tomorrow.
も、日本語では「明日は雨が降るでしょう」という訳ですが、これも、「それが雨を降らせるつもりでいます」と解釈するんです。
 ところが、この場合、もしも、主語のitが「神」を表すならば、西洋の宗教上では「神のいう事は絶対」ですから、これを天気予報言って、万が一外れるようなことがあるととんでもないことになります。ですから、itは、神を表してはいないんです。
 それで、itは、「何か漠然としたもの」、天気で言えば、「空」とか「風」とか「空気」とか、そういうものを差す、という解釈になります。
by 合格先生 (2013-10-15 04:47)
================================
#73

 となると、shouldは「神の意志があった」という意味になります。その場合、神が過去に言ったことは、もうすでにみんなが知っているはずだ、ということになって、「世間一般に言われていること」や「比較的常識的なこと」という意味になります。中学校で出てくる例文として出てくる
You should go to a doctor.
も、結局は、病気になった相手に「医者に行った方がいい」というのは、比較的誰でも言いそうなこと。
wouldも同様に、「意志だった」というだけ、と捉えておくといいと思います。
 そうすると、wouldの説明として「過去から未来を見るからwillの過去形を使うんだ」という解釈は不要ですし、そもそも、そんな面倒な見方はしていないだろうとも思います。
 仮定法についても同様ではないか、とも思います。
by 合格先生 (2013-10-15 05:19)
================================
#74

>itは、「何か漠然としたもの」、
>天気で言えば、「空」とか「風」とか「空気」とか、
>そういうものを差す、という解釈になります。  

聖書から得た見解を。
-----------------------------------------
古代の人々は、自分の周辺に充満している、自分の意志を超越した(超自我の)不可思議な【もの】を感じ取り、それを【it】と呼んだ。

この最初の時点では、まだ【神】の存在は意識されておらず、ただ「何か不可思議な【もの】」でしかない。

人間が【神】を知りコンタクトを始めると、神から「お前達が【it】と呼んでいるものは、私の【精霊】である。」との啓示を受けて、【it】の正体を知る。

【精霊】とは【神の発するエネルギー】であり、それ自体は意志や人格を持っていないものの、あまねく全宇宙に満ち満ちて万物を創造し、今なお神から供給され続けている。

人間イエス・キリストが奇跡を起こせたのも、神との個人的な【精霊】のチャンネルを持つが故であり、イエス自身が神だからなのではない。
----------------------------------------
ここまでが聖書から得られる知見です。

ところがところが、
またもや人間(支配者たち)は曲解を始めます。

いわゆる【三位一体】です。

聖書自体には【三位一体】という用語は出てきませんし、
文字通りに素直に読んで行くと、
       【精霊】=【神】=【イエス】
という解釈には成り得ません。

これ以上は宗教論争になってしまいそうなので、
ここで止めておきます。

◆結論◆
-----------------------------------------
古代の人々は、自分の周辺に充満している、自分の意志を超越した(超自我の)不可思議な【もの】を感じ取り、それを【it】と呼んだ。
-----------------------------------------
by Hirosuke (2013-10-15 07:35)
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#75

お詫び

聖書には【it】に関する直接の言及はありません。
ここは私見が混入しました。

by Hirosuke (2013-10-15 08:09) 
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#76

合格先生の論理的な説明、こういうことも高校生や大学生は学んでほしい。自分の言いたいことを誤解なく伝える技は、社会人となったときに実に強力な武器となります。
大きな会社で取締役になる人の大半は仕事ができるだけではなく、文書作成能力が抜群に高い。稟議書一つを考えても、少し大きな会社は文書で動いています。読んでわからない文書に判を押す人はいません。

shallとwill、そこから假定法のshouldまで一本のラインを引いて見せてくれました。すごい技です。

「釧路の教育を考える会」には他にもこういうレベルのメンバーが二人存在しています。 もちろんわたしはその数の中には入っていませんよ、現役バリバリの年齢層にそういう人たちがいる。
ebisuは会員専用掲示板上での議論を毎日楽しんでいます。釧路と根室のこどもたちの学力を底上げしないと、子ども達の人生も釧路の地域経済にも深刻なダメージをあたえることになると、みなさん本気です。
本気は仕事の遂行の能力に支えられないと現実に影響することが出来ませんが、両方そろっています。

by ebisu (2013-10-15 08:10)
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#77

キリスト教はユダヤ教やイスラム教徒同じ、啓典宗教です。神は唯一絶対神ですから、精霊などを認めるはずがありませんので、コメントしようかと思っていました。

>聖書には【it】に関する直接の言及はありません。
ここは私見が混入しました。

すぐに訂正しましたね。すばやい。(笑)
間違えていい、間違えたらきちんと訂正するかしないかに人間性が現れるものです。

しかし、itの理解に関しては同意できますね。人間ではないなにか漠然としたものという印象がありますから。
だらかわたしは最初のほうで、人間の運命に影響すると考えられていた天体(星)の運行を例の一つにあげました。

古代ギリシアも日本も多神教です。いたるところに神様が宿ります。北海道には蕗の下のかわいい神様、コロポックルまでいます。八百万の神々がいる、どこかほのぼのとして自然と調和がとれて、ゆったりした気分になれます。

啓典宗教は、唯一神=造物主と人間の契約によって成立ちますから、神と人間の間に常に緊張関係が生まれます。

正体不明の造物主にはgodとともにitがふさわしい。キリストは単なる預言者。外側から眺めているわたし達から見ると、マホメットと同じ立場の預言者。神の言葉を預る者です。招待がハッキリしているので、itというわけにはいかない。

by ebisu (2013-10-15 09:27) 
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#78

そうすると、itは古文の「もの」に近い部分がありそうですね。「もののけ」「ものくるをし」「ものかなし」など。なんとなく漠然とあたりをさすわけですから。――――willですが、私は、主語の「意思」(名詞のwillの本義)でさらっと流してました。1・2人称ならそのまま使えるし、3人称なら本人の意思はわからないから「推測」です。神と人の対置なんて考えたこともなかった!ただ、shallは上から目線という、Hirosukeさんの感覚はありましたけど。――――マッカーサーのI shall return! なんてwillでは、今は思っているけど…どうなるかわかんない、am going toでは、お前の戦争はスケジュールが決まっているのかいって突っ込みたくなるし。―――少し、中高生にもわかりやすいことを書いてみました。
by 後志のおじさん (2013-10-15 13:08) 

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#79

>マッカーサーのI shall return! なんて
    ↓
中・高時代の地元でしたよ。
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第8章 若葉の頃(4) タッチ&ゴゥhttp://hironagayuusuke.blog.so-net.ne.jp/2012-06-26
 [中3時代 1980]
------------------------------------
YAMATO高校♪合唱部 『わが◆マイルストーン』2
     ↑
中高生にも理解しやすいことを大量に書いてます。

by Hirosuke (2013-10-15 14:50) 
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#80

