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#2667 When will Abe learn?:安倍首相靖国参拝取りやめ  May 5, 2014 [75.時事英語公開講座]

  4月25日付のジャパンタイムズ社説である。靖国神社参拝の問題を高校生諸君はどのようにとらえるのだろう?
  高校3年生ならちょうどいいくらいの難易度のテクストだが、教科書と比べるとナカミは断然面白い。昨年12月には靖国参拝を強行、4月は参拝中止で真榊を内閣総理大臣安倍晋三名で奉納、これは窮余の名案なのかゴマカシなのか、判断は読んでじっくり考えてからどうぞ。

 選挙前に約束したTPP交渉撤退の6項目条件も全部反故になった。三本の矢もやりやすい二本だけ、最後の一本「成長戦略」は1年たってないことがわかった。もともと政府のテリトリーではないから約束すること自体がどうかと思う。あまりよく考えずに発言し、困難にでくわすとヘナヘナとなるようにみえる。そうした事実も考え合わせて「靖国参拝とりやめ⇒真榊奉納」という安倍首相の行動様式に内在する問題を自分の頭を使って(エグ)り出してもらいたい。

 解説の便宜のために段落番号を付した。
http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/04/24/editorials/will-abe-learn/
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When will Abe learn?

(1) Prime Minister Shinzo Abe on Monday dedicated a masakaki tree offering to Yasukuni Shrine, which enshrines not only Japan’s 2.34 million war dead but also Class-A war criminals. By not visiting Japan’s war shrine during its spring festival, Abe apparently tried to avoid frictions with the United States ahead of his talks with U.S. President Barack Obama on Thursday. Washington had said earlier that it was “disappointed” that Abe visited Yasukuni on Dec. 26.

(2)  Abe should realize that even if he did not visit the shrine this time, other countries will still interpret his dedication of an offering to the shrine as evidence that he supports the role the shrine played during Japan’s wars in the 1930s and ’40s and that the prime minister is making light of Japan’s aggression against other Asian countries during the period.

(3)  Abe’s visit to Yasukuni in December followed his repeated statements that it was a “matter of the greatest regret” that he could not visit Yasukuni during his first stint as prime minister from September 2006 to September 2007. Although he refrained from visiting the shrine this time, he allowed two members of his Cabinet to do so. Internal Affairs and Communications Minister Yoshitaka Shindo visited April 12 and Keiji Furuya, chairman of the National Public Safety Commission and state minister in charge of the issue of North Korea’s abduction of Japanese nationals, paid a pilgrimage on Sunday.

(4)  On Tuesday, Deputy Chief Cabinet Secretary Katsunobu Kato visited Yasukuni, along with 147 ruling and opposition lawmakers, including Seiichi Eto, who is a close aide to Abe, and Shindo made a second visit.

(5)  Upon his visit to Yasukuni in December, Abe said, “Japan must never wage a war again … [and] must be a country which joins hands with friends in Asia and friends around the world to realize peace for the entire world.” In a TV program on Sunday, he said, “Putting hands together before the souls of soldiers who fought for their country is something the leader of any country naturally wants to do.”

(6)  Such statements by Abe ignore the basic nature of Yasukuni Shrine, which served as a wartime state ideological apparatus to mobilize the Japanese for war by instilling the idea that it is a great honor for soldiers to die for their country. The prime minister also should remember that the government’s invocation of Yasukuni was used to persuade soldiers — and by extension their families and the public at large — to accept death in battle in return for their enshrinement at Yasukuni.

(7)  Because of the shrine’s nature, Abe’s behavior leads other countries to doubt the sincerity of his no-war pledge. Moreover, the prime minister’s emotional attachment to Yasukuni tends to not only cause other countries to harbor suspicions about Japan’s overall direction but also gives certain countries reason to castigate Japan for political advantage.

(8)  To prevent the international community from developing a mistrust of Japan and to avoid putting Japan in a difficult position, Abe should not even dedicate an offering to Yasukuni, much less visit the shrine. And he should persuade his Cabinet members to refrain from going there as well.
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   ― 解説 ―

   When will Abe learn?
     「安倍首相はいったいいつになったら学ぶのか」

 なにをどのように学べと言っているのか、社説の論を整理しながら読み、各自の意見を対置してみよう。まず、相手の言うところによく耳を傾け自分の頭で消化しよう。消化がすんだら自分の考えと対比してみる、同じところと異なるところそしてグレーゾーンもみえてくる。
 訳は面倒だから、端折るところも出てくるよ。
 ニムオロ塾生は構文解析をしてほしい箇所があったらピックアップしてもっておいで。精読を積み重ねることも読解パワーを強化する。
 ワードにコピペできるから、印刷してファイルしておけばいい。

(1) Prime Minister Shinzo Abe on Monday dedicated a masakaki tree offering to Yasukuni Shrine, which enshrines not only Japan’s 2.34 million war dead but also Class-A war criminals. By not visiting Japan’s war shrine during its spring festival, Abe apparently tried to avoid frictions with the United States ahead of his talks with U.S. President Barack Obama on Thursday. Washington had said earlier that it was “disappointed” that Abe visited Yasukuni on Dec. 26.

「月曜日に安倍首相は靖国神社へ真榊(まさかき)を奉納した。靖国は戦争で亡くなった234万人の日本人だけでなくA級戦犯も合祀(ゴウシ=いっしょに祀(マツ)られているということ)されている。春季例大祭に参拝しなかったことで安倍首相はオバマ米国大統領との火曜日の会談前に摩擦を避けようとしたことはあきらかだ。ワシントンは以前12月26日の安倍首相の靖国参拝に"失望した"と述べている。」

visit: 参拝

  
靖国といっしょに使われていたら「訪問」ではなく「参拝」という日本語語彙を選択しよう。辞書を引かなくても、それぐらいの日本語の常識はもとう。「参拝」という日本語を知らなければアウトだ。だから普段から新聞や本を読んで日本語語彙を拡張すべきなんだ。

 靖国神社を参拝すると安倍首相は何度も言ったはずだが、実際の行動はどうなのか。第一次安倍内閣の時には参拝しなかったから、それをいまさら「たいへん遺憾なこと」と言い、昨年12月の参拝となったわけだが、4月には腰砕けしてしまった。
 この人は信念の人ではない、状況次第で白が黒になったりすることはよくある人のようだ。柔軟でいいという言い方もあるし、言っていることがまるで信用ならぬという見方も当然ある。言葉が軽いのだろうというのはebisuの感想。

(2)  Abe should realize that even if he did not visit the shrine this time, other countries will still interpret his dedication of an offering to the shrine as evidence that he supports the role the shrine played during Japan’s wars in the 1930s and ’40s and that the prime minister is making light of Japan’s aggression against other Asian countries during the period.

「安倍首相が今回靖国神社参拝をしていなかったとしても、他の国々は1930年代および1940年代に靖国神社が戦争に果たした役割を彼が支持しており、他のアジアの国々を侵略したことを等閑に付した証拠であると真榊の奉納を解釈する、安倍首相はそういうことを理解すべきだ。」

 仮定法過去の文なら、帰結節はwillではなくてwouldを使わなければならない。willが正しいとすれば条件節は現在形でなくてはならぬ。
 事実関係から言うと、安倍首相は靖国参拝を今回はしていない。内閣総理大臣安倍晋三名で真榊を奉納しただけである。12月には参拝をしているが、それはthis timeではなく、that timeである。だから、that timeと書いてあればそれなりの解釈ができるのだが・・・
 事実の示すところは、this timeと that timeで安倍首相の行動が違っているということ。
 書き手は、真榊奉納が実質的な靖国参拝であると解釈したのだろうか?それならそうとはっきり書けばいいだけ。文法的な間違いでなければ、書き手の意図に関していろんな読み方のできる文である。それが書き手の意図?

 いろんな読み方がありそうで、他の人の意見を聞いてみたい。

(3)  Abe’s visit to Yasukuni in December followed his repeated statements that it was a “matter of the greatest regret” that he could not visit Yasukuni during his first stint as prime minister from September 2006 to September 2007. Although he refrained from visiting the shrine this time, he allowed two members of his Cabinet to do so. Internal Affairs and Communications Minister Yoshitaka Shindo visited April 12 and Keiji Furuya, chairman of the National Public Safety Commission and state minister in charge of the issue of North Korea’s abduction of Japanese nationals, paid a pilgrimage on Sunday.

「2006年から2007年にかけて彼が首相の職にあった期間に靖国参拝ができなかったことは"たいへん遺憾であった"と昨年12月の靖国参拝のときに安倍首相は繰り返し述べた。彼は今回参拝を控えたが、二人の閣僚の参拝を認めた。新藤義孝総務大臣は4月12日、古屋圭司国家公安委員長兼内閣府防災および北朝鮮による日本国民埒問題担当特命大臣は13日日曜日に参拝し玉串料を支払った。」

refrain:v 控える
paid a pilgrimage: 玉串料を支払った

(4)  On Tuesday, Deputy Chief Cabinet Secretary Katsunobu Kato visited Yasukuni, along with 147 ruling and opposition lawmakers, including Seiichi Eto, who is a close aide to Abe, and Shindo made a second visit.

「火曜日4/15、与野党147名の国会議員とともに内閣官房副長官加藤勝信が靖国参拝をした。その中には総理大臣補佐官衛藤晟一が含まれており、彼は(12月に続いて)2度目の参拝を果たした。」

 安倍首相は1回だけだが衛藤は説を曲げずに2回とも参拝を果たしている。位が高くなると勝手気ままな行動が取れなくなるということだろう。普通の人はそれでいいのである。靖国参拝がその人の政治信念に基いた行動なら、二度とも参拝を果たすだろう。信念を貫くために地位を捨てる覚悟がありやなしやということだ。政治家として厳しい選択を迫られる。逃げた安倍首相はそれなりの評価を甘受しなければならない。方向が違うと思うが、そういう覚悟もある。

(5)  Upon his visit to Yasukuni in December, Abe said, “Japan must never wage a war again … [and] must be a country which joins hands with friends in Asia and friends around the world to realize peace for the entire world.” In a TV program on Sunday, he said, “Putting hands together before the souls of soldiers who fought for their country is something the leader of any country naturally wants to do.”

「12月の靖国参拝に関して"日本は決して再び戦争をしてはならない・・・アジアの友人たちそして世界中の友人たちと全世界に平和を実現するために手を結ぶ国とならなければならない"と安倍首相は述べている。日曜日のテレビ番組で次のように述べた。"祖国のために命をささげた兵士の魂に手を合わせることはどこの国の指導者でもあたりまえにしていることです"」

 なぜ日本だけが非難されなければならないのかと安倍首相は語っている。これはその通りだろう。

(6)  Such statements by Abe ignore the basic nature of Yasukuni Shrine, which served as a wartime state ideological apparatus to mobilize the Japanese for war by instilling the idea that it is a great honor for soldiers to die for their country. The prime minister also should remember that the government’s invocation of Yasukuni was used to persuade soldiers — and by extension their families and the public at large — to accept death in battle in return for their enshrinement at Yasukuni.

「このような安倍首相の言動は靖国神社の基本的性質を無視したものである。兵士が祖国のために死ぬことが名誉であるという思想を刷り込むことで国民を動員する戦時国家のイデオロギー装置として機能した。同時に首相は靖国改革が政府が兵士―ばかりでなくその家族や一般国民へと拡大解釈されることで―靖国に祀られる代わりに戦って死ぬことを受け入れるように説得することに使われたということを思い出すべきだ。」

 読みやすいように語彙の訳注をつけておく
instill:v 刷り込む
by extension: 拡大解釈によって
public at large: 一般国民
in return for~: ~と引き換えに
enshrinement: 祀られる

 オヤジが落下傘部隊員だった。「空の神兵さん」とか「高千穂降下部隊」と呼ばれていた秘密部隊である。その部隊員であることは親にも兄弟姉妹にも内緒だった。高千穂降下部隊という名称は古事記の神話の世界から来ている。高天原から天下る兵士のイメージを重ね合わせていたのだろう。
 「加藤隼戦闘隊」という戦時宣伝映画の撮影の降下訓練シーンを撮るときに機内から一番最後に飛び降り、直前の兵士が一瞬ためらったので、右手で強く押しながら転がるように飛行機から飛び出し主導索に右腕を引っ掛け複雑骨折。時速180kmで飛んでいる飛行機の胴体から勢いよく飛び出さないと飛行機の胴体や尾翼に激突してしまう。一瞬のためらいが命にかかわるのである。「あれでよく命があったな」と語っていた。無事には着地できないことを覚悟した。30kgの完全武装だからほぼ100kgに近い重さだから、衝撃を和らげるために三点着地して回転しなければならないから、右腕が複雑骨折ではそういう姿勢、身体のバランス確保が思うようには行かないのである。降下気迫を一瞬失えば、下で見ている上官たちには一目でわかってしまう。度胸と腕のよい隊員たちは一定間隔できれいにパラシュートが並んぶのだが、降下気迫をなくしたものがまじると間隔があいてしまう。当然あとで厳しく咎められる。上官からぶん殴られるくらいは平気だが、それではすまない。
 オヤジは九死に一生を得たわけだが、その事故が元で数ヶ月間療養生活を余儀なくされたことでもう一度九死に一生を得てしまうことになった。ありがたくなかっただろう。その間に部隊の戦友は全員南方へ移動したのである。九州宮崎の港から船が出向するのを左手で敬礼して見送ったのだろう。落下傘部隊は秘密部隊であったから、どこへ行くかは戦友であっても言えない、「靖国で会おう」と言い残して船に乗った戦友は全員戦死している。
 戦後3年くらい右腕が利かなかったそうだ。潔かった上官も自ら志願して部隊と運命をともにした。兵たちだけを死なせるのは忍びなかったのだ。一緒に死んでやることしかできない、そういう戦況だった。西南の役で没した西郷隆盛もそういう心境だっただろう。
 オヤジの右腕はその後も事故に見舞われたが、二度とも何とか回復した。痛さを我慢して口をへの字に曲げながら強引なリハビリをしていた。あれは落下傘部隊で培った根性だっただろうか。
 そのオヤジが70歳のときに大腸癌に倒れて手術して2年間生き延びた。「おれは結婚もできたし、子どももいる、孫もいる、幸せだ。あいつらは結婚もしなかったし、子どもも残せなかった、戦場の露と消えた戦友たちの分も・・・」、2度目の手術はアケトジだった。肝臓は皮膚を通して触っても板のように硬かった。もう助からないので退院してきて数日後に散歩に出かけた。総合文化会館の道路の所で帽子のツバを空に向けている親父によく似た人がいることに気がついた。わたしはサイクリングしていた。似ているはず、親父だった。よく歩けたと思う。立ち止まって空を見上げている姿は、「もうすぐ行くからな、お前達の分も幸せに暮らしたぞ、靖国で会おう」と語りかけているようにみえた。
 5月に退院してしばらく家で療養してから最後は市立根室病院へ入院してターミナルケアを受けて全身転移が進みみんなに見とられながら9月に静かに死んでいった。市営墓地に眠っている。ビリヤードのスレート(平らな石)が一枚墓の前に敷いてある。
 釧路市立病院で新薬の治験に同意したときには、口の中が乾くのだが、副作用を確認するために一滴の水も飲むことができない、「とても我慢ができるはずがないのだが・・・」と担当の医師は言葉を飲み込んだ。一ヶ月間の治験治療期間が終わったあとにスプーン一杯の水を口に含んで、「あー、うまい、こんなに美味しい水をはじめて飲んだ」とオフクロに一言、痛いとか苦しいとかいわない人だった。

 新潟の人里はなれた山奥深くに4畳半一間の庵に棲んだ良寛さんは、春の訪れを愛でている。2m2mと雪が降り積もり誰も来ない冬が明けると緑色の新芽が出てくる。なんと春は素晴らしいのだろう、欠乏がなければ人は真のありがたさを実感できぬもののようだ。そう考えると、貧乏は幸いなるかな。

(7)  Because of the shrine’s nature, Abe’s behavior leads other countries to doubt the sincerity of his no-war pledge. Moreover, the prime minister’s emotional attachment to Yasukuni tends to not only cause other countries to harbor suspicions about Japan’s overall direction but also gives certain countries reason to castigate Japan for political advantage.

「このような靖国神社の性質を考えれば、安倍首相の行為は他の国々に不戦の誓いへの忠誠を疑わせるに充分なものがある。くわうるに、安倍首相の靖国神社への情緒的な執着心は、他の国々へ日本の全体的な方向についての疑念を抱かせるばかりでなく、特定の国々が政治的野心のために厳しく日本を糾弾する理由を与えてしまうことにもなるのである。」

attachment: 忠誠、愛着心
no-war pledge: 不戦の誓い
harbor: v 隠す、心に抱く
      CALDより
harbour:v to think about or feel something, usually over a long period.
  (長期にわたって何かを考え続けたり感じ続けること)
 

 harborは「港」だけでいいよ。動詞で使うなんて初めて見たから、ebisuは知らないので辞書を引いた。慣れてくれば文脈から意味を判断して、辞書にそれが載っているかどうかを確認することになる。「隠す」と訳したら文脈に齟齬が生じるから棄却、文脈からあらかじめ意味を予測してあったから、これだということで確認作業終了。こういうときは英英辞典(CALD)の定義も見ておくようにしている。語彙の選び方がぴったりだと納得できて楽しいからね。書き手の語彙の豊富さを実感できる一瞬だ。
 勉強は究極の娯楽、しかも金のかからぬ至高の娯楽と化す。あなたの心がけ次第でね。(笑) 

(8)  To prevent the international community from developing a mistrust of Japan and to avoid putting Japan in a difficult position, Abe should not even dedicate an offering to Yasukuni, much less visit the shrine.  And he should persuade his Cabinet members to refrain from going there as well.

ここは高校生や大学生のために少し解説しておこう。
① Abe should not even dedicate an offering to Yasukuni
② (Abe should) much less visit the shrine.

  こういう風に二つのsimple sentencesに分解(元の分を復元)すると意味が簡単にわかる。

「国際社会から日本への不信増大を招来しないように、そして日本が困難な状況に陥らぬように、安倍首相は靖国へ供物(真榊)を奉納すべきではなかったし、ましてや靖国参拝もすべきではなかったのである。彼は自らの閣僚たちに靖国参拝を取りやめるように説得すべきだった。」

much less: まして~ではない

 shouldは仮定法、反現実を想定している。安倍首相は昨年12月に靖国参拝をすべきではなかったのにしてしまった、真榊の奉納もしてはいけないのに4月にしてしまった、靖国参拝をする閣僚を説得すべきだったのにしなかった、そう言いたいのである。
 外部の事情や地位に応じて、臨機応変に行動しろと社説を書いた人が言っているのだが、そうだろうか?
 さまざまな発言の中から核心的と思われる部分を選び出して政治的な信条や信念に基いて言っていると私たちは受け取っている。それが状況次第でクルクル変わるとしたら、そんな人間を信用できるだろうか?
 どんなに困難な状況に陥ろうとも、曲げてはいけないものがある。靖国参拝は政治家安倍晋三にとってそういうものの一つであるのかないのかということ。そういえば国会議員定数を大幅に減らすことも民主党野田党首との激論で約束したことだった。議員報酬の削減は消費税増税とセットだったと受け取っていたが、4月末で期限が切れたが、続行措置をとらなかった。TPP六項目は日米交渉が暗礁に乗り上げたら簡単に棄て去られた。あれは公約ではないとまで言ったのである。選挙直前に党の方針として公表したのではなかったか、TPPに関して選挙前に自民党が約束した交渉撤退条件六項目が否定されるのだとしたら、政治不信が大きくなって当然である。
 言葉が軽すぎる、何と何を秤にかけてこういうことになったのかご本人の口から正直なところをお聞きしたい。


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#2666 Stressing over test score : 文科省は学力テスト結果公表を認めるな May 3, 2014 [75.時事英語公開講座]

 4月29日のジャパンタイムズ紙の社説だが、よくあるステレオタイプの意見とebisuは受け取った。はっきりいってお粗末な議論である。JT紙のふだんの社説のレベルを考えると首を傾げたくなる。

 こういう議論は日教組が盛んにやって、日本の子どもたちの学力低下に一役も二役もかっている。団塊世代のわたしも中学三年生のときに全国学力テストを受けて、北海道新聞の反対キャンペーン社説や記事をいくつも読んだから、こうした反対論が当たり前だと思い込んでいた。
 大人になってからおかしいと感じるようになり、自分の頭で考えたら仕事に対する基本的な考え違いが北教組の先生たちにあることに気がついた。当時は根室のほとんどの中学校の先生たちが北教組組合員だったのだろう。戦後の「民主教育」という言葉に酔いしれていたからそれも仕方のないことだっただろう。だが、戦後69年である、もう眠りから醒めるべきだ。
 テスト結果は先生たちの勤務評定でもある。そして生徒のテストの結果が悪ければ、それを分析して原因を突き止め、対策を施して生徒の学力を上げることは先生たち本来の仕事である。教師は聖職、そうあるべきだ。
 お隣の韓国でフェリーが沈没したが、3倍以上の過剰積載と船の重心を高くする改造、関係機関のさまざまなチェックにならぬ検査、船長以下の乗組員が乗客を船内に閉じ込めたまま現場逃亡するテイタラク、関係者全員が仕事に対する責任感を喪失している。船長の仕事は先生たちの仕事以上に「聖職」的な様相を帯びている。乗客と乗員の退避を確認してから最後に船を下りるのが船長としての仕事である。正直に・誠実に・勤勉に仕事をすることが一番大切なことなのだが、韓国にはそうした文化がないようだ。儒教と科挙制度で手仕事が軽視され続けた歴史をもつから、仕事に対する正直・誠実・勤勉という思想が芽生えなかったのだろう。

 学校の先生たちは、全国学力テストの学校別・科目別の点数を分析して、次の年度に何をどのようにやり点数を何点上げるか目標にしたらいい。姑息な手段は一切無用、まっとうな方法で学力テストの点数をあげたらいい。

 ステレオタイプの主張の数々をご覧に入れよう。(便宜のために段落番号を付した)
 記事のあとに解説を入れておいた。
http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/04/28/editorials/stressing-over-test-scores/
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Stressing over test scores


(1)  The education ministry’s new policy of letting municipal boards of education publicly release the results of nationwide achievements tests for individual public schools risks distorting Japan’s approach to education. The policy could lead educators and parents to become overly concerned with raising test scores at the expense of other important areas of education such as nurturing strong bodies and healthy minds, love of nature, independent thinking and creativity, and strong communication and cooperation skills.

