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#2843 エボラ出血熱1-2 :'The worsening ebola crisis' Oct.19, 2014 [75.時事英語公開講座]

 専門学校から大学志望に最近変えた高校1年生がいるので、初めて英辞新聞記事(エボラ出血熱の記事)を読ませた。辞書の日本語をそのまま当てはめて日本語にならず苦労していた。はじめて英辞新聞を読む人に解説するつもりで最初の段落をまな板にあげる。
 ついでだから、社説の一番上の右側の欄外に結論が書かれているので、社説全体の論旨をつかんでおくためにそれも一緒にとりあげる。欄外に書かれた文はわかりやすい。

 A far more urgent response to the epidemic is needed from wealthier nations.

 主語と動詞と目的語をとらえよう。その後で「どこで」「いつ」という情報を文の中で確認、最後に前置詞句を処理しよう。
 能動文に書き換えてみたらなおいっそう理解が進み、受動態の文で書いた理由もわかろうというものだ。

 They need a far more urgent response to the epidemic from wealthier nations.

  theyとはもちろん「エボラ出血熱が急激に感染拡大している西アフリカの諸国民」である。西アフリカの諸国民は先進国がさらなる緊急対応の手を差し伸べることを必要としている。受身の文を選択したことから、意味上の主語に書き手の関心はなく、大事なのは目的語である。だから、それを文頭にもってきた。文の意味は深層構造にあるので、能動文に書き換えることはムダではない。

 表層構造にもどると、受身の文だからこの文の主語(S)は'a far more urgent response to the epidemic、 動詞(V)は'is needed'。 epidemicは定冠詞がついているから名詞だ。辞書には形容詞と名詞の意味が載っているから、あらかじめ文の中で品詞を読み取っておきたい。辞書をすばやく引くコツのひとつだ。
 ジーニアス4版では、
①伝染病、②(病気、思想、風俗などの)流行、蔓延
 となっているが、和英辞典の訳語をそのまま当てはめたらこうなる。
「エボラ出血熱の流行に対して富める国々からもっと迅速な対応が必要とされている」
 responseは「対応」よりも「援助」のほうがいいかもしれない。「対応」のナカミは先進国から緊急の人的支援や物的援助である。不足しているのはメディカルスタッフ、コメディカルスタッフ、そして防護服の着用と脱ぐトレーニング、とくに汚染している防護服を脱ぐときが危ない。西アフリカ各地にある病院ではまったく間に合わないから、数百人単位の隔離病棟の新設が各地に必要。そしてどれもこれも急を要している。つねに具体的な状況をイメージとしてとらえておこう。訳してみて具体的なイメージが浮かんでこなければ、訳の日本文を再検討したほうがいい。
 口に出して読んでみるのもトレーニングとしては重要だ。もちろん、訳した日本語の文のチェックに音読はじつに有効なのであるが、それだけではなくもとの英文を意味イメージを浮かべながら何度も音読してみたい。たしかにイメージと英文がしっかり結びついて身体にしみこんでくる感覚がある。この技はHirosuke流で、彼のブログを読んで学んだ。本文右側の欄外に読んでいるブログのリストがあるので、その中からLMN研究所というタイトルをクリックしてかたっぱしから読んでみたらいい。

 さて、勉強だから英英辞典も引いてみよう。高校生だって英英辞典を傍らにおいてたまには引いてみたらいい。どんな辞書でもLearner's Dictionaryの普及版は5000円以下だから、まだ買っていない人は正月のお小遣いで買おう。
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longman
http://www.ldoceonline.com/dictionary/epidemic*

ep・i・dem・ic [countable]

1. a large number of cases of a disease that happen at the same time [pandemic]:
Over 500 people died during last year's flu epidemic.

-----------------------------------------
Coubild
http://dictionary.reverso.net/english-cobuild/epidemic

epidemic

( epidemics  plural)
1   n-count If there is an epidemicof a particular disease somewhere, it affects a very large number of people there and spreads quickly to other areas.
-----------------------------------------

 ロングマンのほうは「流行」「蔓延」で充分だが、コービルドのほうは少し違う。「そこにいるたくさんの人々を感染させ他の地域へ急速に広がる」のがepidemicの意味だ。「流行」や「蔓延」もいいが、「急激な感染拡大」とした方がここで使われているepidemicの意味をよくあらわしている。

「エボラ・ウィルスの急激な感染拡大に対して富める国々からもっと迅速な(人的および物的)援助が求められている」

 西アフリカ諸国ではエボラ出血熱の感染拡大が対応不能な段階に至っている、これが社説全体の結論だ。

 第一段落を見よう。

Recent days have brought two alarming developments in the struggle to contain Ebola. The campaign against the epidemic in West Africa, the only sure way to prevent the spread of the virus to the United States and other countries, fell even further behind. And the discovery that a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear raised questions about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients.

 この段落は三つの文からなっているから、それぞれ個別に見ていこう。
(1) Recent days have brought two alarming developments in the struggle to contain Ebola.

 主語と動詞と目的語、そして前置詞句から成立っている。broughtとdevelopmentsの訳に気をつけたい。
 broughtはtwo alarming developmentsという目的語を伴っているから、目的語のほうをやっつけてから、broughtの訳を決めたらいい。動詞の意味は目的語によってころころ変るのが常だと思っておこう。
 developmenntsは「発展」「進歩」「開発」などの訳語が英和辞典に載っているだろう。しかし、辞書に載っている訳語をそのまま当てはめても日本語にならない。この名詞句の後に続く前置詞句と対にして考えないと適訳がでてこない。英文和訳とは辞書に載っている訳語を切り貼りすることではなく、考えることなのである。この段階になると日本語の作文センスや文脈読解力が物を言い始める。本をたくさん読まなかった生徒は高校生になってから英語の伸びが止まるのである。濫読期を通過した生徒たちは高校生になっても、たしかな文脈読解力を武器にノビシロが大きい。このdevelopmentsの和訳は高校英語の範囲を越えているからすっ飛ばしてもいい。大学生はこういうところにこだわった方がいいよ、こだわる者はぬかるみでも脱出できる別のギアを手に入れることになる。
 containは以前、hirosukeさんがコメント欄に書きこんでくれたものが参考になる。コンテナーを思い出せばいい。大事なお宝を「箱の中にいれておくこと」だと考えよう。そうすると辞書を引かなくても「封じ込める」という訳が思い浮かぶだろう。ジーニアス4版では「⑤病気などの蔓延を防ぐ」と書いてある。『ユメ単』には載っていない訳語だろう。知らない単語にぶつかったら、文脈から訳語に見当をつけてから辞書で確認しよう。そうでないと辞書の項目を全部読まなくてはならなくなるし、こうしたトレーニングを積むことで、知らない単語が出てきてもたじろがない自分をつくり上げることができる。

 「エボラを封じ込めるための戦いにおいて」という限定がtwo alarming developmentsという名詞句についているから、developmentsは「エボラの感染拡大」を指している。「発展」や「進歩」そして「開発」と訳したのではチンプンカンプンな日本語ができあがる。

「ここ数日間に、エボラとの戦いにおいて二つの重大な感染拡大要因が生じてしまった」

 赤色灯がくるくる回るような重大事が二つ生じてしまっているのだが、続く文がその二つがなんなのかが具体的に述べてくれることになる。それが作文上のお作法なのである。

(2) The campaign against the epidemic in West Africa, the only sure way to prevent the spread of the virus to the United States and other countries, fell even further behind.

 campaignはキャンペンガール、選挙のキャンペーンなど半分日本語になっているが要注意だ。ジーニアス4版には「運動、キャンペーン、組織的活動」という訳語が載っている。

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Longman
*http://www.ldoceonline.com/dictionary/campaign_1
cam?paign1 S3 W1 [countable]
1 a series of actions intended to achieve a particular result relating to politics or business, or a social improvement:
■Florida was a key state in his campaign for re-election.
■an anti-bullying campaign
■an advertising campaign
campaign for/against
 a campaign for equal rights
■Jones ran a good campaign.

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 英英辞典に拠れば、「政治、ビジネス、社会改革に関連して特定の結果をもたらすことを意図した一連の行動」となっている。つまり、組織的な実行計画があって、それに基く一連の組織的行動がキャンペーンの意味である。

 目的語がないから、主語と動詞をセットで眺めよう。
 the campaign fell even further behind.
 長ったらしいようで、こんなに単純な文だ。
 「一連の組織的な行動は計画倒れで(予定よりも)はるかに遅れてしまった」
 fallは倒れることだから、キャンペーンを計画と訳すと、「計画倒れ」という訳文が適切だろう。一連の組織的行動が計画倒れでずっと遅れてしまったのである。

 文全体を訳してみよう。
 「西アフリカで起きている感染拡大を封じ込める組織的な行動、それは米国は他の諸国へのウィルス拡大を防ぐ唯一のたしかな方法なのだが、予定していたよりもずっと遅れてしまった。(いまでは手遅れの状態にある)」

(3) And the discovery that a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear raised questions about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients.
 修飾節や前置詞句を取り除いて文を簡単にしてみよう。

 ① the discovery raised questions.
 「その発見がいくつかの疑問を浮上させた」

 何が見つかったのかは関係代名詞節になっている。

 ② a nurse treating an Ebola patient in Dallas had herself become infected despite wearing protective gear
 「防護服を着用していたにも関わらず、ダラスでエボラ出血熱患者の治療にあたっていた看護師が感染してしまった」

 ③ about the readiness of American hospitals to deal with Ebola patients
 「エボラ出血熱患者を治療する米国の病院の準備状態について」
 ③の前置詞句は浮上した疑問のナカミの説明である。後に続く前置詞句は常にその前にある名詞句の補足説明である。

 「(米国テキサス州)ダラスでエボラ出血熱患者を看護していた看護師が防護服を着用していたにも関わらず感染したという事実によって、エボラ出血熱患者を治療する米国の病院の準備が充分なのかどうかについていくつか疑問が浮上している。」

 大事なことは段落の文脈を読むことで、「二つの感染拡大要因は「計画の実行に重大な遅れが出ていること」と「エボラ患者の看護にあたっていた看護師が防護服を着用していたにも関わらず感染してしまったことから、治療にあたる隔離病棟での準備体制に疑問が浮上していること」にある。この二つをターゲットにして先進国は緊急に対応策を練らなければならない。このままでは米国内のみならず西アフリカとつながりの強いEU諸国で感染爆発が起きたら、手の打ちようがなくなる。それは日本も同じだ。象牙海岸(アイボリーコースト)は元フランスの植民地だから人の流れが多い。北西アフリカはほとんどが旧フランス植民地だが、一部分英国領だったところがある。世界史のアフリカ分割の項を思い出してもらいたい。アフリカの地理はその植民地の歴史と共にとらえなければならない。地理と歴史は表裏一体のものだ。こういうところで生きた地理と歴史の学習をすると、中高でやる社会科の科目がとっても楽しくなる。
*アフリカ分割(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%88%86%E5%89%B2

 
<余談-1>
 16日のニューヨークタイムズ紙の一面にまたエボラ出血熱の記事が出ている。スペインでの二次感染を中心に据えた記事だ。ついでだから、これもとりあげよう、次回のお楽しみだ。記事のヘッダーは、
  'Spain case shows holes in plans to treat Ebola'
   (スペインの症例はエボラ治療計画に穴があることを明らかにしている)
*Spain Exposes Holes in Plans to Treat Ebola - NYTimes.com

<余談-2>
 辞書を引け、徹底的に辞書を引け。一つの単語にいくつも訳語が載っているから、辞書を読んでその単語のコアのイメージをつくれ。そして興味のある分野の英文をたくさん読め、日本語と同じで英語の読書力も読んだ量に比例する。


*#2842 エボラ出血熱1-1: 'The worsening ebola crisis' Oct. 18, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-17-1

 #2843 エボラ出血熱1-2 :'The worsening ebola crisis' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-18

 #2844 エボラ出血熱2-1 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19

 #2846 エボラ出血熱2-2 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.19, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-19-2

 #2847 エボラ出血熱2-3 :'Spain case shows holes in plans to treat Ebola' Oct.21, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-20

 #2848 エボラ出血熱2-4 :国内の体制はどうなっている? Oct.22, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-22-1

 #2852 エボラ出血熱3-1 ' Cuba's impressive role on Ebola '   Oct. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-10-26



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#2812 日本人の性意識の変化: Women express pride in remainig a virgin Sep. 18, 2014 [75.時事英語公開講座]

  9月12日号の週刊ボストに載った記事を引用して、9月14日のJT紙(英辞新聞・ジャパンタイムズ)「メディア面」が日本人の性意識の変化を取り上げている。
 英語を攻略するには内容の面白いものをたくさん読むのが近道だという人もいる。語彙の少ないアダルトものを読んでもそう英語力が上がるとは思わないが、その手のものにも比較的語彙の多い作品は存在するのであながち否定はできぬ。
 この記事の語彙は多いから、テクストとしては語学の勉強には適している。まあ、それぞれが興味のある分野のものを読み漁ってみたらいい、もちろん、セックスに関する話題にまったく興味のない人(二次元で満足仕切っている人)は読まなくていい。

 タイトルが振るっている。30代でバージンでも胸を張って自慢できるというのだ。根室のおっかさんなら、娘が30歳をすぎても生娘だと知ったら、びっくりして「あんたなにやってんの・・・」と絶句するかもしれない。父親だってそれと知ったらマジで心配する。
 江戸時代にはありえないことだ。年頃になれば、女にも男にもまわりで手ほどきをしてくれるような仕組みがあった。明治になって西洋化したことで、「野蛮な風習」として葬り去られたが、飛んでるギャルの間では古い性風俗の伝統が脈々と受け継がれているのである。日本人が千年以上も受け継いできた性風俗を現代のわたしたちが知らないというのは情けない。実におおらかで、記録によれば女帝(女性の天皇)も宮中でそうした行事(歌垣=乱交)を催している。祭りがそもそもそういうものだった。

 一面のメディア面紹介欄には、次のようなキャッチコピーが挙げられている。
 Virgin road: Who really needs sex anyway?
(そもそもだれがほんとうにセックスを必要としているのか?⇒そんなものは必要ない)

 セックレス夫婦が増えているという記事が週刊誌をにぎわせ始めてから十数年が経つ。セックスが必要のない男女が増えている。セックスレス夫婦の増加は既婚者の性意識を侵食しただけでなく、いまも増殖を続け未婚者の間に広がりつつある。これでは性意識の変化が少子化をさらに加速しかねない。
 昔は20代の後半になってもバージンだと、もてない女であるようで恥ずかしいという気持ちがあった。バージンのままで結婚するのは、夫にもてない女だったと生涯思われそうで嫌だというのが30年ほど前の日本女性の意識にはあった。最近の女性は30代でバージンでも胸を張って自慢していい、それくらい若い女性の性意識が変わりつつあるということ。男女の性意識に大きな変化が生じているのは何が原因なのだろう?考えてみてもらいたい。

 この記事で、面白いと思った文を二つ挙げておこう。
(1) “The pleasure is momentary, the position ridiculous, and the expense damnable.”
(歓びはつかの間、状況はお話しにならぬ、お金は棄てるようなもの)
 the pleasure is momentary,
 the position (is) ridiculous,
 the expense (is) damnble.