Hirosukeさんへ。内容が重複したのかもしれませんが貴ブログはみてはいません。私、ガラパゴス携帯で全ての用を済ませているので、例えば合格先生のブログもみれないのです。貴ブログも、少し読めるページはありますが、全体を見ることはできない状態です。――――今の世の中、時代遅れも甚だしいけれど別にそれでいい。(因みに当然PCもありません。TVもなし。)電力契約は20W。暖房は、まきストーブ。食料自給率70%。(農水省得意の金額ベースで。)―――――昼は畑。夜は原稿か酒を飲みながらののんびり読書、そんな生活を送っております。(今は、夜も出荷作業がありますが。)
by 後志のおじさん (2013-10-15 23:53) 
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#81

後志のおじさん

そういう生活を僕はしたいと、
ずーっと子供の頃から憧れていました。

PCあれども、ケータイなし。

テレビあれども、聴覚過敏。

体も心も無理きかず。

昼は昼寝で、夕から塾へ。

夜は週に二度ほど酒を飲みつつ、
記事を書いたり書かなかったり。

そんな生活を送っております。

by Hirosuke (2013-10-16 00:48)
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#82

 中学校英文法におつきあいいただき、ありがとうございました(笑)。
 ただ、実は、これ、自分への戒めのようなものなんです。正直、中学校の文法くらい、と分かったような気になっていた、というのが本音です。
 shallはwillのちょっと強くなった表現で、過去形のshouldは「~すべき」で訳しておけばいいだろ、くらいだったんです。willに至っては、完全に「未来形」を信じていたわけです。全然違いますよね。
 だから、
I will marry him.

I shall marry him.
の違いもよく判らなかった。せいぜい、shallの方がちょっと強い意味で「絶対結婚するの」と思っていました。
 でもshallの方は、運命ですから、「私、彼と結婚する運命なの」~言い換えると「私、運命の人と結婚するのよ」といったニュアンスなんですね。
 willの方も、自分の意志なら自分でわかりますが、相手や第三者の意志を読み取るには、何らかの根拠が必要で、日本語文法で言うところの「推定」の方にニュアンスが近い、ということなんですね。

 ちなみに、これを読んでいる中高生の方のために、少しだけ補足を。

 クラーク博士の話が出ていたので、このクラーク博士のWikiのページに行ってみてください。すると、彼のキリスト教の教義の中に次の一文があります。
「あなたは、主なるあなたの神の名を、いたずらに口にしてはならない」
 ですから、少し前のHirosukeさんのコメントに「God bless you」を「Bless you」と言う事もある、と書いてありますが、これは、神である「God」を簡単に口にしてはいけない、ということで、わざと「God」の部分を省略しているのです。これと同様なことは「Oh,my God」でも起きていて、「Oh,my」でやめてしまっていたり、「God」を「Gosh」や「Goodness」と言い換えたりします。全部、同じ意味と捉えておきましょう。
by 合格先生 (2013-10-16 05:24)
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#2458 英語コメント投稿用ダミー Oct.22, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 #2446「仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013」へのコメント投稿が100を超えたので、場所をこちらに移します。

 よろしくご協力ください。

 Hirosukeさん、
 後志のおじさん、
 合格先生へ


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#2457 仮定法ってなんだろう(4):"Boy's, be ambitious."をめぐって Oct.22, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

  仮定法について、すでに46個のコメントを紹介しているが、#2445へ92個、#2446へ8個追加されているので、本欄へアップしたい。10/21現在で、累計146個のコメントがある。

 高校英文法の範囲を少し越えており、話しは縦横に飛ぶ、大学入試にはほとんど関係ない話だが、高校生は論理を追ったり、思考過程を追体験することでえられるモノがあるはずだから、楽しみながら読んでもらえたらうれしい。

 Boys, be ambitious!
 Boy's be ambitious!

  クラーク博士が、別れ際に馬上から見送りにきた学生に投げかけた言葉であるが、カンマをつける命令文との理解が正しいのか、それともカンマなしの仮定法の文と理解するのが正しいのか、両方の議論を聴いて、議論に参加したつもりで、あなたなりの論拠を組み立て(箇条書きにして)結論をだしてみたらいい。面白い作業になる。

 だれもが知っている文や言葉がそれぞれの四人四様の問題意識や興味から俎板にのせられ、研ぎ澄まされた包丁で捌かれる。参考書にはまったくのっていない論点がたくさん提出されている、大人の議論を眺めてみるだけでも楽しいだろう。

「#2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 」コメント欄より
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 #47~#62
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#47 

僕は単なる人間です。

【それ】が僕に言わせているのです。
-------------------------------
三単現
⇒he, she, it の(e)s
-------------------------------

by Hirosuke (2013-10-11 09:39) 
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#48

ははは、おはようございます。

文殊菩薩の化身や分身はもちろんモノの喩え(直喩)ですが、文殊菩薩がいたとしたらものごとを一時に八百の視点から眺めているのでしょう。
わたしたちは、「假定法」をそれぞれ独自の視点から眺めてそれぞれの意見を述べ、假定法を再考してみました。
菩薩ならぬ俗人のわたし達の視点を合計してもわずか三つであるのかもしれませんね。文殊の八百とは比べものになりませんか。

菩薩ならぬ人である「それ」が言わせる。

>僕は単なる人間です。

>【それ】が僕に言わせているのです。
-------------------------------
三単現
⇒he, she, it の(e)s
-------------------------------

?

なぞかけ?
何か意味がありそうですね。
by ebisu (2013-10-11 10:30)
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#49

Essay風にかかれていて、面白いですね。「仮定法」というネーミングからはじめたのも読みやすいと思います。機会があったら、私も「仮定法」という名称は、日本人のネーミングであることに、触れてみます。――――誉められ過ぎて、こそばゆい気分の謎の後志のおじさん、でした。
by 後志のおじさん (2013-10-11 11:00)
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#50

書き出しが学術論文風では一番読んでほしい高校生に読んでもらえませんから、配慮しました。

次はどうなるのか、書いてみないとわたしにもわかりません、どういう結論になるのかまだ漠然としていますが、そこがじつに楽しい。とりあえず一歩踏み出し、次の一歩を考える。
一人ではできません、皆さんのお陰です。

こうした共同作業風の探索ができるのはネット社会のメリットですね。
by ebisu (2013-10-11 15:27)
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#51

クラーク博士に関するWikipediaをみました。Boys―be―ambitiousには、はっきりした記録はないのですね。「場面」と「心の向き先」で、「命令法」とも「仮定法」とも読めますね。――――――でも「命令法」ってこれまたネーミングのセンスの悪いこと。私が明治時代に名付けられたなら「要望法」とでもつけたかな?明治の時代、人への要望は「命令」口調ですんでいた人が命名したのでしょうか。ずいぶん時代に合わない言葉になっています。―――ebisuさんを、さらに煽ろうとしています。(すみません。)Hirosukeさん、合格先生は、のっていただけるかな?

by 後志のおじさん (2013-10-12 00:13)
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#52

 せっかくの後志のおじさんのお誘いですから、のってみようと思います。

 自分の個人的な感想ですが、ここの解釈はカンマが入る方が正しいのではないか、と思います。
 ここからは完全な推測ですが、クラーク自身は、アメリカに帰ってからいくつか企業を設立している人ですから、本人も野心家だったのではないかと想像しています。そして、そういう人の目から見ると、おそらく、当時の日本人は今以上に外人に対して抵抗感があり、あまり積極的な活動をするように見えなかったのかな、という気がします。