(2)  Nationwide achievement tests were carried out in 2007 for the first time in 47 years. For the 2013 tests, only individual schools were allowed to make public their test results if they chose to and the education ministry only released average test results at prefectural levels.

(3)  But responding to requests from some local government heads who want disclosure of test results, education minister Hakubun Shimomura has decided to conditionally allow municipal boards of education to make public average test scores of individual schools.

(4)  On April 22, a total of 2.24 million sixth and ninth graders nationwide sat for achievement tests on Japanese and mathematics administered by the education ministry. All public schools took part in the tests while 47 percent of private schools did so.

(5)  Boards of education cannot make public an ordered list of schools arranged from the best down to the worst in terms of average test scores or a list that only shows each school’s average test scores. But they can now make public each school’s average test scores if they are accompanied by analysis of test results and measures to improve scores. It will be easy for third parties to make an ordered list of schools based on their test results.

(6)  If schools’ test results are low, it is very likely that the heads of the local municipalities and parents will put pressure on the school and the board of education to make efforts to improve the scores, resulting in a lot of time and energy being devoted at school to achieving such a narrow goal. But test results only reflect part of children’s overall ability. In addition, it is sheer nonsense to be preoccupied with the results of tests on just two subjects — Japanese and mathematics.

(7)  Municipality heads and parents must learn why earlier nationwide achievements tests ceased to be held in 1967 and be aware that a preoccupation with them can be the seed of ruining school education.

(8)  Many irregularities aimed at raising test scores were committed in the 1960s, including the holding of extra classes to prepare for achievement tests, teachers giving children the correct answers and arrangements being made for low-performing children to be absent on test days. In a lawsuit filed by a teachers’ union opposing nationwide achievements tests administered by the state, the Asahikawa District Court in 1966 ruled that the tests were illegal. The education ministry would be wise to rethink the new policy.

(9)  The ministry, educators and the general public must also be aware that analysis of the results of past achievements tests show that schools in areas with many low-income parents suffer from low test scores.

(10)  Japan’s expenditures for public education in terms of percentage of gross domestic product is in the lowest group among member countries of the Organization for Economic Cooperation and Development. The government should drastically increase public financial support for the education of children from low-income households so they can improve their scholastic performances.
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****** 解説 ****** 

  Stressing over test score

カットされた語を補うと、
  The education minisutry is stressing over the test score.
「文科省はテストの点数を強調しすぎている」⇒「文科省は学校別学力テスト結果公表を認めるな」


(1)  The education ministry’s new policy of letting municipal boards of education publicly release the results of nationwide achievements tests for individual public schools risks distorting Japan’s approach to education. The policy could lead educators and parents to become overly concerned with raising test scores at the expense of other important areas of education such as nurturing strong bodies and healthy minds, love of nature, independent thinking and creativity, and strong communication and cooperation skills.

 学校ごとの学力テスト結果公表が日本の教育の在り方をゆがめてしまう恐れありと書いている。そしてテスト結果公表が強健な身体と健全なこころを育むこと、万物へのそして自然(環境)への愛情、独立した思考と創造性を育むこと、しっかりしたコミュニケーション能力と他人と協力する術を身につけ育むこと、これらをことごとくを阻害する(expense)というのである。

  民間会社では精度の高い決算見込み額をあらかじめ計算して、それを前提に次年度の目標を立て、予算編成を行っている。Plan⇒Do⇒Check⇒Actの一連のサイクルをまわし続けて業務を改善し好業績をあげることは当たり前。
 テスト結果をCheckしないでどうやって次年度の目標を立てるというのだろう。テストの点数の目標も立てずにどうやって自分たちの授業(Do)の効果を検証するというのだろう?まるでバカげた議論に聞こえる。こういうことを北教組が言うのは思想が言わせているのだから理解できるが、その外側にいる一般人やジャーナリストが声高に叫んだり、北教組の主張そのままを自分の言として社説に書き連ねることは他の人はともかくebisuには理解できない。

(2)  Nationwide achievement tests were carried out in 2007 for the first time in 47 years. For the 2013 tests, only individual schools were allowed to make public their test results if they chose to and the education ministry only released average test results at prefectural levels.

 47年ぶりに2007年に全国学力テストが実施されたというから、「2007-47=1960」年が最後の学力テストだったのだろう。ebisuは11歳である。中学3年生のときに全国一斉学力テストを受けた記憶があるので、1964年が最後ではないのか?中三の1月ころのことだったはず。ebisuはこの全国学力テストで全国レベルでの自分の得意科目がようやく評価5に届く程度であることを知り、愕然とした。社会科が大好きで、小4から北海道新聞社説と1面の記事を読み続けていたおかげで、学校で習っていない国連機関の記号問題(WHOなど)が全問正解できたから社会だけは同期550人中ナンバーワンだった、それでもぎりぎり5の評価、田舎で全国レベルの高さを知るには全国学力テストしかないが、全国順位が生徒に伝えられることはない。一年生のときに全国レベルを知っていたら、二年生や三年生のときの勉強がだいぶ違っていただろう。

 ウィキペディアをみたら、1964年が最後とあるから、やはり記事は間違っているようだ。
*http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BD%E5%AD%A6%E5%8A%9B%E3%83%BB%E5%AD%A6%E7%BF%92%E7%8A%B6%E6%B3%81%E8%AA%BF%E6%9F%BB

(3)  But responding to requests from some local government heads who want disclosure of test results, education minister Hakubun Shimomura has decided to conditionally allow municipal boards of education to make public average test scores of individual schools.

 「テスト結果公開をしたいという首長からの要求に応えて文部科学大臣は市町村教育委員会が認めるという条件付で学校ごとの平均点公表を決定した。」

 文科省は学力テスト結果情報公開に関して日教組との関係で身動きが取れない。都道府県首長や市町村長そして保護者達から公開圧力が強まることをまっていたのだろう。そういうバックアップがなければ、学校現場の教育改革ができない。
 先生たちの仕事で一番優先順位の高いものは「教えること」である。生徒たちにたしかな基礎学力を身につけさせることが一番重要な仕事だ。自分の生徒たちに教えた結果、全国レベルでいまどの程度の位置にあり、来年はどこまで改善できるか目標設定するためにも全国レベルを知ることは大事なことだ。
 卑近な例をだすと、大学入試対策で全国偏差値なしに指導ができるか?そんな器用な先生はほとんどいないだろう。それほど統計的な数値管理は教育にとっても重要なのである。

(4)  On April 22, a total of 2.24 million sixth and ninth graders nationwide sat for achievement tests on Japanese and mathematics administered by the education ministry. All public schools took part in the tests while 47 percent of private schools did so.

 「受験者数は小学六年生と中学三年生を合わせて224万人、科目は国語と数学の二科目。公立学校は全校、私立は47%が参加」

 take Part in は基本単語だ

 私立中学校は1年前倒しのカリキュラムでやっているところが多いから、そうした学校は全国学力テストを受ける意味がない。中高一貫の進学校が半数程度あるということ。

(5)  Boards of education cannot make public an ordered list of schools arranged from the best down to the worst in terms of average test scores or a list that only shows each school’s average test scores. But they can now make public each school’s average test scores if they are accompanied by analysis of test results and measures to improve scores. It will be easy for third parties to make an ordered list of schools based on their test results.

「教育委員会は学力テスト結果の学校別順位表は公表できない、各学校ごとの平均点を公表できるだけだが、テスト結果の分析や点数を上げるために学校ごとの点数が公表可能になった。公表資料に基いて、第三者が順位表をつくるのは簡単なことである。」

(6)  If schools’ test results are low, it is very likely that the heads of the local municipalities and parents will put pressure on the school and the board of education to make efforts to improve the scores, resulting in a lot of time and energy being devoted at school to achieving such a narrow goal. But test results only reflect part of children’s overall ability. In addition, it is sheer nonsense to be preoccupied with the results of tests on just two subjects — Japanese and mathematics.

 「学校の平均点が低ければ首長や保護者たちが学校へ圧力をかけ、市町村教育委員会も点数向上を促すだろう、その結果多くの時間とエネルギーを点数を上げるだけという目的のために費やすことになる。テスト結果は子どもたちの能力のほんの一部分でしかないから、国語と数学の二科目だけのテスト結果にそんなに注目するのはまったく愚かしいことだ。」

 こういう議論がよくある、北教組の主張と重なる。「読み書きそろばん」は教育の基本であるから、国語と数学が基礎学力の点からは最重要で、学力を測定するためにこの二科目を選ぶことはebisuには至極当然に思える。20世紀最高の数学者の一人である岡潔は小学校の低学年では、国語と算数とあとは体育と情操教育に集中すべきで、社会や理科は高学年になってからでいいと言い切っている。

(7)  Municipality heads and parents must learn why earlier nationwide achievements tests ceased to be held in 1967 and be aware that a preoccupation with them can be the seed of ruining school education.

「首長と保護者は1967年に全国学力テストがなぜ開催が中止になったのか、その理由から学ぶべきで、学力テスト結果への狂騒が学校教育を破滅に導く種となりうることに気がつくべきだ。」

 ここには論理の飛躍がある。北教組が組織を挙げて大反対したことと、学校現場でインチキをやる先生が少なからず出たことが中止の理由になっている。仕事を正直にやらずに近道反応を見せた質の悪い一部教師を血祭りにあげて、学力テストを中止したのは暴挙であった。
 被害を受けたのはその後の生徒たちだ。全国レベルを知るのは、根室では根室高校普通科に進学した同期の中の約半数のみ。高校1年生の全国模試で己の実力を偏差値で知ることになる。田舎の中学生は悲しいかな、10回も受ける文協学力テストで全国レベルの学力を知ることはない。自分の学校の平均点と学年順位を知るのみだ。学年3番でも高校一年生で受ける進研模試の偏差値が平均値である50に届かぬ。普通科の平均点は数英は30点に届かない、釧路湖陵は60点台と聞く。
 田舎の高校生は全国レベルの学力情報から疎外されている。根室高校普通科の平均偏差値は42前後ではないか?100校あるとしたら下から20番目くらいだろう。
 こういう情報が小学校や中学校の段階で明らかになれば保護者たちが騒ぎ出す、こんなに低い学力はどういうわけだと。学校や市教委には誠に都合の悪い情報である。

(8)  Many irregularities aimed at raising test scores were committed in the 1960s, including the holding of extra classes to prepare for achievement tests, teachers giving children the correct answers and arrangements being made for low-performing children to be absent on test days. In a lawsuit filed by a teachers’ union opposing nationwide achievements tests administered by the state, the Asahikawa District Court in 1966 ruled that the tests were illegal. The education ministry would be wise to rethink the new policy.

「1960年代に点数を上げるためにさまざまなルール違反が学校現場で行われた。学力テスト対策授業、生徒へ正解を教えるインチキ、低学力の生徒をテスト当日欠席させるというようなことが学校の先生たちによってなされたのである。学力テスト実施に反対する北教組が訴訟を起こし、1966年に旭川地方裁判所が先刻学力テストに違法の判決を下した。(判決を踏まえて)文科省は新しい政策を最高する叡智をもちあわせているだろうか。」

 一部の先生たちのインチキ・仕事への不誠実を理由に全国学力テストを中止に追い込んだのは暴挙と言わねばならない。なぜかというと、全国レベルでどの程度の実力があるのかを確認したい子供達からそのチャンスを奪い去ってしまったからである。48年もたつのにいまだに北海道の小中学生は自分が全国レベルでどういう学力層に位置しているのかすら知らない。それが教育の地域格差を拡大する主要な要因の一つになっている。都道府県別全国学力テストデータで計算すると、根室管内は小学校は偏差値37*、中学校は44*である。惨憺たる結果がでているのに、基本統計量すら自分で計算しなければえられない。

*カテゴリー「平成25年全国学力テスト・データ分析」に計算値を載せたので、参照されたい。

 学力テスト結果を知ったら、現場の先生たちは本業に正直に誠実に勤しめばよいだけである。本気で生徒の学力を上げることを考え、実行したらいい。そうしたら5時半すぎたらブカツなんてやっていらえられない。文武両道、文の方が重いのである。

(9)  The ministry, educators and the general public must also be aware that analysis of the results of past achievements tests show that schools in areas with many low-income parents suffer from low test scores.

「低所得層の家庭の子どもたちの学力が低いことは過去の学力テスト結果ではっきりしている。」

 それはその通りだ。東京都の一人当たり所得は全国最低レベルの沖縄県の所得の2倍である。根室でも学区によってそういう差が出ている。わたしの母校の中学校ではクラスによって母子(父子)家庭が3割~5割を占めていると聞いている。C中学校ですら通塾率が20%に過ぎない。根室にも釧路の「てらこや」のような土曜無料の小学生対象の塾ができたらいい。釧路は全国公務員アウォード大賞を受賞した大越さん(釧路市立総合病院勤務)が「てらこや」を主催している。

(10)  Japan’s expenditures for public education in terms of percentage of gross domestic product is in the lowest group among member countries of the Organization for Economic Cooperation and Development. The government should drastically increase public financial support for the education of children from low-income households so they can improve their scholastic performances.

 日本はGDP比で見るとOECD加盟先進国では教育費が最低レベルだからもっと金をつぎ込めと言う主張だ。世界第3位のGDP比で測るからそういうことになるのだろう。児童・生徒一人当たりでみたら、上位だろう。学校の統廃合が進まず、細分化してコストのかかる構造になっている。統廃合して無料のスクールバスで送迎すれば総コストを減少させながら、一人当たり教育費を大幅に増やせる。成績上位5%の生徒たちには親の所得が800万以下の場合は返済無用の奨学金をだしたらいい。学費は全額、生活費は月に15万円だしたらいい。奨学金を出すのだからアルバイトは禁止、勉強に専念義務を負わせよう。


―余談(1)― 
 正直に誠実に仕事に励んで、児童・生徒の学力を上げようと努力されている先生たち、北教組を抜けて(脱北して)、全日本教職員連盟に参加しませんか。北海道教職員連盟が設立されます。
 ebisuはそのシンクタンクである北海道教育文化研究所のボランティア・メンバーです。先月初めて会費を振り込みました。所長は北海道議会議員の笠井龍司さんです。
*北海道教育文化研究所
http://946jp.com/dokyobunken/index.html

**全日本教職員連盟
http://www.ntfj.net/

 もちろんebisuは「釧路(と根室)の教育を考える会」の正会員でもあります。いろいろな職業の人たちが集まって釧路を基点として根室管内のメンバーと連動し北海道の教育改革を推し進めています。
 団塊世代のebisuは(二十歳から五十代の)若い人たちの教育改革の試みをバックアップします。

―余談(2)― 
これを書いている途中でなにかプログラムが自動更新され、再起動の促しがあった。Internet Explorerの修正プログラムのようだ。


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#2580 英字新聞記事QRコードとスマホを利用する音読&リスニングトレーニング推奨 Feb. 1, 2014 [75.時事英語公開講座]

 『風とともに去りぬ』の英語バージョン"Gone with the Wind"をテクストにして1年間読んでみるかと、英語嫌いで小説好きの高校1年生に揺さぶりをかけたときに、高校2年生の男子がいた。こちらは英語をあまりやりたがらない理数系の生徒だ。読書量は前出の1年生の数分の一だろうが、数学や物理はよくできるから、これに英語ができれば国立大学へ進学が楽勝になる、したがって進学の決め手は英語の成績。

 ところで日曜日のジャパンタイムズはタブロイド版サイズで、わたしはこのサイズがきらいだから、ほとんど読んでいなかった。サイズが嫌いだというだけで読まない理由になってしまうのだから、嫌いだということが人間の行動を大きく規制することがよくわかるのである。生徒があまり好きではない、あるいは大きらいな英語を勉強する気になれないのもよく理解できてしまうから始末が悪い。無理強いし辛いのである。でも進学には必要な科目で配点も大きいから、やらせなくてはいけない。どうしてくれようかと日々悩んでいた。
 何の気なしに時事英語の材料探しに日曜版の記事をサーチしていたら、10頁に"Opinion"(社説)があり、上のほうの論説文二つが国内、下部が米国の記事になっており、国内記事については音声サービス機能がQRコードで提供されている。いわゆる二次元バーコードというやつだが、これをスマホで取り込めば自動的に記事の読み上げ音声ソフトがダウンロードできる。
 ダウンロードすると記事が出てきて、その下に音声再生機能ボタンが表示されるから、画面をスクロールすればいい。スマホ一つで音読やリスニングのトレーニングができるところが素晴らしい。画面に記事を表示しながら、音読できる。慣れたら見ないでシャドーイングやリテンションをやればいい。その前に意味理解だ。精読して意味を理解しておくと、音読にキモチが込めやすいし、英語が素直に頭の中に入ってくる。わたしは単純なリスニングが大きらいで、二十数年前だったか三十年になるのか忘れてしまったが一度某社の「ヒアリングマラソン」をやったことがある。ウォークマンで聞いてみたがすぐに嫌気がさした。一年分お金を先払いだったのでもったいなかった。上手な商売のやり方だろうと思う。一月単位での購読なら1月で購読をやめる読者が半数を超えるだろうな。それはあの会社の商売のやり方が上手なだけで仕方なしとして、ただ聴くということが苦痛この上ないし時間の無駄に感じてしまう種類の人間が少なくないことは事実だろう。女の脳はそういう行為に反発が起きないように作られているが、男の脳はそうではない、単純作業に飽きるのである。だから言語の習得パターンは男と女ではだいぶ異なるように思う。この論説では男女差別が話題になっているが性差を無視した学習方法論は暴論でもある。
 もちろん、個体差が大きいから、男であってもそんなことは無視してひたすらヒアリングマラソンを続けてモノにする人もいることは認めたい。脳の性差を超克した素晴らしい能力だと思う。
 話しを戻すが、試して見たい人は、D君が新聞のコピーをもっているから、そこに載っているQRコードをスマホで読み込めばいい。記事はスマホでみれるからQRコードを読みこむとき以外は必要ない。1年生は前出の女生徒が記事のコピーをもっているから、読み込ませてもらったらいい。もちろん、ニムオロ塾に来てくれてもいいよ。入塾しろなどと野暮なことは言わないから心配ないよ、少しぐらいなら解説してあげてもいい。自分で言うのもなんだが、案外親切なオジサンなのだ。オリジナルが机の上に置きっぱなしにしてある。ebisuの机の上はだいたいいろんなものがごちゃごちゃ積み重ねてある。あまり乱雑になると必要なものを探すのに手間取るようになるから潮時を判断して整理している。「乱雑だな~」という冷たい視線を投げないように。(笑)

 この理系男子の2年生は、科学甲子園で釧路湖陵高校理数科に勝利したチームのメンバーであるが、ただ聴くということ作業が我慢できないタイプと判断していた。中3から通塾をはじめてほぼ3年たった彼はわたしに似たタイプのようなのである。
 QRコードをスマホで読み込ませた。記事が表示され、音声ボタンを見つけ再生すると、女性の声できれいな読み上げだ。理由がわからないがパソコンで再生するよりもスマホのほうが音声がきれいに聞こえる。まさか分解能が違うわけではあるまい。だが、音声ソフトの画面は違っていた。
 高2のD君は芥川賞と直木賞の受賞者が3人とも女性であるという記事のほうに興味を示して、読み始めている。

 最初の段落が一番大事なのだが、単語にとらわれて前半部で正反対の訳をしてしまっていた。次の節を読めば簡単に気がつくはずだが、気がつかなかった。個別の単語に目を奪われるとわかっているはずの接続詞'but'にすら注意力が向かない、最初の内はそんなものだ。'before and after'、半年もしたそういう初歩的ミスなどしない別人に化けているだろう。期待してるよ。(笑)

 英文社説を転載した後ろに解説をつけておくが、読者諸君は解説を読まずに記事本文の第一段落を和訳して紙に書いてみられよ。そこが勉強の核心である。わからないという状態をどれだけ維持できるか、5分が限度なら高校生としては下の下だ。1時間ならまあまあよしだが中の下だ。試行錯誤が勉強なのである。学者は同じことを何ヶ月も時には何年もテーマによっては十数年も考え続ける。高校生や大学生はそこまでしつこい必要はない。受験が目的だからよい意味で好い加減でいい。20分くらいはああかなそれともこうかなと考えてくれたまえ、案外手こずるかもしれない。

 段落ごとのロジックをチェックしながら読むことができないのは無理もない、はじめは誰でもそんなものだ。
 問題の箇所を指摘してある程度考えたら、ロジック解析をして和訳してみせる。なんてことはない文型を確認して文脈を読むだけの話であるが、半年もトレーニングしたら、贅沢な授業の効果は大きく、ebisuのサポートなしで楽に読めるようになる。楽しそうに段落四つ分をやり終えて、満足顔だったので、感想を尋ねた。

「後の段落は最初のよりもずっと簡単だね、先生、これおもしろい、教科書よりもずっといい」
「そうだろう、ホットなニュースだから教科書よりはずっと面白いはずだ、毎週やればいい。楽しいなら半年続けてごらん、苦手の英語の偏差値が70になれば志望校への合否判定はAになるよ」
「面白いから続けられそうです、やってみます」

 精読して意味を頭に入れて、それで音読を繰り返す。シャドーイングやリテンションもやってみたらいい。そのあとでリスニングしたら意味内容までわかってよく聞こえるはずだ。
 30本もたまったらどういうことになるか、体験して見たらいい。2年生なら大学入試まで50~70くらいの記事を読むことになるだろう。
 毎週記事が二つ提供されるから、単純計算では1年間通してやればリスニング教材8冊分くらいの分量になる。やりとおせるかどうかだ。興味のある記事どちらか片方だけでも充分な量だろう。模試偏差値50の生徒がこのトレーニングを半年続けたらだらだらやっても偏差値60以上は確実だろう。ebisuはこの生徒に70超を期待している。高校生のうちにこれくらいのトレーニングを積めば、大学院入試も英語は問題がなくなる。何人受けてもトップか2番で通過できるだろう。英字新聞の英語は専門家が書いた記事が多いので専門書並みのレベルの高い記事もある。ただし、社説はそんなにレベルは高くないよ。

 URLをクリックすると記事へジャンプするが、スクロールすると音声ボタンがあるので、それをクリックすると読み上げがはじまる。


http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/01/25/editorials/literature-prizes-elevate-women/
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Literature prizes elevate women

Japan may rank extraordinarily low — 105th out of 136 countries — on the world gender gap index, but this year’s winners of two famous literary prizes were all women, an irony that will surely not be lost on the prizewinners and their readers.