 「楽しいのはほんのつかの間、そうすることで抱え込む問題は多いし、費やすお金はとても楽しみとは引き合わぬ、セックスなんてそれだけのものさ」、そう嘯く18世紀英国の政治家・貴族であったチェスターフィールドのつぶやきが聞こえそうだ。彼が現在の日本へワープしたら、ずいぶんと意を強くするだろう。結婚するまで処女でいるべきだとずいぶんとお堅い言辞を吐き、周りから嫌がられたが、日本は彼の理想郷を実現しつつあるようで、その見返りとして少子化が進行している。

(5) When we have sex for the first time, do we gain something, or lose something? We lose our virginity and gain experience, but does the latter outweigh the former? 

(はじめてしたときに、わたしたちはなにごとかを手に入れるのか、それともなにかを失うのか?バージニティ(処女あるいは童貞)を失うが経験を手に入れる。しかし失うものよりも得るものの方が大きいのではないか?)

 とっても意味深である、人生が豊かになることは間違いのないところだ。ときに不幸を招来することがあるがいずれ癒える、人間はそうするように遺伝子でプログラムされている。それを制御できれる人は涅槃寂静のお釈迦様の境地に限りなく近く、存在としてはほとんどゼロだが、そういう本源的な欲求が希薄な男女が増え始めているということなのだろうか。

  週刊ポストからの引用部分をみると30代の女性の30%がバージンだという、厚生労働省の調査資料に依拠している。

Shukan Post’s 30 percent figure is an extrapolation from health ministry statistics

 もうすこし解説すると、厚生省データはサンプリング調査データであるようで、週刊ポストはそのデータに基いてextrapolation(外挿法)で母集団の推計をしたもの。だから、この数値にどの程度の妥当性があるかは、元データを見なければわからない。どれくらいの確率で母集団の推計ができるのかは基本的にはサンプル数に依存している。

 記事はさらに年代を分けて数字を挙げている。20-25歳の年齢層の独身女性の'virginity percent'は40.1%、34-39歳の独身女性のそれは25.5%、びっくりだ。

from health ministry statistics that show virginity percentages among single women ranging from 40.1 percent for those aged 20-24, to 25.5 percent for those aged 35-39.

 この数字はショッキングであると同時に、そうかもしれないなと感じる。地元の高校3年生の性体験率が北海道新聞に載っていたことがあるが、この十年間で女子の「経験済み」の比率が10%ほど落ちて20%台になっている。男子高校生のそれはさらに数%から10%ほど低い。二次元のアイドルに夢中で、現実の同級生にはほとんど性的関心がない男子高校生が増えている。もちろん両方に興味のある「健全な」男子高校生もいるのだが、「リアル」にまったく興味がないという男子は着実に増えている。恋愛という現実のゲームに参加してこない若い男が増えている。
 男女の性意識の差から女子が相対的にフラストレーションを感じていることが読み取れる。同年代の男子との間に性意識の点でギャプがあるのである。

 週刊紙「スパ!」がとりあげたコンドームメーカの調査では20代の女性の25.5%がバージンで、同じ年代の男は40.6%が童貞である。この数字から見る限り、約15%の女性はかなり年上の男性と恋愛するしかない。

25.5 percent for single women in their 20s — high enough, but low compared with single men in their 20s, 40.6 percent of whom remain strangers to Eros and his mysteries.

 女性のvirginity percentagesが増えていることが、virginであることに対する意識を変えつつある。昔は年齢相応に経験がないと恥ずかしいという意識が強かったが、それが薄れてきただけでなく、30代になっても胸を張ってバージンだと言う女性が現れてきた、記事のタイトルがそうした事情を如実に示している。

 Women express pride in remaining a virgin 
 (女性はバージンであることに胸を張っている)

 20代と30代の女性へのインタビュー取材もあり、個別のケースと意見が述べられている。こちらもなるほどと肯ける内容になっていて興味深い。仕事のできる中年男が若い女性にもてる理由が具体的に述べられている。これでは少子化が進むはずだ。少子化は性意識の変化も影響しているのではないだろうか?

 (2)に'fourth Earl of Chesterfield'という人物が出てくるが、これは書いてあるようにイール(伯爵)オブチェスターフィールド4世、18世紀英国の政治家でいまでも広く読まれているお堅い人生訓の著書がある。未婚女性はすべからくバージンであるべきだという意見の代表人物だと考えていただいてよい。末尾にamazonに載っていた著書を挙げておく。
 わたしが参考にすべき名言がいくつもある。(笑)
*チェスターフィールドの名言
http://matome.naver.jp/odai/2131900197049175901

*http://effectiveness.jp/classics/02.html
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一分を笑うものは、一分、いや一秒に泣くのだ。だから、十分でも十五分でもおろそかにしないように。十分や十五分だからといっておろそかにしていると、一日に何時間も無駄にすることになる。それが、一年分たまると、それはもう、ちょっとどころではない。相当な時間になる。
―中略
世の中には、だらだらと時を過ごす人が大勢いる。大きな椅子にもたれてあくびでもしながら、「何かを始めるには、ちょっと時間が足りないし……」などと、のたまう。けれど実際に時間が空いても、こういう人は何かを始めることなどない。結局、何もしないで時は過ぎ去っていく。気の毒な性格という以外ない。たぶんこういう人は、勉強でも仕事でも大成することはないだろう。
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http://www.japantimes.co.jp/news/2014/09/13/national/media-national/women-express-pride-remaining-virgin/

Women express pride in remaining a virgin

(1) “The pleasure is momentary, the position ridiculous, and the expense damnable.”

(2) So much for sex — or so much for the fourth Earl of Chesterfield, the 18th-century British statesman who in that little epigram immortalized his trenchant wit — though not his philosophy, for it is on record that future generations, while quoting him with relish, went on coupling nonetheless.

(3) Until now, that is. Until now?

(4) Imagine the notoriously stuffy aristocrat teleported to Cool Japan. Much would bewilder him, of course, but one aspect of it — its sexual tastes, or lack thereof — might well bring a gleam to his eye, a smile to his lips and an exclamation to his heart and mouth: “Ah, you see! My time has come!”

(5) When we have sex for the first time, do we gain something, or lose something? We lose our virginity and gain experience, but does the latter outweigh the former?

(6) “My plan from the beginning,” the woman says, “was to start thinking about marriage in my mid-30s, to a man who loved me from his heart, someone I could respect as a responsible member of society. And my first sexual experience would be with him.” 

(7) Shukan Post’s 30 percent figure is an extrapolation from health ministry statistics that show virginity percentages among single women ranging from 40.1 percent for those aged 20-24, to 25.5 percent for those aged 35-39. The weekly Spa!, discussing a related theme, presents its own calculations which, coming from a different source (the condom maker Sagami Original), are slightly different: 25.5 percent for single women in their 20s — high enough, but low compared with single men in their 20s, 40.6 percent of whom remain strangers to Eros and his mysteries. How frustrating for a young woman. No wonder, Spa! concludes, women in their 20s are increasingly turning their backs on men their own age in favor of worthier partners in their 40s!

(8) Of that, more shortly. Shukan Post introduces a career woman of 33 who for years kept her virginity to herself as a shameful personal blemish. Drinking after hours with female colleagues, she would keep quiet when talk turned to sex and hope no one noticed. Finally, on her 30th birthday, impelled by some inner need, she made her confession. Expecting hoots, she got shrugs instead. “So? What’s the big deal? Good for you!” Three years later nothing has changed, except that she accepts virginity as part of her identity, and why not?

(9) There’s more to virginity than physiology or even psychology. Shrine maidens of old gave it a sacred character. In farming villages until relatively modern times, as Shukan Post explains, a custom known as “night crawling” legitimized on set occasions the penetration of maidens’ bedrooms by local young bucks. No one took it amiss, least of all the girl or her family. Different times, different mores. An individual back then belonged to his or her community in ways we today can scarcely imagine.

(10) The sexual liberation movements of our own time turned virginity into something of a burden — liberation meant you had to be liberated, like it or not. Those who didn’t like it kept quiet. Now they’re speaking out. At the vanguard of virgin liberation are certain female TV comedians who laugh at their own virginity, real or fictitious, emboldening their more diffident sisters. “Who needs sex anyway?” is Shukan Post’s parting shot — the proliferation and refinement of mechanical sex aids make partnership pretty much superfluous.

(11) Really? Yes and no, for Spa!’s theme is women’s search not for sexlessness or post-sexual alternatives, but for suitable partners among men old enough, or nearly, to be their fathers.

(12) “My first sexual experience came at 16 with a man 10 years older,” recalls one woman, now 26. “Ever since, men my age have struck me as a bit callow. They’re OK as friends, but I’ve never actually dated anyone my age.”

(13) A certain 28-year-old tax accountant has, and was happy enough doing so until she met her current lover, a 48-year-old senior colleague to whom she turned for advice when she found herself over her head. “Whatever the difficulty was, he always had an answer for me” — the parent-child relationship eroticized. “He’s my peace of mind,” she adds. As for her old, much younger boyfriend, “I outgrew him,” she says — without seeing in that, apparently, a tacit invitation to her current lover to outgrow her.

(14) Well, that’s life — may we all continue to grow and outgrow one another, and see where it leads. If Chesterfield turns out to have been prescient, the next casualty might be laughter — for laughter (“the manner in which the mob express their silly joy at silly things”) was as asinine to him as sex.

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<余談>
 日本人の性風俗はあんがいおおらかなのだが、日本人の伝統的な性風俗や性意識がどのようなものであったかを知らない人がほとんどだろう。
 農漁村では若衆宿のようなものがあり、年頃になればそこに集まり寝泊りして、乱交が普通だった。妊娠すれば女がその中にいる男を指名できたのだそうだ。男にノーを言う権利はない。女と結婚して子どもは自分の子として育てる。
 盆踊りも男と女の出会いの場で、そこでお互いに気に入れば手に手を取って輪から離れてエッチする。これは既婚者も同じで、お盆の間は「おまえも行っておいで」と亭主が女房に言い、自分も出かける。お盆やお祭りは一年の内で数日間そうしたことをしていいハレの日だったのである。
 面白いもので、HLA検査という臨床検査項目があるが、これは白血球の血液型の検査だが、赤血球はA型、B型、AB型、O型に分類されるが、白血球の血液型はそれよりもタイプが多く、それぞれのタイプがさらに数十に分かれているから、それらを組み合わせると数万のオーダーになるのでメッタに一致しない。それゆえ骨髄移植に利用されている。
 1980代の終わり頃に日本最大の臨床検査センターである八王子ラボ見学に来た製薬メーカの米国専門家がHLA検査室を見学したあとで、米国では裁判でHLA検査が親子鑑定の決め手として年間3000件くらい使われているが、日本ではどれくらいかと問われた。日本では親子関係の判定にHLA検査が使われた例は聞いたことがなかったので、その旨伝えたらその見学者はひどく驚いていた。日本人の意識の底では、婚姻関係があれば女房が浮気をしても生まれた子は自分の子だというのが日本の男。だから自分の子供として育てていれば、遺伝子的なつながりとは関係なく自分の子供であるのだから親子であるかないかという裁判はありえないし、HLA検査が親子鑑定に使われることもなかった。
 ところが最近はもっと精度のよい遺伝子検査があり、それが親子鑑定に使われるようになってきたから驚きだ。これも日本人の意識の変化だろう。芸能人が「あの子は自分の子ではない」というような発言をテレビ記者会見でいうような世の中になってしまった。
 なんだか日本人は根っこから日本人ではないものに変りつつあるような気がしてならない。
 日本人の伝統的な性風俗を扱った樋口清之著『性と日本人』(講談社文庫1985年)という本が、古来の日本人の性風俗を伝える好著なのだが、絶版になったのかamazonで検索しても出てこない。同じ著者の別の本を数冊参考までに挙げておく。それぞれ、きちんとした学術書である。
 『盆踊り 乱交の民俗学』が3年前に読んだ本だが、すぐれた学術書である。
 高橋克彦著『風の陣』は5冊あるが、何巻目かに天皇(女帝)が歌垣を催すシーンが描かれている。歌垣とは当時しばしば行われた乱交パーティであるが、天皇が宮中で女官も含めて自由に楽しめと言ったのは他に例がないのだろう。小説の中ではあるが、道鏡と夫婦になることのできなかった女帝が哀れだった。
*HLAにはA,B,C,D,DR,DQ,DPと7種類の遺伝子座がありその各々が6~70余のタイプに分かれている。
http://jshi.umin.ac.jp/what_hla/what_hla2.html

<余談-2>
 日本には『医心方』というセックスの解説書がある。この本は日本に平安時代から伝わる30巻の貴重な医学専門書で、その「二十八 房中編」に房中術(性技)に関する記述がある。
 中国には仙道房中術に関する本がたくさん伝わっている。インドにはセックスに関するヨーガが伝わっている。セックスは人間の身体的健康と精神的健康に深い関わりがあるので、歴史の古い国には古来から伝わる研究書が存在する。
 これらに共通するのは呼吸であり、ゆっくりそして長い呼吸が大事、それが喜びをかぎりなく深めるコツだ。息をゆっくり吐きながら肛門を締めることも時々併用すればいい。単純なことの繰り返しほど効果が大きいのは何か習い事をしていた人にはよくわかる理屈だろう。
 アダルトビデオは荒い呼吸のものがほとんどで、インドや中国や日本に古来から伝わる技法とは正反対の呼吸であり、ほとんどナンセンス。あんなものしか知らぬ若い人が可愛そうだ。ついにその奥底を知らずに人生を終わるのだろう。
 全力で走ったら、普通の人間は100mぐらいが限度で、200mを全力疾走したらほとんど生きも絶え絶えになる。ところが歩くのなら、10kmでも20kmでも30kmでも歩ける、1時間でも2時間でも3時間でも5時間でも一緒に歩くことができるようになるのである。
 もちろん、呼吸法のトレーニングの他に実地でトレーニングをする必要はある。職人仕事や武道や芸事と同じで奥深いところまで行くには努力や修業が必要なのだ。
 先を急いではいけない、景色を楽しみながら数時間ゆっくり歩いたらいい、そこには別の世界が広がっている。

*医心方
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E5%BF%83%E6%96%B9


父から若き息子へ贈る「実りある人生の鍵」45章 (知的生きかた文庫)

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  • 作者: フィリップ・チェスターフィールド
  • 出版社/メーカー: 三笠書房
  • 発売日: 2011/03/22
  • メディア: 文庫

忘れられた日本人 (岩波文庫)

忘れられた日本人 (岩波文庫)

  • 作者: 宮本 常一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/05/16
  • メディア: 文庫

日本の風俗の謎 (だいわ文庫)

日本の風俗の謎 (だいわ文庫)

  • 作者: 樋口 清之
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2011/12/10
  • メディア: 文庫
水と日本人―日本人はなぜ水に流したがるのか

水と日本人―日本人はなぜ水に流したがるのか

  • 作者: 樋口 清之
  • 出版社/メーカー: ガイア
  • 発売日: 1990/12
  • メディア: ハードカバー
はだかの日本史 (1976年)