 そこで、ambitiousになりますが、この言葉は、名詞形ambitionでたどると分かるのですが、元来、「名声をえるために積極的に動き回る」という意味だそうです。
 だから、のちに確認された「Boys, be ambitious like this old man」という言葉として残ったのではないか、と。

 それから、ebisuさんが本稿中に記載している、後世の人が後でつけた内容の英文は、解説というより、実際に話している内容の記録という感じがします。ですから、きっとBoys, be ambitious は、別れのときに突然初めて言った言葉ではなく、講義中などの何かの機会にクラーク自身が言ったことがあるセリフなのではないか、そしてそれを書き留めておいた誰かが後で付け足したのではないか、そのように感じます。

 ですから、最終的な自分の結論としては、このBoys, be ambitious は、「お金や一時の名声ではなく、後世に名を残すような偉業を達成しようとして、もっと積極的に物事に取り組むようにしなさい」という意味として捉えています。

 「命令法」という命名については・・・生徒としてネイティブから習っていた当時の学者さんたちの立場で言うと「黒板を見なさい」とか「テキストを読みなさい」と常に命令されていたときに使われた言葉なので、このようになったかと・・・
by 合格先生 (2013-10-12 07:24)
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#53

ペンキ塗りをしてました。
「要望法」、なるほど、要望のこともありますね。
命令にも使うし、要望にも使う、日本語の概念とずれが生じているのでしょうね。imparativeにぴったりの日本語がない。

おなじことがsubjunctiveにもあるのでしょう。『国文法のちかみち』小西甚一著を読んでいたら、subjuntive moodが「仮想」と訳されていました。反実仮想の助動詞「ましかば...まし」のところです。
ひょっとして、後志のおじさん知ってましたか、この本のこと。subjunctiveと「ましかば...まし」は概念がぴったり重なりそうです。


by ebisu (2013-10-12 11:49)
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#54

「国文法のちかみち」という本は、読んだことがありません。だいたい、ズボラな性格なので、ましかばと仮定法のリンクも、たまたま古典を読んでいて思いついただけなのです。――――――――命令法に分類される文に、Have a nice weekend!や、Stand by me!他、どう考えても「命令」という名称にそぐわないものが、多々あります。仮定法現在の祈願文も原型ですし、動詞の原型って望みや願いの感覚をもっているのか?と思いはじめたのです。異種三次元世界のHirosukeさんの見解をぜひ伺いたいです。――――ですから、クラーク博士の言葉も合格先生の見解と同じく、,入り。ただし「命令」ではなくて、「志を高くもてよ」(文末上がり調子)と、おすすめ位の気持ちだろうと思います。
by 後志のおじさん (2013-10-12 12:24)
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#55

いろいろ解釈できて、すごい文ですね。
---------------------------------
実際に話している内容の記録という感じがします。ですから、きっとBoys, be ambitious は、別れのときに突然初めて言った言葉ではなく、講義中などの何かの機会にクラーク自身が言ったことがあるセリフなのではないか、そしてそれを書き留めておいた誰かが後で付け足したのではないか、そのように感じます。
----------------------------------

説得力のある推測の一つです。
議論が楽しいのであえて異論を。
わたしはこの句から、サムライを感じるのですが、合格先生の印象はいかが?
Be ambitious not for money or for selfish aggrandizement,...

武士は金勘定をしない、武士道そのまんま。いつでも死ねる覚悟をもって生きているから利己心とは対極の生き方。
当時の日本人がもっていた価値観がそのまま表出されている文のように感じます。

クラーク先生が講義の中では何度か話していたなら、それを聴いていた学生達はambitiousという言葉をピューリタンの価値観ではなく、日本的価値観の中で消化したのではないか。

----------------------------------
ですから、最終的な自分の結論としては、このBoys, be ambitious は、「お金や一時の名声ではなく、後世に名を残すような偉業を達成しようとして、もっと積極的に物事に取り組むようにしなさい」という意味として捉えています。
----------------------------------

これは賛成です、異議ありません。この場合も、命令文とも接続法とも両用に解釈できます。

それにしてもクラーク先生、米国に戻ってから、洋上大学を夢見たり、お金儲けに走ったりとずいぶん忙しい。洋上大学はたいへん野心的ではありましたが、百年早すぎた企画でした。何の会社かわかりませんが、会社をつくって一時期は儲けたようですが、じきに失敗、始末がたいへんだったようです。そういう中で心臓病の病を得て59歳で亡くなった。「野心的であれ」と言い残した先生は米国に戻ってからの8年間を自分の言葉通りに生きた。十分に山師っ気の強い人にみえます。普通はマサチューセッツ農業大学学長におさまったら、その職をまっとうする、冒険はしないものです。

以下は日本語訳です。
---------------------------------
少年よ、大志を抱け。
 しかし、金を求める大志であってはならない。利己心を求める大志であってはならない。名声という、つかの間のものを求める大志であってはならない。人間としてあるべきすべてのものを求める大志を抱きたまえ。
-------------------------------

「人間として」⇒「お家のために」と書き直すとやはり武士道精神そのまま。
日本を去ったあとの生き方をみても、とても「野心的」でした。お金儲けが悪だという価値観は武士道精神でピューリタンにはなさそうですから、やはりクラークの発言として考えにくい、受け取った側の学生達の当時の価値観の中での解釈。

たった一行の文でもこれだけ材料があれば90分の授業が出来そうですね。
by ebisu (2013-10-12 12:37)
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#56

後志のおじさんへ

へえ、読んでませんか。1959年が初版の本です。古すぎますね。2007年に改訂41版がでています。ロングセラーなのでしょう。
筑波大学名誉教授・スタンフォード大学客員教授と書いてあり、米国留学経験ありの国文学者です。
だから、素直にsubjunctiveは反実仮想、それなら「ましかば...まし」、助動詞の説明のところにsubjunctive(仮想)というタイトルをつけています。

この人の場合、仕事が仕事ですから、ストレートに古典文法と結びついた。

いいセンスしてますね。subjunctiveの理解は後志のおじさんと小西先生はまったく同じレベル。
日本の英文学者は古典にあまり興味がないのかな。「仮想」という訳もなかなかいい。だけどconjunctiveとのつながりが消えてしまいます。難しいものですね、英語の概念の日本語での命名は。

結局、假定法は「反実仮想」の要件を満たせばOKということになりそうです。ifClauseがあろうとなかろうと関係なし。条件節と帰結節のセットは反実仮想の要件ではない。表に出ていてもいいし、脳裏に描いたままでもいい。'mood'のところで気がつきました。moodはムード=キモチなんですね。
心的状態にかかわる表現様式を「法」なんて訳すからややこしいことになる。「法の助動詞」、なんてわかりにくい命名なんでしょう。学生達が気の毒です。「キモチを表す助動詞」なんです。

by ebisu (2013-10-12 12:56)
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#57

◆God bless you!◆

今から仕事なので、これだけ残して・・・。

by Hirosuke (2013-10-12 13:10)

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#58

そうそう、このコメント欄の最初のHirosukeさんのコメント。It makes me say that. のItも、ebisuさん、その内に取り上げる価値ありですよ。大学入試でも、Itは出題の狙い目ですが、なかなか奥が深い。HirosukeさんのコメントのItは、How it goes?のitと解しましたが、そのこころは?
by 後志のおじさん (2013-10-12 22:54) 
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#59

そういう謎掛けだったのですか、気になっていました。

消去法で考えると、animalではないし、thingでもない、残るのはある種のsituation。
しかも発話者と受信者の間で共通に理解できていること。

漠然とした感じがありますね。

星の運行が影響を及ぼし言わせている?
私の意思とは無関係にわたしを取り巻く状況が言わせている?