The winner of the 150th Akutagawa Prize was Hiroko Oyamada for her novel “Ana” (“Hole”), a story with a woman as the central character.

The two authors who shared this year’s 150th Naoki Prize, Makate Asai and Kaoruko Himeno, also focused on women. They deserve congratulations.

All three authors winning this year’s Akutagawa Prize, for up-and-coming writers, and the Naoki Prize, for popular literature, focused in large part on the experience of women.

Oyamada’s work focuses on a young woman who resigns from work and moves to a rural area, where, after falling in a hole, mysterious events start happening.

Asai’s work describes the fate of women during the end of the Edo Period and Himeno’s explores the everyday life of her female protagonist in Shiga Prefecture.

Should the issue of gender even be raised? Perhaps the writers should be considered solely on the quality of their work. No doubt the quality of the writing was paramount for the award selection committees. Because Japan continues to suffer such horrendous gender inequality, the fact that talented women are producing work of high quality and social relevance deserves mention. Japan’s women are strong, creative and productive.

These three writers offer a view of Japan in which women’s struggles and feelings are more central than in the “official” story the government follows. Their award-winning fiction helps position women better in a country where women have little power. Japanese women ranked 118th out of 136 countries in political empowerment on the world gender gap index in 2013.

That is not to say these writers are writing just to promote women. Surely, as writers, they work for deep meanings with strong language and impressive stories first and foremost.

These writers, and their works, should be a reminder of how much women contribute to Japan. Himeno, for example, has written books for 25 years, and Asai began writing in 2008 while running an advertising company. The 149th awards for both prizes also went to women.

While these women deserve to be recognized for their literary achievements, they can also valuably serve as role models for all women struggling to express the hardship of their lives and pushing in creative, or just everyday ways, to change the injustice and unfairness that women in Japan have suffered for too long.

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【問題の箇所、第一段落の解説】
 引っ掛かったのはアンダーラインを引いた部分である。

Japan may rank extraordinarily low — 105th out of 136 countries — on the world gender gap index, but this year’s winners of two famous literary prizes were all women, an irony that will surely not be lost on the prizewinners and their readers.

「日本はランクがびっくりするほど低い /136か国中105番目/ 世界(標準)男女差別指標で」

 これを「男女差別が非常に低い」としてしまった。ちっとも論理的でない。but以下を見ると、「今年の二つの有名な文学賞受賞者はすべて女性であり、それは(男尊女卑が強い国だという評価に対する)ひとつの皮肉でもあった。どういう皮肉かというと芥川賞と直木賞の三人の受賞者とその読者を戸惑わせないという意味において」ということがわかる。butが逆説の接続詞だということを知らない高校生はいないが、文脈を頭におきながら読み進むという技(わざ)、ロジカルな読み、に慣れていないと頭の中はロジカル・チェックをしないで単語だけを追って、独りよがりな解釈をした文脈から辞書に載っている訳語のヘンテコリンなつなぎ方をして誤読してしまう。そういう読み方をする高校生や大学生は多い。適確なトレーニングをしていないからだ。大学ではなかなかそこまでやってはくれないし、大学院生なら「自分でやれ」と突き放される。あたりまえの話だから、その隙間を埋めてあげようというのが「時事英語公開講座」の目的の一つである。

 逐語訳では日本語にならない文があることは生の英文を少し読んだことのある人なら経験があるはず。そういう文や文法工程指数の高い文の意味構造を適確につかまえるのはそれなりの熟練の技を必要とする。感性だけにたより、不正確な文脈理解で訳すと、原文の意味するところを大きくはずしてしまうことがあるから、要注意だ。著名な経済学者でも時々やっているし、みるに耐えない「大家」の古典の翻訳書すらある。これほどひどくはなくても肝心な箇所で勝手な文脈判断で誤訳しているものはある。どうでもいいところならいいが・・・まったく翻訳は油断がならない。
 脱線したくなった。
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 お気の毒ではあるが一番ひどかったものを俎上に上げたい、水田洋訳『道徳感情論』がそれである。これは『諸国民の富』を著したA.Smithの書いたものだ。わたしは大学院時代にこの本をSさん(現千葉経済大学学部長・経済学科長)に薦められて読んだのだが、少し読んで嫌になって放り投げた。こんなお粗末な翻訳はない。誰かが翻訳してしまうと、著作権の関係から別の人が翻訳しなおすということが難しくなる。
 こんな本をSさんが薦めるわけがないから、気がついた。彼は翻訳書ではなく"The theory of the moral sentiments"のほうを読んだのだ。こんな本を彼が薦めるはずがない。マルクスの諸著作の研究のために、経済学諸概念が古典派経済学の中でどのように生まれ、精製されて来たのかという問題関心を知っていたから薦めてくれた。たしか一橋大学学長だった増田四郎先生に特別講義をお願いしてたった3人の院生でリストの『国民経済学体系』を読んだ折のことだった。

 たまたま開いたページの訳文を例示しておく。
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・・・かれらは怒りをもって、かれにたいして、みずから防衛しあるいは復讐するように、叫ぶのである。もし、ついにかれの義憤が高まると、かれは心から喝采し、それに同感する。それは、敵にたいする彼ら自身の義憤を活気づけるのであって、かれの敵にたいしてかれが、こんどはかれの側から攻撃を加えるのを見ると、かれらは歓び、かれの復讐が不穏当なものでない限り、まるでその侵害がかれら自身にたいしてなされたものであるかのように、ほんとうにその復讐に満足するのである。
 だが、かれを侮辱または侵害することをきけんなことにするという、それらの情念のその個人にとっての効用が、認められるにもかかわらず、そして、正義とその実施の公平さとの擁護者として、それらが公共にとって有する効用も、あとで示されるように、重要さが劣るわけでもないにもかかわらず、それでもなお、それらの情念自体の中に、なにか不快なものがあって、それが、他の人々のなかにあらわれたそれらの情念を、われわれの嫌悪にとって自然な対象たらしめるのである。
 ・・・(48頁)  (太字はebisu)
-------------------------
 芥川龍之介にもちょっとお粗末と思える『クラリモンド』という翻訳物がある。一人称がやたらうるさいのだが、不思議と読めてしまう。文章のリズムや流れが心地いいのだ。日本語の遣い手としての資質の高さに驚かざるをえない。「わしが」という訳す必要のない一人称がやたらと出てきても文はそうした欠点をカバーしてなかなかすぐれものになっている。
 わたしがもっている『道徳感情論』は1973年初版の筑摩書房の分厚い単行本である。いい装丁をしている、製本技術がしっかりしたいい本であるが、ナカミはこういう訳文が続く、まるで判じ物のようだ。この日本語を読んで頭の中にA.Smithが伝えたいイメージをつくりえた人はすごい。わたしにはさっぱりわからない、ただの悪文にしか見えない。できの悪い大学生が一生懸命に訳したようにしか見えぬ。こんなものを読むくらいなら、『原書』を読んだほうがよほど楽だ。
 この本(じつは『原書』のほう)を薦めてくれたSさんは何年も前から某大学の経済学部長である。、当時は研究熱心な若き学徒だった。学位を取得後に何度かペーパを書くように勧めてくれたが、大学に残るつもりがなかったのでその気にはなれなかった。仕事に夢中だった。

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 閑話休題(よだんをもどして)、翻訳家になるわけではない高校生は、あまり細かいことに関わらずに、大きな文脈と個別の文のスラッシュ・リーディングを頭の中でつき合わせながら読めばいいだけ。細かいところに入り込む必要はなく、大雑把に論旨をとらえることに意を砕けばよろしい。

「世界男女差別指標でみると日本は136か国中105番目であり、男女差別の徹底した国ということになる。そういうわけで「世界基準」で測ると日本は典型的な男女差別の国というのだが、男尊女卑なら二つの文学賞を女性三人が独占するなんてことはありえないはずだから、これ(女性三人の「独占」受賞)はある種の皮肉だろう。受賞者三人もその読者も、今回の受賞がなにも特別なことではなく、作品がよければ男が書いたとか、女が書いたとか、そうした男女差別問題に二つの文学賞は何の関係もないと受け取っているのである。」

 わたしが訳すと概ねこういう論旨になる。文脈から知っている範囲の意味でなさそうなことがわかったときにはすなおに辞書に聞くべきだ。

  surely notは「まさか~ではない」

 ロジックあるいは文脈を追いながら、読む技はトレーニングで育成できるのだが、母語である日本語の読解力つまり論理分析能力のない者は英文も読めない。こういう段階になると日本語の読解能力の高さが求められるのである。ようするに日本語の語彙が爆発的に拡張する時期に当たる中学生や高校生の時期にどれだけレベルを上げた読書をしかたにかかっている。幼児英語などやる暇があったら、年齢に応じた日本語の良質のテクストを選び音読させるべきだ。そうした下地をつくっておけば、高校生になってから英語を学ばせたら飛躍的に英語の力が伸びる
 逆のことをやらせている愚かな親が多い。幼児英語に一生懸命になるが、日本語の良質のテクストを与えない。日本語語彙が貧弱では、高校生になってから英語が伸びない。英検準2級どまりが多い。まれに2級かな。そこから先は日本語の語彙力と日本語読解能力の大きな者たちの独壇場である。年齢に応じた良質の日本語テクストを与えないことで子どもたちの未来の可能性の芽を摘んでしまっている。

 高校生や大学生が読むだろうから、和訳という作業についてわたしの考え方を簡潔に述べておくべきだろう。
 文の書き手が頭の中に創りあげたイメージを言葉につむいで文章にしているから、和訳は逆の作業になる。英文を読み、自分の頭の中に書き手がイメージしたのと同じものをつくりあげて、それを自分が蓄積してきた語彙や用例を利用して日本語にするのである。日本語語彙やたくさん本を読んで用例が頭の中にないと使える材料が貧弱になるから、出来上がる訳文も貧弱な日本語にならざるをえないのである。
 辞書に書いてある訳語はすべての場合を網羅しているわけではないから、動詞は目的語や前置詞や副詞とセットで考えてはじめて具体的なイメージをつくることができる。英和辞書に載っている訳語のリストはたんなる目安だから、その目安からもともとの単語がもつイメージが何かを考える習慣をもってもらいたい。慣れてくると、文脈から訳語に見当をつけて、辞書で確認するというようになってくる。その段階になれば、センター試験で85%くらいの得点がとれるようになっているはずだ。もちろん長文だけでそんなに得点できるはずがないから、アクセント問題や文法語法問題についてもそれぞれいいと思うトレーニング用問題集や参考書をやるべきだ。

 頭から次々読みながら論旨を正確にとらえるには、日本語読解力とそれの応用である論理解析しながらの読解トレーニングが必要なことがわかる。毎週こういうことを徹底してトレーニングすれば、大学入試の長文など「お子様ランチ」同然で、設問に正解するにほどでいいなら、簡単に意味がとれる。
 毎週こういうトレーニングを繰り返したら偏差値が70以上に上がらないわけがない。
 ebisuが高校生ならこういう塾に通いたい。

 ヘッダー(見出し)と最初の段落が一番大切だ。これで本文の概要がわかる。第2段落以降は簡単だからすらすら読めるかな?
 
 武器は二つ。
  ①論理解析
  ②生成変形文法によるシンプル・センテンスへの書き換え

 context(前後関係、文脈)を頭の中で論理解析ながら読むのは、トレーニングを積まないと身につかない技である。それでも理解できないときに②でアプローチすることになる。
 表層構造を深層構造(=simple sentences)に書き換えることで、誰にでも意味がわかるようになる。SSは意味構造そのものだし、そこまで落とせば中学生でも理解できるし、そのやり方を見ていれば自分でもできるようになる。
 論理解析は英語が苦手でも、本の好きな人、日本語の本をたくさん読んでいる生徒には理解しやすくとっても楽しいトレーニングだ。

 < 蛇足 -1 >
「男女差別(の世界標準)指標」なんて書いてあるが、そんなものは欧米の宗教観や世界観でまったくことなる価値観で動いている日本を勝手に切るもので、いい加減なものだ。1300年前に書かれた『古事記』に見るように、日本は男女がその役割を分担してやることになっており、お互いの役割を尊重している。倭建命と弟橘比売命の故事からもわかるように、日本では女は男に守られるべきものとして扱われてきた。命を賭して自分の愛する女を守ることが男の役割であることをこの故事が示している。そういう世界観から見ると、男女共同参画社会法などという法律は言語同断、お互いに権利を主張しあいながら女性を辛いところへ追い込むことになる。男と同じように職場で働けなどと男女差を無視すれば、女性はきつくなる。子どもを産むことを考えると、男と女が同じ条件で働けるわけがないことは明らかだろう。日本は古代から性差を考慮した女性に優しい国なのである。
 日本最古の小説は紫式部『源氏物語』である。女流文学の流れは確固としてあり、不動の地位を千年前に築いていまに至っている。文学作品の評価において男女差別など微塵もないことは千年の歴史が証明するところだ。平安時代(1000年前後)に確立された女流文学の流れは、少なくとも17世紀以前には欧米にはまったく存在しない。もっと遡ると、額田王という歌人もいる。大和言葉、古代朝鮮語、中国語の三ヶ国語を自在に操る万葉歌人である。こういう知的教養をもつ女性が上流階層の男に断然人気があった。江戸時代の寺子屋も男女差別がない。教育においても江戸時代から日本は男女差のない国であった。江戸時代に一般の婦女子の教育システムを確立していた国は日本のほかは世界中どこにもない。
 欧米こそが男女差別社会だったから、そこからの解放が問題になるのである。欧米は日本に遅れること600~800年で女流文学らしきものが生まれた。
 欧米の価値観に毒されてはいけない。そうした意味でも、高校生になったら古典文学をたくさん読むことだ。古典文学には日本人が育んだ伝統的な価値観がたくさんちりばめられている。『源氏物語』を読めば男女に関する約束事や守るべきルールがよくわかる。『古事記』も林望・謹訳『源氏物語』もカテゴリー「本を読む」に寸評を書いてあるから、興味にある方は左側の欄にあるカテゴリー区分リスト中ほどにある「本を読む」をクリックされよ。

*倭建命と弟橘比売命の美しい物語は竹田恒泰著『古事記完全講義』363ページを読まれよ。

 古典ではないが山本周五郎の『日本婦道記』が女の役割の重大さを説いていてなかなか面白い。こういう女が男女を問わず尊敬されるのが日本だ。男にはできない重要な女の役割がある。それにくらべたら欧米の男女平等思想は実に薄っぺらだ。

  < 蛇足 -2 >
 北海道教育文化研究所が1月25日に設立された。この研究所の目的はいくつかあるが、重要な柱を二つ挙げておきたい。ひとつは特定のイデオロギーを学校教育に持ち込まないということ、もう一つは日本の伝統文化や価値観を大切にするということである。そうした視点から、英字新聞記事をチェックして、彼我の価値観の相違を鮮明にして高校生や大学生諸君を啓蒙することはこの研究所の目的にかなう。
 以下、#2573より抜粋引用
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私たちは、教育専門職として教育現場に特定のイデオロギーを持ち込むことに反対し、常に自らの資質・能力の向上を目指しています。また、日本の伝統・文化を尊重し、「美しい日本人の心の育成」を基本理念として活動しています。
(「全日本教職員連盟について」より抜粋)
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 日本の伝統・文化や価値観も特定のイデオロギーと主張する屁理屈屋がいるかもしれないので、「日本の伝統・文化や伝統的な価値観を除く特定のイデオロギー」を学校現場に持ち込まないと言い換えておく。伝統・文化や価値観は日本という風土に漂う空気のようなものだ。これを四六時中取り込みつつ生きていることを自覚すべきである。

*北海道教育文化研究所
http://946jp.com/dokyobunken/index.html

 #2573 北海道教育文化研究所設立  Jan. 26, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-26-2


古事記完全講義

古事記完全講義

  • 作者: 竹田 恒泰
  • 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: 単行本


 
小説日本婦道記 (新潮文庫)

小説日本婦道記 (新潮文庫)

  • 作者: 山本 周五郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1958/10/28
  • メディア: 文庫


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 QRコードつきの二つ目の記事を紹介する

http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/01/25/editorials/crime-rate-dips-again-in-japan/
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Crime rate dips again in Japan

Japan’s relatively low crime rate just got lower. Recently released figures from the Organization of Economic Cooperation and Development showed that only 1.4 percent of people in Japan had been victims of assault compared with the OECD average of 4.0 percent for annual assault and mugging rates.

Overall Japan was ranked the safest country in the world, with the second- lowest homicide rate after Iceland and the second-lowest assault rate after Canada.

The National Police Agency also recently released a report noting that murders across the country declined 8.8 percent to 939 in 2013. That figure is below 1,000 per year for the first time since World War II. While even one murder is one too many — much less more than 900 — those figures reveal an improvement in one important area.

While the relatively low crime rate is a source of pride for Japan, many problem areas remain. The ratio of arrests to reported crimes fell below 30 percent for the first time in eight years, down 1.9 percentage points to 29.8 percent. Those low figures may be because the Japanese tend to report even the smallest crimes, and certain crimes are hard to investigate and find suspects. Still, the NPA should find ways to ensure that more arrests are made for all reported crimes.

Another problem area is the increasing number of “ore ore sagi” scams, where telephone callers target elderly people claiming to be relatives in urgent need of money. The number of such scams and other fraud cases climbed 10.5 percent to 38,326 in 2013. The scams have continued to increase in number and complexity. The arrest ratio for fraud cases overall declined 8.5 percentage points mainly because the scams are becoming more sophisticated, even involving fake police officers and phony lawyers at times.

The police agency needs to work to increase arrests for all reported crimes, but particularly the increasing number of frauds and scams.

Arrests do not ensure that justice is done, of course, but they are a partial indication of the degree to which safety and justice are pursued. While Japan is doing relatively well compared with other countries in terms of statistics, for victims, statistics do not mean much. Fraud crimes can ruin the finances, and consequently the lives, of the victims.

Japan may be a bit of an anomaly. Even though the economy has been in the doldrums for two decades, the crime rate has not risen the way it often does in countries facing tough times. Still, the National Police Agency needs to take the rising problems with frauds and scams seriously, especially since they are increasing in number and sophistication.