はだかの日本史 (1976年)

  • 作者: 樋口 清之
  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 1976
  • メディア: -
江戸性風俗夜話 (河出文庫―巷談・江戸から東京へ)

江戸性風俗夜話 (河出文庫―巷談・江戸から東京へ)

  • 作者: 樋口 清之
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1988/12
  • メディア: 文庫
日本の風俗―起源がよくわかる本

日本の風俗―起源がよくわかる本

  • 作者: 樋口 清之
  • 出版社/メーカー: 大和書房
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 単行本


*#1636 オワラ風の盆とさんま祭りの思い出 Sep. 2, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-09-02

風の盆恋歌 (新潮文庫)

風の盆恋歌 (新潮文庫)

  • 作者: 高橋 治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1987/08/28
  • メディア: 文庫


盆踊り 乱交の民俗学

盆踊り 乱交の民俗学

  • 作者: 下川 耿史
  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 2011/08/19
  • メディア: 単行本

風の陣 [立志篇](PHP文庫)

風の陣 [立志篇](PHP文庫)

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2001/07/16
  • メディア: 文庫
風の陣[大望篇] ((PHP文芸文庫))

風の陣[大望篇] ((PHP文芸文庫))

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2004/12/02
  • メディア: 文庫
風の陣 天命篇 (PHP文芸文庫)

風の陣 天命篇 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2007/07/03
  • メディア: 文庫
風の陣【風雲篇】 (PHP文芸文庫)

風の陣【風雲篇】 (PHP文芸文庫)

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2010/10/13
  • メディア: 文庫
風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫)

風の陣[裂心篇] (PHP文芸文庫)

  • 作者: 高橋 克彦
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2012/09/18
  • メディア: 文庫

#2776 経済記事の解説:#2774 (6)の文への質問アリ Aug. 15, 2014 [75.時事英語公開講座]


  「#2774 'Bad inflation' shadows Japan (悪性インフレの陰りあり)」の6段落目の文で生徒から質問があったので経済用語の解説をしておく。 

(6) In the meantime, the diffusion index of coincident economic indicators — a key gauge of current economic activity — said the economy is sliding at its quickest pace since March 2011, when the natural and nuclear disasters ravaged Tohoku, the Cabinet Office said Friday.

diffusion index: 景気動向指数

 'diffusion index'は『ジーニアス』には載っていたが、『E-Gate』)には載っていなかった。専門用語で持っている辞書に出ていなければネットで金融辞典やビジネス辞典を引けばいい。語彙数の多いネット辞書『英字郎』にはたいがい載っている。
 'diffusion'は物理学の専門用語で、'放射'や'拡散'と訳されている。原材料&設備⇒生産⇒在庫⇒流通⇒在庫⇒消費と物が生産されると一連の拡散の流れが生ずる。これらの一連の流れを代表するインデックスが'diffusion index'なのだろう。GDP、や在庫、有効求人倍率、失業率、サラリーマンの所得、消費、物価等々。
-----------------------------------------------
 diffuse:1. to spread in many directions
    Television is a powerful means of diffusing knowledge.
-----------------------------------------------

 'conincident economic indicator'は「一致経済指標」と訳してみてもなんのことかさっぱりイメージがわかないのではないだろうか。そう考えたからこそこの記事の筆者は-xxx-をつけて「経済活動の現況をあらわす主要指標」と補足説明をしている。
----------------------------------------------
coincident indicator: business dictionaryより引用
http://www.businessdictionary.com/definition/coincident-indicators.html

Economic and financial market indicators which tend to move in step with
(1) general economic trends such as gross domestic product (GDP), employment levels, retail sales, and/or
(2) financial market trends such as interest rates and stockmarket prices.
Also called concurrent indicators. See also lagging indicators and leading indicators.

----------------------------------------------

 'coincident economic indicator'とはGDPや有効求人倍率、小売など連動して動く一群の経済指標のことである。それらをまとめて「景気動向指数」という。
 金融市場動向を現す連動指標として利率や株価が挙げられている。

「内閣府は金曜日に次のようにコメントしている。この数ヶ月間に、景気動向指数-現在の経済活動を測る主要尺度(指標)-によれば、2011年に東北大震災と原発事故災害が起きてから経済は最速のペースで下落しつつある。」


<余談>
 ebisuの研究テーマは、学としての経済学体系がいかなるものであるかを明らかにすることだった。もうすこし敷衍すると、経済学の諸概念の相互の関係と体系構成に関する研究で、古典派経済学(スミスとリカード)とマルクス経済学が対象だった。
 そういうバックグラウンドだから近代経済学の用語には不案内なところがあり、前後を読んでも具体的なイメージがわかない場合には、その都度経済学辞典やビジネス辞典を引いて確認する。
 近代経済学の専門書をはじめて読んだのは高校2年生の夏頃のことで、中央経済社から出た『公認会計士二次試験講座』の『経済学』の巻だった。読んだのも家業のビリヤード店を毎日手伝っていたからお小遣いに不自由がなく好きな本を買えた、ありがたいことだった。根室高校の図書室にあった『資本論』も読んでみた。森に迷い込んだみたいな感覚があり、何がどうなっているのかさっぱりわからなかった。100ページほど読んでやめてしまった。近代経済学の方がよほどわかりやすかったのである。ひまつぶしに岩波新書で『ケインズ』も読んだような気がするが予備校時代だろう。岩波書店の『哲学講座』もその当時購入した。ケインズの『雇用・利子および・・・』は大学1年次だった。サムエルソンの『経済学』上下巻はぱらぱらとめくっただけ、そのころ(大学2年次)は会計学科にいながらマルクス『資本論』に2度目のトライをしていた。あとは哲学者の市倉宏祐先生の「一般教養ゼミ」で『資本論』と出版されたばかりの『経済学批判要綱』を体系構成の方法に焦点をあてながら読んだ。
 大学院時代に『資本論』とユークリッド『原論』に同型性を見出して、同じ方法で体系構成(演繹的体系)がなされていることを知ってからは、マルクス『資本論』を超えることに興味が移ってしまった。院政時代はマルクスを超える端緒すら見えなかった。だから、業種を変えて転職して日本的な労働とはなんなのか、違和感の正体がなんなのかを考え続けた。
 ようやく「職人仕事」をキー概念に職人主義経済学にようやくたどり着き、古典派経済学の根本概念である労働価値説の否定に至り、新しい経済学が見えてきた。職人仕事経済学は21世紀の世界を救う経済学である。カテゴリー『経済学ノート』に書き溜めている。
 マルクス『資本論』とユークリッド『原論』の体系的同型性に言及したマルクス経済学者はいまだ一人もいない。なぜこんな簡単なことにいまだに誰も気がつかないのか不思議である。マルクス経済学の端緒であり根本概念である抽象的人間労働が崩れたら、マルクス経済学は根っこから倒れてしまう。現実の労働では労働の質が同じなんてことは絶対にありえない。半人前の職人の仕事と名人の仕事は同じ一時間なら等価だなんてバカげた話しを根幹に置いてしまったのがマルクスの『資本論』である。

 経済学といってもそのテリトリーは広い。あやふやな用語、わからない語彙が出てきたら、素直に金融辞典や経済学辞典を引くべきだ。丁寧に語彙の意味を検討するのは学問の第一歩である。


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 ロシア語同時通訳者の米原万里が痛快な読書論と通訳論を披露してくれている。英語が好きな高校生や大学生が読む価値はある。
*#2067 同時通訳 『米原万里の愛の法則』を読む Aug. 26, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-27


*#2774 'Bad inflation' shadows Japan (悪性インフレの陰りあり) Aug. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-12

*#2770 「経済成長の天井」:日本総研山田久調査部長の論  Aug. 11, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-11

 #2766 疑問符がついた景気回復の先行き Aug. 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-09

 #2759 有効求人倍率1.1倍、19ヶ月連続上昇 Aug. 5, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05

 #2753 上海福喜食品対米国産牛肉:どっちもどっち? july 30, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-30

 #2742 藤原直哉(前編):物価と景気動向⇒二番底が来る July 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-20-1

 #2731 10年間で33%農業人口が減少している日本の農業 July 11, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-11

 #2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

 #2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

*#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-31

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

  #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 
#2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2



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ケインズ―“新しい経済学”の誕生 (岩波新書)

ケインズ―“新しい経済学”の誕生 (岩波新書)

  • 作者: 伊東 光晴
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1962/04/20
  • メディア: 新書


#2774 'Bad inflation' shadows Japan (悪性インフレの陰りあり) Aug. 13, 2014 [75.時事英語公開講座]

 6月8日付けのジャパンタイムズ1面トップの記事に生徒がチャレンジしていた。英語が苦手なのだが、やらないことには大学に合格できないから、三年生の夏になりようやく覚悟を決めたようだ。経済学部あるいは経営学部を受験する生徒だから、この記事は彼には最適なテクストといえる。良質のテクストを使用し3ヶ月がんばれば、英語の読解力は飛躍的に上がる。

 各生徒には毎月JT紙の記事を10枚ほど渡して、自分の志望学部を考慮して好きな記事を選ばせることにしている。
 経済記事を読むには中学公民の経済知識は最低限必要だ、できれば高校政治経済の知識もしっかり押さえておいてもらいたい。そういう意味で経済学のバックグラウンドがない英語の先生が授業でとりあげるには少し厳しいテクストといえる。大学3年次の専門課程レベルだから、センター試験の問題文よりはかなり難易度が高い。大学院入試の英語試験問題はこの程度の記事が読めればどこでもOKだ。もちろん専門書を数冊読む必要はあるよ。

 英語が苦手な高校生のために最初の三段落だけ解説しておく。あとは自力で読んでもらいたい。もちろん塾生から構文解析の要求があれば、どの文でも理解できるようなレベルまでブレイクダウンして解説している。
  解説の方の英文の段落番号はebisuが符番した。

http://www.japantimes.co.jp/news/2014/06/07/business/economy-business/bad-inflation-shadows-japan/
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‘Bad inflation’ shadows Japan

by Tomoyuki Tachikawa

Kyodo

Two months after Japan’s first consumption tax hike in 17 years, some data indicate the economy is stalling as prices climb and a weaker yen makes imports more expensive.

The yen’s depreciation from the Bank of Japan’s aggressive monetary easing will continue to drive up the cost of imports — especially energy and food — at a time when wages overall are falling. This means the BOJ’s inflation target is likely to trigger “bad inflation” — a toxic combination of declining demand and rising prices, analysts warn.

Prime Minister Shinzo Abe’s attempt to revive Japan’s deflation-mired economy may end in failure if the inflation the BOJ is stoking isn’t accompanied by improvement in corporate earnings and wages. If wages don’t keep up, both companies and consumers will be reluctant to spend, dampening domestic demand further, they warn.

At a May 21 news conference, BOJ Gov. Haruhiko Kuroda said that since the consumption tax rose to 8 percent from 5 percent on April 1, the economic downturn has been “within expectations” and consumption “remains on a firm footing.”

Data for April released late last month by the Ministry of Economy, Trade and Industry said that retail sales dipped 4.4 percent from a year earlier and that industrial production fell a seasonally adjusted 2.5 percent from March.

In the meantime, the diffusion index of coincident economic indicators — a key gauge of current economic activity — said the economy is sliding at its quickest pace since March 2011, when the natural and nuclear disasters ravaged Tohoku, the Cabinet Office said Friday.

Kuroda is hoping that the wage hikes demanded by Prime Minister Shinzo Abe will help offset the tax hike, but the average monthly income at salaried households in April sank 7.1 percent from a year ago in real terms, the Internal Affairs and Communications Ministry reported on May 30.

“Wages are unlikely to grow at a pace that can prop up consumer spending after the tax hike,” said Takeshi Minami, chief economist at Norinchukin Research Institute. “If income growth is tepid, retail sales will become sluggish and corporate profits will decrease, which could prompt companies to cut wages,” he said, adding, “Under this scenario, it is inevitable that the economy will languish.”

Inflationary pressures are expected to persist regardless of the state of the economy, given the effect that the BOJ’s unorthodox measures are having on the yen.

In addition to the BOJ’s quantitative easing, the U.S. Federal Reserve’s tapering of its own impressive monetary stimulus, combined with Japanese life insurers shifting to foreign bonds for higher returns, will push the yen down further, dealers say.

“As the interest rate gap between Japan and the United States is set to widen, many investors appear eager to sell the yen,” said a trader in Tokyo.

According to the Finance Ministry, the yen sank by about 20.8 percent year on year against the dollar in fiscal 2013, leaving the exchange rate at about ¥100.16 on average. As of Friday, the dollar was trading above ¥102.

With the yen falling, the core consumer price index, which excludes prices of food but not energy, surged 3.2 percent in April from a year ago — the fastest since February 1991 and up for the 11th month in a row, the internal affairs ministry said May 30.

As the BOJ estimates the tax hike will account for 1.7 points of overall inflation for April, the rise in the CPI will be 1.5 points, higher than the market expects. This excludes the effects of the tax hike.

Masanobu Ishikawa, general manager of spot foreign exchange at Tokyo Forex & Ueda Harlow, said that if the dollar tops ¥110, concerns may grow that higher import prices will trigger high cost-push inflation — a negative factor for growth. “Although many Japanese still believe that the weaker yen will shore up exports and support the economy, it may no longer benefit Japan’s economy,” Ishikawa said.

Masashi Shimominami, credit strategist at Mizuho Securities Co., said the BOJ is apparently aiming to achieve its 2 percent inflation target by spring 2015 without taking into consideration what will happen to the economy. “Bad inflation is one of the major downside risks to the economy,” Shimominami warned.

Even within the BOJ, policymakers have started to argue that the central bank must avoid any misunderstanding in financial markets about its 2 percent inflation goal and underscore that it is not pursuing higher prices without economic improvement.

Masashi Shimominami, credit strategist at Mizuho Securities Co., said the BOJ is apparently aiming to achieve its 2 percent inflation target by spring 2015 without taking into consideration what will happen to the economy. “Bad inflation is one of the major downside risks to the economy,” Shimominami warned.

Even within the BOJ, policymakers have started to argue that the central bank must avoid any misunderstanding in financial markets about its 2 percent inflation goal and underscore that it is not pursuing higher prices without economic improvement.