なんでしょうね、この漠然とした感じのitは。
このit、わたしにとってはあなたと同じです、その心は「謎」です。(笑)
by ebisu (2013-10-13 02:26) 
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#60

 ebisuさんへ

 クラーク博士の内容で、一つ気になるところが。このbe ambitiousを別れのときのあいさつとして使っていた、という解釈がある、と言う点です。この点は、調べてみた限りではどこにも載っていませんが、もし、あいさつとして使っていたということになると、ちょっと面白いかも知れません。

 例えば、大阪のおじさんが「もうかりまっか?」と言ったのを、現地の学生が「やはり、利益を上げることが大切なことなんだ」と解釈し、大げさに扱った、と同じような状況になっているという事になりますね。

 そこで、be ambitiousになりますが、彼はマサチューセッツの出身ということなので、ひょっとしたら、ゴールド・ラッシュのときの名残で、人を送り出すときに「一発、当ててくるんだぞ、(じゃあな)!」という意味で使われていたのかな? とも思います。
 そして、彼が学生との別れのときに、自分が馬に乗って立ち去っていくのと合わせて、自分の出身地の「粋な別れ言葉」を言ったんだ、と解釈すると、これもカンマが必要で、なおかつ、ebisuさんがおっしゃる通り、「金のためではなく・・・」の文面は、クラーク博士が帰った後に、誰かが意味の分からない生徒に解釈して伝えた言葉がそのまま記録された、というものになろうかと思います。

 いずれにせよ、謎が多いほど、面白いことが考えられますね。

 それからitに関しては、漠然とした「周りの空気感」とか「表現しづらいもの」に当てたものだと思います。itを「神」と解釈してしまうと、「shall」が必要になると思いますが。
by 合格先生 (2013-10-13 06:01)
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#61

合格先生へ

北大図書館のオフィシャルサイトにあります。
http://www.lib.hokudai.ac.jp/collections/clark/boys-be-ambitious/
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Boys, be ambitious!”は帰国に際し島松まで見送った学生たちに向って馬上から最後に一声のべられたもので(第一期生大島正健博士の著書による),その時 の状況からみてこれは「さようなら」に代る別れの言葉であったと思われる。
次にクラー ク博士は決して富や名誉を卑しんでいなかったことである。例えば農学校の開校式の演説でも,学生たちに向って「相応の資産と不朽の名声と且又最高の栄誉と 責任を有する地位」に到達することをよびかけている。即ち日本が因襲的な身分社会から脱却した現在では,努力によっては国家の有為な人材となることを妨げ るものは何もないことをのべ,学生たちの青年らしい野心(lofty ambition)を期待したのである。このためにとくに勤勉と節制の必要を説いているが,ここには「神の恩寵」を確信して世俗的な職業に励むピューリタ ンの精神がよくあらわれている。
------------------------------------

これが北大側の公式の解釈でしょう。
本欄の末尾に注記として入れておきます。

by ebisu (2013-10-13 07:45)
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テーマに関連があるので、こちらにも...コピー
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#62

合格先生へ(2)

新渡戸稲造が合格先生の説を支持しそうです。
http://www.nunochu.com/bible/oshiete/q05.html
-----------------------------------
 札幌農学校で学んだ新渡戸稲造は、別の解釈を紹介しています。
「クラーク氏の性格から考えても、そう難しく解釈する必要はない。見送りに来た学生に向かって、諸君しっかりやれよと云った程度だ。勿論、学外の青年を相手にした言葉ではない。」
-----------------------------------
by ebisu (2013-10-13 08:23)
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#2453 仮定法とは何か(5):国文学者の見解ー2  Oct. 17, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 台風26号の影響で、午後3時頃から暴風雨、ノサップ岬では最大35.9m/秒の風。夜の10時ころになってようやく静かになってきた。北風だったので気温がぐんぐん下がり、午後8時頃には5.2度に下がった。10度もいきなり下がるとは、普通は台風崩れの温帯低気圧は生暖かい南風を運んでくれるのに逆だ。道内各地で積雪あり。旭川、帯広では雪が積もっている。
 今朝は一転して秋晴れ、庭を通り抜ける冷たい風が気持ちいい。

 さて本題である、古典と英語の subjunctive を比較検討した国文学者がいた。なんとクロスオーバーな世界よ。中高生や大学生ばかりでなく、中学校の英語の先生も高校の英語の先生もebisuと一緒に勉強してみよう。

 小西甚一著『国文法のちかみち』から2回目の引用、221頁、はじめちゃうよ。

(青字はebisuが太字にした)
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 練習 13
次の文章における坊さん部分を現代語訳せよ。(出典「堤中納言物語」)

 女、使ふ者とさしむかひて泣き暮らす。「心うきものは世なりけり。いかにせまし(イ)。おし立ちて来むには(ロ)、いとかすかにて見えむも(ハ)、いとみぐるし。いみじげにあやしうこそはらめ、かの大原のいまこが家へ行かむ。かれよりほかにしりたる人なし。」かく言ふは、もと使ふ人なるべし。「それは片時おはしますべくもはべらざりしかども、さるべき所の出で来むまでは(ニ)、まづおはせ」など語らひて、家のうち清げに掃かせなどする心ちも、いと悲しければ、泣くなく恥づかしげなるもの焼かせなどする。(20分以内)


 答え:(イ)どうしたら、よいでしょう。 (ロ)もし強引におしかけてくるようなばあいには。 (ハ)ひどくみすぼらしい様子で出てあうようなことになっても。 (ニ)ぐあいのよい所が見つかるかもしれませんから、それまでは。


ある男が、他の女性と仲よくなり、彼女と結婚するため、いまの妻と離婚しようという気になった。そのため、親密になっている女性を同居させてたいと、妻に申し入れた。これは離婚するための工作だとさとった妻が、侍女と悲嘆にくれながら相談しているところ。(イ)は「もし何か手だてを考えるとすれば」といった気持ちが省略されている。(ロ)は「いまは押しかけてきているわけでないけれど」という気持ちが、(ニ)は「いまは見こみがないけれど」という気持ちが、それぞれ裏に含まれており、Subjunctive mood である。「む」は終止形と連体形が同じだから、その下に「こと」「もの」「とき」などいう体言を補うことができるかどうか、よく吟味していただきたい。
 連体形の「む」は仮想になるけれど、かならずしも仮想とまでは言い切れない「む」も、ときどき出てくる。つまり、言いかたをやわらげる「む」がある。

   そのうちとけて、かたはらいたしと思(オボ)されこそ、ゆかしけれ。 (源氏「帚木(ははぎき)」)