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*#2578 英語嫌いな高校1年生: 'Gone with the Wind'読んでみる? Jan. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-30-1

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#2571 BOJ near limit for bond buys but boost may be needed Jan. 25, 2014 [75.時事英語公開講座]

【ジャパンタイムズを読もう!】

  BOJは'Bank Of Japan'の略称である。中学公民で「銀行の銀行 'bank of banks'」とか、「中央銀行 'central bank'」の用語をならったはずだ。忘れている人がいたら、もう一度公民の教科書か高校政治経済の教科書で確認してみよう。話題になっている事がらについての周辺知識があるかないかは英文を読むためには欠かせないことなのだ。
 日銀は政府が発行する新規国債買い入れ限度額を自ら年間50兆円と設定したのだが、その限度を超えて国債買い入れをしそうな状況なんだ。つまり、想定外で追い込まれているということ。根室市も放漫財政を避けるために自ら設定した新規市債発行限度枠8億円を破棄して24億円も発行している。国も根室市もこの点(放漫財政)ではよく似ている。
 戦時体制でもないのに日銀が国債を直接買い入れるなんてことは本来してはいけないこと。高橋是清が戦時赤字国債を大量に発行したが、一時しのぎのつもりがそのご恒常的に拡大されて歯止めがなくなってしまった。一度やるとこういうことは癖になる。覚せい剤のようなものと言い換えてもいいだろう。その結果、政府が発行した国債や軍が発行した軍票は紙切れ同然になったわけだが、だからこそ財政規律を維持するためにも、政府が発行しそれを日銀が買い取るなんてばかなことをやってはいけないのいうことになっていたのにいつのまにか日銀の直接買い入れを国会が承認してしまった。
 団塊世代は日銀直接買い入れはご法度と中学3年生のときに「政治経済」でそう習ったのだが、現実の政治は節操がないのか滅茶苦茶な財政運営をしている。
 日本政府は、新規国債の増発をしないと財政が維持できないような構造になってしまっている。数字で示そう。

 昨日(24日)、平成26年度政府予算案が閣議決定された。その内訳は次のようになっている。
  一般会計予算  95兆8823億円
  歳出        72兆6121億円
  国債費       23兆2702億円

  税収        50兆0010億円
  国債新規発行  41兆2500億円
*NHKニュースより
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140124/t10014733551000.html

 年収500万円の家庭が1000万円使っているようなもので、家計ならすぐに破綻するが、政府は国債を発行して日銀へ直接買取をさせて辻褄を合わせることができる。こんなことはやってはいけないことなんだ。自民党は小泉政権のときに2011会計年度でプライマリー・バランス(基礎的財政収支)とプラスにすると約束したが、いま2014年だが、基礎的財政収支はプラスになったか?それどころか財政赤字は拡大の一途をたどり、それを補填するために新規国債発行額は増え続けている。いうこととやることがまったく反対というのが最近はやりなのだろうか?絶対反対と言っていた民主党野田政権がその末期に、「命を懸けても消費税値上げを成し遂げる」といったときには開いた口がふさがらなかった。
 民主党も自公民も約束したことと正反対のことをやっても平気なようだ。選挙の時には政党の党首や立候補者が口先で約束することよりも、ずっとずっと人物をよく見ないといけない。困難な状況下でも約束をたがえないような信頼するに足る人物かどうかを品定めすべきだ。もうだますほうが悪いなんていっていられない、だまされるほうもこうも何度も続くとバカに違いないと思えてくる。

 政府財政は45兆円も赤字になっている。昨年もほぼ同じ数字だから、プライマリーバランスの回復なんて絵に描いた餅で、消費税を引き上げても他に使われることになる。財政赤字の縮小になど使われない。現に、実効税率40%である法人税率を10%引き下げなんていっている。消費税が5%から10%へ13兆円増税される一方で、法人税は10兆円の減税するつもりのようだ。社会福祉や国債削減に使う?嘘ばかりだ。法人税の実効税率40%の負担が嫌な企業は生産拠点を海外に移したように、本社も日本から移せばいい。財政再建のために国民が消費税増税を甘受しようと言うのだから、企業も応分の負担をするので法人税の実効税率を10%上げようと主張する経済団体はないのか?

 財務省がこんなに大規模な歳出を続ける限り日銀は政府が発行する国債の直接買い入れをやらざるをえないのである。不足分の45兆円を超えて50兆円の限度枠でも足りないから、60兆円~70兆円へ拡大しそうである。どういうことかというと、市中銀行が手持ちの国債の暴落リスクを小さくしようとして日本国債を売り払い始めているのである。だから、日銀は限度額を超えて国債を買い入れ、政府と財務省を支えざるをえない。日銀が直接買い入れをやめたら、買い手を失った日本国債の長期金利は5%以上おそらく7~8%にハネ上がる。そうしたら国債価格は暴落必死だし、国家財政も国債金利支払で破綻する。書き換え分が年に100兆円前後あるだろうから、次々に金利の高いものに置き換わる。破綻寸前のスペイン国債金利は昨年7%だった。米国財務省証券も量的緩和以前は5%前後で、量的緩和によって現在10年物で2.82%だ。それに対して日本国債の利回りは0.66%である(#(3)参照)。

 国債の直接買い入れによって日銀資産は急膨張している。今年度末には61兆円増えて290兆円になる(#(10))。このほとんどが国債だから、金利が上昇すれば日銀保有の国債が大暴落するということ。保有国債はすでに名目国内総生産の48%に達している。米国は半分の24%だ(#(11))。
 日本は月額6兆円もの国債買い入れをやっているのに、米国は月額10億ドル減らして75億ドルである。日本のおおよそ1/8の規模であるが、今年度末には国債買い入れを停止するだろう。

 日本の量的緩和には出口戦略がないのである。野村證券のチーフエコノミストのクーは「量的緩和の罠に嵌ってしまった」と書いた(#(12))。
 住友三井銀行のストラテジスト・うのだいすけは「四月の消費税引き上げが経済に悪影響を及ぼせば、日銀は躊躇なく追加的刺激策をとると述べている。

 #(2)には消費税引き上げで第二四半期に4.3%経済が縮小すると書いてある。インフレ率は円安と消費税引き上げで4~5%に達し、所得は上がらないとなると、経済は急激に冷え込む。その一方で政府の借金は毎年50兆円も積み上がり、国家財政の破綻リスクが大きくなり、日銀の国際的な信用が地に落ちる。それにもかかわらず、日銀は国債買い入れをやめられない。政府がこれほど大規模な赤字財政を続ける限り、国債の買い手のいなくなった市場から買い入れざるを得ないからである。それを停止したとたんに政府は財政破綻を起こしてしまうからだ。その引き金を引く勇気は安倍総理に任命された黒田日銀総裁にあるはずがない。

 国家公務員、地方公務員の半数のリストラ、残る人も給与4割カット、特殊法人は全廃、為替相場は200円/$、ガソリンも燃料用灯油も値段が2倍、国債の実質価値は半減という世界が近づいている。アベノミクスが破綻を呼び込むことになる。

 ジャパンタイムズ1月21日の記事より
http://www.japantimes.co.jp/news/2014/01/20/business/boj-near-limit-for-bond-buys-but-boost-may-be-needed/
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BOJ near limit for bond buys but boost may be needed

Bloomberg

The Bank of Japan is approaching the upper limit of its target for buying bonds, raising prospects it will need to expand the scope of its stimulus program to support the economy before a tax increase.

The BOJ bought ¥6.8 trillion worth of sovereign notes in December, the least since it boosted the program to more than ¥7 trillion a month in April, data compiled by Totan Research Co. show. The buys may slow further to avoid exceeding the average annual target of a ¥50 trillion increase in the BOJ’s holdings for the year, said Tokai Tokyo Securities Co. and Totan, a Tokyo-based research unit of money-market broker Tokyo Tanshi Co. The holdings swelled by ¥50.3 trillion in the nine months that ended Dec. 31.

BOJ Gov. Haruhiko Kuroda could signal to the market that a slowdown does not represent a scaling back of his accommodative policy or he could raise the holdings ceiling, according to Sumitomo Mitsui Banking Corp. The government’s plan to increase the sales tax to 8 percent in April from 5 percent is forecast to trigger a 4.3 percent economic contraction in the second quarter. The 10-year sovereign bond yield was at 0.66 percent Monday, compared with 2.82 percent in the U.S.

“Investors think the BOJ is just taking a break and will increase buying when the effect of the sales tax hike comes in,” said Tadashi Matsukawa, the head of fixed-income investment at PineBridge Investments Japan Co. “Japan’s yields are staying at these levels because of this assumption.”

Kuroda said last month that the pace of buying is “flexible” to achieve the holdings target. The amount of bonds the BOJ has is more important than the monthly purchases, he told reporters.

The 10-year yield slid for a fourth year in 2013, the longest stretch since 2002, even as inflation started to pick up from a two-year low in March. The yield will probably climb to 0.85 percent by Dec. 31 after falling six basis points last year, the median estimate of economists shows in a Bloomberg survey. A basis point is 0.01 point.

“The BOJ’s monthly purchases will decline to about ¥6.4 trillion,” Kazuhiko Sano, the chief bond strategist at Tokai Tokyo Securities, told reporters and institutional investors Wednesday. “I don’t think the decreases would have a large impact on the market, considering investors paid little attention to the decline that we saw in December.”

The BOJ will boost stimulus by the end of September, 80 percent of the 35 economists polled last month estimated.

“The amount the BOJ needs to buy this year is about ¥6.5 trillion a month” after taking into account its bond holdings that come due, Izuru Kato, the president of Totan, wrote in a research note on Jan. 9. “The BOJ is more likely to boost purchases should the decrease destabilize bond yields.”

The BOJ’s total assets have climbed to ¥229 trillion, or 48 percent of the nation’s nominal gross domestic product. The central bank aims to increase its balance sheet further to ¥290 trillion by the end of this year.

In contrast, the Federal Reserve’s assets were equivalent to 24 percent of the U.S. GDP. With the central bank reducing its monthly bond buying by $10 billion to $75 billion starting in January, economists polled forecast the Fed will keep cutting purchases and end the program this year.

“It may be too late to prevent long-term rates doing something crazy” should the BOJ hold off on tapering before inflation reaches the target, said Richard Koo, the chief economist in Tokyo at Nomura Research Institute Ltd. The stimulus is leaving Japan at risk of falling into a quantitative-easing “trap” of being unable to taper without a surge in long-term rates and subsequent damage to the recovery, according to Koo, a former Federal Reserve economist.

Japan’s consumer prices excluding fresh food but not energy — the BOJ’s policy target — rose 1.2 percent in November. The core inflation rate has advanced from negative 0.5 percent in March, the lowest in two years. Its goal is 2 percent inflation.

“The BOJ will probably reaffirm that its stance remains the same and explain a slowdown in purchases isn’t a deliberate reduction,” said Daisuke Uno, the Tokyo-based chief strategist at Sumitomo Mitsui Banking Corp., a unit of Japan’s second-largest financial group by market value.

“If the tax hike badly hurts the economy, the BOJ will provide additional stimulus without any hesitation.”



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 高校生や大学生の便利のために、段落ごとにナンバーをふっておく。

(1) The Bank of Japan is approaching the upper limit of its target for buying bonds, raising prospects it will need to expand the scope of its stimulus program to support the economy before a tax increase.

(2) The BOJ bought ¥6.8 trillion worth of sovereign notes in December, the least since it boosted the program to more than ¥7 trillion a month in April, data compiled by Totan Research Co. show. The buys may slow further to avoid exceeding the average annual target of a ¥50 trillion increase in the BOJ’s holdings for the year, said Tokai Tokyo Securities Co. and Totan, a Tokyo-based research unit of money-market broker Tokyo Tanshi Co. The holdings swelled by ¥50.3 trillion in the nine months that ended Dec. 31.

(3) BOJ Gov. Haruhiko Kuroda could signal to the market that a slowdown does not represent a scaling back of his accommodative policy or he could raise the holdings ceiling, according to Sumitomo Mitsui Banking Corp. The government’s plan to increase the sales tax to 8 percent in April from 5 percent is forecast to trigger a 4.3 percent economic contraction in the second quarter. The 10-year sovereign bond yield was at 0.66 percent Monday, compared with 2.82 percent in the U.S.

(4) “Investors think the BOJ is just taking a break and will increase buying when the effect of the sales tax hike comes in,” said Tadashi Matsukawa, the head of fixed-income investment at PineBridge Investments Japan Co. “Japan’s yields are staying at these levels because of this assumption.”

(5) Kuroda said last month that the pace of buying is “flexible” to achieve the holdings target. The amount of bonds the BOJ has is more important than the monthly purchases, he told reporters.

(6) The 10-year yield slid for a fourth year in 2013, the longest stretch since 2002, even as inflation started to pick up from a two-year low in March. The yield will probably climb to 0.85 percent by Dec. 31 after falling six basis points last year, the median estimate of economists shows in a Bloomberg survey. A basis point is 0.01 point.

(7) “The BOJ’s monthly purchases will decline to about ¥6.4 trillion,” Kazuhiko Sano, the chief bond strategist at Tokai Tokyo Securities, told reporters and institutional investors Wednesday. “I don’t think the decreases would have a large impact on the market, considering investors paid little attention to the decline that we saw in December.”

(8) The BOJ will boost stimulus by the end of September, 80 percent of the 35 economists polled last month estimated.

(9) “The amount the BOJ needs to buy this year is about ¥6.5 trillion a month” after taking into account its bond holdings that come due, Izuru Kato, the president of Totan, wrote in a research note on Jan. 9. “The BOJ is more likely to boost purchases should the decrease destabilize bond yields.”

(10) The BOJ’s total assets have climbed to ¥229 trillion, or 48 percent of the nation’s nominal gross domestic product. The central bank aims to increase its balance sheet further to ¥290 trillion by the end of this year.

(11) In contrast, the Federal Reserve’s assets were equivalent to 24 percent of the U.S. GDP. With the central bank reducing its monthly bond buying by $10 billion to $75 billion starting in January, economists polled forecast the Fed will keep cutting purchases and end the program this year.

(12) “It may be too late to prevent long-term rates doing something crazy” should the BOJ hold off on tapering before inflation reaches the target, said Richard Koo, the chief economist in Tokyo at Nomura Research Institute Ltd. The stimulus is leaving Japan at risk of falling into a quantitative-easing “trap” of being unable to taper without a surge in long-term rates and subsequent damage to the recovery, according to Koo, a former Federal Reserve economist.

(13) Japan’s consumer prices excluding fresh food but not energy — the BOJ’s policy target — rose 1.2 percent in November. The core inflation rate has advanced from negative 0.5 percent in March, the lowest in two years. Its goal is 2 percent inflation.

(14) “The BOJ will probably reaffirm that its stance remains the same and explain a slowdown in purchases isn’t a deliberate reduction,” said Daisuke Uno, the Tokyo-based chief strategist at Sumitomo Mitsui Banking Corp., a unit of Japan’s second-largest financial group by market value.

(15) “If the tax hike badly hurts the economy, the BOJ will provide additional stimulus without any hesitation.”


【余談】
 日本は国も地方も放漫財政を続けすぎた。国はGDPの2倍、税収の25倍もの借金を抱えてしまった。根室市の財政を見ても自主財源は市税収入の28億円だが一般会計予算は165億円、補助金を頼りにしすぎだ、ここまでくるとあさましいの一語に尽きる。岸壁にビザなし交流のための待合施設を国の補助金100%でつくってほしいとは根室市民のわたしは思わない。やるなら応分の負担を地元がすべきだ。それすらしないということはほんとうは必要がないということ。
 平時にはお金を蓄えておくのが数百年続く日本の美風だったが、まるでサラ金のカードでお金を下ろすように先食いしてしまうようなお金の使い方を政府が率先してやるようになってしまった。わずか数十年で、根っこから日本人のお金に関する倫理観が変質してしまったように見える。

  60年ほど前に1年くらい根室で過ごした婆さん(オヤジのお袋)は、鳥取の800石の侍であったN家から釧路に来た人であったが、根室にいた1年ほどの間に「士族の孫」という言葉を何度も何度も伝えてくれた。釧路市史関係資料に明治期にやっていた旅館の絵が載っている*。嫁ぎ先の釧路のI家が没落して貧乏はしたが気位の高い人だった。明治の末期で現預金が50万円あったそうだ。貨幣価値は1万倍位してもらえばいい。言い伝えでは船が難破して釧路に流れ着いた最初の三人の内の一人だというから江戸期の中ごろより以前のことだろう。函館から運んだという本家の石の墓は釧路で最初の石の墓であるが、風化して字が読めなくなり50年ほど前に新しい石に変えた。どんなに財産があってもはかないもので、夫が全部使い果たしご先祖がもっていた鉱山も土地も一坪も残っていない。元々アイヌのものだったのだから、きれいさっぱりなくなってそれでいい。婆さんは子供のころは「したに~したに~」と供の者が言いながら駕籠に乗って外出したという。嘘でしょと叔母達に笑われていたらしいが、後に一度鳥取へいっしょに行ったことのある叔母は、N本家をみて婆さんの話しがほんとうだったと驚いていたという。冗談だと思っていたのだ。婆さんのお兄さんが北海道で天皇のお召し列車を引いた機関士だったそうだ。兄だから苗字はNである。90くらいのJRマンがご存命だったら記憶にあるかもしれない。当時の天皇のお召し列車の機関士は三代前まで犯罪者がいないか家系を調べられたという。N家が釧路に来たのは屯田兵の一人としてきたのだろうか、その経緯は知らない。釧路には立派な鳥取神社があるから鳥取県と縁が深いのだろう。

 「武士は食わねど高楊枝」はとっくに死後だが、この言葉は団塊世代が子どものころは生きていた。武士は小数の支配階級ではあったが徳川300年間商売には手を出さず貧乏だった者が大半だったから、「貧して貪しない」ように「気高くあれ」という意味を込めて自戒していたのだろう。300年間貧乏していた支配階級なんて世界史には日本の武士階級以外にはない。武士がその特権と商売を一手にやったら、日本の経済社会はひどいものになっただろう。中国共産党の幹部があらゆる商売へ手を伸ばした結果、中国は貧富の差の著しく大きな社会になってしまった。
 武士の心得は自制と気位とガマンの哲学で貫かれており、それを象徴的に表したのがこの言葉だろう。死語にはしたくないし、次の世代にしっかり伝えたい。

 「武士は食わねど高楊枝」


*『釧路歴史散歩(上)』佐藤尚著・「釧路新書(9)」 126頁に「『北海立志図録』」より」と注記して旅館の絵が載っている。amazonで検索してみたら、「釧路新書(7)」の『石川啄木―その釧路時代』一冊だけが出てきた。


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#2563 Common-law pairs OK'd for in vitro birth:結婚していない男女の体外受精承認 Jan. 13, 2014  [75.時事英語公開講座]

  気になる記事が出ていたので、紹介する。
  'common law'は「慣習法」という訳語を知っていた。法律として文章で定められた法律を成文法といい、慣習法は社会の慣習として定着しているルールのことを指すのだが、それでは意味が通じないので辞書を引いてみたら、「内縁」という意味があった。もう少し読めば、'those in common-law marriages' や、'common-law couples'と対比するように'legally married couples'が出てくるので、ああ、「内縁」だと気がつく。キー概念は何度も言い換えて出てきたり、対比的な用語が出てくるので、構わず読み進めるのがいい。全文にさらりと眼を通せば意味の見当がつくものだ。
 そういうわけで、あるところから、読書自体がが単語力強化になってくるし、用例ごと記憶に残るようになる。日本語の本の読書と事情はすこしも変らないのである。
 高校生は「ユメタン」をつかって単語の暗記をしているが、漢字検定用問題集で漢字の暗記をしているのに似たトレーニングである。
 シングル・センテンスで用例が示されているので、前後のテクストがない。用例は前後のテクストの関連の中におかれて、なるほどど腑に落ちる場合もあるから、コンテクストが示されたほうが使い方がよくわかるものだ。だから、日本語語彙を覚えるときには読書によって語彙拡張をしたほうが使える語彙の拡張という点からすぐれているということができる。英語も同じで、英字新聞を読むとか小説を読むとか、専門書を読むことで語彙拡張をするのが本筋なのだ。
 日本語と英語の語彙拡張のために、「ユメタン」の暗記とともに、興味のある分野の新聞記事や本の読書を勧めたい。
 高校時代はやることが多くて、じつに忙しいから、効率的にやる工夫ばかりでなく時間の使い方も工夫して、目標にあわせた勉強時間を確保したい。生活時間の見直しには北海道教育委員会が提供している「生活リズムチェック表」が便利だ。

*http://www.dokyoi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/sgg/checksheet.htm
(「生活全体編」の「中学生用」がいいだろう。全道の小中学生に配布した別のタイプの帯グラフ状のものがいいのだが、実績データはこのURLの表で記録してから、帯グラフをつくって生活時間の利用の仕方を見直せばいい。)

 それで本題だが、内縁関係にある男女(common-law pairs)に体外受精(in vitro birth)を認める方針を社団法人日本産婦人科学会(JSOG)が公表した。日本産婦人科学会は体外受精の適用基準を緩和したのである。

 進路を看護師や助産師、医師に定めている高校生にはぜひ読んで考えてもらいたい、もちろん大学生にも。
  これには生命倫理の問題だけではなく、日本の家族制度や社会の存立基盤の問題が絡んでいる。生命倫理の問題に関していうと、人間は生命の誕生に医学という武器でどこまで介入していいのか、ここいらで立ち止まって考えるべきではないだろうか。
 技術的に可能なこととやっていいことは別だということは広島や長崎に投下された原爆や福島第一原子力発電所のメルトダウン事故で学んだはずだ。技術的に可能なことをどこまでも推し進めて良いわけはない。

 未完に終わった『砂の惑星』という長編小説がある、物語の途中から人間は生殖能力をなくし、遺伝的にすぐれた者を選んで体細胞からクローンをつくるが、代を継ぐにしたがってだんだんおかしなことになる。
 子どもがほしい夫婦、子どもがほしい内縁関係の男女。人の欲望のままに生命を操作する領域が少しずつ拡大されつつあるように感じる。
 しかし、生命には人が踏み込んではいけない領域があるはずだ。線引きがどこにあるのかを決め、果てしない欲望をコントロールすることが必要な時代へ人類は突入したとはいえないだろうか。内縁関係にある男女へ体外受精の適用範囲を拡大することは、社会制度のあり方や生殖という人類の未来に関わる重大な問題を提起しているのではないだろうか?

http://www.japantimes.co.jp/news/2014/01/06/national/common-law-pairs-okd-for-in-vitro-births/
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Common-law pairs OK’d for in vitro births

Fertilization ban eased in line with Supreme Court's inheritance ruling

by Kazuaki Nagata

Staff Writer

The Japan Society of Obstetrics and Gynecology said Monday that it will officially allow those in common-law marriages to undergo in vitro fertilization, relaxing a longtime voluntary curb.