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<解説編> ・・・三段落のみ
  英字新聞のほうには記事全体の理解を助けるために、三つの要点が箇条書きになって冒頭に並んでいる。これが「具体的なレベルでイメージを受け取れる=きちんと読める」人は、解説を見る必要がない。長文読解力に限っていえば偏差値は70を超えている。もちろんセンター試験長文だけ読めて他の問題ができないわけがないから、全国模試では偏差値68を超えるだろう。

■ Data indicate growth stalling
■ Wages fell 7.1% in April as prices rose
■ Price target may set off vicious circle

stall:行き詰る、失速する
prices:物価
price target:2%の物価引き上げ目標
vicious circle:悪循環
set off: 引き起こす、誘発する
「経済統計データによれば経済成長は行き詰まりを見せている」
「(実質)給与は物価が上昇したので、4月前年対比で7.1%ダウン」⇒(7)の該当箇所ににアンダーラインを引いてある。
「プライスターゲットは悪循環を引き起こしかねない」

 ネット最大の辞書『英字郎』にはset offの意味が16項目載っている。こんなものを全部暗記していたら、それだけで高校三年間が終わってしまいかねない。主語と目的語から動詞の意味を類推してみたら見当がつく。長文を読むためには動詞の意味を主語と目的語から類推してみることだ。簡単な例文を挙げよう。

 I have a sister.
  I have a dog.
  I have a dictionary.
  We have lunch at noon.
  Have a nice weekend.
  ・・・
 一つ一つ覚える必要ないでしょう?「手の届く範囲にある」というhaveのコアイメージをつかんでいれば充分です。あとは主語と目的語からhaveの意味は見当がつく。
 英語の単語の意味は前後関係でもわかることが多い。日本語の本をたくさん読んで、文脈をつかまえながら読むトレーニングができている人は、英語の長文読解の上達が速い。英文でも自然に段落ごとの文脈を追っているからだ。こういうタイプの人は知らない単語が出てきてもたじろがずに読み進める。前後関係で単語の意味の見当がついてしまうからだ。ふだんから意識してそういうトレーニングをしてみよう。辞書を引く前に前後関係から単語の意味に当たりをつけてから辞書を引こう。
-----------------------------------------
Hirosukeさんの解説が面白い。
*ナルニアでわかるcommandのほんとうの意味(ブログ「LMN研究所」)
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2008-07-19

*訳語は文脈で変化する
http://tada-de-english.blog.so-net.ne.jp/2008-12-14-1
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 ロシア語同時通訳者の米原万里が痛快な読書論と通訳論を惜しげもなく披露してくれている。少し長いが読む価値はある。
*#2067 同時通訳 『米原万里の愛の法則』を読む Aug. 26, 2012
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-08-27


(1) Two months after Japan’s first consumption tax hike in 17 years, some data indicate the economy is stalling as prices climb and a weaker yen makes imports more expensive.

「17年ぶりの消費税引き上げから2ヵ月後、(経済統計)データは日本経済が失速しつつあることを示している。理由は二つ、物価が上昇していることと円安が輸入品価格を押し上げてしまっていること。」

 two months after:「二ヵ月後」とは消費税引き上げがなされた4月1日から二ヵ月後ということ
 in 17 years:「17年ぶりに」という日本語がふさわしい。3%から5%へ消費税引き上げがなされたのが1997年4月1日で橋本内閣のときだから17年前。

 この文の主語はsome dataで動詞はindicate、indicateの目的語が節になっている。asは理由を導く接続詞。

 副詞句+S+V+O(節)+as(理由)

 こういう文は主語と動詞と目的語をとらえてしまおう。
 「いくつかのデータが/示している/日本経済の失速を」
 Two以下は時間を示す副詞句が強調されて前に出てきた。as以下はSVOの補足説明である。
 

(2) The yen’s depreciation from the Bank of Japan’s aggressive monetary easing will continue to drive up the cost of imports — especially energy and food — at a time when wages overall are falling. This means the BOJ’s inflation target is likely to trigger “bad inflation” — a toxic combination of declining demand and rising prices, analysts warn.

「日本銀行の金融緩和策による円下落は、給与が全体として減っているときに輸入品価格-とくにエネルギーと食料品価格-を押し上げ続ける。このことは日本銀行の2%インフレターゲットが悪性インフレの引き金になりかねないことを意味している。(意味がわかるだろうか?日銀は消費税3%分に相当する物価2%アップを予測していたのである。ところが日銀の円安誘導によりコストプッシュインフレが上乗せされてしまい、3.9%アップしてしまった。日銀も政府も見込みが甘かったということだ。)
 悪性インフレとは需要減少と物価高騰の最悪の組み合わせである。コストプッシュ型の悪性インフレ懸念を経済アナリストたちが表明している。」

 中学公民で需給曲線を習ったはずだ。需要が増大して価格が上がれば、供給が増えて景気がよくなる。
S-1: 需要増大⇒設備投資増加⇒一人当たり国民所得増大⇒消費拡大⇒生産拡大⇒好景気

これが、政府がやりたかった"成長路線"である。ところが現実はこうはなっていない。

S-2: 日銀の異次元の金融緩和⇒円安⇒コストプッシュ型インフレ⇒企業利潤減少⇒一人当たり国民所得減少⇒消費減退⇒景気失速⇒不景気

 約束したデマンド・プル(需要増大による)型のインフレとはまったく違ってコスト・プッシュ型インフレになっている。政府の言うことにごまかされてはいけない、経済の仕組みを理解して、客観的なデータを見て判断すべきだ。賢い国民になるためには高校卒業程度のたしかな基礎学力が必要なのである。だが、大学生の半数にすら、その高校生レベルの基礎学力が怪しいから、政府の自己宣伝に容易にごまかされてしまう。
 S-1をよく見てほしい、コストプッシュ・インフレの行き着く先は所得減少と消費減退を伴う不景気である。人口減少が始まっているから一人当たり消費額が同じでも、消費全体は構造的に逓減して行くのである。日本経済は縄文時代以来1.2万年の歴史の中で、少子高齢化と人口減少という初めての局面を迎えているのだ。そうした大きな文脈でものごとを見なくてはいけない。現象にとらわれすぎると大局を見失う。
 今日9時に内閣府から公表される「国民経済計算」統計第一次速報値で4-6月期がどうなっているかはっきりする。9月8日に第二次速報値が公表されることになっている。
 政府は悪化を予測して、GPIF(年金基金)の積立金126兆円から10兆円ほど株式市場につぎ込み、株価を維持しようともくろんでいる。市場に任せていたら、金利は上がり(政府財政は破綻)、国債は暴落する、株価は下がる。政府(財務省)にも日銀にも打つ手がなくなって、ゼロ金利維持や270兆円の日銀国債買い入れなど禁じ手を乱発をしている。放漫な財政運営にブレーキをかける健全な市場機能が麻痺してしまっている。
 日本の金融市場はとっくに政府管理下にあるし、株式相場もそうなりつつある。安倍首相は市場経済を壊してしまっている。こんなことをしていたら、あとでとんでもないツケが回るのは当然で、国際通過である円不信任と政府財政破綻が同時に起きる。ヘッジファンドにとっては円を売り浴びせて巨額の儲けを手にする絶好のチャンスが訪れようとしている。

(3) Prime Minister Shinzo Abe’s attempt to revive Japan’s deflation-mired economy may end in failure if the inflation the BOJ is stoking isn’t accompanied by improvement in corporate earnings and wages. If wages don’t keep up, both companies and consumers will be reluctant to spend, dampening domestic demand further, they warn.

「泥沼のデフレから脱しようという安倍首相の試みは、日銀主導のインフレが企業利潤と給与の拡大を伴わなければ、失敗に終わりそうである。(実質)給与が上がり続けなければ、企業と消費者のどちらもお金を使わない、そして国内需要をさらにそぐことになると経済アナリスト達が警告している。」

 主語は'Prime Minister Shinzo Abe’s attempt 'である。to以下はattemptを修飾するto-不定詞句である。簡単にすると次の文になる。

Prime Minister Shinzo Abe’s attempt may end in failure
「安倍首相の試み(成長路線)は失敗に終わるだろう」

mayは書き手の気分や心的態度を表している。ようするに書き手のキモチである。'end in failure(失敗に終わる)'は受験英語でも覚えておいてよい句だろう。これがわからなかった人は全国模試で英語の偏差値40以下だろう。心して勉強に励んだ方がよい。

 if以下が高校生には少しむずかしいだろうから、解説しておこう。
 if the inflation {(which)the BOJ is stoking} isn’t accompanied by improvement in corporate earnings and wages

 the BOJの前に関係代名詞を補えばよくわかるはずだ。こういう「はめ込み文」の処理を高速で頭の中でできるようにしておこう。シンプルセンテンスに書きなおすと、

① the BOJ is stocking the inflation
②  the inflation accompanied by improvement in corporate earnings and wages

これら二つの文に分解できる。ここまでやれば意味をつかむのは簡単だ。頭の中ではめ込みになっている複文をシンプルセンテンスに書きなおしながら読んでいくと精確に読める。

 ①の文のstockingは日本銀行が異次元の国内大手銀行から国債を買い取り、流通通過量を増やすことで人為的なインフレを起こしていることをいう。辞書にある意味は「蓄積する」だが、「日銀主導のインフレ」ぐらいの訳がふさわしい。

 もうひとつ厄介な箇所があるのでそこも解説しよう。
 both companies and consumers will be reluctant to spend

 reluctantは気乗りがしない、とか躊躇するという意味だが、企業と消費者に分けて考える必要がある。
 企業がreluctantするのは原材料在庫積み増しとか製品在庫の積み増し、そして設備投資を躊躇する。消費者は消費を躊躇するという意味だ。

 もうひとつ修辞上の問題がある。この文である。
 dampening domestic demand further

 これは重文の片割れで、主語が同じだから省略がなされているから補ってみたら意味がよくわかるだろう。
 both companies and consumers will dampen domestic demand further
 「企業と消費者のどちらもが内需をさらにいっそう冷え込ませるだろう」
 この文を句に書きかえると、主語と助動詞willが省略されて動詞が分詞化する。

 シンプルセンテンスに書きなおすと意味がよくわかるから、経済記事を読むには経済学の基礎的な知識と文法知識が不可欠と言っていいだろう。すくなくとも高校政治経済の知識は不可欠である。
 これぐらいの英文が読めたら、大学の専門課程で英語で書かれた専門書を読むのに苦労はいらない。大学院の英語試験問題もパスできる。

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 以下、解説を省略する。

(4) At a May 21 news conference, BOJ Gov. Haruhiko Kuroda said that since the consumption tax rose to 8 percent from 5 percent on April 1, the economic downturn has been “within expectations” and consumption “remains on a firm footing.”

「5月21日の記者会見で黒田日銀総裁は次のように述べている。4月1日に消費税を5%から8%へ引き上げてから経済活動の悪化は"予測の範囲内"であり、加えて"消費は堅調に推移している"。」

gov.: governor
a firm footing:しっかりした足取り、堅調な

 主節の目的語が重文になっていることに注意。

(5) Data for April released late last month by the Ministry of Economy, Trade and Industry said that retail sales dipped 4.4 percent from a year earlier and that industrial production fell a seasonally adjusted 2.5 percent from March.

from a year earlier:1年以前から=前年同期比で
小売は前年同期比で4.4%へこんでいる

dip=fall:どちらも減少している、落ち込んだという意味だが、英作文するときは続けて同じ動詞を使わない。このように違う単語で言い換えることになるから、見慣れない動詞が出てきたら前後の動詞と同じ意味かもしれないと考えてみること。

 a seasonally adjusted 2.5 percent:季節調整後2.5%

(6) In the meantime, the diffusion index of coincident economic indicators — a key gauge of current economic activity — said the economy is sliding at its quickest pace since March 2011, when the natural and nuclear disasters ravaged Tohoku, the Cabinet Office said Friday.

 ここは用語の解説が必要で少し長くなりそうなので、#2776でやっておく。

(7) Kuroda is hoping that the wage hikes demanded by Prime Minister Shinzo Abe will help offset the tax hike, but the average monthly income at salaried households in April sank 7.1 percent from a year ago in real terms, the Internal Affairs and Communications Ministry reported on May 30.

in real terms:実質ベースで

(8) “Wages are unlikely to grow at a pace that can prop up consumer spending after the tax hike,” said Takeshi Minami, chief economist at Norinchukin Research Institute. “If income growth is tepid, retail sales will become sluggish and corporate profits will decrease, which could prompt companies to cut wages,” he said, adding, “Under this scenario, it is inevitable that the economy will languish.”

(9) Inflationary pressures are expected to persist regardless of the state of the economy, given the effect that the BOJ’s unorthodox measures are having on the yen.

(9) In addition to the BOJ’s quantitative easing, the U.S. Federal Reserve’s tapering of its own impressive monetary stimulus, combined with Japanese life insurers shifting to foreign bonds for higher returns, will push the yen down further, dealers say.

(10) “As the interest rate gap between Japan and the United States is set to widen, many investors appear eager to sell the yen,” said a trader in Tokyo.

(11) According to the Finance Ministry, the yen sank by about 20.8 percent year on year against the dollar in fiscal 2013, leaving the exchange rate at about ¥100.16 on average. As of Friday, the dollar was trading above ¥102.

(12) With the yen falling, the core consumer price index, which excludes prices of food but not energy, surged 3.2 percent in April from a year ago — the fastest since February 1991 and up for the 11th month in a row, the internal affairs ministry said May 30.

(13) As the BOJ estimates the tax hike will account for 1.7 points of overall inflation for April, the rise in the CPI will be 1.5 points, higher than the market expects. This excludes the effects of the tax hike.

(14) Masanobu Ishikawa, general manager of spot foreign exchange at Tokyo Forex & Ueda Harlow, said that if the dollar tops ¥110, concerns may grow that higher import prices will trigger high cost-push inflation — a negative factor for growth. “Although many Japanese still believe that the weaker yen will shore up exports and support the economy, it may no longer benefit Japan’s economy,” Ishikawa said.

(15) Masashi Shimominami, credit strategist at Mizuho Securities Co., said the BOJ is apparently aiming to achieve its 2 percent inflation target by spring 2015 without taking into consideration what will happen to the economy. “Bad inflation is one of the major downside risks to the economy,” Shimominami warned.

(16) Even within the BOJ, policymakers have started to argue that the central bank must avoid any misunderstanding in financial markets about its 2 percent inflation goal and underscore that it is not pursuing higher prices without economic improvement.