頭の中将が光源氏のところに来ているラヴレターをさかんに見たがるので、源氏が「構わない分だけ見せてあげよう。冷や汗ものが交じっているかもしれないから...」と渋るので、頭の中将が、「そのプライヴェイトな、見られてはこまるようなのこそ、ぜひ拝見したいね」と責めたてるところ。この「む」も、しいて説明すれば、見られてこまるかどうか現にわかっているわけではないけれど、もしそんなふうにお感じになるなら、その手紙を...といった気持ちの Subjunctive mood になるが、実際には、そういった気持ちをどこかに匂わせて、言いかたをやわらげたものである。英語でも、
   I wish you would change the topic.
というような would の使い方がある。もし他のことを話していただけるなら、そう願いたいといった気持ちをどこか匂わせて、やわらかに頼むわけ。
      Would you please change your topic?
      Would you mind changing your topic?
      Could you change your topic?
などの would や could も同様で、ふつう
      Could softens can in much the same way as "Would you please....." softens "Will you please ....." in making requests.*(1)
と説明されている。推量の「む」に勧誘という用法があることは前にのべたけれども(207頁)、推量がすぐ勧誘に変わるのではなく、このようなSubjunctive mood にもとづいた「やわらげる言いかた」をとおして勧誘になるのだと考えられる。

   さむべきかたなく堪へがたきは、いかにすべきわざにかとも、問ひあはすべき人だになきを、忍びて参りたまひなむや。<気分ノ転ジヨウモナク、タマラナイノヲ、ドウシタライイノダロウト、相談デキル相手サエナイノダカラ、そっとオイデニナリマセンデショウカ。>

「参りたまひなむや」の「な」は、確述の「ぬ」の未然形で、強く誘いかけた言いかたであるが、同時に「む」を使ってそれをやわらげたもの。Arthur Waley の訳では、
   Will you not come to me secretly?
となっているが、直訳すれば、
   Would you mind coming to me secretly?
のほうが近いかもしれない。もうひとつ源氏物語の例。

   鳴りたかし。鳴りやま。はなはだ非常(ヒゾウ)なり。座をひきて立ちたうびなむ。<サワガシイ。オ静カニサレマショウ。マコトニ不届キデゴザル。御退席ニ相ナリマショウ。>

光源氏のむすこに字(あざ)をつける儀式の席で、儒者のしかめつらしい様子を皆がおかしがって笑うので、儒者がしかりつけることばだけれど、貴族にくらべれば身分の低い儒者のことなので、遠慮して「む」を使ったのである。ふつうなら "Be quiet!" "Get out!" とどなりつけるところだが、特に
      Would you please be quiet?
      Would you mind leaving your seats?
のような言いかたをしたわけ。そこにまた儒者らしいおかしさが出ている。これらの would は、裏に「もしおさしつかえなければ」という気持ちが含まれており、たいへん丁寧な言いかたになる。
 言いかたをやわらげる「む」は、ばあいによって、いろいろに訳するけれど、<...ヨウナ>を使うと、わりあい当てはまることが多い。

   今夜(こよひ)来人にはあわじ織女(たなばた)の久しきほどに待ちもこそすれ。<今晩来ルヨウナ人ニハアウマイ。>  (古今)

   さてこそは、上襲(うわおそひ)たら童も参りよからめ。<ソレデコソ、ウワッパリヲ着テイルヨウナ子モ、アガリヤスイデショウ。> (枕冊子)

前後の関係で<...ヨウナ>を使うと不自然になるときは、「来む人」を<来ル人>と訳し、「着たらむ人」を<着テイル人>と訳するような工夫も、もちろん必要である。

 ―まとめの練習問題―

1 秋の野に道もまどひぬ松虫の声する方に宿やからまし
 [凡訳] 松虫ノ声ガスルアタリニ宿ヲ借リヨウカ。
 [適訳] ドウセ宿ヲ借ルナラ、松虫ノ声がスルアタリニ借リヨウカ。

2 さ言はにかしこく、言わざらにもわろかるべきことかは。
 [拙訳] ソウ言ウノガスグレテオリ、言ワナイノガワルイナドイウハズノコトガアロウカ。
 [適訳] ソウ言ッタトコロデ、ソレガスグレテオリ、ソウ言ワナイトシテモ、ソレガ劣ッテイルナドイウハズノコトガアロウカ。

3 言ひそめつることは、さてこそあら
 [誤訳] イッタン言イ出シタコトハ、キットソウデアルダロウ。
 [正訳] イッタン言い出シタコトハ、ソレデ押シ通シタラドウ? 

===============================

*(1) 'Will you.....?'がrequestだと書いてある。上司が部下に書類のコピーを頼むときに使うような言いかたである。そういう関係でないときは少し表現を和らげて過去形の'Would you.....?'を使うのが正しい。
 この辺りの説明をしっかり読んで、表現のニュアンスを理解できるようにしておけば、英語の小説を読む楽しみが十倍になる。言外の意味が自在に理解できるようになると、行間を読む楽しみが増える。

 まとめの練習問題をやった人は、反実仮想が理解できているのといないのでは、文章の味わいにたいへんな差が出ることが了解できるだろう。さあ、英語の小説を読んでみよう。社会人のみなさんはいままで読んだことのある英語の小説があったら、subjunctiveだけに焦点を当てて読み直してみたらいい。勉強熱心な人はノートに書きつけて、ひとつひとつ和訳をしてみたらいい。いままで「凡訳」「拙訳」「誤訳」の山を築いていたことに気がつくかもしれない、微妙なニュアンスが読めて楽しい作業になると思う。


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*#2423 'IAEA members give grief over leaks' Sep. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

 #2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04-1

 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09-1

 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-1

 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-2

 #2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
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 #2447 仮定法とは何か(2): 概念規定と基本型 Oct.13, 2013 
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 #2449 假定法とは何か(3): Swanの説明 Oct. 14, 2013 
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 #2452 仮定法とは何か(4):国文法学者の見解 Oct. 16, 2013 
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 #2453 仮定法とは何か(5) : 国文学者の見解ー2  Oct. 17, 2013
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国文法ちかみち 改訂版

国文法ちかみち 改訂版

  • 作者: 小西 甚一
  • 出版社/メーカー: 洛陽社
  • 発売日: 1973/09
  • メディア: 単行本


#2452 仮定法とは何か(4):国文学者の見解 Oct. 16, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 仮定法の4回目は国文法学者によるsubjunctiveの解説をぜひ紹介したい。
  小西甚一著『国文法ちかみち』初版1959年、洛陽社刊
                    2007年改訂41版 1200円

 この本は絶版なっていないから、書店で注文すれば手に入る。
 国文法の本になぜ英語のsubjunctiveがと思われる方が多いだろう。この先生は国文法の学者だが、広く言語学を学びたくて米国に留学して言語学を学んで帰国している。英語の言葉表現を日本語に置き換えるとなんだろうと、つねに頭の中で比較対照作業をしていたようなのである。
 そのような「遊び」をしているうちに、日本の古典文学の素養があるから、現代文の中にではなく古典の言葉表現に英語の古い言い回しであるsubjunctiveがあることに気がついたのだ。だから、節のタイトルに「仮想(subjunctive mood)を充てている。
  だれがsubjunctiveを仮定法と訳したのかは知らぬが、この「仮想法」という名称が普及していてくれたらずいぶん誤解が少なくてすんだだろう。ドイツ語の接続法との名称上の関連が途切れてしまうが、それでもこの命名はセンスがいい。名が体を表している。
 英語の勉強に日本古典文学や古典文法の素養があったほうが、理解が深まることは諒解いただけるだろうと思う。