JSOG, which has about 16,000 members nationwide, will ease the criteria for in vitro fertilization in line with a September ruling by the Supreme Court that said a clause in the Civil Code that denies full inheritance rights to children born out of wedlock was unconstitutional.

The move may also prompt the health ministry to consider providing subsidies for the treatment to common-law couples, sources said. Currently, the treatment is not covered by insurance, but subsidies are provided to legally married couples in certain conditions linked to age and income.

The JSOG’s voluntary rule states that in vitro fertilization can be performed on “married husbands and wives who strongly desire to bear children.”

Hideo Aono, an JSOG official, said the term “married” would be dropped from the rule, which was written in 1983 when the first in vitro baby was born in Japan.

On top of the unequal inheritance rights that children born out of wedlock could face, being husbands and wives basically meant they were legally married back then, so the JSOG had apparently not qualified common-law married couples for in vitro fertilization, Aono said.

The relaxed rule will also help doctors, because privacy issues had made it difficult to confirm whether couples are legally married, and thus it was left up to physicians to determine the status of those seeking treatment in lieu of screening them with questions and formal documents to completely make sure. The submission of a family registry has not been mandatory when seeking in vitro fertilization.

The relaxed criteria are a way to apply the Supreme Court’s decision to current realities, Aono said.

A married couple with a combined income below ¥7.3 million can qualify for subsidies for in vitro fertility treatment.

Information from Kyodo added.

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fertilization: 受精
the Supreme Court: 最高裁判所
inheritance right: 相続権
Civil Code: 民法
wedlock: 婚姻、婚姻関係にある
unconstitutional: 違憲の
leave up to: ~任せにする
physician: 医師
in lieu of: ~の代わりに
submission: 提出


 面白い数字が出ている。日本産婦人科学会に所属しているドクターが16000人いると書いてあるから、年間120万人生まれるとしたら、ドクター一人当たり75人である。もちろん、全員が産科を担当しているわけがないが、7割が担当しているとしたら、一人当たり107人とりあげることになる。市立根室病院から産科病棟が消えて何年たつのだろう?年間160人は生まれているから、とくに初産の妊婦は不安だろう。

 さて、本題に入ろう。日本産婦人科学会は次のように体外受精適用の自主規制基準を厳格に定めていた。

The JSOG’s voluntary rule states that in vitro fertilization can be performed on “married husbands and wives who strongly desire to bear children.”

 米国では精子バンクにさまざまな分野の優秀な人材やさまざまな身体条件ごと精子の補完と売買がビジネスになっている。結婚したくない女性が、イケメンで優秀な頭脳の男子の精子を購入して人工授精が可能になっている。こうして「オーダーメイド」方式ですでに数千人が生まれている。兄弟姉妹がそれと知らずに惹かれあって結婚することもありうる。生まれてくる子どもに先天障害が生じてはじめてそれと知る。DNA検査をすれば兄弟姉妹であることはわかる。

 日本はいろんなことをなし崩しにするのが得意だが、わたし達は欧米の後を追いたいのか、それともそういう欧米の価値観とは別の価値観を維持するのか、日本人はよく考えるべきだと思う。

 竹田恒泰『古事記完全講義』を読んでから、何かを考えるときに『古事記』に書かれた考え方にもどってチェックする必要を感じている。源氏物語を読んでも、側室の紫の上とあとから来た正妻には厳然たる制度上の差があるし、もちろんその子どもに関しては相続について明確な線引きがなされていた。
 生命倫理の問題も家族制度の問題も、社会の存立基盤の根幹に触れる問題でありきわめて重大な問題なので、日本人は日本的価値観に立脚して考えるべきで、男女が本来もっている役割の相違を無視した欧米の薄っぺらな男女平等の価値観に左右されてはならないのではないか。
 日本の伝統的価値間は男女の役割の相違を認めるところから出発している。男女の役割の差とか家族とか、西欧とはどこかで根源的に考え方が相違している。
 中学生は「公民」で1999年制定の「男女共同参画社会基本法」という法律を習うが、これも見ようによっては、性差を無視して、女を男並みに過酷に働かせようという悪巧みにもみえる。

 よくはわからぬが、こういうこと(=体外人工授精)をビジネスにしてはならないと本能がどこかで警告を発しているような気があなたにはしないだろうか?
 この問題に関しては日本産婦人科学会はビジネスの当事者であり利害関係者であるから、ジャッジは別の機関でやるべきだ。最高裁が法の下の平等の観点から非嫡出子の相続権を嫡出子と同じという判例をつくったことで、日本産婦人科学会が、その線に沿うように(in line)学会の自主規制基準を緩和してしまった。こういう日本人の価値観に関わる問題を最高裁に判断を委ねていいものだろうか?
 相続に関する争いが起きないように、嫡出子と非嫡出子には相続上のの扱いで明確な差がありそれを社会全体が千数百年間認めていたことは事実である。それは争いを避け、財産を散逸させない工夫だったのではないか?そして財産を相続する者には財産の維持、両親の介護や祭祀を含めてそれなりの責任や義務が課せられていた。相続する本家嫡男にとって、相続財産は預るだけであり、次代へそのまま渡すべきもの、当代が処分してはならない。家業がある場合には本家長男(嫡男)は職業選択の自由すらない。天皇家にそれが象徴的に現れているように思える。

 内縁関係の男女間の対外人工授精はビジネスとしても、「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」とはならないように思える。
 縄文以来続いてきた日本古来の家族制度や社会制度の土台を崩し、日本人の将来を危うくするような怖れをあなたはこの問題に感じないだろうか?
 いやいや、すでに相当崩れてしまっているのである。日本人が日本列島で2000年にわたって育んできた価値観を次々に放棄して、西欧の後塵を拝するのはどこか滑稽ですらある。

(このあいだ弊ブログでやったように、この問題について「JK対話}をやったらどうなるのだろう?
 基礎学力問題対話(1)~(4) #2555, #2556, #2557, #2558
面白いかもしれない。)


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古事記完全講義

古事記完全講義

  • 作者: 竹田 恒泰
  • 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
  • 発売日: 2013/09/17
  • メディア: 単行本

現代語古事記: 決定版

現代語古事記: 決定版

  • 作者: 竹田 恒泰
  • 出版社/メーカー: 学研パブリッシング
  • 発売日: 2011/08/30
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デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76)) デューン砂の惑星 (1) (ハヤカワ文庫 SF (76))
  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
  • メディア: 文庫
デューン 砂の惑星 (2) (ハヤカワ文庫 SF (83))

デューン 砂の惑星 (2) (ハヤカワ文庫 SF (83))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985
  • メディア: 文庫
デューン砂の惑星 (3) (ハヤカワ文庫 SF (88))

デューン砂の惑星 (3) (ハヤカワ文庫 SF (88))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン砂の惑星 (4) (ハヤカワ文庫 SF (94))

デューン砂の惑星 (4) (ハヤカワ文庫 SF (94))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1990
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デューン砂漠の救世主 (ハヤカワ文庫 SF (100))

デューン砂漠の救世主 (ハヤカワ文庫 SF (100))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン砂丘の子供たち (1) (早川文庫 SF (320))

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  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン砂丘の子供たち (2) (早川文庫 SF (326))

デューン砂丘の子供たち (2) (早川文庫 SF (326))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン砂丘の子供たち (3) (ハヤカワ文庫 SF (329))

デューン砂丘の子供たち (3) (ハヤカワ文庫 SF (329))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン砂漠の神皇帝〈1〉 (1984年) (ハヤカワ文庫―SF)

デューン砂漠の神皇帝〈1〉 (1984年) (ハヤカワ文庫―SF)

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/02
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デューン砂漠の神皇帝 2 (ハヤカワ文庫 SF 545)

デューン砂漠の神皇帝 2 (ハヤカワ文庫 SF 545)

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/02
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デューン砂漠の神皇帝 3 (ハヤカワ文庫 SF 549)

デューン砂漠の神皇帝 3 (ハヤカワ文庫 SF 549)

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1984/03
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デューン 砂漠の異端者 (1) (ハヤカワ文庫 SF (598))

デューン 砂漠の異端者 (1) (ハヤカワ文庫 SF (598))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/02
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デューン 砂漠の異端者 (2) (ハヤカワ文庫 SF (604))

デューン 砂漠の異端者 (2) (ハヤカワ文庫 SF (604))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/03
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デューン 砂漠の異端者 (3) (ハヤカワ文庫 SF (612))

デューン 砂漠の異端者 (3) (ハヤカワ文庫 SF (612))

  • 作者: フランク・ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1985/05
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デューン 砂丘の大聖堂〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂丘の大聖堂〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1986/12
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デューン 砂丘の大聖堂〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂丘の大聖堂〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/02
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デューン 砂丘の大聖堂〈3〉 (ハヤカワ文庫SF)

デューン 砂丘の大聖堂〈3〉 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: フランク ハーバート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/04
  • メディア: 文庫

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 この長編シリーズは17冊あるが、未完である。書いている途中で著者フランク・ハバートが亡くなった。新展開の予告めいたことが最後の巻にほのめかされている、続編を読みたかった。フランク・ハバートは、造物主としての神を想定したようにみえるがそれは従来のそれとは何か違うものをかんじさせ、謎である。
 この本は漫画の本のようにリラックスして読めるのだが、科学技術の発展の究極にきわめて象徴的な問題、水と命と神を措定している。
 小説は書いているうちに作者の手を離れて、勝手に主人公達が動き出すことがあるようだ。そして作者にいままで気がつかなかった問題を投げかけてくることがある。書き続けることでしか答えは見つからない。フランク・ハバートは答えを見つけたくて書き続けていたのかも知れぬ。もう5年ほど生きて、続編を書いてもらいたかった。いよいよ問題の核心へ迫ろうというそのときに、天が彼を召した。描いてはならぬ領域があると言わぬばかりに...

 さて、原文はどうなのだろう?分量は'Gone with the Wind' の3倍くらいあるし、哲学的な問いかけが頻繁に出てくる。どのように読むかで日本語訳がまるで違ってくるのだろう。この本に解説をつける形で哲学書が書けそうだ、だれかやってみせてはくれないだろうか?

#2470 魚の放射能汚染(2) 'Experts play down fish radiation fear' Oct. 30, 2013 [75.時事英語公開講座]

 さて、魚の放射能汚染に関するジャパンタイムズ記事の2回目。

「魚の放射能汚染(2)   
   'Experts play down fish radiation fear'」


 いろんな数字が並んでいるので、どうぞだまされながら読んでください。専門家達はいそんな数字を並べて素人の私たちを幻惑してくれます。何度もだまされるうちに賢くなればいいのですよ。
 三つの原子炉建屋が次々に爆発して、たいへんな放射能汚染が起きましたが、わかってきたことと、まるでわかっていないこともはっきり区別しながら読みましょう。

 東京電力も原子力安全規制委員会も政府も、福島第一原発の3号基が爆発したのは原子炉建屋なのか原子炉そのものなのかすらいまだに隠しています。3号炉にはプルトニウムを含むMOX燃料が使用されていますが、数キロはなれたところで発見されたプルトニウムの破片は何を物語っているのでしょう。1号機と2号機は原子炉本体はメルトダウンによって底抜けしているでしょうが、フタの部分は無事のようですから、ここからプルトニウムが飛び散った可能性はありません。4号炉も建屋が爆発しただけのようですから1500本ある使用済み燃料中の微量のプルトニウムが濃縮されて数kmも飛んでいった可能性はほとんどありません。これらのことから、3号機は原子炉本体の上部が爆発で吹き飛んでしまっているということです。原子炉格納容器の黄色いフタが3号機だけどこにも写っていません。爆発後に大きな塊がバラバラ空から落ちてきた映像を思えていますか?1号機建屋の爆発でも、2号機建屋の爆発でも、4号機建屋の爆発でもそういう大きな塊は落ちてきませんでした。折れ曲がった鉄骨と瓦礫の山と化した3号機の建屋をどの確度から写しても黄色い原子炉格納容器を確認することができませんでした。原子炉格納容器や原子炉本体が吹き飛んだのだとしたら、写るわけがない。あきらかに3号機の爆発は他の爆発と様相が異なります。

 もし、プルトニウムを混ぜたMOX燃料の3号原子炉が爆発したのだとしたら、それに1号機と2号機がメルトダウンしたとしたら、4号機の爆発がどうであれ、チェルノブイリを上回る放射能が放出されたことは想像に難くありません。それをチェルノブイリの1/60という専門家すらいるのですからね。原子力村あるいは政府関係機関に関わっている専門家達の言は、利害関係者ですから信用できません、原発事故後の発言をみたらその通りでしょう。

 3号機が核爆発だったという物理学者の発言を紹介します。槌田氏は原子力村の一因ではありませんし、その関係者とも利害関係の内学者です。その物理学者が3号機は燃料プールが核爆発を起こしたと言明しています。10%の低濃縮ウランでも水があれば核爆発を起こすというのです。米国はその事実を六十数年前から承知しています。兵器利用を考えていたからです。核爆発は中性子の発生を伴います。東電は中性子の測定量を公表していません。福島第一原発事故はチェルノブイリをはるかに上回っているようです。
*「反原発派も触れようとしない原子力最大のタブー 槌田敦氏が追及
http://www.asyura2.com/13/genpatu32/msg/357.html

 1、3、4号機が爆発、しかしその様相も、したがってその原因もそれぞれ異なる。1号機は白煙、3号機はオレンジ色の閃光のあと斜めに黒煙が吹き上げ、大きな瓦礫がガラガラとまっすぐに落ちてきた。4号機の爆発の瞬間の写真は公開されていない、なぜ隠さなければならないのか?4号機は繰り返し爆発し水蒸気が吹き上げていた。
 2号機は原子炉下部のサプレッサーチャンバー内で異音がしたのを爆発とカン違い?水素は軽いので下部にたまるはずがないから、水素爆発の可能性はない。わたしたちはこれまで原子力村の専門家達のなんと好い加減な説明を聞かされてきたのだろう。
 槌田氏の2時間の解説ビデオ映像アリ。
20121025 UPLAN 槌田敦「事故から一年半、水素爆発のまま
https://www.youtube.com/watch?v=scVL1tRdbLM

 最近は放出放射能量がチェルノブイリの2倍という推計すらでていますが、ネット上で調べてみても、いろんな数字があってわからないのです。
 福島医大はチェルノブイリの60分の1という前提で、甲状腺癌の多発(18症例)*や、未成年者の甲状腺異常(40%前後)が原発事故とは関係なしとしていますが、2倍なら話しは根底から変ってくるでしょうが、もっともっと規模が大きかったのかもしれません。東電は測定データを正直に公表すべきですが、やるはずがありません。
 未成年者の甲状腺異常の多発(40%弱)や小児甲状腺癌の多発は、チェルノブイリを上回る被曝の事実を示す証拠という假説が成立ちます。事実、そうだったのでしょう。

 できるだけ、どこに書いてあったか、情報元を明示してありますので、一つ一つURLをクリックして、ご自分の目で確認して、判断してください。

 なお、記事全文は第1回目のところにジャパンタイムズ社のURLとともに掲載してあります。


【(12)~(23)】
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(12)  According to a Tepco estimate, up to 1.8 quadrillion becquerels of cesium-137 were released into the sea in a span of just six days in April 2011 shortly after the meltdown crisis began.

 quadrillion: 10^15= 1000兆= 0.1京
  = 1,000,000,000,000,000
          

(東京電力の試算によれば、メルトダウン重大事故がはじまった後、2011年4月のわずか6日間で、1800兆ベクレルのセシウム137が海へ放出された。)

 これもおかしな試算である。メルトダウンは3月15日には起きていたのではなかったか。3月の放出量は4月を上回っていると考えるのが普通だろう、放出されなかったとしたらその理由を明示しなければならないはず。それがないのはどういうわけだ。そして東京電力のこれまでの発表は常に過小評価で、時間がたつとその都度小出しに増えていく。
 仮にメルトダウン後、3月のセシウムの放出量が4月分の10倍だとしたら1.8京ベクレルであるが、どの程度の影響が住み続けた住民にでるのだろう。
 チェルノブイリの2倍との試算の基礎となっている放射能放出量は核種別に展開すると一体いくらなのだろう?

 チェルノブイリ事故で放出されたセシウム137は8.9京Bqであるらしい。
*http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%8E%E3%83%96%E3%82%A4%E3%83%AA%E4%BA%8B%E6%95%85%E3%81%A8%E3%81%AE%E6%AF%94%E8%BC%83

(13)  From May 2011 until today, however, between about 1 trillion to 20 trillion becquerels of cesium-137 have reached the Pacific, according to Tepco’s estimates.

(たった6日間の流出量が1800兆ベクレルであるにも関わらず、2011年5月からいままでに、1~20兆ベクレルのセシウム137が太平洋へ流出したというのである。そのように東京電力が推計している。)

 howeverに東京電力の推計値に対する書き手の強い疑いが表明されている。それにしても、6日間で1800兆ベクレルで、その後が1/1800~1/90だというなら、次々と爆発したあと3月の16日間は四月の6日間の数百倍の放出量を考えなければならないのではないか?

(14)  “Compared with the release of radioactive materials in the initial stage (of the crisis), the amount of material now is overwhelmingly small,” Jota Kanda, a professor at Tokyo University of Marine Science and Technology and an expert on maritime movement of radioactive substances, said in a recent interview with The Japan Times.

("初期段階での放射性物質の放出量に比べると、現在の放射性物質の放出量ははるかに小さい"と東京海洋大の神田穣太教授(放射性物質の海洋拡散の専門家)が最近ジャパンタイムズのインタビューに応えて言っている。)

 そうするとますますおかしい。メルトダウン後の2011年3月15日から月末までの放出量ははるかに大きいことになる。どうしてそこの数字だけ伏せたままにしているのだろう?専門家のはずだから、神田教授だって気がついてないはずがない。

#2413 次の原発事故のために(10):重要な問題は汚染水漏れではない Sep. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-19
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⑨ 電力中央研究所の津旨(ツムネ)大輔上席研究員によれば、3.5*10^15(0.35京=3500兆)Bqの放射性セシウムが、メルトダウンし始めた3基の原子炉から3ヶ月間放出されたと推計している。
 津旨はこの自分の推計に基いて、放射性同位体がどのように太平洋へ拡散したかをシミュレーションしている。 

⑩ 神田教授は2011年7月から2013年9月までに17.1兆Bqのセシウム137が海に放出されたと計算している。

 津旨氏はメルトダウンの3ヶ月間に大気中へ放出された放射性セシウムの量を0.35京Bqと推計し、それに基づいて海洋汚染シミュレーションを行っている。
 神田教授はそのあとの7月から2013年9月までの21ヶ月間に海へ流出したセシウム137を17.1兆Bqと推計している。桁が二つ違う。当初に放出された放射能は陸地にも海にもふりそそいだ、そして数日前に日本を縦断した台風18号の大雨で川から海へと大量の放射性物質が流れ込んでいる。
 大気中へ放出された放射性セシウムと海へ流出した放射性セシウムではベースが違う。両方とも大気中への放出であるとか、両方とも海洋への放出ならわかりやすいが、そうではないということだ。だから、期間が連続するこの二つの数字を加算しても何の意味もないことに注意しよう。
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(15)  “This is not something that has a big impact on fish in the sea,” he said.

(現在の放射性物質の放出量は、海に棲息している魚に影響がでるようなものではないと神田教授は説明している。)


(16)  The Fisheries Agency has compiled and published data on a total of 14,773 samples of fishery products caught in and near Fukushima Prefecture and 24,360 samples from Pacific coastal areas in other parts of Japan from March 2011 through last month.

(水産庁は、2011年3月から先月まで福島県沿岸やその周辺で獲られた水産物合計14,773サンプル及び福島県を除く太平洋沿岸で獲られた水産物24,360サンプルのデータを編集して出版した。)

(17)  According to the data from the Fukushima coast, some 53 percent of the samples caught from March through June 2011 contained radioactive cesium exceeding the government safety threshold of 100 becquerels per kilogram. However, the ratio has consistently decreased, falling to 2.2 percent for the July-September period this year, despite the continuing flow of contaminated water from the plant.

(福島沿岸で獲れた海産物のサンプルの測定データからは、2011年3月から6月までに採取されたサンプルの53%が放射性セシウムの政府安全規制値100Bq/kgを超えていたことがわかる。第一プラントから汚染水収取つが続いているにも関わらず、その比率は下がり続け、今年の7-9月期には2.2%にまで低下している。)

(18)  The corresponding ratio for outside Fukushima Prefecture has similarly kept falling, from 6.5 percent early in the crisis to 0.4 percent in the last quarter.

 corresponding:adj 同様の

(福島県外の100Bq/kg超の海産物比率は同じように低下し続け、重大事故当初の6.5%から直近の第3四半期には0.4%となっている。)

(19)  Commercial fishing off Fukushima Prefecture has been suspended except for trial operations. It has been limited to 18 types of marine life, including “shirasu” whitebait, various shellfish species, squid and octopus, that have been found to contain little or no radioactive cesium in recent samples.