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*#2770 「経済成長の天井」:日本総研山田久調査部長の論  Aug. 11, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-11

 #2766 疑問符がついた景気回復の先行き Aug. 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-09

 #2759 有効求人倍率1.1倍、19ヶ月連続上昇 Aug. 5, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-08-05

 #2753 上海福喜食品対米国産牛肉:どっちもどっち? july 30, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-30

 #2742 藤原直哉(前編):物価と景気動向⇒二番底が来る July 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-20-1

 #2731 10年間で33%農業人口が減少している日本の農業 July 11, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-11

 #2729 年金基金の運用資産が130兆円から210兆円に増える:危うい株式投資 July 9, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-08

 #2715 GPIFの株購入と銀行保有リスク資産に関わるBIS規制変更 June 25, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-25

 #2702 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"③:公務員は別扱い June 10, 2014   
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-10

 #2701 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"② June 9, 2014  
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-08

 #2699 残業代をゼロにする"ホワイトカラーエグゼンプション"① June 6, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-06-06

*#2693 鎖国をして国内雇用を確保しよう May 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-31

 #2669  成長戦略:規制緩和を考える May 7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-05

 #2660 庶民の物価感覚 : 消費は落ち込む Apr. 27, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-27

  #2643 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(3) Apr. 13, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 
#2634 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(2) Apr.7, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-04-06

 #2631 職人仕事を中心に据えた経済学の創造(1) Mar. 31, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-30-1

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

 #2627 消費税引き上げ+物価上昇>所得増加:三番目の矢はない  Mar. 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-03-21-2

 #2565 人口減少社会を問ふ(2) Jan. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-17

 #2564 人口減少社会を問ふ(1) Jan. 16, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-16

 #2561 物価上昇なんて経済政策はありえない話だ:経済アナリスト藤原直哉 Jan. 10, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-10

 #2554 「日本の経常収支と円を考える」 東洋大教授・中北徹の論 Jan. 3, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-01-03

 #2549 アベノミクス批判 (2):内橋克人 Dec.31, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-31

 #2543 インフレと自己責任:リスク増大へ対処の方法はあるか? Dec. 27, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-27

 #2540 アベノミクス批判(1):『世界8月号』伊藤光晴論文 Dec. 23, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-23

*#2523 アベノミクスの行く末: 日本総研調査部長の論点 Dec. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-12-09

 #2502 アベノミクスと企業経営 Nov. 18, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-17-3

 #2430 手詰まりの安倍首相 ついに消費税引き上げ決意表明 Oct. 2, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-10-02

  #2401 消費税値上げ延期なら国債価格は下落 Failure to raise sales tax 'could hurt bond prices' Sep. 9, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09

  #2388 アベノミクス:雇用規制改革の正体 Aug. 30, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-30

  #2385 TPPは再び植民地化を招く:マハティール元首相 Aug. 28, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-28

  #2376 貿易赤字13ヶ月連続 7月最大の1兆240億円 Aug. 20, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-20

  #2329 アベノミクス:ナカミがないのに財政健全化を約束 Jun. 12, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-13

  #2321 株価暴落はどこまで続くのか?:とりあえずの目安は11,250円 Jun. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-04-1

  #2311 どうにも解せぬこと ミャンマーへ債務免除 : プライマリーバランスの回復はするつもりがない? May 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-26-1

  #2309 Nikkei dives 7%, ends below 14,500 : May 25, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-25

  #2298 アベノミクスの罪:日経平均15,096.03円 May 16, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-05-16

  #2270 人口減少の衝撃: 2040年の日本の人口は1億727万人:"Japan's depopulation time bomb" : Apr. 21, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-22

  #2256 マネタリーベース270兆円へ拡大:亡国の決断 Apr. 6, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-04-06

  #2245  円安はそんなにいいことか? Mar. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-17

  #2185 各論(3):'Abenomics' Jan. 24, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-24

 #2170 各論(2):貿易収支赤字転落⇒? Jan. 3, 2013 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-04

  #2169 各論(1):国債暴落の可能性とその影響 Jan.2, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-01-02

 2168 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割(2):蔵相高橋是清暗殺 Dec. 31, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-31-1

 #2164 歴史認識を欠いた安倍新政権の歴史的役割は何? 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-28

 #2158 自民党圧勝294されど第2の危機民主党惨敗  Dec.17, 2012 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-12-18

 #2144 成長路線と金融緩和の罠 : 衆院選挙でナイトメアがはじまる 
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-11-30

 #1828 ゼロ金利の罠: Fed targets and transparency Feb. 3, 2012
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2012-02-03

 #829 国家財政破綻の瀬戸際  Dec.12, 2009
 http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2009-12-12

 #346 これから10年間の日本経済のシナリオ
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2008-10-10 

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#2752 Plug leaks in privacy protection law July 29, 2014 [75.時事英語公開講座]

  7/26付けジャパンタイムズ社説にベネッセの顧客情報流出事件が俎上に載せられている。事件の事実関係に言及したあとで、privasy protection law(個人情報保護法)が個人情報を扱う当事者(parties)が第三者へ(顧客情報なら一人一人の顧客の)同意無しに情報提供することを禁じてはいるが、法律に抜け穴があって、ネームリスト業者の間で個人情報が売買されている。個人情報保護法がザル法になっているわけだが、こうした個人情報漏洩を防ぐことができるような措置がとられるべきだというのが社説の主張である。
 個人情報保護に興味のある高校生や大学生に#2745とあわせて読むことを薦めます。

http://www.japantimes.co.jp/opinion/2014/07/25/editorials/plug-leaks-in-privacy-protection-law/
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Plug leaks in privacy protection law

The massive customer data theft from education service provider Benesse Corp. has highlighted the danger of such data — which included the names, dates of birth, gender and parents’ address and telephone numbers of millions of children in this case — spreading quickly and limitlessly among businesses that pay to obtain the information they need for targeted marketing. Along with the efforts by companies to prevent leaks of their customer data, measures need to be taken to close the loopholes that allow private information to easily proliferate.

A 39-year-old systems engineer was arrested July 17 for allegedly stealing data from customers of Benesse’s services, including a correspondence education courses for children, while he was working as a temporary staffer at a database management contractor for a Benesse affiliate. Given access to the company’s database, he is suspected of downloading and copying onto his smartphone data on more than 20 million customers over nearly a year until June. He has reportedly told police that he sold some of the data to a Tokyo-based firm that deals in name lists for ¥2.5 million.

According to some media reports, the name list trader sold the data to 50 companies, including cram schools, kimono stores and cosmetics companies.

Although the vender has denied selling the data to fellow name list traders, investigators suspect that at least 10 name list brokers got hold of the data. A dealer that sold the data to software developer Justsystems Corp., which has admitted using the information to send mail ads to parents of the children on the list promoting its own education service, reportedly bought the data from a fellow broker, who in turn had purchased the list from yet another trader.

Benesse, which is paying dearly for the data leak both in terms of lost customer trust and the ¥20 billion it set aside to compensate customers for invasion of their privacy, is said to have restricted access to its computer terminal linked to the database. The terminal was installed in a room that is off-limits except to a limited number of staffers and was set up so they couldn’t download data on UBS memory devices. The suspect allegedly found “by chance” that he could download the data to his own smartphone.

Benesse needs to find out why it failed for nearly a year to detect that customer data had been repeatedly downloaded and copied. It was reportedly alerted to the data theft only when its customers complained that they were receiving mail from Justsystems bearing personal information that they had registered only with Benesse.

A number of other companies have been hit by customer data theft — including by their own employees. What’s of utmost concern about the largest customer data theft to date is that once the data gets stolen, no mechanism appears to be in place to legally stop the personal information from being spread and reused by others.

The suspect reportedly signed a pledge when he sold the data to the Tokyo-based name list trader that it was not stolen. The trader has told investigators he didn’t realize the data had been illegally obtained. Other venders that resold the data similarly claim they had no idea it had been stolen. Justsystems denies being aware that the data it bought originated at Benesse. Unless they traded or used the data knowing that it had been improperly obtained, they are not punishable by law and are not legally obligated to delete the data.

Since the privacy protection law was fully implemented in 2005, companies and public organs have tightened control of the personal information they handle, and the supply of name lists for certain groups of people — such as students and graduates of schools — that used to be traded widely for use in direct marketing are said to be in decline. But such lists, when circulated, are said to be highly prized by businesses.

Personal data on children is reportedly in high demand, because it can be used in the marketing of products and services for a long time — in each stage of a child’s life. Since the privacy law made it difficult for businesses to access resident registry information for commercial purposes, it would seem strange to assume that children’s personal data in such large numbers as in the Benesse case would be made available through entirely legitimate means.

The privacy protection law prohibits parties that handle people’s personal information from providing the data to third parties without obtaining the consent of people, but there are some exceptions to the rule.

Meanwhile, businesses such as name list traders are allowed to sell such data as long as they make it clear that they trade in such information. The law does not provide an effective way to block the circulation of personal data once it has been leaked. Privacy information like that leaked and traded in the Benesse case might even be used for criminal purposes such as fraud. Measures need to be taken to close the loopholes in a system that’s meant to protect people’s privacy.

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< 見出しの和訳にチャレンジ! >
 見出しがわかりにくいのですこしあやしげな解説をしておく。

   Plug leaks in privasy protection law.

 plugがUSBプラグだと気がついた人はかなり読めるよ。plugの項に「USBプラグ」が載っている辞書はないだろう。英語がわかっているだけでは新聞英語も読めない。書いてあることに関して周辺知識がなければ読めない文がでてくるのは当然のこと。書き手は書いてある事がらについて読者にある程度の知識があることを前提にしている。パソコンを使っていればUSBプラグを知らない人はすくない。だから、USBプラグと書かずにplugと短縮して使っている。
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<余談>
 英字新聞記事は記事がとりあげている分野の基礎的知識を前提に書かれているから、経済記事は経済の基礎的専門知識(=経済の専門用語は知っている)が前提になるし、医学関係の記事ならその分野の基礎的医学知識(=医学専門用語を知っている)、会計基準に関する記事なら会計学の基礎的知識(=会計学の専門用語を知っている)ことを前提に書かれている。英文科を卒業しただけでは、片っ端からいろんな分野の本を読み漁って専門知識を蓄積しないと英字新聞の内容を理解することすらできない。日本語の新聞は小学生でも読んで理解できるけど、英字新聞記事はネイティブでも中学生には無理、書かれている分野の専門用語を知らないし専門知識もないから。
 思春期に濫読期を通過しておくべきなんだ。いろんな分野の本を爆発的に読めるのは中高生のとき、せいぜい大学生までだ。
(ebisuの場合は小4のときに北海道新聞の社説と卓上四季、ついで一面の記事を読み始めたときに濫読期を迎える準備ができた。外国文学作品とSF小説の濫読が小6から始まった(もちろん漫画の本もたくさん読んでいた、中1のときに週刊誌の『少年サンデー』と『少年マガジン』が創刊されたので両方読んでいた)。高校生になったら背伸びして会計学や原価計算そして経済学や哲学の専門書を読み漁った。大学2年のころには濫読期は通り過ぎていた。経済学の体系構成に焦点が合いだしたから、その方面の専門書を読みふけり、考え続ける期間へと自然に季節が移り変わってしまった。原典を読まなければ疑問が解消しなかった。量を読んでいるうちにいつの間にか質が変化を遂げている。)

思春期:児童期から青年期への移行期。もしくは青年期の前半。第二次性徴が現れ、異性への関心が高まる年頃。11、2歳から16、7歳頃をいう。・・・『大辞林』より
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 事件の技術的な側面は概略次のようなものだった。
 派遣技術者として働いていたSEが、スマホをパソコンのUSBプラグへ接続して顧客データベース(約2000万人の顧客情報)をいとも簡単に(スマホのメモリーへ)コピーして持ち出している。自分のIDを使ってデータベースをダウンロードしているから、logが残っているので見つかって当たり前。犯罪としては実に幼稚に見える。何度もやっているのに見過ごしているベネッセのシステム部隊もアホと言われて仕方がないだろう。

 問題なのが個人情報保護法がザル法であること。盗まれた個人情報が名簿ブローカの間で売買が可能になっている。どういうことかというと、買い取った方が違法に持ち出されたものだとは知らなかったと白(シラ)を切れば、善意の第三者となり罪には問われないのである。
 民法は盗品を盗品だと知らずに購入した者(善意の第三者)を保護している。盗品と知っていながら購入したと証明しなければ罪を問えない。だからザル法なのだ。

 さて、結論である。見出しの主語のプラグはパソコンのUSBプラグのことだから、情報を補ったほうがよさそうだ。

 「USBプラグから個人情報保護法の穴を伝って顧客情報が漏洩」

 訳に異論があるとか、こんな長ったらしい下手な日本語ではなくて単刀直入な和訳を思いついたらコメント欄へぜひ書きこんでもらいたい。
 永井荷風の『断腸亭日乗』ような切れる日本語を書いてみたい、下手な和訳を読み直して、あ~あとため息が出るebisu。


*#2745 ベネッセの顧客データ流出事件を考える July 22, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-07-22-1


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<無生物主語の場合の和訳>・・・7/29午前中追記
 英語があんまり得意でない高校生のためにちょっと解説をしておきます。
 ネット辞書「英治郎」に載っていた例文です。
http://eow.alc.co.jp/search?q=leak&ref=sa
-------------------------------------
1.漏れる、漏れやすい
・The roof leaks in several places. : 屋根があちこち雨漏りする。
-------------------------------------

    S+leaks+in+原因

 「屋根が漏れる、いくつかの場所で」
⇒「屋根が漏れる、その原因は屋根に何箇所か穴があいているから」
⇒「屋根があちこち雨漏りする」
⇒「(穴があいているので)屋根から雨が漏れる」

 Plug leaks in privasy protection law.

 「プラグが漏れる、個人情報保護法が原因で」
⇒「個人情報保護法がザル法なので、USBプラグから流出した情報が名簿ブローカに転売されてしまい、実質的に個人情報が保護できない」
⇒「個人情報保護法ではUSBプラグから漏洩を防止できぬ」
 無生物主語を主語に訳してこなれた日本語にならないときは、副詞句に訳してみる。25文字か、さっきとほとんど同じだ。


#2739 アフリカマイマイの恐怖:'Giant, invasive African snails seized at L.A. airport' July 19, 2014 [75.時事英語公開講座]

  面白い記事なので興味のある高校生は読んでみたらいい。落語さながら、落ちまでついている洒落た記事だ。残念ながらコピペできないので、URLを示すのでクリックして閲覧してもらいたい。

http://www.japantimes.co.jp/news/2014/07/15/world/crime-legal-world/invasive-giant-african-snails-seized-at-l-a-airport/

 ロスアンジェルス空港税関が67個のアフリカマイマイ(カタツムリ)を押収した。大きなものは900g、殻のサイズは15cmもある。'for human consumption'とあるので食用に輸入されたものらしい。西アフリカのナイジェリアから送られた物だ。
 貪欲な食欲で農作物を食べるから、農業にとって脅威となる。’侵略的外来生物’として怖れれれている。お腹がすくとコンクリートや石も食べる。殻を成長させるために必要らしい。ときに共食いもする。身体が大きいので食べる餌の量も多い。
 'They also can carry several parasites harmful to humans, including one that can cause meningitis.'

  寄生生物とあるので虫かウィルスかと調べてみたら、広東住血線虫で脳髄膜炎を起こすらしい。メニンジャイテスなんて聞いたことのない単語が出てきている。医学専門用語だ。
 meningというのが髄膜をあらわすラテン語の接頭辞だ。日本語で脳髄膜炎と書くと高校生でもどういう種類の病気か検討がつくが、米国の高校生にmeningitesが何の病気か理解できるものはほとんど居ないだろう。
 日本語は医学専門用語も基本漢字て適確に意味を表すようにできているからたいへん便利なのである。そういうわけで高校生にも医学関連記事が読める。
 これは太安万侶と稗田阿礼が『古事記』を作ってくれたおかげだそうだ(明治天皇の玄孫、竹田氏の説)。庶民がいろんな分野の専門用語を理解できるのは日本語の最大のメリットだろう。だから日本人はいろんな分野の本を読める。江戸時代は出版文化花盛りだったのは庶民が本を読めたからで、僧侶や貴族しか本が読めなかったヨーロッパと事情が大きく異なる。宣教師が驚いたのも無理はない。

 ずいぶん脱線してしまった、最後の落ちのところを書いておかねばならぬ。

 The entire collection cofiscated at the airport was eventually turned over to the USDA, which disposed of the snails through incination, although no garlic or butter was used, Harty said.

confiscated:差し押さえられた
USDA:農務省
incination: 焼却


 押収された巨大カタツムリ67個は農務省へ、そこで焼いたがガーリックとバターは使っていない。

 ああ、なんともったいないことを・・・


*****************************
 いろいろやってみたら、コピーできました。
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LOS ANGELES – U.S. customs inspectors at Los Angeles International Airport seized a shipment of several dozen live giant African snails, considered a delicacy in Nigeria but also voracious pests that can eat paint and stucco off houses, officials said on Monday.