 さわりだけでもう読みたくなったのではないか?
 じらしていないで前置きを切り上げて、期待に応えたい。219~225頁まであるが、練習問題のところを省いて引用する。
 この練習問題の解説のところが、假定法を学ぶ者にとってはじつに興味深い内容を含んでいる。そして次の節「[ト] 希望」もsubjunctive moodそのもの。限がないが、第5回が必要なようだ。
細切れで申し訳なく思う。じらしているわけではない、手が遅いだけ。

=============================

 [へ] 仮 想 (subjunctive mood)
 未来をあらわす助動詞shallやwillなどが、使い方によってSubjunctive moodをあらわすことは、よくご存知のはず。そのなかで、事実でない事柄(unreal, contrary to fact, or hypothetical conditions in present or future time)を仮想する言い方があることも、英文法でお習いだろう。たとえば、

   If she should win the contest, we would be much surprised.

 というとき、だいたい「あのご面相でねえ...」といった気持ちである。美人コンテストに通るなどということはぜったい有り得ないと当人以外はで誰でも認めているのだが、彼女はだんぜん応募した。でも、奇跡ということもないとはきめられないから、万一...といった感じがshouldであらわされている。これを古典語に訳するなら、

  かの君かたちくらべに勝たましかば、いとあさましかりなまし

といったところだろう。推量の助動詞「まし」はこのような「事実でないことがらの仮想」に使われる假定条件のほうはたいてい「ましかば」が使われるので、標準的な形としては、

   ましかば...まし=should ... would     26

と憶えておくのがよろしい
 しかし、ばあいによっては「ましかば...まし」の形にならないことがある

  ひとりのみながむるよりは女郎花わが住む宅(やど)に植えて見ましを。

条件を示すほうの「ましかば」がないけれど、これは「植えましかば」という気持ちが省略されているものと考えられる。英語でも、次のような言い方がある。
   He might transfer to another university next year
.
彼の赴任がnext yearなのにmightと過去形を使うのはおかしいようだけれどこれも仮想のひとつであって、裏に If he could do so という気持ちがある
 「まし」を使った仮想は「事実でないことがら」に対するものだが、奈良時代では特に「事実と反対の事がら」を仮想する。たとえば、

  大船に妹のるものにあらませばぐくみもちて行かましものを。(万葉・巻十五)

新羅へ使いに行く人が、妻と別れを惜しんだ歌である。妻は一緒に行くことができない。それは明らかな事実である。その事実をちゃんと認めたうえで「仮にいっしょに船に乗れるものなら」と、反対のことを仮想しているのである。ある学生が、
   If I went the professor, I would give easier tests.
と嘆いたとする。彼が先生でないことは明らかな事実である。その事実をちゃんと認めたうえで、「仮に先生であったなら」と反対のことを仮想しているわけ。もちろんその先生がやさしい問題を出してくれないという事実も、はっきり認めているのである。なお、「ませ」は「まし」の未然形だが、平安時代より後は消えていくから、90頁の活用表には省いてある。
 奈良時代の「まし」は "If I were....."にあたるような「事実と反対の仮想」だが、平安時代より後の「まし」には、かならずしも「事実と反対」とまではゆかない程度の仮想が出てくる。たとえば、ない大臣伊周(コレチカ)のからまだ何も書いていない冊子(綴じ本)をおもらいになった中宮定子が、そばの者たちに、
   「これを何に書かまし。」
と話しかけられた。(枕冊子跋文)。このばあいの「まし」は、別に contrary to fact というほどでもなく、まだ事実になっていない事がらを仮想したものである。学者によっては、こんなふうに疑問語を伴った「まし」は「む」と同じ意味になると説明されるが、そうではない。やはり裏に「もし書くとしたら」という気持ちがこめられているのであって、単なる推量である「む」とは同じでない。もっとも、いわゆる院政時代(十二世紀頃)になると、

  行き暮れて木(こ)の下陰を宿とせば花や今夜(こよい)の主ならまし  (平家物語)

のような例が出てくる。院政時代からだんだんに中世語法になっていくことは、前に述べたとおりで(189頁)、古典語としてはあまり気にしなくてよい例外だけれど、この例だって、しいて説明するなら、裏に「もし主を求めるとすれば」といった気持ちがあるのだといえないこともないようするに「まし」がひとつだけ使われているときは、何か假定条件がないか考えてみる癖をつけていただきたい。たとえ訳文には出てこなくっても、きっと得るところがあるだろう
 仮想法は、「まし」だけでなく、助動詞「む」によっても言いあらわされる。もっとも、このばあは、連体形に限るから、よく注意していただきたい。

   思はむ子を法師になしたらこそ、心ぐるしけれ  (枕冊子)

これを「かわゆく思う子を坊さんにしているのこそ、つらいものだ」と訳したら、まちがいである。それなら、原文が「思ふ法師になしたるこそ、心ぐるしけれ」でなくてはならない。これらの「む」は、どちらも仮想を表すものであり、仮にかわゆく思う子があるとして、もしもその子を坊さんにしていることがあるとすれば、それは...」という気持ちなのである。つまり、事実としては、思う子もなければ、法師にしているということもないその事実と違うことを仮想するのが「む」のはたらきである

  けふこの山造る人には、日三日賜ふべし。また、参らざらむ者は、また同じ数とどめむ。
<今日コノ雪山ヲコシラエル人ニハ、休ミヲ三日クダサルハズデス。マタ参上シテナイヨウナ者デモアレバ、同ジ三日間ダケ外出禁止ニシマショウ。>  (枕冊子)

命令にそむく者なんかあるはずがないけれど、仮にそむく者があるとするなら.....という気持ちが「む」に含まれている。「とどめむ」の「む」は終止形だから、仮想ではない。

=============================

 大事なところを抜き出して箇条書き風にまとめてみた。

①反実仮想の助動詞「ましかば...まし」が英語のsubjunctiveそのもの
推量の助動詞「まし」はこのような「事実でないことがらの仮想」に使われる假定条件のほうはたいてい「ましかば」が使われる。
③標準形⇒ましかば...まし=should ... would     26
ばあいによっては「ましかば...まし」の形にならないことがある
条件を示すほうの「ましかば」がないけれど、これは「植えましかば」という気持ちが省略されているものと考えられる。
奈良時代の「まし」は "If I were....."にあたるような「事実と反対の仮想」
ようするに「まし」がひとつだけ使われているときは、何か假定条件がないか考えてみる癖をつけていただきたい。たとえ訳文には出てこなくっても、きっと得るところがあるだろう
仮想法は、「まし」だけでなく、助動詞「む」によっても言いあらわされる