(福島県沖の商業漁業は試験操業を除いて一時停止している。シラスや貝類、イカやタコを含む18種類の海洋生物が制限されているが、最近のサンプルでは放射性セシウムはほとんど含まれていないか検出限界値以下となっている。)

(20)  If any fish are found contaminated with cesium exceeding the safety threshold, shipment of that species from the area would be stopped, according to the government.

(政府安全規制値を超えたセシウムで汚染されている魚が見つかれば、その水域からの当該魚種の出荷停止措置がとられると政府筋。)

(21)  Consumers may fear the possibility of eating tainted seafood that escapes through the net of sampling surveys and shipment regulations.

(サンプル調査や出荷規制の網の目に引っ掛からない汚染海産物を食べる可能性があることに消費者は恐怖を覚えるだろう。)

(22)  Misonoo argued this sort of fear is misplaced, as there is little chance one person would be so unlucky as to eat enough highly radioactive fish to suffer a health problem.

 so unlucky as to~:不運にも~する

御園生純氏はこの手の恐怖はお門違いだという。その理由は、不運にも健康上問題を生じるような高濃度放射能汚染された魚を食べるようなことはほとんどありえないからであるという。

(23)  He pointed out that even if someone were to ingest 1 kg of fish contaminated with cesium of 100 becquerels per kilogram every day for a year, that person would receive an internal radiation exposure of 0.47 millisievert.

 ingest:インジェスト 摂取する

(御園生氏は、たとえ毎日一年間にわたって100bq/kgある放射能汚染魚を摂取しても、0.47ミリシーベルトの内部被曝をするだけだと指摘している。)

 これも不思議な話しである。放射能が体の中に入ってくるのは魚だけではない。他の食べ物からも入ってくるし、一番危ないのは呼吸によって取り込まれた放射性物質だ。肺胞に付着したら生涯排出されないという。距離がゼロとなると被曝の影響はどうなるのだろう。ベータ線をだす放射性物質は体外にあるとき距離の3乗に反比例するからいいが、距離がゼロなら身体への影響は大きい。風が吹くたびに小さな小さな放射能のチリが巻き上がり、いまも呼吸器へ取り込まれているのだろう。放射能の影響をいうときにはこれらの総和で語らなければならない。すでに小児甲状腺癌が18人もでている。福島県でこんなに患者が出るような病気ではない。百万人に数例しかない病気である。
 もうひとついいたいことがある。100Bq/kgは放射性廃棄物の管理基準だが、そういう放射能のゴミレベルのものを食べても大丈夫だという神経がわからない。
 100Bq/kgが安全だ、そういいきる人はその人自身がそうした放射能のゴミ並みの魚を食べるだけでなく、自分の子どもにも食べさせるだろうか?否としかいいようがない。ストロンチウムとトリチウムを加えると、セシウム137が100Bq/kgといのは、じつは350Bq/kgなのである。原子力村に関連する、あるいは政府機関に関連する専門家達は知っているのにこうしたことを言わない。受信料で成立っている公共放送であるはずのNHKですら言わない。


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*【小児甲状腺癌について】
 #2377 次の原発事故のために(4):小児甲状腺癌18人に  Aug. 21, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-21

 福島県民健康管理調査で小児甲状腺癌と診断された子供が18人になった。百万人に1~2人の罹患率だから、66倍の発症率である。これでも福島第一原発事故とは関係ナシと断定する教授がいるのだから呆れてしまう。
 チェルノブイリでは6000人が発症しているから、福島県ではこれからどれほどの小児甲状腺癌患者が発生するのだろう。チェルノブイリは放射能汚染された牛乳を飲んだことで小児甲状腺癌患者が多発したことが分かっている。

 消化器系から取り込まれた放射性物質は短期間で体外へ排泄されるが、肺から取り込まれた放射性物質は体外へは出て行かず、生きている限り内部被曝し続けることになる。呼吸器から体内へ入った放射性物質は遺伝子を障害し続ける。だから発症するのは小児甲状腺癌だけではない。次の世代の奇形をはじめ、ダウン症・白血病・…とあらゆる遺伝子障害にかかわる病気のリスクが高くなる。
 80km圏内はまるで巨大な人体実験場のようだ、生殖期間の終わっている50代以降の年寄りは住み続けることを選択し内部被曝をしてもかまわないだろうが、こどもたちは避難させるべきだ。これから生まれて内部被曝する子どももいる。
  最近の動物試験の結果では、放射能被曝によって次の世代以降に遺伝的な影響の出ることがわかってきた。人間でも似たようなことが起きる。そんな非人間的な試験はできないが、福島第一原発80km圏内に子どもたちを留め置くことによって、政府は壮大な人体実験をやっている。それが意図したことであろうとなかろうと、事実はそうだ。
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*#2467 魚の放射能汚染(1) 'Experts play down fish radiation fear' Oct. 29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-27

 #2420 打つ手なし:Abe offers no plan for water at Fukushima Sep. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24-1

 #2415 '1,130 tons of tainted rainwater dumped at nuke plant' Sep. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-22

 #2413 次の原発事故のために(10):重要な問題は汚染水漏れではない Sep. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-19
'Tanks, not leak, main problem at Fukushima'

 #2406 嘘か実か:「状況は管理されている東京は大丈夫」と安倍首相 (JTより) Sep.13, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-13
'Abe's nuke assurance to IOC questioned'

 #2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29
'Tepco testing tainted earth at No. 1 plant'

 #2340 米国の現実:核廃棄物は管理不能 Jun. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-25

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*#1506 3号機爆発は使用済み燃料の即発臨界爆発だったという假説 May 7, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-05-07-2

*#1463 「福島第1原発3号炉はもう無い
:東京電力社員退去要請の意味」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06

*#1462 「裸の王様:原子炉圧力容器は破損している 論より証拠、よく写真を見てごらん
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05

**#1460 「原子炉圧力容器損傷か?:写真で検証」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-03-1

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#2467 魚の放射能汚染(1) 'Experts play down fish radiation fear' Oct. 29, 2013 [75.時事英語公開講座]


 10月21日付けのジャパンタイムズの記事です。魚の放射能汚染問題ですから、水産業の町の根室に関係があります。汚染の実態がどうなっているのかを知るにはいい記事です。根室の魚は福島から遠い。

 'Experts play down fish radiation fear' 
 (専門家は魚の放射能汚染を軽く見せかけている)

 play down: to make something seem less important or less bad than it really is.   CALDより (Cambridge Advanced Learner's Dictionary)
 (何かを実際よりも重要性が少ないとか悪化の程度が低いように思わせること)

 この記事には魚の汚染データに関するグラフが二つ載せられていますが、インターネットで示した記事には載っていません。
 ひとつは福島沖で獲れた魚の、もう一つのグラフは福島県沖以外の地域で獲れた魚の放射性セシウム汚染のグラフです。期間は2011年4月から2013年9月末まで、タイミングは3ヵ月毎の測定サンプル数と100Bq/kgを超えてセシウム汚染されていたサンプル数、それらの比率が載っています。センター試験でもグラフのついた長文問題が出題されているので、なれておくといいでしょう。

 塾生には(グラフが載っている)記事のコピーをあげていますが、塾生でない高校生は、友人の塾生に頼むか、自分でニムオロ塾までとりに来てください、差上げます。こちらから名前をお聞きしたりすることはありません。意図的にネジ曲げられた学校のアンケートに煽られて今年1月末にブログ炎上騒ぎを起こした諸君にもあげますよ、ねむろっ子のためにふるさとに戻って私塾をやっているのですから、遠慮は無用。(笑)

 段落数が43ある長い論説文なので、4回に分けて解説します。

【1~11】

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/10/20/national/experts-play-down-fish-radiation-fear/
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Experts play down fish radiation fear

Tests show cesium declining; less strontium believed released

by Reiji Yoshida

Staff Writer

(1)  The plague of radioactive water at the wrecked Fukushima No. 1 power plant has renewed fears both in Japan and abroad over the contamination of seafood and the habitat it comes from.

(2)  The government is trying to reassure consumers that all fish that find their way to market are safe, pointing to marine life sampling data and regulations regarding shipment of contaminated marine products.

(3)  But how safe — or dangerous — could fish caught in the Pacific be? On what data and safety standards is the government basing its claims of safety?

(4)  Let’s hear from some experts and examine in more detail the radiation data the government is currently using.

(5)  Among 64 radioactive materials released from the melted nuclear fuel at the wrecked reactors, two are now considered the main threats as far as fish contamination is concerned: cesium, which can cause cancer through internal exposure, and strontium, which can accumulate in bones and lead to bone cancer.

(6)  Today, many mainstream experts agree the contamination from radioactive cesium has steadily decreased since the March 2011 meltdown crisis started, and now poses little danger to consumers.

(7)  However, fewer studies have been conducted on strontium due to the high cost of carrying out such tests, prompting experts to call for more wide-ranging surveys out across the ocean.

(8)  Still, compared with cesium, far less strontium is believed to have been released into the environment, and sampling data of fish and ocean water have yet to show any alarming signs, experts say.

(9)  “(Contamination levels) of fish now coming to the market are well below the government safety threshold. We consider them safe to eat,” said Jun Misonoo, a consulting researcher at the Marine Ecology Research Institute, a government-linked nonprofit research body based in Tokyo.

(10)  Tokyo Electric Power Co. has turned up high strontium readings from groundwater samples taken from test wells. Tepco also believes that about 400 tons of radioactive groundwater is flowing into the Pacific every day.

(11)  But so far, it appears this flow has had only a minor impact on fish.

(12)  According to a Tepco estimate, up to 1.8 quadrillion becquerels of cesium-137 were released into the sea in a span of just six days in April 2011 shortly after the meltdown crisis began.

(13)  From May 2011 until today, however, between about 1 trillion to 20 trillion becquerels of cesium-137 have reached the Pacific, according to Tepco’s estimates.

(14)  “Compared with the release of radioactive materials in the initial stage (of the crisis), the amount of material now is overwhelmingly small,” Jota Kanda, a professor at Tokyo University of Marine Science and Technology and an expert on maritime movement of radioactive substances, said in a recent interview with The Japan Times.

(15)  “This is not something that has a big impact on fish in the sea,” he said.

(16)  The Fisheries Agency has compiled and published data on a total of 14,773 samples of fishery products caught in and near Fukushima Prefecture and 24,360 samples from Pacific coastal areas in other parts of Japan from March 2011 through last month.

(17)  According to the data from the Fukushima coast, some 53 percent of the samples caught from March through June 2011 contained radioactive cesium exceeding the government safety threshold of 100 becquerels per kilogram. However, the ratio has consistently decreased, falling to 2.2 percent for the July-September period this year, despite the continuing flow of contaminated water from the plant.

(18)  The corresponding ratio for outside Fukushima Prefecture has similarly kept falling, from 6.5 percent early in the crisis to 0.4 percent in the last quarter.

(19)  Commercial fishing off Fukushima Prefecture has been suspended except for trial operations. It has been limited to 18 types of marine life, including “shirasu” whitebait, various shellfish species, squid and octopus, that have been found to contain little or no radioactive cesium in recent samples.

(20)  If any fish are found contaminated with cesium exceeding the safety threshold, shipment of that species from the areawould be stopped, according to the government.

(21)  Consumers may fear the possibility of eating tainted seafood that escapes through the net of sampling surveys and shipment regulations.

(22)  Misonoo argued this sort of fear is misplaced, as there is little chance one person would be so unlucky as to eat enough highly radioactive fish to suffer a health problem.

(23)  He pointed out that even if someone were to ingest 1 kg of fish contaminated with cesium of 100 becquerels per kilogram every day for a year, that person would receive an internal radiation exposure of 0.47 millisievert.

(24)  According to the International Commission on Radiological Protection, exposure of 100 millisieverts in total would increase the risk of death by cancer by 0.5 percent over the course of a lifetime.

(25)  Thus, exposure of 0.47 millisievert would pose only a minor health risk to a consumer, Misonoo said.

(26)  “And you would never keep eating 1 kg of fish every day. It’s quite unrealistic,” he said.

(27)  As for strontium, the Fisheries Agency itself tested only 40 samples from April 2011 to last December due to the high costs involved.

(28)  Yet the agency has claimed that as long as the level of radioactive cesium is below the acceptable maximum, the amount of strontium should likewise be below the safety threshold.

(29)  According to the now-defunct Nuclear and Industrial Safety Agency, the amount of cesium-137 released into the environment was more than 10 times that of strontium-90.

(30)  But the government set the safety thresholds for cesium and strontium on the assumption that a person would receive the same internal radiation exposure from the two isotopes — the reason the government claimed that the regulatory level has a high margin of safety and checking only for cesium levels is sufficient.

(31)  Misonoo also pointed out that strontium accumulates mainly in fish bones, and little goes into and stays in the meat.

(32)  According to the International Atomic Energy Agency, when fish take in radioactive cesium, the density of cesium in their meat is condensed to between 50 and 100 times more than when it is in seawater.

(33)  But for strontium, this rate is believed to be only between one and three times, meaning far less strontium is accumulated in fish meat than cesium.

(34)  “And you won’t eat much in the way of fish bones at any rate,” Misonoo added.

(35)  For people who are still worried about cesium and strontium in their seafood, reducing the risk is possible by avoiding certain types of fish.

(36)  Currently, most of the ocean fish exceeding the safety threshold of cesium are bottom fish such as “hirame” and “karei” flounder, “ainame” greenlings and “mebaru” rockfish.

(37)  On the other hand, squid and octopus are known to accumulate little cesium and strontium. This is one of the reasons fishermen in Fukushima first test-fished “mizu-dako” octopus and shipped their catches to markets on a trial basis last month.

(38)  On the other hand, more care should perhaps be taken with freshwater fish from certain lakes and rivers, though public attention has been pinned on fish from the Pacific.

(39)  Of the 5,706 fish samples taken from July to Oct. 2, 64 were found to contain cesium exceeding 100 becquerels per kilogram, according to data published by the Fisheries Agency.

(40)  Of the 64 fish, 29 were from rivers and lakes, including 17 samples from Fukushima, six from Gunma Prefecture, four from Lake Teganuma in Chiba Prefecture and one from Lake Chuzenjiko in Nikko, Tochigi Prefecture.

(41)  According to Hideo Yamazaki of Kinki University, freshwater fish tend to take in and retain more cesium than sea fish, and lakes are a much more closed environment than an ocean.

(42)  That has apparently pushed up the cesium density in fish in areas hit by radioactive plumes soon after the 2011 meltdown crisis started, Yamazaki said.

(43)  He warned that Japan will need to keep monitoring various radioactive materials from Fukushima No. 1 for 100 years — and possibly even longer — as work to scrap the four damaged reactors stretches on for decades.

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【解説】

Experts play down fish radiation fear

Tests show cesium declining; less strontium believed released
(検査結果から放射性セシウム汚染は減少している;放出されたストロンチウムは(セシウムに比べると)少ない)

 グラフを見る限り、当初に比べて福島沖で20分の1、それ以外で10分の1に減少している。しかし、これはセシウムの量だけだ、そして筋肉だけを外して測定しているから、骨に蓄積されるストロンチウムが低く出るのはあたりまえだ。海への放出量を比べるとセシウムとストロンチウムは「2対1」である。情報ソースはあとで提示する。

by Reiji Yoshida

Staff Writer

(1)  The plague of radioactive water at the wrecked Fukushima No. 1 power plant has renewed fears both in Japan and abroad over the contamination of seafood and the habitat it comes from.

 plague:災厄、大発生  habitat:生息環境
(メルトダウンを起こして大爆発した福島第一原発で大量に発生した放射能汚染水が、海産物とその生息環境を汚染し、日本と諸外国に新たな恐怖をうみだしている。)

(2)  The government is trying to reassure consumers that all fish that find their way to market are safe, pointing to marine life sampling data and regulations regarding shipment of contaminated marine products.

 reassure:安心させる、再び保証する
 all fish that find their way to market:市場へ出荷される魚全部⇒文の後半でshipmentと書き換えられていることに気がついてほしい。こういう句と句(語)のリンクに気がつくようになると文章理解がずいぶん楽になる。

 regarding:(前置詞)~に関して
 【pointingの解説】
[1] , pointing to marine life sampling data and regulations regarding shipment of contaminated marine products.
[2]  and [ the government is ] pointing to marine life sampling data and regulations regarding shipment of contaminated marine products.

  'pointing ~'は、二つの文の主語が同じだから、重文の後続の文の主語が省略されて分詞句化しただけのこと。実際の英文ではこういう例が頻繁に出てくるので、頭の中で重文に書き換えて意味をとらえたらいい。長文理解に必須のアイテムである。

(市場へ出荷される魚が全部安全であると、政府は消費者に再確認しようとしており、海洋生物サンプル(の放射能汚染)データとさまざまな汚染海産物の出荷にかかわる規制値を挙げて説明している。)


(3)  But how safe — or dangerous — could fish caught in the Pacific be? On what data and safety standards is the government basing its claims of safety?

 fish (caught in the Pacific) could be [well, considarably, pretty, quite, a little or little] safe.
 ⇒How safe could fish (caught in the Pacific) be?

(しかし、太平洋で獲れた魚はどの程度安全あるいはどの程度危険なのだろうか?政府は声高に安全を主張するが、どのようなデータと安全基準に依拠しているのだろう?)

【baseの用法】
 The government is basing its claims of safty on some data and safety standards. 

 疑問文でいくぶん複雑なものは、このように平叙文に書き直してみたら意味がよくわかる。

<用例>
  She based her claims on 'The wealth of Nations'.
 (彼女はその主張の基礎を「諸国民の富」においていた。)

(4)  Let’s hear from some experts and examine in more detail the radiation data the government is currently using.

(数人の専門家の意見に耳を傾け、政府が使っている放射能汚染データを詳細に検討してみよう。)

<名詞句を後続の関係詞節が補足的に説明する例>
 ・・・the radiation data [which] the government is currently using.

 目的格の関係代名詞が消去される事例であるが、気分は「数名の専門家の意見に耳を傾け、かれらに放射能データの詳細な検討をしてもらおう。詳細な分析対象となる放射能データとは政府がいま使っているものだ」、といった調子だ。

①Let’s hear from some experts
②Let’s examine in more detail the radiation data
③the government is currently using the radiation data 

  3 simple sentences に分解すれば意味が明瞭になる。表層構造は三つの文から構成されている。構文的な話しをすれば、重文と複文が合成されてできあがった文だといえる。文章の意味は深層構造にあるという生成変形文法理論は案外便利なツールだ。必要な範囲に限れば少し出来のよい高校生ならマスターできる。

(5)  Among 64 radioactive materials released from the melted nuclear fuel at the wrecked reactors, two are now considered the main threats as far as fish contamination is concerned: cesium, which can cause cancer through internal exposure, and strontium, which can accumulate in bones and lead to bone cancer.

爆発損壊した原子炉では溶融した核燃料から64種類の放射性物質が放出されているが、魚の放射能汚染の脅威に関する限りたった二つ(の放射性物質)だけに関心が寄せられている: セシウムとストロンチウムの二つだけである。セシウムは内部被曝によって癌を引き起こし、ストロンチウムは骨に蓄積されて骨癌の発症をもたらす。)

 放射能測定値は魚の筋肉組織だけを測ってえられた値である。「三枚におろして」測定するなんてことは、日本でしかやられていないだろう。他の国で検査技師が魚を三枚におろすなんて器用なことが出来るはずがないから、そのまま内蔵と骨がついたままミンチ状にして測定するのだろう。
 骨を外したら、骨に蓄積されるストロンチウムはほとんど検出不能だから、まるで漫画のようなバカバカしいことをしている。骨も内臓もついたままミンチにして測定すべきだ。
 以前とりあげた記事で、東電発表のデータでは、わかっているだけでセシウムが20兆ベクレル、ストロンチウムが10兆ベクレル、トリチウムが40兆ベクレルだったから、その値を用いて計算すると、これら3種類だけで、セシウムが100Bq/kg検出された魚は、3種類合計値では350Bq/kgというとんでもない値になる。64種類全部を足し合わせたら、さらに数倍にならないか?プルトニウムは半減期が2.4万年である。
 おそらく、セシウムが20Bq/kgを超える魚の放射能汚染総量は100Bq/kgを超えている。
 ところが、20Bq/kg~100Bq/kgのデータがない。政府の安全宣言はとても信用できない


*「#2406 嘘か実か:「状況は管理されている東京は大丈夫」と安倍首相 (JTより) Sep.13, 2013」より、抜粋引用。
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-13
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.....
  Tepco, based on the findings, concluded that a maximum of 10 trillion becquerels of radioactive strontium-90 and a further 20 trillion becquerels of cesium-137 may have reached the ocean.