Weighing nearly 2 pounds (0.9 kg) each, including their shells, and measuring about 6 inches (15 cm) in length, the 67 snails arrived from Lagos, Nigeria, in two plastic baskets with paperwork describing them as being for human consumption, the U.S. Customs and Border Protection agency said.

The mollusks appeared to be packaged as a personal shipment and were marked as destined for an address in San Dimas, California, about 30 miles (48 km) east of Los Angeles, agency spokeswoman Lee Harty said.

No attempt was made to conceal or smuggle the snails, the largest such shipment ever seized at the airport, she said. But the creatures are prohibited from entry because they are deemed a highly invasive pest that pose a serious threat to U.S. agriculture, the environment and public health, the agency said.

According to Customs and Border Protection, the giant snails can consume more than 500 types of plants, and will even munch on the exterior of homes if fruits and vegetables are not available. They also can carry several parasites harmful to humans, including one that can lead to meningitis, Harty said.

After they were intercepted by customs officials at the airport on July 1, specimens were sent to a local U.S. Department of Agriculture lab and then on to USDA mollusk specialists in Washington for further examination.

Experts identified the creatures as belonging to the giant African snail species, known by the scientific name Archachatina marginata. They also are commonly referred to as giant African land snails, West African snails, West African land snails or banana rasp snails.

Each of the mollusks, with striated brownish-orange shells, can easily fill the palm of a person’s hand. They can grow up to 8 inches (20 cm) in length and may live up to 10 years in the wild, experts say.

The entire collection confiscated at the airport was eventually turned over to the USDA, which disposed of the snails through incineration, although no garlic or butter was used, Harty said.
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#2689 福島第一原発事故吉田調書の隠蔽 May 27, 2014 [75.時事英語公開講座]

  政府事故調査委員会が吹き島第一原発772人にメルトダウン当時の状況を詳細にヒアリング調和を実施していたが、政府はそれを隠蔽していた。朝日新聞がすっぱ抜いた。

 5月21日のジャパンタイムズに次のヘッダーは次のようになっている。

 Suga refuses comment on report that 90% of Fukushima workers left after chief's order to stay.
 Tokyo mum on No.1 evacuation.

  「(吉田)所長がとどまるように指示したにも関わらず、福島第一原発の作業員の90%が現場を去ったという吉田調書、その調書へのコメントを菅官房長官は拒否した。東京(電力)は福島第一原発の作業員の90%が仕事を放り投げて避難したことに口をつぐんでいる。」
mum:無言

 これが事実だ、どんなに安全対策を施しても、メルトダウンの恐怖の前には9割の人間が逃げる。対照的だったのは福島第二原発だ。通常なら1ヵ月かかる電源ケーブル敷設作業を一昼夜でやりぬく、ベントが始まる2時間前に完了した。死の恐怖もさることながら、大量の放射能が地域住民にふりそそぐ危険を何が何でも回避しようという、「特攻精神」で仕事をやりぬいたのだ。賞賛に値する事実もまた隠蔽されていた。
 政府のこの徹底的な情報隠しはいったい何を意味するのか?このような深刻な重大事故の際には政府の情報はまったく信用ならぬものということだ。

(1) The government on Tuesday refused to comment on a media report that Masao Yoshida, the now-deceased chief of the Fukushima No.1 nuclear plant at the time of the meltdowns, was quoted as saying most of the plant's workers evacuated in spite of his order to remain.

「火曜日(5/20)、吉田昌郎―福島第一原発でメルトダウンが起きた当時の所長(故人)―がとどまれと命令したにも関わらずプラント作業員の大部分が逃げたと彼が言ったと伝えられている朝日新聞記事へのコメントを政府は拒否した」
now-deceased chief :個人となられた(吉田)所長


(2) The daily Asahi Shinbun, which claimes to have obtained a copy of an interview with Yoshida carried out by the government panel investigating the Fukushima crisis, started running excerpts of the interview Tuesday. No record of the exchange has been officially disclosed.

「朝日新聞―政府事故調が福島第一原発事故を調査したが、吉田所長のインタビューのコピーを手入手したと主張している―は火曜日インタビューの連載を開始した。吉田所長と政府事故調査委員とのやりとりは公式には公開されていない。」
excerp:抜粋
the exchange: これはinterviewの言い換えである

(3) Yoshida allegedly told the panel that about 90 percent of the plant's 720 workers left the premises during the meltdown crisis despite having been ordered by him to stay.

「伝えられるところによれば、吉田所長はメルトダウン事故の際に、彼が待機するように命令したにも関わらずプラントの720人の作業員の内の90%が施設を去ったと政府事故調に話している。」
premises:施設

(4) On March 15, 2011, with the plant's No.2 reactor out of control, Yoshida and the workers feared its core could melt through the containment vessel, releasing massive amount of radioactive materials into the environment.

「2011年3月15日、2号機が制御不能になると、吉田所長と作業員達は炉心が格納容器をメルトスルーして、大量の放射性物質が環境中に放出されることに恐怖を抱いた。」

  中ほどに小見出しがある。菅官房長官の言だろう。
(5) 'We don't know what the Asahi Shinbun has obtained and we can't say its contents are identical to those the government has.

「朝日新聞が何を入手したのか知らないし、その内容が政府が保管しているものと同一であることをいうこともできない。」

 政府事故調が作業員全員に聴き取り調査をしたのだが、その資料を政府は公開するつもりがない。菅官房長官は今後も公開するつもりがないと言明している。

 これは朝日新聞のスクープだが、特定秘密保護法案が施行されたあとでは、スクープした記者は犯罪者となる
 今回のスクープ記事への政府対応で、特定秘密保護法案は政府に不都合な情報を隠すために使われることがハッキリした。政府は吉田調書すら公開しないと言っている。吉田調書は特定秘密に該当するということだ。特定秘密指定に関する政府の説明を信じてはいけないということ。本来政府はそういうことをするという前提で法律条文を国会は厳しくチェックすべきだ。

 安倍総理はじつに危ないことをやっているように見える原発事故が起き、メルトダウンの危機が迫ったら作業員の90%が逃げ出すということだ、こんな状態で原発再稼動ができるはずがない
 原子力規制委員長の田中氏は吉田調書を読んですらいないし、「物理的時間がない」ので今後も読むつもりがないとテレビで言っていた。そんなことで原子力規制委員長の職務が果たせるとは思えない。責任をもって仕事をやれないなら辞職すべきだ

 自民党員の中にもこんな隠蔽を許してはいけないとおもう正義漢が何人もいるに違いない。いるなら声を上げよ。立派な政治家は自分の損得勘定を離れてを、言うべきときにしっかり物を言う
 いま首相官邸は情報を漏洩した者、そのルートをやっきになって探索しているという。やるべきことが違うだろう?まず第一に考えるべきことは国民の安全確保だ。原発に事故があれば作業員の90%が逃げ出すようでは、再稼動していいはずがない

 この情報隠蔽は原発の重大事故の真相を知る権利を国民から奪うものだ。国家が国民に対して為した犯罪と言ってよい。政府は司法権の及ばぬスーパーパワーとなってしまっている。とんでもないことだ。正義感も倫理観も失った者たちが権力を恣意的に行使している。

 どうしてこんなに不正直・不誠実な者だらけになったのだろう。政治は嘘と情報隠しだらけ。
 特攻を見送った中西瀧治郎、宇垣纏(まとめ)中将二人は実に誠実だった。お前たちだけを逝かせはしないとはっきり言い、その通り自分も死んだ。次の世代のことを考え、嘘偽りのない生き方をした。・・・『日本人はなぜ特攻を選んだか』黄文雄著 徳間書房

*朝日新聞 スクープ記事 吉田調書
http://www.asahi.com/special/yoshida_report/

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 朝日新聞は、東日本大震災発生時の東京電力福島第一原子力発電所所長、吉田昌郎氏が政府事故調の調べに対して答えた「聴取結果書」を入手した。レベル7の大災害を起こした福島第一原発の最高責任者であり、事故収束作業の指揮官であった吉田氏の唯一無二の公式な調書である。吉田氏は事故について報道機関にほとんど語らないまま2013年7月に死去した。調書も非公開とされ、政府内にひっそり埋もれていた。

28時間、400ページ

 吉田調書は全7編で構成されている。総文字数はおよそ50万字。A4判で四百数十ページに上る分量になる。吉田氏への聴き取りは13回中11回が福島第一原発から南へ20km離れたサッカー施設 J-VILLAGE JFAアカデミーのミーティングルームで、残る2回が吉田氏の仕事場である福島第一原発免震重要棟でおこなわれた。

 政府事故調は772人から計1479時間にわたって聴き取りをおこなった。吉田調書はその一環で作成された。対象1人当たりの平均聴取時間は2時間弱。吉田氏への聴取時間は28時間あまりで、あの瞬間、どう行動し、何を考えていたかまで聴き取った。畑村洋太郎・政府事故調委員長は、ほかに吉田氏の公式の調書がないことから「貴重な歴史的資料」と呼んだ。
  ・・・⇒続きはURLをクリックしてお読みください。
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― 補足 ―
 米国の原子力専門家は福島第一原発で起きたメルトダウンのことも福島第2原発で防ぎきったメルトダウンのことも具体的な状況についてよく知っている。日本政府は国民には情報を隠したが、米国にはかなり詳細な情報提供をしていたのだろう。どこを向いて政治をしているのだと言いたい。国民に対して不正直で不誠実な態度である。封建時代の「よらしむべし、知らしむべからず」そのままだ。
  だが、海外メディアは数を間違えてとりあげている。70人なのに'福島50人'と書いている。
 いったい米国へどういう情報の流し方をしたのか、だれがしたのか、詳細に調べて記録を残し、責任追求すべきだ

(12) Overseas media outlets then erroneously reported that about 50 workers --- dubbed the "Fukushima 50"--- bravely stayed on to battle the crisis.

 大事なところなのでもう二つ付け足そう。
(13) "In fact, I dedn't tell (workers) to go 2F", the Asahi quoted Yoshida as saying, referring to the still-functioning Fukushima No.2 power plant.

「実際に、わたしは作業員達に福島第二原発へ行けとは言ってない、福島第二原発は機能していると伝えたと吉田所長の陳述を朝日新聞は引用している」


(14) "I meant to tell (them) to evacuate somewhere within the premises of No.1 where radiation was low and wait for further instructions," he told the panel, acdording to the Asahi.

「朝日新聞記事によれば、"放射能が低い福島第一原発内のどこかへ避難するように、そして次の指示を待つようにとわたしは作業員達に伝えたつもりだ"、そう政府事故調の委員へ(当時の状況を)説明している。」

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<8月18日追記>
 産経新聞が伝えたところによると、吉田所長は「東京電力福島第1原発にいた所員らの9割が10キロ南の福島第2原発に一時退避したことを、吉田昌郎所長(当時、25年7月9日死去)が「正しかった」と認識していた」という。17日に判明した吉田調書にそのことが載っているという。だとすると、朝日新聞の「吉田所長の命令に違反して9割が福島第二原発へ逃げた」というスクープは虚偽だったことになる。慰安婦問題といい、このスクープといい朝日新聞は日本人を貶めるような虚偽報道をなぜするのだろう?

*産経新聞
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/140818/dst14081816000013-n1.htm

第2への退避、吉田氏「正しかった」 元所員「命令違反ではない」本紙に証言


 17日に判明した政府事故調の「吉田調書」。その文面から、東京電力福島第1原発にいた所員らの9割が10キロ南の福島第2原発に一時退避したことを、吉田昌郎所長(当時、25年7月9日死去)が「正しかった」と認識していたことが分かる。朝日新聞は5月20日付朝刊で、吉田調書に基づき「所員らは吉田氏の待機命令に違反し、第2原発へ撤退」と報じたが、第1原発の複数の元所員は産経新聞の取材に「命令違反ではない」と明言する。吉田調書と関係者の証言から経緯を追った。(原子力取材班)

 第1原発所員の第2原発へ退避したのは、東日本大震災4日後の平成23年3月15日午前7時ごろ。第1は最大の危機を迎えていた。

 前日の14日夜には、第1原発2号機への注水に使っていた消防車が燃料切れで動かなくなったことで、原子炉格納容器が壊れ、多数の所員に危害が生じることが懸念された。

 テレビ会議映像では、当時東電本店(東京都千代田区)にいた幹部が14日午後8時16分ごろ、「1F(福島第1)にいる人たちみんな2F(福島第2)に避難するんですよね」と発言。緊急時対策室を第2へ移す検討を始めていたことが分かっている。

 15日午前5時半ごろには、菅直人首相(当時)が東電本店を訪れ、「撤退したら東電は100%つぶれる。逃げてみたって逃げ切れないぞ」と絶叫した。このとき、テレビ会議映像を見た元所員は「誰が逃げるものか」と反発を覚えたと振り返る。

 午前6時14分ごろ、2号機の方向から爆発のような音が聞こえ、原子炉圧力抑制室の圧力がゼロになったという報告が入った。格納容器破壊の懸念が現実味を帯び、複数の元所員によると、吉田氏は「各班は最少人数を残して退避」と命じ、班長に残る人員を決めるように指示、約650人が第2原発へ退避した。

 調書によると、吉田氏は「本当は2Fに行けと言っていないんですよ。福島第1の近辺で、所内にかかわらず線量の低いような所に1回退避して次の指示を待てと言ったつもりなんですが」と命令の行き違いがあったことを示唆している。朝日新聞は、吉田氏のこの発言などから「命令違反」と報じたとみられる。

 しかし、調書で吉田氏は「考えてみればみんな全面マスクをしているわけです。(第1原発で)何時間も退避していたら死んでしまうよねとなって、2Fに行った方がはるかに正しいと思った」と、全面マスクを外して休息できる第2原発への退避が適切だったとの認識を示している。菅氏らが「第1原発からの撤退」との疑心暗鬼にとらわれていたことを問われると、吉田氏は「現実として逃げていない」と否定した。

 当時、現場にいた複数の元所員も産経新聞の取材に「命令違反」を否定した。40代の元所員は「第1原発では乾パンや水しかなく環境は日に日に悪化しており、第1のどこかに待機するというのはありえない」と語る。吉田氏の命令は第2への退避と受け止めたという。

 別の中堅元所員も「第1原発にいた所員は、退避するなら第2へという共通認識があった。それが吉田氏の命令違反であるはずがない」と証言した。

 当時、第1原発にとどまったのは吉田氏ら69人。15日昼ごろには第2に退避していた多数の人が戻った。

 吉田氏と一緒に現場にとどまったベテランの元所員は「(第1に)残りたいという人ばかりだった。第2までの道は崖崩れの危険があったから、退避した人から『第2に無事に到着した』という連絡があったときには、第1に残った人は『ああよかった』とお互いに喜び合った」と語る。