 仮想法の本質は反実仮想である、条件節がない場合にはそれはないのではなく、頭の中で反実仮想されている。だから、文意を読み取るときには、その部分を補って常に読み取る訓練をせよというのが著者の主張だ。
 subjunctiveの概念の整理は#2447でやっているので、そちらと比較対照してほしい。ebisuの概念分類と小西甚一氏の説明は基本的に一致している。仮定法という命名は名と体が異なるので、今後は「仮想法」あるいはドイツ語の接続法との関連を意識した「亜型接続法」と呼びたい、賛同いただけるだろうか。


 ハンドルネーム「後志のおじさん」から反実仮想の助動詞「ましかば...まし」がsubjunctiveだとコメント欄で示唆されなければ、ebisuはここにはたどり着けませんでした、感謝しています。ほかに、Hirosukeさんと「合格先生」がたいへん興味深いコメントをたくさん書き込んでくれています。後ほどまとめて本欄へアップするので、パソコンで見ている人は、ワードに興味のある部分をコピーしたらいかがでしょう。

 文中に出てくる「枕冊子」は「枕草子」の別表記であることにほとんどの人が気がついたでしょうね。英語の先生たち、古典文学を読み、古典文法に親しんでください、きっとあなたの授業が百倍楽しくなります。

 じつはebisu、1年間市街化地域の3校の英語の授業を見学させていただいて、それなりに上手な先生がいらしたが、判で押したように似ていたので薄っぺらに(ごめんなさいm(_ _)m)感じてしまいました。マニュアルでもあるのかと思うほど似通っていましたよ。たまたま、見たときだけそうだったのかも知れませんが、こういわれて反省すべきこと、改善すべきことはありませんか?
 専門分野をきっちり教えきるためには英語の勉強だけでは英語は教えられないのです。假定法の次の回も面白いのでぜひご覧いただきたい。

 根室の子ども達の学力は全道14支庁管内で最低レベルの学力はまぎれもない事実です、そしてわが北海道が全国最低レベルの学力であることも事実。そう生徒に伝えると生徒はこう言います。
「え、先生おれたち(わたしたち)全国最低なの?」
 進学や就職を求めて生徒達の大半が根室を出てきます。学力は根室を出た生徒達にとって数少ない武器です。しっかりした学力をつけさせて根室から送り出してやるのは、わたしたち教育に携わる者の責任です。

 根室のこどもたちの学力を上げるためには、教える先生たちの学力が高くなければならない。
 教師になって何年たっても、こどもたちの一生を左右する職に就いているという自覚を忘れないでいただきたい
。だから、教師は「聖職」といわれるのです。

(昨日のアクセス数は3170件でした。この1週間でアクセスが3000を超えた日が2度ありました。やはり逆効果ですね。見るなといわれたら、余計に見たくなるもの、それが人間。
「#2521 ブログ「ニムオロ塾」をみていはいけない」はこれ以上とりあげるつもりはありません。だれしもまちがいは犯すものです、根室教育長は深く反省しわたしたち地域社会と協同して、根室の子ども達の学力を上げる仕事に専念して下さい。



*#2423 'IAEA members give grief over leaks' Sep. 28, 2013 
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 #2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 
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 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
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 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
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 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
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 #2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
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 #2447 仮定法とは何か(2): 概念規定と基本型 Oct.13, 2013 
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 #2449 假定法とは何か(3): P.E.UからSwanの説明 Oct. 14, 2013 
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国文法ちかみち 改訂版

国文法ちかみち 改訂版

  • 作者: 小西 甚一
  • 出版社/メーカー: 洛陽社
  • 発売日: 1973/09
  • メディア: 単行本


#2449 假定法とは何か(3): P.E.UからSwanの説明 Oct. 14, 2013 [80.英語談義 (コメント欄から)]

 そもそも假定法なんて命名が悪い、誤解を与える名前なのである。假定という日本語から想像するのは、「もし~なら...だ」の前半部分の假定節である。subjunctiveは假定とは何の関係もないことは最初の用語解説のところで詳述した。要するに、名前と実態が齟齬をきたしている、ではsubjunctive(亜型接続法)とは何なのかという仕儀になった。

 subjunctive(亜型接続法)がなんであるのかについては、if-Clauseも含めて相互の関係の整理はすでに(2)でついた。その立場から、海外の英語専門家の見解をみてみたい。

 数点手元にある本を見たが、Michael Swan "Practical English Usage"(Third Edition)に載っているsubjunctiveの解説がいいので、これをとりあげる。
 この本は日本ではずいぶん売れた本だし、内容も実務的で便利がいい。わたしは80年代初めの頃に、この本の初版を買って読んだ。3版になって全面的に見直されてすこし分厚くなった。索引まで含めて658ページある。英語には興味のない大学生でももっていたほうがいい。だけど、高校生でこれを夢中になって読んでる奴がいたとしたら、メンコクナイからニムオロ塾では教えたくはないね。(笑) 

 高校英文法参考書から50年間も売れ続けている江川泰一郎『英文法解説』と綿貫陽・マークピーターセン共著『表現のための実践ロイヤル英文法』、大西泰斗・ポール=マクベイ共著『一億人の英文法』の假定法の解説をとりあげる。

==========================

567 subjunctive

1  What is the subjunctive?
some languages have special verb forms called 'subjunctive', which are used especially to talk about 'unreal' situations: things which are possible, desirable
 or imaginary. Older English had subjunctives, but in modern English they have mostly been replaced by uses of should, would, and other modal verbs, by spcial uses of past tense (see 426), and by ordinary verb forms. English only has a few subjunctive forms left: third-person singlar present verbs without -(e)s, (e.g. she see, he have and special forms of be (e.g. I be, he were). Exept for I/he/she/it were after if, they are not very common.

2  that she see
Ordinary verbs only have one subjunctive form: a third person singlar present with no-e(s) (e.g. she see). It is sometimes used in that-clauses in a formal style, especially in American English, after words which express the idea that something is important or disirable ( e.g. suggest, recommend, ask, insist, vital, essential, important , advice). The same forms are used in both present and past sentences.

  It is essential that every child have the same educational opportunities.
  It was important that James contact Arthur as soon as possible.
  Our advice is that the company invest in new eqipment.
  The judge recommended that Simmons remain in prison for life.

Do is not used in negative subjunctives. Note the word order.

  We left it desirable that he not leave school before eighteen.

With verbs that are not third-person singlar, the forms are the same as ordinary present-tense verbs (but they may refer to the past).

  I recommended that you move to another office.

3  be
Be has special subjunctive forms: I be etc.

  It is importance that Helen be present when we sign the papers.
  The director asked that he be allowed to advertise for more staff.

I were and he/she/it were, used for example after if (see 258.4) and wish (see 630) in a formal style, are also subjunctives.

  If I were you I should stop smoking.
  I wish it wre Saturday. 

4  fixed phrases
Subjunctive are also used in certain fixed phrases. Examples:

  God save the Queen!   Long live the King!
  God bless you.            Heaven forbid.
  He's a sort of adopteduncle, as it were. (=... in a way)
  Be that as it may...(=Whether that is true or not...)
  If we have to pay £2,000, then so be it. (= We can't do anything to change it.)

5  Other structure
Most subjunctive structure are formal and unusual in English. In that-clauses, British people usually prefer should + infintive (see 521), or ordinary present and past tenses.