 この段落では洩れでた放射性物質の量が示されていますが、なぜかトリチウムが省かれています。好い加減ですね。
(調査結果に基いて、東京電力は以下のような結論に至っています。ストロンチウム10兆ベクレルとセシウム20兆ベクレルが太平洋にすでに流出したかもしれない)
 これらの他にトリチウムが40兆ベクレル流出しています。
 ここまで書けば気がついた読者も多いでしょう。

 8000万ベクレル/リットル×1000×3000t=24兆ベクレル

 これが放射性物質の流出量になるはずですが、東京電力の計算・公表値では70兆ベクレルです。逆算すると、2億3333万ベクレル/㍑もの超高濃度汚染水が貯蔵タンク内に保管されていたことになります。どうやら東京電力が8000万ベクレル/㍑と公表した数値はセシウムだけの量のようです。ストロンチウムと併せると1億2千万ベクレル/㍑だったということになります。リットル当たり億の単位では反響が大きくなるのを恐れて公表数値を操作したのでしょう。正しくは2億3333万ベクレル/㍑でした。
 東電の別の資料によればトリチウムの量はセシウムの2倍で、ストロンチウムがセシウムの0.5倍です。
 8000万Bq/kg×2.5倍=2億Bq/kg
 東電の公表数値から逆算した2.3億Bq/kgに近い数字になります。つまり、8000万Bq/kgは平均値よりも十数%低いということになります。タンクに貯蔵されている汚染水の平均値は2.3億Bq/kgだと考えていいのでしょう。

 これからは東京電力が放射能量を公表するときに、それはセシウムのみの量なのか、ストロンチウムを含むのか、トリチウムを含んだものなのかを記者たちは質問してほしいと思います。東京電力はこのような姑息な操作をやめて、正直に内訳数値を一緒に公表すべきです。
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(6)  Today, many mainstream experts agree the contamination from radioactive cesium has steadily decreased since the March 2011 meltdown crisis started, and now poses little danger to consumers.

(現在、主流派の専門家達(=)原子力村の住人)は、2011年にメルトダウン重大事故がはじまってから放射性セシウムが逓減していることに同意しており、(放射性セシウム汚染は)いまや消費者への危険がほとんどないことを告げている。)

【memo】
 and now poses little danger to consumers.⇒and many mainstream experts now pose little danger to consumers.

 このように考えると poses は間違いで、pose としなければならないから、poses の主語は'the contamination from radioactive cesium'と考えるのが正しい。

 もうひとつ問題があるように見える。冒頭の'Today,'である。ワードオーダでは時を表す句は文末が定位置であるがsince節とtodayの二つがあるので、「(事故発生当初はともかく)現在は、専門家たちはセシウム汚染に関しては意見が一致している」、そしてそのセシウム汚染がいつから生じているかをsince節で補足的に説明するのである。todayを文頭にもっていったほうが理解しやすい文となることは了解いただけるだろう。

(7)  However, fewer studies have been conducted on strontium due to the high cost of carrying out such tests, prompting experts to call for more wide-ranging surveys out across the ocean.

 'out across'は初見のような気がする。outは中から外への移動を表すから、イメージとしては「福島第一原発の人工埠頭から抜け出て広い太平洋全域へ」という意味かあるいは「福島沖や東北及び関東沿岸から太平洋全域へ」というイメージだろうか。
 across the ocean: 太平洋全域で

(高いコストがかかるために、ストロンチウムに関する調査・研究がわずかばかりしか実施されておらず、太平洋全域でより広範囲な調査をすべきだと専門家達が要求している。)

 fewer studies have prompted experts to call for more wide-ranging surveys out across the ocean.
 ⇒ prompting experts to call for ~
 

(8)  Still, compared with cesium, far less strontium is believed to have been released into the environment, and sampling data of fish and ocean water have yet to show any alarming signs, experts say.

 have yet to~:まだ~していない

(セシウムに比べるとまだはるかに少ないが、ストロンチウムが環境へ放出されたと思われている。魚や海水のサンプルデータはまだ警告すべき兆候はみられないと専門家達が述べている。)

 三枚のおろして骨を外してストロンチウムを計測しているのだから、検出できるはずがない。海水中に放出されたストロンチウムの量はセシウムの半分である。測定の仕方が悪いことは専門家なら皆知っているはずだが、どうして声をそろえて「警告すべき兆候がない」と主張するのだろう。原子力村の専門家達とはかくも好い加減な人間の集まりのようだ。科学は東京電力が儲けるためにあるのではなく、人類が生きていくために必要不可欠な智慧のはず。

(9)  “(Contamination levels) of fish now coming to the market are well below the government safety threshold. We consider them safe to eat,” said Jun Misonoo, a consulting researcher at the Marine Ecology Research Institute, a government-linked nonprofit research body based in Tokyo.

 threshold: 閾値(しきいちor いきち)⇒物理学や生物学用語です、こういう専門用語に関する知識も新聞記事を読むには必要なのです。
 コトバンクより
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いき‐ち 〔ヰキ‐〕 【×閾値】
 
ある反応を起こさせる、最低の刺激量。しきいち。
生体の感覚興奮を生じさせるために必要な刺激の最小値。しきいち。
-------------------------

("現在、市場へ出荷されている魚の放射能汚染レベルは政府の安全基準以下であり、わたしたちはこれらの汚染レベルの魚は食べても安全だと考えている"と御園生純氏が述べている。御園生は海洋環境研究所のコンサルティング(契約の)研究者である。海洋環境研究所は東京に本部を置いた政府関連非営利研究団体である。)

<メモ>
 英文の流れを知るにはいい文例なので解説しておこう。アンダーラインを引いた名詞句のあとに',(カンマ)'が入って、そのあとにその名詞句を説明する句が続く。英語はこのように前の句の説明が後ろに延々と続くのである。
said Jun Misonoo, a consulting researcher at the Marine Ecology Research Institute, a government-linked nonprofit research body based in Tokyo.

「ジュン・ミソノは(何者かというと)、海洋環境研究所のコンサルタント契約の研究者である、海洋環境研究所がなんなのかというと、それは政府系列の非営利研究団体で東京に本部を置いている」という流れだ。
 つまり、ミソノは政府からの予算をもらっている非営利研究団体とコンサルティング契約のある研究者で、中立な立場ではないとこの筆者は言いたいのだ。
 お金と欲と、そして生活がかかっていれば、人間は弱いもの、自分と家族の生活を守るために平気で嘘をつくようになる。
 放射性物質全体の合計値で判断しなければならないことは、素人だってわかること、専門家が知らぬはずがない。假りに64種の放射性物質の合計値がセシウムの10倍だとすると、セシウム10Bq/kgで64種合計100Bq/kgとなるから基準オーバである。その基準は元々資格をもった管理者が管理すべき放射性廃棄物に適用されていたものであって、食品基準ではない、2013年3月11日以降、突然に放射性廃棄物基準が食品基準とされてしまった。
 だからマスコミの取材は、こうした政府関係機関や東京電力関係研究者ではなく、これらとかかわりをもたない、中立な研究者、あるいは反原発研究者を選んでやるべきである。

(10)  Tokyo Electric Power Co. has turned up high strontium readings from groundwater samples taken from test wells. Tepco also believes that about 400 tons of radioactive groundwater is flowing into the Pacific every day.

(東京電力によれば、試験井戸から汲み上げられた地下水サンプルのストロンチウムが上昇に転じた。同時に、日量400㌧の放射能汚染地下水が太平洋へ流失し続けていると推定している。)

(11)  But so far, it appears this flow has had only a minor impact on fish.

(だが、いまのところはこの放射能汚染地下水の流出は魚には影響が小さいようにみえる。)


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*#2420 打つ手なし:Abe offers no plan for water at Fukushima Sep. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-24-1

 #2415 '1,130 tons of tainted rainwater dumped at nuke plant' Sep. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-22

 #2413 次の原発事故のために(10):重要な問題は汚染水漏れではない Sep. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-19
'Tanks, not leak, main problem at Fukushima'

 #2406 嘘か実か:「状況は管理されている東京は大丈夫」と安倍首相 (JTより) Sep.13, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-13
'Abe's nuke assurance to IOC questioned'

 #2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29
'Tepco testing tainted earth at No. 1 plant'

 #2340 米国の現実:核廃棄物は管理不能 Jun. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-25

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#2441 消費税引き上げ(2) 'April to see sales tax hike, Abe confirms' Oct. 8, 2013 [75.時事英語公開講座]

'April to see sales tax hike, Abe confirms' (2)

  昨夜は午前一時半頃まで作業してから『大人も眠れないほど恐ろしい初版『グリム童話』』由良弥生著(三笠書房)を読んで寝たので、少し睡眠不足だ。昼寝をたっぷりとろうと思う。私塾の塾長にとって体調管理は仕事の一つ。

 ここ数日、コメント欄で「仮定法*」について、ハンドルネーム「後志のおじさん」とHirosukeさん、そして合格先生の三人と議論を重ねて、かねて漠然とヘンだと思っていたsubjunctive(接続法あるいは假定法)、そして高校英文法書に載っている「假定法現在と假定法過去、假定法過去完了という分類」、概念の混乱がなぜ起きてしまったかについて、ebisuなりの推測と整理ができそうなので、別項でとりあげたいと思う。高校生や大学生、そして英語に興味のある社会人の皆さんに広くお読みいただき、英語への興味をさらに掻き立てられたら幸いである。

*「仮」の字は「か」という音をあらわしておらず、旁(つくり)の「反」の字も「借りる」という意味がない。だからわたしは「か」の音を表す旧字で「假定法」と書きたい。意味がわからなくなるので、勝手にヘンな簡略文字を作り出してほしくないという抵抗を込めて、今後は気分により「假」の字が混ざることを諒解していただきたい)
**假定法についての議論の寄せられた弊ブログ・ナンバーとURL
 #2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-04-1

 「假」を白川静『字統』で引くと、
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「旧字は假に作り、・・・「真に非ざるなり」と訓し、...假とはおそらくもと仮面をいう字であろう。・・・仮面をつけて真物に代わるものであるから、依り付くこと、すなわち依藉するの意となり・・・亀卜や占ゼイなどの方法によって、神霊の力を借りる意に用いる。仮借(カシャ)とは他のものを通じてそれをなすことである」
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 仮の旁(つくり)である「反」には「か」という音はないし、借りるという意味もない。

 さて、本題は公開時事英語講座、#2439*の後編である、前回は(14)までだから、今回は(15)から。

(弊ブログ前回分のURL
*http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-06-2

(15)  The previous government, led by Yoshihiko Noda of the Democratic Party of Japan, enacted a law, with the LDP’s support, to oblige the government to raise the levy unless the economy considerably deteriorated. The April hike would be followed by a raise to 10 percent in October 2015.

「日本民主党の野田佳彦に率いられた前政権は、自民党の協力の下に、経済が著しく悪化しない限り消費税増税を(政権が変わっても)政府がやらざるを得ない(スケジュールを明記した消費税増税)法案を成立させた。四月の増税に続いて2015年10月に10%へ消費税は引き上げられる」

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 <基本動詞oblige(オブライジ)の用法>『英語基本動詞辞典』より
4.S oblige O to do :S<義務[法律など]>がO<人>に余儀なく...させる [...するよう義務づける]

The law obliges us to pay taxes. --- Holt
  法律は我々の農材の義務を規定している
The weather obliged him to postpone his trip. ---AHSD
  天候の関係で彼は旅行を延期せざるをえなかった
An injury obliged him to withdraw from the race. ---RHDS
  負傷したので彼はレースを仕方なく棄権した
The health obliged him to retire at the early age of fifty-eight.
  健康を害したので彼は58歳で引退しなければならなかった
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(16)  All Abe had to do was ratify the Noda government’s decision at a time when the economy seems to be showing signs of a badly needed economic recovery and when he is enjoying high approval rates.

「安倍首相のしなければならなかったことは、野田政権の決定した(消費税引き上げ)を、必要とされる景気回復に悪化の兆候が現れているようにみえるときに、そして高支持率でわが世の春を決め込んでいるときに、追認することだけだった」

 この文は少々厄介だろう。
 All Abe had to do was ratify the Noda government’s decision ...
書き直してみよう
 All Abe had to do was (to) ratify the Noda government’s decision
 ratifyは動詞だからwasと動詞の基本形が並ぶことはない。直前でhad to doとやったので、重複を避けてあとのほうのtoが省略されたと考えて、補ってみたらいい。この文の場合は文脈を読むだけでも正しい意味は十分に伝わる。しかし、このようにtoを補わないと、高校生諸君は納得しないだろう。
 もう一つ、アンダーラインしたところは名詞句だと見抜くこと、そうでないとneededという動詞に惑わされ文の構造をつかみそこなう。不定冠詞'a'を見落とさなければ大丈夫だ。「必要とされる経済回復に悪化の(兆候)」

(17)  “If Abe had failed to raise the levy, (people) would have started suspecting that no government could do it,” Doi said.

「安倍首相が消費税引き上げに失敗してしまったとしたら、国民は消費税引き上げを実行しうる政府はどこにも存在しないのではないかと疑い始めただろう」

 典型的な高校英文法「仮定法過去完了」です。説明しないので、『アトラス』か『フォレスト』の仮定法過去完了の章をしっかり読んでください。

(18)  The LDP suffered a severe election setback after it introduced the then-3 percent sales tax in 1989, and another loss after the levy was hiked to 5 percent in 1997. Both actions proved to be political minefields.

「1989年に3%の消費税を導入したあとに起きた選挙で自民党は惨敗を被り、そのご1997年に税率が5%に引き上げられたときにも厳しい状況に直面している。これら二つの作用は消費税増税が政治的地雷原であることを証明している」

(19)  Abe and the LDP may also face a voter backlash once consumers feel the pain of shelling out more for their purchases after April 1.

「同時に、4月1日以降に物を買うためにもっとたくさんのお金を支払う痛みを消費者が一度感じてしまえば、選挙民のしっぺ返しにみまわれそうだ」

 shell out:大金を支払う

 'a voter'と読んでしまうと「一人の選挙民」あるいは「ある選挙民」という意味になるので、これはbacklashが可算名詞で' a voter backlash'が一つの名詞句になっていると見抜くこと。しっぺ返しは2回経験してるから、三度目の正直があるということで不定冠詞aがついている。形状の異なるジャガイモが3つ並んでいるところを想像すればいい。

(20)  “We can never make any mistake” on decisions related to the consumption tax, said a close aide to the prime minister.

「消費税増税に関連する決定に"わたし達には如何なるミスも許されない"と首相側近が語った」
 太字部分は名詞句だからcloseは形容詞で、意味は「近い」。closeは名詞・自動詞・他動詞・形容詞と守備範囲の広い言葉だからまず品詞を特定すること。
 aide : 側近、補佐官

(21)  Abe,/ however,/ has already drawn criticism/ that he is prioritizing big corporations before ordinary consumers.

「しかしながら、安倍首相は、普通の消費者よりも大企業を優先しているという批判を招いてしまっている。」

 こんな日本語にする必要はない、頭の中で適当にスラッシュを挿入しながら読んでいるので、再現すると次のようになる。受験の長文はこうして読んだだけで速度が3倍にはなるだろう。翻訳家が翻訳料をいただいて仕事をしているのではないのだから、文章全体を流暢な日本語にまとめる必要はない。意味をつかめむだけでセンター試験レベルの長文問題の設問にはすべて答えられる。
 この公開講座の対象は、大学受験の高校生あるいは大学で学んでいる学生、そして英語の新聞や本を読んでみたい願う社会人である。しかし、そこにとどまらぬ、何か特定の専門分野を大学で四年間勉強すれば、その分野の専門書を原書で読める力をつけることにもある。時事英語を卒業して数冊専門書を丁寧に読み、全国どこの大学院でも英語試験が合格できる「高度な基礎学力」を養うのもいい。各自の目的に合わせて好きなように利用していただきたい。とりあえず半年で500~700ページの本一冊分くらいの分量は書くつもりだ。できたらアップしてから「校正作業が終わる3日後くらいに、毎回コピーしてWORDで貼り付けて保存してほしい。印刷すると分量が多くなるがワードファイルにコピペすれば大量の文書でも楽に保存できるだろう。

「安倍/ しかしながら/ すでに批判を招いている/ どんな批判かというと普通の消費者よりも大企業を優先しているということ」、

 試験で実際に長文を読むときにはこのようにやること、もちろん普段からこういう読み方を意識してトレーニングするべき。

(22)  In hammering out the stimulus package, Abe and the LDP proposed to end special corporate tax surcharges for reconstruction in disaster-hit Tohoku a year earlier than planned and thereby boost the broader economy. This step would save firms a projected ¥900 billion in total.

「景気刺激策をたたき出したので、安倍首相と自民党は東北大震災用の復興特別法人税を計画よりも1年早く終了し、それによってより広い範囲で経済を後押しすることを提案した」

 corprate tax: 法人税  ⇔ individual income tax: 個人所得税
 corprare income tax: 法人税

 この文もさっきのように頭からがりがり読んでいくと次のようになる。
「刺激策をパッケージ化したたき出した/ 安倍首相と自民党は提案した/ 復興特別法人税を計画より1年以上早く終了すること/ そしてそれによってより広く経済を後押しすること」

(23)  On the other hand, tax surcharges for ordinary individuals will continue unabated for years.

「一方で、復興特別個人所得税は数年間弱まることなく継続される」

 'tax surcharges for ordinary individuals'
 ordinaryは必要なのだろうか? tax surchargesは税の上乗せ部分だが、何のための上乗せ部分かというと復興特別税である。そうするとアンダーライン部は「一般個人」と訳すべき。一般個人のための復興特別税は復興特別個人所得税(国税、税額の2.1%の上乗せ)であるが、するとsurchargesのsがわからぬ。それで調べてみたら、あった。復興特別住民税(地方税、10年間年1000円の課税)が課税されている。

 復興特別法人税(税額の10%)はたった3年間の期限付き、それに対して復興特別個人所得税は25年間である。これは民主党がやったのだが、"3対25"の比率に首を傾げたくなるのだが、その事実が記事にはない。企業よりの報道である。
 一部上場企業の内部留保はこの10年間で2倍にもなっているのに、そこには負担を軽くしてたったの3年間課税、一人当たり所得はこの10年間で10%減少しているのに25年間課税し続けるというのである。理不尽だというしかない。期間は同じにすべきだ。それがいやな企業は日本に本社を置かなければいい。企業業績を上げてそして25年間継続して復興特別法人税を支払い、震災復興に貢献したいという日本企業は本当にいないのか?経団連に訊いてみたい。内部留保を暑くすることだけが利益をあげる目的になってのでは守銭奴と変らない。
 「売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よし」でやれないか?

(24)  Abe has been sensitive to requests from foreign investors, and has repeatedly floated the idea of cutting the corporate tax to attract more foreign business investment. But New Komeito, the LDP’s junior coalition partner, opposes the idea. Unable to reach agreement, the two parties merely agreed Monday to revisit the proposal by year’s end.

「安倍首相は外国の投資家からの要求にはずいぶんと気を使っている/ そして海外からの事業投資を引く着けるために法人税減税のアイデアを繰り返し俎上に上げている。自由民主党の従属的連立パートナーである新公明党はその考えに異論を唱えている。合意に達することができない/ 2政党は年末までにその提案を再検討することに同意しただけである。」


(25)  To win over New Komeito,/ Abe’s Cabinet has argued a corporate tax cut would help companies to raise wages,/ which would in turn benefit workers. But New Komeito, and many economists, don’t buy this notion.

 面倒なのでスラッシュを入れて頭から齧(カジ)ってみる。
「新公明党を口説き落とすために、安倍内閣は法人税減税が企業が賃金引上げを行うことに寄与すると主張している/ 法人税減税は順番に労働者の利益になる/。しかし、(多くのエコノミストと)新公明党はこの考えを買わない」

 win over:口説き落とす  this notion:この考え((24)の'the idea'の言い換え)   

(26)  “You can’t guarantee that companies would raise wages even if the (surcharges) are ended one year earlier. It’s just wishful thinking,” Makoto Nishida, director general of New Komeito’s tax issue panel, said Monday.