 別の東電関係者も「当時自家用車で第2へ退避した人も多く、逃げるのであればそのまま避難所にいる家族のもとに行っているはずだ。しかし、彼らは第1へ戻ってきた」と話した。

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*#2687 『日本人はなぜ特攻を選んだのか』①黄文雄著 May 26, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-25-3

 #2684 福島第二原発の奇跡:特攻精神は生きていた May 25, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-25

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*#1460 「原子炉圧力容器損傷か?:写真で検証
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-03-1

 #1462 「裸の王様:原子炉圧力容器は破損している 論より証拠、よく写真を見てごらん 」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-05

 #1463 「福島第1原発3号炉はもう無い:東京電力社員退去要請の意味」
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-04-06

 #1607 児玉龍彦国会で告発(2):(書き起こし) July 31, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-07-31

 #1611 児玉龍彦教授(3):息子さんからのエール Aug. 3, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-08-02-1

 #1655 あらら、何を隠そうとしているの?:原子炉建屋にコンクリートの覆い Sep.21, 2011 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2011-09-21

 #2237 過剰富裕化論提唱者の福島原発事故処理構想:遺稿 Mar. 4, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-03-04

 #2323 次の原発事故のために(1):甲状腺癌と情報操作?:U.N. experts see no increase risk of cancer … Jun. 6, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-06

 #2324 次の原発事故のために(2) :福島県で12人が甲状腺癌 Jun. 7, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-07

 #2325 次の原発事故のために(3):Tyroid cancer hits 12 kids in Fukushima: Jun. 8, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-08

 #2340 米国の現実:核廃棄物は管理不能 Jun. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-06-25

 #2377 次の原発事故のために(4):小児甲状腺癌18人に  Aug. 21, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-21

 #2379 次の原発事故のために(5) 8000万ベクレル/ℓ 高濃度汚染水漏洩 Aug.22, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-22

 #2381 次の原発事故のために(6): 超高濃度汚染水と浄化システムALPS  Aug. 25, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-24

 #2383 次の原発事故のために(7): 漏洩はセシウムとストロンチウム合計で30兆Bq  Aug. 26, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-27

 #2387 次の原発事故のために(8):トリチウムの問題 Aug. 29, 2013
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-08-29 

 #2390 サンマのI-131の濃度から放射能汚染水の大量流出は分かっていた Sep. 1, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-09-01




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#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 [75.時事英語公開講座]

  今夜の気温は2度、五月も下旬だというのにとっても寒い。

  今回のテーマは海面が3~4m上昇するという、その計算をやってみることだ。「#2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング 」では次のような条件を提示しておいた。
*http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

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 #2675から必要な情報を取り出して並べてみよう。
①ウィルクス海盆は南極大陸から1000km広がっている。
②南極の氷の厚さの平均値は2450m、最も厚い部分は4776m。
③氷の面積は1204万km^2、体積は陸上部分で2938万km^3.
④地球の半径 6371km
⑤地球の表面積=4πr≒5億1006万km^2
⑥海洋面積:3億6106万km^2(70.8%)
⑦海水総量:13億4993万km^3

 以上のデータから、ウィルクス海盆の氷が融けると、海水面が3~4m上昇するという結論を導き出してもらいたい。

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 全体の構造的な特性を傾斜という点から説明しておく。
 内陸は傾斜が急で大陸棚(水深700m~900m)でほぼ平行になっており、ウィルクス海盆で急激に3000~4000mの海底へ落ち込んでいる。
 そうした傾斜面を高さ2400mの氷河が流れている。

 最初は大雑把な計算をしてみる。
 (1) 辺縁部を北緯60度と假定すると、北緯60度が描く円周の半径は地球の半径の半分であることは60度の直角三角形の斜辺と底辺の関係から明らか。東側は1/4だから、その半分が海側へずり落ちる辺縁部とする。数字は丸めて計算する。
  6400km/2*2*π/4/2≒2500・・・① 
     
 (2) 東・南極辺縁部の海へ張り出した氷河の長さを300kmとする

 (3) 落ち込む氷の厚さの平均値を1500mとする

 これらの前提で海水面の上昇を次の式で計算する。

 2500km*300km*1.5km/360,000,000km*1000=3.1m

 増える海水の体積を海洋面積で割って、kmをmに換算した式である。これくらいの計算は平均的な数学能力の中学生なら簡単にできる。


<精度をもっと上げることはできる?>
 ははは、大雑把過ぎたかな?でも、こんなもので十分なのだ。
 納得できないだろうから、もう少し精密にやってみよう・・・ここからはebisuはHP35s Scientific Calculatorを使って計算しているが、普通の関数電卓で充分だ。でも、1万円程度でネットで買える、一つぐらいもっていた方がいい。プログラム機能が便利だ。米国ではこの手のキャリュキュレータは大学入試試験に持ち込みOKだ、使いこなせないともちろん合格できない。
 書くのが面倒なところは細かい計算式は省略するつもりだが、三角比を終わっている高校2年生なら平均的な学力で充分計算できる。

 (4) 大陸棚の長さを25kmとして200m下がるという前提で計算すると、傾斜角は0.458度
 (5) 海盆の縁の部分が100kmで3100m下がっていると假定すると、傾斜角は1.776度で、大陸棚の約4倍の傾斜面となる。
 (6) 海盆が1300m下がる地点で氷河の頂上部200mが海面上に出ている地点(p)で、そこから先が海面上に浮いている計算となる。
 p=41.9km・・・②

 大陸棚の始点をa終点をbとするとp-aは
  p-a=25+42=67km・・・③
 浮氷となっている部分は
 300km-67km=233km・・・④ 氷の厚さのおおよそ百倍

 (7) 南極圏は66°30’だから辺縁部の1/8は
  cos66.5*6371km*2*pi/8=1995.2km・・・⑤

 これらの数値を使って計算しなおすと、
 
  1995km*300km*1.5km/361,060,000*1000=2.49m

  細かく計算するとこれくらいぶれるということだろうが、氷の厚さや海面上に持ち上がっている部分を233kmと仮定しているところなど、いい加減と言えば好い加減だから、精密に計算しているようでも、基の計算値の方が真実に近いということはありうる。これ以上、氷河学の専門家ではないebisuは精度の高めようがないということ。
 氷河学の専門家は張り出している氷の面積をもう少し多めに見積もり、海水面上の出ている氷河の厚みも1500mよりももっと大きく1800mくらいに見積もっているのではないだろうか?

 まとめを書いておきたい。陸地部分は傾斜が急だから氷河の流れは速い、それがほとんどフラットな面である大陸棚で25kmほど氷床が岩盤に強固に接着している。ウィルクス海盆の急坂を下る氷河はフラットな大陸棚の接着部分につなぎとめられている。ここが氷河の流れのブレーキになっている。そこから厚さの100倍の233kmほど海面上に1000~1500m出て海へ広がっているのだが、これも質量が大きいので氷河の流れ全体に対してはブレーキの役割をいまは果たしている。300kmから先は水面に浮いており、200mくらい頭を出して浮いているのだろうと想像した。
 フラットな大陸棚の接着面に海水が入ると、67km先のp点までの氷河はブレーキを失い重力でずり落ちるから、氷河の流速が10倍から100倍にもなる懸念ありということ。大陸棚は氷河の流れを遅くする「栓」のような役割を果たしており、その下に海水が入り込むと栓が抜けたボトルの水のように、氷河が急速に南極海へと流れ出してしまう。その間の事情をジャパンタイムズは次のように解説していた。

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 「#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014 」に次の文が載っている。
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1

(2)  The Wilkes Basin in East Antarctica, stretching more than 1,000 km (600 miles) inland, has enough ice to raise sea levels by 3 to 4 meters (10-13 feet) if it were to melt as an effect of global warming, the report said.

 (東・南極にあるウィルクス海盆は内陸から1000km沖合いまで広がっており、そこには地球温暖化の影響で融けると海水面が3~4m上昇するだけの量の氷がある。)

(4)  “East Antarctica’s Wilkes Basin is like a bottle on a slant. Once uncorked, it empties out,” Matthias Mengel of the Potsdam Institute for Climate Impact Research, lead author of the study in the journal Nature Climate Change, said in a statement.

 「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる。この研究の筆頭著者である気候変動に関するポツダム研究所のマシアス・メンゲルがステートメントの中でそのように言明している。」
===============


 北極圏のグリーンランドも似たような状況にある。ここにある氷が全部融けると海水面は8m上昇するという。そして南極大陸の西岸は氷床の下側が海水で融け始めており、氷河が侵食されている。
 山の上にある氷河はどうか?世界の屋根といわれるヒマラヤでも、アルプスでもアンデスでも氷河は急速にその数を減らし消滅しつつある。これらは全部足し算しなければならないから、100年後に海面上昇が10mということもありえない話ではない。北方領土は国後島と択捉島だけが海の上に顔を出している。歯舞諸島は水没、色丹島が三つほどにわかれて海の上に顔をちょこんと出している百年後を想像してみよう。北方領土問題も考え直さなくてはならない。四島返還というまっとうな主張を崩すとどういうことになるのか今一度考え直すべきだ。北方領土返還運動諸団体が考えもしない百年後が待ち受けている。

 百年後に日本は3000万人程度の人口になっていたら、食糧は充分すぎるほど自給自足可能だ。エネルギーもその頃にはクリーン・エネルギーの日本近海に眠るメタンハイドレートが利用可能になっているだろう。エネルギーも自給可能となる。
 国土面積が縮小するからそれを予感してか、日本列島では百年前から人口減、低成長時代を迎えていると考えたら、万々歳なのである。なにか大きな叡智を感じる、神の国日本。
 アベノミクスはそういう時代の転換点を理解できないアホノミクス、視点を変えると世の中の景色はまったく違って見える。

 英文を読むときに数字が出てきたら、大雑把でいいから、自分で計算して確かめる習慣をつけてもらいたいというのが言いたいことだった、そうすれば理解は確実に深まるだろう(センター試験でも数値やグラフを読む問題が出題されている)。楽しんでもらえただろうか?

 もとの英文記事のURLを記しておく。
*#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1

 #2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

*#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17

 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
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#2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014 [75.時事英語公開講座]

 啓雲中学校の3年生が昨日、修学旅行にいった。ラフティングで大喜びする生徒が今年もたくさんでるのだろう。人数は約50人、全学年あわせて160名弱だから、市街化地域の中学校も規模が小さくなった。同じ学区域の小学校は花咲小学校で団塊世代のわたしの母校で、創立137年だったかな、学制が敷かれて2年目くらいに根室に小学校ができたことに驚く。当時の根室人は教育に熱心だったようだが、いまは・・・全国最低レベルの北海道で14支庁管内7番目*である。明治の根室人といまの根室人の教育に対する情熱の落差は大きすぎて恥ずかしいくらいだ。この地に住んでいてたいへん申し訳なく思う。
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*都道府県別データを基にして計算した根室管内の小学校の偏差値は37である。
#2485 (小・中対比)
 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
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 団塊世代当時は花咲小学校は1学年6クラス360人だった。53年間でおおよそ1/7のサイズに縮小してしまった、人口減少の激しさに驚く。
 もっと驚いたのは137年たって根室人の教育への熱意が失われたという事実である。現在の市政の教育への関心の欠如、市議の教育への関心の薄さ、過去15年間ほどの歴代の教育長の無策と情熱のなさに呆れるばかり。根室の町は根室で生まれ育った者たちが担っているから教育はふるさとの町の礎(いしずえ)、これでは未来が危うい。市政にどういう理由(土木・建設と借金?)があるのかしかとはわからぬが、ハコモノをつることばかりに関心が向かってしまっている。

 今回は少し趣を変えてみたい、英字新聞記事読解の公開講座のおまけのようなものだ。よく読むことはよく考えることでもある。

 「#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014 」に次の文が載っている。
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1
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(2)  The Wilkes Basin in East Antarctica, stretching more than 1,000 km (600 miles) inland, has enough ice to raise sea levels by 3 to 4 meters (10-13 feet) if it were to melt as an effect of global warming, the report said.

 (東・南極にあるウィルクス海盆は内陸から1000km沖合いまで広がっており、そこには地球温暖化の影響で融けると海水面が3~4m上昇するだけの量の氷がある。)

(4)  “East Antarctica’s Wilkes Basin is like a bottle on a slant. Once uncorked, it empties out,” Matthias Mengel of the Potsdam Institute for Climate Impact Research, lead author of the study in the journal Nature Climate Change, said in a statement.

 「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる。この研究の筆頭著者である気候変動に関するポツダム研究所のマシアス・メンゲルがステートメントの中でそのように言明している。」
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 これをどのように具体的に理解したらいいのかというのが、今回のテーマである。南極研究専門家(複数)の研究成果ではこうした事態が起きたら、海面は3~4m上昇するらしい。根室市の市街地を例にとると、弥生町・緑町・本町・梅ヶ枝町・常磐町・千島町・弁天町等の大半が水没する。温根沼大橋周辺は大きな入り江となり、接続する道路も橋も水没するだろう。チョウボシ湖は海に変わる。花咲港や落石港や歯舞港そして根室港も水底(みなそこ)に揺れてみえる。

 #2675から必要な情報を取り出して並べてみよう。
①ウィルクス海盆は南極大陸から1000km広がっている。
②南極の氷の厚さの平均値は2450m、最も厚い部分は4776m。
③氷の面積は1204万km^2、体積は陸上部分で2938万km^3.
④地球の半径 6371km
⑤地球の表面積=4πr≒5億1006万km^2
⑥海洋面積:3億6106万km^2(70.8%)
⑦海水総量:13億4993万km^3

 以上のデータから、ウィルクス海盆の氷が融けると、海水面が3~4m上昇するという結論を導き出してもらいたい。
 わたしは英字新聞記事を読んでから、ずっと気になっていた。おおよその計算が合致しないと、英文の意味がわかったことにならないからだ。わかった気になっていたに過ぎない。専門外の分野を理解するには、こうした試行錯誤がある。ましてや専門分野は言うべきにもあらずだ。

 面白いことに気がついたのである。どうやらわたくしの素人解説がまちがっていたことを認めざるをえない。いくつかの仮定を設定して計算したらマシアス・メンゲルの言明はとうやら理屈に合うかもしれないのである。そのありさまを適確な比喩で描いていると考えた方がよさそうだ。

「東・南極にあるウィルクス海盆は斜面に置かれた瓶のようなものだ。一度でも栓が抜けたらナカミが流出して空っぽになる」

 英文を読むというのは、考えるということでもある。
 ニムオロ塾は「覚えるよりも考える」ことをモットーにしている。「あれ、いったいどうなっているのだろう?」、そういう疑問を頭の中にもち続けることがだいじだ。もち続けていたらいつかわかるときがくる。

 もう一度#2675全文を読み直して、あなたも考えてくれないだろうか、知的な遊びである。コンピュータゲームも面白いが、こういう思索トレーニングも楽しいはずだ。
 問題はウィルクス海盆の形状のようだが、どのような形状を前提にしたら計算値が3~4mになるのだろう、わたしはまだ計算してみてない。うまくいくのかいかないのか不明なところがいい、見事に沈没するかもしれない。はは、スリル満点だ。海盆の定義も#2675に載せてあるからもう一度確認してもらいたい。
 元の論文が入手できないとこういう風に試行錯誤(思考錯誤?)をすることになる。そうした不自由さもまた楽しい。