  It is essential that every child should have the same educational opportunitied. (OR... that every cild has...)
  It was important that James should cntact Arthur as soon aspossible. ( OR...that James contacted...)
                                                              

==========================


【日本語訳】

567  亜型接続法
1 亜型接続法とは何か?
 いくつかの言語にいわゆる'接続法'という特別な動詞形があり、とくに非現実的な状況について話すために使われている。非現実な状況とは、やればできるかもしれないこと、望んでいることあるいは頭に思い描いていることである。古い英語には接続法があったが、現代英語ではshouldやwould(そしてその他の心的状態を表すそのほかの助動詞)など、過去時制を使うこと、あるいは通常の動詞形によってほとんど置き換えられてしまっている(426を見よ)。英語にはわずかの亜型接続法が残るのみである:三人称単数現在形の動詞、-(e)sなし、(例えば、she see, he have and special forms of be (例えば、 I be, he were)。ただし、ifに続くI/he/she/itを除く、これらはあまり一般的ではない。 

2 that she see
  動詞にはひとつだけ接続法の形がある:三人称単数形でe(s)のない形(たとえば she see)である。改まった文体ではthat節の中で使われること(とくに米語でその傾向)がある。何かが重要であるとか、何かがそうあってほしい、人に何かを勧めたい、訊ねたい、言いたい、死活的に重要である、本質的である、重要である、忠告したいという、頭の中で想像していることを表現する言葉に続くthat節で使われる。同じ形が現在のことを表す文と過去のことを表す文の両方で使われている。
 以下例文4題

  It is essential that every child have the same educational opportunities.
  It was important that James contact Arthur as soon as possible.
  Our advice is that the company invest in new eqipment.
  The judge recommended that Simmons remain in prison for life.

doは否定文の亜型接続法では使われない。語順(notの位置)に注意。

  We left it desirable that he not leave school before eighteen.

三人称単数現在形ではない動詞なのだが、形は通常の現在形となんら変わるところがない(しかし、この基本形は過去に言及している可能性もある)。

  I recommended that you move to another office.
  (キミは他の会社へ転職すべき(だった)と勧めた)

 なにを言っているのかわたしの解説メモを書いておく。you以下の文が二通りに書けるということだ。
 you should move to another office
  you should have moved to another office

3 be
beは特別な接続法の形である。I be その他。
 例文を二つ挙げる。

 It is importance that Helen be present when we sign the papers.
  The director asked that he be allowed to advertise for more staff.

'I were and he/she/it were' は、例を挙げるとif-Clauseの後で用いられる (see 258.4)。同様にして文語体ではwishが接続法である (see 630)。

4  fixed phrases
同様にして亜型接続法は固定した句の中で使われている。 

  God save the Queen!   Long live the King!
  God bless you.            Heaven forbid.
  He's a sort of adopteduncle, as it were. (=... in a way)
 Be that as it may...(=Whether that is true or not...)
 (それが本当であろうとなかろうと...)
  If we have to pay £2,000, then so be it. (= We can't do anything to change it.)(わたしたちが2000ポンド支払わなければならないとしたら、それはそれでいい)


*5番目の文章がよくわからぬ。itはなに?'in a way'は「ある意味では、見方によれば」
 (彼はまるで養父のよう、強いて言うならそうだ)

5  Other structure
ほとんどの亜型接続法は堅苦しく、英語では稀にしかみない。that節では、英国人はshould + infintive を好む(521を参照)か、普通に現在時制か過去時制を使う。

  It is essential that every child should have the same educational opportunitied. (OR... that every cild has...)
  It was important that James should contact Arthur as soon aspossible. ( OR...that James contacted...)

==========================


 ここまでが、P.E.U.のsubjunctiveに関する説明である。
 まとめると次のようになる。

1.subjunctiveのもともとの形は三人称の主語で動詞の基本形を使う形式。
2.三人称単数で動詞の基本形を使ったsubjunctiveの文を4つ例示。
3.beはsubjunctiveでも特別な形である。それと比較のためにwereを例示。
4.定型句で使われている具体例を例示。
5.「should + infintive を好む(521を参照)か、普通に現在時制か過去時制を使う」

 なぜ法の助動詞shouldが好まれるのかは、shouldが「当然そうあるべきである(しかし現実はそうではない)」という含意のある助動詞だからである。たまたま典型的な反実仮想の助動詞がshouldであったという事情による。

 Swanのsubjunctiveの説明は、前回ebisuがsubjunctiveの概念とその基本型が動詞の原型を用いることにあるとの結論と同じである。
 話者の心的状態を表現する法の助動詞のshouldが反実仮想の助動詞であることから、それを使った表現へ変化していったとい流れも同じだ。

 高校英文法参考書のベストセラーのひとつに江川泰一郎『英文法解説』がある。初版が出てからもう40年になる。わたしがいま見ているのは昭和53年改訂版第49版である。新しい版の方も假定法の扱いは同じだ。次のような構成になっている。

 166 假定法現在
 167 假定法過去
 168 假定法過去完了
 169 shouldとwere toの假定
 170 假定法中心の重要構文
 171 if-Clauseに相当する語句
 172 if-Clause 相当の語句もない場合

 江川氏は假定法現在の説明の一番最初に「root form」、動詞の原型をもってきているから、それが假定法のもともとの姿であると言っていると受け取っていいのだろう。受験参考書では受験勉強に最適の假定法分類をして解説を加えることが眼目なのだから、こういう配列がいいと考えているのだろう。
 単純なものから複雑なものへ、そしてイレギュラーな項目の説明へ及んでいるから、説明の流れとしては配慮の行き届いたものだといえるだろう。長年にわたって売れ続けている本にはそれなりのすぐれた点があるものだ。

 『表現のための実践ロイヤル英文法』には203~209頁まで假定法となっているが、項目の単なる羅列である。『一億人の英文法』では假定法はあちこちで分散的な説明がなされている。たとえば557㌻は第5部第16章「時表現」のなかで「」C假定法」でたった10行の解説。「過去形のもつ距離感、そこから現実からの乖離(非現実感)が生まれる表現となっている」といったように。

 見て驚いたが、受験参考書は受験参考書にすぎない。用途に合わせて最適化して造られているから、概念規定云々なんて余計なことのようである。
 ところがわが国の国文法学者はそうではない、ずっときっちりしている。反実仮想の助動詞がsubjunctiveだと言い切る。
 次回は54年も前の国文法学者の見解をみることになる。これがsubjunctive解説の白眉だろう。英語だけ見ていたのではsubjunctiveはわからないが、日本語の古典文法には反実仮想の助動詞がある。これはsubjunctiveそのものだ。

 異質と思える分野の勉強をしっかりやろう。世の中の問題のほとんどがクロスオーバーしたところに存在している。
 三つ以上の異質な分野の専門知識と実務運用能力をもっていれば、社員が千人いる会社でもトップクラスの人材であり続けるだろう。問題は多いが、それを解決できるクロスオーバ型人材は極端に不足している。不景気になればなるほど、状況を打開しうるそうした人材へのニーズが高くなるものだ。


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*#2423 'IAEA members give grief over leaks' Sep. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

 #2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04-1

 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09-1

 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-1

 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-2

 #2446 仮定法とは何か(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11

 #2447 仮定法とは何か(2): 概念規定と基本型 Oct.13, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12




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