「"復興特別法人税が一年早く終わっても、企業が賃金を上げることは保証できない"と月曜日に西田実仁、新公明党税制調査会事務局長が語っっている。」


【消費税増税によって景気は失速する】アナリスト森永卓郎氏の意見
 森永卓郎氏が消費税引き上げによって何が起きるのか数日前のNHK朝のラジオ番組「ビジネス展望」で(この人にしては)まともな意見を披露していた。
 ①日銀の量的緩和策で2年間でに2%の物価上昇が起きる
 ②消費税3%増税で3%の物価上昇が起きる
 これら二つをあわせると5%もの物価上昇となる。この10年間で一部上場企業の内部留保は2倍になったが一人当たり所得は10%減であるから、賃金上昇は起きない。それは非正規労働者の割合が増加しているからだ。現状約40%が非正規雇用でこの比率は年々高まり、平均賃金は下がる。すでにそのことは小泉改革で証明済みのこと。
 したがって、景気は失速するというのが卓郎君のめずらしくまっとうなご意見。
 あたりまえ、そのとおりと納得。あと半年でそれが起きる。

 ここには真正面からの問題解決を逃げた場合の教訓がある。
 99兆円の歳出を40兆円の税収では60兆円も歳入不足が生じ、不足分の赤字国債をはっこうせざるをえなくなるが、税収にあわせて歳出カットで基礎的財政収支を均衡させるとしたら、歳出を60兆円カットしなければならない。
 だから本来は公務員給与30%カット、公共事業費50%カット、地方自治体や天下り団体への補助金8割カット、国会議員給与等6割カットなどありとあらゆる歳出削減を最優先してプライマリーバランスを回復する努力をし、それでも足りない分を消費税増税で穴埋めすべきなのだが、それを逃げて問題の先延ばしをしている。
 「税収40兆円-歳出99兆円=59兆円」を消費税増税でカバーするとしたら消費税は何パーセントになるのだろう?1%増税で2.7兆円といわれているから、
 5%+59兆円÷2.7兆円/%=26.9%
 基礎的財政収支は消費税を27%にすれば確保できるが、それが実現できても1000兆円を超えてしまった国の借金は減らないから財政危機はなくならない。そのうちに金利の上がるときが必ず来る、来たらギリシアのように財政破綻、実に簡単なメカニズムである。
 先延ばしされた問題は転がりながら重量と速度を増して早晩割れて崩壊してしまう。
 覚悟せよ、国民の金融資産1500兆円が半分以下になる日が近づいている。血の出る改革を逃げたら、すべてがご破算になる。
 そろばんを左手の指先でかちゃっと振ると、玉が全部下にさがってそろう、人差し指で線を引くように五玉を跳ね上げていく、それが「ご破算で願いましては」=「ご破算」の意味、いままでの計算結果が一瞬にして跡形もなく消え去る。


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【お願い】
 時事英語公開講座はアップしてからプリントアウトして2日間くらい推敲している。漢字変換ケアレスミスやタイプミス、そして読みにくい箇所があったりするからである。しかしなにぶん自己チェックではチェックしきれないところもある。ここがブログの弱みでもある。
 たとえば昨日、「Boys, be ambicious」のカンマを見落として後志の味さんから指摘いただいた、たいへんありがたく感謝している。
 半分くらいの読者がそうであるように、O型のわたしはそそっかしいところや大雑把なところがある。だから、間違いがあればコメント欄でご叱正賜りたいと思う。「神は細部に宿る」という言葉もあるから、細部をおろそかにしてはいけない。一人で出来ないことはネット上で協力を仰げばいいと、勝手に期待している。
 ブログは不特定多数に向かって発信されているから、根室の高校生ばかりでなく他の地域の高校生・受験生が読んでいることがあるだろう、ミスは減らした。出版物ならこんなに冗長な解説は不可能であろう、そこにブログでやる時事英語公開講座の存在理由があるのかもしれない。どんな意味があるのかいまの私にはわからぬが、ただ突き進むのみ。団塊世代の一人として意味があろうとなかろうとやりうることをやっておきたいというのが本音である。

(10月9日午後11時校正作業終了)
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#2439 消費税引き上げ 'April to see sales tax hike, Abe confirms' Oct.7, 2013 [75.時事英語公開講座]

 10月2日のジャパンタイムズ一面の記事である。消費税値上げについては#2419でジャパンタイムズの記事を一度取り上げているから、そちらと比較して読むといい。長い記事なので2回に分けてアップしたい。

 April to see sales tax hike, Abe confirms
 (いよいよ4月消費税引き上げが視野に、安倍首相引き上げを確認)

http://www.japantimes.co.jp/news/2013/10/01/national/april-to-see-sales-tax-hike-abe-confirms/
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April to see sales tax hike, Abe confirms

by Reiji Yoshida and Ayako Mie

Staff Writers

(1) Prime Minister Shinzo Abe announced Tuesday he will raise the unpopular consumption tax from 5 to 8 percent on April 1 as scheduled, breaking a powerful political taboo.

(2)  At the same time, Abe unveiled a ¥5 trillion stimulus package to offset some of the immediate negative effects of the tax hike, including a ¥10,000 cash allowance for low earners and various tax cuts totaling about ¥1 trillion, including temporary ones, as well as ¥730 billion in tax incentives to encourage corporate investment.

(3)  The tax rise is expected to increase government revenues by ¥5.1 trillion in the next fiscal year, according to media reports.

(4)  “I have made the decision to raise the consumption tax rate on April 1, 2014, from 5 to 8 percent to maintain confidence in the country and hand over sustainable social security systems to the next generations,” Abe told key Cabinet ministers and members of his ruling Liberal Democratic Party on Tuesday afternoon.

(5)  Abe also said he believes that the ¥5 trillion package will “mitigate” the higher levy’s negative impacts, and that the economy will not stray from its current track toward long-awaited recovery.

(6)  Many previous Cabinets wanted to raise the sales tax to curb Japan’s dizzying fiscal debt but had to eventually give up amid strong opposition from voters.

(7)  Abe is riding high approval ratings in media polls at present and the fiscal crisis is looming ever nearer. Next year’s hike in the levy will be the first in 17 years.

(8)  Fiscal experts welcomed Abe’s decision as the first step in tackling the government’s mountain of debt. But they also argued the unpopular tax should be raised even further to avoid a possible fiscal implosion as social security costs continue to snowball.

(9)  “Japan has been unable to raise the consumption tax since 1997. . . . I appreciate (Abe’s) decision,” said Takero Doi, a professor and expert on fiscal issues at Keio University.

(10)  Doi said Abe’s decision underscored the fact that the public has finally reached a national consensus that the government needs to jack up taxes one way or another to tame ballooning social security expenditures.

(11)  Previously, many politicians and experts have argued administrative reforms — such as cuts in public works and personnel costs — would be enough to avert a fiscal crisis. But an apparent majority of the public no longer believes this is sufficient, Doi claimed.

(12)  Doi at the same time warned that Abe’s decision is far from a long-term solution. To curb public debt to a sustainable level, the government should raise the consumption tax to at least 15 percent, and possibly to more than 20 percent, Doi said, echoing the opinions of many mainstream fiscal experts.

(13)  “Otherwise, it will be hard for Japan to maintain fiscal soundness, sustainable social security systems, or even economic growth,” Doi argued.

(14)  Doi noted that, politically, Abehas been fortunate.

(15)  The previous government, led by Yoshihiko Noda of the Democratic Party of Japan, enacted a law, with the LDP’s support, to oblige the government to raise the levy unless the economy considerably deteriorated. The April hike would be followed by a raise to 10 percent in October 2015.

(16)  All Abe had to do was ratify the Noda government’s decision at a time when the economy seems to be showing signs of a badly needed economic recovery and when he is enjoying high approval rates.

(17)  “If Abe had failed to raise the levy, (people) would have started suspecting that no government could do it,” Doi said.

(18)  The LDP suffered a severe election setback after it introduced the then-3 percent sales tax in 1989, and another loss after the levy was hiked to 5 percent in 1997. Both actions proved to be political minefields.

(19)  Abe and the LDP may also face a voter backlash once consumers feel the pain of shelling out more for their purchases after April 1.

(20)  “We can never make any mistake” on decisions related to the consumption tax, said a close aide to the prime minister.

(21)  Abe, however, has already drawn criticism that he is prioritizing big corporations before ordinary consumers.

(22)  In hammering out the stimulus package, Abe and the LDP proposed to end special corporate tax surcharges for reconstruction in disaster-hit Tohoku a year earlier than planned and thereby boost the broader economy. This step would save firms a projected ¥900 billion in total.

(23)  On the other hand, tax surcharges for ordinary individuals will continue unabated for years.

(24)  Abe has been sensitive to requests from foreign investors, and has repeatedly floated the idea of cutting the corporate tax to attract more foreign business investment. But New Komeito, the LDP’s junior coalition partner, opposes the idea. Unable to reach agreement, the two parties merely agreed Monday to revisit the proposal by year’s end.

(25)  To win over New Komeito, Abe’s Cabinet has argued a corporate tax cut would help companies to raise wages, which would in turn benefit workers. But New Komeito, and many economists, don’t buy this notion.

(26)  “You can’t guarantee that companies would raise wages even if the (surcharges) are ended one year earlier. It’s just wishful thinking,” Makoto Nishida, director general of New Komeito’s tax issue panel, said Monday.

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【解説】

  April to see sales tax hike, Abe confirms

 see: to be conscious of what is around you by using your eyes (CALDより)
  (周りにあるものを目を通して意識すること)

 見えないところにあったものが近づいてきて、目の前に見えているということ、それくらい消費税値上げの具体的な姿が見えてきた。首相が念を押す(confirm)のだからね。

 「消費税4月引き上げが目の前に見えてきた、安倍首相消費税引き上げに念押し」

(1) Prime Minister Shinzo Abe announced Tuesday/ he will raise the unpopular consumption tax/ from 5 to 8 percent on April 1/ as scheduled,/ breaking a powerful political taboo.

「安倍首相が火曜日(10/1)発表した/ 人気のない消費税を引き上げる/ 来年4月1日に5%から8%に/ スケジュールどおりに/ (安倍首相は)政治的タブーを打ち破った」

 breakingの句だけ説明しておきます。これを短文に書き直すと次のようになります。

  (Abe) broke a powerful political taboo.

 主語が同じなので、あとのほうが省略されると同時に、句にするためにbreakingと書き換えています。

(2)  At the same time, /Abe unveiled a ¥5 trillion stimulus package/ to offset some of the immediate negative effects of the tax hike,/ including a ¥10,000 cash allowance for low earners and various tax cuts/ totaling about ¥1 trillion,/ including temporary ones,/ as well as ¥730 billion in tax incentives to encourage corporate investment.

「同時に/安倍首相は5兆円の景気刺激策をまとめて公表しました/消費税引き上げによってすぐに起きるマイナス効果のいくつかをを相殺するために/ 低所得者向けの給付金10,000円とさまざまな減税/ 合計約1兆円/ 一時的な減税措置をいくつか含む/ 企業の投資を促進するための7300億円はもちろんのこと」

(3)  The tax rise is expected to increase government revenues by ¥5.1 trillion in the next fiscal year,/ according to media reports.

「消費税引き上げは次の会計年度に5.1兆円歳入増加になると期待されている/ 報道によれば」

(4)  “I have made the decision to raise the consumption tax rate on April 1, 2014, /from 5 to 8 percent/ to maintain confidence in the country/ and hand over sustainable social security systems to the next generations,”/ Abe told key Cabinet ministers and members of his ruling Liberal Democratic Party on Tuesday afternoon.

「"わたしは2014年4月1日の消費税引き上げを決定した/ 5%から8%へ/ 国内の信頼を維持するために/ そして次の世代へ持続可能な社会保障制度を手渡すために/ 安倍首相は主要閣僚と与党自民党のメンバーに火曜日(10/1)午後に伝えた"」

(5)  Abe also said he believes that the ¥5 trillion package will “mitigate” the higher levy’s negative impacts, and that the economy will not stray from its current track toward long-awaited recovery.

「同時に安倍首相は5兆円のパッケージが課税強化によるマイナスの影響を軽減し国内経済が長く待ち望んだ回復軌道から外れないと思っていると述べた」

 stay from:外れる

【前置詞fromの用法に注意】
-----------------------------------------
 「しない=行為から離れる」
 次に「ある行為をする」の反対、「ある行為をしない/避ける」がどう表現されるか見てみましょう。「ある行為をする」が「ある行為に近づき、達する」と表されるなら、「ある行為をしない、避ける」はその逆方向の意味を持つメタファーになるはずです。
 実際そのとおりなのです!

1) Please refrain from smoking.
  (タバコはご遠慮ください)
2) He kept from drinking.
  (彼は飲むのを控えていた)

 fromはtoとは反対で、「分離・距離」を表す前置詞ですね。英語では「人が行為を避ける」を「人が行為から離れる」というメタファで表現するのです。A keep from V-ingは「A(人)がVという王位から離れた状態を保つ」が文字通りの意味。これが「Vしないでがまんする」の意味になるのはわかりやすいでしょう。 2)には He ... from drinking「彼が飲酒から離れている」というSPO関係がありますね。またHe と from drinking の間には主従関係がありますから、これもSVC的な構造だといえます。 
  
 『前置詞がわかれば英語がわかる』刀祢雅彦著 (ジャパンタイムズ) 91ページ
-----------------------------------------

(6)  Many previous Cabinets wanted to raise the sales tax to curb Japan’s dizzying fiscal debt but had to eventually give up amid strong opposition from voters.

「過去のさまざまな内閣が、目がくらむほど積み上がった財政上の負債を抑制するために消費税増税をしたいと思ったが、選挙民の強力な反対に遭って結局のところあきらめざるを得なかった」

 dizzy:v めまいを起こさせる

(7)  Abe is riding high approval ratings in media polls at present and the fiscal crisis is looming ever nearer. Next year’s hike in the levy will be the first in 17 years.

「安倍首相は現時点でマスコミの世論調査の高い支持率に乗っている、そして財政危機はかつてないほどより緊迫感をもって浮上しつつある。来年の消費財増税は17年振りとなる」

 hike in the levyは「課税引き上げ」だが定冠詞がついているから、消費税増税を指しているのでストレートに訳出した。英語は修辞上の配慮から同じことをいうのに語彙を替えることが頻繁にある。いろいろな語彙で言い換えないと教養がないと思われるからだろうか。
 言語の性質にも関係しているようだ。名詞が出てきたら次は代名詞で置き換えるが、他の語彙での言い換えもこれと同じ感覚なのかもしれない。
 とにかくキーとなる言葉は頻繁に言い換えられるので、わからない単語が出てきたら、前出の重要な単語の言い換えかどうかを考えてみたらいい、文脈で追える。

(8)  Fiscal experts welcomed Abe’s decision as the first step in tackling the government’s mountain of debt. But they also argued the unpopular tax should be raised even further to avoid a possible fiscal implosion as social security costs continue to snowball.

「財政の専門家は政府が山積みの債務に取り組む第一ステップとして安倍首相の決定を歓迎している。だが同時に、財政専門家達は社会保障費が雪だるま式に膨らみ続けるので、財政崩壊の可能性を避けるために、さらにいっそうの消費税増税がなされるべきであると主張している」

(9)  “Japan has been unable to raise the consumption tax since 1997. . . . I appreciate (Abe’s) decision,” said Takero Doi, a professor and expert on fiscal issues at Keio University.

「"日本は1997年から消費税増税がなされていない…わたしはその(安倍首相の)決定を評価している"と慶応大学の財政問題の専門家で教授である土居丈朗」

(10)  Doi said Abe’s decision underscored the fact that the public has finally reached a national consensus/ that the government needs to jack up taxes one way or another to tame ballooning social security expenditures.

「土居は、安倍首相の決定が国民が最終的に国民的合意に到達した事実を浮き彫りにしたと述べている/ 政府が増大する社会保障費支出をなんとかするために消費税増税を必要としているという国民的合意」

 jack up: 引き上げ ジャッキアップで日本語になっている
 one way or another: なんとかして
 tame: 支配する、抑制する

 スラッシュを入れて読んでみたが、いまいち内容がわからないから、全訳してみよう。
「増大する社会保障費支出を何とかするために政府が消費税増税を必要としているという国民的合意形成がなされた、そうした事実を安倍首相の(10月1日の消費税引き上げ)決定が浮き彫りにしたと土居が言っている」

(11)  Previously, many politicians and experts have argued/ administrative reforms — such as cuts in public works and personnel costs — would be enough to avert a fiscal crisis. But an apparent majority of the public no longer believes this is sufficient, Doi claimed.

「安倍政権の前までは政治家や専門家は主張する人が多かった/ 公共事業や人件費の削減のような行政改革だけで財政危機を避けられるだろうと。だが、国民の大部分が公共事業や人件費のカットではすまないと思っていると土居は主張する」

 this⇒administrative reforms — such as cuts in public works and personnel costs

 arguedとclaimed⇒同じ段落で、同じ語彙の使用を避けた。argueには「異論・反論」という別の意味もあるのだが、同じ段落内だから言い換えと判断してみて、それから念のために文脈でもチェックするように心がけたい。

(12)  Doi at the same time warned that Abe’s decision is far from a long-term solution. To curb public debt to a sustainable level, the government should raise the consumption tax to at least 15 percent, and possibly to more than 20 percent, Doi said, echoing the opinions of many mainstream fiscal experts.

「それと同時に、土居は安倍首相の決定が長期的解決からはるかに距離があると警告している。維持可能な水準まで公的債務を抑えるためには、政府が消費税を少なくとも15%に引き上げ、そのうえさらに可能なら20%以上に引き上げるべきだと、財政専門家主流派の意見に同調して土居は述べている。」

 日本人のスタッフライターの書いた文章だから「echoing~」は付帯状況の分詞構文のつもりだろう。海外からの配信記事だとこういう用例はほとんどない。
 「many mainstream」を「多数の主流派」としたら日本語としておかしい、「主流派」という言葉自体が「多数」を含意しているので、こういう場合の「many」は訳出しないこと。
 
(13)  “Otherwise, it will be hard for Japan to maintain fiscal soundness, sustainable social security systems, or even economic growth,” Doi argued.

そうしないと、日本が財政健全性持続可能な社会保障制度あるいは経済成長の維持すらも困難になるだろうと土居は述べている」

(14)  Doi noted that, politically, Abe has been fortunate.

「土居は安倍首相が政治的に幸運だと指摘している」

 以下(15~26段落)は次回(#2441)へ持ち越し。

 消費税が引き上げられたらどうなるのか、森永卓郎氏がめずらしくまともなことを言っている。先週のNHKラジオ番組「ビジネス展望」での発言を最後のところでかいつまんで紹介する。


(10月9日午後1時45分、校正作業終了)
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#2435 "#2423の一文解説" Oct.4, 2013 [75.時事英語公開講座]

 #2423で仮定法を勉強するのによい例文に出くわしたので、アンダーラインしておいた。高校生諸君は日本語訳を考えてくれただろうか。
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(4)  The Slovenian representative asked why Japan has been dragging its feet for two years and stressed that Tokyo should have sought out a solution that would spare the environment right from the beginning of the crisis in spring 2011.
---------------------------------------

 andの次の主語は最初のものと同じだから修辞上省略されているので補うと、

The Slovenian representative stressed that Tokyo should have sought out a solution that would spare the environment right from the beginning of the crisis in spring 2011.

 spareはコンテキスト(文脈)から考えると、「環境権を~するような解決のしかたを探すべきだった」となっているから、「侵害しない」という日本語が思い浮かぶ。
  spareは右手にぶら下げた大きな皮袋のなかにボールがたくさん詰まっていて、左手に同じタイプのボールを持っているような状態を表しているのだが、はたしてそういう日本語が辞書の中にあるのかどうか、探してみることになる。

 『ジーニアス第4版』でspareを引くと
⑤…に気を配る、<人・物>に損害を与えない

 なるほど、予備をもっていたら「他人に迷惑をかけないですむ」から「~に損害を与えない」という意味が派生するのかと合点がいく。『英語基本動詞辞典』にはspareの冒頭のところに次の説明がある。
「構文の面では、一般に 'S spare O' の型で用いられるが、「O1<人>にO2<厄介など>をかけない」」

 だれの「環境権」かを考えなければならないが、放出された放射能が大気汚染や海洋汚染を起こしていずれは公海上へも広がっていくから、「国際社会の international community's 環境権」であることは容易に推察がつくだろう。

  Tokyo should have sought out a solution~ は「should+現在完了」で過去を追想しながら心の奥にしまってあるキモチを表現できる形式である。
 「東京(日本)は当然(かくかくしかじかの)解決を追い求めるべきだった(が、そうはしなかった)」

 if節がないから、仮定法過去完了ではない(と高校英文法上はなっている)、しかし仮定法過去完了の帰結節と同じカタチである(から、関係がないわけではない、否、「反実過去」だから、概念的には仮定法(ドイツ語やフランス語では接続法)に含まれる)。(接続法は)「あのときに当然そうすべきだった(のにしなかった)」というキモチを表現する形式である。

(*仮定法と接続法についてコメント欄に興味深い議論があるので、高校生や大学生に読んでもらいたい)

 スロベニア代表は過去を思い出しながら「メルトダウンを起こしたあのときから海洋汚染を起こさないことを最優先した対応方法を考えてくれていたら、こんなことにはならなかっただろうに」といまさらながら非難を込めて語っている。

 ついでに仮定法過去完了を復習しておこう。『if・仮定法の使い方のすべてがわかる本』中野幾雄・明日香出版社(昭和62年10刷り)に仮定法過去完了の文例が載っている。(⇒絶版になっている)
-------------------------------------------
 ・・・共通した特徴は、すべて「~であったら、~であっただろう」という過去への想像である。
 ifのあとは過去完了、そして帰結節はwould, should, could, might のひとつに現在完了形の形が続く・・・ (119ページ)
・・・
 例文3 もし私がこの事実を知っていたら、当然あなたに話したことでしょう
・・・
 have told~に助動詞をつけるのだが、この文は「当然」と言っているから、その味わいをもつshouldを使うことがふさわしい。
I should have told~となる。
 訳 If Ihad known this fact, I should have told you about it.
                      (123ページ)
---------------------------------------------


「スロベニア代表は強調した/東京は(国際社会の)環境権を侵害しないような解決案を捜し求めて当然だったのにしなかった/2011年春の重大事故の始まりから」
    ⇒
「2011年春の重大事故(原子炉3基の連続メルトダウン)の始まりのときから、東京(日本)は国際社会の環境権を侵害しないようなやりかたを捜し求めるべきだったのにそうはしなかった」

 フクシマは東京電力の問題でありながら、国際社会から見ると一企業を超えた日本の問題なのである。

*#2423 'IAEA members give grief over leaks' Sep. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-29

 #2443 仮定法ってなんだろう?(1):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09-1

 #2444 仮定法ってなんだろう?(2):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-1

 #2445 仮定法ってなんだろう?(3):コメント投稿欄での議論 Oct. 10, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-10-2

 #2446 仮定法とはなにか(1) : Boys be ambitious. Oct. 11, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-11


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if・仮定法の使い方のすべてがわかる本―実用英語が徹底的にわかるシリーズ

if・仮定法の使い方のすべてがわかる本―実用英語が徹底的にわかるシリーズ

  • 作者: 中野 幾雄
  • 出版社/メーカー: 明日香出版社
  • 発売日: 1985/10
  • メディア: 単行本


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