*『南極の地質と石油』(宮崎滋治)という面白い文献を見つけた。とってもおもしろい事実がいくつも見つかる。
 二つだけ例を挙げておこう。大陸棚の深さが500~900mもある。日本の太平洋側の大陸棚はせいぜい200mくらいだからずっと深い。これはアイソスタシーを保つために南極大陸の岩盤が全体に沈降した結果かもしれないと、著者が推測している。
(ということは、陸塊に載っている氷がなくなったら大陸棚は300~700m上昇するということだ、とうぜん陸塊もそれ以上に上昇する。南極の氷が薄くなると陸塊がもちあがって亀裂が入り海盆へ張り出した氷塊がいっせいに海洋へ流れ出すことになる。北海道のような大きさの氷塊がいくつも流れ出したらどういう影響があるのだろう、想像したくない假定である。科学は観測を行うと同時に"What-If Question"を繰り返すものだ。)
 もうひとつは、海盆の深さだがどうやら4000m級であるようだ。海底は玄武岩質。 

 他にも興味のある図が載っている。「第3図 地質図」には、ロス海を東西方向に切断した地質図が載っている。他にも面白いものがある、「第6図」は「ゴンドワナ大陸模式資質構造図」である。アフリカ大陸、インド亜大陸、オーストラリア大陸、南米大陸などがどのような関係になっていたのかが示されている。

http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/2/2612/198002_029a.pdf

**2,000年7月『白嶺丸による南極調査』
 南極調査は命がけだ。ウィクスランド沖で35m/秒の台風並みの暴風と10mの高波、ロス海で7mの高波と寒波による船体への着氷。使用されたマルチチャンネルの測定器の解説までしてある。
https://www.gsj.jp/data/chishitsunews/00_07_09.pdf


<投稿欄からアップ、Hirosukeさんお薦めの氷床融解等の写真>
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この写真を見てください。
   ↓
http://nationalgeographic.jp/nng/article/20130822/362211/?mail

まさしく【沈】んでいます。
「200年後」ではありません。
既に起こっているのです。
by Hirosuke (2014-05-22 09:08) 
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*#2675 East Antarctica at risk of thaw
: 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014
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 #2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014
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*#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
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 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17

 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-12-17-1

 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
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#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014 [75.時事英語公開講座]

*プリントアウトしてチェック済み 5/21 23時* ⇒ 必要部分をワードにコピペすると使いやすいよ

  この記事の解説は書き直しました。次のURLをクリックしてご覧ください。

*#3247 East Antiarctica at risk of thaw Feb.28, 2016
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2016-02-28


 遅咲きの庭の紫つつじが花をつけ始めた。ひょろっとした幹とそこから伸びる枝の先に小ぶりの花びらが十輪、清楚な感じがよい。桜はあと少しで開花しそうで、膨らんだ蕾が朝霧にぬれていた。

 ― 結論 ―
 今後200年間の間に、数メートルの海面上昇が起きて、低地にある世界中の人口密集地帯が水没する。人類は地球規模での人口減少、食糧生産の急激な減少、経済縮小時代を迎えることになる。触れてはならぬスィッチはすでに押されてしまった。南極大陸棚の上にある高さ2千メートルを越す氷河の底部に海水が入り込んでしまった。その外側にある海盆へ続く海底は急斜面である。大陸棚に固定されている氷河と岩盤の接着面に入り込んだ海水が広がれば、氷河は大陸棚の岩盤から離れてその外側にのびた氷河に引っ張られてウィルクス海盆の急斜面を滑り落ちる。
 残念なことだが、人類にこれを止める手立てはないと異なる研究機関の研究者が同じことを言明している。これから200年間に渡って進行し続ける「不可逆な」動きが始まってしまったようである。
  1時間前にNHKがNASAの研究チームが公表した関連ニュースを配信。(13日11:25追記)
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 ― 序論 ―
 標題はロイターが配信した気候変動に関する記事である。このテーマは大学入試でもとりあげられる可能性があるので、専門用語と周辺知識を吸収しておくいいチャンスである。出題される問題文の背景を知っていると有利に解くことができる。

  ebisuは南極については知識がないので、日本語訳に手こずった。たとえば'Wilks Basin'の訳である。最初は「ウィルクス湾」という訳語で考えたのだが、読み進むと後の方の説明文と合わない。こういうときは原理原則に還り、言葉の定義から調べなおすことにしている。
 併行して、具体的な説明が後に続くテクスト中にあるはずだから、それを探す。こういうときは固有名詞が出てくる文節の直後、さらにはあとの段落でもっと具体的な説明がでてくるのであいまいにしたまま書き手が説明してくれるのを期待しながら読み進む。そうすればだんだんに訳(わけ)がわかってくる。そういう意味ではお手本のような構成の英文だ。
 道に踏み迷ったら、どのように脱出して本道に戻るか、いいケース・スタディになるはずである。ずっこけずっこけ、ようやく正解らしきところへたどり着くという過程をそのまま開示しようと思う。

 たかが英字新聞記事だが、専門外の部分はだれがやってもむずかしい。英語しか専門分野のない高校の英語の先生たちが英字新聞記事を授業で取り扱いたくない気持ちがよくわかった。(笑)
 英語の知識もさることながら、大事なのは記事の専門分野の知識―この記事なら南極の地質学的な知識など、経済記事なら経済学の専門知識、コンピュータシステムならシステム工学の専門知識、医学記事なら医学の・・・―というのが時事英語の特性である。英文科を卒業した高校の英語の先生たちの専門は英米文学、しかし文学が英字新聞社説で取り上げられたのをみたことがない。高校の英語の先生たちにとって時事英語は「専門外」のオンパレードである。

 高校生は細かいことはあまり気にせず読んでくれたらいい。大学入試の長文問題はおおよその意味がつかめただけでほとんど正解できるのだから、その辺りを目安に読めばいいのである。わからない単語にでくわしたら、品詞の見当をつけて、そして前後関係から意味を推測してから辞書を引こう。電子辞書ではなくて紙の辞書を読め、それが読解力を上げるトレーニングになる。


 5月6日ジャパンタイムズ一面の記事より
http://www.japantimes.co.jp/life/2014/05/05/environment/east-antarctica-more-at-risk-than-thought-to-long-term-thaw-study/
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Study adds to worries over rising sea levels

East Antarctica at risk of thaw

Reuters

Part of East Antarctica is more vulnerable than expected to a thaw that could trigger an unstoppable slide of ice into the ocean and raise world sea levels for thousands of years, a study Sunday showed.

(2)  The Wilkes Basin in East Antarctica, stretching more than 1,000 km (600 miles) inland, has enough ice to raise sea levels by 3 to 4 meters (10-13 feet) if it were to melt as an effect of global warming, the report said.

(3)  The Wilkes is vulnerable because it is held in place by a small rim of ice, resting on bedrock below sea level by the coast of the frozen continent. That “ice plug” might melt away in coming centuries if ocean waters warm up.

(4)  “East Antarctica’s Wilkes Basin is like a bottle on a slant. Once uncorked, it empties out,” Matthias Mengel of the Potsdam Institute for Climate Impact Research, lead author of the study in the journal Nature Climate Change, said in a statement.

(5)  Co-author Anders Levermann, also at Potsdam in Germany, said the main finding was that if set in motion, the ice flow would be irreversible. He said there is still time to limit warming to levels to keep the ice plug in place.

(6)  Almost 200 governments have promised to work out a U.N. deal by the end of 2015 to curb increasing emissions of man-made greenhouse gases that a U.N. panel says will cause more droughts, heat waves, downpours and rising sea levels.

(7)  Worries about rising seas that could swamp low-lying areas from Shanghai to Florida focus most on ice in Greenland and West Antarctica, as well as far smaller amounts of ice in mountain ranges from the Himalayas to the Andes.

(8)  Sunday’s study is among the first to gauge risks in East Antarctica, the biggest wedge of the continent and usually considered stable. “I would not be surprised if this (basin) is more vulnerable than West Antarctica,” Levermann said.

(9)  Antarctica, the size of the United States and Mexico combined, holds enough ice to raise sea levels by some 57 meters (188 feet) if it ever all melted.

(10)  The study indicated that it could take 200 years or more to melt the ice plug if ocean temperatures rise. Once removed, it could take between 5,000 and 10,000 years for ice in the Wilkes Basin to empty as gravity pulls the ice seaward.

(11)  “It sounds plausible,” Tony Payne, a professor of glaciology at Bristol University who was not involved in the study, said of the findings. The region is not an immediate threat, he said, but “could contribute meters to sea level rise over thousands of years.”

(12)  The United Nations panel on climate change says it is at least 95 percent probable that human activities such as burning fossil fuels — rather than natural swings in the climate — are the dominant cause of warming since the 1950s.

(13)  Sea levels are likely to rise by between 26 and 82 cm (0.85 to 2.7 feet) by the late 21st century, after a rise of 19 cm (0.6 feet) since 1900, it says. Antarctica remains the biggest uncertainty.
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 ― 解説 ―

Study adds to worries over rising sea levels


 海面上昇の懸念があるという研究がもう一つ公表された

East Antarctica at risk of thaw
 プラグ・アイスが溶け出しそうな東・南極大陸

(12)  The United Nations panel on climate change says it is at least 95 percent probable that human activities such as burning fossil fuels — rather than natural swings in the climate — are the dominant cause of warming since the 1950s.

(国連気候変動パネルは化石燃料を燃やすような人間活動―自然な気候の揺らぎよりも―が95%の確率で、1950年代以降引き起こされている地球温暖化の支配的な原因であると述べている。)

 この結論は妥当だろうか?中部大学の武田教授のように太陽の黒点活動が低迷期に入り地球は寒冷化に向かっていると主張している学者もいる。

(13)  Sea levels are likely to rise by between 26 and 82 cm (0.85 to 2.7 feet) by the late 21st century, after a rise of 19 cm (0.6 feet) since 1900, it says. Antarctica remains the biggest uncertainty.

(21世紀末には海面は26~82cm上昇しそうだ。1900年から20世紀末まで19cmの上昇だった。南極は最大の不確実性であり続ける。)

 百年間で比較すると、20世紀は19cmの海面上昇にすぎなかったのに、21世紀は最低でも26cm、最大で82cmの海面上昇となる。1.5倍から4.3倍の海面上昇が高い確率で起きるようだ。IPCCが予測しているよりも、ずっと深刻だという研究も公表されているから、海面上昇に関する研究は百花繚乱の様相を呈している。こういうことは元の論文を読んで裏付けデータを自分なりに解釈しないと判断ができない。たくさんある研究の中の一つぐらいにとらえておこう。

 問題なのは、一旦溶け出したらその反応は不可逆で、数千年間続くということ。温暖化が地球規模ではっきり確認できたときには「もう遅い」ということがありうる。

 なんだか訳のわからない解説になってしまったことを申し訳なく思う。肝心のところのメカにズムが書いていないということもあるが、専門知識がないとこういうことになりかねない。でも、お利口でないebisuは面白そうだからとりあえずやってみた。
 読者のご叱正を乞う。

*#2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

  #2683 南極大陸周辺の謎(1):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

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 ― 補足 ―

【海面上昇のメカニズム】5/13 11時追記
 「南極・ニュース」で検索してみたら、NHKが関連ニュースを1時間前に配信していた。
*「南極の一部氷河 「温暖化で流失防げず」 5月13日 9時52分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140513/k10014403511000.html

 大陸棚にある氷河と岩盤の間に海水が入り込んでしまっているというのだ。そこがリムとなって大陸棚の外側の急斜面を氷河がずり落ちるのをとめていたのだが、その「接着剤」がはがれたということ。あとは重力の仕事だで、接着面が次第に小さくなり、あるとき突然に急斜面を氷河がウィルス海盆へ向かって滑り落ちることになる。
 仮にリム部分(大陸棚の上)の氷河の厚みが1000mで大陸棚の深さが0⇒200mに20kmの幅でゆるい傾斜だとしよう。その先はウィルクス海盆で30度の急傾斜になっている。1000mの厚さの氷河がリム部分を越えると、海水の上に出す頭は80mくらいだから、重力で急斜面を下りながら920mも沈み込むことになる

  まどろっこしいのでNHK記事を引用する。

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NASA=アメリカ航空宇宙局などの研究チームは南極大陸の一部の氷河について、温暖化の影響で、すでに氷河そのものが失われるのを防ぐことができない状態になっているという分析結果を明らかにしました。

NASAやカリフォルニア大学などの研究チームは12日、人工衛星や航空機による観測などから得られた過去40年間のデータを基に、南極大陸の西側にある6つの氷河の状態や地形を分析した結果を発表しました。
それによりますと、これらの氷河では、海水温の上昇などの影響で地面と接する氷河の下の部分に海水が流れ込んで氷が溶けており、氷河と地面が切り離されている地点は、20年前と比べて最大で37キロ内陸側に入り込んでいたということです。
このため氷河が流出しやすくなっていて、氷河が海に向かって移動する速度は年に最大4キロメートルと、40年前と比べて1.7倍の速さになっていたということです。
さらに氷の下の地形の分析で、流出をせき止められるような地形ではないことが分かり、研究チームは「これらの氷河が失われるのを防げる段階はすでに超えた」として、今後数百年以内に6つの氷河はすべて失われ、1.2メートルの海面上昇につながると指摘しています。
また、16日付けのアメリカの科学雑誌「サイエンス」では、別の研究チームも6つの氷河のうちの1つが早ければ200年後にも崩壊するという予測を発表し、温暖化の深刻な影響が浮き彫りになっています。
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Photos

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Satellite images of the retreating and advancing Vanderford Glacier, Wilkes Basin, East Antarctica, in relation to its terminus in 1963 (denoted by the red line). | USGS EARTH RESOURCES OBSERVATION SCIENCE CENTER


 この写真にある⇒部分が氷河の流速の大きい部分を示している。幅は10kmほどだ。2000年の写真では10km×5kmほどの氷山が流れ出している。これが大陸棚に乗っている部分からねこぞぎ南極海へ流出したら、120km×100kmもの面積(四国の7割りのサイズ)の巨大氷山になるだろう。

*「グリーンランドの氷河の流れが加速」 ナショナル・ジオグラフィック・ニュース
http://www.nationalgeographic.co.jp/news/news_article.php?file_id=20140205004

*#2675 East Antarctica at risk of thaw : 東・南極辺縁部の巨大氷河が南極海へ落ちる? May 13, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-11-1

 #2681 南極大陸周辺の謎(1)問題提起:思考トレーニング May 21, 2014
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-21

*#2683 南極大陸周辺の謎(2):海面上昇値を計算してみる May 23, 2014 
http://nimuorojyuku.blog.so-net.ne.jp/2014-05-23-1

 #2912 爆弾低気圧が根室へ:小中高全部休校(釧路および根室管内) Dec. 17, 2014 
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 #2913 緑町の一部が冠水 :爆弾低気圧の影響?  Dec. 17, 2013 
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 #2914 予測の範囲だった爆弾低気圧と高潮被害:地球温暖化と関連ありやなしや Dec. 18, 2014
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